【原文カタカナ訳】 【語義考察】 【漢字読み下し】
ヒコミコトチオヱルノアヤ ひこみことちおゑるのあや ヒコ尊 'ち'を得るの文 (鉤/幸/治)
ミソフスス コモヱフソミホ みそふすす こもゑふそみ■ほつまつたえ 地の巻25 ひこみことちおゑるのあや【ヒコミコト ちを得るの文】a>ほ 三十二鈴 九百枝二十三穂 ウツキハツ ワケイカツチノ うつきはつ わけいかつちの 四月初 ワケイカツチの アマキミハ フカキオモヒノ あまきみは ふかきおもひの 天君は 深き思ひの アルニヨリ オオシマオシテ あるにより おおしまおして あるにより オオシマをして アワウミノ ミツホノミヤオ あわうみの みつほのみやお アワ海の ミヅホの宮を ツクラシム ナレハヒオミテ つくらしむ なれはひおみて 造らしむ 「成れば日を見て
ウツラント うつらんと 移らん」 と
サキニタラチヲ さきにたらちを さきにタラチヲ (オシホミミ) ヒタルトキ ハコネノホラニ ひたるとき はこねのほらに ひたる時 ハコネの洞に イリマスオ ハハチチヒメハ いりますお ははちちひめは 入りますを 母チチ姫は コトアリテ イセニイタリテ ことありて いせにいたりて 言ありて イセに到りて (遺言) ヲンカミニ アサユフツカエ をんかみに あさゆふつかえ 御神に 朝夕仕え (アマテル) マツラシム まつらしむ 奉らしむ →ホ27
ソヨロトシヘテ そよろとしへて 十万年経て イマカレニ ハコネニモフテ いまかれに はこねにもふて いまかれに ハコネに詣で 久しぶりに ヌサササケ ソレヨリイセニ ぬさささけ それよりいせに 幣 捧げ それよりイセに ミユキナル ヲンカミオヨヒ みゆきなる をんかみおよひ 御幸なる 御神および チチヒメオ オカミテアワノ ちちひめお おかみてあわの チチ姫を 拝みてアワの ミツホクニ ミヤウツシナル みつほくに みやうつしなる ミヅホ国 宮移し成る
ムメヒトハ ハラニトトマリ むめひとは はらにととまり ムメヒトは ハラに留まり (ハラアサマ宮) マツリコト コヤネアツカリ まつりこと こやねあつかり 政事 コヤネ預り <は> モノヌシハ トモナスユエニ ものぬしは ともなすゆえに モノヌシは 供なすゆえに (コモリ) <君の> ミソクイオ ソエモノヌシト みそくいお そえものぬしと ミゾクイを 副モノヌシと <して> ハラノモリ はらのもり ハラの守り
ニハリニイマス にはりにいます ニハリに居ます スセリミヤ ムカシノアトニ すせりみや むかしのあとに スセリ宮 昔の跡に (ウカワ仮屋) イマツクル ウカワノミヤニ いまつくる うかわのみやに いま造る ウカワの宮に 改めて造る ウツリマス うつります 移ります →ホ24
フタアレスソノ ふたあれすその 二荒裾の (二荒山) ウツミヤハ オオツシノミヤ うつみやは おおつしのみや ウツ宮は オオツシノ宮 (ヒコホオテミ) イマツクリ コレタマワリテ いまつくり これたまわりて いま造り これ賜わりて ウツリマス うつります 移ります
トキニイミナノ ときにいみなの 時に斎名の (ウツキネ) ユエアレハ ウカワオコエト ゆえあれは うかわおこえと 故あれば ウカワを乞えど →24文 ユルサレス ゆるされす 許されず ツネニカリシテ つねにかりして 常に狩りして タノシメハ ヤマサチヒコト たのしめは やまさちひこと 楽しめば "山サチヒコ" と マタスセリ ツリタノシメハ またすせり つりたのしめは またスセリ 釣り楽しめば サチヒコト さちひこと "サチヒコ" と
キミハミツカラ きみはみつから 君は自ら (ニニキネ) ミカリナス ニシナカクニノ みかりなす にしなかくにの 巡幸りなす 西中国の ヤマオモテ イセキツツミニ やまおもて いせきつつみに 山表 井堰・堤に (山陽) アラタナス ニシニイタリテ あらたなす にしにいたりて 新田成す 西に到りて ハケヤマオ トエハアレオサ はけやまお とえはあれおさ 禿山を 問えば粗長 アキトイフ キノアルナニテ あきといふ きのあるなにて 「あき」 と言ふ 「木の有る名にて (安芸) ナキイカン なきいかん 無き如何」
コレオロチアリ これおろちあり 「これオロチあり クニカミノ ヒメオノムユエ くにかみの ひめおのむゆえ 国守の 姫を呑む故 ミナヤケハ ニケテヒカワニ みなやけは にけてひかわに みな焼けば 逃げてヒカワに <木を> キラレケル シカレトヤマハ きられける しかれとやまは 斬られける 然れど山は カフロナリ イマニキコリノ かふろなり いまにきこりの 禿なり 今にきこりの イトマアキ いとまあき 暇飽き」
アマキミエミテ あまきみえみて 天君 笑みて ナケクナト アカツチカミニ なけくなと あかつちかみに 「嘆くな」 と アカツチ守に コレヲシヱ ヒスキノタネオ これをしゑ ひすきのたねお これ教え 檜・杉の種を ウヱサシム トトセニナリテ うゑさしむ ととせになりて 植えさしむ 十年に成りて ミネコモル タミツモタエス みねこもる たみつもたえす 峰 籠る 田水も絶えず →スヘヤマズミ クニユタカ くにゆたか 地 豊か
マタヤマカケモ またやまかけも また山陰も ミメクリテ トコロトコロニ みめくりて ところところに 巡恵りて 所々に イセキナシ タカタヒラキテ いせきなし たかたひらきて 井堰成し 高田開きて カエリマス ユタカナルトシ かえります ゆたかなるとし 帰ります 豊かなる年 ミヨロヘル みよろへる 三万経る
トキニツクシノ ときにつくしの 時にツクシの ヲサマラテ ミコミクタリオ をさまらて みこみくたりお 治まらで 御子御下りを コフユエニ キミキコシメシ こふゆえに きみきこしめし 乞ふ故に 君 聞こし召し シノミヤオ ツクシヲキミト しのみやお つくしをきみと シノ宮を "ツクシ皇君" と (ウツキネ) ミコトノリ みことのり 御言宣
ウツキネハラノ うつきねはらの ウツキネ ハラの ミヤニユキ イトマオコエハ みやにゆき いとまおこえは 宮に行き 暇を乞えば (ハラアサマ宮) ムメヒトモ トモニノホリテ むめひとも ともにのほりて ムメヒトも 共に上りて ミツホナル アマキミヲカム みつほなる あまきみをかむ ミヅホなる 天君拝む
トキニキミ ツクシハカテノ ときにきみ つくしはかての 時に君 「ツクシは糧の タラサルカ テレハユキミテ たらさるか てれはゆきみて 足らざるか てれば行き回て タオマサン カレムメヒトオ たおまさん かれむめひとお 田を増さん 故ムメヒトを ヲキミトス コヤネモノヌシ をきみとす こやねものぬし 皇君とす コヤネ・モノヌシ <ミツホの> (コモリ) モロトモニ ココニトトマリ もろともに ここにととまり 両共に ここに留まり マツリキケ まつりきけ 政 聞け」
ウツキネスセリ うつきねすせり 「ウツキネ・スセリ キタノツニ ユキテヲサメヨ きたのつに ゆきてをさめよ 北の都に 行きて治めよ イササワケ アレハムツメヨ いささわけ あれはむつめよ イササワケ あれば睦めよ」
アマキミハ ニシノミヤヨリ あまきみは にしのみやより 天君は 西宮より カメニノリ ツクシウマシノ かめにのり つくしうましの カメに乗り ツクシウマシの ウトニツキ ツクシアマネク うとにつき つくしあまねく ウトに着き 筑紫あまねく メクリカリ イセキツツミニ めくりかり いせきつつみに 恵り駆り 井堰・堤に アラタナス ノリサタムレハ あらたなす のりさたむれは 新田成す 法 定むれば
スミヨシノ マコホタカミヤ すみよしの まこほたかみや スミヨシの 孫ホタカミや シカノカミ ツクシニコエハ しかのかみ つくしにこえは シガの守 ツクシに乞えば (筑前・後) ソヲノハテ カコニコエトモ そをのはて かこにこえとも ソヲのハテ カゴに乞えども (鹿児島)
ヒメモスニ ツキスムマテモ ひめもすに つきすむまても ひめもすに 月澄む迄も ミオツクシ ミトセニサシヱ みおつくし みとせにさしゑ 身を尽し 三年に指絵 (心身) ホホナリテ ツクリオコナイ ほほなりて つくりおこない ほぼ成りて 造り行い ヲサメシム をさめしむ 治めしむ
ノチニミツホニ のちにみつほに 後にミヅホに カエマセハ ムメヒトヲキミ かえませは むめひとをきみ 帰えませば ムメヒト皇君 シワカミノ ホツマノミヤニ しわかみの ほつまのみやに "地上の ほつまの宮" に カエリマスカナ かえりますかな 帰りますかな
ヱトノミヤ キタツニアリテ ゑとのみや きたつにありて 兄弟の宮 北都にありて ココロミニ ウミサチヒコカ こころみに うみさちひこか 試みに 海サチヒコが サチカエン ヤマサチヒコモ さちかえん やまさちひこも 「サチ換えん」 山サチヒコも ウナツキテ ヱハユミヤトリ うなつきて ゑはゆみやとり 頷きて 兄は弓矢取り ヤマニカル トハウミニイリ やまにかる とはうみにいり 山に狩る 弟は海に入り ツリオナス つりおなす 釣りをなす
トモニムナシク ともにむなしく 共にむなしく サチアラス ヱハユミヤカエ さちあらす ゑはゆみやかえ サチあらず 兄は弓矢返え (見返り) チオモトム トハチオトラレ ちおもとむ とはちおとられ 鉤を求む 弟は鉤を取られ ヨシナクテ ニイチモトメハ よしなくて にいちもとめは 由なくて 新鉤求めば 調達せば ヱハウケス モトチハタレハ ゑはうけす もとちはたれは 兄は受けず 元鉤 徴れば
タチオチニ ヒトミニモレト たちおちに ひとみにもれと 太刀を鉤に 一箕に盛れど 太刀を潰して鉤を造り 一杯に盛れど ナオイカリ サワナキモトノ なおいかり さわなきもとの なお怒り 多なき元の チオハタル ちおはたる 鉤を徴る
ハマニウナタレ はまにうなたれ 浜にうなだれ ウレフトキ カリワナニオツ うれふとき かりわなにおつ 憂ふ時 雁 罠に陥つ コレオトク シホツツノヲチ これおとく しほつつのをち これを解く シホツツの翁 (自分の姿を写し見て) ユエオトフ ママニコトフル ゆえおとふ ままにことふる 故を問ふ ままに答ふる ありのままに答える ヲチイワク キミナウレヒソ をちいわく きみなうれひそ 翁曰く 「君な憂ひそ ハカラント はからんと 計らん」 と
メナシカタアミ めなしかたあみ 目無し交編み カモニイレ ウタフタツケテ かもにいれ うたふたつけて カモに入れ 歌札付けて <交編みに> キミモノセ ホアケトモツナ きみものせ ほあけともつな 君も乗せ 帆上げ艫綱 トキハナツ ときはなつ 解き放つ
ツクシウマシノ つくしうましの ツクシウマシの ハマニツク カモアミステテ はまにつく かもあみすてて 浜に着く カモ・網すてて
ユキイタル ソヲハテカミノ ゆきいたる そをはてかみの 行き到る 曽於ハテ守の ミツカキヤ ウテナカカヤク みつかきや うてなかかやく 瑞垣や ウテナ輝く 央殿を輝かす ヒモクレテ ハヱハユツリハ ひもくれて はゑはゆつりは 日も暮れて ハヱ葉・譲葉 シキモシテ イネモセテマツ しきもして いねもせてまつ 繁茂して 寝ねもせで待つ 寝ずに日の出を待つ
アマノトモ あまのとも 海女の朋 (連中) アケテムレテル あけてむれてる 明けて群れ出る <年が> ワカヒメカ マリニワカミツ わかひめか まりにわかみつ 若姫が 椀に若水 クマントス ツルヘハヌレハ くまんとす つるへはぬれは 汲まんとす つるべ跳ぬれば 上げると カケウツル オトロキイリテ かけうつる おとろきいりて 影映る 驚き入りて タラニツク ソラツカミカハ たらにつく そらつかみかは 親に告ぐ 「空つ尊かは マレヒトト まれひとと 稀人」 と
チチハミハモオ ちちはみはもお 父は御衣裳を ノソミミテ ヤヱノタタミオ のそみみて やゑのたたみお 望み見て 八重の畳を →織法 シキモウケ ヒキイレマシテ しきもうけ ひきいれまして 敷き設け 引き入れ申して ユエオトフ キミアルカタチ ゆえおとふ きみあるかたち 故を問ふ 君 ある形 ノタマエハ ハテカミシハシ のたまえは はてかみしはし 宣給えば ハテ守しばし オモフトキ ウトモリキタリ おもふとき うともりきたり 思ふ時 ウド守来たり <て> カタアミノ タカカモカアル かたあみの たかかもかある 「交編みの 誰がカモがある 何者かのカモ船がある トシノアサ ウタエソムルオ としのあさ うたえそむるお 年の朝 歌得 染むるを 歌札に何か書いてあるのを トリミレハ ワカノウタアリ とりみれは わかのうたあり 取り見れば ワカの歌あり」
シホツツカ メナシカタアミ しほつつか めなしかたあみ 『シホツツが 目無し交編み ハルヘラヤ ミチヒノタマハ はるへらや みちひのたまは 張るべらや 満干の珠は ハテノカンカセ はてのかんかせ ハテの神カセ』
トキニハテ モロアマメシテ ときにはて もろあまめして 時にハテ 諸海女 召して コレオトフ ヒキメハヒカン これおとふ ひきめはひかん これを問ふ ヒキ女は 「引かん アラコアミ クチメカツリモ あらこあみ くちめかつりも 粗籠網」 クチ女が 「釣り」 も ヨシナシヤ アカメヒトリハ よしなしや あかめひとりは 由無しや アカ女一人は メナシアミ めなしあみ 「目無し網」
ココニハテカミ ここにはてかみ ここにハテ守 モロアマオ アカメニソエテ もろあまお あかめにそえて 諸海女を アカ女に添えて メナシアミ ヨモヒレトレハ めなしあみ よもひれとれは 目無し網 四方ひれどれば オオタイカ クチオカミサキ おおたいか くちおかみさき 大鯛が クチを噛み裂き マエニヨル まえによる 前に寄る
アカメハクチニ あかめはくちに アカ女はクチに モトチヱテ タイオイケスニ もとちゑて たいおいけすに 元鉤得て 鯛を生簀に マツヘシト ツクレハハテハ まつへしと つくれははては 「待つべし」 と 告ぐれば ハテは サキニシル ユメニタイキテ さきにしる ゆめにたいきて 先に知る 夢に鯛来て ワレウオノ ヨシナキタメニ われうおの よしなきために 「我 魚の 由無きために クチササク ワレハミケニト くちささく われはみけにと クチ捧ぐ 我は御食に」 と
ミコトノリ タイハウオキミ みことのり たいはうおきみ 御言宣 「鯛は魚君 ミケノモノ シルシハウロコ みけのもの しるしはうろこ 厳のもの 印は鱗 ミツニヤマ ウツシテカエス みつにやま うつしてかえす 三つに山 移して替す (三鱗) 鱗を山に置き替えた ミツヤマノ タイハコレナリ みつやまの たいはこれなり 三つ山の 鯛はこれなり クチハイム アカメオホメテ くちはいむ あかめおほめて クチは忌む アカ女を褒めて ヨトヒメト よとひめと "淀姫" と」
キミハチオヱテ きみはちおゑて 君は鉤を得て ヨロコヒニ シカノカミシテ よろこひに しかのかみして 喜びに シガの守して カエサシム ワニニノリユキ かえさしむ わににのりゆき 返さしむ ワニに乗り行き シノミヤテ ヤマクイマネキ しのみやて やまくいまねき シノ宮で ヤマクイ招き モロトモニ ウカワニユケハ もろともに うかわにゆけは 両共に ウカワに行けば (ウカワ宮)
ミヤアイテ トエハヤマクイ みやあいて とえはやまくい 宮 会いて 問えばヤマクイ (ホノススミ) コレムカシ キミカチオカリ これむかし きみかちおかり 「これ昔 君が鉤を借り (ホオテミ) トラレシオ イマトリカエシ とられしお いまとりかえし 取られしを 今 取り返し トミヤカラ シカノカミシテ とみやから しかのかみして 弟宮から シガの守して カエサシム シカハチオモチ かえさしむ しかはちおもち 返さしむ」 シガは鉤を持ち タテマツル たてまつる 奉る
ミヤウカカヒテ みやうかかひて 宮うかがひて ワカチソト イイツツタツオ わかちそと いいつつたつお 「我が鉤ぞ」 と 言いつつ立つを ソテヒカエ マチチトイエハ そてひかえ まちちといえは 袖 控え 「待ちち」 と言えば ミヤイカリ ミチナクワレオ みやいかり みちなくわれお 宮 怒り 「道なく我を 道理無く ナセノロフ ヱニハオトカラ なせのろふ ゑにはおとから なぜのろふ 兄には弟から ノホルハス のほるはす 上るはず」
コタエテイナヤ こたえていなや 応えて 「否や クチイトオ カエテカスハス くちいとお かえてかすはす 朽ち糸を 換えて貸すはず シレハサチ シラネハオトエ しれはさち しらねはおとえ 知ればサチ 知らねば弟へ 認めれば貸し借りなし コマハヒニ ワヒコトアレト こまはひに わひことあれと 駒這ひに 詫び言あれ」 と イエハナオ イカリテフネオ いえはなお いかりてふねお 言えばなお 怒りて船を コキイタス こきいたす 漕ぎ出す
タマオナクレハ たまおなくれは 珠を投ぐれば ウミカワク シカオヒユキテ うみかわく しかおひゆきて 海乾く シガ追ひ行きて (アワ海) フネニノル ミヤトヒニクル ふねにのる みやとひにくる 船に乗る 宮 飛び逃ぐる <宮の> 船を飛び降りる ヤマクイモ ハセユキミヤノ やまくいも はせゆきみやの ヤマクイも 馳せ行き宮の テオヒケハ シカマタナクル ておひけは しかまたなくる 手を引けば シガまた投ぐる タマノミツ アフレテステニ たまのみつ あふれてすてに 珠の水 溢れてすでに シツムトキ しつむとき 沈む時
ナンチタスケヨ なんちたすけよ 「汝 助けよ ワレナカク オトノコマシテ われなかく おとのこまして 我 永く 弟の駒して カテウケン ココニユルシテ かてうけん ここにゆるして 糧 受けん」 ここに許して ムカヒフネ ミヤニカエリテ むかひふね みやにかえりて 迎ひ船 宮に帰りて (ウカワ宮) ムツミテソサル むつみてそさる 睦みてぞ更る 帰る
ハテツミハ キミニモフサク はてつみは きみにもふさく ハテツミは 君に申さく ワカコトテ トヨツミヒコト わかことて とよつみひこと 「我が子」 とて トヨツミヒコと トヨタマメ タケツミヒコト とよたまめ たけつみひこと トヨタマ姫 タケツミヒコと オトタマメ ツレイテキミオ おとたまめ つれいてきみお オトタマ姫 連れ率て君を オカマシム おかましむ 拝ましむ
キミハツクシノ きみはつくしの 君はツクシの (三十二県の) カミアツメ ワレツマイレン かみあつめ われつまいれん 守集め 「我 妻入れん モロイカン トキニホタカミ もろいかん ときにほたかみ 諸 如何ん」 時にホタカミ モフサクハ サキニコフトキ もふさくは さきにこふとき 申さくは 「先に乞ふ時 <御子下りを> キミノナモ ツクシノヲキミ きみのなも つくしのをきみ 君の名も "ツクシの皇君" コレココノ アマツカミナリ これここの あまつかみなり これここの 和つ尊なり オマカセニ おまかせに 御任せに
ムカシハハキミ むかしははきみ 昔 母君 (アシツ姫) アマキミニ ヒトヨチキリテ あまきみに ひとよちきりて 天君に 一夜契りて (ニニキネ) ノチニメス キミマツハカル のちにめす きみまつはかる 後に召す 君まず諮る ナオヨシト カコシマミヤニ なおよしと かこしまみやに なお好し」 と カゴシマ宮に ウツリマス うつります 移ります
トヨタマヒメオ とよたまひめお トヨタマ姫を ミキサキニ スケウチシモメ みきさきに すけうちしもめ 御后に 典侍・内・下侍 フタリツツ ムツホネモナリ ふたりつつ むつほねもなり 二人ずつ 六局も成り トトノエハ ソノアスミカニ ととのえは そのあすみかに 調えば その明三日に トヨツミカ タマカサソロエ とよつみか たまかさそろえ トヨツミが 玉笠揃え タママリモ ムタリニモタセ たままりも むたりにもたせ 玉椀 六人に持たせ ミツササク コエオソロエテ みつささく こえおそろえて 水捧ぐ 声を揃えて
モモヒナキ マクハイノチノ ももひなき まくはいのちの 『モモヒナキ 交ぐ合ひ後の ミカノヒノ カワミツアヒテ みかのひの かわみつあひて 三日の日の 川水浴びて ウヒチニノ カミカラシモヱ うひちにの かみからしもゑ ウビチニの 上から下へ ハナムコニミツ はなむこにみつ 花婿に水 マイラセフ マイラセフ まいらせふ まいらせふ 参らせふ 参らせふ』 →水祝い
コノトキニ ミソフアカタノ このときに みそふあかたの この時に 三十二県の カミウタイ ヨロトタノシム かみうたい よろとたのしむ 守 歌い 宜と楽しむ
シカルノチ サキノミユキノ しかるのち さきのみゆきの しかる後 さきの御幸の <ニニキネの> イセキミナ ミココロソエテ いせきみな みこころそえて 井堰みな 実心添えて ニイタナス ツクシミソフノ にいたなす つくしみそふの 新田成す ツクシ三十二の ミメクリテ カコシマニマス みめくりて かこしまにます 巡恵りて カゴシマに座す トシトシニ ミノリモフエテ としとしに みのりもふえて 年々に 実りも増えて クニユタカ くにゆたか 国 豊か
コトシウエツケ ことしうえつけ 今年植付け この年の田植えは テレトヨシ ウサノアカタニ てれとよし うさのあかたに 照れど良し ウサの県に 少雨なれど良好 ハヤラセテ サツキノモチノ はやらせて さつきのもちの 流行らせて 五月の十五日の (梅雨の季節) ハルイワヒ はるいわひ 春祝 (御田植祭)
モチヰハヱシキ もちゐはゑしき 餅飯・ハヱ 飾き ウケカミニ イハフホナカト うけかみに いはふほなかと ウケ神に 祝ふ穂長と 促す 成長と ユツリハノ ホツマアソヒノ ゆつりはの ほつまあそひの 譲葉の ほつま遊びの 継続の (田遊) ミツホウタ タノシニキハフ みつほうた たのしにきはふ 瑞穂歌 楽し賑わふ トヨノクニ ミソフノアカタ とよのくに みそふのあかた "豊の国" 三十二の県 ミナハヤル みなはやる みな流行る
カトマツハヱハ かとまつはゑは 門松・ハヱ葉 ユツリハモ ハルシキカサル ゆつりはも はるしきかさる 譲葉も 春 飾きかざる 新春 モトオリヤ もとおりや もとおりや
トヨニキハヒテ とよにきはひて トヨ賑ひて ムヨロトシ ヘテモアソクニ むよろとし へてもあそくに 六万年 経てもアソ国 (阿蘇) マタコエス カレミヤツクリ またこえす かれみやつくり まだ肥えず 故 宮造り (アソ宮) ウツリマス ハオカンカエテ うつります はおかんかえて 移ります 埴を考えて カソミネノ カソウオイレテ かそみねの かそうおいれて 数峰の 数魚入れて タオコヤシ たおこやし 田を肥やし
カケロフノヒノ かけろふのひの 陽炎の火の コエクニノ タケイワタツハ こえくにの たけいわたつは "肥国" の タケイワタツは クツオアケ アソヒメユナニ くつおあけ あそひめゆなに 沓を上げ アソ姫 斎餞に タテマツル キミメシアケテ たてまつる きみめしあけて 奉る 君 召し上げて ウチキサキ ココニモムヨロ うちきさき ここにもむよろ 内后 ここにも六万 トシオヘテ としおへて 年を経て
シカノカミタハ しかのかみたは シガの守方は シガの守の県は マタミテス ツクシノミヤニ またみてす つくしのみやに まだ充てず ツクシの宮に ウツリマス ハオカンカエテ うつります はおかんかえて 移ります 埴を考えて アフラカス イレテカスヤノ あふらかす いれてかすやの 油粕 入れてカスヤの (粕屋) ハニミツル ソノホカミソノ はにみつる そのほかみその 埴 充つる そのほか三十の (「充つ」の連体形) その他の三十県も (他下二) マネクユエ メクリカンカエ まねくゆえ めくりかんかえ 招く故 "巡幸り考え ツクシミヤ ユタカニコエテ つくしみや ゆたかにこえて 尽し宮" 豊かに肥えて タミヤスク ココニモムユロ たみやすく ここにもむよろ 民 安ぐ ここにも六万 トシオヘテ としおへて 年を経て
ミススノアイタ みすすのあいた 三鈴の間 シハラクモ ヤスマテタミオ しはらくも やすまてたみお しばらくも 休まで民を タスユエニ キサキツホネモ たすゆえに きさきつほねも 治すゆえに 后・局も (内宮) ミコウマス みこうます 御子生まず
カレコレオホシ かれこれおほし 故 これ思し ミヤステテ ウトニイタレハ みやすてて うとにいたれは 宮 捨てて ウドに到れば ハテカミノ マネクカコシマ はてかみの まねくかこしま ハテ守の 招くカゴシマ ユキマサス キサキハチチニ ゆきまさす きさきはちちに 「行きまさず」 后は父に (トヨタマ姫) コレオツク これおつく これを告ぐ
ハテカミウトニ はてかみうとに ハテ守 ウドに モフサクハ キミタノサスヤ もふさくは きみたのさすや 申さくは 「君 楽さずや シカラスソ ツホネハアレト しからすそ つほねはあれと 然らずぞ 局はあれど コオウマス カレニステオキ こおうます かれにすておき 子を生まず 故に捨て置き タタヒトリ ツレテシハラク たたひとり つれてしはらく ただ一人 連れてしばらく (トヨタマのみ) ココニアリ ツクシノタミオ ここにあり つくしのたみお ここにあり ツクシの民を オモフハカリソ おもふはかりそ 思ふ計りぞ」
リンク先の説明文中
★印のついたものは他の文献・サイトからの引用。
■印のついたものは筆者の個人的な意見です。
【ホツマツタヱ解読ガイド】 【ミカサフミ解読ガイド】 【ふとまに解読ガイド】
【やまとことばのみちのく】 【にしのことばのみちのく】 【あめなるみち】
【ホツマツタエのおもしろ記事】