※29文〜40文は、地名については原義と異なると思われる場合でも、現在一般に使用されている漢字で表記しています。
【原文カタカナ訳】 【語義考察】 【漢字読み下し】
ホツマウチツスウタノアヤ ほつまうちつすうたのあや ホツマ打ち 連歌の文 マキムキノ ヒシロノヨソホ まきむきの ひしろのよそほ 纏向の 日代の四十年 (アスズ827年サウヱ) セミナツキ ホツマサワケハ せみなつき ほつまさわけは 六月 ホツマ騒げば (東方) サカオリノ タケヒノホリテ さかおりの たけひのほりて サカオリの タケヒ上りて (諏訪サカオリ) ミカリコフ みかりこふ 巡幸り乞ふ
キミモロアツメ きみもろあつめ 君 諸集め ノタマワク ホツマノヱミシ のたまわく ほつまのゑみし 宣給わく 「ホツマのヱミシ カスメルト タレヒトヤリテ かすめると たれひとやりて 掠めると 誰人遣りて ムケナンヤ モロヒトイワス むけなんや もろひといわす 平けなんや」 諸人言わず ヤマトタケ サキニハトミラ やまとたけ さきにはとみら ヤマトタケ 「さきには臣ら ニシオウツ ヒカシオウツハ にしおうつ ひかしおうつは 西を討つ 東を討つは モチヒトソ もちひとそ モチヒトぞ」
トキニオホウス ときにおほうす 時にオホウス ワナナキテ ノニカクルルオ わななきて のにかくるるお わななきて 野に隠るるを (都を逃れ美濃に) ヨヒメシテ キミセメイワク よひめして きみせめいわく 呼び召して 君 責め曰く イマシアニ シイテヤランヤ いましあに しいてやらんや 「汝あに 強いて遣らんや オソルルノ アマリトミノオ おそるるの あまりとみのお 恐るるの あまり」 と美濃を マモラシム まもらしむ 守らしむ
トキヤマトタケ ときやまとたけ 時 ヤマトタケ オタケヒテ ニシムケマナク おたけひて にしむけまなく お猛びて 「西平け 間無く マタヒカシ イツカオヨハン またひかし いつかおよはん また東 何時及ばん タトエトミ イタワルトテモ たとえとみ いたわるとても たとえ臣 労るとても ムケサラン むけさらん 平けざらん」 (反語)
トキニスヘラキ ときにすへらき 時に皇 ホコオモチ ワレキクヱミシ ほこおもち われきくゑみし 矛を持ち 「我聞くヱミシ ムネシノキ アレオサモナク むねしのき あれおさもなく 宗凌ぎ 粗長も無く ムラキミラ アヒオカシエル むらきみら あひおかしえる 村君ら 相侵し彫る
ヤマアラシ カタマシモノヤ やまあらし かたましものや 山荒らし 奸まし者や チマタカミ ナカニヱミシラ ちまたかみ なかにゑみしら 岐守 中にヱミシら メヲマセテ シムミチカケテ めをませて しむみちかけて 陰陽交ぜて 神道欠けて 陰と陽を混同し アナニスミ ケシシオハミテ あなにすみ けししおはみて 穴に住み 穢肉を食みて ケコロモキ けころもき 穢衣 着
メクミワスレテ めくみわすれて 恵み忘れて (恩) アタオナシ ユミモヨクイル あたおなし ゆみもよくいる 仇をなし 弓も良く射る タチマイモ タクイアツメテ たちまいも たくいあつめて 立舞も 類 集めて カクレンホ ノヤマオハシル かくれんほ のやまおはしる かくれんぼ 野山を走る ワサオエテ アマナルミチニ わさおえて あまなるみちに 技を得て 陽陰和る道に マツロハス まつろはす 服わず」
イマワレオモフ いまわれおもふ 「今 我思ふ イマシコソ スカタキラシク いましこそ すかたきらしく 汝こそ 姿 煌しく モモチカラ ユクニサワラス ももちから ゆくにさわらす 百力 行くに障らず セメハカツ スナハチシレリ せめはかつ すなはちしれり 攻めば勝つ すなわち知れり ミハワカコ マコトハカミノ みはわかこ まことはかみの 身は我が子 まことは神の
ワレクラク ムケサルミヨオ われくらく むけさるみよお 我暗く 平けざる世を ツカシメテ タエサラシムル つかしめて たえさらしむる 継がしめて 絶えざらしむる ナンチコソ アメカシタシル なんちこそ あめかしたしる 汝こそ 天が下領る クラヒナリ くらひなり 位なり
フカクハカリテ ふかくはかりて 深く謀りて イツニフセ メクミニナツケ いつにふせ めくみになつけ 稜威に伏せ 恵みに懐け ホツマナシ カタマシモノオ ほつまなし かたましものお ほつま為し 奸まし者を カンツヨニ マツロハセヨト かんつよに まつろはせよと 上つ結に 服わせよ」 と サツケマス さつけます 授けます
ミホコオウクル みほこおうくる 御矛を受くる (征夷大将軍の璽) ヤマトタケ ムカシミタマノ やまとたけ むかしみたまの ヤマトタケ 「昔 御霊の フユニヨリ クマソオムケヌ ふゆにより くまそおむけぬ 振ゆにより クマソを平けぬ イマモマタ ミタマニヨリテ いまもまた みたまによりて 今もまた 御霊に寄りて フユオカリ アタノサカイニ ふゆおかり あたのさかいに 振ゆを借り 仇の境に ユキノソミ マツロハサラハ ゆきのそみ まつろはさらは 行き臨み 服わざらば ウツヘシト うつへしと 討つべし」 と
オカミテキヒノ おかみてきひの 拝みて吉備の タケヒコト オオトモタケヒ たけひこと おおともたけひ タケヒコと オオトモタケヒ (吉備武彦) (大伴武日) シタカエリ ナナツカハキオ したかえり ななつかはきお 従えり ナナツカハギを (他下二) (七掬脛) カシハテト かしはてと 膳出と
カナツキフカニ かなつきふかに 十月二日に カトテシテ ミチオヨコキリ かとてして みちおよこきり 門出して 道を横切り (東海道) ナカイセノ カミニイノリテ なかいせの かみにいのりて 七日妹背の 神に祈りて イソノミヤ ヤマトヒメニモ いそのみや やまとひめにも イソの宮 ヤマト姫にも イトマコヒ キミノオオセニ いとまこひ きみのおおせに 暇乞ひ 「君の仰せに アタウチニ マカルトアレハ あたうちに まかるとあれは 仇討ちに まかる」 とあれば ヤマトヒメ ニシキフクロト やまとひめ にしきふくろと ヤマト姫 錦袋と ツルキモチ ヲミコニイワク つるきもち をみこにいわく 剣持ち 親王に曰く
アメミマコ ソメシヒミツノ あめみまこ そめしひみつの 「陽陰御孫 染めし火水の (ニニキネ) ヲンハラヒ ヒミツノサワリ をんはらひ ひみつのさわり 御祓 火水の障り (陽陰) ハラフヘシ ムカシイツモノ はらふへし むかしいつもの 祓ふべし 昔 出雲の クニヒラク ムラクモツルキ くにひらく むらくもつるき 国開く ムラクモ剣 コレナルソ ツツシミウケテ これなるそ つつしみうけて これなるぞ 謹み受けて アタムケヨ ナオコタリソト あたむけよ なおこたりそと 仇平けよ な怠りそ」 と サツケマス さつけます 授けます
サキニタシマカ さきにたしまか さきにタジマが (田道間守) ノコシフミ クニソマサレハ のこしふみ くにそまされは 遺し文 「国 染まざれば 東国に馴染が無いので カクノキオ ヱントオモエハ かくのきお ゑんとおもえは 橘の木を 得んと思えば タチハナノ モトヒコカヤニ たちはなの もとひこかやに 橘の モトヒコが舎に トシフリテ ナシミテメクル としふりて なしみてめくる 年経りて 馴染みて巡る ヒタカミト シマツノキミニ ひたかみと しまつのきみに ヒタカミと シマツの君に (ミチノク) (ミチヒコ) アヒシリテ ヤヤヱテカクオ あひしりて ややゑてかくお 会ひ知りて やや得て橘を ヒカヌマニ キミカミトナル ひかぬまに きみかみとなる 引かぬ間に 君 神となる (垂仁)
チチクヤミ イマワカミヤニ ちちくやみ いまわかみやに 散々悔み 今 若宮に (景行) タテマツル キミヤツカレカ たてまつる きみやつかれか 奉る 君 僕が モトヒコニ ムスフシツクノ もとひこに むすふしつくの モトヒコに 結ぶしづくの (よしみ) ミナモトオ オホシテホツマ みなもとお おほしてほつま 源を 思してホツマ 橘君が同盟した理由 シロシメセ しろしめせ 領ろし召せ」
ココニスヘラキ ここにすへらき ここに皇 タケウチト カタリアワセテ たけうちと かたりあわせて タケウチと 語り合わせて ホツマクニ カクモトヒコオ ほつまくに かくもとひこお ホツマ国 橘モトヒコを <の> ミニナシテ タチハナヒメト みになして たちはなひめと 身になして タチハナ姫と 味方につけて (弟橘姫) ホツミテシ サクラネマシオ ほつみてし さくらねましお ホツミテシ サクラネマシを サキニヤリ イクサクタレハ さきにやり いくさくたれは 先に遣り 軍下れば <都より> ヒタカミカ マネクモトヒコ ひたかみか まねくもとひこ ヒタカミが 招くモトヒコ (=ヱミシ) <寝返りを> ウナツカス サカムノオノニ うなつかす さかむのおのに 頷かず 相模の小野に シロカマエ テシトマシラト しろかまえ てしとましらと 城 構え テシとマシらと モリカタム もりかたむ 守り固む
ヱミシノヤカラ ゑみしのやから ヱミシの輩 セメノホル スソノニテアフ せめのほる すそのにてあふ 迫め上る 裾野に出会ふ ヤマトタケ ヱソラアサムキ やまとたけ ゑそらあさむき ヤマトタケ ヱゾら欺き ノノシカカ イキキリタチテ ののしかか いききりたちて 「野の鹿が 活き鑽り立ちて (=熱り立つ) フミシタク シモトユヒシテ ふみしたく しもとゆひして 踏みしだく 楉結ひして ミチオシル ノソミメクリテ みちおしる のそみめくりて 道を知る のぞみ回りて 鹿の通った道が判るので カリタマエ キミハケニトヤ かりたまえ きみはけにとや 狩り給え」 君は 「実に」 とや <鹿を> (と言い) ユキモトム ゆきもとむ 行き回む
アタノオヤキテ あたのおやきて 仇 野を焼きて アサムケハ シリテキリヒノ あさむけは しりてきりひの 欺けば 知りて鑽火の ムカヒヒニ ヒミツノハラヒ むかひひに ひみつのはらひ 向ひ火に 火水の祓 ミタヒノル コチフキカワリ みたひのる こちふきかわり 三度宣る 東風 吹き変り ニシケムリ アタニオフエハ にしけむり あたにおふえは 西煙 仇に覆えば クサオナク モエクサトヒテ くさおなく もえくさとひて 草を薙ぐ 燃え草飛びて アタイクサ ヤキホロホセハ あたいくさ やきほろほせは 仇軍 焼き滅ぼせば ヤケツノヤ ツルキノナオモ やけつのや つるきのなおも "焼つ野" や 剣の名をも クサナキト アシカラヤマニ くさなきと あしからやまに "草薙" と 足柄山に [腐退き]
セメイタル せめいたる 迫め到る
サカムノオノノ さかむのおのの 相模の小野の シロセメオ カタクマモレハ しろせめお かたくまもれは 城攻めを 固く守れば アタヤカラ ヨモニタキキオ あたやから よもにたききお 仇輩 四方に焚木を ツミアケテ ナソカヒテリニ つみあけて なそかひてりに 積み上げて 七十日 日照りに ヒセメナス カワキモユレハ ひせめなす かわきもゆれは 火攻めなす 乾き燃ゆれば
ヤマトタケ ヤクラノタケニ やまとたけ やくらのたけに ヤマトタケ 矢倉の岳に ノホリミテ キヒタケヒコオ のほりみて きひたけひこお 登り見て キビタケヒコを オオイソエ オオトモタケヒ おおいそえ おおともたけひ 大磯へ オオトモタケヒ オオヤマノ キタニメクリテ おおやまの きたにめくりて 大山の 北に回りて シロニイレ サネニワカチテ しろにいれ さねにわかちて 城に入れ 南北に分ちて
ヤマトタケ カミスキキヨメ やまとたけ かみすききよめ ヤマトタケ 髪梳き清め シラカシノ タチオハラミノ しらかしの たちおはらみの 白橿の 太刀をハラミの ミハシラト イノルヒミツノ みはしらと いのるひみつの 神柱と 祈る火水の (御神体) キヨハラヒ きよはらひ 清祓
タツタノカミノ たつたのかみの タツタの神の アラワレテ コノシロヰケノ あらわれて このしろゐけの 現れて コノシロ池の タツノアメ フリヒオケセハ たつのあめ ふりひおけせは 竜の雨 降り火を消せば ミヤイクサ イサミテアタオ みやいくさ いさみてあたお 宮軍 勇みて仇を ナカハウツ なかはうつ 半ば討つ
ミナニケチレハ みなにけちれは みな逃げ散れば トキオアケ ムカヒイルトキ ときおあけ むかひいるとき 閧を上げ 迎ひ入る時 オトヒメハ キミノテオトリ おとひめは きみのておとり オト姫は 君の手を取り (弟橘姫) ヤスンセテ ヤツカレハシメ やすんせて やつかれはしめ 安んぜて 「僕はじめ オノオノカ マサニヤケンオ おのおのか まさにやけんお 各々が まさに焼けんを イノリマシ イマサイワヒニ いのりまし いまさいわひに 祈りまし 今 幸ひに オカムトテ ヨロコヒナンタ おかむとて よろこひなんた 拝む」 とて 喜び涙 (嬉し涙) ソテヒタス そてひたす 袖浸す
ココニモトヒコ ここにもとひこ ここにモトヒコ モロニフレ マツロハサレハ もろにふれ まつろはされは 諸に触れ 「服ろはざれば <ヱミシは> コロスユエ オオンタカラカ ころすゆえ おおんたからか 殺すゆえ 大御宝が <人民を> ミカリコフ コトハシメトテ みかりこふ ことはしめとて 巡幸り請ふ」 事始めとて <その> シハスヤカ カクカコタテテ しはすやか かくかこたてて 十二月八日 橘籠立てて シルシトス しるしとす 標とす
トキヤマトタケ ときやまとたけ 時 ヤマトタケ オオイソオ カツサエワタス おおいそお かつさえわたす 皇軍を 上総へ渡す イクサフネ タタヨフカセオ いくさふね たたよふかせお 軍船 漂ふ風を シツメント オトタチハナハ しつめんと おとたちはなは 静めんと オトタチバナは ヘニノホリ アメツチイノリ へにのほり あめつちいのり 舳に上り 天地祈り
ワカキミノ イツオヤマトニ わかきみの いつおやまとに 「我が君の 稜威をヤマトに タテントス ワレキミノタメ たてんとす われきみのため 立てんとす 我 君のため タツトナリ フネマモラント たつとなり ふねまもらんと 竜となり 船 守らん」 と ウミニイル うみにいる 海に入る
モロオトロキテ もろおとろきて 諸 驚きて モトムレト ツイニヱサレハ もとむれと ついにゑされは 求むれど ついに得ざれば ナミナキテ ミフネツキケリ なみなきて みふねつきけり 波 凪ぎて 御船着きけり (ツクモか)
ヤマトタケ カツサニイレハ やまとたけ かつさにいれは ヤマトタケ 上総に入れば サカキヱニ カカミオカケテ さかきゑに かかみおかけて 榊枝に 鏡を掛けて ムカヒマス カトリトキヒコ むかひます かとりときひこ 向ひます カトリトキヒコ ヒテヒコト イキスオトヒコ ひてひこと いきすおとひこ ヒデヒコと イキスオトヒコ (カシマ) カネテマツ オオカシマヨリ かねてまつ おおかしまより 予て待つ オオカシマより ミアヱナス みあゑなす 御饗なす
アシウラコエテ あしうらこえて 葦浦越えて (阿字ヶ浦) ナコソハマ カリミヤニマス なこそはま かりみやにます 勿来浜 仮宮に坐す ヒタカミノ ミチノクシマツ ひたかみの みちのくしまつ ヒタカミの ミチノク シマツ ミチヒコト クニツコヰタリ みちひこと くにつこゐたり ミチヒコと 国造五人 アカタヌシ モモナソヨタリ あかたぬし ももなそよたり 県主 百七十四人 ヨロヤカラ タケノミナトニ よろやから たけのみなとに 万輩 タケの水門に コハムトキ タケヒオヤリテ こはむとき たけひおやりて 拒む時 タケヒを遣りて コレオメス これおめす これを召す
シマツノカミハ しまつのかみは シマツの守は (ミチヒコ) アラカシメ イサワニオソレ あらかしめ いさわにおそれ あらかじめ 威勢に恐れ ユミヤステ ミマエニフシテ ゆみやすて みまえにふして 弓矢棄て 御前に伏して マツロヒヌ まつろひぬ 服ひぬ
タケヒマタユク たけひまたゆく タケヒまた行く ヒタカミノ ミチノクニツク ひたかみの みちのくにつく ヒタカミの ミチノクに継ぐ サヲシカト ミチノクカトニ さをしかと みちのくかとに 差使人 ミチノク門に (タケヒ) イテムカエ いてむかえ 出で迎え
ミチノクイワク みちのくいわく ミチノク曰く
イマナンチ ヒトノスヘラキ いまなんち ひとのすへらき 「今 汝 人の皇 キミトシテ ツカエルナンチ きみとして つかえるなんち 君として 仕える汝 オトロエリ イマキテクニオ おとろえり いまきてくにお 衰えり 今来て国を ウハワンヤ うはわんや 奪わんや」
タケヒノイワク たけひのいわく タケヒの曰く カミノミコ ナンチオメセト かみのみこ なんちおめせと 「上の御子 汝を召せど (御上・公) マツロハス カレニウツナリ まつろはす かれにうつなり 服わず 故に討つなり」
コタエイフ コレナンノコト こたえいふ これなんのこと 応え言ふ 「これ何の如 <御上の御子とは> ナンノイヰ ソレワカクニハ なんのいゐ それわかくには 何の謂 それ我が国は オオミヲヤ タカミムスヒノ おおみをや たかみむすひの 大御祖 タカミムスビの (キノトコタチ) コノクニオ ヒラキテナナヨ このくにお ひらきてななよ この国を 開きて七代 (タカキネまで) コレオツク これおつく これを継ぐ
ヒノカミココニ ひのかみここに 日の神ここに (アマテル) ミチマナフ カレヒタカミソ みちまなふ かれひたかみそ 道学ぶ 故 "日高み" ぞ 日神が学び高まる所 アメノミコ チチヒメトウム あめのみこ ちちひめとうむ 陽陰の皇子 チチ姫と生む (オシホミミ) ミコフタリ ヱハアスカミヤ みこふたり ゑはあすかみや 皇子二人 兄はアスカ宮 (テルヒコ) トハハラミ とははらみ 弟はハラミ (キヨヒト)
ソノトキクニオ そのときくにお その時 国を タマワリテ ソヨノハツコノ たまわりて そよのはつこの 賜わりて 十四の裔の ワレマテハ ヨソノタウケス われまては よそのたうけす 我までは よその治 受けず
ソレノキミ アスカオウチテ それのきみ あすかおうちて それの君 アスカを討ちて (神武天皇) (ニギハヤヒ) クニオトル カミニタカエリ くにおとる かみにたかえり 国を盗る 上に違えり (御上・公) カレナレス イママタキタリ かれなれす いままたきたり 故 慣れず 今また来たり トラントス コレモカミカヤ とらんとす これもかみかや 盗らんとす これも上かや スヘキミヨ すへきみよ 皇君よ」
タケヒホホヱミ たけひほほゑみ タケヒ微笑み コレナンチ ヰナカニスンテ これなんち ゐなかにすんて 「これ汝 井中に住んで サワオミス コトヨキニニテ さわおみす ことよきににて 沢を見ず 言 良きに似て アタラスソ シカトキクヘシ あたらすそ しかときくへし 当らずぞ 確と聞くべし コレトカン これとかん これ説かん」
ムカシアスカノ むかしあすかの 「昔 アスカの ナカスネカ フミヌスメトモ なかすねか ふみぬすめとも ナガスネが 文盗めども (代嗣文) アスカキミ タタサヌユエニ あすかきみ たたさぬゆえに アスカ君 正さぬ故に (ニギハヤヒ)
ノリクタセ ホツマチヒロム のりくたせ ほつまちひろむ 『乗り下せ ホツマ方 平む [宣 下せ] [ほつま道 広む] アマモイワフネ あまもいわふね 天下 斎船』 [天地も祝うね] ヨニウタフ よにうたふ 世に歌ふ
シホツヲキナカ しほつをきなか シホツ翁が コレユキテ ムケサランヤト これゆきて むけさらんやと 『これ行きて 平けざらんや』と ススムユエ ヤマトタタセハ すすむゆえ やまとたたせは すすむゆえ 大和正せば ヲヲンカミ カシマノカミニ ををんかみ かしまのかみに 大御神 カシマの神に (アマテル) (タケミカツチ) ミコトノリ ユキテウツヘシ みことのり ゆきてうつへし 御言宣 『行きて打つべし』 ソノコタエ ワレユカストモ そのこたえ われゆかすとも その応え 『我 行かずとも クニムケノ ツルキクタシテ くにむけの つるきくたして 国平けの 剣 下して タカクラニ コレササケシム たかくらに これささけしむ タカクラに これ捧げしむ』
タケヒトハ キミタルイトノ たけひとは きみたるいとの タケヒトは 君たる慈愛の (神武天皇) (日月の君)
アルユエニ アメヨリツツク あるゆえに あめよりつつく あるゆえに 陽陰より続く (アマテル) カミノミコ ヨヨニアマテル かみのみこ よよにあまてる 上の御子 代々に和照る」 (御上・公)
ナンチヨヨ キミナクコヨミ なんちよよ きみなくこよみ 「汝 代々 君なく暦 イツレソヤ いつれそや いづれぞや?」
コタエテイセト こたえていせと 答えて 「イセ」 と
マタイワク アマテラスカミ またいわく あまてらすかみ また曰く 「和照らす上 コヨミナシ ソロウエサセテ こよみなし そろうえさせて 暦成し ソロ植えさせて カテフヤシ ミオタモタシム かてふやし みおたもたしむ 糧増やし 身を保たしむ
モモナソコ ヨロミチツツク ももなそこ よろみちつつく 百七十九 万三千続く コノヨミテ イマヒノワチニ このよみて いまひのわちに この世見て 今 日の輪内に オワシマス ミマコノヨヨノ おわします みまこのよよの 御座します 神孫の代々の タミヲサム ヒニナツラエテ たみをさむ ひになつらえて 民治む 日に擬えて <和して照らす> アマキミソ あまきみそ 和君ぞ」
ナンチハヨヨニ なんちはよよに 「汝は代々に ミノリウケ イノチツナキテ みのりうけ いのちつなきて 実り受け 命つなぎて イマタソノ キミニカエコト いまたその きみにかえこと いまだその 君に返言 モフサヌハ ソノツミツモリ もふさぬは そのつみつもり 申さぬは その罪積もり イクラソヤ ヌケミチアリヤ いくらそや ぬけみちありや いくらぞや 抜け道ありや ワカキミハ カミナラスヤト わかきみは かみならすやと 我が君は 上ならずや」 と (御上・公)
コノトキニ ミチノクオヨヒ このときに みちのくおよひ この時に ミチノクおよび ミナフシテ マツロヒクレハ みなふして まつろひくれは 皆 伏して 服ひ来れば ヤマトタケ ミチノクユルシ やまとたけ みちのくゆるし ヤマトタケ ミチノク許し
ナコソヨリ キタハミチノク なこそより きたはみちのく 勿来より 北はミチノク クニノカミ モカタノハツホ くにのかみ もかたのはつほ 国の守 百県の果穂 ササケシム ささけしむ 捧げしむ
ツカルヱミシハ つかるゑみしは 津軽蝦夷は ミチヒコニ ナソカタハツホ みちひこに なそかたはつほ ミチヒコに 七十県果穂 ササケシム ささけしむ 捧げしむ
ミナミハヒタチ みなみはひたち 南は常陸 カツサアワ ミカサカシマニ かつさあわ みかさかしまに 上総・安房 ミカサカシマに (オオカシマ) タマワリテ カシマヒテヒコ たまわりて かしまひてひこ 賜りて カシマヒデヒコ トキヒコモ オトヒコミタリ ときひこも おとひこみたり トキヒコも オトヒコ三人 ミハタマフ みはたまふ 御衣賜ふ
クニツコヰタリ くにつこゐたり 国造五人 <津軽・陸奥の> カミノミチ シイテモフセハ かみのみち しいてもふせは 上の道 強いて申せば (=御上の道) メシツレテ イタルニハリエ めしつれて いたるにはりえ 召し連れて 到る新治へ
ヱミシカラ カソニシキトハ ゑみしから かそにしきとは 蝦夷から かぞ錦十機 (津軽蝦夷) ワシノハノ トカリヤモモテ わしのはの とかりやももて 鷲の羽の とがり矢 百手 タテマツル ミチノクヨリハ たてまつる みちのくよりは 奉る 陸奥よりは (旧ヒタカミ) キカネトヲ クマソヤモモテ きかねとを くまそやももて 黄金十重 くまそ矢 百手 タテマツル たてまつる 奉る
コノユキオモク このゆきおもく この靫 重く フモヲアリ オイテモトムル ふもをあり おいてもとむる 二百重あり 負い手求むる
オオトモノ サフライヨタリ おおともの さふらいよたり オオトモの 侍四人 (タケヒ) オイカハリ ツクハニノホリ おいかはり つくはにのほり 負い替り 筑波に上り キミトミモ ツサヘテイタル きみとみも つさへていたる 君臣も 西・南 経て到る サカオリノ ミヤニヒクレテ さかおりの みやにひくれて サカオリの 宮に日暮れて (諏訪サカオリ) タヒオソク シカレハコタエ たひおそく しかれはこたえ 灯火遅く 叱かれば応え
ユキオモク ツカレネフリテ ゆきおもく つかれねふりて 「靫 重く 疲れ眠りて クレシラス マタイフヨタリ くれしらす またいふよたり 暮れ知らず」 また言ふ四人 アヒマチソ ナンチハカリカ あひまちそ なんちはかりか 「合ひ待ちぞ 汝ばかりが ナトツカル チカライトハハ なとつかる ちからいとはは 何ど疲る 力 厭はば ウタオヨメ コタエテカミノ うたおよめ こたえてかみの 歌を詠め」 応えて 「上の ミヨハウタ イマハチカラヨ みよはうた いまはちからよ 代は歌 今は力よ」
トキニキミ コレキコシメシ ときにきみ これきこしめし 時に君 これ聞こし召し (ヤマトタケ) ツスハツネ ウタミニソメテ つすはつね うたみにそめて 連初根 歌見に染めて カエセヨト ナカエタマハル かえせよと なかえたまはる 「返せよ」 と 詠え給はる
ニヰハリツ ツクハオスキテ にゐはりつ つくはおすきて 『新治 出 筑波を過ぎて 新治を出る イクヨカネツル いくよかねつる 幾夜か 寝つる』 [幾夜日](寝たる)
モロナサス ヒトホシヨスナ もろなさす ひとほしよすな 諸 済さず 火灯しヨスナ 返さず キミノウタ カエシモフサク きみのうた かえしもふさく 君の歌 返し申さく
カカナエテ ヨニハココノヨ かかなえて よにはここのよ 『かがなえて 夜には九の夜 (昼夜を合せて) ヒニハトオカオ ひにはとおかお 日には十日を』
ヤマトタケ ヒトホシホメテ やまとたけ ひとほしほめて ヤマトタケ 火灯し褒めて タケタムラ ホカハハナフリ たけたむら ほかははなふり タケタ村 他はハナフリ (タケ賜村) タケヒオハ ユキヘオカネテ たけひおは ゆきへおかねて タケヒをば 靫侍を兼ねて カヒスルカ フタクニカミト かひするか ふたくにかみと 甲斐・駿河 二国守と コトオホム ことおほむ 殊を褒む
キミヤマノヒハ きみやまのひは 君 山の日は ユキヤスミ ワカキミニイフ ゆきやすみ わかきみにいふ 靫休み 我が君に言ふ (靫負) (タケヒ) スヘラキミ ヤツラハナフリ すへらきみ やつらはなふり 「統君 僕らハナフリ (ヤマトタケ) ソロリニハ タケタタマハル そろりには たけたたまはる ソロリには タケタ賜はる (=ヨスナ) (タケタ村) ナンノコト タケヒノイワク なんのこと たけひのいわく 何の殊?」 タケヒの曰く (殊勲) ウタノコト マタトフカレハ うたのこと またとふかれは 「歌の殊」 また問ふ 「彼は アワナラス ナニノウタソヤ あわならす なにのうたそや アワならず 何の歌ぞや」 (アワ歌)
マタイワク ツツウタムカシ またいわく つつうたむかし また曰く 「十九歌 昔 サユリヒメ トシソコノトキ さゆりひめ としそこのとき サユリ姫 歳十九の時 タキシミコ シタヒコフユエ たきしみこ したひこふゆえ タギシ御子 慕ひ恋ふゆえ ソノチチカ ヨヒタストキニ そのちちか よひたすときに その父が 呼び出す時に (神武) ヒメサトリ ノソクツツウタ ひめさとり のそくつつうた 姫悟り 除く十九歌
アメツツチ トリマスキミト あめつつち とりますきみと 『天つ地 娶ります君と ナトサケルトメ なとさけるとめ 何ど避ける 止』 (継句の拒否)
ソノツツス カソエテナカオ そのつつす かそえてなかお その十九素 数えて中を ツホカナメ コノウタツツキ つほかなめ このうたつつき "壺要" この歌続き (10音目のキ) カソエモノ オリアワセメニ かそえもの おりあわせめに 数え物 折り合せ目に <"つつ"と> ケリモアリ キミトワレトハ けりもあり きみとわれとは 'けり' もあり 君と我とは (天と地) ツツキケリ つつきけり 続きけり
ヨコカメトルオ よこかめとるお 横曲 'めとる' を 横曲りに娶るを サカシマニ ルトメニトメテ さかしまに るとめにとめて 逆しまに 'るとめ' に止めて タチキレハ マメモミサホモ たちきれは まめもみさほも 断ち切れば 忠も操も アラワセリ カレソコモツス あらわせり かれそこもつす 表わせり 故 直も通ず (=忠) モノモツス ツツキウタナリ ものもつす つつきうたなり 守も通ず 続き歌なり」 (=操)
ナツカハキ ココニヰテトフ なつかはき ここにゐてとふ ナツカハギ ここに居て問ふ ツキアリヤ つきありや 「継ぎありや」
タケヒコタエテ たけひこたえて タケヒ答えて ヤソアリテ ハツハオコリト やそありて はつはおこりと 「八十ありて 初は "起り" と (起) ツキハウケ ミツハウタタニ つきはうけ みつはうたたに 次は "受け" 三つは "転た" に (承) (転) ヨツアワセ ヰツハタタコト よつあわせ ゐつはたたこと 四つ "合せ" 五つは "直言" (結) ムツハツレ ナナハツキツメ むつはつれ ななはつきつめ 六つは "連れ" 七は "尽き詰め" ヤツハツキ やつはつき 八つは "尽き"
オモテヨツラネ おもてよつらね 表四連ね マメミサホ マテニカヨハス まめみさほ まてにかよはす 忠・操 両方に通わす ウラヨツレ ハツハカシラノ うらよつれ はつはかしらの 裏四連れ 果つば頭の (終れば) ヰヲシテエ メクラシツラヌ ゐをしてえ めくらしつらぬ 五ヲシテへ めぐらし連ぬ (還し)
ソノツキハ ウチコシココロ そのつきは うちこしこころ その次は "打越" "こころ" ウタタサリ モトニムラカル うたたさり もとにむらかる "転た" "更り" 本に群がる
ヒトツラネ ソムオヒトオリ ひとつらね そむおひとおり 一連ね 十六(句)を "一織" スヘヰオリ ヤソオモモトシ すへゐおり やそおももとし 総べ五織 八十を百とし オリハフソ おりはふそ 織は二十 (一織は20句)
カレオリトメノ かれおりとめの 故 織留の (各織の第20句) ツスハタチ オリハツのツス つすはたち おりはつのつす ツズ "ハタチ" 織初のツズ (各織の第1句) アヒカナメ オリツメノツス あひかなめ おりつめのつす "合要" 織詰のツズ (各織の第19句の) ミソコハナ ミノツメヰソコ みそこはな みのつめゐそこ 三十九 "ハナ" 三の詰五十九 (二の織詰) ツスサツメ ヨノツメナソコ つすさつめ よのつめなそこ ツズ "サツメ" 四の詰七十九 ツスフツメ ヰノツメコソコ つすふつめ ゐのつめこそこ ツズ "フツメ" 五の詰九十九 ツスツクモ つすつくも ツズ "ツクモ"
ヰフシニホヒノ ゐふしにほひの 五節 匂の (=五織) ハナハユリ モトウタハキミ はなはゆり もとうたはきみ 花は百合 本歌は君 (忠・操) (主) ソノアマリ ヱタヤハツコオ そのあまり ゑたやはつこお その余り 枝や裔を ヤソツツキ ナオフカキムネ やそつつき なおふかきむね 八十続き なお深き旨 ナライウクヘシ ならいうくへし 習い受くべし」
マタトフハ ヤソオモモトス またとふは やそおももとす また問ふは 「八十を百とす カスイカン かすいかん 数 如何ん」
コタエハカナメ こたえはかなめ 答えは 「要 マタクハル モトウタオフソ またくはる もとうたおふそ また配る 本歌を二十」 (百句中に本歌が20回巡り来る)
カエシトフ ユリカハシメカ かえしとふ ゆりかはしめか 返し問ふ 「ユリが初めか?」 (ユリ姫) コタエイフ カミヨニモアリ こたえいふ かみよにもあり 答え言ふ 「上代にもあり ミヲヤカミ ツツノヲシテヤ みをやかみ つつのをしてや 御祖神 連のヲシテや (ウガヤ) →27文 アメミコノ ヒウカニイマス あめみこの ひうかにいます 陽陰御子の 日向に居ます (タケヒト) <時の> ヤマトチノ ハヤリウタニモ やまとちの はやりうたにも ヤマト方の 流行り歌にも (本州地方)
ノリクタセ ホツマチヒロム のりくたせ ほつまちひろむ 『乗り下せ ホツマ方 平む [宣 下せ] [ほつま道 広む] アマモイワフネ あまもいわふね 天下 斎船』 [天地も祝うね]
シホツツヲ ススメテヤマト しほつつを すすめてやまと シホツツヲ すすめて大和 ウタシムル コレオリカエニ うたしむる これおりかえに 打たしむる これ折返に アヒツアリ カレウチトルオ あひつあり かれうちとるお "あひつ" あり 故 打ち取るを (太陽は西にあり) ヨシトナス よしとなす 良しとなす
ユリヒメモツツ ゆりひめもつつ ユリ姫も十九(歳) ウタモツツ マメトミサホト うたもつつ まめとみさほと 歌も十九(音) 忠と操と アラワセハ ツツキウタヨム あらわせは つつきうたよむ 表わせば 続き歌詠む ノリトナル のりとなる 法となる」
ツイニホツマノ ついにほつまの 「ついにホツマの (東国) マツリコト アメニトホレハ まつりこと あめにとほれは 政事 天に通れば (中央政府) コトコトク マツロフトキソ ことことく まつろふときそ ことごとく 纏ろふ時ぞ (治まる) <報奨として> ウタハクニ チカラハアタヒ うたはくに ちからはあたひ 歌は地 力は値 力業にはハナフリ タマハリシ たまはりし 賜はりし」
キミハカミカト きみはかみかと 「君は神か」 と ミナメツム みなめつむ 皆 愛つむ 感嘆する
コソヨリツツキ こそよりつつき 去年より続き アメハレテ ムツキスエヤカ あめはれて むつきすえやか 陽陰晴れて 一月二十八日 ミユキフリ キミソリニメシ みゆきふり きみそりにめし み雪降り 君 ソリに召し ユキイタル サカムノタチニ ゆきいたる さかむのたちに 行き到る 相模の館に イリマセハ いりませは 入りませば
ノニカタアフミ のにかたあふみ 野に片鐙 トラカシハ ヒロヒカンカエ とらかしは ひろひかんかえ トラガシハ 拾ひ考え アフミサシ イマタテマツル あふみさし いまたてまつる 鐙 挿し 今 奉る タマカサリ ホメテタマワル たまかさり ほめてたまわる 玉飾り 褒めて賜わる ムラノナモ タマカワアフミ むらのなも たまかわあふみ 村の名も "タマカワアフミ" (多摩川・青梅) ミサシクニ サカムノクニト みさしくに さかむのくにと 身挿し国 相模の国と (武蔵国) モトヒコニ ナツケタマワル もとひこに なつけたまわる モトヒコに 名付け賜わる
クニツカミ くにつかみ 国つ守
マチカテチカノ まちかてちかの マチカ・テチカの トミフタリ ヲトタチハナノ とみふたり をとたちはなの 臣二人 ヲトタチハナの クシトオヒ ウレハナケキテ くしとおひ うれはなけきて 櫛と帯 得れば嘆きて ヒメノタメ ツカリアヒキノ ひめのため つかりあひきの 姫のため "連り天引きの マツリナス まつりなす 纏り" なす
コレソサノヲノ これそさのをの これソサノヲの オロチオハ ツカリヤスカタ おろちおは つかりやすかた オロチをば "連りヤスカタ (ハヤコ) カミトナシ ハヤスヒヒメモ かみとなし はやすひひめも 神" となし ハヤスヒ姫も アシナツチ ナナヒメマツル あしなつち ななひめまつる アシナツチ 七姫纏る タメシモテ ためしもて 例 以て
カタミオココニ かたみおここに 形見をここに <骸に代えて> <納めて> ツカトナシ ナモアツマモリ つかとなし なもあつまもり 塚となし 名も "吾妻守" [東守] オホイソニ ヤシロオタテテ おほいそに やしろおたてて 大磯に 社を建てて カミマツリ かみまつり 神纏り
ココニトトマル ここにととまる ここに留まる ハナヒコハ ワカサキミタマ はなひこは わかさきみたま ハナヒコは 我が先神霊 シロシメシ カワアヒノノニ しろしめし かわあひののに 知ろしめし 川間の野に オホミヤオ タテテマツラス おほみやお たててまつらす オホミ社を 建てて祭らす (大宮) ヒカワカミ イクサウツハハ ひかわかみ いくさうつはは ヒカワ神 軍器は (ハナキネ) チチフヤマ ちちふやま 秩父山
キサラキヤカニ きさらきやかに 二月八日に クニメクリ マツラフシルシ くにめくり まつらふしるし 国周り 纏らふ標 (国中で) (治まる) カクカコオ ヤムネニササケ かくかこお やむねにささけ 橘籠を 屋棟に捧げ コトヲサメ ホツマノヨヨノ ことをさめ ほつまのよよの "事納め" ホツマの代々の ナラハセヤ ならはせや 慣わせや
ウスヰノサカニ うすゐのさかに 碓氷の坂に ヤマトタケ ワカレシヒメオ やまとたけ わかれしひめお ヤマトタケ 別れし姫を (オトタチバナ姫) オモヒツツ キサオノソミテ おもひつつ きさおのそみて 思ひつつ 東南を望みて オモヒヤリ カタミノウタミ おもひやり かたみのうたみ 思ひ遣り 形見の歌見 トリイタシミテ とりいたしみて 取り出だし見て
(姫が詠んだ歌) サネサネシ サカムノオノニ さねさねし さかむのおのに 『真々し 相模の小野に モユルヒノ ホナカニタチテ もゆるひの ほなかにたちて 燃ゆる日の 火中に立ちて トヒシキミハモ とひしきみはも 訪ひし君はも』
コレミタヒ アツマアワヤト これみたひ あつまあわやと これ三度 「吾妻あわや」 と ナケキマス アツマノモトヤ なけきます あつまのもとや 嘆きます "吾妻" のもとや (群馬県吾妻郡)
オヒワケニ キヒタケヒコハ おひわけに きひたけひこは 追分に 吉備タケヒコは コシチユク クニサカシラオ こしちゆく くにさかしらお 越路行く 国盛衰を ミセシムル タケヒハサキニ みせしむる たけひはさきに 見せしむる タケヒは先に サカムヨリ ヱミシノミヤケ さかむより ゑみしのみやけ 相模より ヱミシの土産 モチノホリ ミカトニササケ もちのほり みかとにささけ 持ち上り 帝に捧げ コトコトク マツラフカタチ ことことく まつらふかたち ことごとく 纏らふ形 モフサシム もふさしむ 申さしむ
ヒトリミユキノ ひとりみゆきの 一人御幸の ヤマトタケ シナノキソチハ やまとたけ しなのきそちは ヤマトタケ 信濃・木曾路は ヤマタカク タニカスカニテ やまたかく たにかすかにて 山高く 谷かすかにて ツツラオリ カケハシツタヒ つつらおり かけはしつたひ 葛折 懸橋伝ひ ムマユカス クモワケアユミ むまゆかす くもわけあゆみ 馬行かず 雲分け歩み ウエツカレ ミネノミアエニ うえつかれ みねのみあえに 飢え疲れ 峰の御饗に ナルシラカ マエニイキハキ なるしらか まえにいきはき 生るしら鹿 前に息吐き (御前) クルシムル キミハシロシテ くるしむる きみはしろして 苦しむる 君は知ろして ヒルヒトツ ハシケハマナコ ひるひとつ はしけはまなこ 蒜一つ 弾けば眼 ウチコロス うちころす 打ち殺す
ナオクモオオヒ なおくもおおひ なお雲覆ひ ミチタツオ ヒミツノハラヒ みちたつお ひみつのはらひ 道絶つを 火水の祓 ミタヒノル シナトノカセニ みたひのる しなとのかせに 三度宣る シナトの風に フキハラフ カミノシライヌ ふきはらふ かみのしらいぬ 吹き払ふ 神のしら狗 ミチヒキテ ミノニイツレハ みちひきて みのにいつれは 導きて 美濃に出づれば タケヒコモ コシヨリカエリ たけひこも こしよりかえり タケヒコも 越より帰り (吉備武彦) ココニアフ ここにあふ ここに会ふ
サキニキソチノ さきにきそちの 先に木曾路の 以前には木曾路に オエフスモ ハラヒマヌカル おえふすも はらひまぬかる 衰え臥すも 祓ひ免る シカノチハ ヒルオカミヌリ しかのちは ひるおかみぬり 「鹿の道は 蒜を噛み塗り (命令形) サカイキニ アタラシモノト さかいきに あたらしものと 邪息に 当らじもの」 と カタリタマヒキ かたりたまひき 語り給ひき
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