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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第12回 [2023.7.22]

第三巻 一姫三男生む殿の文 (3)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひひめみをうむとののあや (その3)
 一姫三男生む殿の文 https://gejirin.com/hotuma03.html
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 あわうたに をさむはらみの みやにゐて
 すてにやしまの くにうみて いかんそきみお うまんとて
 ひのかみおうむ そのみなお うほひるきとそ たたえます
―――――――――――――――――――――――――――――
 アワ歌に 治むハラミの 宮に居て
 「すでに八州の 国生みて 如何ぞ君を 生まん」 とて
 日の神を生む その御名を “ウホヒルキ” とぞ 称えます
―――――――――――――――――――――――――――――

アワ歌に治む (あわうたにをさむ)
 
■ハラミの宮 (はらみのみや:孕みの宮) ■ハラの宮 (はらのみや:▽孕の宮)
「ハラミ山麓の宮」 という意味で、“ホツマ国” の都です。“ハラミ山” は 今の 「富士山」 です。
 
 ★ハラミ山 (はらみやま:孕み山) ★ハラ山 (はらやま:▽孕山)
 二尊が日月の神霊を 「孕む山」 という意で、今の 「富士山」 をいいます。
 カグヤマ(香山)・オオヒヤマ(太陽山)・ヒノヤマ(日の山)・オオヤマ(太山)・
 コノヤマ(熟山/九の山)・トヨヰユキ山(響居雪山)・フジの山 など、
 多くの別名がありますが、ハラミ山が最も一般的な呼び名です。

 ★ホツマ国 (ほつまくに)
 現在の 「関東〜東海地方」 で、北は栃木県・茨城県、南は静岡県あたりまでの範囲です。
 “ホツマ” には複数の意味がありますが、この場合は「日の昇り・東」 を意味します。

 ホツマ は語義としては ヒタカミ(日高み)、ヒタチ(日立・常陸) と同じですが、
 ヒタカミ国は 「東北地方」、ホツマ国は 「関東〜東海地方」 です。
 ヒタチ国は ホツマ国の一地方で、また ホツマ国は 中国(なかくに) の一地方です。

  ★ホツマ (▽穂積・▽東)
  このホツマは ホツ(▽穂つ)+ツム(積む) の同義語短縮 “ホツム” の名詞形で、
  「上るさま・高まるさま」 を原義とし、「日が上ってくる方=東」 を意味します。
  アヅマ(東)ホヅミ(穂積) は ホツマ の変態です。


■八州 (やしま)
シマ(州・洲・島・嶋) は シメ(締め) の変態で、「八つの締め・八方の区画」 を原義とし、
「国家全土・全国」 を意味します。ヤスミ(八隅・八角) の変態で、ヤモ(八方) と同義です。 ▶州


如何ぞ (いかんぞ)
ここでは 「どうにかして・なんとしても」 などの意です。


■日の神 (ひのかみ)
「太陽の神霊」 という意味で、アマテル君 を指します。
アマテルは正確には 日と月の両神霊の顕現ですが、“日の神” と簡略して呼ぶことが多いです。

 神霊が人として生れるには、魂(陽霊) と 魄(陰霊) を結ぶ必要があるため、
 アマテルの場合には、日の神霊(太陽霊) と 月の神霊(太陰霊) とを結合して
 世に顕現したということです。


■ウホヒルキ・ウヒルキ (太陽霊貴/大日霊貴)
ウホ(大・太)+ヒ(陽・日)+ル(霊)+キ(木・貴) で、アマテルの幼名です。
ウホヒル(太陽霊・大日霊) は 「太陽の神霊」 を意味します。
キ は キミ(木実) の “キ” と同じで、「先に上昇した 陽/男」 を表します。
“ウヒルキ” とも呼ばれます。

・泣く御子の 声 聞き取れば 「あな嬉し」 これより諸が
 名を乞ひて 叔母より問えば 「
ウヒルキ」 と 自ら答ふ 
〈ホ4-4〉
幼名の  は “大い” なり  は 陽の環  は 日の精霊  は “キネ” ぞ  〈ホ4-4〉

後世、これに “大日孁貴” と当て字し、“おおひるめのむち” と訓じたことが、
天照大神は女神であるという誤解 (陰謀?) の基礎となります。

 

【概意】
そしてアワ歌により治まる ハラミの宮に居る時、
「すでに八州の国を生みたれば、なんとしても君を生まん」 と、
日の神を生む。その御名を “太陽霊貴” とぞ称えます。



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 くにうるはしく てりとほる
 くしひるのこは ととめすと あめにおくりて
 あめのきと みはしらのみち たてまつる
―――――――――――――――――――――――――――――
 国 麗しく 照り通る
 「貴霊の子は 留めず」 と 天に送りて
 “陽陰の起” と “御柱の道” 奉る
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■照り通る (てりとほる)
これは 「日の御子の光が 国の八方に行き渡る」 という意味です。
ホツマの4アヤには、この光が通って八方に黄金が放出したと記されます。

 御子の光の 照り通り 八方に黄金の 放さけば
 日の分宮の ワカヒトと トヨケ斎名を 奉る
 
〈ホ4-5〉


■貴霊・貴日 (くしひる・くしひ・くしい・くしゐ・くしみ)
「尊い神霊(みたま)・尊いエネルギー」 が原義で、
この場合は 最も尊い 「日の神霊・太陽の神霊」 をいいます。

 ★くし (▽貴・▽奇)
 クス の名詞形で、クス は コス(越す) の変態。
 「他を越えるさま・上にあるさま」 が原義です。

 ★霊・日 (ひる・ひ・み・い・ゐ・る) ★神 (かみ) ★実 (み)
 ヒル(▽霊) は ヒル(▽秀る) の名詞形で、「高まるさま・上にあるさま」 を原義とし、
 カミ(上・神) と同義です。ミ(霊)ヒ(霊)・ヒ(日)・イ/ヰ(意・気・霊)、
 また ル(霊) と短縮されます。シム(霊・精)、チ(霊・精) なども同義です。
 「中心・本源・本質・精髄・心・神霊・魂魄」 などを意味します。


■留めず (とどめず)
この場合は 「手許に留めず」 という意です。


■天に送る・上に送る (あめにおくる)
この場合は 「ヒタカミのトヨケの許に送る」 ということです。 ▶アメ(▽上・天)

 二尊畏れ 「我が宮に むべ育てじ」 と に上げ オキツの宮に 帰ります 〈ホ4-5〉

 
■陽陰の起 (あめのき) ■御柱の道 (みはしらのみち)
これらは文書・書物の名と考えます。“陽陰の起” は「陽陰の起り・天地創造」の意。
“御柱の道” は、国家の「中軸たる国君の道」の意と思います。

 さらに推せば、この2文書は断絶した旧中央政府の君に代々伝えられてきたものが、
 二尊に譲られたのかもしれません。だとすれば後の 三種宝 の 陽陰和る文 と同様、
 これは皇位の証だったはずです。


奉る (たてまつる)
これは 二尊がウホヒルギに奉ったのだと思います。
“奉る” は下位の者が 上位の者に献上するという意ですから、
国君である二尊が、自らの子であるウホヒルキを すでに上位者とみなしているわけです。

 

【概意】
日の御子の光が、麗しく国に照り通れば、
「尊き神霊の子は我が手許には留めてはおけない」 と、
ヒタカミのトヨケの許に送り、
“陽陰の起” と “御柱の道” の二書を御子に奉る。



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 かれにはらみお おおひやま
 とよけかかゑて わかひとと いみなおささく
―――――――――――――――――――――――――――――
 故にハラミを “太陽山”
 トヨケ考えて “ワカヒト” と 斎名を捧ぐ
―――――――――――――――――――――――――――――

■故に (かれに)
シカレバ(然れば) と同じです。シカレバは シク(如く)+アレバ が縮まったものです。


■ハラミ
ハラミ山 (=富士山) の略です。

 
■太陽山・大日山 (おおひやま) ■日の山 (ひのやま)
ハラミ山は 「二尊が日月の神霊を孕んだ山」 という意味で “孕み山” ですが、
これはつまり 「太陽霊貴(うほひるき) の神霊を孕んだ山」 ということでもありますから、
“太陽山” の名が加えられたわけです。“日の山” とも換言されます。

 富士山頂の 八神峰 の 大日岳(だいにちがたけ) に “大日” の名が残ります。
 現在は 朝日岳(あさひだけ)、成就岳(じょうじゅだけ) とも呼ばれます。


■考える (かがゑる・かんがゑる)
今に言う カンガエル(考える) と同じですが、カガ(▽明暗)+ヱル(得る) で、
「明暗/陽陰を合わす」 を原義とし、「照らし見る・比べ見る・比較考慮する」
などの意を表します。ですから カンガミル(▽明暗見る・鑑みる) と同義です。
カガナフ(▽明暗和ふ) ともいいます。


■ワカヒト (分日人/若日人)
アマテルの斎名 (本名・実名) です。 ▶斎名
意味は 「日 (太陽) から分かれ出た人」 で、ワカヒト(分日人)。
また 「若日 (=初日の出) と同時に生れた人」 で、ワカヒト(若日人)です。

日の分宮の ワカヒトと トヨケ斎名を 奉る 〈ホ4-5〉
・時 二十一鈴 百二十五枝 三十一 キシヱの 
初日の出
 
若日と共に 生れませば 斎名ワカヒト 
〈ホ28-1〉


■捧ぐ (ささぐ)
これは 奉る(たてまつる) の換言で、下位者が上位者に献上するという意味です。
トヨケも自分の孫を すでに上位に置いています。

 

【概意】
御子の名の太陽霊貴に因んで、ハラミ山を “太陽山“ と。
トヨケは  <分日・若日に> 鑑みて、“ワカヒト” と斎名を捧ぐ。



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 ふたかみは つくしにゆきて うむみこお つきよみのかみ
 ひにつけと あめにあけます
 これのさき をゑくまにすつ ひるこひめ
 いまいつくしに たりいたり あめのいろとと わかひるめ
―――――――――――――――――――――――――――――
 二尊は ツクシに行きて 生む御子を “ツキヨミ” の尊
 「日に次げ」 と 天に上げます
 これの先 汚穢・隈に捨つ ヒルコ姫
 今 慈しに 足り至り 陽陰の愛妹と “ワカヒルメ”
―――――――――――――――――――――――――――――

■ツキヨミ (次黄泉・継黄泉) ■モチキネ (斎名)
二尊がアマテルに次いで生んだ男子で、斎名は モチキネ です。
記紀には 月読(つくよみ)命 / 月夜見(つくよみ)尊 と記されます。

 アワナギ─イザナギ┐
          ├1.ワカ姫  (斎名ヒルコ)
          ├2.アマテル (斎名ワカヒト) 
          ├3.ツキヨミ (斎名モチキネ)
          ├4.ソサノヲ (斎名ハナキネ)
 トヨケ──イザナミ┘

ツキ(次ぎ・継ぎ)+ヨミ(黄泉) で、「(日に) 次ぐ黄泉」 を意味し、
ヨミ(黄泉)は 「陰・闇・」 などの換言です。
これは 「日に次げ」 という心を表した名です。

・弟ツキヨミは 日に次ぎて 民の政を 助けしむ 〈ホ6-2〉
・昔 二尊 日の神を君 
月は次ぐ 次ぐは臣 〈ホ28-5〉

 アマテルは日の神霊の顕現であることが随所に語られていますが、
 では、ツキヨミは月の神霊の顕現なのか?というと、そのように記されている
 箇所は見あたりません。単に、日の神アマテルの次に生れた子であるため、
 “日の次は月”、“昼の次は夜” というノリで名づけられた名のようです。

 
■天に上げます (あめにあげます)
“天に送る” と同じで、「ヒタカミのトヨケの許に上げる」 という意味です。
アマテルに次いで、ツキヨミも、教育を受けるためにヒタカミに送られたということです。


■これの先 (これのさき)
「これに先立って」 という意味です。


■汚穢隈・汚穢曲 (をゑくま)
ヲヱ(汚穢)クマ(隈・曲・阿) の同義語連結で、
どちらも 「曲り・逸れ・ずれ・外れ・異常」 などが原義です。
この場合は 陽陰の節、つまり 厄年 にかかわる “汚穢隈” をいいます。


■慈し (いつくし・ゐつくし)
イツク(斎く・傅く)シク(如く) から ‘ク’ を省いた ク語法 で、
イツクシミ(慈しみ) と同じです。「心血を注ぐこと・大切にすること・愛」 などをいいます。


■足り至る (たりいたる)
「満ち足りる」 と同じです。ここでは 「人と成る・成人する」 の意です。


陽陰 (あめ・あま)
このアメは 日と月 (太陽と太陰) の神霊、また その顕現である アマテル=ワカヒト を指します。


■愛妹 (いろと)
「心を寄せる妹・親しい妹・愛しい妹」 などの意です。
“愛妹” は筆者の宛字です。

 イロ は イル(入る) の名詞形で、イル は ヨル(寄る) の変態です。
 ト(妹・弟) は “下” が原義で、「下にあるさま・年下の者」 を意味します。


■ワカヒルメ (▽分日霊妹) ■ヒルコ (斎名)
ヒルコ の別名です。
ワカヒル(▽分日霊) は 「日の神霊の分け身」 である アマテル を指します。
メ(▽妹) は ここでは 「下の女子・いもうと」 を意味します。 ▶メ(▽妹・▽鄙・▽陰)
ですから 「日の神霊の分身の妹」 という意です。
稚日女尊(わかひるめ) の名で多くの神社に祭られています。

 玉津島神社 (たまつしまじんじゃ)
 和歌山県和歌山市和歌浦中3丁目4−26。
 現在の祭神:稚日女尊(わかひるめのみこと)
 ・稚日女尊は伊奘諾・伊奘冉二尊の御子であり、天照大御神の
  妹神に当たられる。和歌の神として尊崇を受ける。

 生田神社 (いくたじんじゃ)
 摂津国八部郡。兵庫県神戸市中央区下山手通1丁目2-1。
 現在の祭神:稚日女尊(わかひるめのみこと)
 ・稚日女尊は天照大神の和魂(にぎみたま)、あるいは妹神と伝えられる。

・ヒルコは実際にはアマテルの姉ですが、世の最高位にある者 (君主) の兄弟姉妹の場合は、
 年上であっても弟・妹とするようです。(さもないと兄や姉の方が上位になってしまいますから)
 後世の景行天皇とヤマト姫の間にも同様の例が見られます。
・ワカヒルメには この意味の他に もう1つ重要な意味があります。〈ミ10-6〉

 

【概意】
二尊はツクシに行きて生む御子を “ツキヨミ” の尊と名付け、
「日に次げ」 とヒタカミに上げます。
これに先だち、父母の厄年の汚穢隈が当たらぬようにと、捨てたヒルコ姫は、
慈しまれて今や無事に成人し、アマテルの愛しい妹と。名もワカヒルメ(分日霊妹)。



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 そさくににうむ そさのをは
 つねにおたけひ なきいさち くにたみくしく
 いさなみは よのくまなすも わかをゑと
 たみのをゑくま みにうけて まもらんための くまのみや
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 ソサ国に生む ソサノヲは
 常にお猛び 泣きいさち 国民くじく
 イサナミは 「世の隈 生すも 我が汚穢」 と
 民の汚穢・隈 身に受けて 守らんための 隈の宮
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■ソサ国 (そさくに)
キシヰ(=紀州) の別名です。
キの国(紀の国)、ワカの国(若の国・和歌の国)、ナグサ(慰・名草) などとも呼ばれます。

 ソサは ソス という動詞の名詞形で、ソス は スス(▽進す) の変態です。
 スス は ススム(進む)、スサブ(荒ぶ進ぶ遊ぶ)スサム(荒む進む遊む)
 などの母動詞で、ゆえに ソサ=スサ=ススミ(進み)=スサミ(荒み) と考えています。
 なお 現在も和歌山県西牟婁郡には すさみ町 が存在します。


■ソサノヲ ■ハナキネ (斎名)
二尊が ヒルコ、アマテル、ツキヨミ に次いで生んだ男子で、最後の子です。
斎名(いみな:本名・実名) は ハナキネ です。
“ソサノヲ“ の意味は 「すさんだ皇子・荒廃した皇子」 と考えています。
記紀は スサノオ(須佐之男命 / 素戔嗚尊) と記します。

 アワナギ─イザナギ┐
          ├1.ワカ姫  (斎名ヒルコ)
          ├2.アマテル (斎名ワカヒト) 
          ├3.ツキヨミ (斎名モチキネ)
          ├4.ソサノヲ (斎名ハナキネ)
 トヨケ──イザナミ┘

イサナミが、陽陰の節(あめのふし) の乱れた時に孕んだ子であったため、
感情を制御できず、常に激昂して泣き叫ぶ という先天的な霊の異常を持っていたといいます。

 陽陰の巡りの 蝕みを 見るマサカニの なかごりて 生むソサノヲは
 霊乱れ 
国の隈なす 誤ちぞ 
〈ホ7-7〉

 
■お猛ぶ (おたけぶ) ■泣く/鳴く (なく) ■いさつ
いずれも 「いきりたつ・いきまく・激昂する・憤怒する」 などの意で、
その感情を外に噴出する行動 (泣く・叫ぶ・わめく・騒ぐ・暴れる) を含みます。 ▶いさちる


■世の隈 (よのくま)
「世の災厄・社会の害悪・世間の迷惑」 などの意です。 ▶隈(くま)


■我が汚穢 (わがをゑ)
ソサノヲの霊が乱れて世の隈を生す、そもそもの原因は、
陽陰の周期が乱れる時に孕んだ 「我が逸脱」 にあるといってます。 ▶汚穢(をゑ)

 誤りて 穢るる時に 孕む子は 必ず粗るる 〈ホ7-7〉


■隈の宮 (くまのみや)
ミヤ(宮) は ここでは 「入れ物・容器」 を意味します。
“隈の宮” は この場合は 「汚穢隈を収める容器・汚穢隈を捨てるゴミ箱」 をいいます。

 ★宮 (みや)
 ミユ(見ゆ) の名詞形で、「合い/合わせ」 が原義ですが、2つの意味があります。
 (1) 何かを合せる所。何かを入れる所。=入れ物・容器
 (2) 合い(間)の所。中間。まんなか。中心。中枢。本拠。=ミヤコ(都)

 

【概意】
ソサ国に生むソサノヲは、常に興奮してわめき立て、国民を害する。
イサナミは、世の隈を生んでしまったのも 自分の汚穢が原因と考え、
民のこうむる汚穢隈を我が身に受けて守らんと、自らを汚穢隈の入れ物となす。



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 かくみこころお つくしうむ ひひめみをかみ
 うみてよの きみとみのみち とのをしゑ
 さかりもとらは ほころはす
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 かく実心を 尽し生む 一姫三男尊
 生みて余の 君・臣の充ち トの教え
 逆り惇らば 綻ばす
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■実心・真心・御心 (みこころ)
実(じつ) の心、核(さね) の心 という意で、真心(まごころ)と同じです。

 ミナカ(真中)ミサカリ(真盛) など、‘ミ’ と ‘マ’ には互換性があります。


■余の君臣の充ち (よのきみとみのみち)
「その他の君臣の充足・モノノベたち (公務員団) の養成」 という意です。


■トの教え (とのをしゑ)
「調和の道を民に教えること」 をいい、“マトの教え”  “調の導き” とも呼ばれます。
これが臣 (=モノノベ) の最重要の仕事であると、アマテルはしつこく説いています。
調和の道にも多階層のレベルがありますが、まずは各人の心の調和から始まります。

・臣ら ひめもす 倦まなくて 教えを常の 業となせ … 教えぬ者は 臣ならず 〈ホ17-2〉
・物知るとても 蠢かで 
調の導きに 入らざらんをや 〈ホ17-2〉
・“曲松を 引き植え 新木 培えば 直木となるぞ” 親心 細々篤き 
調の教え 〈ホ17-4〉
・蔀は臣の 
調の教え 通るを見るぞ 〈ホ21-4〉
・ヤヒロの殿と 中柱 立ててめぐれば オオヤ州 通るまことの 
トの教え 〈ホ23-1〉
・トの神と 旨に応えて 守るゆえ 人の中子に 合いもとめ 一つに致す トの教え 
〈ホ23-2〉


 ★ト (調/経)
 ‘ト’ は 「トのヲシテが意味するところ」 をいいますが、それは トトノエ(調え) という
 言葉に代表されるため “調” と当ててます。そしてその実現のための重要な手段の1つが
 「立て・経(たて)・掟(おきて)」 であるため、トホコ(経矛) の ‘ト’ には “経” と当ててます。
 ですから同じ ‘ト’ でも、「調和」 の意を表す場合は “調”、「掟・法」 の意を表す場合は
 “経” と表記して区別しています。


■逆り惇る (さかりもとる)
「逆らって背く・離れて外れる・曲りねじける」などの意です。

 サカル(離る・逆る)モトル(悖る) の連結で、
 モトル(悖る) は モヂル(捩る) の変態です。

 
綻ばす (ほころばす)
ホグ(▽解ぐ)+コロバス(転ばす) の短縮で、ホグは ホグス(解す) の母動詞。
ホコロバス の “ホコ” が 「矛」 の語源です。

 

【概意】
このように真心を尽くして生む 1姫と3男尊。
そして他のモノノベを生んで養成して、民に調和の道を教え、
道に逆らい背けば綻ばす。



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 このふたはしら うむとのは
 あまのはらみと つくはやま あはちつきすみ くまのなりけり
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 この二柱 生む殿は
 陽陰のハラミと 筑波山 淡路・ツキスミ 隈野なりけり
―――――――――――――――――――――――――――――――

二柱 (ふたはしら)

■生む殿 (うむとの)
産殿(うぶどの) と同じです。


■陽陰のハラミ (あまのはらみ:陽陰の孕み)
「日月の神霊を孕んだ所」、つまり 「アマテルの神霊を孕んだ所」 を意味します。 ▶陽陰
それは今の富士山でした。それゆえ “ハラミ山” と呼ばれ、
アマテルが出生した山麓の宮は “ハラミの宮” と呼ばれます。 ▶ハラミ山 ▶ハラミの宮


■筑波山 (つくばやま)
筑波山麓の イサ宮 でヒルコは生れました。


■淡路 (あはぢ)
ヒヨルコは淡路の産殿で生れました。しかし流産でした。


ツキスミ (▽尽州・▽究州)
「九州」 の古名です。ツキヨミはここで生れました。


■隈野 (くまの)
ソサノヲはここで生れました。隈野は 「汚穢隈の地」 という意味です。
場所は現在の紀州熊野と同じです。

 和歌山県神社庁のHP
 「熊野という地名は “隈の処” という語源から発しているといわれている」
 と書いています。

 

【概意】
この二柱が生む殿は、アマのハラミと、筑波山、淡路、筑紫、隈野 なりけり。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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