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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第129回 [2024.3.6]
第二四巻 コヱ国 ハラミ山の文 (4)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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こゑくにはらみやまのあや (その4)
コヱ国 ハラミ山の文 https://gejirin.com/hotuma24.html
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たかにゆき ぬさおささけて みのにゆき あまくにたまの
よろこひも むかしかすかに うるりゑて うむたかひこね
ささけもの おのおのまくわ ひとかこと やそよろこひて
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タガに行き 幣を捧げて ミノに行き アマクニタマの
喜びも 「昔カスガに 瓜得て 生むタカヒコネ」
捧げ物 各々マクワ 一籠と 八十喜びて
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■タガ (▽治曲・多賀)
タガの神に詣でて幣を捧げます。タガの宮は二尊の最後の都です。 ▶
幣(ぬさ)
多賀大社 (たがたいしゃ)
滋賀県犬上郡多賀町多賀604。
現在の祭神:伊邪那岐大神、伊邪那美大神
■ミノ (美濃)
ミノは ミネ(峰)の変態で、「高み・頂き」
を原義とし、岐阜県南部の古名です。
古くは中山道を開通させた カナヤマヒコ(金山彦)
が治めていました。
■アマクニタマ
カナヤマヒコの子で美濃国を治めます。アメワカヒコとオクラ姫の父です。
イサナギ ┌ソサノヲ─オホナムチ┌クシヒコ ├──┤ ├───┼タカヒコネ イサナミ └アマテル─タケコ └タカコ (2代目タカテル姫) │ ┌ナカコ カナヤマヒコ┴───アマクニタマ┬アメワカヒコ │ └オクラ姫 (2代目シタテル姫)
■瓜得る (うるりゑる)
「割り瓜を合わす」 という原義で、「似る/似せる・まねる・肖る」
の意を表します。 ▶ウルリ
ここでは 「カスガの斎名のワカヒコに似る」
ということです。
■タカヒコネ
アメワカヒコの葬儀に赴いたタカヒコネを、親族はその容姿が瓜二つなので
アメワカヒコが生き返ったと勘違いします。それに怒るタカヒコネを、アメワカヒコの
妹のオクラ姫が歌を詠んでなだめますが、そのことが縁で二人は夫婦となります。〈ホ10ー3〉
“カスガに瓜得て生むタカヒコネ”
とは、カスガの斎名 “ワカヒコ” に瓜得る(そっくりな)名で
呼ばれた “アメワカヒコ”
は死んでしまったが、その容姿が瓜得る(そっくり)
だったことが
縁となってタカヒコネという娘婿を生んだ、という意に解釈しています。
「風が吹けば桶屋が儲かる」
みたいに遠い話ですが、それ以外ちょっと考えつきません。
■マクワ
美濃特産のメロン 「真桑瓜」
をいいます。 ▶画像
マクワは マグフの名詞形で、マグフは マガフ(紛う)の変態です。
ですから 「見分けがつかないほどよく似るさま」
を意味します。
つまりマクワとは、2つに割った時の断面がそっくりな
「瓜」 の換言です。
■八十 (やそ)
八十のモノノベ
と同じです。
【概意】
多賀に行き、タガの神に幣を捧げて美濃に行けば、地守のアマクニタマは、
「昔
カスガに似た名で呼ばれたアメワカヒコがタカヒコネを生んだ」
と喜び、
各々にマクワ一籠の捧げ物。八十の供は喜びて、
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くもちわけ しなのすわより みちひけは
はらみやまから よもおみて
すそのはひろし みつおうみ すそのたにせん
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雲路分け シナ野スワより 導けば
ハラミ山から 四方を見て
「裾野は広し 水を埋み 裾野 田にせん」
―――――――――――――――――――――――――――――
■雲路・▽隈路 (くもぢ)
「雲に覆われる道」 の意で、今に言う 木曾路
です。
またクモ(雲)は クマ(隈・曲)の変態で、「汚穢の道」
の意が重なります。
実際
かつての木曾路は、鹿の邪息にあたって通行人が病気になることが多かったようです。
先に木曾路の 瘁え臥すも 祓ひ免る
「鹿の道は 蒜を噛み塗り 邪息に あたらじもの」
と 語り給ひき 〈ホ39〉
■シナ野 (しなの:▽凌野・信濃)
シナ(▽凌)+ノ(野)
で、「(標高の)高い地域・山岳地」 という意です。
“シナの国” の換言で、後の 「信濃・信州」、現在の
「長野県」 です。
■スワ (諏訪)
岨(そわ・そは)の変態で、「そびえ立つ所・そそり立つ所」
などが原義です。
この場合は シナノ(信濃)の中心都市である 「諏訪」
をいいます。
諏訪大社 (すわたいしゃ)
長野県の諏訪湖周辺に4宮。
現在の祭神:建御名方神 (別名:諏訪大明神)
・諏訪大社の古名は 南方刀美神社(みなかたとみのかみのやしろ:峰方臣の神社)。
■導く (みちびく)
これはおそらく 「目的地である “ハラミの宮”
から案内人が諏訪に迎えに出ていて、
諏訪から先は案内人の導きによりハラミの宮に向かった」
ということだろうと思います。
■ハラミ山 (はらみやま:孕み山)
■水を埋む (みづおうむ)
「水を地に埋める」
という意で、「池を掘って水を湛える」
ことをいいます。 ▶池
この名詞形が ミヅウミ(水埋み)で、これが 「湖」
の語源です。
【概意】
木曾路の雲を分け進んでシナ野の諏訪に着き、そこからは案内人が先導する。
御孫はハラミ山から四方を見渡して、
「裾野は広大なり。水を湛えてこの裾野を田にしようぞ」
と。
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たちからを やもにほらしむ うみのなも
きはやまなかと きねはあす ねはかはくちと ねつもとす
つはにしのうみ つさきよみ さはしひれうみ きさはすと
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タチカラヲ 八方に掘らしむ 湖の名も
東はヤマナカと 東北はアス 北はカハクチと 北西モトス
西はニシノウミ 西南キヨミ 南はシヒレウミ 東南はスト
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■湖・埋み・海 (うみ)
ミヅウミ(水埋み・湖)の略で、「水を埋めた溝」
をいいます。
これは イケ(埋け・池)
の同義語です。
八方に掘った湖の名は以下の通りです。
東:ヤマナカ (山中湖) 東北:アス (明見湖)
北:カハクチ (河口湖) 北西:モトス (本栖湖)
西:ニシノウミ (西湖) 西南:キヨミ (精進湖)
南:シヒレウミ (四尾連湖) 東南:スト (須戸湖・須津湖・浮島沼)
このように 今日においても湖名は
ほぼ継承されているわけですが、
当時と現在の8湖はまったくの別物と考えます。(理由は後ほど述べます)
また湖名の意味も、当てられている漢字の意味とは異なると思います。
【概意】
タチカラヲをして八方に掘らせる湖の名も、
東はヤマナカ、東北はアス、北はカハクチ、北西はモトス、
西はニシノウミ、西南はキヨミ、南はシヒレウミ、東南はスト。
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にはりのたみか むれきたり うみほりつちお みねにあけ
やふさはかりと あにこたえ
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ニハリの民が 群れ来たり 湖掘り土を 峰に上げ
“八房計り” と 天に応え
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■ニハリ (和治)
ニニキネが筑波山の麓に最初に建設した都市で、ニニキネにとっては
言わば 「古巣・故郷」 です。
■八房計り (やふさはかり)
フサ(房)は フシ(節)の変態で、「囲み・まとまり・区分」
などが原義です。
ハカリ(計り)は 「比較すること」 が原義で、クラベ(比べ・競ベ)と同義です。
ですから 「八房くらべ」 という意です。
“八房” は何を表すかといいますと、まずはフトマニ図を見てください。
中心にあるアウワの房のすぐ外側に、
(1) ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ
の8房があり、その外側には
(2) ア・イ・フ・ヘ・モ・ヲ・ス・シ
の8房があります。
つまり、ハラミ山の裾野の八方に掘った 8湖 を (2)の8房
に比べ、
掘った土を峰に上げて造ったハラミ山頂の 8峰 を (1)の8房
に
比べる、すなわち
天と同じものを地に造るということです。
富士山上空から地上を見下ろした景色を想像すれば、
両者は似たような構図となるはずです。
★八峰 (やみね・やつみね)
ハラミ山頂の8峰は、ハラミ山(=富士山)の
「山頂火口壁上の8峰」 をいいます。
現在は 八神峰、富士八峰、八葉、芙蓉八朶(ふようはちだ)
などと呼ばれます。
1. 大日岳(朝日岳) 2. 伊豆ヶ岳 3. 勢至ヶ岳 4.
駒ケ岳(浅間ヶ岳)
5. 三島岳 6. 剣ヶ峰 7. 白山岳 8. 久須志岳
富士山は何度も噴火していますので、当時の姿は現在とは違うはずです。
大日岳(朝日岳) の名は 太陽山(おおひやま)
の名残だと思われます。
■天に応ふ (あにこたふ)
ここでは 「天に合わす・天に対応させる」 という意です。
【概意】
ニハリの民が大群で応援に駆けつけては、
湖を掘って土を峰に上げ、“八房はかり”
と称して天に比べ、
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なかのわもかな うつろゐか あわうみさらえ みおのわと
ひとにないきて あさのまに なかみねなせは かみのなも
ゐつあさまみね やまたかく みつうみふかく ならひなし
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「中の環もがな」 ウツロヰが アワ海渫え ミオの埴と
人担い来て 朝の間に 中峰成せば 尊の名も
ヰツアサマ峰 山高く 湖深く 並び無し
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■中の環・中の輪 (なかのわ)
これはフトマニ図の 「中心の環」、つまり アウワの房
をいいます。
ここは根源神アメミヲヤの座所で、中御座(なかみくら)とも呼ばれます。
■もがな
天上界の “中の環”
に相当する房が地上には無いので、それが 「欲しいな」
ということです。
■ウツロヰ・ウツロイ
(▽空埋)
ヤマサの1神で、「ウツロ
(空間・空気) を支配する自然神」 です。
雷の主とも呼ばれ、天気/気象を支配しますが、ニニキネのニハリ入りを落雷で妨害するなどの
悪さを働くため、アマテルよりヤマサの任を解かれそうになります。それをニニキネが嘆願して
何とか首がつながったため、ウツロヰはニニキネには頭が上がらず、子分的な神となっています。
■アワ海 (あわうみ:▽和海)
アワ(▽陽陰・▽和)+ウミ(埋み・海・湖)
で、「中央の水埋み」 を意味し、「琵琶湖」 の古名です。
今日 アワ海 と 近江(をうみ・あふみ)
は同一視されていますが、ホツマは両者を区別します。
■渫ふ・浚ふ・▽更ふ
(さらふ)
サラフ(浚ふ・渫ふ・▽更ふ) は
「回す・一回りしてもとに戻す」 が原義で、
「回復させる・改める・新たにする・更新する」
などの意を表します。
この場合は 「アワ海の底を渫う」
という意味ですが、これは
「川が運ぶ土砂で浅くなった湖を
もとの状態に回復する」 ということです。
■ミオの埴 (みおのわ:▽和の埴)
「中の埴・中央の埴・近江の埴」 という意です。 ▶ミオ ▶埴(は・わ)
ミオノワ(ミオの埴)を、語呂合せにより “ミオの環”
にかけています。
ミオは 「中」 の意ですから、ミオの環=中の環
です。
つまり、“中の環”
が欲しいと思っていたら、ウツロヰがアワ海の底を渫って
ナカノワ(中の埴)を運び、たちまち地上にナカノワ(中の環)ができちゃった
ということです。これはハラミ山頂の 「中峰」
を指します。
このことは 32アヤとフトマニにも言及があります。
・中峰の 充てはアワ海 八峰は 裾の八湖 〈ホ32〉
・太の山の 中
ウツロヰが アワの砂 九星の胞衣の 宗ぞ編みける 〈フあやま〉
■朝の間 (あさのま)
この場合は 「勢いの良いさま・速いさま・たやすいさま」
の喩えで、
今に言う “朝飯前” のような意味だと思います。
■中峰 (なかみね)
ハラミ山頂の8峰の
「中心にそびえる峰」 をいい、これを 天の “中の環”
に比べます。
中峰は今は存在せず、“お釜”(噴火口)となっていますが、この当時は
ニ重カルデラ
だったのではないかと思います。
■尊の名 (かみのな)
■ヰツアサマ峰 (ゐつあさまみね)
ヰツ(厳・稜威・逸)+アサマ(▽勇)+ミネ(峰)
で、“中峰” に付けられた称え名です。
「ずば抜けて高く秀麗な峰」 というような意となります。
なお “アサマ” には 「朝の間に完成した」
の意を重ねます。
★アサマ (浅間・▽勇)
アサムの名詞形で、アサムは イサム(勇む)の変態です。
「高まるさま・勢いよく栄えるさま・優れ極まるさま」
を意味します。
ハラミ山頂の8峰の 伊豆岳(いずがたけ)、浅間ヶ岳(あさまがたけ)
の名は
“ヰツアサマ峰” の名残だろうと思います。
【概意】
「中の環が欲しいな」 と思っていると、
ウツロヰがアワ海を渫った近江の埴と 人を運んで来て、
朝の間に中峰ができ上がったため、その称え名も “ヰツアサマ峰”。
山は高く、湖は深く、無双なり。
このように 天の神々の配置に似せて
湖と峰を造ったわけですから、8湖はハラミ山の中峰を
中心としたおおよそ八方 (東・東北・北・北西・ 西・西南・南・東南)
に位置していたはずです。
また
もともと富士の裾野に水を配給する目的で造った貯水湖ですから、効率よく水を配るため、
ある程度
標高の高い場所に造ったはずです。しかし現在の富士8湖はどちらにもあてはまりません。
これが当時と現在の八湖はまったくの別物と考える理由です。
富士山は時々噴火しますから、当時の8湖は溶岩で埋まってしまったと見るのが妥当でしょう。
現に32アヤにおいて孝霊天皇は、「五百年前のハラミ山の噴火で千代見草は焼け失せ、
裾の8湖も3つ埋まった」 と語っています。
ハラミの山の 吉き草も 五百年前に 焼け失せし ・・・ ・・・
中峰の 充てはアワ海 八峰は 裾の八湖 三つ埋まり 焼くれど眺は 変らじと 〈ホ32〉
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みねにふるゆき いけみつの すえこちさとの
たとなりて およふみよたに
はたとしに さらえなせとて さかおりの みやにいります
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峰に降る雪 池水の 末 九千里の
田と成りて 及ぶ三万田に
「二十年に 渫えなせ」
とて サカオリの 宮に入ります
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■池水の末 (いけみづのすえ)
この部分は 「峰に降る雪は池水として溜まり、その水の行く末は
… 」 という意味になります。
イケ(埋け・池)は ウミ(埋み・湖)の換言です。
■九千里 (こちさと)
サト(里)は ここでは
「最小区分・区画の最小単位」 を表し、「村や郷」
をいいます。
ですから 「九千の村々」 という意です。後の 郷里制
の基です。
■三万田・三万反 (みよた)
タ(田・▽反)は 土地面積の単位で、「田んぼ1枚分の広さ」
をいい、今に言う タン(段・反)
です。
■二十 (はた)
ハタは 「機」 の意で、ハタ(機)は
オリ(織)の換言です。
39アヤで語られますが、ツヅウタ(連歌)においては、20句を一まとまりとし、
これを “織(おり)” といいます。原義的に 織(おり)=機(はた)
であるため、
1織(おり)=1機(はた)=20句 となり、二十(ふそ)を ハタ(機)とも呼びます。
■渫え・浚え・▽更え (さらえ)
サラフ(渫ふ・浚ふ・▽更ふ)
の名詞形で、「元に戻すこと・回帰・改め・更新」
などが原義です。
■サカオリの宮 (さかおりのみや)
ハラミ(孕み)の宮、ハラ(孕)宮
の別名で、
二尊が ホツマ国の富士山麓で
国家の政を執った時の都の名ですが、
この時この宮で アマテルが誕生していることから “サカオリ(栄下り)の宮”
の名が起ります。
つまり 「日月の栄え(栄光)が世に下りた宮」
という意です。
現在の富士市の海岸部に、原・蒲原・吉原・厚原・原田・柏原
… など、
「原」
の付く地名がやたら多く残ることから、ハラ宮=サカオリ宮
が
あったのはこの辺りではないかと推測しています。
【概意】
峰に降る雪は湖の水として溜り、その水の行く末は
9000の村々に田を生み、それは三万反にも及んだ。
君は 「20年ごとに湖の浚渫をなせ」
と命じて、サカオリの宮に入ります。
―――――――――――――――――――――――――――――
あつかりの おおやますみか みあえなす
みかしはささく あしつひめ ひとよめされて ちきりこむ
―――――――――――――――――――――――――――――
預かりの オオヤマズミが 御饗なす
御膳捧ぐ アシツ姫 一夜召されて 契り籠む
―――――――――――――――――――――――――――――
■預かり (あづかり)
「管理/運営を任される者」 という意です。
この場合はサカオリ宮(=ハラミの宮・ハラ宮)の管理/運営をいいます。
アマテルが国家の都をイサワに移して以降は、この宮の管理/運営は、
隣の相模国を知行するオオヤマズミに委任したようです。
★預かる・与る (あづかる)
アツ(当つ)+ツク(付く)+ル(受身)
の短縮で、「当て付けられる」 が原義です。
■オオヤマズミ (▽大山統み)
ここに言うオオヤマズミは 3代目の 「マウラ」
を指します。
マウラはテルヒコの臣としてアスカの宮に仕えたはずですが、
どういう経緯でサカオリ宮の預りとなったのかについての説明はありません。
サクラウチ─┬─カグツミ─┬カグヤマ──カゴヤマ [初代ヤマズミ]│ [2代] ├カンタマ │ └マウラ [3代] ├─ホノコ │ ├──オシホミミ┬クシタマホノアカリ(斎名テルヒコ) │ アマテル │ │ │ └ニニキネ(斎名キヨヒト) └─ハナコ
■御膳 (みかしは)
ミカシハ(御膳)は カシハ(膳)の尊敬表現です。 ▶膳(かしは)
■アシツ姫 (あしつひめ)
オオヤマズミ(3代目マウラ)の娘です。
サクラウチ───カグツミ─┬カグヤマ──カゴヤマ [初代ヤマズミ] [2代] ├カンタマ └マウラ──┬イワナガ [3代] └アシツ姫
■契り籠む
(ちぎりこむ)
チギリ(契り)+コム(▽交む)
で、コムは コフ(交ふ)の変態。
「(男女の) 契りを交わす・性交する」 という意です。
【概意】
宮預りのオオヤマズミが祝賀をなす。
御膳を捧げるアシツ姫は、一夜召されて君と契りを交わす。
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かえるにはりに ゆきすきの みやにいのりの おおなめゑ
みくさのうけお あにこたえ みやにをさむる
そのかさり かくやはたあり
そのあすか おおんたからに おかましむ
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帰るニハリに ユキ・スキの 宮に祈りの 大嘗会
三種の受けを 天に応え 宮に納むる
その飾り 香・八幡あり
その明す日 大御宝に 拝ましむ
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■ユキ・スキの宮 (ゆきすきのみや)
■祈り (いのり)
何かに心/意識を「合わす・結ぶ・交える・通ずる・フォーカスする」ことを原義とし、
この場合は
「ユキ・スキの宮に纏る神々に心を交えること」
をいいます。 ▶祈る
■大嘗会 (おおなめゑ)
■天に応ふ (あにこたふ)
ここでは 「天界の神々に報告する」 という意です。
■宮に納むる (みやにをさむる)
八州巡幸中は櫃に入れて持ち歩いてた三種宝を、
ニハリの皇居の 「内つの宮に収納する」
ということです。 ▶三種宝 ▶内つの宮
これ以降は、そうすることが恒例となります。
三種とも 内つの宮に 納めます ハラミの例し 内宮と 称ゆ基なり 〈ホ30〉
■香 (かぐ)
タチバナ(橘)の別称で、クニトコタチ、トコヨ
を表すシンボルです。
■八幡 (やはた)
八響幡(やとよはた)と同じです。 ▶画像
この幡を八角形の玉座(=高御座)の八隅に立てて即位するのが、アマテル以来の恒例です。
・天に棚引く 白雲の 掛かる八峰の 降る霰 八隅にこだま
この瑞を 布もて作る 八響幡 八隅に立てて 君となる
〈ホ4ー4〉
・あまねき神の 生れの時 天に棚引く 白雲の 掛かる八峰の 白玉の 霰降れども
天晴るる 瑞の兆を 白布に 八響の幡の 代々に立つ 皇の御子の 初めなりけり 〈ミ逸〉
【概意】
その後ニハリに帰って、ユキ・スキの宮に祈る大嘗会を行う。
三種宝の受領を天界の神々に報告して
内つの宮に納める儀式には
橘や八幡の飾りが備えられ、明くる日には大御宝に拝ましむ。
本日は以上です。それではまた!