【原文カタカナ訳】 【語義考察】 【漢字読み下し】
コヱクニハラミヤマノアヤ こゑくにはらみやまのあや コヱ国ハラミ山の文
ソモソモニ ミマコニニキネ そもそもに みまこににきね そもそもに 御孫ニニキネ ニハリミヤ ツクハニヲサム にはりみや つくはにをさむ ニハリ宮 ツクバに治む トシステニ ミススフチヰソ としすてに みすすふちゐそ 年すでに 三鈴二千五十 (18万2050年) ツラツラト オモセハタミノ つらつらと おもせはたみの つらつらと 思せば 民の フユルホト タハマサヌユエ ふゆるほと たはまさぬゆえ 増ゆる程 田は増さぬゆえ カテタラス かてたらす 糧 足らず
ヒラハノオタハ ひらはのおたは 平場の生田は ミツタエス タカタハアメノ みつたえす たかたはあめの 水 絶えず 高田は雨の フラヌトシ タネオホロホス ふらぬとし たねおほろほす 降らぬ年 胤を滅ぼす カワカミノ ミツオカケヒニ かわかみの みつおかけひに 川上の 水を懸樋に ハコハセト コレモクツレハ はこはせと これもくつれは 運ばせど これも朽つれば
イセキタテ ツツミキツキテ いせきたて つつみきつきて 井堰 建て 堤 築きて ヤマミツオ トリテタカタオ やまみつお とりてたかたお 山水を 取りて高田を ヒラカント イツノカモフネ ひらかんと いつのかもふね 開かんと 逸の鴨船 (逸尊の鴨船) イセニツケ メクリコエトモ いせにつけ めくりこえとも イセに着け 巡り乞えども 八州を巡りたいと願うも ヲヲンカミ ユルサスココニ ををんかみ ゆるさすここに 大御神 許さずここに カリスマヰ かりすまゐ 仮住い
ヤマタノタカク やまたのたかく 山田のタカク (高倉山) ミヤカワノ カミヨリイセキ みやかわの かみよりいせき ミヤ川の 上より井堰 ツツミツキ ツイニタカノオ つつみつき ついにたかのお 堤 築き ついに高野を タトナセハ ヰトセノウチニ たとなせは ゐとせのうちに 田となせば 五年の内に ミツホナル みつほなる 瑞穂成る
ホカニソヤカノ ほかにそやかの 他に十八処の イセキナル トキニアマテル いせきなる ときにあまてる 井堰成る 時に和照る ミコトノリ ヤシマメクレト みことのり やしまめくれと 御言宣 「八州 巡幸れ」 と フレタマフ ふれたまふ 触れ給ふ
トキフソコスス ときふそこすす 時 二十九鈴 ヰモノヒヱ ミソヤキサラキ ゐものひゑ みそやきさらき 五百の一枝 三十八(穂) 二月 ツイタチト ムメノハナミノ ついたちと むめのはなみの 一日と 梅の花見の ミアエシテ ヒヨミノミヤノ みあえして ひよみのみやの 御饗して 日夜見の宮の (祝) (=イサワ宮) カトテノリ かとてのり 門出宣
ムカシヒヨミノ むかしひよみの 昔 日夜見の オモイカネ コヨミツクリテ おもいかね こよみつくりて オモイカネ 暦 作りて ココニアリ ノチムラクモニ ここにあり のちむらくもに ここにあり 後 ムラクモに ユツリオク ムラクモアメノ ゆつりおく むらくもあめの 譲り置く ムラクモ 天の (テルヒコ) ヲントモニ アスカニハヘル をんともに あすかにはへる 御供に アスカに侍る タチカラヲ ヲヤノアトトテ たちからを をやのあととて タチカラヲ 親の後とて ココニアリ ここにあり ここにあり
ミカリノヲトモ みかりのをとも 巡幸りの御供 コフユエニ ムラクモメシテ こふゆえに むらくもめして 乞ふゆえに ムラクモ召して ミコトノリ ナンチムラクモ みことのり なんちむらくも 御言宣 「汝 ムラクモ (アマテル) コヨミナス カカミクモレハ こよみなす かかみくもれは 暦 成す 明暗見 曇れば (=日夜見) タマフナハ アメフタヱナリ たまふなは あめふたゑなり 賜ふ名は アメフタヱなり」
フタヱケフ ミアエオナセハ ふたゑけふ みあえおなせは 会・交 御饗をなせば 集い・交わり (祝賀) カトイテニ ミハタノトメノ かといてに みはたのとめの 門出に 機の留の ヲンフミオ ミマコニタマヒ をんふみお みまこにたまひ 御文を 御孫に賜ひ ミカカミオ コヤネニタマヒ みかかみお こやねにたまひ 御鏡を コヤネに賜ひ (ヤタ鏡) ミツルキオ コモリニタマヒ みつるきお こもりにたまひ 御剣を コモリに賜ひ (八重垣剣) ノタマフハ のたまふは 宣給ふは
サキニミクサノ さきにみくさの 「さきに三種の タカラモノ ミコオシヒトニ たからもの みこおしひとに 宝物 御子オシヒトに タマヒシハ アニミマコヱテ たまひしは あにみまこゑて 賜ひしは 兄御孫 得て (テルヒコ) フトタマト カクヤマハネノ ふとたまと かくやまはねの フトタマと カグヤマ 羽の ヲミトナル をみとなる 臣となる
コヤネモノヌシ こやねものぬし コヤネ・モノヌシ (コモリ) キヨヒトカ ハネノヲミナリ きよひとか はねのをみなり キヨヒトが 羽の臣なり キミトヲミ ココロヒトツニ きみとをみ こころひとつに 君と臣 心一つに
カノトリノ カタチハヤタミ かのとりの かたちはやたみ 右の鳥の 形はヤタミ (全体像) クヒハキミ カカミハタハネ くひはきみ かかみはたはね 頭は君 鏡は左羽 (鏡臣) ツルキカハ モノノヘハアシ つるきかは もののへはあし 剣 右羽 モノノベは足 (剣臣)
カカミヲミ スエホロフレハ かかみをみ すえほろふれは 鏡臣 すえ滅ぶれば タミハナレ ヒツキフマレス たみはなれ ひつきふまれす 民 離れ 日月 踏まれず 日月が世に纏られず ツルキヲミ スエホロフレハ つるきをみ すえほろふれは 剣臣 すえ滅ぶれば モノヘワレ ヨオウハワルル ものへわれ よおうはわるる モノベ割れ 治を奪わるる (結・家)
ヤタヲミハ ソロハフハルノ やたをみは そろはふはるの ヤタ臣は 繁生ふ春の (=鏡臣) 繁栄の基である タミワサオ カンカミルメソ たみわさお かんかみるめそ 民業を 鑑みる目ぞ (マ:左)
カキヲミハ ヨコマオカラシ かきをみは よこまおからし 垣臣は 汚曲を枯らし (=剣臣) モノノヘノ チカラモルテソ もののへの ちからもるてそ モノノベの 力守る手ぞ」 (テ:右)
コノユエニ ミクサオワケテ このゆえに みくさおわけて この故に 三種を分けて サツクイハ ナカクヒトツニ さつくいは なかくひとつに 授く意は "永く一つに ナルヨシオ アヤニシルシテ なるよしお あやにしるして 和る" 由を アヤに記して 一章に記して
ヲテツカラ フミオミマコニ をてつから ふみおみまこに 御手づから 文を御孫に (御機の留文) サツケマス セオリツヒメハ さつけます せおりつひめは 授けます セオリツ姫は ミカカミオ モチテカスカニ みかかみお もちてかすかに 御鏡を 持ちてカスガに サツケマス ハヤアキツメハ さつけます はやあきつめは 授けます ハヤアキツ姫は ミツルキオ モチテコモリニ みつるきお もちてこもりに 御剣を 持ちてコモリに サツケマス ミタヒウヤマヒ さつけます みたひうやまひ 授けます 三度敬ひ ミナウクルカナ みなうくるかな 皆 受くるかな
シカルノチ ミクサタカラオ しかるのち みくさたからお しかる後 三種宝を ヒツニイレ シルシハサカキ ひつにいれ しるしはさかき 櫃に入れ しるしは榊 サキカリハ タチカラヲナリ さきかりは たちからをなり 先駆りは タチカラヲなり ツキカツテ オオモノヌシト つきかつて おおものぬしと 次カツテ オオモノヌシと (コモリ) ミクサヒツ ヤフサミクルマ みくさひつ やふさみくるま 三種櫃 八房御車 (ニニキネ) ツキコヤネ カコムマヤソノ つきこやね かこむまやその 次コヤネ 駕籠・馬 八十の 駕籠・馬に乗り添う八十の モノノヘラ もののへら モノノベら
イセヨリタチテ いせよりたちて イセより発ちて アスカミヤ コレヨリミツノ あすかみや これよりみつの アスカ宮 これより水の (水路) ニシノミヤ マツカンサキノ にしのみや まつかんさきの 西宮 まずカンサキの (尼崎市神崎) オオヰホリ マナヰニイタリ おおゐほり まなゐにいたり 大井掘り マナヰに到り <朝日神に> ヌサオサメ ぬさおさめ 幣 納め
コヱノネノクニ こゑのねのくに 還の根の国 アチハセカ ミネコシササク あちはせか みねこしささく アチハセが 峰輿 捧ぐ コレニメシ シラヤマミネオ これにめし しらやまみねお これに召し 白山峰を ミメクルニ ナナメニナラス みめくるに ななめにならす 回巡るに 斜めにならず コノコシハ タカツクレルト このこしは たかつくれると 「この輿は 誰が造れる」 と (「造る」の連体形) ノタマエハ のたまえは 宣給えば
ココリメイワク ここりめいわく ココリ姫曰く (=白山姫) マコカナス イトウケステメ まこかなす いとうけすてめ 「孫がなす 妹ウケステメ (アチハセ) アカカタニ クロソノツミト あかかたに くろそのつみと 赤県に クロソノツミと ウムミコオ コロヒツクニノ うむみこお ころひつくにの 生む御子を 転日つ国の キミトナス クロソノツメル きみとなす くろそのつめる 君となす クロソノツメル キミノハハ ケワシキミネノ きみのはは けわしきみねの 君の母 険しき峰の コストキニ ミネコシツクリ こすときに みねこしつくり 越す時に 峰輿造り コオソタツ イマココニキテ こおそたつ いまここにきて 子を育つ 今ここに来て マミヱナス まみゑなす 目見えなす」
ミマコヨロコヒ みまこよろこひ 御孫喜び クニハコシ ヤマハミネコシ くにはこし やまはみねこし 「国は越 山は峰輿」 ソノカエニ ミチミノモモオ そのかえに みちみのももお その返えに みちみの桃を タマワレハ ハナミノモモハ たまわれは はなみのももは 賜われば 「花見の桃は <ウケステメ> マレナリト クニツトニナス まれなりと くにつとになす 稀なり」 と 国苞になす
ヤヨイモチ ミアエノムメニ やよいもち みあえのむめに 三月十五日 御饗の梅に キミヱミテ ムメニミクサノ きみゑみて むめにみくさの 君 笑みて 「梅に三種の カトイテモ ムメニコシヱテ かといても むめにこしゑて 門出も 宜に輿得て コノミアエ アメノシルシト このみあえ あめのしるしと この御饗 甘の徴」 と オリカサシ おりかさし 折り髪挿し
イタルタカシマ いたるたかしま 到るタカシマ (高島) ササナミノ サクラモヨシト ささなみの さくらもよしと ささなみの 桜も好しと オリカサシ クマノヨロキノ おりかさし くまのよろきの 折り髪挿し 曲野・よろき野 タニセント オオタミシマカ たにせんと おおたみしまか 田にせんと オオタ・ミシマが (コモリ12男・11男) イカワナス いかわなす 井・川 成す (池)
オトタマカワノ おとたまかわの オトタマ川の シラスナニ ヒルネシテオル しらすなに ひるねしておる しらすなに 昼寝して居る チマタカミ ミノタケソナタ ちまたかみ みのたけそなた チマタ守 身の丈 十七尺 ツラカカチ ハナタカサナキ つらかかち はなたかさなき 面 案山子 鼻高さ 七寸 メハカカミ めはかかみ 目は鏡
トモノヤソカミ とものやそかみ 供の八十守 オソルレハ ミマコウスメニ おそるれは みまこうすめに 恐るれば 御孫 渦侍に ミコトノリ ナンチメカチニ みことのり なんちめかちに 御言宣 「汝 粧ちに トフヘシト ウスメムネアケ とふへしと うすめむねあけ 問ふべし」 と 渦侍 胸開け モヒホサケ アサワライユク もひほさけ あさわらいゆく 下秘部 放け あざ笑い行く
チマタカミ サメテカクスル ちまたかみ さめてかくする チマタ守 覚めて 「かくする ナニユエヤ イワクミマコノ なにゆえや いわくみまこの 何故や」 曰く 「御孫の ミユキサキ カクオルハタソ みゆきさき かくおるはたそ 御幸先 かく居るは誰ぞ」 コタエイフ カミノミマコノ こたえいふ かみのみまこの 答え言ふ 「神の御孫の (アマテル) ミユキナス ウカワカリヤニ みゆきなす うかわかりやに 御幸なす ウカワ仮屋に ミアエシテ アヒマツナカタ みあえして あひまつなかた 御饗して 合ひ待つナガタ サルタヒコ さるたひこ サルタヒコ」
ウスメマタトフ うすめまたとふ 渦侍また問ふ イツレカラ ユクヤコタエテ いつれから ゆくやこたえて 「いづれから 行くや」 答えて ワレユカン マタトフナンチ われゆかん またとふなんち 「我 行かん」 また問ふ 「汝 シルヤキミ イキマストコオ しるやきみ いきますとこお 知るや 君 いきます所を」 コタエイフ キミハツクシノ こたえいふ きみはつくしの 答え言ふ 「君は筑紫の タカチホソ ワレハイセノサ たかちほそ われはいせのさ 高千穂ぞ 我はイセの南 (イサワ) ナカタカワ ナンチワカナオ なかたかわ なんちわかなお ナガタ郷 汝 我が名を
アラワサハ ワレモイタサン あらわさは われもいたさん 表さば 我も出さん」 <君に> 名を君が世に顕さん カエコトス かえことす 返言す
ミマコヨロコヒ みまこよろこひ 御孫喜び ウノハナモ マタカサシユク うのはなも またかさしゆく 卯の木も また髪挿し行く
サルタシテ タケノイワクラ さるたして たけのいわくら サルタして 長の磐座 オシハナチ イツノチワキノ おしはなち いつのちわきの 押し放ち 逸のチワキの ヨロイサキ タケヤカカミノ よろいさき たけやかかみの 万いさき タケやカガミの (岳山) (鏡山) ミオノツチ ツムミカミヤマ みおのつち つむみかみやま ミオの土 積むミカミ山 (三尾) (三上山) イセキツク いせきつく 井堰 築く
サルタオホメテ さるたおほめて サルタを褒めて ミオノカミ コノムウスメオ みおのかみ このむうすめお ミオの尊 好む渦侍を タマワリテ ソノナアラハス たまわりて そのなあらはす 賜りて その名 顕す サルヘラト カクラオノコノ さるへらと かくらおのこの 猿部らと 神楽獣の キミノモトナリ きみのもとなり 君の基なり
ミコトノリ ミオノチワキモ みことのり みおのちわきも 御言宣 「ミオのチワキも タハココニ コレカカミナリ たはここに これかかみなり 田はここに これ鏡なり (田に水を張った様子) カリミヤオ ミツホトナツク かりみやお みつほとなつく 仮宮を "ミヅホ" と名付く」 (水圃)
タカニユキ ヌサオササケテ たかにゆき ぬさおささけて タガに行き 幣を捧げて (多賀) <二尊に> ミノニユキ アマクニタマノ みのにゆき あまくにたまの ミノに行き アマクニタマの (美濃) ヨロコヒモ ムカシカスカニ よろこひも むかしかすかに 喜びも 「昔カスガに (アマノコヤネ) (斎名:ワカヒコ) ウルリヱテ ウムタカヒコネ うるりゑて うむたかひこね 瓜合て 生むタカヒコネ」 肖って名付けた アメワカヒコに容姿が 瓜二つだったことが ササケモノ オノオノマクワ ささけもの おのおのまくわ 捧げ物 各々マクワ ヒトカコト ヤソヨロコヒテ ひとかこと やそよろこひて 一籠と 八十喜びて
クモチワケ シナノスワヨリ くもちわけ しなのすわより 雲路分け シナノスワより (信濃諏訪) ミチヒケハ ハラミヤマカラ みちひけは はらみやまから 導けば ハラミ山から ヨモオミテ スソノハヒロシ よもおみて すそのはひろし 四方を見て 「裾野は広し ミツオウミ スソノタニセン みつおうみ すそのたにせん 水を埋み 裾野 田にせん」
タチカラヲ ヤモニホラシム たちからを やもにほらしむ タチカラヲ 八方に掘らしむ <をして> ウミノナモ キハヤマナカト うみのなも きはやまなかと 湖の名も 東はヤマナカと 埋み (山中湖) キネハアス ネハカハクチト きねはあす ねはかはくちと 東北はアス 北はカハクチと (明見湖) (河口湖) ネツモトス ツハニシノウミ ねつもとす つはにしのうみ 北西モトス 西はニシノウミ (本栖湖) (西湖) ツサキヨミ サハシヒレウミ つさきよみ さはしひれうみ 西南キヨミ 南はシヒレウミ (精進湖) (四尾連湖) キサハスト きさはすと 東南はスト (須戸沼)
ニハリノタミカ にはりのたみか ニハリの民が ムレキタリ ウミホリツチオ むれきたり うみほりつちお 群れ来たり 湖掘り土を ミネニアケ ヤフサハカリト みねにあけ やふさはかりと 峰に上げ "八房計り" と (八房くらべ)
ハラミ山頂の8峰を天元の8座に比べ ハラミ裾野の8湖を天並の8座に比す →図 アニコタエ ナカノワモカナ あにこたえ なかのわもかな 天に応え 「中の環もがな」 天に合わせ ウツロヰカ アワウミサラエ うつろゐか あわうみさらえ ウツロヰが アワ海渫え (他下二) ミオノワト ヒトニナイキテ みおのわと ひとにないきて ミオの土と 人担い来て アサノマニ ナカミネナセハ あさのまに なかみねなせは 朝の間に 中峰成せば カミノナモ ヰツアサマミネ かみのなも ゐつあさまみね 尊の名も ヰツアサマ峰
ヤマタカク ミツウミフカク やまたかく みつうみふかく 山高く 湖深く 水埋み ナラヒナシ ならひなし 並び無し
ミネニフルユキ みねにふるゆき 峰に降る雪 イケミツノ スエコチサトノ いけみつの すえこちさとの 池水の 末 九千里の 埋け水の 行く末は9千の村々の タトナリテ オヨフミヨタニ たとなりて およふみよたに 田と成りて 及ぶ三万反に ハタトシニ サラエナセトテ はたとしに さらえなせとて 「二十年に 渫えなせ」 とて <一度>
サカオリノ ミヤニイリマス さかおりの みやにいります サカオリの 宮に入ります
アツカリノ オオヤマスミカ あつかりの おおやますみか 預りの オオヤマスミが (マウラ) ミアエナス ミカシハササク みあえなす みかしはささく 御饗なす 御膳 捧ぐ アシツヒメ ヒトヨメサレテ あしつひめ ひとよめされて アシツ姫 一夜召されて チキリコム ちきりこむ 契り籠む
カエルニハリニ かえるにはりに 帰るニハリに ユキスキノ ミヤニイノリノ ゆきすきの みやにいのりの ユキ・スキの 宮に祈りの オオナメヱ ミクサノウケオ おおなめゑ みくさのうけお 大嘗会 三種の受けを アニコタエ ミヤニヲサムル あにこたえ みやにをさむる 天に応え 宮に納むる 天神に報告し (内つ宮) ソノカサリ カクヤハタアリ そのかさり かくやはたあり その飾り 橘・八幡あり ソノアスカ オオンタカラニ そのあすか おおんたからに その明処 大御宝に オカマシム おかましむ 拝ましむ
コヤネカシマニ こやねかしまに コヤネ カシマに トシコユル モノヌシヒトリ としこゆる ものぬしひとり 年越ゆる モノヌシ一人 (コモリ) ヒタカミノ イセキナシナシ ひたかみの いせきなしなし ヒタカミの 井堰 成し成し ヒスミマテ ヲヲチヨロコヒ ひすみまて ををちよろこひ 日隅まで 祖父喜び (オホナムチ) ソノチチカ ヤマトノカミト そのちちか やまとのかみと 「その父が "和の神" と (クシヒコ) ナリテノチ マコニアイタク なりてのち まこにあいたく なりて後 孫に会いたく (世を去りて後) トシヨルト テツカラミアエ としよると てつからみあえ 年寄る」 と 手づから御饗
モノヌシモ ヨロコヒイワク ものぬしも よろこひいわく モノヌシも 喜び曰く ワカキミノ ヤマオヤフサノ わかきみの やまおやふさの 「我が君の 山を八房の ヰユキナス オオチオトロキ ゐゆきなす おおちおとろき 居雪成す」 祖父驚き ワレタトヒ アラタナストモ われたとひ あらたなすとも 「我たとひ 新田成すとも コレシラス キミハマコトノ これしらす きみはまことの これ知らず 君は真の テラスカミ ヨヨノミヲヤソ てらすかみ よよのみをやそ 照らす尊 万の御祖ぞ マメナセト クニサカイマテ まめなせと くにさかいまて 忠なせ」 と 国境まで オクリテソ ナコリアルナリ おくりてそ なこりあるなり 送りてぞ 名残あるなり
モノヌシハ ウミヘオニシニ ものぬしは うみへおにしに モノヌシは 海辺を西に メクリツツ サシヱニアラタ めくりつつ さしゑにあらた 巡りつつ 指絵に新田 オコサシム サトニワタリテ おこさしむ さとにわたりて 興さしむ 佐渡に渡りて アラタナス コシニモトリテ あらたなす こしにもとりて 新田成す 越に戻りて イセキナスカナ いせきなすかな 井堰 成すかな
トキニキミ オホスコトアリ ときにきみ おほすことあり 時に君 思すことあり コヤネシテ ニハリニトトメ こやねして にはりにととめ コヤネして ニハリに留め カツテシテ ウミヘオノホル かつてして うみへおのほる カツテして 海辺を上る ミユキフレ オオヤマスミハ みゆきふれ おおやますみは 御幸触れ オオヤマスミは (マウラ) ヰツサキノ カリヤニムカエ ゐつさきの かりやにむかえ 伊豆前の 仮屋に迎え ミアエナス みあえなす 御饗なす
カシハナストキ かしはなすとき 膳なす時 アシツヒメ イメハラメリト あしつひめ いめはらめりと アシツ姫 「妹 孕めり」 と モウスユエ イセニツケント もうすゆえ いせにつけんと 申すゆえ 「イセに告げん」 と ヨソヒナス トキニソノハハ よそひなす ときにそのはは 装ひなす 時にその母 アネツレテ カリヤニイタリ あねつれて かりやにいたり 姉 連れて 仮屋に到り マミヱコフ メセハモウサク まみゑこふ めせはもうさく まみえ乞ふ 召せば申さく イモトサエ ワカイツクシノ いもとさえ わかいつくしの 「妹さえ 我が慈しの アネアリト コトハカサレハ あねありと ことはかされは 姉あり」 と 言葉飾れば フタココロ ふたこころ 二心
アネイワナカオ あねいわなかお 姉イワナガを メセハソノ カタチスルトク めせはその かたちするとく 召せばその 容 鋭く ミメアシク カレニキモケシ みめあしく かれにきもけし 見目悪しく 故に肝消し ミヤヒカエ ヤハリアシツト みやひかえ やはりあしつと ミヤビ変え やはりアシツと ノタマエハ チチオトロキテ のたまえは ちちおとろきて 宣給えば 父驚きて (マウラ) ツマシカル カクアラントテ つましかる かくあらんとて 妻叱る 「かくあらんとて イタサヌオ イソキカエレト いたさぬお いそきかえれと 出さぬを 急ぎ帰れ」 と オヒヤレハ おひやれは 追い遣れば
ハハアネウラミ ははあねうらみ 母・姉 恨み シモメシテ イモトオトサン しもめして いもとおとさん 下侍して 妹 陥さん アタマクラ ツイニイツワリ あたまくら ついにいつわり 他枕 ついに偽り <の噂> シロコヤテ キミニキコユル しろこやて きみにきこゆる シロコ宿で 君に聞ゆる (白子) ウタカヒニ タヒヤオヨハニ うたかひに たひやおよはに 疑ひに 旅屋を夜半に タチイテテ イセニカエマス たちいてて いせにかえます 立ち出でて イセに帰えます
ヒメヒトリ ネサメテユケハ ひめひとり ねさめてゆけは 姫一人 寝覚めて行けば マツサカニ セキトメラレテ まつさかに せきとめられて 目つ前に 塞き止められて (松阪) シロコヤニ カエリチカツテ しろこやに かえりちかつて シロコ宿に 帰り誓つて
ネタマレノ ワカハチススケ ねたまれの わかはちすすけ 「妬まれの 我が恥 濯げ コノサクラ このさくら この桜」 妬む妬まるみな咎ぞ <ホ16>
ムカシヒヲヲチ むかしひををち 「昔 曾祖父 サクラウシ コノハナササク さくらうし このはなささく サクラウシ この木捧ぐ ヲヲンカミ オウチニウエテ ををんかみ おうちにうえて 大御神 大内に植えて イセノミチ ナルハナルルオ いせのみち なるはなるるお 妹背の道 和る離るるを ハカリマス はかります 計ります」 (擬えます)
サクライアラハ さくらいあらは 「桜 意あらば ワカハラミ アタタネナラハ わかはらみ あたたねならは 我が孕み 他胤ならば ハナシホメ マサタネナラハ はなしほめ まさたねならは 木 萎め 真胤ならば ウムトキニ サケトチカヒテ うむときに さけとちかひて 生む時に 咲け」 と誓ひて ココニウヱ サトニカエマス ここにうゑ さとにかえます ここに植え 里に帰ます (白子)
ソフミチテ ミナツキハツヒ そふみちて みなつきはつひ 十二満ちて 六月初日 (十二月) ミツコウム ソノヱナノアヤ みつこうむ そのゑなのあや 三つ子生む その胞衣の紋 ムメサクラ ウハナトカワリ むめさくら うはなとかわり 梅・桜 卯木と変わり アヤシメハ キミニツクレト あやしめは きみにつくれと 怪しめば 君に告ぐれど カエナクテ かえなくて 返え無くて
ヒメハスソノニ ひめはすそのに 姫は裾野に ウツムロシ メクリニシハノ うつむろし めくりにしはの 鬱室し 周りに柴の カキナシテ ハハコチカヒテ かきなして ははこちかひて 垣 成して 母子誓ひて ナカニアリ アタタネナラハ なかにあり あたたねならは 中にあり 「他胤ならば ホロヒント ヒオツケヤケハ ほろひんと ひおつけやけは 滅びん」 と 火を着け焼けば アツカリテ ハヒイテントス あつかりて はひいてんとす 熱がりて 這ひ出でんとす
ミネノタツ ミツハキカケテ みねのたつ みつはきかけて 峰の竜 水吐きかけて (ハラミ) ヒトリツツ ミチヒキミコオ ひとりつつ みちひきみこお 一人づつ 導き 御子を ハヒイタス モロトオトロキ はひいたす もろとおとろき 這ひ出す 諸人驚き ヒオケシテ ヒメヒキイタシ ひおけして ひめひきいたし 火を消して 姫 引き出し ミコシモテ ミヤニオクリテ みこしもて みやにおくりて 御輿以て 宮に送りて (サカオリ宮) イセニツク いせにつく イセに告ぐ
シロコノサクラ しろこのさくら シロコの桜 ウマレヒニ サキテタエネハ うまれひに さきてたえねは 生れ日に 咲きて絶えねば (6月1日) アメミマコ カモフネハヤク あめみまこ かもふねはやく 陽陰御孫 カモ船早く トハサセテ オキツニツケハ とはさせて おきつにつけは とばさせて オキツに着けば (興津) キチトヒテ サカオリニツク きちとひて さかおりにつく 雉飛びて サカオリに告ぐ
ヒメウラミ フスマカフリテ ひめうらみ ふすまかふりて 姫 恨み 衾 被りて コタエナシ カエコトスレハ こたえなし かえことすれは 応え無し 返言すれば キミシハシ オモヒテワカノ きみしはし おもひてわかの 君しばし 思ひてワカの ウタミソメ オキヒコオシテ うたみそめ おきひこおして 歌見染め オキヒコをして サオシカト ヒメイタタキテ さおしかと ひめいたたきて 差使人 姫 頂きて
オキツモハ ヘニハヨレトモ おきつもは へにはよれとも 『オキツモは 辺には寄れども サネトコモ アタワヌカモヨ さねとこも あたわぬかもよ さね融も 値わぬカモよ ハマツチトリヨ はまつちとりよ はまつチドリよ』
コノウタニ ウラミノナンタ このうたに うらみのなんた この歌に 恨みの斜 トケオチテ キモニコタエノ とけおちて きもにこたえの 解け落ちて 肝に応えの カチハタシ スソノハシリテ かちはたし すそのはしりて 徒歩裸足 裾野走りて オキツハマ おきつはま オキツ浜
キミヨロコヒテ きみよろこひて 君 喜びて コシナラヘ ユクオオミヤハ こしならへ ゆくおおみやは 輿並べ 行く皇宮は (サカオリ宮) ヤマスミノ ミチムカエシテ やますみの みちむかえして ヤマスミの 道迎えして (マウラ) ミトコロニ スワカミアエハ みところに すわかみあえは 御所に スワ守 会えば 集えば スハシリテ サカオリミヤニ すはしりて さかおりみやに すばしりて サカオリ宮に イリマシテ モロカミキケヨ いりまして もろかみきけよ 入りまして 「諸守聞けよ ワレサキニ ハナオカサシテ われさきに はなおかさして 我 さきに 木を髪挿して (梅・桜・卯) カケトホル コレヱナノアヤ かけとほる これゑなのあや 駆け通る これ胞衣の紋
イミナナス いみななす 斎名和す」
ハツニテルナハ はつにてるなは 「初に出る名は 初に火から這い出る名は ホノアカリ イミナムメヒト ほのあかり いみなむめひと ホノアカリ 斎名ムメヒト ツキノコハ ナモホノススミ つきのこは なもほのすすみ 次の子は 名もホノススミ サクラキソ スエハナモヒコ さくらきそ すえはなもひこ サクラギぞ 末は名もヒコ ホオテミノ イミナウツキネ ほおてみの いみなうつきね ホオテミの 斎名ウツキネ
マタヒメハ コオウムヒヨリ またひめは こおうむひより また姫は 子を生む日より ハナタエス ユエニコノハナ はなたえす ゆえにこのはな 花 絶えず 故にコノハナ (シロコの桜) (子の花) サクヤヒメ さくやひめ サクヤ姫」
ミヤツクリシテ みやつくりして 宮造りして オワシマス ナツメノカミカ おわします なつめのかみか 御座します ナツメの守が ウフキナス ハハノチオモテ うふきなす ははのちおもて 産着成す 母の乳を以て ヒタシマス コヤスノカミソ ひたします こやすのかみそ 養します 子養の尊ぞ (子安神)
ヒトナリニ サクラキカニノ ひとなりに さくらきかにの 人成りに サクラギ カニの クサナセハ スセリクサニテ くさなせは すせりくさにて 曲なせば スセリ草にて カニハキテ クサカレイユル かにはきて くさかれいゆる カニ掃きて 曲枯れ癒ゆる ナモスセリ カレシラヒケノ なもすせり かれしらひけの 名もスセリ 故 白ひげの スセリモテ タミヨミカエル すせりもて たみよみかえる スセリ以て 民よみがえる マモリトテ ハタキテウクル まもりとて はたきてうくる 守りとて 開きて受くる ミヤヰコレカナ みやゐこれかな 宮居これかな (スセリ宮=ウカワ宮) →ホ25
ソノノチニ キミコノヤマニ そののちに きみこのやまに その後に 君 "熟山" に ノホリミテ ナカコヤスメリ のほりみて なかこやすめり 登りみて 中子 安めり ヤツミネニ ヰユキタエネハ やつみねに ゐゆきたえねは 八峰に 居雪絶えねば ヨヨノナモ トヨヰユキヤマ よよのなも とよゐゆきやま よよの名も "響居雪山"
コノシロノ タツノタツタノ このしろの たつのたつたの コノシロの 竜の 'タツタの カミノコト コノシロイケノ かみのこと このしろいけの 尊' の如 コノシロ池の と同じく コノシロ池に棲む ミヤコトリ ラハナナクレハ みやことり らはななくれは 都鳥 ラハ菜投ぐれば タハムレル トリタスキトテ たはむれる とりたすきとて 束群れる "鳥襷" とて (「束群る」の連体形) ハニヰマス コモリヱニナス はにゐます こもりゑになす 衣に結ます コモリ絵になす 衣に留めるため チヨミクサ ミハモニシミテ ちよみくさ みはもにしみて 千代見草 御衣裳に染みて <も> 君の衣裳に染めて サマウツス さまうつす 様 写す その様を描く
ママニマツリオ ままにまつりお 随に政を キコシメス コノアキミツホ きこしめす このあきみつほ 聞し召す この秋 瑞穂 成果が チカラナス カレヤマハトノ ちからなす かれやまはとの 力なす 故 ヤマハ留の 勢い付く ミハトナス アヤニハオトメ みはとなす あやにはおとめ 御衣となす 紋に果を留め オルニシキ オオナメマツル おるにしき おおなめまつる 織る錦 大嘗祭る ミハハコレ みははこれ 御衣はこれ
ハオナオハメハ はおなおはめは ハオ菜を食めば チヨオウル ワカナモオナシ ちよおうる わかなもおなし 千代を得る ワカ菜も同じ ニカケレト ハオナハモモノ にかけれと はおなはももの 苦けれど ハオ菜は百の マシニカク チヨオノフレト ましにかく ちよおのふれと 増し苦く 千代を延ぶれど タミクワス ネハヒトノナリ たみくわす ねはひとのなり 民 食わず 根は人の態 (四枝五指)
ハハヨメナ ハナヤヱカオヨ ははよめな はなやゑかおよ 葉は嫁菜 花 八重顔よ ラハハクハ モクサカフロハ らははくは もくさかふろは ラハ・ハク葉 もぐさ・かぶろ葉 チオマシテ ヲイモワカヤク ちおまして をいもわかやく 精を増して 老いも若やぐ [霊・血]
ワカムスヒ コノコオクワニ わかむすひ このこおくわに ワカムスビ 籠子を桑に (=蚕) イトナセハ ココリヒメヱテ いとなせは ここりひめゑて 糸なせば ココリ姫 結て ミハササク コヱネノクニソ みはささく こゑねのくにそ 衣ささぐ "籠結根の国" ぞ (仕立てる)
モノヌシハ キタヨリメクリ ものぬしは きたよりめくり モノヌシは 北より巡り (コモリ) コヱニキテ カノヱオススム こゑにきて かのゑおすすむ 越に来て かの絵を進む ココリヒメ アヤニオリナス ここりひめ あやにおりなす ココリ姫 紋に織り成す トリタスキ アメニササケテ とりたすき あめにささけて "鳥襷" 天に捧げて マタニシノ ハハカミヤケト またにしの ははかみやけと また西の 母が土産と ヨニノコル よにのこる 世に遺る
タカニイタレハ たかにいたれは タガに到れば ツエカツマ アサヒメムカフ つえかつま あさひめむかふ ツエが妻 アサ姫迎ふ (コモリ14女) モノヌシハ クワヨキオミテ ものぬしは くわよきおみて モノヌシは 桑良きを見て アサヒメニ コカヒキヌオル あさひめに こかひきぬおる アサ姫に 籠交ひ衣織る (繭) タチヌヒノ ミチヲシユレハ たちぬひの みちをしゆれは 経緯の 道 教ゆれば
ヲコタマノ カミオマツリテ をこたまの かみおまつりて ヲコタマの 神を祭りて
ヰクラタシ ミハサシツクリ ゐくらたし みはさしつくり 五座治し 衣 差し作り 機の四方一内を調えて タチヌヒノ ミチヲシユレハ たちぬひの みちをしゆれは 経緯の 道 教ゆれば <民に> ヤモトホリ コヱクニノカミ やもとほり こゑくにのかみ 八方通り "籠結国の神" ヲコノサト コカヒヱルナリ をこのさと こかひゑるなり ヲコの里 籠交ひ得るなり
アメミマコ マタヤマメクリ あめみまこ またやまめくり 陽陰御孫 また山巡り ネニヒヱテ ハライタムトキ ねにひゑて はらいたむとき 根に冷えて 腹痛む時 底冷えして コモリソノ ミクサススメテ こもりその みくさすすめて コモリ直の "身草" 進めて (手近の) コレオタス ミトハマシワル これおたす みとはましわる これを治す 幹と派交わる (茎と枝)
ヒトミクサ ネハコネウスキ ひとみくさ ねはこねうすき 人身草 根 箱根空木 クキヒトリ ヨヱヰハヒトミ くきひとり よゑゐはひとみ 茎一垂り 四枝五葉 人身 (四枝五指) コシロハナ アキミハアツキ こしろはな あきみはあつき 小白花 秋 実は小豆 アマニカク ヨコシウルホヒ あまにかく よこしうるほひ 甘苦く 脾臓潤ひ ムネオタス むねおたす 宗を養す (六宗)
モモクサアレト ももくさあれと 百草あれど ハラミノミ コトマサルユエ はらみのみ ことまさるゆえ ハ・ラ・ミの三 殊優る故 (ハオ菜・ラハ菜・ミ草の三草) ミクサホメ ハラミヤマナリ みくさほめ はらみやまなり 三草褒め "ハラミ山" なり
フタカミノ クニナカハシラ ふたかみの くになかはしら 二尊の 国中柱 オキノツホ アマテルカミノ おきのつほ あまてるかみの 奥の壺 アマテル神の ヒタカミノ カタタケミヤノ ひたかみの かたたけみやの ヒタカミの 方丈宮の ナカハシラ ケタツホノフミ なかはしら けたつほのふみ 中柱 方壺の碑 <オシホミは> ヰツカミノ ハラミハツホハ ゐつかみの はらみはつほは 逸尊の ハラミ端壺は (ニニキネ) ヨモヤモノ ナカハシラナリ よもやもの なかはしらなり 四方八方の 中柱なり 日本全土の 中軸なり ヲヲンカミ ハラノヲキミト ををんかみ はらのをきみと 大御神 ハラの皇君と ナオタマフ なおたまふ 名を賜ふ
ニハリノタミカ にはりのたみか ニハリの民が コトシタフ フリモワカレテ ことしたふ ふりもわかれて 子と慕ふ 風も分かれて 分国と慕うハラの国は
モトタミト ミツキハワカレ もとたみと みつきはわかれ 元民と 水際分かれ シワカミノ ミハシラノママ しわかみの みはしらのまま 地上の 実柱のまま 心そのままが ナルコトク マツリホツマニ なることく まつりほつまに なる如く 政 ほつまに 形になって現る如く トトノヒテ ととのひて 調ひて
フヨロヤチヘテ ふよろやちへて 二万八千経て ミソススノ コヨミナスコロ みそすすの こよみなすころ 三十鈴の 暦なす頃 クニノナモ シハカミホツマ くにのなも しはかみほつま 国の名も "地上ホツマ" アマネクニ ウツリタノシム あまねくに うつりたのしむ あまねくに 写り楽しむ 伝播し調和を楽しむ ヨヨユタカ よよゆたか よよ豊か
ヤヨロトシヘテ やよろとしへて 八万年経て ヒタカミノ キミヨリメセハ ひたかみの きみよりめせは ヒタカミの 君より召せば (オシホミミ) モロトモニ ミヤニノホレハ もろともに みやにのほれは 諸共に 宮に上れば (テルヒコ・ニニキネ) (ツボ若宮) チチミカト ミコフタカタニ ちちみかと みこふたかたに 父帝 御子二方に ミコトノリ みことのり 御言宣
ワレヨハヒオイ われよはひおい 「我 齢老い ヒタルユエ イマヨリアニモ ひたるゆえ いまよりあにも ひたる故 今より兄も ナハヤマト アスカヲキミト なはやまと あすかをきみと 名はヤマト アスカ皇君と (大和国) ハラヲキミ トモニムツミテ はらをきみ ともにむつみて ハラ皇君 共に睦みて ヱトカミノ ソノヒソノタミ ゑとかみの そのひそのたみ ヱト神の その日その民 モルコトク もることく 守る如く
ヱトシカトキケ ゑとしかときけ 兄弟 しかと聞け クニタミオ ワカモノニセナ くにたみお わかものにせな 国民を 我がものにせな するな! キミハソノ タミノキミナリ きみはその たみのきみなり 君はその 民の木実なり 民のための日月である
タハハコネ フタヱメクミソ たははこね ふたゑめくみそ 治はハコネ 二重恵みぞ 治めとは恵み 陽陰二重の恵みぞ カニメテル キミハカモナシ かにめてる きみはかもなし かに愛でる 君は明も為し かように民を慈しむ 君は日の役も為せば フタモナシ ふたもなし ふたも為し 月の役も為す
陽陰を束ねて日月為す <ホ28>
カミノカカミノ かみのかかみの 神の鏡の アマテル神の写しの アマテラス ヒツキノキミト あまてらす ひつきのきみと 和照らす 日月の君と <共に我も> マモルハコネソ まもるはこねそ 守るハコネぞ」
ツイニホル ヰツヲハシリノ ついにほる ゐつをはしりの ついに掘る 伊豆ヲバシリの ホラアナニ ミツカライリテ ほらあなに みつからいりて 洞穴に 自ら入りて ハコネカミ はこねかみ ハコネ神
マツリテノチニ まつりてのちに 纏りて後に ハラヲキミ ノコシコトヨリ はらをきみ のこしことより ハラ皇君 遺言より フタタミノ アラソイアレハ ふたたみの あらそいあれは 二民の 争いあれば (アスカとハラ) トミヤリテ ヤワシサハキテ とみやりて やわしさはきて 臣 遣りて 和し裁きて ナニコトモ オタミオタテテ なにことも おたみおたてて 何事も 兄民を立てて ニイタミノ カケハハラヨリ にいたみの かけははらより 新民の 欠けはハラより 老民の責めに帰すべき新民の損害はハラ政府より ツクナワス つくなわす 償わす
カレニヨノウチ かれによのうち 故に万の内 ムツマシキ ヱトオナツケテ むつましき ゑとおなつけて 睦じき 兄弟を名付けて ハラカラト イフモトオリソ はらからと いふもとおりそ "ハラカラ" と 言ふもとおりぞ
ハラヲキミ ヰツサキミヤニ はらをきみ ゐつさきみやに ハラ皇君 伊豆前宮に ハコネカミ ミトセマツリテ はこねかみ みとせまつりて ハコネ神 三年祭りて
オキツホノ ミネヨリナカメ おきつほの みねよりなかめ オキツボの 峰より眺め ミコトノリ ナンチヤマクヒ みことのり なんちやまくひ 御言宣 「汝ヤマクヒ ヤマウシロ ノオホリツチオ やまうしろ のおほりつちお 山後 野を堀り土を (山背) (池を造り) ココニアケ オオヒノヤマオ ここにあけ おおひのやまお ここに上げ 太陽の山を (ハラミ山) ウツスヘシ うつすへし 写すべし」
ヒトヱタニタリ ひとゑたにたり 一枝に足り (60年) ヒヱノヤマ ソノイケミツカ ひゑのやま そのいけみつか "ヒヱの山" その池水が (1.日似の山) 山背の野を掘った池の水が (2.一枝の山) タノソロニ ノリテミノレハ たのそろに のりてみのれは 田のソロに 乗りて実れば ミソロイケ ママアリイケノ みそろいけ ままありいけの "実揃池" ままあり池の ニシイワヤ にしいわや 西いわや
ミハムヰシナオ みはむゐしなお 実食む五品を (五穀) ヰツワケテ ナカスヰシカワ ゐつわけて なかすゐしかわ 厳別けて 流す枝川 セキイレテ アレワオイケテ せきいれて あれわおいけて 堰き入れて 粗地を活けて
ナルカミオ ワケテシツムル なるかみお わけてしつむる 鳴神を 別けて鎮むる カクツチト ミツハメオウム かくつちと みつはめおうむ カグツチと ミヅハメを生む 火の神と水の神を味方につける:火水の清祓 アオイハト カツラニイセノ あおいはと かつらにいせの 葵葉と 桂に妹背の (妹背神) ミコトノリ みことのり 御言宣
アメハフリテリ あめはふりてり 「陽陰は振り照り 日月(桂葵)は恵り照らし マツタキハ イカツチワケテ まつたきは いかつちわけて 全きは 雷 別けて カミオウム コレトコタチノ かみおうむ これとこたちの 神を生む これトコタチの <恵みの> サラノヰツ ワケイカツチノ さらのゐつ わけいかつちの 更の稜威 "ワケイカツチの 新たなる功績 (別雷/分活土) アマキミト ヲシテタマワル あまきみと をしてたまわる 天君"」 と ヲシテ賜わる
ヒロサワオ オオタニホラセ ひろさわお おおたにほらせ ヒロサワを オオタに掘らせ (広沢池) クニトナス アマネクトフル くにとなす あまねくとふる 国となす あまねく通る ホツマフリ タノシミウタフ ほつまふり たのしみうたふ ほつま風 楽しみ歌ふ <を>
ツカルニハ ヌマホリアケテ つかるには ぬまほりあけて ツガルには 沼 掘り上げて 津軽のオホナムチ タミツウム アソヘノオカノ たみつうむ あそへのおかの 田水埋む アソベの丘の <その土を盛り> ヰユキヤマ ナヨサトウミテ ゐゆきやま なよさとうみて 居雪山 七万里 埋みて <その山水は>
カツシマヤ カツミネヤマト かつしまや かつみねやまと 数島や 数峰山と <また> <成す> シマアイニ カツウオナレハ しまあいに かつうおなれは 島間に 数魚生れば コノウオオ アラタニイレテ このうおお あらたにいれて この魚を 新田に入れて ワオコヤス わおこやす 地を肥やす
アマノコヤネモ あまのこやねも アマノコヤネも カスカクニ トフヒノオカニ かすかくに とふひのおかに カスガ地 飛日の丘に (飛火野) ヤマトカワ ホリテツクレル やまとかわ ほりてつくれる ヤマト川 掘りて造れる (「造る」の連体形) ミカサヤマ みかさやま ミカサ山
ヰヨノイフキハ ゐよのいふきは 伊予のイブキは アメヤマニ ウツシタオナス あめやまに うつしたおなす アメ山に 写し田を成す (天山)
アスカキミ カクヤマウツシ あすかきみ かくやまうつし アスカ君 カグ山写し 香山を写して香久山を造る ミヤノナモ ハセカワホリテ みやのなも はせかわほりて 宮の名も ハセ川掘りて アスカ宮→カグヤマ宮 (初瀬川) アスカカワ フチオタトナス あすかかわ ふちおたとなす アスカ川 淵を田となす
スカタヒメ キミニモフサク すかたひめ きみにもふさく スガタ姫 君に申さく (テルヒコ) コレワロシ ムカシクシヒコ これわろし むかしくしひこ 「これ悪ろし 昔 クシヒコ イサメシオ アサケルケカレ いさめしお あさけるけかれ 諌めしを 嘲る穢れ <をアスカ川にて> ミソキナス コレオスツレハ みそきなす これおすつれは 禊なす これを棄つれば マタケカレ ナニカミアリト またけかれ なにかみありと また穢れ 何神あり」 と イサムレハ いさむれは 諌むれば
カクヤマヲキミ かくやまをきみ カグヤマ皇君 (テルヒコ) コレキカス オウナノマツリ これきかす おうなのまつり これ聞かず 「女の政 イツコアル ナンチハコノタ いつこある なんちはこのた 何処ある 汝はこの田 コハオエス ツマニナラヌト こはおえす つまにならぬと 子は生えず 妻にならぬ」 と ケフサリテ トヨマトカメノ けふさりて とよまとかめの 交 去りて トヨマドが姫の (契) ハツセヒメ ツマトメサルル はつせひめ つまとめさるる ハツセ姫 妻と召さるる
アスカカハ オオヤマスミハ あすかかは おおやますみは アスカ川 オオヤマズミは コレウツシ サカムノオノニ これうつし さかむのおのに これ写し サカムのオノに (相模) アラタナシ カクノキウエテ あらたなし かくのきうえて 新田生し 香の木植えて マウラカミ ヨヨタチハナノ まうらかみ よよたちはなの マウラ守 代々 "橘の キミトナル きみとなる 君" となる
キミサカオリノ きみさかおりの 君 サカオリの ツクルナモ ハラアサマミヤ つくるなも はらあさまみや 付くる名も ハラアサマ宮 ヨソオヒハ コカネオカサリ よそおひは こかねおかさり 装ひは 黄金を飾り タマウテナ ウルシイロトリ たまうてな うるしいろとり 珠台 漆彩り カケハシノ スヘレハユウノ かけはしの すへれはゆうの 掛橋の 滑れば木綿の タヒツケテ カケハシシタフ たひつけて かけはししたふ 足袋付けて 掛橋慕ふ (扱う) タヒスカタ たひすかた 旅姿
ナオユタカニテ なおゆたかにて なお豊かにて ソヨロトシ ミツホノホレハ そよろとし みつほのほれは 十万年 瑞穂上れば 成果が上がれば タミヤスク たみやすく 民 和ぐ
ニワニスムツル にわにすむつる 庭に棲む鶴 チヨミクサ ソソキネオハム ちよみくさ そそきねおはむ 千代見草 濯ぎ根を食む イケノカメ ハオハムヨロノ いけのかめ はおはむよろの 池の亀 葉を食む 万の ウラカタハ アフトハナルト うらかたは あふとはなると 占形は '合ふと離る'と カメウラハ ミツワクワカヌ かめうらは みつわくわかぬ 亀占は 水 '湧く湧かぬ'
ミココロオ ツクスミマコノ みこころお つくすみまこの 実心を 尽す御孫の ホツマナルカナ ほつまなるかな ホツマ成るかな → 23文
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★印のついたものは他の文献・サイトからの引用。
■印のついたものは筆者の個人的な意見です。
【ホツマツタヱ解読ガイド】 【ミカサフミ解読ガイド】 【ふとまに解読ガイド】
【やまとことばのみちのく】 【にしのことばのみちのく】 【あめなるみち】
【ホツマツタエのおもしろ記事】