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一から学ぶ みかさふみ講座 第9回 [2022.3.23]

みかさふみ 起尽四方の文 (6)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 きつよちのあや (その6)
 起尽四方の文 https://gejirin.com/mikasa01.html
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 わかひめさとく かなさきに きつさねのなの ゆゑおこふ
 をきなのいわく
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 ワカ姫 聡く カナサキに 東西南北の名の 故を請ふ
 翁の曰く
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■ワカ姫 (わかひめ:▽和姫・▽沸姫)
ヒルコの別名で、枯れた稲を 「直し調えた姫」、
また、オモイカネに 「心沸かす姫」 の意味があります。

 ★ワカ (▽和)
 このワカは ワク(▽和く)の名詞形で、ワクは ハク(接ぐ) や ナク(和ぐ)の変態です。
 「やわし」 を原義とし、「
中和・緩和・調和・やわらげ・直し」 などの意を表します。
 今日の “ワカ” には惜しくもこの意味は残っていません。ワカイ(和解)がそれに近いですが。

 ★和す (やわす)
 ホツマ・ミカサを理解する上で非常に重要な言葉です。
 原義は 「陽と陰を融合して一つにする」 です。
 これは両極端を 「中和・緩和・調和する・やわらげる」 ことを意味し、
 例えば、酸とアルカリを和して中性にするということです。
 このことから 「調えて直す」 という意味にも使います。

 アワス(合わす)とヤワス(和す)は似ていますが、少し違います。
 アワスは 「添える・くっつける・混ぜる・ぶつける」 という感じですが、
 ヤワスはもう少し深くて、「溶かす・融合させる・一つにする」 という感じです。


■東西南北 (き・つ・さ・ね)
現在は失われていますが、“ヒガシ・ニシ・ミナミ・キタ” の他に、
“キ・ツ・サ・ネ” という言い方がありました。
そのいわれをワカ姫がカナサキに尋ねています。

 

【概意】
ワカ姫は敏感に、カナサキに東西南北の名のいわれを請ふ。
翁の曰く、

 

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 ひのいつる かしらはひかし たけのほる
 みなみるみなみ
 ひのおつる にしはにしつむ
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 日の出づる 頭は東 猛昇る
 皆見る南
 日の落つる 西は熟沈む
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■日の出づる頭は東 (ひのいづるかしらはひがし)
カシラ(頭) と ヒガシ(東)の カシ/ガシ は
ともに カス(▽上す・▽高す・▽活す) という動詞の名詞形で、
「上にあるさま・先にあるさま・勢いあるさま」 などが原意です。
カシラ(頭)は カシ(▽上し)+ラ(場所を表す) で、「上の部分・上る所」、
ヒガシ(東)は ヒ(日)+カシ(▽上し) で、「日が上る所」 の意です。

 
■猛昇る (たけのぼる)
「勢いよく上昇する」 の意で、“日の出の勢い” というやつです。


■皆見る南 (みなみるみなみ)
皆(ミナ)が見(ミ)るから 南(ミナミ) です。
南は日(太陽)が最も高くなり、明るく熱くなる方向であることから、
「高み・栄え」 を表す方角です。人も木草もそれを追い求めるため、
“皆見る” です。家屋も正面が南を向くように建てました。


■西は熟沈む (にしはにしづむ)
“日が熟沈む(にしづむ)” から ニシ(西) ということです。
熟沈むは、太陽が 「真っ赤に熟して沈む」 ことをいいます。
またその色も ニ(丹) と呼びます。

 ニシヅム(▽熟沈む) の “ニ(熟)” は ニユ(煮る)の連用形(上一段)です。
 現在は他動詞の意味しかないのですが、この場合は自動詞で、
 「煮える」と同じです。原意を考慮して “熟” の字を宛てています。

 赤い夕日の色を ニ(▽熟・丹) といいますが、クレナヒ(紅)も同じ
 色を表します。クレナヒは クレノヒ(暮れの日)という意味です。

 

【概意】
日の出の その上る所は “東”。
<“日活し”のゆえに> 猛昇る。
皆が見るから “南”。
日の落ちる “西“ は、日が熟え沈むゆえ。

 

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 よねとみつ かまにかしくは ひかしらや
 にゑはなみなみ にゑしつむ
 ゑかひとたひの みけはこれ
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 米と水 釜に炊ぐは 火頭や
 煮え花 皆見 煮え静む
 回日一度の 食はこれ
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■炊ぐ (かしぐ)
カス(▽上す・▽高す・▽活す)+シク(頻く) の同義語短縮で、
どちらも 「上げる・高める・勢いづける」 などの意です。

 
■火頭 (ひがしら)
「火の上の所」 という意です。

 
■煮え花 (にゑばな)
煮えてぶくぶくと 「盛んに泡を噴くさま」 をいいます。
何が起こってるのかとおもしろいので、皆が見ます。

 
■煮え静む (にゑしづむ)
さらに煮えて、「水分が減って静かになる」 ことをいいます。


■回日 (ゑか)
「回って来る日」 の意で、「日々・毎日」 と同義です。

 

【概意】
米と水を釜に炊くのは火の頭よ。
煮え花を皆見て、煮え静む。
日々一度の食はこれ。

この記述と “東南西北” との関わりについてですが、
東南西北は、日が 起きる方角・栄える方角・熟す方角・寝る方角 ですから、
東南西北は “起・栄・熟・滅” と言い換えることができます。
ここで釜を火にかけることは 「起」 にあたります。
盛んに煮え花を噴くのは 「栄」、煮え静むのは 「熟」 で、
炊けて食べられてしまうのは 「滅」 ということです。
なおこの意味においては、”春夏秋冬” も 東南西北 と全く同じです。

 

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 ふるとしふより
 つきみけの ひとはもよろに つきむけの ひとはふそよろ
 いまのよは たたふよろとし いきなるる
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 経る年 古より
 月三食の 人は百万に 月六食の 人は二十万
 今の代は ただ二万年 生き均るる
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■経る年 (ふるとし)
“この世で経る年” という意味で、「寿命・永らえ・齢」 に同じです。


■古より (ふより)
「昔から・古来」 の意です。
フ(▽古)は フル(経る)の名詞形で、フルはヘル(経る歴る)の変態です。

 

【概意】
寿命は古来、月に3食の人は100万年永らえ、
月に6食の人は20万年と言われる。
今の時代は平均でたった2万年しか生きない。

 

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 みけかさなれは よわひなし
 かれにわかきみ つきのみけ にかきはほなや
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 食 重なれば 齢なし
 故に我が君 月の三食 にがきハホ菜や
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■食重なる (みけかさなる)
“日々一度の食” ではなく、一日に何度も 「食を重ねる」 という意です。

 
 ★食 (みけ)
 ミケはイケ(生け・活け)の変態で、「活かし・活かす物」 を意味します。
 ‘ミ’ は ‘イ’ と交換される場合が多いです。(例:ミカツチ ⇔ イカツチ)
 ウケミタマ/ウカノミタマ(宇迦御魂)の ‘ウケ/ウカ’ も イケ/イカ や
 ミケ/ミカ の変態です。


■齢 (よわひ・よはひ)
ヨフ(▽熟ふ)+ハフ(▽栄ふ・生ふ) の短縮
“ヨハフ” の名詞形で、ヨフはヲフ(老ふ)の変態です。
「進展・熟成・老熟・成り行き」 などを原義とし、
ここでは 「永らえ・寿命」 を意味します。

 多食が寿命を縮めることは、他所でも語られています。
 ・人草の食 繁るゆえ 生れ賢しく
  永らえも 千齢は百齢と 萎り枯れて         〈ホ27-7〉
 ・人草の 日々食べ増すを 謹めと 子の永らえを 思すゆえ 〈ミ4〉

 
■我が君 (わがきみ)
この部分、ホツマツタエでは “御神(をんかみ)” と記されているので、
「アマテル大御神」 を指すものと思われます。

 食 重なれば 齢なし ゆえに御神 月に三食 にがきハホ菜や〈ホ1-2〉


■ハホ菜/ハオ菜 (はほな/はおな)
ホツマツタエにはチヨミグサ(千齢見草・千代見草)と呼ばれる、
寿命を延ばす薬草のことが書かれています。3種類あって、
ハホ菜はその一つです。並外れてにがかったといいます。
他に 「ラハ菜」 と 「身草(みくさ)」 の2草があります。

 ハオ菜を食めば 千齢を得る ワカ菜も同じ にがけれど
 ハオ菜は百の 増し苦く 千齢を延ぶれど 民 食わず
 根は人の態 葉は嫁菜 花 八重顔よ         〈ホ24-7〉

 

【概意】
食が重なれば寿命無し。
ゆえに我が君(大御神)の月の3食は、にがきハホ菜や。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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