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一から学ぶ みかさふみ講座 第12回 [2022.4.20]
みかさふみ 酒法の文 (1)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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さかのりのあや (その1)
酒法の文 https://gejirin.com/mikasa02.html
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さかのりのあや
さほひこの いさわにきけは
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酒法の文
サホヒコの イサワに聞けば
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■サホヒコ
ミカサフミ『タカマ成る文』のイントロの記述から考えて、
ヤマクイの別名 あるいは 斎名 ではないかと思います。
ヤマクイの タカマを乞えば
「草 薙ぎて 九星を纏る ユキの宮 アメトコタチと
スキ殿に ウマシアシカイ ヒコチ神 合わせ纏れば 名もタカマ」
諸 集まりて ゆえ乞えば 君 サホヒコに 御言宣 〈ミ6〉
★ヤマクヒ/ヤマクイ (山構ひ)
ヤマクヒ(山構ひ)は 「山を構ふ者・山を造る者」
という意味です。
これはニニキネの命により、山背の野を掘り
その土をオキツボの峰に
積み上げて、太陽山を模した “日似山(=比叡山)”
を造ったことに由来します。
出自についての記述はないのですが、他文献では “大山咋神”、あるいは
“若山咋神” と呼ばれ、古事記は 「大年神の子」
と記しています。
これを信じれば 「オオトシクラムスビの子」
ということになります。
ソサノヲ ├──オオトシクラムスビ─┬オキツヒコ イナタ姫 │ └ヤマクヒ (古事記からの推測)
■イサワ
アマテルの都である 「イサワの宮」 です。
★イサワの宮 (いさわのみや)
アマテルは初め富士山麓のヤスクニ宮を都としますが、
その後はイサワの宮に都を移し、オシホミミに皇位を譲った後も、
イサワを住まいとして世を照らします。(最晩年には宇治に移ります。)
イサワは イセ(妹背)と同義で、「陰陽とその和合」
を意味します。
場所は現在の二見浦付近と考えてます。
【概意】
酒法の文
サホヒコがイサワの宮で聞いたところでは、
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わかみやの ちちひめめとる そのときに
たかきかみきの あやこえは かみのをしえは
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若宮の チチ姫娶る その時に
タカギが酒の 謂乞えば 神の教えは
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■若宮 (わかみや)
アマテルの代嗣御子(=皇太子)である オシホミミ
を指します。
アマテルの末子で、斎名 (いみな:本名・実名) は
オシヒト、
母は セオリツ姫 (斎名ホノコ) です。
イサナギ┐ ├───アマテル(ワカヒト) イサナミ┘ ┃ ┃ サクラウチ───セオリツ姫ホノコ[内宮]────オシホミミ(8) ┃ クラキネ──┬─マス姫モチコ[北局典侍]────ホヒ(1) │ ┃ └─コマス姫ハヤコ[北局内侍]──┬タケコ(2) ┃ ├タキコ(3) ┃ └タナコ(4) ┃ ヤソキネ────オオミヤ姫ミチコ[東局典侍]──イキツヒコネ(6) ┃ カナサキ────ハヤアキツ姫アキコ[西局典侍]─アマツヒコネ(5) ┃ ムナカタ────トヨ姫アヤコ[西局下侍]────クマノクスヒ(7)
■チチ姫 (ちちひめ)
タクハタチチ姫の略で、タカミムスビ7代タカキネの娘です。
オシホミミの内宮 (=正妃)
となり、クシタマホノアカリとニニキネを生みます。
日本書紀には “栲幡千千姫命”
と記されます。
トヨケ─────ヤソキネ────タカキネ───┬オモヒカネ (5代タカミムスビ) (6代) (7代) ├ヨロマロ ├フトタマ ├クシタマ ├アヒミタマ ├イクタマ ├アヨミタマ ├タクハタチチ姫 └ミホツ姫
アマテル(斎名:ワカヒト) ├─────オシホミミ(斎名オシヒト) セオリツ姫(ホノコ) ├────クシタマホノアカリ(斎名テルヒコ) ├────ニニキネ(斎名キヨヒト) タカキネ──────タクハタチチ姫(斎名スズカ)
■タカギ
“タカキネ” とも呼ばれ、7代タカミムスビの斎名 です。
記紀には “高木神
(たかぎのかみ)” と記されます。
タカミムスビは 「タカミを結ぶ者」 の意で、タカミは
ヒタカミの略です。
ヒタカミ国の統治者に対する伝統的な呼称で、個人名ではありません。
★キとキネ
キは キミ(木実)
の “キ” で、陽陰の 「陽」、男女の 「男」、夫婦の
「夫」 を
意味します。木が結ぶ “実” に対しての “木の根本”
という意味から、
キネ(木根) と言う場合もあります。したがって
タカギ=タカキネ であり、
また、ニニギ(瓊瓊杵尊)=ニニキネ です。
キ/キネ は 斎名の ノリ(▽和り) の一種です。
斎名以外で キ/キネ
が付けられている例は ニニギ/ニニキネ だけです。
それゆえ、これはもともとの斎名だったのではないかと疑っています。
ホヒの尊の斎名タナヒトがタナキネに替えられたように、皇位継承の
都合によっては、斎名も変更されることがあるからです。
■酒 (みき)
サケ(酒)の別名です。“ササケ” “ササ”
とも呼びます。
本来は尊敬を表す語ではありませんが、
君や神から下される酒は、通例 ミキ(御酒・神酒)
と呼びます。
ミ(▽上)+キ(生) で、ミは カミ(上)の略形、
キ(生)は 「純粋・上澄み・透明」 を意味し、「水」
の別称です。
よってミキは 「高めた水・熟成した水」
が原義と考えます。
き【生】 (広辞苑)
まじりけのないこと。人工を加えていないこと。純粋なこと。
き【酒】 (広辞苑)
さけの古称。
■謂 (あや)
普通は “綾・紋・文” などの字が宛てられますが、原義は
「交わり」 です。
そこから 「関わり・ゆかり・いきさつ・いわれ」
などの意が派生し、
ここでは 謂れ(いわれ) の意となります。そのため “謂”
と宛てています。
■神 (かみ)
アマテルを指します。
【概意】
若宮がチチ姫を娶る その時に
タカギが酒(みき)のいわれを乞えば、
神の教えは、
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いにしえの あめつちうひの きはなきに
きさしわかるる あうのめを
をはあめとなり ひのわなる めはくにとなり つきとなる
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いにしえの 天・地・泥の 際無きに
兆し分かるる アウの陰陽
陽は天となり 日輪なる 陰は地となり 月となる
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■いにしえ (往にし方・古)
イヌ(往ぬ・去ぬ)+シ(▽如・▽然)+エ(方・辺・縁) で、
「過ぎ去りし方/時」 という意味です。
■天地泥 (あめつちうび)
ここでは “天” は 「形なきもの」
を表し、エネルギー、霊、空間、気体などを
いいます。“地” は 「凝り固まったもの」
を表し、固体・固形物をいいます。
“泥” は 「凝り固まってないもの」
を表し、流体・液体をいいます。
■兆す (きざす)
キス(▽起す)+サス(差す) の同義語短縮で、
「出る・放つ・発す・生ずる」 などが原意です。
“萌す” とも書きます。
■アウの陰陽 (あうのめを)
アウは “アワ・ウビ (泡・泥)”
の略で、原始宇宙が陽と陰に分離する前の
混沌状態を、「泡と泥の混じり合う状態」
に喩えたものです。
分離すると、軽い “泡” は 「陽」 へと変じ、重い “泥”
は 「陰」 に変じます。
・天地人も 分かざるに 初の一息 動く時 東上りて 西下り
虚空に回り アワウヒ(泡泥)の 回れる中の 実柱に 裂けて陰陽生る 〈ホ14-2〉
・天地の アホウヒ(泡泥)いまだ アメミヲヤ 'ア手'
を結びて 吹く虚空 〈ホ18-1〉
・回る虚空の その中に 天地届く 実柱を 回り分かるる
アワウヒ(泡泥)の 泡は清くて 宗陽神 泥は濁りて 鄙陰神 〈ミ6〉
【概意】
遙か昔、天・地・泥の区別も無かった頃、
泡と泥の混じり合う混沌の中に、陽と陰が兆して分離。
陽は天となり、また日輪となる。陰は地となり、また月となる。
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かみそのなかに あれまして くにとこたちの とこよくに
やもやくたりの みこうみて みなそのくにお をさめしむ
これくにきみの はしめなり
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神 その中に 生れまして クニトコタチの トコヨ国
八方八下りの 御子生みて 皆その国を 治めしむ
これ国君の 初めなり
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■神その中に生れます (かみそのなかにあれます)
“神” は 「天界に存在する神霊」 をいいます。
“その中” とは、まだ人のいない クニ(地)、すなわち
「地上世界・地球」 です。
“生れます” の “ます”
は今と意味が違い、「最上級の尊敬」 を表します。
地球に生まれた最初の人間は ミナカヌシ
と呼ばれます。続いて
ミナカヌシの御子として、ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ
の8神が地上に
肉体を持ち、それに続いては キ・ツ・ヲ・サ・ネ+ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウ
の
11神が地上に人として生れます。
■クニトコタチ (▽地疾立)
「地の先駆者」
という意味で、太古、地上社会の基礎を造った
人類の先祖たちを総称してクニトコタチといいます。
ここでは地上に人間として現れたミナカヌシと、トホカミヱヒタメの8尊と、
キツヲサネ+アミヤシナウの11尊を総称しています。
ただし、クニトコタチは対象となる神人の範囲が場合によって異なります。
ミナカヌシ+8尊 を指す場合が一番多く、次に
ミナカヌシ+8尊+11尊 を
指す場合が多く、最も広義には クニサツチとトヨクンヌ
までも含めます。
ミナカヌシ─天の八尊─地の十一尊─クニサツチ─トヨクンヌ┐ ←……… クニトコタチ ………→ │ ←……………… 最広義のクニトコタチ …………… ……→│ ┌―――――――――――――――――――――┘ │ └ウビチニ ├――――ツノクヰ スヒヂ ├――――オモタル イククイ ├ … (断絶) … イサナキ カシコネ │ イサナミ
クニトコタチは クニ(地)+トコ(▽疾)+タチ(立ち) で、
トコは “とっくの昔” と言う場合の “とっく”
の変態です。
ですから 「地の先達・地の先発者」 という意味です。
■トコヨ国 (とこよくに)
トコヨ(▽疾代)は 「先行する時代・古き時代・いにしえ」
などが原義ですが、
特に 「クニトコタチの時代」 を “トコヨ”
と呼びます。そして
クニトコタチが治めた いにしえの国々を “トコヨ国”
と呼びます。
■八方八下りの御子 (やもやくだりのみこ)
ミナカヌシは地球の八方を巡って、おびただしい数の子を生みますが、
ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの八御子を、後継者として八方に派遣します。
八御子は現地に下り、社会の基礎を整えて
ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の
八国を建てます。この八御子が “八方八下りの御子”
の元祖です。
それに続いて キツヲサネ+アミヤシナウ の11尊が下って八国を治めます。
日本は8国の中でどの国に当たるのでしょうか。日本はヱとトの尊が交替で
治めたという記述がミカサフミにあり、また思想的にはトの尊との関わりが
深いようですが、ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の
どの国に当たるかについては
記述がありません。シナの国は カの国に当たると記されています。
(ひとり言:日本は八方の国ではなく ヲ(央)
なのかも?! だからヲウミか?!)
■国君 (くにぎみ)
「一国を統べる君主」 をいいます。
★キミ (君・公)
キミは キム(決む・極む)の名詞形で、「極み・頂点」を原意とし、
「組織・セクションの長」
を意味します。したがって一口に君といっても、
さまざまなレベルの君がいるわけですが、ここでは国家の首長である
「皇君・国君・国家君主」 をいいます。
国家君主をいう場合の “キミ” は もう一つ、「木実」
の意を持ちます。
【概意】
天界の神は地上に生まれてクニトコタチとなり、トコヨ国を建てる。
始祖のミナカヌシは、八方に下る八人の御子を生み、それぞれに
ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ
の八国を治めさせた。これが国君の最初である。
本日は以上です。それではまた!