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一から学ぶ みかさふみ講座 第11回 [2022.4.7]
みかさふみ 起尽四方の文 (8)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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きつよちのあや (その8)
起尽四方の文 https://gejirin.com/mikasa01.html
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さるたとふ むねとみなもと きつたらも
こやねこたえて
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サルタ問ふ 「ムネとミナモト キツ・タラも」
コヤネ答えて
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■ムネとミナモト (宗と鄙下)
ムネ(宗・旨)は 「中・中心・本質・主体」 を意味します。
ミナモトは ミナ(▽鄙・▽陰)+モト(下) の同義語連結で、
ミナはヒナ(鄙)の変態です。両語とも 「下・末・隅」
を表します。
したがって 「中と隅・主要と末端・主と従」
などの意となります。
■キツ (▽起尽・▽東西)
キツ(▽起尽)は
「起こりと尽き・発生と成熟・始めと終り」
などを意味します。
太陽が昇る方位と沈む方位を、やはり キ(東)・ツ(西)
といいますが、
その原義は 「起・尽」 です。
■タラ (▽陽陰・▽天地・▽日月・父母)
「陽と陰」 が原義で、「日と月・天と地・父と母」
などの意を表します。
‘タ’ と ‘ラ’ が なぜ 「陽」 と
「陰」 を表すのかについて、
ホツマツタヱの17アヤでアマテルが語っていますが、
それはオシテ(文字)の形状を根拠とするものです。
‘タ’ のオシテ 三光
円の 内に入る 足り助く法 天と父
上下反す ‘ラ’
のオシテ 地と母法 〈ホ17-2〉
【概意】
サルタヒコが 「ムネとミナモト、キツとタラも」
と問えば、
コヤネは答えて、
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よろはたの むねみなもとは よかみとち
よろはぬふかつ はたはをる
ころものたては かたちなり ぬきあやおふも かみのむね
うるほすたては よよのみち
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万機の ムネ・ミナモトは 四処・みとぢ
万は縫ふ数 機は織る
衣の経は ‘形’ なり 緯・紋 負ふも 上の宗
潤す経は よよの ‘充ち’
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■万機 (よろはた)
「万の数の杼投げによって織られるもの」
という意で、
ハタ(機:=織物)の美称です。
■四処 (よか)
ヨチ(四方)・ヨモ(四方) と同じで、ここでは
完成した織物を広げたときの 「左右上下の四辺」
をいいます。
これが “ミナモト” に対応します。
【処】か (広辞苑)
〔接尾〕(ソコのコ、イヅクのクと同源)
場所の意を表す。
■みとぢ (▽身綴ぢ)
語源的には はっきりしないのですが、
「機(織物)の中要部」
を言う用語であるのは確かだと思います。
“四処” の反対語で、これが “ムネ”
に対応します。
■縫ふ数 (ぬふかづ)
このヌフ(縫ふ)は ヌク(抜く・貫く)と同義です。
ですから 「経糸に杼を貫く回数」 をいいます。
■機は織る (はたはをる)
「ハタ(機)は織ること」 という意です。
ハタは ハツ(泊つ)という動詞の名詞形で、「合わす・結う・編む・交える」
などが原義ですが、オル(織る) も同じです。
■衣の経 (ころものたて)
コロモ(衣)は コロムの名詞形で、コロムはクルム(包む)の変態です。
「身をくるむもの・身を覆うもの・着るもの」
を意味しますが、
この場合は 「機・織物」 の言い換えです。
タテ(経)は 機のベースとなる 「経糸」 をいいます。
★経 (たて)
例えば機(=織物)は、まず経糸があって、それに緯糸を交えることで織られます。
ですから経糸を ベース/前提/基準 としているわけです。
タテ(経)とは そうした
「優先するもの・前提・基準・おきて・法」 などをいい、
ト(▽瓊・▽経)、タマ(▽尊・瓊) とも呼ばれます。
■形 (かたち)
ここでは 「基本構造・骨組み・骨格・主体」
などを意味します。
これは ”国のまつり(国政)” で言えば 「君」 にあたり、
“機のまつり(機織り)” で言えば 「経糸」 にあたります。
■緯・紋負ふ (ぬき・あやおふ)
ヌキ(緯)は 「緯(よこ)糸」 をいい、アヤ(文・綾・紋)は
「模様・装飾」 です。
これらは つとめ
(副体:肉・緯・臣民) の例として挙げられています。
オフ(負ふ・帯ぶ) は アフ(和ふ)の変態で、「合わす・添える」
が原意です。
■上の宗 (かみのむね)
「上位にある主体」 という意で、
“形(主体)をなす経糸” を言い換えたものです。
■潤す経 (うるほすたて)
「経 (形・主体) を潤すこと」 という意です。
ウルホス(潤す)は 「活かす・栄えさせる・充実させる」
などの意です。
■よよの (▽弥々の)
イヨイヨノ(弥々の) と同じで、
「連綿と続く・絶え間ない・常の・不変の」
などの意を表します。
■見ち/充ち (みち)
形
(主体:骨・経・君) に つとめ
(副体:肉・緯・臣民) が添い、
あいまって 「充ち足りること・潤うこと」 をいいます。
つまり 「主体と副体のコラボと、それによる相乗効果」
です。
‘形’ と ‘つとめ’ ‘充ち’ と
‘身’と 四つの教えも ただ一道
ヲコヌの尊の この四つを 陽陰
人に知れる 人の身の
“四つを謹む 機の道” 〈ミ1-2〉
【概意】
万機の 主要部と末端部は、“四処” “みとぢ”
と言う。
‘万’ は杼を貫く数であり、‘機’ とは織ることを言う。
衣 (機・織物) の経糸は ‘形’ (主体) である。
緯糸や装飾 (副体) を添えるのも、
上位にある主体 (‘形’ をなす経糸) に対してであり、
(副体が) 主体を活かすことは 永久不変の ‘充ち’
である。
これを国家の政治に当てはめれば、
国家の君は ‘形’ (主体) であるゆえ、
四方の臣民 (副体) が中心の君 (主体) に沿い従って
主体を活かすことが、永久不変の ‘充ち’ であり、
結局それが国家全体を活かすことになる。
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ほこのをきては みめくみに よこまほろほす はたのぬき
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矛の掟は 御恵みに 横曲滅ぼす 端の抜き
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■矛の掟 (ほこのをきて)
「懲罰の規定・刑法の定め」 をいいます。
■御恵み (みめぐみ)
メグミ(恵み)の尊敬語です。皇や神の恵みに対して用います。
ここでは 「国家の ‘形’ (主体) である君の恵み」
をいいます。
■横曲・汚曲 (よこま/よこが)
“ヨコガ” ともいい、ヨコ(横・緯・▽汚)は ヨク(避く)の名詞形で、
「よけるさま・背くさま・外れるさま」 が原義です。
マは マガリ(曲り)を表し、ヨコと原義は同じです。
ヨコマは
機織りで言えば もつれ糸、乱れ糸 ですし、
人間社会で言えば 曲人(くせど)、狂え人(くるえど)、ハタレ
です。
治むる道の 乱れ糸 切り綻ばす 器物 〈ホ23-2〉
■端の抜き (はたのぬき)
「異端の排除」 という意です。
【概意】
懲罰の定めは、君の恵みに背き外れる者を滅ぼす、異端の排除である。
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むねみなもとの たてぬきの よすちたたしく みおをさめ
やたみをさむる よちのわさ
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ムネ・ミナモトの 経・緯の 四筋正しく ‘身’
を治め
八民治むる 四方の業
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■四筋正しく (よすぢただしく)
ヨスヂ(四筋)は 「左右上下の四辺」、また
「東西南北の四方の臣民」 をいいます。
これは 「中・主要・メイン」
に対する、「隅・末端・サブ」 を意味し、
ムネ・ミナモトの “ミナモト”、また 経・緯の “緯”
に相当します。
タダシク(正しく・直しく)は
「まっすぐに・まっすぐにして」 という原義です。
なお、ヲシテ原文では “やすぢ”
と記されていますが、
誤写と判断して “よすぢ” に修正しています。
■身 (み)
この場合は 「出来上がるもの・全体・総体・システム」
を意味します。
形
(主体:骨・経・君) と つとめ
(副体:肉・緯・臣民) の
コラボによって完成する 「統合システム」
とでも言うべきでしょうか。
この 身 は、
人で言えば、「人を人として機能させる全システム」、
機織りで言えば、「織り上がった一反の織物」、
また人間社会で言えば、「国家」 に相当します。
■ヤタミ (八民)
ヤタミには複数の意味がありますが、
ここでは 「八民」 で、「八方の民・八隅の民・全国の民」
を意味します。
■四方の業 (よちのわざ)
これは言葉を替えれば、“四つを謹む機の道”
です。
‘形’ と ‘つとめ’ ‘充ち’ と
‘身’と 四つの教えも ただ一道
ヲコヌの尊の この四つを 陽陰
人に知れる 人の身の
“四つを謹む 機の道” 〈ミ1-2〉
【概意】
中と隅で言えば “隅” の、主と副で言えば “副”
である、
四辺 (また四方の臣民) をまっすぐにして ‘身’ (総体・全システム)
を治める。
これが全国の民を治める 四方の業 (四つを謹む機の道)
である。
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ほねはたのたね ししはらにうまれ
ひつきのうるほいに ひとなりそなふ
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骨は ‘タ’ の胤 肉は ‘ラ’ に生まれ
日月の潤いに 人態備ふ
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ここは五七調が少々いびつなため、言葉の区切りを調整しています。
■骨は ‘タ’ の胤 (ほねはたのたね)
「骨は陽(日)に連なるもの・骨は陽(日)を根源とする」
という意です。
★胤 (たね)
「続き・連なり」
が原意で、「後継・系統・血統・末裔」 などを表します。
■肉は ‘ラ’ に生まる (ししはらにうまる)
「肉は陰(月)によって生ずる」 という意です。
人体の部位を表す漢字に “月”
が付くのは、このためかと思います。
脳、胃、肺、腎臓、肝臓、膵臓、腸、肛門、腕 … … …
■日月の潤い (ひつきのうるほい)
“日月の振ゆ”
と同じです。
貴きも 尊も彦も 生る道を
治め収むる 人の身は
日月の振ゆに 養われ 恵み知らせん そのために
出で入る東西を 教ゆなり 〈ミ1-3〉
■人態 (ひとなり)
「人の形・人としての姿」 などの意です。
なり【形・態】 (広辞苑)
・かたち。そうなった、ものの形状。
【概意】
骨は陽(日)の胤、肉は陰(月)に生じ、
日月の潤いを得て人の態が備わる。
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よかひちの かたおもちいて みおをさむ
めくみしらねは かたちなし
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四処一内の 型を用いて ‘身’ を治む
恵み知らねば 形無し
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■四処一内 (よかひち)
「四辺に一つの中心」 という意で、“四処・みとぢ”
と同じです。
「機の四辺と主要部」、また 「四辺の臣民と中央の君」
を表します。
別の言葉で言えば キツヲサネ(東西央南北) です。
■形無し (かたちなし)
これは今に言う カタナシ(形無し)
と同じで、
「形として現れない・具現しない」 という意です。
かたなし【形無し】 (広辞苑)
・形跡が残っていない。効果がない。
【概意】
四処一内の型を用いて ‘身’ (総体・全システム)
を治めるとて、
(東西南北を巡って潤す) 日月の恵みを知らねば、形無し(効果なし)。
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たらのそたつも うるほいも
てるきつさねの なかにいて きみのをさむる まつりこと
よろはたすへて よちおそなへり
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タラの育つも 潤いも
照る東西南北の 中にいて キミの治むる 纏り事
万機すべて 四方を備えり
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■タラ
「陽陰」 を原義とし、この場合は 「日月」 と 「父母」
を表します。
■キミ (木実)
「夫婦一対の君」 をいい、男が “木”、女が “実”
です。この別表現が
ヤワシテメグルヒツキ(和して恵る日月)、アマツヒツキ(和つ日月)
です。
天が下 和して恵る 日月こそ 晴れて明るき 民のタラ(父母)なり
〈ホ7-4〉
★和して恵る日月 (やわしてめぐるひつき)
「ほどよく調えて恵む日と月」
という意で、君主夫婦の別名です。
日月は “陽陰・男女・夫婦・父母・木実”
の同義語です。
天空を巡る日月の仕事を、天の下で担うことこそが、
民の父母としての君主夫婦の役目である、ということです。
二尊受けて 親となり 民を我が子と 育つるに 篤く教えて 人となす 〈ホ17-2〉
■まつりごと (纏り事/政)
「まとめごと・治めごと・手当て・処置」
などの意です。用途の広い言葉で、
例えば、経糸と緯糸を編んで機(布)にまとめることも “まつりごと”
なら、
人間社会の様々な問題をうまく取りまとめることも “まつりごと”
です。
■万機 (よろはた)
「万の数の 杼投げ
によって織られるもの」 という意で、
ハタ(機:=織物) の美称ですが、 君のまつり
に喩えられます。
これを音読みした言葉が バンキ(万機) だろうと思います。
よって “万機すべて” とは 「機織りも君の政治も
ともに」 という意となります。
ばんき【万機】〈広辞苑〉
1.多くの重要なことがら。
特に、政治上の多くの枢機。よろずのまつりごと。
2.帝王の政務。天下の政治。
■備えり (そなえり)
ソナフ(備ふ)+ナリ(断定) の短縮で、
ソナフ(備ふ)は ここでは 「調える・整備する」 の意です。
【概意】
日月が地に恵む育成も潤しも、<それを天の下で行うことが>
日月の照る東西南北の中心にいて、キミ(和して恵る日月)の治める纏り事。
万機 (機織りと君の政治) は、ともに四辺 (四方の臣民)
を調えるなり。
本日は以上です。それではまた!