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徹底解説みかさふみ講座 第10回 [2022.3.30]

みかさふみ 起尽四方の文 (7)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 きつよちのあや (その7)
 起尽四方の文 https://gejirin.com/mikasa01.html
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 みなみむき あさきおうけて なからゑり
 みやのうしろお きたといふ よるはねるゆゑ きたはねそ
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 南向き 朝気を受けて 永らえり
 宮の後ろを 北といふ 夜は寝るゆえ 北は “ネ” ぞ
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■南向き (みなみむき)
これは “皆見る南” と同じ理由で、宮(=都市)そのものも、
その中に建設される宮殿や民家も、南向きに建てたことをいいます。


■朝気 (あさき)
朝日の放出するエネルギーをいいます。“日の出の勢い” という言葉が
あるように、朝の日光は 若さのエネルギーを秘めていると考えられて
尊ばれました。朝日の潤(あさひのうる)、若日の霊(わかひるのる)、
青き霊(あおきたま)などとも呼ばれます。

 キ(気)は「目には見えないが存在する何か」を表し、ケ(気)・イ(気・意)・
 ヒ(霊)・ミ(霊)・チ(霊)・ル(霊)・タマ(霊)・ミタマ(神霊) なども同じです。
 今風に言えば 「エネルギー」 ですが、ガス(気体)や思念なども含みます。

 
■永らえり (ながらゑり)
これはホツマツタエでは ”長生きの” と記されていて、次の ”宮” につながります。
そのためここは ”永らえり” ではなく、”永らえる” の誤写ではないかと考えてます。
つまり、住む人が 「長生きする宮・永らえる宮」 という意だと思います。

 南向き 朝気を受けて 長生きの 宮の後ろを 北といふ 〈ホ1-2〉

 
■宮の後ろ (みやのうしろ)
「宮の奥・宮の裏」 という意味で、後宮(こうきゅう)内裏(だいり) をいいます。
宮(=都市)の正門が南側ですので、後宮/内裏は北側に位置することになります。

 
 ★ウシロ (後ろ)
 ウス(失す)+シル(▽退る) の同義語短縮 ”ウシル” の名詞形で、
 「遠ざかる所・退いた所」  を意味し、これは オシリ(お尻) の変態です。

 
■北 (きた)
キツという動詞の名詞形で、キツは クツ(朽つ) の変態です。
「低まる・衰える・勢いを失う・静まる」 などの意で、これはネル(寝る)の
同義語です。北(きた/ね) は 太陽も人も 「寝静まる方角」 ということです。

 

【概意】
南を向き朝日の気を受けて、住む人が永らえる宮の、
うしろ側をキタ(北)というが、夜はそこで寝るゆえ
北は “ネ(寝)” ぞ。

 

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 もしひときたり ことわけん あわねはきたよ あふはひて
 みなみにことお わきまえて おちつくはにし かえるきた
 ねよりきたりて ねにかえる
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 もし人来たり 応わけん 会わねば北よ 会ふば日手
 皆見/南に事を わきまえて 落ち着くは西 帰る北
 北/寝より来たりて 北/寝に返る
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■応わけん (ことわけん)
コトワクは コトフ(▽応ふ)+ワク(▽判く・▽計く) の短縮で、
「応えてはかる・対応する・対処する」 などの意です。
‘ン’ は 推量/意志の意を表します。

 
■日手 (ひて)
“日の手” で、「日(太陽)に向かう側」をいいます。
手は “山の手” のそれで、「方向・区分」 を表します。
建物は正面を南に向けるため、日手は 「南側」 となり、
同時にそれが 「表」 です。

 少し余談です。
 宮や城の正門を大手門(おおてもん)といい、
 門前の町を大手町(おおてまち)とか呼びますが、
 オオテ(大手)は オモテ(▽主手・表)の変態です。

 
■皆見/南に事をわきまふ (みなみにことをわきまふ)
「皆から見える所/お天道様が見てる所 (=表・南) で物事をはかる」 という意で、
これは 「裏でコソコソせず、公明正大に行うべし」 ということです。

 ★ワキマフ (弁ふ)
 ワク(▽判く・▽計く)+マフ(▽塗ふ) の短縮で、
 両語とも 「合わす・比べる・はかる」 などが原義です。

 
■落ち着くは西 (おちつくはにし)
日(太陽)が落ち着くのが西なのはわかりますが、
ここまで人と家屋の話だったわけですから、どういう意味なのでしょう?!
当時は落ち着くための場所が西側にあったということでしょうか。
平安京における清涼殿はその名残なのかもしれません。

 

【概意】
もし人がやって来たとして、どう対応するだろう。
会わないなら北(奥)に留まるし、会うなら表側に出る。
皆が見ている表側で物事をはかり、落ち着くは西、帰る北。
<お天道様も人も> 北(寝)より発して北(寝)に帰る。

 

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 きははるわかは なつあおは あきにゑもみち ふゆおちは
 これもおなしく ねはきたに きさすひかしや
 さにさかゑ つはみにつくる
 をはきみの くにをさむれは きつをさね よもとなかなり
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 木は春 若葉 夏 青葉 秋 熟もみぢ 冬 落葉
 これも同じく 根は北に 萌す東や
 サ(南)に栄え ツは実に尽くる
 ヲ(央)は君の 国治むれば キツヲサネ 四方と中なり
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■熟もみぢ (にゑもみぢ)
ニヱ(▽熟)は “煮え” と同じで、「熟したさま」 を表します。
またモミヂは、モム(揉む)+ミツ(満つ) の短縮 “モミツ” の名詞形で、
「揉まれて満ち至るさま」 を表し、ニヱ(熟)と原義は同じです。
ですから “熟もみぢ” は「真っ赤に熟したさま」 のような意味に
なるかと思います。

 【紅葉つ・黄葉つ】もみつ/もみづ  (広辞苑)
 (奈良時代には清音で四段活用。平安時代以後、濁音化し、上二段活用に転じた)
 草木の葉が秋の末に、紅または黄に変わる。

 
■根は北に (ねはきたに)
「木の根は北に伸びる」 の意で、それゆえ “北” をともいう、ということです。
さきほどの 「寝」 に加えて、「根」 の意味もあることになります。

 “ネより来たりてネに帰る” と語られているように、
 ネ(寝・北)は 「根源である」 ということでしょう。
 北は太陽の巡回の出発点であり、同時に終点です。
 人は目覚めて一日が始まり、寝入って一日の終りです。

 
■萌す東 (きざすひがし)
木の芽が萌す(ザス)方向ゆえ、“東” をともいう、ということです。
キザス(萌す・兆す)は キス(▽起す)+サス(差す) の同義語短縮で、
「出る・放つ・発す・生ずる」 などが原意です。


■サ(南)に栄え (さにさかゑ)
南の方向にカエル(栄える)ゆえ、“南” をともいう、という意味です。


■ツは実に尽くる (つはみにつくる)
(西を) と呼ぶのは、木が実を結んでキル(尽きる)からである、ということです。
ツクル(尽くる)は ツキル(尽きる)の古形で、もともとは ツク(尽く)の連体形です。
「行き着く・達する・極まる」 などが原意で、ここでは 「無くなる・枯渇する」 の
意味はありません。

さきには 「日は西の方角にキル(尽きる)からである」 と説明していましたが、
いずれにしても は 「行き着く先・ゴール」 を意味します。


■ヲ (央)
これは漢字を宛てると “央・王・皇” などになります。
「中心・中心となる者」 を表し、「中央政府の君」 がこれに当たります。
“央” という漢字も 「中の人」 を表すものと考えます。


■キツヲサネ (東西央南北)
キツサネ(東西南北)の四方に、ヲ(央)を加えた言い方です。
これは 「中央の君が統べ治める東西南北」 を表します。
おもしろいことに、東西南北の四方を “口” という字で表して、
その中に “王・玉” を置くと、“国” という字になります。

 

【概意】
木は春は若葉、夏は青葉、秋は真っ赤な紅葉、冬には落葉となる。
これもやはり 根()は北に伸び、芽が萌す(ザス)のは東。
南に栄え(カエ)、ツは実を結んで尽きる(キル)ゆえ。
央()は 君が国家を統べ治めれば、キツヲサネ(東西央南北)。
四方と中なり。

 

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 きはひかし はなははみなみ このみにし
 みおわけおふる きのみゆえ きみはをめあふ あるしなりけり
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 起は東 華栄は南 熟み西
 身を分け生ふる 木の実ゆえ キミは男女合ふ 主なりけり
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■起/(き)
”口火をきる” “スタートをきる”  などと言う場合の キル の名詞形で、
「起こり・発生・出現・始め」 などの意を表します。


■華栄 (はなは)
“華栄” は筆者の宛字ですが、ハナ(花・華)+ハ(▽栄・▽映) で、
「繁栄・繁茂・栄華」 などの意です。

 
■熟み (このみ)
コナレ(熟れ)の変態で、「成熟・熟成」 の意と考えます。

 
■キミ (木実/君)
「男女一対の君主」 をいい、男が “木”、女が “実” です。
例えば イサナとイサナの夫婦、モモヒナとモモヒナの夫婦がそれです。
“木実” が男女(夫婦・陽陰)を表すのは、天地創造の時、陽は先に上って天となり、
陰は後に下って地となりましたが、それと同じく、
“木” は に立つもので、“実” は に木に付くものだからです。
同様の理由で、男女(夫婦)を “経糸と緯糸” “骨と肉” に喩えることもあります。
つまり国家君主をいう場合のキミは、「」 であると同時に 「木実」 であり、
本来的には夫婦二人を合せて キミ と呼ぶわけです

 
■けり
シクアリ(如くあり) → シカリ(然り) → ケリ と変化したもので、
「しかり・そうである・相違ない」 など、断定の意を添えます。
ケリは また "キ" にも転じます。

 

【概意】
起こりは東、栄えは南、熟す西。
木()がその身を分けて結ぶ 実()であるゆえ、
キミ(君)は夫婦二人を合せた国家の主なのである。

 カナサキが常にワカ姫(斎名ヒルコ)に教えていたという
 御言宣の内容はここまでです。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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