うち  ウチ  uti

  

【内】
1.収まるさま。囲まれた部分。あいだ(間)。中。内側。中位。

『これみのうちの めくりよく やまひあらねは なからえり』ホ1
『たましまかわの うちみやに やとるこたねの とつきのり』ホ4
『そのとめはやこ こますひめ ねのうちきさきホ6
『やそきねの おおみやみちこ きのすけに たなはたこたゑ きのうちめホ6
うちは むなかたか おりはたおさこ おしもめは とよひめあやこ』ホ6
『もちこのすけと はやこうち あちことみたり はやゆきて』ホ6
『てくるまのうち せおりつめ あめのみかけに あきつめは ひのみかけさす』ホ8
『ついにくしたえ あらはれて やゑかきうちの ことうたそ』ホ9
『みつのちこ てくるまのうち たもとした おきてたついき ましるゆえ』ホ12
『ひのみちは なかふしのそと つきはうちホ13
『をはおもてわさ つとむへし めはうちをさめ きぬつつり』ホ13
『いきのうち ほしおはなるる これはすすかそ』ホ13
『つきはよる つまなうとみそ うちをさむ めかけのことは なまつりそ』ホ13
『あめつちも うちともすかに とほるとき やもよろみちの みことひこ』ホ14
『いかすりうちの をにやらひ かかんのんてん そろふとき』ホ14
『たましまか うちにつほみて めのはしめ めのこうむなり』ホ16
『みそひより みそみかまても みかのうち ひにそこもとり』ホ16
うちよりいつる はふたゑは きみのたまもの ふたはありホ16
『はらみのうちの あそひには まめおひろえよ まめなるそ』ホ16
『たのおして みひかりまるの うちにゐる たりたすくのり あめとちち』ホ17
『そらはたかまの はらのうち めはなにしるも ひつきほし』ホ17
『われもこと たてんとよもお めくるうち よきのおゑたり』ホ21
『きのこかとこれ きつをさね をはうちおもる』ホ21
『ななよのうちの あまつこと まつるとほかみ ゑひための』ホ22
『かさるおみれは にきはえと うちはくるしむ そのゆえは』ホ23
『そのかまて あれはあれおさ くみおよひ そうちはしかる』ホ23
『あかたぬし こそうちはつえ けたのかは かとやにいれて』ホ23
『ついにたかのお たとなせは ゐとせのうちに みつほなる』ホ24
『かれによのうち むつましき ゑとおなつけて はらからと いふもとおりそ』ホ24
『みことのりして うちつほね ゐつせひたせは みこのなも みけいりみこそ』ホ27
『わにのりあはえ かえるうち うむこのいみな わにひこは くしみかたまそ』ホ27
『たねこらも ゑとむそうちに つまいれて よつきおなせよ』ホ27
うちせおりつか みきさきに なるおもちこか ころさんと ねためは』ホ28
『なかくにの まつりをさめて みとせます うちにととのひ みふねゆく』ホ29
かうちくさかの あうゑもろ やかたにいくさ ととのひて』ホ29
『むかしきさきお おかせしも をやこのなさけ うちにすむ』ホ31
『もろはかるうち はやすてに たけはにやすと あたひめと』ホ34
『ひもかたな せんかたなくも そてうちに かくしいさめの せみなつき』ホ35
『ちきのうち そくはうちみや うちかろく やたみゆたかに』ホ36
『ちきはとおそく かれとみや うちあつくいつ たみのちち』ホ36
『やつのうち いつしこかたな のこしおき そてにかくして はきいつる』ホ37
『みはかせひめお うちさまに とよくにわけの をみこうむ』ホ38
『こうすきみ おとめすかたの みはのうち つるきかくして』ホ38
『きひたけひこか あなとたけ うちつまにうむ たけみこと ときわけとなり』ホ40
『あにあらわるる ひのわたり ももゐそとめち つきのほと なそとめちうちミ6
『あかきみち やよろとめちの つきおさる つきのしらみち よよちうちミ6
としうちになすことのあや』ミ9
『をによろの こころはうちの さこくしろ うつひとはかみ かみはひとなり』フをよろ

2.正の方向に離れる部分。 中心・核・源・奥。 大内御内。内裏。禁中。皇宮。

『やよろとしへて こゑうちの いさわのみやに をわします』ホ序
『あまさかるひに むかつひめ つひにいれます うちみやに』ホ6
ををうちの おりおりやとる ねのつほね』ホ7
『はなこきたれは ほこかくす みぬかほすれと うちにつけ』ホ7
『あるひたかまの みゆきあと もちこはやこお うちにめす』ホ7
みうちにおれは ををんかみ をしてたまわる かつてかみ』ホ10
『めはななし いゑにとつけは をせのなに たかうちむろと』ホ13
『みやにのほれは うちつみや きみはめくみお くににのふ みやはおなかそ』ホ13
『ををんかみ おうちにうえて いせのみち なるはなるるお はかります』ホ24
『まつりこと こやねものぬし ともにたせ みやうちのたは みほひめと』ホ26
『みもかわに あのほるちゑて さこくしろ うちのみやゐに ふよほへる』ホ28
『おおなむち たまかきうちつ にきはやひ そらみつやまと』ホ31
『もろとみこれと わかみやお たてよといひて うちにいり』ホ31
『めつきはつひに みことのり うちはむけれと とつあるる』ホ34
『きみとうちとみ もはにいり とのとみやはり まつりこと』ホ34
『かねてねかえは このたひは よしこおうちの をみことし』ホ36
『ゐものひめ くすこうちみこ いせのかみ まつるいわひは つくしむけ』ホ38
『わかたりひこと たけうちと うちにまいらす かれめして とえはもふさく』ホ40

 ●内に在る者。 
 (1) 内宮。正妻。央中

『はなこきたれは ほこかくす みぬかほすれと うちにつけ』ホ7
『おけはいかりて ひたしせす うちにつくれは とよひめに ひたしまつらし』ホ7
『ついにくしたえ あらはれて やゑかきうちの ことうたそ』ホ9
『めはななし いゑにとつけは をせのなに たかうちむろと』ホ13
『かるきみも みたれゆるせは たれうちそ』ホ13
『むほをしゑ むつきそゐかに うちのうむ いみなときひこ くしともせ』ホ31
うちのうむみこ かゑしねの いみなみるひと うちのちち いきしおをきみ』ホ31
『わにくにふくお うちかわり ものへとちねお みうえから』ホ36

 (2) 内侍

『いろきねの とこねつひこそ かれうちお おおすけとなす』ホ31
『といちまそをか ましたひめ ここたえとなる うちよたり おしももよたり』ホ32
『そひふゆいもと はえおうち そみしはすはつ はえひめも またみつこうむ』ホ32
『ゐほせみな うちうつしこめ うむみこは やまとあえくに おおひこそ』ホ32

 (3) 配下の者。

うちのしらひと こくみらか をやもおかして こもおかす』ホ8

 
うつ(和つ/熟つ)」の名詞化。
ここでは「A: 合う/合わす・収まる・囲む」、また「D: 正の方向(大・多・高・央・前・熟・明・沸)に離れる」で、「高まる・優れる・至る・中心にある」などの意。

類語:「おく(奥)」「なか(中)」「さね(実・核)」「こころ(心)」「はら(腹)」「うら(占・心)
反対語:「そと(外)」「おも(表)」「まえ(前)」「うえうわ (表)

 
 

【(熟・鬱)】
正の方向に離れるさま。「高まる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・勝る・至る」さま

うつ(熟つ)」の名詞化。
ここでは「D: 正の方向(大・多・高・央・前・熟・明・沸)に離れる」で、「高まる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・勝る・至る」などの意。

変態:「うつ(鬱)

 
 

【蛆】
負の方向に離すもの。「気を滅入らす・気後れさせる」もの

『ゆつのつけくし おとりはお たひとしみれは うちたかる』ホ5

 
うつ(憂つ)」の名詞化。
ここでは「E: 負の方向(小・少・細・低・後・粗・暗・静)に離す」で、「下げる・勢いを失わす・劣らす・縮小する・静める・隅に置く・果てさす」などの意。

変態:「むし(虫)」「うさ(憂さ)」

 
 

【(大人・治人・主)・氏】
合わせ。まとまり。一族。治める者。中心なる者。

『いもをせは やもよろうちの わかちなく みなあめつちの のりそなふ』ホ13
『ひたりはたにの さくらうち みよのさくらの ならしうた』ホ14
『ゐせのみちうく かんとみの つかふかみらか はへるゆえ うちはへところホ28

 ●タケウチの名。
(父の「うましうち」と、母の父で紀の国造「うちまろ」の双方から)

『たかよりか いむなたかよし なはうちと たけうちまろそ』ホ38

 
うつ(結つ/熟つ)」の名詞化。 
ここでは「A: 合う/合わす・収(治)まる/収(治)める」、また「D: 正の方向(大・多・高・央・前・熟・明・沸)に離れる」で、「上がる・勢い付く・栄る・熟れる・優れる・中心にある・至る」などの意。

変態:「うし(大人)」「ぬし(主)」「あるし(主)」「をさ(長・筬)」「をし(治・教)」「をち(老翁)」「よし(寄し)

 
 

【内・宇治】<地名>
 ●伊勢の宇治 
中心。中軸。 =こゑうち(環内)サコクシロ内

『みもかわに あのほるちゑて さこくしろ うちのみやゐに ふよほへる』ホ28
『おとろきて うちにいたれは みかさやま なおはせのほる かすかとの』ホ28
『かねてねかえは このたひは よしこおうちの をみことし』ホ36
『おおわかこ かえりもふせは やまとひめ うちにいたりて みていわく』ホ36
『このみつは いらつめみおの すけうむこ ゐものめくすこ うちをきみホ38
『やまとひめ うちはたとのの いそみやに ひらきしつかに』ホ38
『とりこゐたりお うちにやり かしまみことの そえひとそ』ホ40

 ●山城の宇治。 宇治川(内川)の流れる区域。

『きみゆるされは あめひほこ うちかわのほり あわうみの あなむらにすむ』ホ35
『よかうちにゆく みちすから よきひとえんは しるしあれ』ホ37
『ほことりいのり おほかめお つけはなるいし これしるし うちのかめいし』ホ37

 
「うち(内)」に同じ。

類語:「みも」「みほ(和)」「みお(三尾・和)」「めを(陰陽)」「みよ(和・結)」「みや(和・宮)」「ゐそすす(至進)」「ゐすす(至進)」「なかた(中た・長た)

 
 

【(移ち/討ち)・打ち】
1.鳴り響かす物。琴。
2.(汚穢隈を)討つ物。

『おろちにむつの ゆつかけて やくもうちとそ なつくなり』ホ9

 
うつ(移つ/討つ)」の名詞化。
ここでは「C: 回す・伝える・鳴らす・響かす」、また「D: 負の方向(小・少・細・低・後・粗・暗・静)に離す」で、「下げる・勢いを失わす・劣らす・縮小する・沈める・隅に置く・果てさす」などの意。

  

10/01/20

  

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