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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第13回 [2023.7.25]

第四巻 日の神の瑞御名の文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひのかみのみづみなのあや (その1)
 日の神の瑞御名の文 https://gejirin.com/hotuma04.html
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 ひのかみのみつみなのあや
 もろかみの かみはかりなす たかまにて
 おおものぬしか ひのかみの ゐみなのあやお もろにとふ
 おおやますみの こたえには みをやのしるす うたにあり
 もろかみこえは やますみが つつしみいわく
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 日の神の瑞御名の文
 諸守の 守諮りなす タカマにて
 オオモノヌシが 日の神の 斎名の謂を 諸に問ふ
 オオヤマズミの 応えには 「御祖の記す 歌にあり」
 諸守乞えば ヤマズミが つつしみ曰く
―――――――――――――――――――――――――――――

日の神 (ひのかみ)

■瑞御名 (みづみな)
ミヅ(瑞・蜜・水) は 「上澄み」 が原義で、「純粋・精髄・透明」 などを意味し、
ここでは 「素晴しいさま・麗しいさま・めでたいさま」 をいいます。
ミ(御) は カミ(上・尊・神) の略形で、この場合は “名” に尊敬を添えます。


諸守 (もろかみ)

■守諮り (かみはかり)
「守 (=臣・司・モノノベ) たちによる会議」 です。 ▶守(かみ)
タカマ(中央政府) での会議ですから、「中央最高会議」とでも言うべきでしょうか。


タカマ (高天)

■オオモノヌシ (▽皇モノ主・大物主)
国家の 行政・司法・警察・軍事 を司る最高長官です。
オオ(央・皇・公) は 「中央政府」 を意味します。
モノ は モノノベ の略で、「公務員・役人」 をいい、臣・守・司 の別名です。
ヌシ は 「主」 です。
よって 「中央政府の公務員の主」、これが オオモノヌシ の意味です。
官職名であって個人名ではありません。ホツマには6代のオオモノヌシが登場します。

 ソサノヲ────オホナムチ───クシヒコ─コモリ─┬カンタチ─フキネ
 (ヤヱ垣機)  (初代オオモノヌシ)  (2代)  (3代) │      (4代)         
                          └ツミハ───┐
                                 │
  ┌──────────────────────────────┘
  │
   └クシミカタマ─アタツクシネ
     (5代)    (6代)


■斎名の謂 (ゐみなあや)
「本名のいわれ・由来」 という意です。 ▶斎名 ▶謂(あや)


■オオヤマズミ/ヅミ (▽大山統み) ■ヤマズミ/ヅミ
「大山の麓の地域 (=相模国) を統べる者」 という意で、オオヤマは 神奈川県の 大山 を指します。
オオヤマズミ は 世襲の名で、ホツマには3人が登場し、ヤマズミ/ヤマヅミ と略されます。
記紀には 大山津見神 / 大山祇神 などと記されます。

 ★スミ・ズミ (▽統み) ★ツミ・ヅミ (▽集み)
 スミ は スムの名詞形で、スム は スブ(統ぶ) の変態。ツミ は ツム(集む) の名詞形です。
 スミ も ツミ も 「統べ・束ね・まとめ・治め」 を意味します。

 
■御祖・上祖 (みをや)
ミ(御・▽上)+ヲヤ(祖) の連結で、両語とも 「上流にあるもの」 が原義です。
この場合は 先祖(せんぞ) と同義です。

 ★祖・親 (をや)
 ヲユ(老ゆ) の名詞形で、ウヱ(上) の変態です。「上流にあるもの」 が原義です。


■つつしむ (慎む・謹む)
ツツ+シム(締む染む) の連結で、ツツ は ツヅル(綴る) の母動詞。
「合わす・綴じる・締める・染める」 などが原義で、
「(心身を)添える/染める・心する・留意/注意する」 などの意を表します。


曰く (いわく)
イフ(言う・云う・謂う) の ク語法 です。

 

【概意】
日の神の瑞御名の文
諸守が会議する中央政府にて、
オオモノヌシが日の神の斎名のいわれを諸に問う。
オオヤマズミの応えには、「先祖の記す歌にあり」
諸守が乞えば、ヤマズミがつつしんで曰く、



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 むかしこの くにとこたちの やくたりこ
 きくさおつとの ほつまくに
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 昔この クニトコタチの 八くだり子
 木草を苞の ホツマ国
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■昔この (むかしこの)
“この” は語調を調えるためのもので、特に意味はないと思います。


クニトコタチ (▽地疾立)

八くだり子 (やくだりこ)
ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの8国を治めた君の総称です。 ▶くだり
この8国の君となった人はすべて “八くだり子” ですが、
この場合は クニサツチ を指すものと思います。

 ミナカヌシ─天の八尊─地の十一尊─クニサツチ─トヨクンヌ┐
 ←……… クニトコタチ  ………→            │
 ←………………  最広義のクニトコタチ …………… ……→│
       ┌―――――――――――――――――――――┘
       │
       └ウビチニ
          ├――――ツノクヰ
         スヒヂ     ├――――オモタル
               イククイ     ├ … (断絶) … イサナキ
                     カシコネ        │
                               イサナミ


■木草 (きくさ)
これは タチバナ(立木・橘) をいいます。
太古クニトコタチが “国を立てる” のモノザネとして植えた木です。
そのためタチバナは “トコヨの木” とも呼ばれます。 ▶トコヨ ▶木(はな)


苞 (つと)
ツト は ツツ(伝つ) の名詞形で、「伝える物」 をいいます。
ですから 「他所に伝える物」、つまり みやげ(土産) です。


ホツマ国 (ほつまくに)

 

【概意】
昔、クニトコタチの八くだり子の一人は、タチバナを土産にホツマ国に下る。



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 ひかしはるかに なみたかく たちのほるひの ひたかみや
 たかみむすひと くにすへて
 とこよのはなお はらみやま かくやまとなす
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 東遥かに 波高く 立ち上る日の ヒタカミや
 タカミムスビと 国統べて
 トコヨの木を ハラミ山 “香山” となす
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■波高く (なみたかく)
「勢いよく」 という意です。この場合は “海の波” とは無関係です。

 ★波 (なみ)
 「振れるさま・振動するさま・活動的なさま」 などが原義で、
 「勢い・栄え・活き」 などを意味します。“なみなみと注ぐ” と言う場合の ナミ です。


■立ち上る日の (たちのぼるひの)
ヒタカミ(日高み) の意味を説明しています。


ヒタカミ (日高み)

タカミムスビ (高み結び)

■トコヨの木 (とこよのはな)
「クニトコタチの時代の木」 という意で、
タチバナ(立木・橘)
の別名です。 ▶トコヨ ▶木(はな)


ハラミ山 (孕み山)

■香山 (かぐやま)
ハラミ山 の別名で、トコヨの木 (=タチバナ) を植えたことによる名です。
この山は ホツマ国 のシンボルです。

 ★カグ・カク (香・香具・迦具・▽輝・▽篝)
 コグ(焦ぐ) の変態 カグ(▽上ぐ) の名詞形で、「上げ・高まり・立ち」 が原義です。
 ここでは 「香り立つもの・かぐわしいもの」 をいい、タチバナ(橘) の換言です。
 今の辞書にも 香の菓(かくのこのみ) という名が残っています。

 

【概意】
東遥かに勢いよく立ち上る日の “日高み” や。
タカミムスビと共に国を統べ、トコヨの木をハラミ山に植えて、“香山” となす。



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 ゐもつきの まさかきもうゑ よようけて をさむゐつよの
 みむすひの ゐみなたまきね もとあけお うつすたかまに
 あめみをや もともとあなみ みそふかみ まつれはたみの
 とよけかみ ひかしのきみと みちうけて

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 五百継ぎの 真榊も植え 代々受けて 治む五代の
 ミムスビの 斎名タマキネ 元明を写す
 タカマに アメミヲヤ 元元・天並 三十二神 纏れば
 “廻みのトヨケ尊” “東の君” と 道受けて

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  ここは五七調が少々いびつなため言葉の区切りを調整しています

■五百継ぎの真榊 (ゐもつぎのまさかき)
真榊 は 999枝60穂の年に種を植えて植え継ぎを行いますが、その植え継ぎも500回が
限度で、その後は稀に自生する別の苗木を探さねばならないようです。また真榊の
植継ぎは (=国君) の専業公務とされました。そのため “五百継ぎ天の真榊” とも呼ばれます。

 したがってこれを植えたということは、ヒタカミ国が、クニトコタチが建てた トコヨ国
 (=トホカミヱヒタメの8国) に連なる国であることを、公式に認められたことを意味します。


■ミムスビ
“タカミムスビ” の略です。


■タマキネ
タカミムスビ5代 トヨケ の斎名です。 ▶トヨケ ▶斎名

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)   
 │          │           
 │          └アメヨロツ┬アワナキ───イサナキ
 │          (養子)↑  └サクナキ     │
 │             └─────┐      │
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ   │
 │      (初代)  │              │
 └ウケモチ       └タカミムスビ─タマキネ─イサナミ
               (2〜4代)    (5代)


■元明 (もとあけ)
モツ(▽戻つ)+アク(明く・上ぐ) の名詞形で、
両語とも 「もどる・あがる・還る・回帰する・帰還する」 などが原義です。
ですから モトアケ は 「もとの所・還る所・あがりの所」 が原義で、
「天界・神界・あの世」 を意味します。

 天界における神々の配置を示したのが フトマニ図 です。
 円の中心は根源神アメミヲヤを表し、その位置は北極星に当たります。
 他の48神はアワ歌の48音で、アワ歌の各音はそれぞれが神の名です。


タカマ (高天)
この場合は ヒタカミ国の 「都・中央政府」 をいいます。


アメミヲヤ (▽陽陰上祖)

■元元 (もともと)
「元明(もとあけ)の 元座(もとざ)の神」 という意で、フトマニ図の中心宮 “アウワ” の
すぐ外側の輪に座す の8神の総称です。
天元神(あもとかみ)、八元神(やもとかみ) とも呼ばれます。


■天並・天並神 (あなみ・あなみかみ)
「天の中位の神」 という意味で、フトマニ図の中心宮から2番目の輪に座す
の8神の総称です。天均神(あなれかみ) とも呼ばれます。


■三十二神 (みそふかみ)・三十二の神 (みそふのかみ)
フトマニ図の外側の2輪に座す 「32神」 の総称です。“タミメヒコ” とも呼ばれます。


纏る (まつる)
この場合は ヒタカミのタカマに 「神をまとわす・鎮座させる」 という意です。


■廻み・回み (たみ)
タム(回む・廻む) の名詞形で、「回り・廻り・周り」 が原義です。
この場合は 「周辺・地方・田舎」 などを意味し、「中国ではない国」 をいいます。 ▶中国


■トヨケ尊 (とよけかみ:響受け尊)
トヨケは トヨウケ の短縮で、「響 (=中央政府) を受け継いだこと」 を意味します。


■東の君 (ひがしのきみ)
これは ヒタカミ国を治める君 という意味ではなく、
「東 (=ヒタカミ) にいる中央政府の君」 という意味です。
ですからこれは “廻みのトヨケ尊” と同じことを言ってます。

 シナ国の伝説に、西王母 と対置される 東王父 という人物が出てきます。
 東王父はシナ国から見て東にある大海中の山 (蓬莱山) に住むといわれ、
 東王父、東君(とうくん)、木公(ぼっこう) などと記されます。
 木公は 「東(き)の君(きみ)」 を意味するものと考えられます。 ▶東(き)


■道受く (みちうく)
この場合、“道” は 「国家統治の道」 で、「皇統」 をいいます。クニトコタチに始まる
日本の国君は、連綿とその直系子孫が受け継いでいますが、オモタル&カシコネ で
ついに途絶えます。オモタル&カシコネ はその晩年、国君が不在となる事態に備えて、
元明を写したタカミムスビのタマキネに、国家を治める道を開いたものと考えられます。

 

【概意】
<タカミムスビはヒタカミに> 五百継ぎの真榊も植え、
代々国を治めゆくが、5代タカミムスビの斎名タマキネは元明を写す。
ヒタカミの都に アメミヲヤ、元元の神、天並神、三十二神を纏れば、
“地方のトヨケ尊”  “東の君” と認定され、国家統治の道を受けて、



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 おおなゑことも まさかきの むよろにつきて うゑつきは
 ふそひのすすの としすてに もふそよろなち ゐもふそに
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 大嘗事も 真榊の 六万に継ぎて 植え継ぎは 
 二十一の鈴の 年すでに 百二十万七千 五百二十に
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■大嘗事・皇嘗事 (おおなゑごと・おおなめごと・うなめごと)
オオ(央・皇)+ナメゴト(嘗事) で、「中央政府の纏り事・国家の統治」 をいい、
万機(よろはた) などとも呼ばれます。

 ★嘗事 (なめごと・なゑごと)
 ナメ(嘗) は ナム(▽和む・舐む・並む) の名詞形で、 「合わせ・治め・纏り」 などが
 原義です。コト(事) は コト(如) と同源で、「〜の如くのもの・〜の類」 が原義です。
 ナヱ は ナフ(▽和ふ・綯ふ・並ぶ) の名詞形で、ナメ の変態です。
 よって “嘗事” は 「纏り事」 の同義語です。 ▶纏り


■真榊の六万に継ぎて (まさかきのむよろにつぎて)
「真榊の6万年を継ぎ連ねて」 という意です。 ▶真榊


■二十一の鈴 (ふそひのすず)
“鈴” は 真榊 の別名です。ですから 「21本目の真榊」 という意です。
1鈴=6万年 ですので、21本目ということは120万年を超えています。

 太古トホカミヱヒタメ8尊の ヱの尊とトの尊が植えた真榊は、
 植え継ぎが500回の限界に達し、ウビチニ&スヒヂの時代に
 累計年数が一旦リセットされています。


■百二十万七千五百二十 (もふそよろなちゐもふそ) ▶数詞
「120万7520年」 で、“二十一の鈴” をより正確に表したものです。
これはウビチニ&スヒヂの時に、累計年数がリセットされてからの年数です。

 

【概意】
国家の統治も真榊の6万年を継ぎ連ねて、その植え継ぎの21本目の、
年はすでに120万7520年が経過した時に、



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 かんかみれとも かんまこの ちゐもうしある そのなかに
 あめのみちゑて ひとくさの なけきおやわす かみあらす
 あらねはみちも つきんかと
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 「鑑みれども 尊孫の 千五百氏ある その中に
 陽陰の道 得て 人草の 嘆きを和す 尊あらず
 あらねば道も 尽きんか」 と
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■尊孫 (かんまご)
「尊(かみ)の子孫」 の意で、つまり昔の 「皇族や貴族の末裔」 をいうのでしょう。 ▶尊


■氏・大人・内 (うし・うじ・うち・うぢ)
ヲサ(長・筬)・ヲチ(大人)・ヌシ(主) などの変態で、
「束ねる者・治める者・中心者・支配者」 などをいいます。


■陽陰の道・和の道 (あめのみち)
「陽陰と その和合の道」 をいい、アメナルミチ(陽陰和る道) の換言です。 ▶あめ(陽陰・和)
妹背の道(いせのみち)、和の道(やまとのみち)、調の道(とのち) など、多くの換言があります。


人草 (ひとくさ)

和す (やわす)

■尽きんか (つきんか)
ツク(尽く)+ん(推量・未来)+か(疑問) で、
“尽く” は ここでは 「無くなる・枯渇する・終る」 の意です。

 

【概意】
「あれこれ鑑みても、尊の子孫の1500氏もある中に、
陽陰(和)の道を得て、臣民の嘆きをやわらげる尊はなく、
なければ和の道も尽きてしまうか」 と、



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 なけくとよけの はらみやま のほりてみれと
 やしまなる よろますたみも うくめきて
 みちならえぬも ことわりと やはりなけきて
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 嘆くトヨケの ハラミ山 登りて見れど
 「八州生る 万・十万民も 蠢きて
 道 習えぬも ことわり」 と やはり嘆きて

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ハラミ山 (はらみやま:孕み山)

■八州生る (やしまなる)
「八州に生れる」 という意と思います。 ▶八州 ▶生る(なる)


万・十万 (よろ・ます)

■蠢く (うぐめく)
ウゴメク(蠢く) の変態で、「虫が這うように絶えずモゾモゾ動く」 ことをいいます。
ここでは、人ではなく 「虫が這い回るように生きている」 という意味でしょう。

 ウグ は ウゴク(動く) の母動詞、メク は メグル(巡る・回る) の母動詞です。
 ですから 「動き回る」 が原義です。


ことわり (断り・理)

 

【概意】
嘆くトヨケはハラミ山に登りて見れど、
「全国に生れる 万・十万の民も 虫のように這い回りて、
これでは道を習えぬも道理」 と やはり嘆きて、

 

本日は以上です。それではまた!

 

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