※29文〜40文は、地名については原義と異なると思われる場合でも、現在一般に使用されている漢字で表記しています。

  
 【原文カタカナ訳】      【語義考察】           【漢字読み下し】
 アツタカミヨオイナムアヤ   あつたかみいなむあや     アツタ神 世を辞む文
  
 マキムキノ ヒシロノコヨミ  まきむきの ひしろこよみ    纏向の       日代の暦
                                          (景行天皇)

 ヨソヒハル ヤマトタケキミ  よそひはる やまとたけきみ    四十一年春      ヤマトタケ君
                                 (上鈴828年)

 キソチヨリ イタルオハリノ  きそちより いたるおはりの    木曾路より     到る尾張の

 タケトメカ マコノムラシノ  たけとめか まこむらしの    タケトメが     孫のの
                                            (乎止与)

 ヰヱニイル ツマミヤスヒメ  ゐゑいる つまみやすひめ    家に入る      妻ミヤズ姫
                                             (宮簀媛)

 ミヤコヨリ オクリテチチカ  みやこより おくりちちか    都より       送りて父が
                                             (乎止与)

 ヰヱニマツ イマキミココニ  ゐゑまつ いまきみここに    家に待つ      いま君ここに

 ツキオコス          つきこす            月を越す
                                (景行41年3月)
  
        キミノタマハク         きみのたまはく                君 宣給わく

 サカオリノ ミヤハムカシノ  さかおりの みやむかしの    「サカオリの    宮は昔の
                                 (ハラミサカオリ)

 ハラノミヤ ナオナカラエリ  はらのみや なおなからえ    ハラの宮      なお永らえり
                                 (ハラアサマ宮)

 ワカネカヒ ウツシテヒメト  わかねかひ うつしひめと    我が願ひ      写して姫と

 タノシマン ムラシモウサク  たのしま むらしもうさく    楽しまん」     連 申さく

 トミユキテ ヱカキウツサン  とみゆきて ゑかきうつさ    「臣 行きて     絵描き写さん」

 キミヱヱス          きみゑゑす            君 笑悦す
  
        ムラシクタリテ        むらしくたりて               連 下りて

 サカオリノ ミヤオクワシク  さかおりの みやおくわしく    サカオリの     宮を詳しく

 ヱニウツシ カヱコトスレハ  にうつし かゑことすれは    絵に写し      返言すれば
  
  
 ヤマトタケ アラフルカミノ  やまとたけ あらふるかみの    ヤマトタケ     あらぶる神の
                                            (イフキ神)

 アルオキキ ツルキトキオキ  あるきき つるきときおき    荒るを聞き     剣 解き置き
                                          (ムラクモ)

 カロンシテ イタルカミチニ  かろんして いたるかみちに    軽んじて      到る神方に
                                             (伊吹山)

 ニキテナク ユキスクミチニ  にきてなく ゆきすくみちに    和幣無く       行き過ぐ道に

 イフキカミ ヲオロチナシテ  いふきかみ をおろちなして    イフキ神      大蛇成して

 ヨコタワル          よこたわる            横たわる
  
       カミトハシラス        かみとはしら              神とは知らず

 ヤマトタケ オロチニイワク  やまとたけ おろちいわく    ヤマトタケ     蛇に曰く

 コレナンチ アレカタカミノ  これなんち あれかたかみの    「これ汝       あれかた神の

 ツカヒナリ アニモトムルニ  つかひなり あにもとむるに    使ひなり      あに求むるに

 タランヤト フミコエユケハ  たらやと ふみこえゆけは    足らんや」と    踏み越え行けば

 イフキカミ ツララフラシテ  いふきかみ つららふらて    イフキ神      氷 降らして

 カオウハフ          うはふ            活を奪ふ
 
       シイテシノキテ        しいしのきて              強いて凌ぎて

 オシアユミ ワツカイテユク  おしあゆみ わつかいてゆく    押し歩み      僅か出で行く

 ココロヱヒ モユルコトクニ  こころゑひ もゆることくに    心酔ひ        燃ゆる如くに

 アツケレハ イツミニマス  あつけれは いつみさます    熱ければ      泉に冷ます

 サメカヰヤ          さめかゐや            冷が井や
                                  (醒井)
  
        ミアシイタムオ        みあしいたむお              御足傷むを

 ヤヤサトリ オハリニカエリ  ややさとり おはりかえり    やや悟り      尾張に帰り

 ミヤツメノ ヰヱニイラステ  みやつめの ゐゑいらて    ミヤツ姫の     家に入らずて

 イセノミチ オツノヒトマツ  いせのみち おつひとまつ    伊勢の道      尾津の一松

 コレムカシ ホツマクタリノ  これむかし ほつまくたりの    これ昔        ホツマ下りの

 ミアエトキ トキオクツルキ  みあえとき ときおくつるき    御饗時       解き置く剣

 マツノネニ オキワスレシカ  まつに おきわすれか    松の根に      置き忘れしが

 ナカラエリ カレニアケウタ  なからえ かれあけうた    永らえり      故に上げ歌
                                            (捧歌・讃歌)
  
 オワスレト タタニムカエル  おわすれと たたむかえる   『放忘れど      直に迎える
                                         (そのままに)

 ヒトツマツ アハレヒトマツ  ひとつまつ あはれひとまつ    一つ松       あはれヒトマツ

 ヒトニセハ キヌキセマシオ  ひとは きぬきせましお    人にせば      衣着せましを
                                   (「為る」の未然形)     ましょう

 タチハケマシオ        たちはけましお          太刀佩けましを』
                                     ましょう
  
  
 イササカニ ナクサミユケト  いささかに なくさみゆけと    いささかに     慰み行けど
                                   (伊坂)

 アシイタミ ミヱニマカレハ  あしいたみ みゑまかれは    足傷み        妙に曲がれば
                                            ひどく

 ミヱムラソ ツヱツキサカモ  みゑむらそ つゑつきさかも    妙村ぞ       費え尽き境も
                                 (三重村)        (杖衝坂)

 ヤヤコエテ ノホノニイタミ  ややこえて のほのいたみ    やや越えて     能褒野に傷み

 オモケレハ トリコヰタリオ  おもけれは とりこたりお    重ければ      虜五人を
                                         (津軽・陸奥の国造5人)

 ウチニヤリ カシマミコトノ  うちやり かしまみことの    宇治に遣り     カシマ尊の
                                 (伊勢)         (オオカシマ)

 ソエヒトソ          そえひとそ            添人ぞ
  
       キヒタケヒコハ        きひたけひこは              キビタケヒコは

 ミヤコチエ ノホセモフサク  みやこちえ のほせもふさく    都方へ       上せ申さく

 ソノフミニ          そのふみに            その文に
  
       ハナヒコモフス        はなひこもふす             『ハナヒコ申す

 トミムカシ ミコトオウケテ  とみむかし みことうけて    臣 昔        御言を受けて

 ホツマウチ アメノメクミト  ほつまうち あめめくみと    ホツマ打ち      の恵みと
                                           (天皇)

 イツニヨリ アラフルカミモ  いつより あらふるかみも    稜威により     あらぶる守も

 マツロエハ フツクヲサメテ  まつろえは ふつくをさめて    服えば       悉く治めて

 イマココニ カエレハイノチ  いまここに かえれいのち    今ここに       帰れば命

 ユフツクヒ コヒネカワクハ  ゆふつく こひねかわくは    夕付く日      乞ひ願わくは

 イツノヒカ ミコトカエサン  いつか みことかえさ    いつの日か     御言返さん
                                          御言に対する返言せん

 ノニフシテ タレトカタラン  ふして たれかたら    野に臥して     誰と語らん
                                 野に臥す身で   誰と語るというのでしょう

 オシムラク マミヱヌコトヨ  おしむらく まみゑことよ    惜しむらく     まみえぬことよ
                                              結ばぬ

 アメノノリカナ        あめののりかな          陽陰の法かな』
  
  
 フミトメテ キミイワクワレ  ふみとめて きみいわくわれ    文留めて       君曰く「我

 キツオムケ コトナレハミオ  きつむけ ことなれお    東西を平け     事成れば身を

 ホロホセル カレラヤスマス  ほろほせる かれやすま    滅ぼせる      僕ら安ます
                                  (滅ぼすの連体形)
                                    (次の「僕ら」にも掛かる)

 ヒモナキト ナツカハキシテ  なきと なつかはきて    日も無き」と    ナツカハギして

 ハナフリオ ミナワケタマヒ  はなふりお みなわけたまひ    ハナフリを     みな分け賜ひ

 ウタヨメハ アツタノカミト  うたよめは あつたのかみと    「歌詠めば      アツタの神と
                                            (熱治の神)

 ハヤナルト ユアミハオカエ  はやなると あみかえ    早なる」と     湯浴み 衣を替え
                                 (前に戻る)

 サニムカヒ ヒトミイナムノ  むかひ ひとみいなむの    南に向ひ      人身辞むの
                                 (伊勢)

 ウタハコレソト        うたこれそと          歌はこれぞと
  
 アツタノリ          あつたのり               --- 熱治宣 ---         
  

 イナムトキ キツノシカチト  いなむとき きつしかちと   『辞む時       東西の使人と
                                                 <して>

 タラチネニ ツカエミテネト  たらちねに つかえみてと    父母に       仕え満てねど

 サコクシロ カミノヤテヨリ  さこくしろ かみのやてより    サコクシロ     神の八手より
                                           (天元の八押手)

 ミチウケテ ウマレタノシム  みちうけて うまれたのしむ    道受けて       生れ楽しむ
                                            人生を楽しむ

 カエサニモ イサナヒチトル  かえさにも いさなひちとる    還さにも      誘ひちどる
                                         <天に>    渡す

 カケハシオ ノホリカスミノ  かけはしお のほりかすみの    懸梯を       登り霞の
                                            登りあの世の

 タノシミオ クモヰニマツト  たのしみお くもゐまつと    楽しみを      曇に待つと

 ヒトニコタエン        ひとこたえ          人に答えん』
  
 モモウタヒ ナカラメオトチ  ももうたひ なからとち    百歌ひ        ながら眼を閉ぢ

 カミトナル          かみとなる            神となる
  
       ナスコトナクテ        なすことなくて              為すこと無くて
                                <主を失った一行は>  どうすることもできずに

 イトナミス ウタハオハリエ  いとなみ うたおはりえ    営みす       歌は尾張へ
                                   過ごす     熱治宣はミヤズ姫のもとへ
  
 キヒノホリ フミササクレハ  きひのほり ふみささくれは    キビ上り       文捧ぐれば
                               キビタケヒコは都に上り

 スヘラキハ ヰモヤスカラス  すへらきは ゐもやすから    皇は        気も安からず

 アチアラス ヒメモスナケキ  あちあらす ひめもすなけき    味あらず       終日嘆き

 ノタマワク ムカシクマソカ  のたまわく むかしくまそか    宣給わく      「昔クマソが

 ソムキシモ マタアケマキニ  そむきも またあけまきに    背きしも      まだ総角に

 ムケエタリ マテニハヘリテ  むけたり まてはへりて    平け得たり     左右に侍りて

 タスケシニ ホツマオウタス  たすけに ほつまうた    助けしに      ホツマを打たす

 ヒトナキオ シノヒテアタニ  ひとなきお しのひあたに    人なきを       忍びて仇に

 イラシメハ アケクレカエル  いらしめは あけくれかえる    入らしめば     明け暮れ帰る

 ヒオマツニ コハソモナンノ  まつに そもなんの    日を待つに     此はそも何の
                                                 (何に対する)

 ワサハヒソ ユクリモナクテ  わさはひそ ゆくりなくて    災ひぞ       縁も無くて

 アカラメス タレトミワサオ  からめす たれみわさお    天から召す     誰と御業を

 ヲサメンヤ モロニノリシテ  をさめや もろのりて    治めんや」     諸に宣して

 カミオクリ          かみおくり            神送り
  
  
       トキニオモムロ        ときおもむろ              時に骸

 ナルイトリ イツレハモロト  なるいとり いつれはもろと    なる斎鳥       出づれば諸と

 ミササキノ ミヒツオミレハ  みささきの みひつみれは    御陵の       御棺を見れば

 カンムリト サクトミハモト  かんむりと さくみはもと    冠と        笏と御衣裳と

 トトマリテ ムナシキカラノ  ととまりて むなしきからの    留まりて      空しき殻の
                                           (1.空の棺)
                                           (2.亡骸)

 シライトリ オヒタツヌレハ  しらいとり おひたつぬれは    白斎鳥       追ひ尋ぬれば

 ヤマトクニ コトヒキハラニ  やまとくに ことひきはらに    大和国       琴弾原に

 オハヨエタ オキテカワチノ  おはえた おきかわちの    尾羽四枝       置きて河内の

 フルイチニ マタヨハオツル  ふるいちに またおつる    古市に       また四羽落つる

 ソコココニ ナスミササキノ  そこここに なすみささきの    其所此所に     成す御陵の

 シラトリモ ツヒニクモヰニ  しらとりも つひくもゐに    白鳥も       つひに曇に

 トヒアカル          とひあかる            飛び上がる
  
       オハハアタカモ        おははあたかも              尾羽はあたかも

 カミノヨノ ヨハキシソコレ  かみのよの よはきしこれ    上の治の      世掃しぞこれ
                                 (天皇の治む世)

 キツモミナ タセハマカレル  きつみな たせはまかれる    東西もみな     足せば罷れる
                                 [起尽]           (「罷る」の連体形)
                                           満つれば欠ける

 アメノリソ          あめのりそ            陽陰法
  
  
       コノキミヒシロ        このきみひしろ              この君 日代
                                           (オウス)

 スヘラキノ フノミコハハハ  すへらきの みこははは    皇の        二の御子 母は
                                 (景行)

 イナヒヒメ シハスノモチニ  いなひひめ しはすもちに    イナヒ姫      十二月の十五日に

 モチツキテ モチハナナシテ  もちつきて もちはななして    餅つきて       餅花成して

 フタコウム ヲウスモチヒト  ふたこうむ をうすもちひと    双子生む       ヲウス モチヒト

 トハコウス ハナヒコモコレ  こうす はなひここれ    弟はコウス     ハナヒコもこれ

 アメノナソ          あめのなそ            斎の名
  
       ヒトナルノチニ        ひとなるのちに              人成る後に

 クマソマタ ソムケハコウス  くまそまた そむけはこうす    クマソまた     背けばコウス

 ヒトリユキ オトメスカタト  ひとりゆき おとめすかたと    ひとり行き      乙女姿と

 ナリイリテ ハタノツルキテ  なりいりて はたのつるきて    なり入りて      肌の剣で

 ムネオサス タケルシハシト  むねさす たけるしはしと    胸を刺す      タケル「しばし」と
                                          (トリイシカヤ)

 トトメイフ ナンチハタレソ  ととめいふ なんちたれそ    止め言ふ      「汝は誰ぞ」

 ワレハコレ イサスヘラキノ  われこれ いさすへらきの    「我はこれ     いざ皇の

 コノコウス          こうす            子のコウス」
  
       タケルカイワク        たけるかいわく              タケルが曰く

 ヤマトニハ ワレニタケタハ  やまとには われたけは    「ヤマトには    我に長けたは
                                   (日本)

 ミコハカリ カレミナツケン  みこはかり かれみなつけ    御子ばかり     故 御名付けん

 キキマスヤ ユルセハササク  ききます ゆるせささく    聞きますや」    許せば捧ぐ

 ヤマトタケ ミコナオカエテ  やまとたけ みこかえて    "ヤマトタケ"    御子 名を替えて

 ウチヲサム アメノホマレヤ  うちをさむ あめほまれや    討ち治む      の誉れや
                                          (中央政府)
  
 ヤマトタケ イマスノマコノ  やまとたけ いますまこの    ヤマトタケ     イマスの孫の

 タンヤカメ フタチイリヒメ  たんや ふたちいりひめ    タンヤが姫     フタヂイリ姫
                               (オオタンヤワケ)       (両道入姫)

 ウムミコハ イナヨリワケノ  うむみこは いなよりわけの    生む御子は     イナヨリワケの
                                            (稲依別王)

 タケヒコト タリナカヒコノ  たけひこと たりなかひこの    タケヒコと     タリナカヒコの
                                             (足仲彦)
 
 カシキネト ヌノオリヒメト  かしきねと ぬのおりひめと    カシキネと     ヌノオリ姫と
                                            (布忍入姫)

 ワカタケソ          わかたけそ            ワカタケぞ     
                                  (稚武)
  
        キヒタケヒコカ         きひたけひこ                キビタケヒコが

 アナトタケ ウチツマニウム  あなとたけ うちつまうむ    アナトタケ     内妻に生む
                                  (穴戸武媛)

 タケミコト トキワケトナリ  たけみこと ときわけとなり    タケミコと     トキワケとなり
                                  (武卵王)       (十城別王)
  
  
 オシヤマカ オトタチハナオ  おしやまか おとたちはなお    オシヤマが     オトタチバナを
                                             (弟橘姫)

 スケツマニ ワカタケヒコト  すけつまに わかたけひこと    典侍妻に      ワカタケヒコと
                                            (稚武彦王)

 イナリワケ アシカミカマミ  いなりわけ あしかみかまみ    イナリワケ     アシカミカマミ
                                  (稲入別命)       (蘆髪蒲見別)

 タケコカヒ イキナカタワケ  たけこかひ いきなかたわけ    タケコカヒ     イキナカタワケ
                                  (健貝児王)       (息長田別王)

 ヰソメヒコ イカヒコラウム  ゐそめひこ いかひこうむ    ヰソメヒコ     イカヒコら生む
                                 (五十目彦王)     (伊賀彦王)
  
  
 オハリカメ ミヤヒメマタ  おはり みやつひめまた    尾張が姫      ミヤツ姫また
                                 (オトヨ)

 ノチノツマ タケタトサエキ  のちつま たけたさえき    後の妻       タケダサエキ
                                           (武田王) (佐伯王)

 フタリウム ソヨヲヒメアリ  たりうむ そよあり    二人生む        十四男一女あり
  
  
 サキノツマ ミナカレイマハ  さきのつま みなかれいまは    先の妻       みな枯れ 今は

 ミヤツヒメ ヒトリアワント  みやつひめ ひとりあわと    ミヤツ姫      一人 会わんと

 ハラミヨリ ココロホソクモ  はらみより こころほそくも    ハラミより     心細くも

 カケハシオ シノキノホレハ  かけはしお しのきのほれは    懸梯を       凌ぎ上れば
                             <木曾路の>

 ミヤツヒメ ネマキノママニ  みやつひめ ねまきままに    ミヤツ姫      寝巻のままに

 イテムカフ ヒメノモスソニ  いてむかふ ひめもすそに    出で迎ふ      姫の裳裾に

 ツキヲケノ シミタルオミテ  つきをけの しみたるて    月穢の       染みたるを見て

 ヤマトタケ ミシカウタシテ  やまとたけ みしかうたて    ヤマトタケ     短歌して
  
  
 ヒサカタノ アマノカクヤマ  ひさかたの あまのかくやま   『久方の       天の橘山

 カモヨリ ワタリクルヒ  とかもより さわたりくる    遠離方より     岨渡り来る日

 ホソタハヤ カヒナオマカン  ほそたはや かひなまか    細嫋        腕を巻かん
                                細くてしなやかな

 トハスレト ネントアレハ  とはすれと さねあれは    とはすれど     添ねんと吾は

 オモエトモ ナカキケルソノ  おもえとも きけるの    思えども      汝が着ける襲の

 ツキタチニケリ        つきたちにけり          月立ちにけり』
  
  
 ヒメカエシウタ        ひめかえしうた              --- 姫 返し歌 ---
  
 タカヒカル アマノノミコ  たかひかる あまのひのみこ   『高光る       和の日の御子

 ヤスミセシ ワカオホキミノ  やすみせし わかおほきみの    和みせし      我が大君の
                                    [八隅せし]

 アラタマノ トシカキフレハ  あらたまの としきふれは    新玉の       年が来ふれば
                                             (「来ふ」の已然形)

 ウヘナウヘナキミマチカタニ  うへなうへなきみまちかたに    宜な宜な      君待ち難に
                                 嬉し嬉しと     日の御子を待ちがたくて
                                          <心待ちにしてたら>
 
 ワカキケル オスヒノスソニ  きける おすひすそに    我が着ける     襲の裾に

 ツキタタナンヨ        つきたたなんよ          月立たなんよ』
                                 月が立ったんじゃないかな
  
  
 ヤマトタケ オハヨリタマフ  やまとたけ おはよりたまふ    ヤマトタケ     叔母より賜ふ
                                          (ヤマト姫)

 ムラクモオ ヒメカヤニオキ  むらくもお ひめおき    ムラクモを     姫が家に置き

 イフキヤマ          いふきやま            伊吹山
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       カエサノイセチ        かえさいせち              帰さの伊勢路
 イタハレハ ミヤコオモヒテ  いたはれは みやこおもひて    労われば      都 思ひて
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 (異文)
       カエリイセチニ        かえりいせちに              帰り伊勢路に

 イタムトキ ヤカタオウタヒ  いたむとき やかたうたひ    傷むとき      を歌ひ
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 ハシキヤシ ワキヘノカタユ  はしきやし わきへかた   『愛しきやし    我家の方ゆ 
                                 ああ麗しや      我家の方より

 クモタチクモ        くもいたちくも          雲 出立ち来』          38文
                                  [曇  館  来も]            熱治宣
 
                                    1.雲(汚穢隈)が空に立ち昇って往くぞ。
                                    2.雲中の館(汚穢隈に相応しい館)に往くのだなあ。
  
  
 ノコシウタ ミコヤウカラニ  のこしうた みこうからに    遺し歌       御子や親族に

 オリアイノ ツスハヤカタテ  おりあいの つすやかたて    居り合いの     十九は で
                                 (ありあわせ)

 イテタツハ タヒヤニアエル  いてたつは たひやあえる    出で立つは     旅屋に会える
                                              (「会ふ」の連体形)
                                    館を去る人は旅先の宿に偶然に居合せた

 マロヒトト マヨヒノコサヌ  まろひとと まよひのこさ    客人と       迷ひ残さぬ
                                その個性をも知れぬ
                                多くの旅人の一人よ

 サトシウタ フカキココロノ  さとしうた ふかきこころの    諭し歌       深き心の

 ミチヒキソコレ        みちひきこれ          導きぞこれ
  
  
 ノホノニテ カミナルトキニ  のほのにて かみなるときに    能褒野にて     神なる時に

 ノコシウタ ミヤヒメエト  のこしうた みやつひめえと    遺し歌       ミヤズ姫へと
  
  
 アイチタノ オトメカトコニ  あいちたの おとめとこに   『アイチタの     乙女が床に

 ワカオキシ イセノツルキノ  おき いせのつるきの    我が置きし     妹背の連きの
                                               [伊勢の剣]

 タチワカルヤワ        たちわかるやわ          断ち別るやわ』
                                  [太刀]
  
  
 コノワカハ イモセノミチハ  このわかは いもせのみちは    このワカは     妹背の道は

 ツラナリテ タチワカルレト  つらなりて たちわかるれと    連なりて      断ち別るれど
                                          たとえ一時は別れようとも

 ツリノヲハ キレハセヌソト  つりのをは きれそと    連りの緒は     切れはせぬぞと
                                 二人を結ぶ縁は

 ミチヒキオ タツアメノリ  みちひきお たつるあめのり    導きを       立つる陽陰法
                                             (=妹背の道)
  
  
 ミヤスヒメ モタエタエイリ  みやすひめ もたえたえいり    ミヤズ姫      悶え絶え入り

 ヤヤイケリ チチハハラミノ  ややいけ ちちはらみの    やや生けり     父はハラミの
                                           ()(サカオリ宮)

 ヱオウツシ ミヤコニノホリ  うつし みやこのほり    絵を写し      都に上り

 ワカミヤノ ネカヒノママオ  わかみやの ねかひままお    若宮の       願ひのままを

 モウシアケ アイチタニタツ  もうしあけ あいちたたつ    申し上げ      アイチタに建つ

 ミヤナリテ ワタマシコエハ  みやなりて わたましこえは    成りて       渡座し乞えば

 ミコトノリ タタネコイハフ  みことのり たたねこいはふ    御言宣       「タタネコ 斎ふ

 サヲシカト ムラシカフトノ  さをしかと むらしかふとの    差使人       連 代殿
                                             (オトヨ)

 ミコタチオ ミユキノソナエ  みこたちお みゆきそなえ    御子達を      神逝の供え」
                                              (お供)
 
  
 オコソカニ コトヒキハラノ  おこそかに ことひきはらの    厳かに       琴弾原の
                               (「落ちし」 に掛かる)

 ミササキニ オチシオハヨツ  みささきに おちおはよつ    御陵に       落ちし尾羽四つ

 フルイチノ オハヨツトモニ  ふるいちの おはよつともに    古市の       尾羽四つ共に

 モチキタリ ノホノノカフリ  もちきたり のほのかふり    持ち来たり     能褒野の冠

 サクミハモ ミタマケニイレ  さくみはも みたまけいれ    笏 御衣裳      神霊笥に入れ

 シラミコシ          しらみこし            白神輿
                                 (白斎鳥の輿)
 
       ヒシロヨソヨホ        ひしろよそよ              日代四十四年
                                          (景行天皇)

 ヤヨヒソヒ タソカレヨリソ  やよひそひ たそかれよりそ    三月十一日     黄昏よりぞ

 ミコシユキ ノホノオヒカシ  みこしゆき のほのおひかし    神輿行き       能褒野を東

 モロツカサ カタムタヒマツ  もろつかさ かたむたひまつ    諸司        掲む灯燃

 サキカリハ サカキニフソリ  さきかりは さかきふそ    先駆は       に二十人
                                                <の>

 ソエカフト サルタヒコカミ  そえかふと さるたひこかみ    副代人       サルタヒコ神

 ミカホアテ カフトヤタリハ  みかほあて かふとたりは    御顔当       代人八人は

 ヤモトハタ          やもとはた            八元幡
  
       オオカフトノハ        おおかふとのは              大代殿は
                                          (妻ミヤス姫の父)

 カムリミハ ミハシラモチテ  かむりみは みはしらもちて    冠・御衣       御柱持ちて
                                                                   (御丈柱)

 トミヤタリ オシヤマスクネ  とみたり おしやますくね    臣八人        オシヤマ宿禰
                                         (典侍妻オトタチバナ姫の父)

 カフリミハ ヨハキシモチテ  かふりみは よはきしもちて    冠・御衣       世掃し持ちて
                                           (尾羽)

 トミムタリ キヒタケヒコモ  とみたり きひたけひこも    臣六人        キビタケヒコも
                                          (内妻アナトタケ姫の父)

 オナシマエ オオタンヤワケ  おなしまえ おおたんやわけ    同じ前       オオタンヤワケ
                                          (前の妻フタヂイリ姫の父)

 カフリミハ ツルキササケテ  かふりみは つるきささけて    冠・御衣       剣 捧げて
                                          (ムラクモ)

 トミソタリ          とみたり            臣十人
  
       ミコシアオホヒ        みこしあおほひ              神輿・天覆ひ
                                               (天蓋)

 ヲサノトミ イエハトミソリ  をさのとみ いえはとみそ    長の臣       家侍人三十人

 ミヲスエハ キヌフタナカレ  みをすえは きぬふたなかれ    神尾末は      絹二流れ

 ヨタケヤタ ミコミヲスエニ  たけ みこみをすえに    四丈八尺      御子 神尾末に
                                 (四十八尺)

 スカリユク アマテルカミノ  すかりゆく あまてるかみの    縋り行く      アマテル神の

 ノコルノリ          のこるのり            遺る法
                                (裳裾を汲め)
  
       イワヒサヲシカ        いわひさをしか              斎ひ差使
                                           (タタネコ)

 トミソフリ ツキミユキモリ  とみそふ つきみゆきもり    臣十二人       付き 神逝守

 モロツカヒ ミナオクリユク  もろつかひ みなおくりゆく    諸 継がひ      皆 送り行く

 ヨナカマテ カクムヨイタリ  よなかまて かくいたり    夜中まで      かく六夜到り

 ハラミヤノ オホマノトノニ  はらみやの おほまのとのに    ハラ宮の      オホマの殿に
                                 (新ハラ宮)

 ミコシマス          みこします            神輿坐す
  
       ヨニマスコトク        ますことく              世に坐す如く

 ミヤスヒメ キリヒノカヰオ  みやすひめ きりひかゐお    ミヤズ姫      鑽り火の粥を

 モルヒラヘ イタタキサキニ  もるひらへ いたたきさきに    盛る平瓮      頂き 先に

 イリマチテ ミマエニソナエ  いりまちて みまえそなえ    入り待ちて     神前に供え

 モウサクハ コノミケムカシ  もうさくは このみけむかし    申さくは      「この御供 昔

 イフキヨリ カエサニササク  いふきより かえさささく    伊吹より      帰さに捧ぐ

 ヒルメシオ ミツカラカシキ  ひるめしお みつからかしき    昼飯を       自ら炊ぎ

 マチオレト ヨラテユキマス  まちおれと よらゆきます    待ち居れど     寄らで行きます

 チチクヤミ イママタキマス  ちちくやみ いままたます    千々悔み      今また来ます

 キミノカミ ムヘウケタマエ  きみのかみ むへうけたまえ    君の神       むべ受け給え

 アリツヨノ アヒチタニマツ  ありつよの あひちたまつ    ありつ代の     アヒチタに待つ

 キミカヒルメシ        きみかひるめし          君が昼飯」
  
 ミタヒノリ イサヨフツキノ  みたひのり いさよふつきの    三度宣り       十六夜月の

 ホカラカニ シライトリキテ  ほからかに しらいとりて    朗光に       白斎鳥来て

 コレオハミ ナルシラクモニ  これはみ なるしらくもに    これを食み     現る白雲に

 カミノコエ コタフツツウタ  かみこえ こたふつつうた    神の声       応ふ十九歌
  
  
 アリツヨノ ハラミツホシキ  ありつよの はらみつほしき   『ありつ代の     腹満つ欲しき  
                                  世にありし時の    腹を満たして欲しかった

 チリオヒルメシ        ちりひるめし          塵を放る飯』           
                                 汚穢隈を払う飯     9文
  
  
 クシヒルオ マコトニオソレ  くしひるお まことおそれ    奇霊を       まことに畏れ

 オカミサル オホマトノヨリ  おかみさる おほまとのより    拝み去る       オホマ殿より

 ミヤウツシ サヲシカニキテ  みやうつし さをしかにきて    宮遷し       差使 和幣

 ミコトアケ コノトキヲシカ  みことあけ このときをしか    御言上げ       この時御使

 タタネコト オハリムラシト  たたねこと おはりむらしと    タタネコと     尾張連と
                                           (オトヨ)

 ニイハラノ オホマノカミト  にいはらの おほまのかみと    新ハラの      オホマの神と

 ナツクナリ カミオクルトキ  なつくなり かみおくるとき    名付くなり     神送る時

 ヨオイナム チリヒルメシト  いなむ ちりひるめしと    世を辞む      塵放る飯と
                                     <御供の>

 ノコルナリ          のこるなり            遺るなり
  
       イセニソエイル        いせそえいる              伊勢に添え入る

 ヱソヰタリ イヤマイアラス  ゑそたり いやまいあら    ヱゾ五人       敬いあらず
                               (津軽・陸奥の国造5人)

 ヤマトヒメ トカメミカトエ  やまとひめ とかめみかとえ    ヤマト姫      咎め帝へ

 ススメヤル ミモロニオケハ  すすめやる みもろおけは    進め遣る      ミモロに置けば
                                           (大神神社)

 ホトモナク キオキリタミオ  ほともなく きりたみお    ほども無く     木を伐り民を

 サマタケル キミノタマワク  さまたける きみのたまわく    妨げる       君 宣給わく
                                 (「妨ぐ」の連体形)

 ヱミシラハ ヒトココロナク  ゑみしは ひとこころなく    「ヱミシらは    人心なく

 オキカタシ ママニワケオク  おきかたし ままわけおく    置き難し      ままに分け置く」

 ハリマアキ アハイヨサヌキ  はりまあき あはいよさぬき    播磨安芸      阿波・伊予・讃岐

 サエキヘソ          さえきへそ            佐伯部
  
       ヨソムホノハル        よそむはる              四十六年の春
                                           (上鈴833年)

 ナナクサノ ミアエニウタノ  ななくさの みあえうたの    七種の       御饗に歌の  

 ヒカスヘル ワカタリヒコト  ひかすへる わかたりひこと    日数経る       ワカタリヒコと

 タケウチト ウチニマイラス  たけうちと うちまいら    タケウチと     に参らず

 カレメシテ トエハモフサク  かれめして とえもふさく    故 召して      問えば申さく

 エラクヒハ アソヒタワムレ  えらくひは あそひたわむれ    「笑楽日は     遊び戯れ

 コトワスル クルエトアラハ  ことわする くるえとあらは    異忘る        狂え人あらば

 ウカカハン カレニミカキオ  うかかは かれみかきお    窺はん       故に御垣を

 マモリオル          まもりおる            守り居る」
  
       キミキコシメシ        きみきこしめし              君 聞こし召し

 イヤチコト アツクメクミテ  いやちこと あつくめくみて    「いやちこ」と   篤く恵みて

 ハツキヨカ ワカタリヒコオ  はつき わかたりひこお    八月四日      ワカタリヒコを

 ヨツキミコ タケウチスクネ  よつきみこ たけうちすくね    代嗣御子      タケウチ 宿禰
                                 (成務天皇)

 ムネノトミ ミコトタケウチ  むねのとみ みこたけうち    棟の臣       御子とタケウチ

 オナヒトシ          おなひとし            同ひ歳
  
       ヰソフホサツキ        ゐそふさつき              五十二年五月

 スエヤカニ キサキイラツメ  すえに きさきいらつめ    二十八日に     后イラツ姫

 カミトナル ミオクリノリハ  かみとなる みおくりのりは    神となる      神送り法は

 アツタノリ          あつたのり            アツタ法
  
       オホタンヤワケ        おほたんやわけ              オホタンヤワケ
                                        (オウスの元妻フタヂイリ姫の父)

 ミケカシキ チリヒルメシト  みけかしき ちりひるめしと    御供炊ぎ       塵放る飯と

 モルヒラテ ヌノオシヒメニ  もるひらて ぬのおしひめに    盛る平宛      ヌノオシ姫に

 イタタカセ ソフタンヤワケ  いたたか そふたんやわけ    頂かせ       添ふタンヤワケ

 サキカリニ ツキハヒメミコ  さきかりに つきひめみこ    先駆に       次は姫御子

 スケウチメ オシモアオメラ  すけうちめ おしもあおめ    典侍内侍      乙下青侍ら

 ミソリソフ ツキモトモトノ  みそそふ つきもともとの    三十人添ふ      次 元々の

 ヤイロハタ          やいろはた            八色幡
  
       カミノトヨソヤ        かみのとよそや              神宣四十八
                                             (アワ歌)
 ワケソメテ キヒノイヱトミ  わけそめて きひいゑとみ    分け染めて     吉備の家臣
                                 分割して書留めて

 モチナラフ タテモノクモニ  もちならふ たてものくもに    持ち並ぶ      奉物 雲に

 カケハシト カスミニチトリ  かけはしと かすみちとり    懸梯と       霞に千鳥

 キヒハリマ ヱトノタケヒコ  きひはりま ゑとのたけひこ    吉備播磨      兄弟のタケヒコ

 ヨハキシオ マテニナラヒテ  よはきしお まてならひて    世掃しを      左右に並びて
                                 白斎鳥の尾羽を         (他動詞)

 ミハシラハ ウチミヤノトミ  みはしらは うちみやのとみ    御柱は       内宮の臣
                                 (御丈柱)             <が>

 ミコシマエ ミコハミヲスエ  みこしまえ みこみをすえ    神輿前       御子は神尾末
                                 神輿の直前に持つ

 ヲシカトハ ウツシヒノオミ  をしかとは うつしひのおみ    御使人は      現し日の臣
                                              (天皇)    <故に>

 コシニノル モロオクリケリ  こしのる もろおくりけり    輿に乗る      諸 送りけり
  
  
 アフミナカ ヤサカイリヒメ  あふみ やさかいりひめ    七月七日      ヤサカイリ姫

 ウチツミヤ          うちつみや            内つ宮
  
       ヰソミホホツミ        ゐそみほつみ              五十三年八月

 ミコトノリ カエリオモエハ  みことのり かえりおもえは    御言宣       「返り思えば
                                            思い返してみても

 ヤムヒナシ コウスカムケシ  やむなし こうすむけ    止む日無し      コウスが平けし
                                  きりがない

 クニメクリ ナサントイセニ  くにめくり なさいせに    国巡り       なさん」と 伊勢に

 ミユキナリ          みゆきなり            御幸成り
  
        オハリツシマニ        おはりつしまに              尾張ツシマに

 イタルトキ ムラシムカエハ  いたるとき むらしむかえは    到る時        迎えば
                                          (尾張連)

 コノコトク トモニオホマノ  ことく ともおほまの    子の如く      共にオホマの

 ミヤニイリ ミツカラツクル  みやいり みつからつくる    に入り      自ら作る

 ニキテタテ イワクヲヤコノ  にきてたて いわくをやこの    和幣奉て       曰く「親子の

 ユクリナフ ワカレアワネハ  ゆくりなふ わかれあわは    縁 無ふ       別れ会わねば
                                 交わり無く

 ワスラレス ミツカラキタリ  わすら みつからきたり    忘られず      自ら来たり

 ニキテスト ヤヤヒサシクソ  にきてと ややひさしくそ    和幣す」と     やや久しくぞ

 イタマシム          いたましむ            悼ましむ
                   (尊敬)
  
        ソノヨノユメニ         そのゆめ                その夜の夢に

 ツシマモリ シライトリナル  つしまもり しらいとりなる    ツシマ杜      白斎鳥なる
                                          白斎鳥となって現れる
                                              
 
 ヤマトタケ          やまとたけ            ヤマトタケ
  
       イワクヲヲカミ        いわくををかみ              曰く「大神
                                             (アマテル)  →7文

 ソサノヲニ イワクイカンソ  そさのをに いわくいかんそ    ソサノヲに     曰く "如何んぞ

 クニノソム アメノリナセハ  くにのそむ あめのりなせは    国望む        陽陰法成せば
                                                 <こそ>

 クニノカミ ヲシエノウタニ  くにのかみ をしえうたに    国の守"       教えの歌に
  
  
 アメカシタ ヤワシテメクル  あめかした やわしてめくる   『天が下       和して恵る
                                              [巡る]

 ヒツキコソ ハレテアカルキ  ひつきこそ はれあかるき    日月こそ      晴れて明るき

 タミノタラチネ        たみたらちね          民の父母』
                                           (国守は民の父母 23文)
  
  
 コレトケス ツミニオツルオ  これとけ つみおつるお    これ解けず      罪に落つるを

 イフキカミ ヒキテカミトス  いふきかみ ひきかみ    イフキ守      引きて守とす

 ニニキネハ コノココロモテ  ににきねは このこころもて    ニニキネは     この心以て

 ホツマヱテ アマキミトナル  ほつまて あまきみなる    ほつま得て      和君となる

 ウラヤミテ カリノヲヤコソ  うらやみて かりをやこそ    羨みて       仮の親子ぞ
                            <ソサノヲは>        景行の御子として生まれる
  
  

 ミコトウケ キツムケカエル  みことうけ きつむけかえる    御言受け       東西平け 還る
                                                      天に還る今、こうして

 カミシツカ マミエテホソチ  かみしつか まみえほそち    上・賤が       まみえて臍ち
                                 (天皇とオウス)         (中和し)


 アツス タラチノメクミ  あつさたす たらちめくみ    熱さ治す       親の恵み

 ウマサルヤ オリカソエウタ  うまさる おりかそえうた    倦まざるや」    折り数え歌
  
  
 ワカヒカル ハラミニシキ  わかひかる はらみつにしき   『我が光る      晴見つ錦

 アツタカミ モトシマニ  あつたかみ もとつしまはに    アツタ神      元つ粗衣に

 オレルカヒカワ        おれひかわ          復れるか ヒカワ
                                 今や輝やかしい晴の錦を着る英雄アツタ神
                                 その英雄は国の汚穢隈と言われたヒカワ神
                                 英雄となってお前は何か変っただろうか? No
                                 ならば元の下民の衣を着る身に戻れるか?  I will 
                                     「わかひかる」:「るかひかわ」
                                     「はらみ」  :「つしま」
                                     「にしき」  :「しまは」
                                     「あつた」  :「ひかわ」
  
 ミタヒノヘ シツノスカタニ  みたひのへ しつすかたに    三度宣べ       賎の姿に

 クモカクレ          くもかくれ            雲隠れ
  
       キミサメイワク        きみさめいわく              君 覚め曰く

 カミノツケ ワレハイヤシキ  かみつけ われいやしき    「神の告げ      "我は賎しき
                                (ヤマトタケ)

 ヒカワカミ モトニカエルト  ひかわかみ もとかえると    ヒカワ神      元に返る" と

 メクミコル マヨヒオサトス  めくみこる まよひさとす    恵み凝る      迷いを諭す

 シメシナリ          しめしなり            示しなり」
  
       ムカシイワクハ        むかしいわくは              「昔曰くは

 ヒトハカミ カミハヒトナリ  ひとかみ かみはひとなり    人は神       神は人なり  
                                  (賤) (尊)

 ナモホマレ ミチタツノリノ  ほま みちたつのりの    名も褒まれ     満ち立つ典の
                                 その名を尊ばれ   人間完成の模範である

 カミハヒト ヒトスナホニテ  かみはひと ひとすなほにて    神は人       人 素直にて
                                神は初めから      賤が曲がることなく
                                神ではなく元は賤     

 ホツマユク マコトカミナリ  ほつまゆく まことかみなり    ほつま行く      まこと神なり」
                                  調和の道を進む     これぞ真の神なり
  
  

 ツケニヨリ ナモアツタカミ  つけより あつたかみ    告げにより     名もアツタ神

 ミヤスヒメ イツキニクラヘ  みやすひめ いつきくらへ    ミヤズ姫      斎に比べ
                                     <を>    伊勢の斎宮に比し

 カンヌシモ ミヤツカサナミ  かんぬしも みやつかさなみ    神主も       宮司並み
                                          伊勢の宮司と同列
  
 アツマチエ ユケハサカムニ  あつまちえ ゆけさかむに    東方へ       行けば相模に

 ミアエナス マシテシオカミ  みあえなす ましてしおかみ    御饗なす      マシテシ拝み

 ナキイワク ヒメホロホシテ  なきいわく ひめほろほして    泣き曰く      「姫 滅ぼして
                                          (オトタチバナ)

 マミエヱス キミモナンタニ  まみえゑす きみなんたに    まみえ得ず」    君も涙に

 トラカシハ サカキミスカタ  とらかしは さかきみすかた    トラガシハ     然かき御姿

 タテマツル           たてまつる            奉る
  
       キミミタマエハ        きみたまえは              君 見給えば

 ヤマトタケ イケルスカタニ  やまとたけ いけるすかたに    ヤマトタケ     生ける姿に
                                        (「生く」の連体形)

 アフコトク ヒトタヒアヒテ  あふことく ひとたひあひて    会ふ如く      「一度会いて

 ヨクニタル カレハメクロト  よくたる かれはめくろと    良く似たる」    故 "ハメクロ"と

 ソノサトオ ナツケタマワル  そのさとお なつけたまわる    その里を      名付け賜わる

 カミスカタ オホヤマミネニ  かみすかた おほやまみねに    神姿        大山峰に

 ヤシロナス          やしろなす            社 成す
  
       ミフネカツサエ        みふねかつさえ              御船 上総へ

 アホノハマ ミサコヱハムオ  あほのはま みさこゑはむお    アホの浜       餌食むを

 タミニトフ アレハウムキト  たみとふ あれうむきと    民に問ふ      「あれは海蛤と
                                                  <言って>

 シツカハム ナマスモヨシト  しつはむ なますよしと    '賎' が食む     膾も好し」と
                               ヤマトタケは賤の姿に返る
  

 ムツカリカ カマタスキシテ  むつかりか かまたすきて    ムツカリが     蒲襷して
                                  (六雁)

 トルウムキ ナマスニナシテ  とるうむき なますになして    獲る海蛤      膾になして

 ススムレハ カシハトモヘト  すすむれは かしはともへと    進むれば      膳伴部と

 ナオタマフ オホヒコノマコ  たまふ おほひこまこ    名を賜ふ      オホヒコの孫

 イワカナリ          いわかなり            イワカなり
                                  (磐鹿)
  
       カシマカクラノ        かしまかくらの              姦神楽の  

 シシマヒオ トエハトキヒコ  ししまひお とえときひこ    獣舞を       問えばトキヒコ

 コレムカシ イヨニワタリテ  これむかし いよにわたりて    「これ昔       妙に渡りて
                                          妙技と呼ぶべき程に

 シシハムオ ツチキミトリテ  ししはむお つちきみとりて    騒ばむを       辻君統りて
                                 跳ね躍る獣を        (仕込んで)

 タテマツル          たてまつる            立て全つる」    
                                   (完成する)
  
        キミタノシミノ         きみたのしみ                君 楽しみの

 カクラシシ ヤヨロカシマニ  かくらしし やよろかしまに    神楽獣       弥万鹿島に

 アルカタチ サワリナカレト  あるかたち さわりなかれと    ある形       「障り無かれ」と

 モテアソフ          もてあそふ            玩ぶ
  
       サルタノカミノ        さるたのかみの              猿治の尊の

 ナニシアフ          なにしあふ            名にし負ふ
  
       シハスニノホリ        しはすのほり              十二月に上り

 イセノクニ イロトノミヤニ  いせのくに いろとみやに    伊勢の国      愛妹の宮に
                                           (ヤマト姫磯宮)

 オワシマス ヰソヨホナツキ  おわします ゐそよなつき    御座します     五十四年九月

 ミソカニハ ヒシロノミヤニ  みそかには ひしろみやに    三十日には     日代の宮に

 カエリマスカナ        かえりますかな          帰りますかな
  
  
 コノトキニ ミワノタタネコ  このときに みわのたたねこ    この時に      ミワタタネコ

 ミヨノフミ アミテカミヨノ  みよのふみ あみかみよの    御代の文      編みて上代の
                                  (皇代記)

 ホツマチト ヨソアヤナシテ  ほつまちと よそあやなして    ほつま道と     四十文成して

 クニナツニ シメセハタカヒ  くになつに しめせたかひ    クニナツに     示せば互ひ
                                 (オオカシマ)

 ミカサフミ ミハエシメシテ  みかさふみ みはえしめして    ミカサ文      見映え示して

 アイカタリ アラタニソメテ  あいかたり あらたそめて    あい語り      新たに染めて
                                      <改訂し>

 フタヤヨリ アケタテマツル  ふたより あけたてまつる    二家より      上げ奉る
  
  

 コノフミハ ムカシモノヌシ  このふみは むかしものぬし    この文は      昔 モノヌシ
                                            (クシミカタマ)

 ミコトノリ ウケテツクリテ  みことのり うけつくりて    御言宣       受けて作りて
                                  (ウガヤタケヒト)

 アワミヤニ イレオクノチノ  あわみやに いれおくのちの    阿波宮に      入れ置く 後の
                                 (琴平宮)

 ヨヨノフミ マチマチナレハ  よよふみ まちまちなれは    代々の文      まちまちなれば

 ミンヒトモ アラカシメニテ  ひとも あらかしめにて    見ん人も      あらかじめにて

 ナソシリソ モモチココロミ  そしり ももちこころみ    な謗りそ      百千試み

 ハルカナル オクノカミチエ  はるかなる おくかみちえ    遥かなる      奥の神道へ
 
 マサニイルヘシ        まさいるへし          まさに入るべし
  
  
 トキアスス ヤモヨソミホノ  ときあすす やもよそみの    時 上鈴       八百四十三年の
                                               (景行56年)

 アキアメカ コレタテマツル  あきあめか これたてまつる    秋天日       これ奉る

 ミワノトミ スヱトシオソレ  みわのとみ すゑとしおそれ    ミワの臣      スヱトシ畏れ
                                          (オオタタネコ)

 ツツシミテソム        つつしみそむ          謹みて染む

  

  

 最終更新:2016/07/11

  

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