【(和つ・綯つ・懐つ・成つ・平つ)・撫づ】
A: 合う/合わす。似す。懐く。慕う。慈しむ。在る/現す。収(治)まる/収(治)める。平る/平らす。直る/直す。
『あかひこくわに ひくいとお なつめかおりて うふきぬの みはたてまつる』ホ4 『いなたひめ これもはまんと たらちねは てなてあしなて いたむとき』ホ9 『ちちのはるあき たみおなて このやさかにの まかるたま』ホ11 『わらんへいねて おそわれは おのこおのこと たなこなて』ホ18 『をにふにいたり みこいたき みめみてなてて はははいま』ホ26 |
変態:「なす(生す・為す)」「にす(似す)」「のす(載す)」「あつ(当つ)」「たす(治す)」「たつ(建つ)」「まつ(待つ)」「わす(座す)」
派生語:「なつく(懐く)」「なつち(懐治)」「なつらふ(擬ふ)」「なつむ(泥む)」「なと(等)」「なつ(薺)」
【(傾つ・斜つ・捻づ)】【(退つ)】
B: 離れる/離す。放つ。払う。発す。そる/そらす。曲る/曲げる。
変態:「ぬす(盗す)」「ねつ(捩づ・捻づ)」「あす(褪す)」「たつ(断つ・起つ・発つ)」「はす(発す)」「わす(忘す)」
派生語:「なち(斜・那智)」「なたる(傾る)」「なた(斜)」「なんた(斜)」「はなつ(放つ)」
【(擦つ・済つ)・撫づ】
C:
回る/回す。行き来する/させる。流れる。伝わる。返す。改まる/改める。直る/直す。巡らす。恵む。
『いなたひめ これもはまんと たらちねは てなてあしなて いたむとき』ホ9 『こもりはひめの いきすみて ちはらおなてて ゑみすかほ』ホ16 |
変態:「なす(擦す・済す)」
派生語:「なちる(詰る)」「なつ(薺)」「かなて(奏で)」「なんた(涙)」「なたる(傾る)」
【(灘つ・熟つ・延つ・成つ)】
D:
正の方向に離れる/離す。「上がる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・中心にある・至る」
変態:「なす(成す)」「ねす(熱す)」「のす(伸す)」「たつ(立つ)」「はす(馳す)」「ます(増す)」「まつ(全つ)」「やす(養す)」
派生語:「なつ(夏)」「なんた(灘)」
【(萎つ・退つ・傾つ・崩つ)】
E:
負の方向に離れる/離す。「下がる・勢いを失う・劣る・縮小する・静まる・隅にある・果てる」
変態:「たつ(絶つ)」「はつ(恥づ)」「まつ(拙つ・貧つ)」「やす(痩す)」
派生語:「ひなつ(鄙つ)」
【夏・(灘)】
高まり。盛り。 4〜6月。
『きははるわかは なつあおは あきにゑもみち ふゆおちは』ホ1 『ふそゐすす こそみゑとしの さあゑなつ かくゑしほみて』ホ10 『なつはかと みたそこにあり ねにむきて つまくらにふせ』ホ21 『はるはかま こたそこにあれ なつはかと みたそこにあれ』ホ22 『なつはぬさ うみてぬのをり ふゆはゆき よりてゆふをり』ホ23 |
●<地名> 灘。 =なた
『おほのたけもろ きのうなて ものへなつはな このみたり』ホ38 |
「なつ(灘つ・熟つ)」の名詞化。
ここでは「D:
正の方向(大・多・太・高・前・熟・明・沸)に離れる」で、「高まる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・中心にある・至る」などの意。
変態:「あつ(暑)」「なた(灘)」「なな(熟・灘)」「ねつ(熱)」「にた(熟)」
【薺】
治す草。
『こけうはこへら いたひらこ すすなすすしろ すせりなつ このななくさに』ホ192 |
「なつ(和つ)」の名詞化。
ここでは「A: 合わす・治める・調える・直す」などの意。
変態:「なす(薺)」
10/06/11
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