【原文カタカナ訳】 【語義考察】 【漢字読み下し】
ヒノカミソフキサキノアヤ ひのかみそふきさきのあや 日の神 十二后の文
フソヒスス モモフソムヱタ ふそひすす ももふそむゑた 二十一鈴 百二十六枝 トシサナト ヤヨイツイタチ としさなと やよいついたち 年サナト 三月一日 (58穂) ヒノヤマト ニイミヤツクリ ひのやまと にいみやつくり 日の山下 新宮造り (太陽山の麓) (ヤスクニ宮) アメミコハ ヒタカミヨリソ あめみこは ひたかみよりそ 陽陰御子は ヒタカミよりぞ (アマテル:87歳) ウツリマス うつります 移ります
フタカミミメオ ふたかみみめお 二尊 見侍を [ヰメ] [ヱメ] ミコトノリ カンミムスヒノ みことのり かんみむすひの 御言宣 カンミムスビの (ミカサ:タカミムスビと) ヤソキネカ モロトハカリテ やそきねか もろとはかりて ヤソキネが 諸と議りて
クラキネカ マスヒメモチコ くらきねか ますひめもちこ クラキネが マス姫モチコ [ノ] ネノスケト ソノトメハヤコ ねのすけと そのとめはやこ 北の典侍と その妹姫ハヤコ コマスヒメ ネノウチキサキ こますひめ ねのうちきさき コマス姫 北の内后 (内侍)
ヤソキネノ オオミヤミチコ やそきねの おおみやみちこ ヤソキネの オオミヤミチコ キノスケニ タナハタコタヱ きのすけに たなはたこたゑ 東の典侍に タナハタコタヱ キノウチメ きのうちめ 東の内侍
サクラウチカメ さくらうちかめ サクラウチが姫 サクナタリ セオリツホノコ さくなたり せおりつほのこ サクナタリ セオリツホノコ サノスケニ ワカヒメハナコ さのすけに わかひめはなこ 南の典侍に ワカ姫ハナコ サノウチメ さのうちめ 南の内侍
カナサキカメノ かなさきかめの カナサキが姫の ハヤアキツ アキコハシホノ はやあきつ あきこはしほの ハヤアキツ アキコは潮の ヤモアヒコ ツノスケウチハ やもあひこ つのすけうちは 八百会子 西の典侍 内は ムナカタカ オリハタオサコ むなかたか おりはたおさこ ムナカタが オリハタオサコ
オシモメハ トヨヒメアヤコ おしもめは とよひめあやこ 乙下侍は トヨ姫アヤコ
カスヤカメ イロノヱアサコ かすやかめ いろのゑあさこ カスヤが姫 イロノヱアサコ サノオシモ さのおしも 南の乙下
カタカアチコハ かたかあちこは カダがアチコは ネノオシモ ねのおしも 北の乙下
ツクハハヤマカ つくははやまか ツクバハヤマが ソカヒメハ キノオシモソト そかひめは きのおしもそと ソガ姫は 東の乙下ぞと
ツキニヨセ つきによせ 月に寄せ (十二の月)
ミコハアマヒノ みこはあまひの 御子は太陽の クラヰノル ヒノヤマノナモ くらゐのる ひのやまのなも 位乗る 日の山の名も オオヤマソ カレオオヤマト おおやまそ かれおおやまと 太山ぞ 故 太山下 ヒタカミノ ヤスクニノミヤ ひたかみの やすくにのみや 日高みの 和国の宮 (日の出=還)
キツサネノ ツホネハカワリ きつさねの つほねはかわり 東西南北の 局は替り ミヤツカヱ みやつかゑ 宮仕え
ソノナカヒトリ そのなかひとり その中一人 スナオナル セオリツヒメノ すなおなる せおりつひめの 素直なる セオリツ姫の ミヤヒニハ キミモキサハシ みやひには きみもきさはし ミヤビには 君も階段 (高御座の階段) フミオリテ アマサカルヒニ ふみおりて あまさかるひに 踏み降りて 天下がる日に [陽陰下がる霊] [和栄る日] ムカツヒメ ツヒニイレマス むかつひめ つひにいれます 向つ姫 つひに入れます ウチミヤニ うちみやに 内宮に
カナヤマヒコカ かなやまひこか カナヤマヒコが ウリフヒメ ナカコオスケニ うりふひめ なかこおすけに ウリフ姫 ナカコを典侍に <南の> ソナヱシム コレオコヨミノ そなゑしむ これおこよみの 備えしむ これを暦の ウリフツキ うりふつき ウリフ月
ミナハタオリテ みなはたおりて 皆 機織りて ミサホタツ みさほたつ 操立つ
オトツキヨミハ おとつきよみは 弟ツキヨミは ヒニツキテ タミノマツリオ ひにつきて たみのまつりお 日に次ぎて 民の政を (アマテル) タスケシム イヨノフタナノ たすけしむ いよのふたなの 助けしむ イヨの二名の (四国) ヲサマラテ ツキヨミヤレハ をさまらて つきよみやれは 治まらで ツキヨミ遣れば イフキアケ トノミヤニタス いふきあけ とのみやにたす 気吹上げ 凸の宮に治す
チタルクニ マスヒトコクミ ちたるくに ますひとこくみ チタル国 マスヒト コクミ (西本州) オコタレハ タマキネツケテ おこたれは たまきねつけて 怠れば タマキネ付けて ヒタカミハ ヤソキネニタス ひたかみは やそきねにたす ヒタカミは ヤソキネに治す (東北)
タカキネオ キミノタスケト たかきねお きみのたすけと タカキネを 君の輔と (中央) <して> タマキネハ ユキテサホコノ たまきねは ゆきてさほこの タマキネは 行きてサホコの クニオタス ミヤツノミヤソ くにおたす みやつのみやそ 国を治す ミヤツの宮ぞ
ツキスミハ シマツヒコヨリ つきすみは しまつひこより ツキスミは シマツヒコより (九州) ナナヨスム イマカナサキノ ななよすむ いまかなさきの 七代統む 今カナサキの 当代のカナサキの ヱタカハネ ムナカタアツミ ゑたかはね むなかたあつみ 枝姓 ムナカタ・アツミ <に> タスケシム たすけしむ 助けしむ
ミヨモユタカニ みよもゆたかに 御世も豊かに ヲサマリテ ヤヨロトシヘテ をさまりて やよろとしへて 治まりて 八万年経て フソフスス ヰモヰヱハツニ ふそふすす ゐもゐゑはつに 二十二鈴 五百五枝初に ミヤツヨリ ハヤキシトヘハ みやつより はやきしとへは ミヤツより 早雉飛べば アマヒカミ イソキマナヰニ あまひかみ いそきまなゐに 太陽神 急ぎマナヰに ミユキナル みゆきなる 御幸なる
トキニタマキネ ときにたまきね 時にタマキネ アヒカタリ ムカシミチノク あひかたり むかしみちのく 会ひ語り 「昔 道奥 ツクサネハ ココニマツトテ つくさねは ここにまつとて 尽さねば ここに全つ」 とて 教え尽くさなかったので 今ここに全うする サツケマシ モロカンタチモ さつけまし もろかんたちも 授けまし 「諸守たちも シカトキケ キミハイクヨノ しかときけ きみはいくよの 確と聞け 君は幾代の ミヲヤナリ コレトコタチノ みをやなり これとこたちの 上祖なり これトコタチの (トヨケの過去世の一) コトノリト ホラオトサシテ ことのりと ほらおとさして 言宣」 と 洞を閉ざして カクレマス かくれます かくれます
ソノウヱニタツ そのうゑにたつ その上に建つ アサヒミヤ キミネンコロニ あさひみや きみねんころに 朝日宮 君 懇ろに マツリシテ ノチカエマサン まつりして のちかえまさん 纏りして 後 帰えまさん ミテクルマ トトムルタミオ みてくるま ととむるたみお 御出車 留むる民を アワレミテ ミツカラマツリ あわれみて みつからまつり 憐みて 自ら政 キコシメス きこしめす 聞し召す
オモムキツケル おもむきつける 主向き告げる キキスニテ ムカツヒメヨリ ききすにて むかつひめより 雉子にて ムカツ姫より コトノリシ タカミニマツル ことのりし たかみにまつる 言宣し タカミに祭る トヨケカミ とよけかみ トヨケ神
モチコノスケト もちこのすけと 「モチコの典侍と ハヤコウチ アチコトミタリ はやこうち あちことみたり ハヤコ内(侍) アチコと三人 (北の局の三后) ハヤユキテ マナヰノハラノ はやゆきて まなゐのはらの 早や行きて マナヰの原の ミヤツカヱ コトノリアレハ みやつかゑ ことのりあれは 宮仕え」 言宣あれば カトテシテ ミヤツノミヤニ かとてして みやつのみやに 門出して ミヤツの宮に アルトキニ あるときに ある時に
キミノミカリニ きみのみかりに 君の巡幸りに チタルクニ ミチオサタメテ ちたるくに みちおさためて チタル国 道を定めて ヲサムノチ ヤソキネノオト をさむのち やそきねのおと 治む後 ヤソキネの弟 カンサヒオ マスヒトトナシ かんさひお ますひととなし カンサヒを マスヒトとなし →ミ5文 マタオトコ ツハモノヌシト またおとこ つはものぬしと また乙子 ツハモノヌシと コクミソヱ ツホネトトメテ こくみそゑ つほねととめて コクミ副え 局 留めて 北局の三后は宮津に留めて カエラント かえらんと 帰らんと
コソヨリムカフ こそよりむかふ 去年よりむかふ ソサノヲト アマノミチネト そさのをと あまのみちねと ソサノヲと アマノミチネと カトテナス ネナトヤヨヒノ かとてなす ねなとやよひの 門出なす ネナト三月の モチヨリソ ウツキノモチニ もちよりそ うつきのもちに 十五日よりぞ 四月の十五日に カエリマス かえります 帰ります
ヒノハヤヒコニ ひのはやひこに ヒノハヤヒコに ミコトノリ ナンチクニヱオ みことのり なんちくにゑお 御言宣 「汝 国絵を ウツスヘシ ヤマトメクリテ うつすへし やまとめくりて 写すべし」 ヤマト巡りて ミナヱカク みなゑかく 皆 描く
キミハミヤコオ きみはみやこお 君は都を ウツサント オモヒカネシテ うつさんと おもひかねして 移さんと オモヒカネして ツクラシム ナリテイサワニ つくらしむ なりていさわに 造らしむ 成りてイサワに ミヤウツシ みやうつし 宮移し
ココニヰマセハ ここにゐませは ここに居ませば ムカツヒメ フチオカアナノ むかつひめ ふちおかあなの ムカツ姫 縁丘穴の オシホヰニ ウフヤノミミニ おしほゐに うふやのみみに オシホヰに 産野の耳に <即ち> (イサワの縁) アレマセル オシホミノミコ あれませる おしほみのみこ 生れませる オシホミの御子 (「生れます」の連体形) オシヒトト イミナオフレテ おしひとと いみなおふれて オシヒトと 斎名を告れて カミアリノ モチヰタマエハ かみありの もちゐたまえは 神ありの 餅飯 賜えば タミウタフ たみうたふ 民 歌ふ
サキニモチコカ さきにもちこか 『先にモチコが ウムミコハ ホヒノミコトノ うむみこは ほひのみことの 生む御子は ホヒの尊の タナヒトソ ハヤコカミツコ たなひとそ はやこかみつこ タナヒトぞ ハヤコが三つ子 ヒハタケコ オキツシマヒメ ひはたけこ おきつしまひめ 一はタケコ オキツシマ姫 フハタキコ ヱツノシマヒメ ふはたきこ ゑつのしまひめ 二はタキコ ヱツノシマ姫 ミハタナコ イチキシマヒメ みはたなこ いちきしまひめ 三はタナコ イチキシマ姫
シカルノチ アキコカウメル しかるのち あきこかうめる 然る後 アキコが生める (「生む」の連体形) タタキネハ アマツヒコネソ たたきねは あまつひこねそ タタキネは アマツヒコネぞ
シカルノチ ミチコカウメル しかるのち みちこかうめる 然る後 ミチコが生める ハラキネハ イキツヒコネソ はらきねは いきつひこねそ ハラキネは イキツヒコネぞ
トヨヒメハ ネノウチメニテ とよひめは ねのうちめにて トヨ姫は 北の内侍にて (最初は西の乙下) ヌカタタノ クマノクスヒソ ぬかたたの くまのくすひそ ヌカタダの クマノクスヒぞ
ミコスヘテ ヰヲトミメナリ みこすへて ゐをとみめなり 御子すべて 五男三女なり』
サノトノニ タチハナウヱテ さのとのに たちはなうゑて 南の殿に 橘 植えて カクノミヤ キニサクラウヱ かくのみや きにさくらうゑ 香の宮 東に桜植え →24文 ウオチミヤ ミツカラマツリ うおちみや みつからまつり 大内宮 自ら政 キコシメス アマネクタミモ きこしめす あまねくたみも 聞こし召す あまねく民も ユタカナリ ゆたかなり 豊かなり
ツキヨミノツマ つきよみのつま ツキヨミの妻 イヨツヒメ ウムモチタカハ いよつひめ うむもちたかは イヨツ姫 生むモチタカは イフキヌシ いふきぬし イフキヌシ
サキニタラチヲ さきにたらちを 先にタラチヲ (イサナキ) ハナキネハ ネノクニサホコ はなきねは ねのくにさほこ 「ハナキネは 根の国・サホコ シラスヘシ イマタヒルコト しらすへし いまたひること 領すべし」 いまだヒルコと ミクマノノ トミカタスケテ みくまのの とみかたすけて 御隈野の 臣が助けて ノチノキミ のちのきみ 後の君
ナチノワカミコ なちのわかみこ ナチの若御子 ヌカタタヨ イサナミマツル ぬかたたよ いさなみまつる ヌカタタよ イサナミ祭る
クマノカミ シコメカシヰオ くまのかみ しこめかしゐお 隈の神 鬼霊が魄を カラスカミ マツレハクロキ からすかみ まつれはくろき 枯らす神 祭れば黒き トリムレテ カラストナツク とりむれて からすとなつく 鳥 群れて "カラス" と名付く
イサナキハ アツシレタマフ いさなきは あつしれたまふ イサナギは 篤しれ給ふ ココオモテ アワチノミヤニ ここおもて あわちのみやに ここを以て アワヂの宮に カクレマス コトハオワレト かくれます ことはおわれと かくれます 事は終われど イキオヒハ アメニノホリテ いきおひは あめにのほりて 勢ひは '天に上りて 和つ君となりて ヲオカヱス アヒワカミヤニ をおかゑす あひわかみやに 陽を還す 太陽若宮' に 陽霊を巡らす トトマリテ ヤミオタシマス ととまりて やみおたします 留まりて 病みを治します タカノカミ たかのかみ 治曲の神
ヤマトヤスミヤ やまとやすみや ヤマトヤス宮 ヒキウツシ アメヤスカワノ ひきうつし あめやすかわの 引き移し アメヤスカワの (=引っ越し) ヒルコヒメ ミコオシヒトオ ひるこひめ みこおしひとお ヒルコ姫 皇子オシヒトを ヒタシマス ネトサホコクニ ひたします ねとさほこくに 養します 根とサホコ国 <同時に> カネヲサム かねをさむ 兼ね治む
シタテルヒメト したてるひめと シタテル姫と アチヒコト イセオムスヒテ あちひこと いせおむすひて アチヒコと 妹背を結びて モロトモニ ココニヲサメテ もろともに ここにをさめて 諸共に ここに治めて ウムミコハ イムナシツヒコ うむみこは いむなしつひこ 生む御子は 斎名シツヒコ タチカラヲカナ たちからをかな タチカラヲかな
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