かた  カタ  kata

  

【(鍛・活・糧)・葛・蔓・鬘・荷田】
正の方向に離れるさま。「高まる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・勝る・至る」さま

『これなんち あれかたかみの つかひなり あにもとむるに たらんやと』ホ40

 ●葛(くず・かずら・かつら)。 繁茂・繁栄。豊穣。糧。

『あめにつくれは ををんかみ たまふかたすす わらひなわ』ホ8
『もろゆるさねは かたのかみ ななたひちかふ のりこちに』
ホ8
『うけのみたまと うけもちも かたのかみなり』ホ8
『これおみすちの ことのねそ かたちははなと くすのはお かたかきとうつ』ホ9
『ひなまつり をしゑていたる かたのうら あわしまかみそ』ホ9

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 ●<地名・人名> 荷田 (=花山野葛野)。またその地を治む者。荷田(糧)の守。=カタマロ

かたかあちこは ねのおしも』ホ6
『ときにあまてる みことのり うけもちのまこ かたまろに くにみてかえれ』ホ8
『なもみつきつね みそみよろ たまたちせんお かたかこふ』ホ8
『もろゆるさねは かたのかみ ななたひちかふ のりこちに』ホ8
『くにさつち うむうけもちの やよのまこ いまのかたなり』ホ15

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 ●<地名> =かたきかつきかつらき (葛城)

『きみゑのしはす かたしほの うきあなみやこ きみとはつ ぬなそひめたつ』ホ31

 
かつ(活つ・勝つ)」の名詞化。
ここでは「D: 正の方向(大・多・太・高・前・熟・明・沸)に離れる」で、「高まる・勢い付く・栄る・熟成する・優れる・勝る・至る」などの意。

変態:「くつ(葛)」「かつ(葛)」かと(角・葛)」「こせ(巨勢・居勢・古瀬・御所)」「くす(葛・国栖)」「かて(糧)
類語:
かつら(葛・蔓・桂)」「かつらき(葛城)」「くちら(鯨)」
派生語:「かたすす(葛末々)」「かたかき(葛掻き)」「かたのうら(加太の浦)

  
 

【形・型】
凝縮。固化。物質化。現象。具象。具現。具体。
●現れ。表れ。さま。様子。
●(本質の)現れ。象徴。=ものさね(物実)
●固定のもの。合わすもの。則るもの。模範。モデル。

『このひなかたの をはかむり うおそてはかま めはこそて うはかつきなり』ホ2
『まえうしろ みたれてなかる わかはちお のちのおきての うらかたそ』ホ7
『ひめはゆけやに かくしいれ すさはやすみの ひめすかたホ9
『やなきあやなる はなかたは ゑかきまのりに あてうつし』ホ23
『そとかはま いとうやすかた かみのみけ はむうとうあり』ホ28

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かつ(和つ・交つ)」の名詞化。
ここでは「A: 合う・在る・現る・凝る」などの意。

変態:「かつ(形)」「かせ(形)」「こと(如・言・事)
類語:「かたち(形)」「すかた(姿)」「さま(様)」「もの(物)
派生語:「うらかた(占形)

  
 

【方・割・県】【傾・偏・片】
1.分割したもの。区分。区画。方法。階級。(360度・地・一日を)分割したもの。

ひさかたの あめかしたしる わかきみの よよにつたはる かんむりは』ホ序
『はたれまうはひ あらそえり みかたはふきお たきいふす』ホ8
『くまとかえれは をさかたに うゆるそのあき やつかほの』ホ15
『なもあかかたの とよくんぬ よよをさむれと としおへて』ホ15
『またやのたみめ やしろなる いまみやとのに たみおたす やつはやかたそ』ホ17

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2.傾くさま。偏るさま。バランスしないさま。中央にないさま。

『のにかたあふみ とらかしは ひろひかんかえ あふみさし』ホ39

 ●(中央に対して) 隅・端・鄙・地方。

『あまてるかみの ひたかみの かたたけみやの なかはしら けたつほのふみ』ホ24

 
かつ(離つ・割つ)」の名詞化。
ここでは「B: 離れる/離す・分く・限る
傾く・偏る」などの意。

変態:「けた(方)」「くち(口)」「きた(方・割・段)
類語:「あかた(県)
て(手)
派生語:「かたいなか(片田舎)」「かたふち(片打ち/片淵)」「すかた(直県・菅田)

 
 

【交】
合わせ。交わり。交差。組み合わせ。

『めなしかたあみ かもにいれ うたふたつけて きみものせ』ホ25

 
かつ(交つ)」の名詞化。
ここでは「A: 合わす・交える・組む・編む」などの意。

変態:「かて(糅)」「かち(搗ち)」

 
 

【固・難・堅・硬】
1.詰まるさま。締まるさま。凝るさま。固まるさま。

かたしおとりて さかなのり おなしみちして みやにいる』ホ11
『とよみもの ものぬしかみの つねのはそ もにはかたおりホ23
『こよみもの むらしあたひら つねのはそ もはこのかたはホ23

2.(外からの作用を)放つ・払う・避けるさま。困難なさま。

『きみまちかたに わかきける おすひのすそに つきたたなんよ』ホ40

3.正の方向に離れるさま。「高まる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・勝る・至る」さま

 
かつ(交つ/離つ/勝つ)」の名詞化。
ここでは
A: 合う・まとまる・収まる」、裏を返して「B: 離れる/離す・放つ・払う」、また結果的に「D: 正の方向(大・多・太・高・前・熟・明・沸)に離れる」で、「高まる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・勝る・至る」などの意。

変態:「かな(金・要)」「きた(鍛)」「きつ(屹)」「ごつ」
派生語:「かたしお(堅塩)」「かたし(固し・硬し・難し)

 
 

【潟】
負の方向に離れるさま。 果て。端。際限。岸。

『あめつちも のとけきときに あまてらす かみのみゆきの ふたみかたホ15

 
かつ(朽つ)」の名詞形。
ここでは「E: 負の方向(小・少・細・低・後・粗・暗・静)に離れる」で、「下がる・勢いを失う・劣る・縮小する・静まる・隅にある・果てる」などの意。

類語:「うら(浦)」「はま(浜)すみ(隅)」「すえ(末)」「しも(下)」「うと(鵜戸)」「きり(限)」「きし(岸)

  
 

【(曲/朽)】
1.反り。曲り。ねじけ。異変。異常。ガタが来ているさま。
2.負の方向に離れるさま。衰退。衰弱。穢れ。汚穢。

かたにわふんて けちらして いつのおたけに なしりとふ』ホ7
『ゆみつきのよは ゐのみつに ぬえあしもちか かたをゑお』ミ7

 
かつ(曲つ/朽つ)」の名詞形で、"ガタが来る" の「ガタ」に同じ。
ここでは「B: 離れる・反る・それる・曲る」、「E: 負の方向(小・少・細・低・後・粗・暗・静)に離れる」で、「下がる・勢いを失う・劣る・縮小する・沈む・隅にある・果てる」などの意。

変態:「かさ(曲・瘡)」「くさ(腐)くち(朽ち)」「くた(朽・腐・芥)」「かす(滓)」「くす(屑)」「くそ(糞)」
派生語:「ガタ落ち」

 
 

【(搗)・片】
返し。戻し。
帰還。送還。片付け。決着。

かたおかむろの たきしみこ おりにひるねの ゆかにふす』ホ31

かつ(搗つ)」の名詞化。
ここでは「C: 回る/回す・還る/還す・帰還する・送る」などの意。

関連語:「かたす(片す)」
類語:「ひら(翻)

  

10/09/02

  

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