【原文カタカナ訳】      【語義考察】           【漢字読み下し】
 
  マーカー部は原文に記されているヲシテ。
 これらを誤写と見て、改修を施した上で解釈しています。
 
 ヒノカミノミツミナノアヤ   ひのかみみつみなあや     日の神の瑞御名の文
  
 モロカミノ カミハカリナス  もろかみの かみはかりなす    諸守の       守諮りなす

 タカマニテ オオモノヌシカ  たかまにて おおものぬしか    タカマにて     オオモノヌシが

 ヒノカミノ ヰミナノアヤオ  ひのかみの ゐみなあやお    日の神の      斎名の謂を
                                 (アマテル)

 モロニトフ オオヤマスミノ  もろとふ おおやますみの    諸に問ふ      オオヤマスミの

 コタエニハ ミヲヤノシルス  こたえには みをやしるす    応えには      「御祖の記す

 ウタニアリ モロカミコエハ  うたあり もろかみこえは    歌にあり」      諸守乞えば

 ヤマスミカ ツツシミイワク  やますみか つつしみいわく    ヤマスミが     謹み曰く
  
  
 ムカシコノ クニトコタチノ  むかしこの くにとこたちの    昔この        クニトコタチの

 ヤクタリコ キクサオツトノ  やくたりこ きくさつとの    八下り子      木草を苞の
                                        <の一人は>    [起種]
 
 ホツマクニ          ほつまくに            ホツマ国
                                      <に下る>
        ヒカシハルカニ        かしはるか              東遥かに
                                            さらに東には

 ナミタカク タチノホルヒノ  なみたかく たちのほるの    波高く        立ち上る日の
                                 (勢いよく)

 ヒタカミヤ          ひたかみや            ヒタカミ   →ホ2
                                  (日高み)
  
       タカミムスヒト        たかみむすひ              タカミムスビと
                                    <そのヒタカミの>        <共に>

 クニスヘテ トコヨノハナオ  くにすへて とこよのはなお    国統べて       トコヨの木を
                                             (橘)

 ハラミヤマ カクヤマトナス  はらみやま かくやまなす    ハラミ山      香山となす
                                        <に植え>
  
  
                              <ヒタカミでは>
 ヰモツキノ マサカキモウヱ  ゐもつきの まさかきうゑ    五百継ぎの     真榊も植え

 ヨヨウケテ ヲサムヰツヨノ  よようけて をさむゐつの    代々受けて     治む五代の

 ミムスヒノ ヰミナタマキネ  みむすひの ゐみなたまきね    ミムスビの     斎名タマキネ

 モトアケオ ウツス      もとあけお うつす        元明を       写す
 
          タカマニ           たかま                タカマに
                                              ヒタカミの都に

 アメミヲヤ モトモトアナミ  あめみをや もともとあなみ    アメミヲヤ      元々天並

 ミソフカミ マツレハタミノ  みそふかみ まつれたみの    三十二神      纏れば "廻みの
                                                 鄙辺の

 トヨケカミ          とよけかみ            トヨケ尊"
  
       ヒカシノキミト        ひかしのきみ              東の君と

 ミチウケテ オオナヱコトモ  みちうけて おおなゑことも    道 受けて      大嘗事も

 マサカキノ ムヨロニツキテ  まさかきの むよろつきて    真榊の       六万に継ぎて
 ウヱツキハ フソヒノススノ  うゑつきは ふそひすすの    植え継ぎは     二十一のの

 トシステニ モフソヨロナチ  としすてに もふそよろなち    年すでに      百二十万七千
                                            (21鈴125枝)

 ヰモフソニ カンカミレトモ  ゐもふそに かんかみれとも    五百二十に     「鑑みれども
                                  (20穂)

 カンマコノ チヰモウシアル  かんまこの ちゐもうしある    尊孫の       千五百氏ある

 ソノナカニ アメノミチヱテ  そのなかに あめのみちて    その中に      和の道 得て

 ヒトクサノ ナケキオヤワス  ひとくさの なけきやわす    人草の       嘆きを和す

 カミアラス アラネハミチモ  かみあら あらみちも    あらず      あらねば道も
                                               (和の道)

 ツキンカト          つきかと            尽きんか」 と
  
       ナケクトヨケノ        なけくとよけ              嘆くトヨケの

 ハラミヤマ ノホリテミレト  はらみやま のほりみれと    ハラミ山      登りて見れど

 ヤシマナル ヨロマスタミモ  やしまなる よろますたみも    「八州生る      万・十万民も
                                     (に生れる)

 ウクメキテ ミチナラエヌモ  うくめきて みちならえぬも    蠢きて       道習えぬも

 コトワリト ヤハリナケキテ  ことわりと やはりなけきて    理」 と       やはり嘆きて
 
 ヒタカミノ ミヤニカエレハ  ひたかみの みやかえれは    ヒタカミの     宮に帰れば

 イサナミノ チチニモフシテ  いさなみの ちちもふして    イサナミの     父に申して
                                          (トヨケ)

 ヨツキコモ カナトオホセハ  よつきこも かなおほせは    「代嗣子も      がな」 と仰せば
 
 ウラナヒテ ツキカツラキノ  うらなひて つきかつらきの    占ひて       尽桂来の  

 イトリヤマ ヨツキヤシロノ  いとりやま よつきやしろの    霊鳥山       代嗣社の

 イロシテハ アメノミヲヤニ  いろしては あめのみをやに    色垂は       アメノミヲヤに

 イノラント トヨケミツカラ  いのらと とよけみつから    祈らんと      トヨケ自ら

 ミソキシテ ヤチクラチキリ  みそきて やちくらちきり    して       八千回契り

 ヌキンツル イツチカミノリ  ぬきんつる いつちかみのり    抜きんつる     厳霊 神祈り
                                   (現れ出る) 
 トホリテソ          とほりてそ            通りてぞ
 
       アメノミヲヤノ        あめのみをやの              アメノミヲヤの

 マナコヨリ モルルヒツキト  まなこより もるるひつきと    眼より       漏るる日月と

 アモトカミ ミソフノカミノ  あもとかみ みそふのかみの    天元神       三十二の神の

 マモルユエ コタネナルコト  まもるゆえ こたねなること    守る故       子種生ること

 オホヱマス          おほゑます            覚えます
  
       コノコロキミハ        このころきみは              この頃 木実は

 ハラミヤマ ノホリテイワク  はらみやま のほりいわく    ハラミ山      登りて曰く
                                  (孕み)

 モロトモニ クニクニメクリ  もろともに くにくにめくり    「諸共に       国々恵り

 タミオタシ ヒメミコウメト  たみたし ひめみこうめと    民を治し      姫御子生めど

 ツキコナク タノシナキトテ  つきこなく たのしなきとて    嗣子なく       楽しなき」 とて
 イケミツニ タノメオアラヒ  いけみつに たのめあらひ    池水に       左の目を洗ひ
                                 (子代池)        左の目の垢を濯ぎ →14文

 ヒルニノリ カノメオアラヒ  ひるのり かのめおあらひ    日霊に祈り     右の目を洗ひ
                                (太陽神霊)

 ツキニノリ          つきにのり            月に祈り
                                (太陰神霊)
  
       イシコリトメカ        いしこりとめ              イシコリトメが

 マスカカミ イツクリススム  ますかかみ いつくりすすむ    マス鏡       鋳造り進む

 イサナキハ アメオシラスル  いさなきは あめおしらする    イサナキは     陽陰を領らする

 ウツノコオ ウマンオモヒノ  うつのこお うまおもひの    現の子を      生まん思ひの

 マスカカミ マテニヒルツキ  ますかかみ まてひるつき    マス鏡       両手に霊・

 ナツラエテ カミナリイテン  なつらえて かみなりいて    なづらえて     神生り出でん
                                            日月の神霊が降誕する

 コトオコヒ クヒメクルマニ  ことこひ くひめくるに    事を乞ひ      首回る間に
                                           (山頂)

 アクリコフ          あくりこふ            あくり乞ふ
  
       カクヒオツミテ        かくひおつみ              かく日を積みて
                                          このような日々を重ねて

 ミタマイル カトハチリケノ  みたまいる かとちりけの    神霊入る       門は身柱の

 アヤトコロ オコナヒチカニ  あやところ おこなひに    あや所       行ひ千日に

 ナルコロハ シラハキソミテ  なるころは しらはきそみて    なる頃は      白脛染みて

 サクライロ          さくらいろ            桜色
  
       アルヒヲカミカ        あるひをかみか              ある日男が

 ヲヱトエハ ヒメノコタエハ  をゑとえは ひめこたえは    汚穢問えば      姫の答えは

 ツキノヲエ ナカレトトマリ  つきのをえ なかれととまり    「月の汚穢      流れ止まり

 ミカノノチ ミノキヨケレハ  のち きよけれは    三日の後      身の清ければ

 ヒマチスト ヲカミモヱミテ  ひまちと をかみもゑみて    日待ちす」 と    男尊も笑みて

 モロトモニ オカムヒノワノ  もろともに おかむひのわの    もろ共に      拝む日輪の

 トヒクタリ フタカミノマエ  とひくたり ふたかみまえ    飛び下り      二尊の前

 オチトトム オモワスイタク  おちととむ おもわいたく    落ち留む      思わず抱く

 ユメココチ          ゆめここち            夢心地
  
       サメテウルホヒ        さめうるほひ              覚めて潤ひ

 ココロヨク ミヤニカエレハ  こころよく みやかえれは    快く        宮に帰れば

 ヤマスミカ ササミキススム  やますみか ささみきすすむ    ヤマスミが     ささ酒進む
                                 (サクラウチ)

 カレヲカミ トコミキシルヤ  かれをかみ とこみきしるや    故 男尊       「とこ酒知るや」

 メノコタエ コトサカノヲカ  こたえ ことさかのをか    女の答え      「コトサカノヲが

 ミチキケハ トコミキハマツ  みちきけは とこみきはまつ    道 聞けば      とこ酒は先ず

 メカノミテ ノチヲニススム  めかのみて のちにすすむ    女が飲みて     後 男に進む

 トコイリノ メハコトアケス  とこいりの めはことあけ    床入りの      女は言挙げず

 ヲノヨソイ メカシリトツク  をのよそい めかしりとつく    男の装い      女が知りとつぐ

 シタツユオ スエハタカヒニ  したつゆお すえたかひに    垂液を       吸えば互ひに

 ウチトケテ タマシマカワノ  うちとけて たましまかわの    打ち融けて     玉島川の

 ウチミヤニ ヤトルコタネノ  うちみやに やとるこたねの    内宮に       宿る子種の

 トツキノリ コオトトノフル  とつきのり ととのふる    とつぎ法」      「子を調ふる
                                            (繁栄)

 トコミキハ クニウムミチノ  とこみきは くにうむみちの    融酒は       国生む道の
                                           (陽陰和る道)

 ヲシヱソト          をしゑそと            教えぞ」 と
  
       カクマシワリテ        かくましわりて              かく交わりて

 ハラメトモ トツキニウマス  はらめとも とつきうま    孕めども      十月に生まず

 トシツキオ フレトモヤハリ  としつきお ふれともやはり    年月を       経れどもやはり

 ヤメルカト ココロイタメテ  やめるかと こころいためて    病めるかと     心傷めて
                              (「病む」の連体形)

 コソムツキ ヤヤソナワリテ  こそむつき ややそなわりて    九十六月      やや備わりて

 アレマセル アマテルカミソ  あれませる あまてるかみそ    生れませる     アマテル神ぞ
                                 (「生れます」の連体形)
  
  

 フソヒスス モモフソヰヱタ  ふそひすす ももふそゐゑた    二十一      百二十五枝

 トシキシヱ ハツヒホノホノ  としきしゑ はつひほのほの    キシヱ      初日ほのぼの
                                     (31穂)       (元日)

 イツルトキ トモニアレマス  いつるとき ともあれます    出づる時      共に生れます

 ミカタチノ マトカノタマコ  みかたちの まとかたまこ    神形の       円の玉籠

 イフカシヤ          いふかしや            いぶかしや
  
       ウヲヤヲキナノ        うをやをきな              大老翁の

 ヤマスミカ コトホキウタフ  やますみか ことほきうたふ    ヤマスミが     寿ぎ歌ふ

 ムヘナルヤ ユキノヨロシモ  むへなるや ゆきのよろしも    「むべなるや     往きの宜しも

 ミヨツキモ ヨヨノサイワヒ  みよつきも よよさいわひ    御代嗣も      弥々の幸ひ
             [イ]

 ヒラケリト オホヨスカラニ  ひらけと おほよすからに    開けり」 と     覚よ優らに

 コトフクモ ミタヒニオヨフ  ことふくも みたひおよふ    寿くも       三度に及ぶ

 ユキヨロシ          ゆきよろし            往き宜し
  
       ヒトノトワシノ        ひととわし              人の問わしの

 コタヱニモ トヨケノカミノ  こたゑにも とよけかみの    答えにも      「トヨケの

 ヲシヱアリ サワルイソラノ  をしゑあり さわるいそらの    教えあり      障るイソラの

 ミソキニテ ヱナノカコミハ  みそきにて ゑなかこみは    にて       胞衣の囲みは
                                  (祓)

 オノコロノ タマコトナラハ  おのころの たまこならは    オノコロの     保籠と成らば

 ユキヨロシ          ゆきよろし            往き宜し」
  
       タマノイワトオ        たまのいわとお              「尊の結戸を

 ヒラケトテ イチヰノハナノ  ひらけとて いちゐのはなの    開らけ」 とて    一位の木の

 サクモチテ イマコソヒラク  さくもちて いまこそひらく    笏もちて        今こそ開く

 アマノトヤ          あまのとや            天地の戸
  
       イツルワカノ        いつるわかひ              出づる若日の
                                               [分日]

 カカヤキテ シラヤマヒメハ  かかやきて しらやまひめは    輝きて       シラヤマ姫は

 ウフユナス アカヒコクワニ  うふゆなす あかひこくわに    産湯成す       アカヒコ に

 ヒクイトオ ナツメカオリテ  ひくいとお なつめおりて    引く糸を      ナツメが織りて

 ウフキヌノ ミハタテマツル  うふきぬの みはたてまつる    生絹の       御衣奉る
  

 タラチメノ ツカレニチシル  たらちめの つかれちしる    タラチメの     疲れに乳汁

 ホソケレハ ホイヰノカミノ  ほそけれは ほいゐのかみの    細ければ      補飯の守の

 ミチツヒメ チチタテマツリ  みちつひめ ちちたてまつり    充ちつ姫      乳奉り

 ヒタスレト ヒトミオトチテ  ひたすれと ひとみとちて    養すれど      瞳を閉ぢて

 ツキヒナヤ          つきひなや            月日無や
                               (月と日のは放射されず)
  
       ヤヤハツアキノ        ややはつあきの              やや初秋の
                                             (7月)

 モチノヒニ ヒラクヒトミノ  もちのひに ひらくひとみの    望の日に      開く瞳の
                                  (15日)

 シホノメハ タミノテフチノ  しほのめは たみてふちの    初の目は      民の長ぢの

 ヨロコヒニ ツカレモキユル  よろこひに つかれきゆる    喜びに       疲れも消ゆる

 ミメクミヤ          みめくみや            御恵みや
  
       アメニタナヒク        あめたなひく              にたなびく

 シラクモノ カカルヤミネノ  しらくもの かかるやみねの    白雲の       掛かる八峰の

 フルアラレ ヤスミニコタマ  ふるあられ やすみこたま    降る霰        八隅に反響
     原文: 

 コノミツオ ヌノモテツクル  このみつお ぬのもてつくる    この瑞を      布もて造る

 ヤトヨハタ ヤスミニタテテ  やとよはた やすみたてて    八響幡       八隅に立てて
                                       <高御座の>

 キミトナル          きみなる            君となる
  
       クラヰノヤマノ        くらゐのやま              位の山の

 イチヰサク ヨニナカラヱテ  いちゐさく なからゑて    一位笏       世に永らえて

 サクモツハ カミノホスヱソ  さくもつは かみほすゑそ    笏持つは       尊の穂末ぞ
   
 オハヒメカ コヱネノクニニ  おはひめか こゑねのくにに    叔母姫が      還根の国に
                                 (白山姫)       [籠結根]

 ミハオリテ タテマツルトキ  みはおりて たてまつるとき    御衣織りて      奉る時

 ナクミコノ コヱキキトレハ  なくみこの こゑききとれは    泣く御子の     声 聞き取れば

 アナウレシ コレヨリモロカ  あなうれし これよりもろか    「あな嬉し」     これより諸が

 ナオコヒテ オハヨリトエハ  こひて おはよりとえは    名を乞ひて     叔母より問えば

 ウヒルキト ミツカラコタフ  うひるきと みつからこたふ    「ウヒルキ」 と    自ら答ふ
  

 ミコノコヱ キキキルトキハ  みこのこゑ きききるときは    御子の声      聞き切る時は

 オサナナノ ウハオオイナリ  おさななの おおいなり    幼名の       "ウ" は '大い'なり

 ヒハヒノワ ルハヒノチタマ  ひのわ はひのちたま    "ヒ" は陽の環    "ル" は日の精霊

 キハキネソ カレウヒルキノ  きねそ かれうひるきの    "キ" はキネぞ    故 大日霊貴の

 ミコトナリ キネハメヲトノ  みことなり きねはめをとの    尊なり       "キネ" は女男の

 ヲノキミソ フタカミオハオ  きみそ ふたかみおはお    男の君ぞ      二尊 叔母を

 タタヱマス キクキリヒメモ  たたゑます きくきりひめも    称えます      キクキリ姫も

 アナカシコカナ        あなかしこかな          「あな畏かな」
                                何と尊い御名でしょう!
  
 アカタマノ ワカヒルノルハ  あかたまの わかひるは    『天が球の      若日の霊は

 アオキタマ クレヒノミタマ  あおきたま くれひみたま    青き霊       暮日の神霊

 ヌハタマナリキ        ぬはたまなり          ぬば霊なりき』
  

 ヒサカタノ ヒカリアレマス  ひさかたの ひかりあれます    久方の       光 生れます

 ウイナメヱ アユキワスキニ  ういなめゑ あゆきわすきに    初嘗会        天ユキ地スキに
                                           天ユキと地スキの宮に

 ツケマツリ ミコヒタサント  つけまつり みこひたさと    付け纏り      御子養さんと

 フタカミノ ミココロツクス  ふたかみの みこころつくす    二尊の       実心つくす

 アマノハラ ソムホヰマスモ  あまのはら そむゐますも    アマのハラ     十六穂居ますも

 ヒトヒトソ オホスハメクミ  ひととそ おほすめくみ    一日とぞ      思すは恵み

 アツキナリ          あつきなり            篤きなり
  
       ムカシタマキネ        むかしたまきね              昔 タマキネ

 チカイシテ カツラキヤマノ  ちかいて かつらきやまの    誓いして      桂来山の

 ヤチミソキ スミテイトリノ  やちみそき すみいとりの    八千禊       済みて霊鳥の

 テクルマオ ツクリカツラノ  てくるまお つくりかつらの    出車を       造り の
                                              (尊)

 ムカヒトテ ハラミニツタフ  むかひとて はらみつたふ    迎ひとて      ハラミに伝ふ

 アルカタチ          あるかたち            ある形  
  
       フタカミユメノ        ふたかみゆめの              二尊 夢の

 ココチニテ アヒミタマエハ  ここちにて あひみたまえは    心地にて      会ひ見給えば

 トヨケニテ アメミコヒタス  とよけにて あめみこひたす    トヨケにて     陽陰神子 養す

 モノカタリ          ものかたり            物語り
  
       メステクルマオ        めすてくるま              召す出車を

 ヒタカミヱ ミユキノキミハ  ひたかみゑ みゆききみは    ヒタカミへ     御幸の君は

 ヤフサコシ オチツモハヘル  やふさこし おちつもはへる    八房輿       オチツモ侍る

 ケタコシモ ミナケタツホノ  けたこしも みなけたつほの    方輿も       みなケタツボの

 ヤマテミヤ          やまてみや            ヤマテ宮
  
       ミコノヒカリノ        みこひかり              神子の光の

 テリトホリ ヤモニコカネノ  てりとほり やもこかねの    照り通り      八方に黄金の

 ハナサケハ ヒノワカミヤノ  はなさけは ひのわかみやの    放さけば       日の若宮の

 ワカヒトト トヨケヰミナオ  わかひとと とよけゐみなお    "ワカヒト" と    トヨケ斎名を

 タテマツル          たてまつる            奉る
  
       フタカミオソレ        ふたかみおそれ              二尊畏れ

 ワカミヤニ ムヘソタテシト  わかみやに むへそたてと    「我が宮に      むべ育てじ」 と

 アメニアケ オキツノミヤニ  あめあけ おきつのみやに    に上げ      オキツの宮に
                                 (トヨケ)

 カエリマス          かえります            帰ります
  
       アメミコマナフ        あめみこまなふ              陽陰神子 学ぶ

 アメノミチ ヒトリハンヘル  あめのみち ひとりはんへる    陽陰の道       一人侍んべる

 フリマロハ ムヨヤソキネノ  ふりまろは やそきねの    フリマロは     六代ヤソキネの
                                        (六代タカミムスビ)

 ヨツキコソ タカミムスヒノ  よつきこそ たかみむすひの    代嗣子ぞ      タカミムスビの

 ヰツヨキミ ヒコトニノホル  ゐつきみ ひことのほる    五代君       日毎に上る
                                 (トヨケ)

 アマツミヤ          あまつみや            和つ宮
                                 (=ヤマテ宮)
  
       ワカヒトフカク        わかひとふかく              ワカヒト深く

 ミチオホス アルヒノトヒニ  みちほす あるひとひに    道を欲す      ある日の問ひに

 マコトナオ ヰミナトタタヱ  まことなお ゐみなたたゑ    「真名を       斎名と称え

 アネニミツ ワレハヨツナリ  あねみつ われよつなり    姉に三つ       我は四つなり
                                (ヒルコ)      (ワカヒト)

 コレイカン          これいかん            これ如何ん」
  
       タマキネイワク        たまきねいわく              タマキネ曰く

 ヰミナニハ タラニヨツキニ  ゐみなには たらよつきに    「斎名には      親に代嗣に

 ナトノリト アワセヨツナリ  のりと あわせよつなり    名とノリと     合せ四つなり
  

 アマツキミ ヨリマテオ  あまつきみ よりまてお    和つ君       ヒよりトまでを
                                           (一)  (十)

 ツクスユヱ ヒトニノリマス  つくすゆゑ ひとのります    尽す故       "ヒト" に乗ります

 キネトヒコ ウシモノリナリ  きねひこ うしのりなり    "キネ" と "ヒコ"  "ウシ" もノリなり
  

 メハノラス フタヲヤフタツ  はのら ふたをやふたつ    女は乗らず     二親二つ

 ヲニウケテ コオウムユエニ  うけて うむゆえに    男に受けて     子を生む故に

 ナニコヒメ マタコナニヒメ  なにひめ またこなにひめ    "何子姫"      また "子何姫"

 ナニオトモ オナニトモツク  なにとも おなにともつく    "何小" とも     "小何" とも付く
  

 メノナミツ ヲノナノリヨツ  めのなみつ をのなのりよつ    女の名三つ      男の名・ノリ四つ

 タタヱナハ イクラモツケヨ  たたゑなは いくらもつけよ    称え名は      幾らも付けよ

 ヰミナトハ シムニトホレハ  ゐみなとは しむとほれは    斎名とは      シムに通れば

 マコトナルカナ        まことなるかな          真なるかな」
   
   

 

   

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