【(模)・物・者】<代名詞>
〜に匹敵・相当する何か。〜の如き何か。
『いまめさるれは そのめくみ あめにかえりの もふてもの』ホ序 『みやとのつくり おおやまと よろものうみて』ホ2 『もろかみの たかまにまつり はかるのち つはものぬしか』ホ3 『とよけにて あめみこひたす ものかたり』ホ4 『けものにおとる つみひとそ さしめささくる ゆかりにて』ホ7 |
● 〜の如くであるさま。 一般的な傾向を表す。
『これつよし きみはやさしく やわらかに ませはかかえて ととむものかな』ホ13 『あたはしるとき のりおつそ かねてをしゑは かなふもの』ホ191 『ひとつらぬきの たつなひく あるしのままと なるものそ』ホ191 『ときほこふらは すみやかに とほらんものと つるきなす』ホ23 『しかのちは ひるおかみぬり さかいきに あたらしものと かたりたまひき』ホ39 |
●君に近い者。君の使い。君の代り。もののへ。 =しか(如・然)
『おおものぬしか ひのかみの ゐみなのあやお もろにとふ』ホ4 『もろかみの かみはかりして ものぬしか まくらことはの ゆゑおとふ』ホ5 『たけみかつちは なるかみに たけものぬしの かふつちと』ホ8 『またみかつちは かしまたち いつおあらはす もののへの』ホ10 『あかうらお ふなこつかさに あかまろと あかほしものお そえかこに』ホ20 『なみはかしはの ものやから みなころしゑて ふそやほの』ホ38 |
●「ものぬし」の略。
『おおたおは ひうかかんとの そえものと なしてむすめの みらひめお』ホ28 |
●形は見えないが存在する何か。モノ。霊。魔。特に神に対して比較的低級な霊。 精霊。もののけ。
『あるまうかかふ おゑものお はらふはうたの こゑあまる』ホ1 『むかつひめより さをしかに うけものいのり よみかえす』ホ7 『はたれのものの うくめきて さはいのこゑの おそろしく』ホ8 『みちものま しむにあつけて もろかえりけり』ホ8 『たかのには はけものいてて いふきぬし みやおたつれは しつまるに』ホ8 |
「もぬ(模ぬ)」の名詞化で、「もぬ」は「まぬ(真似)」の変態。
ここでは「A:
合う・似る・匹敵する」の意。
つまり「もの」は「〜に匹敵・相当する何か」「〜の如き何か」を意味し、代名詞として使われる。「こと(如・事)」と同じ。
10/03/19
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