イブキドヌシ・イブキド・イブキヌシ

→ 語義
  

伊吹戸主。気吹戸主。  
ツキヨミイヨツ姫の子。ソサノヲの甥。 斎名:モチタカ。 イフキ守/神。タカノ尊。
アマテル
の三姫のタナコを娶り、イヨツヒコトサツヒコウサツヒコを生む。

ハルナハハミチアメヱノミチと戦う。ハタレマ九千と民九万の誓いのヲシテを埋めた高野山に、宮を建てたら化け物が出なくなった手柄により、アマテルから『タカノ尊 (治曲野尊)』の名を賜る。
シラウドコクミとその一味を打ち治めた功に対し、ヤマタ県 (讃岐) を褒美に賜わる。同時に阿波の『イブキ守』の名も賜る。

イフキヌシはニニキネの土木工事を見倣い、アメ山 (天山・愛媛県松山市) に掘った土を移し、田を成す。

後にイブキ神はあらぶる神として恐れられるようになったようだ。五十鈴がサク鈴となって尽きたとき、カスガはイブキ神を恐れて、自分が鈴の木を植継ぐことを躊躇している。ヤマトタケ伊吹山のイフキ神 (あらぶる神) に祟られ、これが原因で命を落とすことになる。
  

                     ┌ソサノヲ
ウヒチニツノクヰオモタル       ├ヒルコ
    │                ├アマテル───タナコ┐┌イヨツヒコ
    └アメヨロヅアワナギイサナギ─┴ツキヨミ┐     ├┼トサツヒコ
          │               ├イフキヌシ┘└ウサツヒコ
          └サクナギイヨツヒコイヨツ姫

  
■ツキヨミはアマテルの使者としてナカ国ウケモチの許へウルソ種を貰いに行くが、礼の無い対応に怒り、ウケモチを殺してしまう。それ以降、ツキヨミは歴史から姿を消す。これは非常に異な事である。千座の罪のソサノヲですら最後は許され、八重垣幡まで賜り、その子孫は繁栄を極めるというのにである。ツキヨミを祭る神社も殆ど無いと言っていい。ホツマツタヱは黙して語らぬが、後に子のイフキヌシがあらぶる神として恐れられるようになるのは、この辺りに原因が潜んでいるように思えてならない。
  

滋賀県坂田郡伊吹町伊吹、伊夫伎 (イフキ) 神社
岐阜県不破郡垂井町岩手字伊吹、伊富岐 (イフキ) 神社
和歌山県伊都郡かつらぎ町大字上天野、丹生都比売 (ニウツヒメ) 神社
  

■イブキヌシはアメヱノミチとの戦いで見られるようにウツロイシナトミヅハメなどの神を自由に呼べたらしい。ヤマトタケもニニキネ火水の祓を得て、この能力を持っていた。
★『平家物語』に「八岐大蛇、天降り..毒蛇となりて不破関の大路を伏塞ぎたり。..さる程に八岐の大蛇伊吹大明神は日本武尊に跳り越えられ」とあり、伊吹の神を八岐大蛇の変化と見なされていた。
★祓戸四柱の一神。海原に強風を生み出し罪穢れを吹き払う神。風神。
★『延喜式祝詞 大祓詞(おおはらえのことば)』 
佐久那太理(さくなだり) に落ちたぎつ速川(はやかは) の瀬に坐(ま) 瀬織津比売(せおりつひめ) と云ふ神、大海原に持ち出でなむ。如此(かく) 持ち出で往なば、荒塩(あらしほ) の塩の八百道(やおぢ) の八塩道(やしほぢ) 塩の八百会(やほあひ) に坐す速開都比売(はやあきつひめ) と云ふ神、持ち可可呑(かかの) みてむ。如此可可呑みてば、気吹戸(いぶきど) に坐す気吹戸主(いぶきどぬし) と云ふ神、根国 底之国(ねのくに そこのくに) に気吹(いぶ) き放ちてむ。如此気吹(かくいぶ) き放ちてば、根国 底之国に坐す速佐須良比売(はやさすらひめ) と云ふ神、持ち速佐須良比(さすらひ) 失ひてむ。

  

『弟ツキヨミは 日に次ぎて 民の政を 助けしむ イヨの二名の 治まらで ツキヨミ 遣れば 気吹上げ 突の宮に治す』6文
ツキヨミの妻 イヨツ姫 生むモチタカは イフキヌシ6文
イフキヌシ クマノクスヒと 左右にあり 白・黒駒に 諸 添ひて 山田に到り 飛べば』8文
チワヤより アメヱノミチが 御神に "言 語らん"と 呼ばらしむ 君 イフキトに 執めしむ イフキトヌシは 御幸輿8文
『鳴り巡る ハタタ神なり イフキトは ウツロヰ招き これを消す 叢雲覆ひ 暗ませば』8文
シナトを招き 吹き払ふ 炎を吐きて 室 焼けば タツタ姫招き これを消す』8文

タカノには 化け物 出でて イフキヌシ 宮を建つれば 鎮まるに ヲシテ 賜わる タカの尊8文
の サクナタリ "ハタレ厭ふ"の 種を得て みよ治まれど』9文
『源は マスヒトに 因るなれば イフキトヌシに 討たしむる』9文

叔父の シムの誤ち 償のえと 嘆き歌ふや "上下に殖る 吾が実の瘡ゆ シムの幹 三千日 挟まで あらぶる虞れ"』9文
『さすがに温るる イフキ守 シムの蹲え 共涙 駒より降りて ソサノヲの 手を引き起す シムの寄り』9文
『阿 癒える如は 後の忠 功成せば 晴れやらん を助けて 一途に マスヒト討たば 忠なりと』9文
八岐県を モチタカに 賜えば阿波の イフキ守9文
『御言宣 "乗教人" と なる 寄子 イフキドヌシや ソサノヲと 総べ八十五万 三千十八の に伝ふる 乗り技も』19-1文
『伊予のイフキは アメ山に 写し 田を成す』24文
ハタレ君 七十万九千を 群れ集め 国を乱れば スミヨロシ カトリカシマや イフキヌシ カダタチカラヲ クスヒ尊28文
『みな得て これを打つ 時に六ハタレ みな降る これ皇尊の 御言宣』28文
『また問ふ " 治を棄つや" ホロして曰く "治は棄てず 植ゆを畏れて"  またも問ふ "イフキカミかや"』28文
『時に母 タナコ姫あり 応え言ふ "昔 二尊 日の神を君 は次ぐ 次ぐは臣 この子 臣なり 臣を以て まだ君とせず』28文
『行き過ぐ道に イフキ神 大 成して 横たわる』40文
『踏み越え行けば イフキ神 氷 降らして 活を奪ふ』40文
『"天が下 和して恵る 日月こそ 晴れて明るき 民の父母" これ解けず 罪に落つるを イフキ神 率きて守とす』40文

  

  

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