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徹底解説みかさふみ講座 第6回 [2022.2.24]

みかさふみ 起尽四方の文 (3)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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今年の冬は厳しいですね。新潟県長岡市に住んでいますが、
久しぶりの大雪です。もうずっと厚い暗雲に覆われたままで、
10日くらい太陽を拝んでおらず、そのため一日の最高気温と
最低気温の差は2〜3℃しかありません。
雪国の人々は肌身にしみて日の恵みを知ってます。

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 きつよちのあや (その3)
 起尽四方の文 https://gejirin.com/mikasa01.html
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 こもりこきみも もみことも みちひこもみな うなつけは
 さるたはみちの ういおとふ
 こやねこたえて
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 コモリ 九君も 百尊も 三千彦も皆 頷けば
 サルタは道の 初を問ふ
 コヤネ答えて
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■コモリ
この場合は 「オオモノヌシを務めるコモリ」 という意味で、個人としての
コモリではなく、「国家の政務を預かる最高位の臣」 を表します。

 ★オオモノヌシ (▽央守主・大物主)
 国家の行政・司法・警察・軍事を司る最高長官です。
 オオ(央・皇・公)は 「中央政府」 を意味します。
 モノは モノノベの略で、「公務員・役人」 をいい、臣・守・司 の別名です。
 ヌシは 「主」 です。
 よって 「中央政府の公務員の主」、これがオオモノヌシの意味です。

     イサナギ ┌ソサノヲ─オホナムチ (初代オオモノヌシ)
       ├──┤       ├───クシヒコ (2代オオモノヌシ)
    ┌イサナミ └アマテル──タケコ    │
    │                   ├─コモリ (3代オオモノヌシ)
    │                   │
 トヨケ┴ヤソキネ──タカキネ───────ミホツ姫


■九君 (こきみ) ■百尊 (もみこと) ■三千彦 (みちひこ)
“九君・百尊・三千彦” は一つの決まり文句で、
オオモノヌシの配下にある 「希少(九人)な上位の司、少数(百人)の中位の司、
大勢(三千人)の下位の司」 というような意味です。
モノノベ (=臣・守・司) のランクと、その数の構成比を表します。


■道の初 (みちのうい)
「人が学ぶべき道の最初・教えの第一」 という意です。

 

【概意】
コモリも九君も百尊も三千彦も皆うなづくと、
サルタヒコは学ぶべき道の第一を問う。
コヤネは答えて、

 

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 きつのなお をしえのはつと なすゆえは いまわれうめる
 たらちねの さきのみをやも ことことく あめのたねなり
 そのかみの あめつちひらけ なるかみの
 みなかぬしより はかりなき ひとくさわかれ
―――――――――――――――――――――――――――――
 東西の名を 教えの初と なす故は いま我生める
 タラチネの 先の御祖も ことごとく 陽陰の胤なり
 その神の 天地開け 生る神の
 ミナカヌシより 計り無き 人草分かれ
―――――――――――――――――――――――――――――

■東西/起尽 (きつ)
キ(東)の原義は 「起」 で、「日(太陽)が起きる方位」 をいいます。
ツ(西)の原義は 「尽」 で、「日(太陽)が尽きる方位」 をいいます。

キは “スタートを切る” という場合の “キル” から来ていて、「出立」 の意。
ツは ツク(尽く・着く)から来ていて、「行き着くこと・到達」 の意です。

 

■いま我生める (いまわれうめる)
ウメル(生める)は ウム(生む)の連体形で、
「今の自分を生みたる○○」 という意になります。
 

■タラチネ
タ(▽陽・▽天)+ラ(▽陰・▽地)+チネ(▽因) で、
「陽陰/男女の因み」 を原意とし、「和合した男女・夫婦・父母」 を表します。

‘タ’ と ‘ラ’ が なぜ 「陽」 と 「陰」 を表すのかについて、
ホツマツタヱの17アヤでアマテルが語っていますが、
それはオシテ(文字)の形状を根拠とするものです。

 ‘タ’ のオシテ 三光 円の 内に入る 足り助く法 天と父
 上下反す ‘ラ’ のオシテ 地と母法      〈ホ17-2〉
 

■先の御祖 (さきのみをや)
タラチネ(父母)の、「その前の御祖」 の意で、
今風に言えば “御先祖(ごせんぞ)” です。
 

■陽陰の胤 (あめのたね)
アメ(陽陰)は ここではアメミヲヤ(陽陰上祖)を指します。
タネ(胤)は  タナ(棚) の変態で、やはり 「連なり・重なり」 が原意です。
ですから 「アメミヲヤに連なるもの・アメミヲヤの末裔/子孫」 の意です。

 ★アメミヲヤ/アメノミヲヤ (▽陽陰の上祖)
 大宇宙 (霊界を含む) の創造神で、フトマニ図の中心に座す “アウワ” の神 です。
 アは 「陽」、ワは 「陰」 を、ウは 「結・融」 を表します。
 アウワ(陽結陰) は 「陽と陰の融合する状態・陽陰の区別がない混沌状態」 を
 表すものです。その神霊が 陽と陰に分離することで大宇宙は開闢しました。
 そのゆえに “陽陰の上祖” と呼ばれます。
 

■その神 (そのかみ)
やはり アメノミヲヤ(陽陰の上祖) を指します。
 

■天地開け生る神 (あめつちひらけなるかみ)
アメノミヲヤが 「天地(=陽陰)に分れて最初に生れる神」 の意で、
「トコタチ」 の別名です。

 ★トコタチ (▽疾立ち・▽疾発ち)
 トコ(▽疾)+タチ(立ち・発ち) で、「先達」 を意味し、ミナカヌシと
 ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの8神を合わせて、“トコタチ” と総称します。
 ミナカヌシは初の人間として地上に顕現して ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の
 八御子を生み、八御子は世界の八方に下って地上社会の基礎を築きます。
 地上にある時は クニトコタチ、天に還っては アメトコタチ と呼ばれます。
 

■ミナカヌシ (▽真中主・御中主)
地球に現れた最初の人間で、クニトコタチの元祖です。
アメナカヌシとも呼ばれ、記紀では “天御中主” と記されます。

 空 動きて 風となる 風 火となれば 地もまた 水 埴となる
 この五つ 交わり生れる 神人は アウワ現る ミナカヌシ 〈ミ6アヤ〉

"アウワ現るミナカヌシ" とありますから、
ミナカヌシはアメミヲヤの直接の顕現と考えられていたようです。
ミナカはマナカ(真中)の変態です。

 みなか【真中】  (広辞苑)
 まなか。まんなか。

 

■計り無き人草 (はかりなきひとくさ)
「数えきれない人草・無数の人民」 という意です。

 ★人草 (ひとくさ)
 “人” は 「君と臣」 をいい、“草” は 「青人草/青人種」 の略で、「民」 の別称です。
 ですから “人草” は 今風に言えば、人民(じんみん)です。
 君と臣は一人前の 「人」 ですが、民は アオヒトクサ(青人種) と呼ばれ、
 「未熟な人の種(たね)・半人前」 と考えられています。

 

【概意】
東西の名を教えの第一とする理由は、
今の自分を生みたる父母も、その御先祖も、
ことごとくアメミヲヤの末裔である。
その神(=アメミヲヤ)が 陽と陰に分れて生れた神である
ミナカヌシより無数の人民が分かれ、



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 たうときも みこともひこも なるみちお
 をさめおさむる ひとのみは ひつきのふゆに やしなわれ
 めくみしらせん そのために いているきつお をしゆなり
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 貴きも 尊も彦も 生る道を
 治め収むる 人の身は 日月の振ゆに 養われ
 恵み知らせん そのために 出で入る東西を 教ゆなり
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■貴き (たうとき) ■尊 (みこと) ■彦 (ひこ)
九君・百尊・三千彦” を言い替えた表現ですが、
ここでは 「さまざまな身分の人」 という意味です。

 
■生る道 (なるみち)
「貴きも尊も彦も 世に生れる道」 という意です。
これは 「神が人として世に生まれる道」 を意味し、
具体的には、タマ(魂:陽霊)と シヰ(魄:陰霊)が和合して
人の生命を結ぶシステムをいいます。
ですからこれは アメナルミチ(陽陰和る道) と同じです。

 
■治め収むる人の身 (をさめおさむるひとのみ)
「生る道(=陽陰和る道)を内に収め、そのシステムを治める人の身」 
という意で、“陽陰人に知れる人の身(あわとにしれるひとのみ)” を
言い替えたものです。

 常に思えよ 陽陰法を 得て身を治め 耕して ソロを植え蒔き
 草切りて 刈り納む身の 民は孫 工・商人も 曽孫・玄孫  〈ホ17ー2〉

 
■日月の振ゆ (ひつきのふゆ)
「日と月の恵み」 という意味です。

 ★フユ (▽振ゆ)
 フル(振る)の変態の フユ(▽振ゆ)が そのままの形で名詞化したものです。
 「振りまくこと・回しめぐらすこと」 が原意で、「恵み・施し」 の同義語です。
 辞書には “みたまのふゆ” という言葉が載っています。

 【恩賚・恩頼】みたまのふゆ (広辞苑)
 天神または天皇の恩恵・加護・威力を尊んでいう語。
 

■出で入る東西 (いでいるきつ)
「日月が出で入る東と西」 ということです。

 

【概意】
貴者も尊者も凡庸な者でも、
神を世に現わす “陽陰和る道” を内に収め、
またそのシステムを守り治める人の身は、日月の恵みに養われる。
その恵みを知らせんために、日月の出で入る東西を教えるのである。」

アメノミヲヤ(陽陰の上祖)の末裔である人は
魂(陽霊)と魄(陰霊)をタマノヲで結んで世に生れ、
日(太陽)と月(太陰)の恵みを受けながら、
人のシステム(つまり陽陰和る道)を保守する。
その大いなる恵みに気づかせるため、まず最初に
日月の出で入る "東と西" の名の由来を教える、ということです。

日月と人の関係については、ホツマツタエの 13アヤ〜16アヤ 
あたりを復習されると良いと思います。

・妹背は 八百万氏の 別ち無く 皆 天地の 法備ふ   〈ホ13-1〉
・カスガまた 「初を知れるや 陽陰に受け 陽陰に還るぞ」 〈ホ13-4〉
・人はもと 中子・心派 日月なり 直ぐに罷れば 相応え
 陽陰の宮居に 還さんと 獣になるを 止むなり     〈ホ15-6〉
・菊菜 日月の 霊胤ゆえ 食えば目の玉 明らかに
 合ひ求むなり 陽陰の道 なす人 神に 合ひ求む    〈ホ15-8〉
・陽元に招く 荒神霊 月の和霊 父母の霊と
 三つ交わりて 心・意気 成りて瑞通ふ         〈ホ16-3〉

 

本日は以上です。それではまた!

 

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