【原文カタカナ訳】      【語義考察】           【漢字読み下し】
 ミハサタメツルキナノアヤ   みはさためつるきあや     衣定め 剣名の文

  

 アメツチモ ウチトモキヨク  あめつちも うちともきよく    天地も       内外も清く

 トホルトキ ミチモノノヘラ  とほるとき みちもののへ    通る時       三千モノノベら

 シラヰシニ ツルキオカミテ  しらゐしに つるきおかみて    領居州に      剣 拝みて
                                          (八重垣剣)

 モノヌシカ キルモタカラカ  ものぬしか きるもたからか    モノヌシが     "斬るも宝" が
                                 (クシヒコ)

 ユエオコフ トキニアマテル  ゆえこふ ときあまてる    故を乞ふ      時に和照る

 ミコトノリ          みことのり            御言宣
  
       ツルキノモトハ        つるきのもとは              剣の基は

 アメノホコ クニトコタチノ  あめのほこ くにとこたちの    和の矛       クニトコタチの

 ヨニハマタ ホコナキユエハ  にはまた ほこなきゆえは    代にはまだ     矛なき故は
                               (=トコヨ)

 スナホニテ ノリオマモレハ  すなほにて のりまもれは    素直にて      和を守れば
                                           (調和)

 ホコイラス          ほこいら            矛 要らず
  
       ココロユキスク        こころゆきすく              心ゆきすく

 カミノヨハ マスヨロトシノ  かみのよは ますよろとしの    上の代は      千万年の

 コトフキモ ウヒチニノヨハ  ことふきも うひちには    寿も        ウヒチニの代は

 オコソカニ カサルココロノ  おこそかに かさるこころの    厳かに       飾る心の

 コトフキモ モモヨロトシソ  ことふきも ももよろとしそ    寿も        百万年ぞ
  
  

 オモタルノ タミトキスクレ  おもたるの たみときすくれ    オモタルの     民 鋭き勝れ

 モノウハフ コレニオノモテ  ものうはふ これおのもて    物奪ふ        これに斧以て

 キリヲサム          きりをさむ            斬り治む
  
       オノハキオキル        おのはおきる              斧は木を伐る

 ウツワユエ カネリニホコオ  うつわゆえ かねりほこお    器ゆえ       金錬りに矛を

 ツクラセテ トキモノキレハ  つくらて ときものきれは    造らせて      鋭き者斬れば

 ヨツキナシ タミノヨワヒモ  よつきなし たみのよわひも    代継ぎ無し      民の齢も

 ヤヨロナレ          やよろなれ            八万均れ
  
       ケニモヨレトモ        にもよれとも              食にもよれども

 ムカシアリ ヨロススモヘリ  むかしあり よろすすへり    昔あり        万鈴も減り

 モトセヨリ マタヨロニマス  とせより またよろにます    百年より      また万に増す

 コレススオ ムスフカミナリ  これすすお むすふかみなり    これを       結ぶ上なり
                                 人の心は寿命を       結ぶ源なり  →ミ4文
  
 オソルルハ ナツミトキレハ  おそるるは なつみときれは    恐るるは      泥み人斬れば

 コタネタツ ケニツツシメヨ  こたねたつ つつしめよ    子種絶つ       げに謹めよ
  
 アメノカミ ツキナクマツリ  あめのかみ つきなくまつり    天の尊       嗣なく政 
                                 (オモタル)

 ツキントス カレイサナキニ  つき かれいさなきに    尽きんとす     故イサナギに

 ノタマフハ トヨアシハラノ  のたまふは とよあしはらの    宣給ふは      「響朝原の

 チヰモアキ ミツホノタアリ  ちゐもあき みつほのたあり    千五百秋      瑞穂の田あり
                                     <の>

 ナンチユキ シラスヘシトテ  なんちゆき しらすへしとて    汝 行き       領すべし」 とて

 トトホコト サツケタマワル  ととほこと さつけたまわる    経と矛と      授け賜る
                                                → 2文
  

 トハヲシテ ホコハサカホコ  をして ほこさかほこ    ヲシテ     矛は逆矛

 フタカミハ コレオモチヒテ  ふたかみは これもちひて    二尊は       これを用ひて  
                                         法と警察力の行使権を用いて

 アシハラニ オノコロオヱテ  あしはらに おのころて    朝原に       オノコロを得て
                                  中国に         中軸地を得て

 ココニオリ ヤヒロノトノト  ここおり やひろのとのと    ここに下り     ヤヒロの殿と

 ナカハシラ タテテメクレハ  なかはしら たてめくれは    中柱        立てて巡れば
                                              [恵れば]

 オオヤシマ トフルコトノ  おおやしま とふるまことの    大八州       通るまことの
                                  全国         通る 調和の
 
 ノヲシヱ          とのをしゑ            トの教え
  
  
       チヰモノアシモ        ちゐものあしも              千五百の葦も
                                           千五百村の雑草も

 ミナヌキテ タトナシタミモ  みなぬきて なしたみも    みな抜きて     田となし民も
                                  (あしひき)

 ニキハエハ ヰヤマトトフル  にきはえは ゐやまととふる    賑わえば      ヰヤマト通る
                                          大いなる調和が通る

 ヤマトクニ          やまとくに            ヤマト国
                                故に名づける和国
    
       マトノヲシヱハ        まとのをしゑは              マトの教えは
                                           調和の教育は

 ノホルヒノ モトナルユエニ  のほるひの もとなるゆえに    昇る日の      本なる故に
                                 日の出の勢いの      原動力ゆえ

 ヒノモトヤ シカレトヤマト  ひのもとや しかれとやまと    "日の本" や     しかれどヤマト

 ナステソヨ          すてよ            な棄てそよ
  
       ワレハノチニ        われとのちに              我はトの道に   
                                             (調の道)

 ヲサムユエ オミモミナリ  をさむゆえ おみとみなり    治む故       "オミ" も "トミ" なり
                                           臣もオミではなくトミと呼ぶ

 ソノユエハ モトモトアケノ  そのゆえは もともとあけの    その故は      元々明の

 ミヲヤカミ ヰマスウラニハ  みをやかみ ゐますうらには    ミヲヤ神      居ます裏には

 キタノホシ          きたのほし            北の星
  
       イマコノウエハ        いまこのうえは              今この上は
                                            またこの上方は

 ミソムメノ トノカミヰマス  みそむめの とのかみゐます    見染む目の     トの神 居ます
                                 隣接する区画に             →フトマニ図

 ソノウラカ ナカハシラタツ  そのうらか なかはしらたつ    その心が      中柱立つ
                                 トの精神こそ     中軸として立てる
 
 クニノミチ          くにのみち            国の道
                                  国家の道
  
       アメヨリメクム        あめよりめくむ              より恵む

 トノカミト ムネニコタエテ  とのかみと むねにこたえて    トの神と      旨に応えて
                                          その精神に共鳴して

 マモルユエ ヒトノナカコニ  まもるゆえ ひとなかこに    守る故       人の中子に

 アイモトメ ヒトツニイタス  あいもとめ ひとついたす    合い求め      一つに致す
                                    親和して    トの神の恵みと一つに合わす 
 ノヲシエ ナカクヲサマル  とのをしえ なかくをさまる    トの教え      永く治まる

 タカラナリ          たからなり            宝なり
  
       アメノヒツキオ        あめのひつきお              和の日月を

 ウクルヒノ ミツノタカラノ  うくるの みつのたからの    受くる日の     三つの宝の

 ソノヒトツ アメナルフミノ  そのひとつ あめなるふみの    その一つ      陽陰和る文の

 ミチノクソコレ        みちのくこれ          道奥ぞこれ
  
  
 マタホコモ タカラノユエハ  またほこも たからのゆえは    またも      宝の故は

 トノミチニ クニヲサムレト  とのみちに くにをさむれと    調の道に      国治むれど

 ソノナカニ ヨコキクモノハ  そのなかに よこきくものは    その中に      横転く者は

 オノカミニ アワネハミチオ  おのに あわみちお    己が身に      合わねば道を

 サカニユク          さかゆく            逆に行く
  
       ヒトリモトレハ        ひとりもとれは              一人悖れば

 トモオマシ ムレアツマリテ  ともまし むれあつまりて    朋を増し      群れ集りて

 ワタカマリ ミチサマタケハ  わたかまり みちさまたけは    わだかまり     道 妨げば
                                          (調の道)

 メシトリテ タタシアカシテ  めしとりて たたしあかして    召し捕りて     糺し明かして

 ツミオウツ          つみうつ            罪を打つ
  
       ヲサムルミチノ        をさむるみちの              治むる道の

 ミタレイト キリホコロハス  みたれいと きりほころはす    乱れ糸       斬り綻ばす

 ウツワモノ          うつわもの            器物              →ミ1
  
       アメノヲシヱニ        あめのをしゑに              和の教えに
                                            (=調の道)

 サカラエハ ミニウクアマノ  さからえは うくあまの    逆らえば      身に受く "和の

 サカホコソ          さかほこそ            逆矛" ぞ
  
       クニミタルレハ        くにみたるれは              国 乱るれば

 モアレテ ミツホノホラス  あれて みつほのほら    田も粗れて     瑞穂上らず
                                           成果が上がらず

 マツシキオ ツミヒトキリテ  まつしきお つみひときりて    貧しきを      罪人斬りて

 カヤセハ ミツホノナリテ  たかやせは みつほのなりて    耕せば       瑞穂の成りて

 ミユタカ チカラオホトシ  たみゆたか ちからおほとし    民 豊か       力・大歳
                                          あがり・収穫を

 ササクレハ ヤモノニキワヒ  ささくれは やもにきわひ    捧ぐれば      八方の賑わひ
                                   高めれば

 タカラテル カレニタカラソ  からてる かれたからそ    "タ" から出る    故に宝ぞ
                                         <斬るも>
 サカホコモ ウチヲサムユエ  さかほこも うちをさむゆえ    逆矛も       打ち治む故

 タカラナリ          たからなり            宝なり

  
  
       イサナミイワク        いさなみいわく              イサナミ曰く
                                                  →言立

 アヤマタハ ヒヒニチカウヘ  あやまたは ひひちかうへ    「誤たば       日々に千頭
                                           日々千人の臣を

 コロスヘシ イサナキイワク  ころすへし いさなきいわく    殺すべし」      イサナギ曰く
  

 ウルハシヤ チヰモノカフヘ  うるはしや ちゐものかふへ    「麗しや       千五百の頭
                                           千五百人の臣を

 ウマントテ ウミテヲシヱル  うまとて うみてをしゑる    生まん」 とて    生みて教える
                                         →5文     (「教ゆ」)の連体形

 トノミチオ ウケテヲサムル  とのみちお うけをさむる    調の道を      受けて治むる

 チヰモムラ トノミチトホリ  ちゐもむら とのみちとほり    千五百村      調の道通り

 オオトシノ ミツホヱルナリ  おおとしの みつほゑるなり    大歳の       瑞穂得るなり
  
  
 ヒカシラハ ヒタカミヨリソ  ひかしらは ひたかみよりそ    日頭は       "日高み"よりぞ
                               日の出の方向である        東部から

 ヲサマリシ ソノヤスクニノ  をさまり そのやすくにの    治まりし      そのヤス国の
                                治まっていった

 チヰモムラ ミナカウヘアリ  ちゐもむら みなかうへあり    千五百村      みな頭あり
                                              (司)
  
 イマコレオ アワセテミチノ  いまこれお あわせみちの    今これを       合せて三千の

 カミヲサム アメツチサリテ  かみをさむ あめつちさりて     治む       天地 離りて

 トオケレハ ワタクシタツル  とおけれは わたくしたつる    遠ければ      私立つる
                                         <守が>      →ホ17
  

 コノユエニ モノノヘヨモニ  このゆえに もののへよもに    この故に      モノノベ四方に

 ツカワシテ アメマスヒトト  つかわして あめますひとと    遣わして      天マスヒトと

 ソエフタリ          そえふたり            副二人
  
        サカオカソエル        さかかそえる              清汚を数える
                                              (「数ふ」の連体形)

 ミチタテテ カノミモムソヰ  みちたてて みもむそ    道立てて       科の三百六十位
                                          (曲・汚)

 アメノミチ オヨヘハコロス  あめのみち およへころす    の満ち      及べば殺す
                                    (一周)

 ミチハコレ          みちはこれ            道はこれ
                                (経矛法)
  
       モシアヤマリテ        もしあやまりて              もし誤りて

 コロサルモ カタキオトレハ  ころさも かたきとれは    殺さるも      敵を捕れば
                                           真犯人を捕れば

 ヲオトクト アマネクタミニ  をおとくと あまねくたみに    結を解くと     あまねく民に
                                 霊の結を解くと
                              (人として転生するようにすると)
  
 フルルナリ          ふるるなり            告るるなり
  
                                  地上での一回限りの生涯より、人として
                                  転生のサイクルを継続できることを重視
  
  
       サホコノクニノ        さほこくにの              サホコの国の

 マスヒトカ ミチオミタレハ  ますひとか みちみたれは    マスヒトが     道を乱れば
                                 (シラヒトコクミ)

 コレオメス タタセハコロス  これめす たたせころす    これを召す     糺せば殺す

 ツミナルオ サオヱテノカル  つみなるお のかる    罪なるを      清を得て逃る

 マタノカニ ツイニアメヨリ  またに ついあめより    またの科に     ついにより
                                              (御上)

 ツミセラル          つみせらる            詰みせらる
  
       カレカオコリオ        かれかおこりお              故 科起りを

 タヤスクニ ユルセハタミモ  たやすくに ゆるせたみも    たやすくに     許せば民も

 ミナオコル コレヨリハタレ  みなおこる これよりはたれ    みな驕る      これよりハタレ

 アラハルル          あらはるる            現るる
  
       タトエハカワノ        たとえかわの              例えば川の

 ミナモトノ ヒトシツクヨリ  みなもとの ひとしつくより    源の        一滴より

 ナカレマシ ノタニアフルル  なかれまし のたあふるる    流れ増し      野田に溢るる
  
  

 ヒトモコレ ヒトリユルセハ  ひとこれ ひとりゆるせは    人もこれ      一人許せば

 ヨロムレテ ソノミチモトル  よろむれて そのみちもとる    万群れて       その道悖る

 サシオケハ ツイニハヨモノ  さしおけは ついにはよもの    差し置けば     ついには四方の

 ミタレナス          みたれなす            乱れなす
  
       コレミナモトオ        これみなもとお              これ源を

 タタサネハ オオミツナシテ  たたさは おおみつなして    正さねば      大水なして

 フセカレス コレシラスンハ  ふせか これしらすんは    防がれず      これ領らずんば
                                            (源)

 ヲサマラヌナリ        をさまらなり          治まらぬなり
  
  
 レミルニ ヒトイハカワル  われみるに ひといかわる    我見るに       人意は変る  

 オコリカチ ヘリニハカタク  おこりかち へりにはかたく    驕りがち      謙りには難く
                                 驕りがちで     謙ることには頑固
                                        『恵み喜ぶ 負け憎む』ホ17
 

 カレハタノ ヲリノリサタム  かれはたの をりのりさたむ    故 機の       織法定む
  
  

 ユフノハハ タテイトヤモリ  ゆふはは たていとやも    結の幅       経糸 八百垂
                                 (機)

 ヲサヨモハ ヤソリヒトヨミ  をさよも やそひとよみ     四百歯      八十垂 一

 ヤリヒトテ ヘクヰニソロヱ  ひと へくゐそろゑ    八垂 一手      綜杭に揃え

 アレヲサニ マキヲサニイレ  あれをさに まきをさいれ    粗筬に       撒き 筬に入れ

 カサリカケ メヲフミワケテ  かさりかけ めをふみわけて    替更り掛け      陰陽踏み分けて
                                 (綜絖)    <踏木の>    (経糸を上下二手に分けて)

 カヒナクル ヲサメクラセテ  かひなくる をさめくらて    投ぐる       筬 巡らせて

 ユフヌノモ キヌモヲルナリ  ゆふぬのも きぬをるなり    ユフ・ヌノも     絹も織るなり
  
  
 トヨミモノ モノヌシカミノ  とよみもの ものぬしかみの    十算物       モノヌシ尊の
                                 (800垂)

 ツネノハソ モニハカタオリ  つねそ にはかたおり    常の衣ぞ      喪には固織
  

 コヨミモノ ムラシアタヒラ  こよみもの むらしあたひ    九算物       ら
                                 (720垂)

 ツネノハソ モハコノカタハ  つねのはそ もはかたは    常の衣ぞ      喪は九の固機
  

 ヤヨミモノ アレヲサヘヲミ  やよみもの あれをさへをみ    八算物       粗長・辺臣
                                 (640垂)

 ツネノハソ モハヤノカタハ  つねのはそ もはやのかたは    常の衣ぞ      喪は八の固機
  

 ナヨミヨリ フトノハタミノ  なよみより ふとのたみの    七算縒り      太布は民の
                                  (560垂)

 ツネノハソ モハムノカタハ  つねのはそ もはのかたは    常の衣ぞ      喪は六の固機
  
 ワレツネニ ソフヨミオキル  われつねに そふよみきる    我 常に       十二算を着る
                                           (960垂)

 ツキノカス モハソノカタハ  つきのかす もはのかたは    月の数       喪は十の固機
  
  
 ナツハヌサ ウミテヌノヲリ  なつぬさ うみぬのをり    夏はヌサ      績みてヌノ織り

 フユハユキ ヨリテユフヲリ  ふゆゆき よりゆふをり    冬はユキ      縒りてユフ織り

 キルトキハ カミシモヨヨノ  きるときは かみしもよよの    着る時は      上下よよの
                                          貴賎いよいよ多くの

 ヰモヤスク          やすく            気も安く
  
       カサルオミレハ        かさるみれは              飾るを見れば  

 ニキハエト ウチハクルシム  にきはえと うちくるしむ    賑わえど      内は苦しむ
                                            (心)
  
 ソノユエハ ユフヌノキヌオ  そのゆえは ゆふぬのきぬお    その故は      ユフ・ヌノ・絹を

 ソメカサル コレナスヒトハ  そめかさる これなすひとは    染め飾る      これなす人は

 タカヤサテ ヒマカクユエニ  たかやさ ひまかくゆえに    耕さで       隙欠く故に
                                         装飾に暇をつぶす故に

 タモアレテ タトヒミノレト  あれて たとひみのれと    田も粗れて     たとひ実れど 

 トホシクテ ヤヤヒトカスノ  とほしくて ややひとかすの    乏しくて      やや人数の

 カテアレト モトチカラヱヌ  かてあれと もとちから    糧あれど       基力得ぬ

 イネノミハ ハミテモコエス  いねは はみてもこえ    稲の実は      食みても肥えず

 ヤフヤクニ カテタラサルソ  やふやくに かてたらさるそ    ようやくに     糧 足らざるぞ
  
  
 ホコルヨハ アメノニクミニ  ほこるは あめにくみに    誇る代は      陽陰の憎みに
                                (=驕る)

 アメカセノ トキモタカエハ  あめかせの ときたかえは    雨風の       時も違えば
                                         時節も不適当となるため

 イネヤセテ タミノチカラモ  いねやせて たみちからも    稲 痩せて      民の力も

 ヤヤツキテ ヨニクルシムソ  ややつきて くるしむそ    やや尽きて     弥に苦しむぞ
  
  
 カサリヨリ オコリニナリテ  かさりより おこりなりて    "飾り" より     "驕り" になりて

 トキハカル ハテハハタレノ  ときはかる はてはたれの    鋭き 謀る      果てはハタレの

 クニミタレ タミヤスカラス  くにみたれ たみやすから    国乱れ        民 安からず

 カレツネニ タミノヰヤスキ  かれつねに たみのゐやすき    故 常に       民の気安き   

 ユフオキル          ゆふきる            結を着る
  
       アサコトスカノ        あさこすかの              麻子と菅の

 ハフタヱハ タミノヰヤスク  はふたゑは たみゐやすく    羽二重は      民の気安く

 ナカラヱト ヒニイノルハソ  なからゑと ひにいのるそ    永らえと      日に祈る衣ぞ
                                            (日毎)      → 16文ミ10
  
 ニシコリハ ユキスキミヤノ  にしこりは ゆきすきみやの    錦織は       ユキスキ宮の

 オオナメノ ヱノトキノハソ  おおなめの ゑときのはそ    大嘗の       会の時の衣ぞ
  
  

 アヤオリハ ハニノヤシロノ  あやおりは はにのやしろの    綾織は       埴の社の

 サナメヱニ スキイノルハソ  さなめゑに すきいのるはそ    新嘗会に      結き祈る衣ぞ
  
  
 コノユエハ アヤニシコリハ  このゆえは あやにしこりは    この故は      綾・錦織は

 オサハヤモ ヒトハニヨタリ  おさはやも ひとたり    筬歯八百       一歯に四垂り

 ミチフモリ コレアシハラノ  みちふも これあしはらの    三千二百垂     これ朝原の
                                                <千五百村を治める>

 トヨノカス タナハタカミト  とよかす たなはたかみと    トヨの数      棚機神と
                                 (配る者)

 タハタカミ オナシマツリノ  たはたかみ おなしまつりの    田畑神       同じ纏りの

 アヤニシキ          あやにしき            綾・錦
  
       ミチリノタテニ        みちりのたてに              三千垂の経に

 ヘカサリオ カケテヨツムツ  へかさりお かけよつむつ    綜・替更りを     掛けて四つ・六つ

 フミワクル ヤナキアヤナル  ふみわくる やなきあやなる    踏み分くる     "柳綾" なる

 ハナカタハ ヱカキマノリニ  はなかたは ゑかきまのりに    花形は       描き 目載りに

 アテウツシ          あてうつし            当て写し

  
       ツウチヨコヘニ        つうちよこへに              ツウヂヨコヘ
 ツリワケテ ヲリヒメカサリ  つりわけて をりひめかさり    吊り分けて     織姫 替更り

 フムトキニ ヨコヘニワケテ  ふむときに よこへにわけて    踏む時に      ヨコヘに分けて

 ツウチヒク カヒヌキナケテ  つうちひく かひぬきなけて    ツウヂ引く      梭 貫き投げて

 ヲサメクル アヤニシコリモ  をさめくる あやにしこりも    筬 巡る       綾・錦織も
                                  (他動詞)

 コレナルソ タカハタノリノ  これなるそ たかはたのりの    これなるぞ     高機法の

 アラマシソコレ        あらましそこれ          あらましぞこれ
  
  
 マツリコト タミノイモセハ  まつりこと たみいもせは    政事        民の妹背は
                                             (夫婦)

 ヲサヒトハ ヰヤクムヲサハ  をさひと ゐやくむをさは    筬一歯        五家組む長は
                                            5家を束ねる長は

 ヒトテユヒ          ひとてゆひ            一手指
  
       ヤソテヘヒトリ        やそてへひとり              八十手侍 一人
                                            (400屋)

 アレヲサト ナルオオトラカ  あれをさと なるおとか    粗長と       なるを小臣らが

 チキリマク          ちきりまく            契り任く
  
       ヤソアレヘオク        やそあれへおく              八十粗侍 置く
                                                  (32,000屋)

 アカタヌシ コレヒトヨミノ  あかたぬし これひとよみの    県主        これ一の

 モノノヘソ          もののへそ            モノノベ
  
       ヤソヘノクニニ        やそへくにに              八十侍の国に
                                              (80県主)

 ツウチオキ モノノヘタテオ  つうちおき もののへたてお    ツウヂ置き      モノノベ経を
                                (80算=2,560,000屋)     役人をして経を

 ヲシヱシム          をしゑしむ            教えしむ
  
       コノクニツコニ        このくにつこに              この国造に

 ヨコヘソリ ソエテアマネク  よこへ そえあまねく    ヨコヘ十人      添えてあまねく

 ミチワキテ          みちわきて            道 頒きて
                                   制を公布し
  
       サカオミアタヒ        さかおみあたひ              清汚臣アタヒ
                                            功罪監察の臣 "直" は

 ツウチヘテ タタチニツクル  つうちて たたちつくる    ツウヂ経て      直ちに告ぐる
                                             直接に
 アノメツケ コレアタヒラソ  あのめつけ これあたひそ    天の目付      これアタヒらぞ
  
  
 モノノヘオ ヤモリツカヌル  もののへお やもつかぬる    モノノベを     八百人束ぬる
                                         (10国=800算=25,600,000屋)

 ヌシハコレ オオモノヌシヤ  ぬしこれ おおものぬしや    主はこれ      オオモノヌシや

 ソエムラシ コトシロヌシト  そえむらし ことしろぬしと    副 ムラジ       コトシロヌシと
                                 副の "連" と

 タスケシム          たすけしむ            助けしむ
  
       ソエノフタリハ        そえのふたりは              副の二人は

 ヘトカサリ オオモノヌシハ  へとかさり おおものぬしは    綜と替更り     オオモノヌシは

 ハタノヌシ カレサカオヨム  はたのぬし かれさかよむ    機の主       故 清汚を算む
                                 行政機構の主
  
  
 ソノカマテ アレハアレオサ  まて あれあれおさ    十の科まで     あれば粗長

 クミオヨヒ ソウチハシカル  くみよひ そうちしかる    を呼び      十内は叱る
                                (五人組)

 ソノソトハ アカタニツケル  そのそとは あかたつける    十の外は      県に告げる
  

 アカタヌシ コソウチハツエ  あかたぬし こそうちはつえ    県主        九十内は杖
                                          90未満は杖打ちの刑

 ケタノカハ カトヤニイレテ  けたは かとやいれて    方の科は      括屋に入れて
                                 90以上の科は     拘置所

 クニツコニ ツクレハハカリ  くにつこに つくれはかり    国造に       告ぐれば計り
  
  

 ケタノカハ ツエウチアカタ  けたのかは つえうちあかた    方の科は        杖打ち 県
                                 90以上の科は    杖打ちの上その県を

 オヒヤラヒ          おひやらひ            追ひ遣らひ
  
       フタケタナラハ        ふたけたならは              二方ならば
                                            180以上の科は

 クニオサル          くにさる            国を去る
                                その国を去らせる
    
       アマレハツケル        あまれつける              余れば告げる
                                        <二方に>

 モノヌシノ タタシアカシテ  ものぬしの たたしあかして    モノヌシの     正し明して

 フモノカハ シマニサスラス  ふもは しまにさすらす    二百の科は     州に流離す
                                          隔絶地に流し遣る
  
  

 ミケタカハ カミツメヌキテ  けたは かみつめぬきて    三方科は      髪・爪 抜きて
                                270以上の科は

 イレスミシ          いれすみ            入れ墨し
  
       アメニワタレハ        あめにわたれは              に渡れば
                                           360度一周すれば

 ミオカラス マカルノツミハ  からす まかるのつみは    身を枯らす     罷るの詰みは
                                            死刑の執行は

 モノヌシノ ミコトオウケヨ  ものぬしの みことうけよ    モノヌシの     命を受けよ
  
  
 モノノヘラ シカトキケコレ  もののへ しかきけこれ    モノノベら     確と聞けこれ  

 ワカママニ タミオキルナヨ  わかままに たみきるよ    我が随に      民を斬るなよ

 タミハミナ ナオワカマコソ  たみはみな なおわかまこそ    民は皆       なお我が孫ぞ
  
  
 ソノタミオ マモリヲサムル  そのたみお まもりをさむる    その民を      守り治むる
 
 クニカミハ コレナオワカコ  くにかみは これなおわかこ    国守は       これなお我が子
  
  
 クニカミハ タミノタラチネ  くにかみは たみたらちね    国守は       民のタラチネ

 ソノタミハ クニカミノコソ  そのたみは くにかみのそ    その民は      国守の子ぞ

 ワカコテモ ヲヤカキルナヨ  わかこても をやきるよ    我が子でも     親が斬るなよ
                           "タ" も "ヲシ" も  乳無きの親よ 鑑みて 助くる民は 子の如く
                           二尊受けて 親となり 民を我が子と 育つるに 篤く教えて 人と成す
                           臣・民 子・孫 隔てなく 慈く・恵まん 思ひなり <ホ17
  
 ワカコサス ツミモヤソクラ  わかこさす つみもやそくら    我が子殺す      罪百八十クラ

 ママコサス ツミフモナソカ  ままこさす つみふもなそ    継子殺す       罪二百七十科

 イモイサス ツミフモナソカ  いもいさす つみふもなそか    妹いさす       罪二百七十科
                                 (妻)
  
 ウマスメハ ヨソメソアニモ  うますめは よそめあにも    生まず女は     よそ女ぞ 兄も
                                 出産拒否の女は

 セモカラス トカミモムソカ  からす とかみもむそか    背も枯らす     咎三百六十科
 
                                 嫁が出産を拒否する場合、夫の家は断絶し
                                 実家も親戚の一つを失うことが確実なため
 
 
 
 ウマサルハ ヨソウメハアニ  うまさるは よそうめはあに    生まざるは     他所生めば豈
                             <結果的に>        他の女が生めば何ら罪無し
  
 タラチウツ トカミモムソカ  たらちうつ とかみもむそ    タラチ討つ      咎三百六十科

 ママヲヤオ ウツトカヨモカ  ままをやお うつとかよもか    継親を       討つ咎四百科
  
  
 アメノリオ タミヒトクミカ  あめのりお たみひとくみか    天法を       民一組が
                                 (公法)

 ミタレテモ ヲサメクラネハ  みたれても をさめくらは    乱れても      筬 巡らねば

 ハタオレス カレオサムルハ  はたおれ かれおさむるは    機 織れず      故 治むるは
                                   (自下二)

 ハタノミチカナ        はたのみちかな          機の道かな
  
  
 トキニマタ オオモノヌシカ  ときまた おおものぬしか    時にまた      オオモノヌシが
 
 モウサクハ ムカシミタレス  もうさくは むかしみたれ    申さくは      「昔 乱れず

 オコラヌオ アラコオキテハ  おこらお あらこては    驕らぬを      粗衣を着ては

 イツクンソ キミヱミイワク  いつくんそ きみゑみいわく    いづくんぞ」     君 笑み曰く
  
  
 ナンチモト タタチオモエト  なんちもと たたちおもえと    汝 もと       ただち思えど  
                                汝は当初のことを    短絡的に想起するが

 ノチノヨニ イヤヲサマレハ  のちに いやをさまれは    後の代に      いや治まれば
                                          次第に世が治まれば

 ウヱシラテ オコルタノシノ  うゑしら おこるたのしの    飢え知らで      驕る楽しの
                                 飢えを知らずに      奢る楽しさの

 ミツルトキ ウヱトシコロハ  みつるとき うゑとしころは    満つる時       飢え遠し頃は
                                蔓延する その時    飢えを忘れた頃こそ

 ミノラステ マコトニウヱル  みのらて まことうゑる    実らずて      真に飢える
                                             (「飢ゆ」の連体形)

 コレカネテ サタムルハノリ  これかねて さたむるはのり    これ予て       定むる衣法

 カンカミソ コレツツシメヨ  かんかみそ これつつしめよ    鑑みぞ       これ謹めよ
                                 人意は変る 驕りがち 謙りには硬く
                                 故 機の 織法定む
  
  
 ムカシナル アオヒトクサモ  むかしなる あおひとくさも    昔 和る       青人草も
                                                →18文

 ソニフヱテ ミチオフレテモ  そにふゑて みちふれても    そに増えて     道を触れても
                                 こんなに増えて

 トトキカネ コスヱヤフルル  とときかね こすゑやふるる    届きかね      後末破るる

 モトイカヤ トキホコフラハ  もといかや ときほこふらは    基かや       時 矛振らば

 スミヤカニ トホランモノト  すみやかに とほらものと    速やかに      通らんものと
                                         <道が>

 ツルキナス          つるきなす            剣 成す
  
       ソノトキフレテ        そのときふれて              その時触れて

 カネリトオ ソタリニツルキ  かねりとお そたりにつるき    金錬人を      十人に剣

 ツクラシム ナカニヒトリハ  つくらしむ なかひとりは    造らしむ      中に一人は

 ヒイテタリ ヤヒハスルトク  ひいてたり やひはするとく    秀でたり      刃 鋭く

 ミツオワル          みつおわる            水を割る
                                 一線を画す
  
       コノカネリトニ        このかねりとに              この金錬人に

 ミコトノリ ナンチカヤイハ  みことのり なんちやいは    御言宣       「汝が刃

 ヨクトキソ シカレトマテノ  よくときそ しかれとまての    よく鋭きぞ     然れど左右の

 イキカレオ シラスヲシエン  いきかれお しらをしえ    活き枯れを      知らず 教えん

 シカトキケ          しかきけ            確と聞け」
  
       タノメハハルノ        たのめはるの              「"立の目" は春の
                                           (=立の間)

 イキルコロ タノメオイレテ  いきるころ たのめいれて    活きる頃      "左の眼" を入れて

 ネルツルキ イキミニチカク  ねるつるき いきみちかく    錬る剣       活き身に近く

 カレウトシ モシアヤマルヤ  かれうとし もしあやまる    枯れ疎し       もし誤るや

 オソルナリ          おそるなり            恐るなり
  
       カノメハアキノ        かのめあきの              "枯の目" は秋の
                                           (=枯の間)

 カラスコロ カノメオイレテ  からすころ かのめおいれて    枯らす頃      "右の眼" を入れて

 ネルツルキ カレミニチカク  ねるつるき かれみにちかく    錬る剣       枯れ身に近く

 イキウトシ          いきうとし            活き疎し
  
       ツミアルモノオ        つみあるものお              罪ある者を

 カレトイフ ナキハイキナリ  かれいふ なきいきなり    "枯れ" と言ふ    無きは "活き" なり

 カノツルキ カレミオコノミ  かのつるき かれみおこのみ    右の剣       枯れ身を好み

 イキオソル コレソヲサムル  いきおそる これをさむる    活き恐る       これぞ治むる

 タカラモノ コレウツヘシト  たからもの これうつへしと    宝物        これ打つべし」 と

 ノタマエハ          のたまえは            宣給えば
  
       オソレテモモカ        おそれもも              畏れて百日

 モノイミシ ミキメヒトツテ  ものいみ みきひとつて    モノ忌みし     右眼一つで

 ネルツルキ ヤフリアクレハ  ねるつるき ふりあくれは    錬る剣       八振り上ぐれば

 ミコトノリ イマコノツルキ  みことのり いまこのつるき    御言宣       「今この剣

 ムヘニヨシ ワカミココロニ  むへによし わかみこころに    むべ熟し      我が実心に

 ヨクカナイ ミヨノヲサマル  よくかない みよをさまる    よく適い      家の治まる
                                            国家

 タカラモノ ナモヤヱカキノ  たからもの やゑかきの    宝物        名もヤヱガキの

 ツルキトソ          つるきとそ            」 とぞ
  
       カネリオホメテ        かねりほめて              金錬りを褒めて

 タマフナハ アマメヒトツノ  たまふは あまめひとつの    賜ふ名は      "アマメヒトツ" の

 カミトナル          かみなる            尊となる
  
       ノチニハタレカ        のちはたれか              後にハタレが

 ミタルトキ カナサキオヨヒ  みたるとき かなさきおよひ    乱る時       カナサキおよび

 ムマサカミ ツルキタマワリ  むまさかみ つるきたまわり    六将守       剣 賜わり
                                       <八重垣の>

 ハタレウチ ヤタミヲサムル  はたれうち やたみをさむる    ハタレ討ち      八民治むる

 イキオヒモ          いきおひも            勢ひも

 
 
       カレハカラシテ        かれからして              「"枯れ" は枯らして
                                             (罪人)
 イキオヱル タトヱハハヤシ  いきゑる たとゑはやし    "活き" を選る    例えば林

 キリヒラキ タクニコタマノ  きりひらき たくこたまの    伐り開き      焚くに木霊の

 ナキコトク キルヘキトカハ  なきことく きるへきとかは    無き如く      斬るべき咎は

 キリツクス オモイノコラシ  きりつくす おもいのこら    斬り尽す      思い残らじ
                                           (心/霊)
  

 ツルキトハ ハキノヨハヒ  つるきとは つはよはひ    ツルギとは     'ツ' は木の齢   

 アニキテ カレルアノソ  あにつきて かれるあのつそ    上に尽きて     枯れる上の尽ぞ
                                  極みに達して
 ルハシハノ カワケハモユル  るはしはの かわけもゆる    'ル' は柴の     乾けば燃ゆる

 キノホソ ハキノカレテ  るきそ きはかれて    霊気の火ぞ     'キ' は木の枯れて

 オモヒナシ カレニツルキト  おもひなし かれにつるきと    思ひ無し       故に "尽霊帰" と
                                心/霊は陽陰に帰る

 ナツクナリ          なつくなり            名付くなり
  
       モシタミオコリ        もしたみおこり              もし民驕り

 ミノホトモ ワスレテツイニ  みのほとも わすれついに    身の程も      忘れてついに

 ツルキウク ウケサセシトテ  つるきうく うけさせとて    剣 受く       受けさせじとて
                                           (抑止力としての)

 ミノカキヨ          みのかきよ            身の垣よ
 
                                  剣を恐れることが己を守る盾となる
                                   だから 剣=太刀(たち)=盾(たて)
 
       モシモツカサノ        もしもつかさの              もしも司の

 オコリニテ タミオカラセハ  おこりにて たみおからせは    驕りにて      民を枯らせば

 ツミオオシ ヨコヘニサラニ  つみおおし よこへさらに    罪 大し       ヨコヘに更に

 アラタメテ ソノタミイカス  あらためて そのたみいかす    改めて       その民 活かす
                                                  →21文
  

 トミコトミ オコリシノヒテ  とみことみ おこりしのひて    臣・小臣       驕り忍びて

 ミチマモレ ワカミノタメノ  みちまもれ わかみための    道 守れ       我が身のための
                                (調の道)

 ヤヱカキハコレ        やゑかきはこれ          ヤヱガキはこれ」
                                汚穢垣は驕りを忍ぶこと
  
  
 トキニマタ オオモノヌシカ  ときまた おおものぬしか    時にまた      オオモノヌシが

 モフサクハ ハタレヤフルノ  もふさくは はたれやふるの    申さくは      「ハタレ敗るの

 ナオモカナ トエハアマテル  もかな とえあまてる    名をもがな」     問えば和照る
                                (ヤヱカキ)

 ミコトノリ          みことのり            御言宣
  
       ハタレカワサハ        はたれわさは              「ハタレが禍は
                                                (汚穢)

 チカツケス ユミヤニヤフリ  ちかつけ ゆみややふり    近付けず      弓矢に敗り
                              <まずは>

 チカツケハ タチウチハラフ  ちかつけは たちうちはらふ    近付けば      太刀打ち払ふ
                               <もし>
                                        <だから太刀は攻撃具ではなく>
 ミノカキソ          みのかきそ            身の垣ぞ」
                               汚穢から身を守る垣(盾)ぞ
  
  
       マタトフヤタミ        またとふやたみ              また問ふ 「ヤタミ
                                               己はオオモノヌシ
                                                として八方の民を

 オサムレハ ヤタナハイカン  おさむれは やたいかん    治むれば      "ヤタ"名は如何ん」
                (謙譲)
  
  

 ミコトノリ カカミハタミノ  みことのり かかみたみの    御言宣       「鏡は民の     

 ココロイル イレモノナレハ  こころいる いれものなれは    心入る        容れ物なれば
                                 (魂魄)

 ヤタカカミ ツルキハアタオ  やたかかみ つるきあたお    ヤタ明暗見     ツルギは仇を
                                 民の魂魄の写し         (汚穢)
       

 チカツケス          ちかつけ            近付けず」
  
  
       マタトフカキノ        またとふかきの              また問ふ 「垣の

 ヤヱイカン          やゑいかん            "ヤヱ" 如何ん」
  
  
       キミニコヱミテ        きみにこゑみて              君 にこ笑みて

 ノタマフハ イシクモコエリ  のたまふは いしくこえ    宣給ふは      「美しくも乞えり

 ソレヤヱハ ムカシフタカミ  それやゑは むかしふたかみ    それ "ヤヱ" は    昔 二尊
                                               <がそれによって>

 クニシラス モノイフミチノ  くにしらす ものいふみちの    国領らす       物言ふ道の
                                           [物結ふ道]

 アワウタノ ハアメトチチ  あわうたの あめちち    アワ歌の      'ア' は天と父
                                            (陽)

 ハハハソ ハワカミナリ  ははそ わかみなり    'ワ' は母ぞ     'ヤ' は我が身なり
                                  (陰)          (和)   (人)
  
  
 コノアワヤ ノトヨリヒヒク  このあわや のとよりひひく    この ア・ワ・ヤ    咽より響く

 ハニノコエ クニオシラスル  はにのこえ くにしらする    埴の声       国を領らする

 タネナレハ アワハアワクニ  たねなれは あわあわくに    種なれば      'アワ' はアワ国
                                                (=中国)

 ヤハモノ アオヒトクサノ  やもの あおひとくさの    'ヤ' は八方の    青人草の

 ナモヤタミ          やたみ            名も ヤタミ
 
                     
       ハイエヰナリ        いえゐなり           <また> 'ヤ' は家居なり
                                              (和・家)

 ハヲサム ハワカミナリ  をさむ わかみなり    'タ' は治む     'ミ' は我が身なり
  
  
 アワクニノ ニイテシマ  あわくにの ややしま    アワ国の      家に率て八州
                                 中央政府の    八紘殿に導いて国家全体を

 シラスレハ ヤハヤツナラス  しらすれは やつなら    領らすれば     ヤは八つならず

 モモチヨロ カサヌルフシノ  ももちよろ かさぬるふしの    百・千万       重ぬる節の
                                 百万・千万を         (=房)
 ヤエカキソ          やえかきそ            "和重垣" ぞ」
  
  
       トキニモノヌシ        ときものぬし              時にモノヌシ
                                             (クシヒコ)

 ヱミイワク ムカシモノヌシ  ゑみいわく むかしものぬし    笑み曰く      「昔モノヌシ

 タマワリテ フカクオモエト  たまわりて ふかくおもえと    賜わりて      深く思えど

 マタトケス イマヤフヤクニ  またとけ いまやふやくに    まだ解けず     今ようやくに

 コレオシル          これしる            これを知る
  
       コレヤヱカキハ        これやゑかきは              これ "ヤヱガキ" は

 モノノヘノ ナナリトオノカ  もののへの なりおのか    モノノベの     名なりと己が

 ヲニコタユ テレハスヘラノ  をにこたゆ てれはすへらの    央に応ゆ      てれば "統べら" の
                                  (肝)             (和・統・家)

 ヨヨノカキ オノカヲナリト  よよかき おのかなりと    よよの垣      己が央なり」 と
                                             (本分)

 チカイナス          ちかいなす            誓いなす
  
  
       マタミコトノリ        またみことのり              また御言宣

 ムヘナルヤ クシヒコナンチ  むへなるや くしひこなんち    「むべなるや     クシヒコ 汝

 ミマコヨリ ヲコヌシカミノ  みまこより をこぬしかみの    御孫より      ヲコヌシ尊の
                                 (ニニキネ)         大地主

 タマフナモ マタタラスワレ  たまふも またたらわれ    賜ふ名も      まだ足らず 我

 フタカミノ タマフサカホコ  ふたかみの たまふさかほこ    二尊の       賜ふ逆矛

 サイワヒニ ソノキオヱレハ  さいわひに そのゑれは    幸ひに       その気を得れば

 ユツルナリ          ゆつるなり            譲るなり」
  
       ウマレスナオニ        うまれすなおに              「生れ素直に

 ヤマトチノ ヲシヱニカナフ  やまとちの をしゑかなふ    和道の       教えに適ふ

 スヘラキノ ヤヱカキノヲキ  すへらきの やゑかきのをき    '皇の        ヤヱガキ' の翁

 タマフナモ ヤマトヲヲコノ  たまふなも やまとををこの    賜ふ名も      ヤマトヲヲコの
                                               皇籠 の

 ミタマカミ          みたまかみ            ミタマ尊」
                                  御霊尊
  
  
       トキニクシヒコ        ときくしひこ              時にクシヒコ

 オソレフシ シハシコタエス  おそれふし しはしこたえ    畏れ伏し      しばし応えず

 モノノヘラ サウケタマエト  もののへ うけたまえと    モノノベら     「さ、受け給え」 と

 ススムレト マタウナタルオ  すすむれと またうなたるお    進むれど      またうなだるを

 コヤネマタ ナフカオソレソ  こやねまた ふかおそれ    コヤネまた      「な深畏れそ

 ウケタマエ ワレワカケレト  うけたまえ われわかけれと    受け給え      我 若けれど

 コモリトハ ヨヨムツマシク  こもりとは よよむつましく    コモリとは     よよ睦じく

 キミノタメ ナカコヒトツニ  きみため なかこひとつに    君のため      中子一つに

 マメナサン トキニクシヒコ  まめなさ ときにくしひこ    忠なさん」       時にクシヒコ

 ウヤマイテ ウケイタタケハ  うやまいて うけいたたけは    敬ひて       受け頂けば
                                            拝領すれば
  
 キミハマタ フトタマカクニ  きみはまた ふとたまかくに    君はまた      フトタマカグに
                                               (カグヤマ)

 ミコトノリ マコテルヒコノ  みことのり まこてるひこの    御言宣       「孫テルヒコの

 ハネノオミ フトタマハヨヨ  はねのおみ ふとたまはよよ    羽の臣       フトタマはよよ

 マツリトレ マタカクヤマハ  まつりとれ またかくやまは    祭 執れ       またカグヤマは
                               (陽陰の纏り)

 モノヌシヨ ムソノモノノヘ  ものぬしよ むそもののへ    モノヌシよ     六十のモノノベ

 ツカサトリ タミオヲサメヨ  つかさとり たみをさめよ    司り        民を治めよ」
  
  
 トキニマタ コヤネコモリニ  ときまた こやねこもりに    時にまた      コヤネ・コモリに

 ミコトノリ イマキヨヒトノ  みことのり いまきよひとの    御言宣       「今 キヨヒトの
                                           (改めて)

 ハネノオミ コヤネハヨヨノ  はねのおみ こやねはよよの    羽の臣       コヤネはよよの

 マツリトレ コモリハヨヨノ  まつりとれ こもりはよよの    祭 執れ        コモリはよよの

 モノヌシソ トモニマモリテ  ものぬしそ ともまもりて    モノヌシぞ     共に守りて

 タミオタセ          たみおたせ            民を治せ」
  
       マタスヘマコニ        またすへまこに              また皇孫に
                                            (テルヒコ)
                                            (キヨヒコ)

 ミコトノリ ナンチラマツリ  みことのり なんちまつり    御言宣       「汝ら纏り  

 オコタラス ホツマナルトキ  おこたら ほつまなるとき    怠らず       ほつま成る時

 ヤタヤスフラン        やたやすふらん          ヤタ安ぶらん」
                                   (民)
  
  
 クシヒコハ ヤマトヤマヘニ  くしひこは やまとやまへに    クシヒコは     大和山辺に

 トノツクリ ヨオカンカエハ  とのつくり かんかえは    殿造り        節を考えば

 トシステニ ソフヨロヤチモ  としすてに そふよろやちも    歳すでに       十二万八千百

 キワアレハ ノチノマモリハ  きわあれは のちまもりは    際あれば       後の守りは
                                               (忠)

 トヨケノリ          とよけのり            トヨケ法
  
       タマノヲイレテ        たまのをいれて              「霊の結入れて   
                                             精魂を添えて

 スヘラキノ ヨヨマモランハ  すへらきの よよまもらは    皇の        よよ守らんは

 アメノミチ          あめのみち            和の道
  
       ミモロノヤマニ        みもろのやまに              ミモロの山に

 ホラホリテ アマノサカホコ  ほらほりて あまのさかほこ    洞掘りて       和の逆矛

 サケナカラ イリテシツカニ  さけなから いりしつかに    放けながら     入りて静かに
                                 曝け出したまま

 トキオマツ          ときまつ            時を待つ
                             (和の道が衰えて再興を要する時)  →ホ27ホ32ホ33
  
       スクナルヌシオ        すくなるぬしお              直ぐなる主を

 ミワケント スクナシルシノ  みわけと すくしるしの    見分けんと     直ぐな印の

 スキウユル          すきうゆる            杉 植ゆる      
  
       ヲコノミタマノ        をこのみたまの              皇籠の御霊の

 カミハモト ヒノワワケミノ  かみもと ひのわわけみの    尊は本       日輪分身の
                                    (親)        (アマテル)

 コトノリモ アメニツクトテ  ことのりも あめにつくとて    言宣も       「上に継ぐ」 とて
                                           末は本に継ぐもの  <オオモノヌシは>

 コモリカミ ソエモノノヘハ  こもりかみ そえもののへは    コモリ尊      副モノノベは

 トマミナリ コトシロヌシハ  とまみなり ことしろぬしは    トマミなり     コトシロヌシは

 ツミハナリ ニニキネミコノ  つみはなり ににきねみこの    ツミハなり     ニニキネ御子の

 マモリナリケリ        まもりなりけり          守りなりけり

  

  

 

  

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