【原文カタカナ訳】 【語義考察】 【漢字読み下し】
ニハリミヤノリサタムアヤ にはりみやのりさたむあや ニハリ宮法定む文
フソムスス ソナヱフソミホ ふそむすす そなゑふそみほ 二十六鈴 十七枝二十三穂 ヤヨハツヒ キヨヒトミコノ やよはつひ きよひとみこの 三月初日 キヨヒト御子の (ニニキネ) ミコトノリ みことのり 御言宣
オオモノヌシカ おおものぬしか 「オオモノヌシが クシヒコの ヲヤノクニ イツモヤエカキ をやのくに いつもやえかき 親の国 イヅモ八重垣 親の国出雲は オホナムチが ノリヲサム ソノモトノリハ のりをさむ そのもとのりは 和り治む その基範は 和の道に治めたが サキカミノ イサオシナレハ さきかみの いさおしなれは 先守の 功なれば (ソサノヲ) →ホ9 和の道もて民和ぐ
ワレモコト タテントヨモオ われもこと たてんとよもお 我も殊 立てんと四方を (=功) メクルウチ ヨキノオヱタリ めくるうち よきのおゑたり 巡る内 良き野を得たり ココニヰテ タオヒラカント ここにゐて たおひらかんと ここに居て 治を開かんと
マツタツル ナモニハリミヤ まつたつる なもにはりみや まず立つる 名もニハリ宮
フトマニニ ミヤツクリノリ ふとまにに みやつくりのり フトマニに 宮造り法 (言霊・語呂合せ) サタメヨト オオモノヌシニ さためよと おおものぬしに 定めよ」 と オオモノヌシに ミコトノリ みことのり 御言宣
モノヌシウケテ ものぬしうけて モノヌシ受けて ノリサタム マツソマオシテ のりさたむ まつそまおして 法定む まず杣人をして キオキルハ キヤヱノヒヨシ きおきるは きやゑのひよし 木を切るは キヤヱの日良し 切ゆ-上 テオノソメ ておのそめ 手斧初め
ネシヱイシスヱ ねしゑいしすゑ ネシヱ 居し据え 寝す-上 ハシラタテ ナカスミハシラ はしらたて なかすみはしら 柱立て 中・隅柱 中柱と隅柱の位置にて ミナミムキ キタヒカシニシ みなみむき きたひかしにし 南向き 北・東・西 南向きの 北・東・西の四辺形とすべく
メクリタツ シマカラフカト めくりたつ しまからふかと 巡り立つ 締・枯生門 順に立てる 門と正門の位置は
ナカスミニ ヨリテサタムル なかすみに よりてさたむる 中・隅(柱)に よりて定むる
ムネアケハ ツアヱニイハヒ むねあけは つあゑにいはひ 棟上げは ツアヱに祝ひ 立ふ-上 アカコワヰ ソミカシハアメ あかこわゐ そみかしはあめ 赤こわ飯 十三膳 陽陰 13膳を陽陰の源の ヒトツキト ヤカシハアモト ひとつきと やかしはあもと 日と月と 八膳 天元 日と十二の月へ 8膳を天元の八神へと ムネニスヱ モチミモムソム むねにすゑ もちみもむそむ 棟に据え 餅三百六十六 <またそこに> <と> ユミヤソエ ゆみやそえ 弓矢添え 破魔弓矢を添える (天の弓矢・地の弓矢)
ハシラニマツル はしらにまつる 柱に纏る 柱に供えるのは ヰクラノヰ トシノリタマメ ゐくらのゐ としのりたまめ 五クラの五 年宣りタマメ 五クラの神への五膳 <と> ムワタノナ むわたのな 六ワタの七 六ワタの神への七膳
ミナヒトヨミキ みなひとよみき 皆 一夜酒 皆で一夜の酒宴の後に サイオフル ムネトハシラネ さいおふる むねとはしらね 鉏を振る 棟と柱根 鋤を振るい <には> (「幸をめぐらす」のまじない)
ツチオウツ つちおうつ 槌を打つ 槌を交ふ=培ふ (槌打の儀)
トキニタクミハ ときにたくみは 時に匠は ムノタミメ ソノノトコトハ むのたみめ そののとことは 'ム' のタミメ その宣言は
アメツチノ ヒラクムロヤノ あめつちの ひらくむろやの 『天地の 開く 室屋の 陽陰が 分れて生む カミアレハ ヱヤハヨワカレ かみあれは ゑやはよわかれ 神あれば えやは弱かれ どうして弱かろう ヌシハナカカレ ぬしはなかかれ 主は永かれ』 その主は永かろう
カクミタヒ ノトシテモチオ かくみたひ のとしてもちお かく三度 宣して餅を ナケチラス なけちらす 投げ散らす (散餅銭の儀)
サキニミヤハニ さきにみやはに 先に宮場に オコロアリ モチウコニニテ おころあり もちうこににて オコロあり モチウコに似て (土竜) ホノホハク タミラオソレテ ほのほはく たみらおそれて 炎吐く 民ら恐れて コレツケル これつける これ告げる
モノヌシトエハ ものぬしとえは モノヌシ問えば コタエイフ カクツチタツオ こたえいふ かくつちたつお 応え言ふ 「カグツチ 竜を ハニヤスニ ヨロコウマセト はにやすに よろこうませと ハニヤスに 万子生ませど タツナラス アナニウレフル たつならす あなにうれふる 竜 成らず 穴に憂ふる <地中の> ネカワクハ ヒトナシタマエ ねかわくは ひとなしたまえ 願わくは 人なし給え」
モノヌシカ モフセハミマコ ものぬしか もふせはみまこ モノヌシが 申せば御孫 ミコトノリ みことのり 御言宣
ナンチウケヘシ なんちうけへし 「汝 受けべし アメノカミ ヤマサオウミテ あめのかみ やまさおうみて 陽陰の守 八将を生みて (=日夜見神) ミカマモリ みかまもり 竈 守り
オフカンツミハ おふかんつみは 穢ふ神潰は (=桃) ハニシキテ マツルヤツクリ はにしきて まつるやつくり 埴 清きて 纏る社造り シコメナシ ヱトノイクシマ しこめなし ゑとのいくしま 鬼霊 済し 兄弟のイクシマ タルシマト カミナタマエハ たるしまと かみなたまえは タルシマと 尊名賜えば モリモナシ もりもなし 守もなし
ワカニイハリノ わかにいはりの 我が新張りの アラヤタツ ナカツハシラノ あらやたつ なかつはしらの あら屋建つ 中つ柱の ネオカカエ マタヨトコロノ ねおかかえ またよところの 根を抱え また四所の また竈・門・井・庭の モリモカネ トモニマモレヨ もりもかね ともにまもれよ 守も兼ね 共に守れよ
ハルカマト コタソコニアリ はるかまと こたそこにあり 春 竈 九尺底にあり (地底) サオムキテ キマクラニフセ さおむきて きまくらにふせ 南を向きて 東枕に伏せ (命令形) ナツハカト ミタソコニアリ なつはかと みたそこにあり 夏は門 三尺底にあり ネニムキテ ツマクラニフセ ねにむきて つまくらにふせ 北に向きて 西枕に伏せ アキハヰト ナタソコニアリ あきはゐと なたそこにあり 秋は井所 七尺底にあり キニムキテ サマクラニフセ きにむきて さまくらにふせ 東に向きて 南枕に伏せ フユニワト ヒタソコニアリ ふゆにわと ひたそこにあり 冬 庭所 一尺底にあり ツニムキテ ネマクラニフセ つにむきて ねまくらにふせ 西に向きて 北枕に伏せ (原文) サ
ハラセクヒ アシニシタカフ はらせくひ あしにしたかふ 腹・背・頭 足に従ふ 連なる イシスヱニ シキマストコオ いしすゑに しきますとこお 居し据えに 敷き座す床を 地の清めに 宮殿が敷き座す土台を イカスレト オコロノカミト いかすれと おころのかみと いかすれ」 と オコロの守と 掻き回して浚えと ナオタマフ ヨヨイカスリテ なおたまふ よよいかすりて 名を賜ふ よよいかすりて アラヤモルカナ あらやもるかな あら屋守るかな
ミツカキオ トシヨツニワケ みつかきお としよつにわけ 瑞垣を 年四つに分け 365÷4≒92日 トハトフカ ヒカタニコカト とはとふか ひかたにこかと 十端十二日 一方に九門 =10日×8+12日 東西南北の一方に9門 ニカマタラ ヒフミニシルス にかまたら ひふみにしるす 和・曲・斑 日文に記す 吉・凶・半を
サノキヨリ アカツキノアハ さのきより あかつきのあは 南の東より 暁の天は (時計回り) ニノタカラ クラヤメノアハ にのたから くらやめのあは 和の宝 暗闇の天は カニヤメル ヒワカレノアハ かにやめる ひわかれのあは 曲に病める 日別れの天は カノハナレ ヒノイテノアハ かのはなれ ひのいてのあは 曲の離れ 日の出の天は ニノイハヒ ハナヤカノアハ にのいはひ はなやかのあは 和の祝 華やかの天は ニノミヤト テリアレノアハ にのみやと てりあれのあは 和のみやと 照り粗れの天は (照り雨) ナカオヒエ カニナスノアハ なかおひえ かになすのあは 半怯え 曲和なすの天は カニソコネ アキラカノアハ かにそこね あきらかのあは 曲に損ね 明らかの天は ニノヨロシ ホシテルノアハ にのよろし ほしてるのあは 和の寄ろし 星照るの天は ニノヒカリ サノコカトコレ にのひかり さのこかとこれ 和の光 南の九門これ
ツハサヨリ アキラカノアハ つはさより あきらかのあは 西は南より 明らかの天は ニノヨロシ クラヤメノアハ にのよろし くらやめのあは 和のよろし 暗闇の天は カニヤメル カノフルノアハ かにやめる かのふるのあは 曲に病める 光の振るの天は ニミタカラ アカツキノアハ にみたから あかつきのあは 和み宝 暁の天は ニノタカラ アカルキノアハ にのたから あかるきのあは 和の宝 明るきの天は ニノイノチ アケホノノアハ にのいのち あけほののあは 和の命 曙の天は コノタカラ マツクラノアハ このたから まつくらのあは コノ宝 真暗の天は カノウレヒ ヒルノヒノアハ かのうれひ ひるのひのあは 曲の憂ひ 昼延びの天は ニニミツル ツコモリノアハ ににみつる つこもりのあは 和に満つる 晦の天は カニキユル ツノコカトコレ かにきゆる つのこかとこれ 曲に消ゆる 西の九門これ
ネハツヨリ メクルヒノアハ ねはつより めくるひのあは 北は西より 恵る陽の天は ニモメクル アカルキノアハ にもめくる あかるきのあは 和も巡る 明るきの天は ニノイノチ ハナヤカノアハ にのいのち はなやかのあは 和の命 華やかの天は ニノミヤト ミナルヒノアハ にのみやと みなるひのあは 和のみやと 見慣る日の天は ナカミナル クラヤメノアハ なかみなる くらやめのあは 中実成る 暗闇の天は カニヤメル オホロヨノアハ かにやめる おほろよのあは 曲に病める 朧夜の天は ナカクラシ トマヨイノアハ なかくらし とまよいのあは 半暗し 戸迷いの天は カニクルシ アラハルノアハ かにくるし あらはるのあは 曲に苦し 顕るの天は ニノナアク ヒカハクノアハ にのなあく ひかはくのあは 和の名上ぐ 干乾くの天は カノトカメ ネノコカトコレ かのとかめ ねのこかとこれ 曲の咎め 北の九門これ
キハネヨリ サカエルノアハ きはねより さかえるのあは 東は北より 栄えるの天は (「栄ふ」の連体形) ニノサカエ ヒオツルノアハ にのさかえ ひおつるのあは 和の栄え 日落つるの天は カニオトル ノトヤカノアハ かにおとる のとやかのあは 曲に劣る 和やかの天は ニニヤスシ アヤウキノアハ ににやすし あやうきのあは 和に安し 肖うきの天は カニアヤフ ナレヤフノアハ かにあやふ なれやふのあは 曲に肖ぶ 均れやふの天は ニニモナル タソカレノアハ ににもなる たそかれのあは 和にもなる たそがれの天は カニヤフル テリオレノアハ かにやふる てりおれのあは 曲に敗る 照り降れの天は マタラヱタ アヒノテノアハ またらゑた あひのてのあは 斑枝 相の出の天は (陽陰) ニノタラチ アキラカノアハ にのたらち あきらかのあは 和の父母 明らかの天は ニノヨロシ キノコカトコレ にのよろし きのこかとこれ 和のよろし 東の九門これ
キツヲサネ ヲハウチオモル きつをさね をはうちおもる 東・西・央・南・北 央は内を守る 央(皇)は垣の内を治む
トコタチノ コノトシノリノ とこたちの このとしのりの トコタチの 子の年宣りの (天九の神) タマメカミ ヰクラムワタオ たまめかみ ゐくらむわたお タマメ神 五クラ六ワタを キツヲサネ・アミヤシナウ ウミアケル アメヨリクタス うみあける あめよりくたす 生み上げる 陽陰より下す ヒヨミカミ フタカミコレニ ひよみかみ ふたかみこれに 日夜見神 二尊これに ヤマサナス やまさなす ヤマサ和す
アメノミマコハ あめのみまこは 陽陰の御孫は ニイハリノ カトノタカヤニ にいはりの かとのたかやに 新張りの 門の高屋に ヤマサカミ マツルハタミノ やまさかみ まつるはたみの ヤマサ神 纏るは 「民の カラフシマ ワカクシマトト からふしま わかくしまとと 枯生締 我がクシマドと
トヨマトト ツネニマモリテ とよまとと つねにまもりて トヨマドと 常に守りて トリオカフ タミノカラカレ とりおかふ たみのからかれ 鳥を飼ふ 民の乾枯れ (庭鳥) アラシナト あらしなと あらじなと」
ヲサカオコレハ をさかおこれは 「長が驕れば タミツカル ツカレテワサモ たみつかる つかれてわさも 民 疲る "疲れて業も カラカレト ウツタフトキニ からかれと うつたふときに 乾枯れ" と 訴ふ時に イマシメテ クニオタサネハ いましめて くにおたさねは 戒めて 国を治さねば タミココロ アメニトトキテ たみこころ あめにとときて 民心 天に届きて
キミカカト ヤマサノカミカ きみかかと やまさのかみか 君が門 ヤマサの神が <に纏る> シルユエニ ココロクルシム しるゆえに こころくるしむ 知る故に 心苦しむ <民の> ソノトキハ トモニミタルル そのときは ともにみたるる その時は 共に乱るる トリノトキ とりのとき 鳥の閧 コケコッコー
ミタレイタメハ みたれいためは 乱れ傷めば <鳥の鬨が> ヒトモシル フトマニミレハ ひともしる ふとまにみれは 人も知る フトマニ見れば (君) ケタオシル ツウシヨコヘオ けたおしる つうしよこへお 方を知る ツウジ・ヨコベを (方角) ツカワシテ タミオミタラハ つかわして たみおみたらは 遣わして 民を乱らば 民を乱しているなら ソノツカサ アラタメカエテ そのつかさ あらためかえて その司 改め替えて カレオトク ユエカラフナル かれおとく ゆえからふなる 枯れを解く 故 "枯生" 成る」 →23文
ニワトリハ カオウケナキテ にわとりは かおうけなきて 「庭鳥は 殻を受け鳴きて 米の殻を受けて喜び ツアカヱス コヌカオコエハ つあかゑす こぬかおこえは 果分得ず 小糠を乞えば 実の部分は食わない コカコフト ナクハスナオヤ こかこふと なくはすなおや "コカコフ" と 鳴くは素直や クタクレハ クタカケナクソ くたくれは くたかけなくそ 果 呉れば くたかけ鳴くぞ 実を与えば けたたましく鳴くぞ
カラスタモ ヨキイオウケテ からすたも よきいおうけて カラスだも 良き魚受けて ヨロコヘリ ウレヘハウレフ よろこへり うれへはうれふ 喜べり 憂へば熟れふ 飢えば強まる オノカカオ ツケスユラスハ おのかかお つけすゆらすは 己が渇を 告げず揺らすは (渇望) 告げずに留めるのは カラスナリ からすなり カラスなり」
トリヨリサキニ とりよりさきに 「鳥より先に シルカミノ シマハトリヰソ しるかみの しまはとりゐそ 知る神の 占は鳥居ぞ (ヤマサ神) (=門)
コレカミノ ミコニヲシヱテ これかみの みこにをしゑて これ尊の 御子に教えて (二尊) ヤマサに指導して イタワリオ シラネハカミハ いたわりお しらねはかみは いたわりを 知らねば尊は トリヰヌソ ホツマオナメテ とりゐぬそ ほつまおなめて 鳥・犬ぞ ほつまを並めて 鳥・犬とかわらぬが 二尊の和の心を写して トリヰナリケル とりゐなりける 鳥居 成りける」 鳥居は造られたのである
サノミカト ハシラハミソキ さのみかと はしらはみそき 南の御門 柱は三十寸 (=枯生門) (太さ) ハハミタケ タカサモミタケ ははみたけ たかさもみたけ 幅三丈 高さも三丈 ケタノウエ ムタハトシカス けたのうえ むたはとしかす 桁の上 六尺は年数 貫の上部分の柱の長さ 60寸はヱト1巡の年数 フトサツキ ふとさつき 太さ 月 貫の太さは月の12寸
マルケタトモニ まるけたともに 円・方ともに ヤツクリノ モトハトコタチ やつくりの もとはとこたち 屋造りの 基はトコタチ ムテムスヒ ムロヤツクリテ むてむすひ むろやつくりて 'ム手' 結び 室屋造りて タミオウム ノチヤテムスヒ たみおうむ のちやてむすひ 民を埋む 後 'ヤ手' 結び ヤシロナル やしろなる 社 成る
コレニイマスル これにいまする これにいまする (連なる) イマノミヤ オオクンヌシノ いまのみや おおくんぬしの 今の宮 央国主の (クシヒコ) カンカエハ キハサカシマニ かんかえは きはさかしまに 考えは 木は逆しまに カシラシタ カレムネオモテ かしらした かれむねおもて 頭 下 故 棟を以て ヤネトナス フクハヤネネソ やねとなす ふくはやねねそ 屋根となす 葺くは "やね" 根ぞ (屋の根) 覆うのは屋の棟だが これは実は根ぞ
モシハシラ ツカハシモツケ もしはしら つかはしもつけ もし柱 継がば下継げ カミハネソ ネハタチツカス かみはねそ ねはたちつかす 上は根ぞ 根は立ち継がず 上は源ぞ 源には手を加えず ムノヲシテ ノキヨリムネニ むのをして のきよりむねに 'ム'のヲシテ 軒より棟に (=タミメ) テオアワス ムツキネトナス ておあわす むつきねとなす 手を合わす ム継ぎネと和す
ムナキモシ スエハツクヘシ むなきもし すえはつくへし 棟木模し 末は継ぐべし 棟木も同じ ネハツカス ハリノネハフユ ねはつかす はりのねはふゆ 根は継がず 張りの根は冬 芽張る春の根は冬
ウツキスエ スエハツクヘシ うつきすえ すえはつくへし 鬱き 末 末は継ぐべし 伸び栄るのは末枝 ネニツクナ ねにつくな 根に継ぐな
ヒサシハオオヒ ひさしはおおひ 日挿しは覆ひ (窓) キサニサセ シトミハトミノ きさにさせ しとみはとみの 刻にさせ 蔀は臣の 斜めに トノヲシヱ トホルオミルソ とのをしゑ とほるおみるそ 調の教え 通るを見るぞ
ホノシツメ トノアケタテニ ほのしつめ とのあけたてに 火の鎮め 戸の開け閉てに スレアエハ シタオシキヰト すれあえは したおしきゐと 擦れ合えば 下を鴫居と ウエカモヰ うえかもゐ 上 鴨居 <となす>
シキハタノトリ しきはたのとり 鴫は田の鳥 トハウシホ ナルトノヒヒキ とはうしほ なるとのひひき 戸は潮 鳴る戸の響き 戸の開閉は潮の干満に同じ 開閉に鳴る戸の響きは ウシホナル ウエニカモフネ うしほなる うえにかもふね 潮なる 上に鴨船 潮となる 潮の上には鴨船が浮く
ミツトリノ ホノシツメナス みつとりの ほのしつめなす 水鳥の 火の鎮めなす シキカモヰ ココニタツタノ しきかもゐ ここにたつたの 鴫鴨居 ここにタツタの カミヰマス かみゐます 神 結ます
カツヤマイリハ かつやまいりは かつ山入りは ツヱサヱソ キヲノフハイム つゑさゑそ きをのふはいむ ツヱ・サヱぞ キ・ヲの二は斎む 西-上 南-上 東(木) 央 ヱトニソム アメアカルヒハ ゑとにそむ あめあかるひは ヱトに染む 陽陰明る日は その年のヱトに沿って 陽陰が調和する日は ヨロツヨシ ヤツクリハコレ よろつよし やつくりはこれ 万事良し 屋造りはこれ
トキニキミ ヲコヌシカミト ときにきみ をこぬしかみと 時に君 ヲコヌシ尊と (大国主) ナオタマフ ハシラナモコレ なおたまふ はしらなもこれ 名を賜ふ 柱名もこれ 大国柱=大黒柱
ミヤツクリ フキイラカマテ みやつくり ふきいらかまて 宮造り 葺き甍まで ミナナリテ ミマコニニキネ みななりて みまこににきね みな成りて 御孫ニニキネ ツクハヨリ ウツリマスヒハ つくはより うつりますひは ツクバより 移ります日は ヲコヌシノ フソヰモノノヘ をこぬしの ふそゐもののへ ヲコヌシの 二十五モノノベ カシハナス カスカモロトモ かしはなす かすかもろとも 膳なす カスガ諸共 (門出の祝) ノリソヒテ ミマコノミユキ のりそひて みまこのみゆき 乗り添ひて 御孫の御幸 <馬に> マモリユク まもりゆく 守り行く
コノヒアスカノ このひあすかの この日アスカの ミヤシロト フトタマオシテ みやしろと ふとたまおして 宮代人 フトタマをして イワワシム いわわしむ 祝わしむ
キミヨオコメテ きみよおこめて 君 夜を込めて トサトキテ ニハリワタリハ とさときて にはりわたりは 十里来て ニハリ渡りは カキクモリ ハタタカミナリ かきくもり はたたかみなり 掻き曇り ハタタ神 鳴り カキヤフル かきやふる 垣 破る
ヲコヌシイワク をこぬしいわく ヲコヌシ曰く ワタマシオ タミモイハフニ わたましお たみもいはふに 「渡座を 民も祝ふに ナサケナト ハハヤオイレハ なさけなと ははやおいれは 情けな」 と ハハ矢を射れば シナトヘニ フキハラフトキ しなとへに ふきはらふとき シナトベに 吹き払ふ時 ウツロヰがシナトベをして <その隙に> チオムカヒ トモニイリマス ちおむかひ ともにいります 道を向かひ 共に入ります
ミアエスミ ヲコヌシカキノ みあえすみ をこぬしかきの 御饗済み ヲコヌシ垣の ヤレオツク ミコノタマフハ やれおつく みこのたまふは 破れを告ぐ 御子 宣給ふは ユミノコト アレトノチタメ ゆみのこと あれとのちため 「由の如 あれど後ため
理由の如何にもよるが、アマテル神の孫を ハタタ神が拒んだ事実は重く、後のために ステラレス すてられす 棄てられず」
カスカニノレハ かすかにのれは カスガに宣れば フトマニノ アコケハシワサ ふとまにの あこけはしわさ 「フトマニの "アコケ" は仕業 ウツヲカミ トキミコトノリ うつをかみ ときみことのり ウツヲ神」 時 御言宣 ウツヲカミ ヤシロトサシテ うつをかみ やしろとさして ウツヲ神 社 閉ざして <の> アメニツク あめにつく 陽陰に告ぐ (アマテル)
アノミコトノリ あのみことのり 上の御言宣 ナサケナキ ヤシロヒシケト なさけなき やしろひしけと 「情なき 社 拉げ」 と トキミマコ シルシササケテ ときみまこ しるしささけて 時 御孫 記 捧げて ノチオコフ アメハタアシク のちおこふ あめはたあしく 後を乞ふ 陽陰 はた悪しく (反応) ユルサレス ゆるされす 許されず
マタネカワクハ またねかわくは また願わくは ウツヲカミ タトヒヒトタヒ うつをかみ たとひひとたひ 「ウツヲ神 たとひ一度 コトミタレ サラニアランヤ ことみたれ さらにあらんや 事乱れ 更にあらんや <とも> オオナムチ ヒトタヒオチテ おおなむち ひとたひおちて オオナムチ 一度落ちて ヒスミキミ ソノコモノヌシ ひすみきみ そのこものぬし 日隅君 その子モノヌシ (クシヒコ) マメオナス コレニハニスモ まめおなす これにはにすも 忠をなす これには似ずも この例は適切でないかもしれないが ウツヲマタ ノチコトタテン うつをまた のちことたてん ウツヲまた 後 殊立てん ユルシタマエヤ ゆるしたまえや 許し給えや」
ヲヲンカミ ユルスミコトハ ををんかみ ゆるすみことは 大御神 許す御言は ヱトノスエ ヤナヰカクロヒ ゑとのすえ やなゐかくろひ 「ヱトの副 "柳隠ろひ" ヱトの補完 ウツロモリ キネノヒトキオ うつろもり きねのひときお 空守り 東北の一木を 空白を補い
ヰヤシロニセヨ ゐやしろにせよ 居代にせよ」
ヲヲコヌシ ミマコニモフス ををこぬし みまこにもふす ヲヲコヌシ 御孫に申す ワカヲヤノ ヒスミノキミハ わかをやの ひすみのきみは 「我が親の 日隅の君は ヨロコハシ ウツヲモカミノ よろこはし うつをもかみの 喜ばし」 ウツヲも 「神の ヨロコヒト コエハミコトソ よろこひと こえはみことそ 喜び」 と 悔えば御言ぞ
ナルカミノ ヌシキネマモリ なるかみの ぬしきねまもり 「鳴神の 主 東北守 ウツロヰノ ヲマサキミトソ うつろゐの をまさきみとそ ウツロヰの ヲマサ君」 とぞ トシノリニ ヤシロタマワル としのりに やしろたまわる 年宣りに 居代賜わる (持ち場)
ミツカキオ ナオスタクミラ みつかきお なおすたくみら 瑞垣を 直す匠ら ウツロヰノ ヤシロキアレハ うつろゐの やしろきあれは ウツロヰの 居代木あれば (東北の一柳) オソルルオ ヲコヌシホカノ おそるるお をこぬしほかの 恐るるを ヲコヌシ他の キニウツシ ツクロヒナリテ きにうつし つくろひなりて 木に移し 繕ひ成りて マタモトス コレカリウツシ またもとす これかりうつし また戻す これ仮移し サワリナシ さわりなし 障り無し
マタウツロヰノ またうつろゐの またウツロヰの ヤマサモリ ヱトノホニヨリ やまさもり ゑとのほにより ヤマサ守 ヱトの補により ヱトの60日✕6環に 余る5日を補うため ツキマモル シカレトアラヤ つきまもる しかれとあらや 償ぎ守る 然れど主屋 ツクルトキ ツヨクトカムル つくるとき つよくとかむる 造る時 強く咎むる コレニヨリ マタヲコヌシニ これにより またをこぬしに これにより またヲコヌシに トワシムル とわしむる 問わしむる
ヲコヌシイワク をこぬしいわく ヲコヌシ曰く ナンチマタ タミノアラヤオ なんちまた たみのあらやお 「汝また 民の主屋を トカムルヤ ウツロヰコタエ とかむるや うつろゐこたえ 咎むるや」 ウツロヰ答え ヲタフセス ニワヤケカレオ をたふせす にわやけかれお 「穢泥伏せず 庭屋穢れを ワレニタス ユエニトカムル われにたす ゆえにとかむる 我に出す 故に咎むる」 (空中にばらまく)
ヲコヌシカ モフセハミコト をこぬしか もふせはみこと ヲコヌシが 申せば御言 コレナンチ モリハナルルオ これなんち もりはなるるお 「これ汝 守 離るるを <ヤマサの> ワレコフテ マタモリトナス われこふて またもりとなす 我 乞ふて また守となす ワカタミオ ユエナクトカム わかたみお ゆえなくとかむ 我が民を 故なく咎む タミハタオ コヤシソロウユ たみはたお こやしそろうゆ 民は田を 肥やしソロ植ゆ ナンチシレ コワオニワトス なんちしれ こわおにわとす 汝 知れ 堅地を熟地とす カレニワヤ シラテケカルヤ かれにわや しらてけかるや 故 "熟地屋" 知らで穢るや
コレニヨリ アヱヨリヤヱノ これにより あゑよりやゑの これにより アヱよりヤヱの ナカヰツカ モリオハナレテ なかゐつか もりおはなれて 中五日 守を離れて <東北の> アソヒユケ コノマヰツカニ あそひゆけ このまゐつかに 遊び行け この間五日に ヤツクリス コレモナンチカ やつくりす これもなんちか 屋造りす これも汝が ナノホマレ イナハホトント なのほまれ いなはほとんと 名の誉れ 去なばほとんど (移ろい) ウツロヰノ モリヤハナレン うつろゐの もりやはなれん ウツロヰの 守り屋 果なれん」 (東北方面の屋)(完成せん)
コレニヨリ タミオサマリテ これにより たみおさまりて これにより 民 治まりて ムヨロトシ ツクハノミヤニ むよろとし つくはのみやに 六万年 ツクバの宮に ウツリマス マタムヨロトシ うつります またむよろとし 移ります また六万年 フタアレノ ヰツノカミトテ ふたあれの ゐつのかみとて 再生れの 逸の尊とて ムヨロトシ ヘテマタモトノ むよろとし へてまたもとの 六万年 経てまた元の ニハリミヤ ヰツヲヲカミノ にはりみや ゐつををかみの ニハリ宮 逸大尊の コトオオイカナ ことおおいかな 殊 大いかな
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