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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第33回 [2023.8.20]

第七巻 遺し文 清汚を直つ文 (7)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 のこしふみさがおたつあや (その7)
 遺し文 清汚を直つ文 https://gejirin.com/hotuma07.html
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 そさのをいわく なおそれそ むかしねのくに ゆけとあり
 あねとまみゑて のちゆかん
 はるかにくれは うたかわて いつかゑしませ
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 ソサノヲ曰く 「な怖れそ 昔 根の国 行けとあり
 姉とまみえて 後行かん
 遥かに来れば 疑わで 稜威返しませ」
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■な怖れそ (なおそれそ)
「な」 + 「動詞の連用形」 + 「そ」 の形は、ゆるやかに禁止する意を表します。
ここでは 「怖れないでくれ・怯えなくていいよ」 などの意になります。


根の国 (ねのくに)
根の国とサホコチタルは共に、イサナキの父 アワナキ が開拓した国であるため、
両国の区別は明確でなく、サホコチタル は 根の国の延長 として扱われています。

 さきにタラチヲ 「ハナキネは 根の国・サホコ 領すべし」  〈ホ6-5〉


まみゆ (見ゆ)
マミル(塗る) の変態で、「合う/会う・交じる・交わる」 の意です。


稜威 (いつ)
ここでは 「活きの良さ・元気・威勢」 などの意です。

 

【概意】
ソサノヲ曰く、
「怖れなくていいよ。昔 父は根の国に行けと言ってたから、
姉とまみえた後に行こうと思う。
はるばる来たのだから疑わないで、威勢を返しませ。」



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 あねとわく さこころはなに
 そのこたえ ねにいたるのち こおうまん
 めならはけかれ をはきよく これちかひなり
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 姉 問わく 「直心は何?」
 その答え 「根に到る後 子を生まん
 女ならば汚れ 男は清く これ誓ひなり」

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問わく (とわく)

■直心・素心 (さこころ)
サ は サガ(直曲) の サ(直) で、
「まっすぐな心・いつわりなき心・純粋な心・本心」 をいいます。


■女ならば汚れ男は清く (めならばけがれをはきよく)
これは 「生れてくる子が女ならば自分は汚れているが(有罪)、男ならば自分は
清い(無罪)」 ということです。なぜこんなことを言い出したのでしょうか?

それはたぶん、天地創造の説明 の中で、
「陽(男)は清くて天となり、陰(女)は濁って地となる」 と言っているからです。

・陽は清く 軽く回りて 天と成り 陰は中に凝り 〈ホ14-2〉
・泡は
清くて 宗陽神 泥は濁りて 鄙陰神    〈ミ6-2〉

ソサノヲもこれを聞いたことがあったのでしょう。単純で子供っぽい彼は、
清い陽(男)の子を生んだなら、その親も清いのだと勝手に決めつけ、それを
以て自分の正邪を占おうとしたようです。世話になった姉のヒルコにだけは、
悪意から犯した罪ではないことを、これを以て証明したかったのだと思います。


誓ひ (ちかひ・ちかい)

 

【概意】
姉が問うに、「本心は何か?」
その答え、「根の国に至る後、子供を生もうと思う。その子が女ならば我は汚れ、
男ならば我は清し。この契りを立てるなり。」



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 むかしきみ まなゐにありて
 みすまるの たまおそそきて たなきねお もちにうませて
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 「昔 君 マナヰにありて
 ミスマルの 珠を濯ぎて タナキネを モチに生ませて

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■君 (きみ)
アマテル を指します。


マナヰ
アマテルは一時期、トヨケの後を受けて 自らサホコ国を治めたことがあります。
この時ソサノヲと、北の局のモチコ・ハヤコも、宮津の宮で君に侍っていました。


ミスマル (御統)

濯ぐ (そそぐ・すすぐ)

タナキネ

■モチ
モチコ の略です。

 

【概意】
「昔 君がマナヰにあった時、
ミスマルの珠を濯いで、モチコにタナキネを生ませて、


 “珠を濯ぐ” は 「尊いものを清める」 という意です。
 この モノザネ により 清い陽 (男) が生れたという理屈なのでしょう。



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 とこみきに はやこおめせは そのゆめに
 とつかのつるき おれみきた さかみにかんて みたとなる
 みたりひめうむ たのいみな
 われけかれなは ひめおゑて ともはちみんと ちかいさる
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 とこ酒に ハヤコを召せば その夢に
 十握の剣 折れ三段 さがみにかんで 共となる
 三人姫生む “タ” の斎名
 我 穢れなば 姫を得て 共 恥見ん」 と 誓い去る
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とこ酒 (とこみき:融酒・床酒)

ハヤコ

■十握の剣・十束の剣 (とつかのつるぎ)
「こぶし10つかみ分の長さの剣」 です。 ▶とつか(十握・十束)


■段 (きだ)
カツ(▽割つ) の変態 キツ の名詞形で、「わかち・分割・区別・分別・弁別」 などを意味します。
キヅ(傷)、カタ(方・片・▽傾) などの変態です。


■さかみにかむ
サカム は “しがみつく” の シガム の変態で、「合う・寄る・結ぶ・集まる」 などが原義。
カム(噛む・咬む) は サガムの母動詞で、原義も同じです。
ですから 「寄りに寄る・集まって結ぶ」 などの意となります。


■共 (みた)
ミツ(見つ) の名詞形で、ミナ(皆) の変態です。
ここでは「全部・一緒・一体」などの意です。

 みた【共】〈広辞苑〉
 (上代東国方言) 「むた」に同じ。
むた【与・共】〈広辞苑〉
名詞・代名詞に「の」または「が」を介してつき、
「と共に」 の意を示す古語。

 

 


■三人姫 (みたりひめ)
ハヤコが生んだ タケコタキコタナコ の3つ子の姫です。


■“タ” の斎名 (たのいみな)
三段(ミキ) に折れた剣が、ミ(共) となり、ミリ(三人) の姫を
いっぺんに生んだので、ケコ・キコ・ナコ の 斎名 を付けたということです。


■穢れなば (けがれなば)
ケガル(穢る)+ナ+バ で、ナ は 推量の “ン (ヌ・ム)” の未然形。
“穢れんば” と同じです。「もし汚れているなら・もし罪があるなら」 という意です。

 ★穢る・汚る (けがる) ★穢れ・汚れ (けがれ)
 ケ(‘蹴る’の下一段連用形)+カル(離る) の連結で、両語とも
 「離れる・逸れる・曲る・外れる・異常/不調である」 などが原義です。
 名詞形が ケガレ(穢れ・汚れ) で、その短縮が ケガ(怪我) です。


■共 (とも)
ここでは 「それと共に・それを以て」 という意です。

 

【概意】
ハヤコを召してとこ酒に交われば、その夜、十握の剣が3つに折れ、
3つが寄り集まって一つにまとまるという夢を見る。
その後ハヤコは3つ子の姫を生んだため、その斎名に "タ" を付けた。
もし我が穢れているなら姫を得るだろうから、それを以て恥に甘んじよう」
と契って去る。


 “3つに折れた剣が また交じり合って 1つになる” という夢だから、
 濁る陰 (女) が生れたという理屈なのでしょう。
 ニゴル(濁る) は 「交じり合う・不純となる」 などが原義です。

  泡・泥の 泡は清くて 宗陽神 泥は濁りて 鄙陰神 〈ミ6-2〉



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 ひめひとなりて おきつしま さかむゑのしま いつくしま
 みからさすらふ
 さすらをの かけのみやひの あやまちお
 はらしてのちに かえります
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 姫 人成りて 奥津島 相模江の島 厳島
 身からさすらふ
 さすら男の 蔭のミヤビの 誤ちを
 晴らして後に 帰ります
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■人成る (ひとなる)
ここでは 「一人前の人になる・成人する」 の意です。


■奥津島 (おきつしま) ■相模江の島 (さかむゑのしま) ■厳島 (いつくしま)
タケコタキコタナコ の成人後の通称と言ってますが、実際は 贈り名 と思われます。

“奥津島” は 今の 「琵琶湖の沖島」 を指します。
“相模” と “江の島” は同義語で、どちらも 「間の地/国・境の地/国」 を意味します。
“厳島” は 安芸国 にありますが、古くは九州の ウサ県 の管轄でした。


■身からさすらふ (みからさすらふ)
ミカラ(身から) は ミヅカラ(自ら) と同義です。
サスラフ は、ウサの宮居 でトヨ姫に養育されていた3姫が、母が オロチ(▽折霊)
取り込まれるという恥から、皇女の立場を自ら捨てて ウサの宮を出たことをいいます。

・新局 置けば怒りて 養しせず 内に告ぐれば 「トヨ姫に 養し纏らし」
 さすらなす 
二さすら姫 憤り ヒカハに怒り 成る折霊  
〈ホ7-3〉
折霊なる 恥に自ら さすらひて 慈愛を知れば 〈ホ28-6〉


さすら男 (さすらを)

■蔭のミヤビ (かげのみやび)
ミヤビ は ここでは 「男女の和合・交情」 の意で、「秘密の情事」 を意味します。
これは ハヤスフ姫 との縁談がうまくいかなかった後、ソサノヲが 大内宮
北の局に折々宿っていたことをいうと考えられます。

 「アカツチ宮に とつがん」と 言えど和なく 大内の 折々宿る 北の局 〈ホ7-3〉


■晴らす (はらす)
ハラス(晴らす) は ハル(晴る・治る) の他動詞形で、
「曲りを直す・曇りを除く・治める・調える・正す」 などの意を表します。

 

【概意】
3姫は成人して 奥津島姫・相模江の島姫・厳島姫となり、自らさすらう。
またさすら男は 蔭の情事の誤ちを晴らした後に復帰します。


 日本書紀第八段の一書(4)に 「素戔鳴尊が新羅国へ降る」 という話があります。

  素戔鳴尊所行無状、故諸神、科以千座置戸而遂逐之。
  是時、素戔鳴尊、帥其子五十猛神、降到於
新羅国、居曾尸茂梨之處。

 これはホツマの記事を誤解釈したものと考えています。(曾尸茂梨ソシモリは9アヤに登場)

  みから (身から → 三韓) さすらふ さすらをの
  かけのみやひの あやまちお はらしてのちに かえります



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 むかしふたかみ のこしふみ
 あめのめくりの むしはみお みるまさかにの なかこりて
 うむそさのをは たまみたれ くにのくまなす あやまちそ

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 昔 二尊 遺し文
 「陽陰の巡りの 蝕みを 見るマサカニの なかごりて
 生むソサノヲは 霊乱れ 国の隈生す 誤ちぞ」

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二尊 (ふたかみ)
イサナキ & イサナミ の夫婦の君をいいます。
ヒルコ、アマテル、ツキヨミ、ソサノヲ の父と母です。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫


■遺し文 (のこしふみ)
「遺言・遺言書」 です。 ▶文


■陽陰の巡りの蝕み (あめのめぐりのむしばみ)
“陽陰の巡り” は 陽陰の節 の換言です。
「陽陰/日月の循環 (リズム) の不調和・乱れ」 をいいます。


■マサカ瓊 (まさかに)
マサカ は 「回転・循環・暦」 を意味します。
ニ(瓊) ニタマ(▽熟玉) の略で、「優れた玉・珠・宝石」 をいいます。
ですから「(陽陰/日月の) 循環を表す宝珠」という意味です。

これは 後に三種宝の1つとして、アマテルからオシホミミに授与される、
ヤサカニの環る珠 (やさかにのまかるたま) と同じ物だと思います。
陰陽太極図 が立体化したような、ツートンカラーの珠と考えてます。 ▶参考画像
(後世、2色それぞれの部分に似た形のものを 勾玉 と称したのでは?)

 ★マサカ (▽回探)
 マス(▽回す・申す)+サク(▽探く) の短縮 “マサク” の名詞形で、
 サク は サグル(探る) の母動詞。両語とも 「回転・循環・改め・回帰・帰還」 などが原義です。


■なかごる (▽和交る)
ナグ(和ぐ)コル(凝る) の連結で、ニゴル(濁る) と同義です。
くっきり分れている マサカ瓊 の2色が、交じって濁ることをいうと考えます。


■霊乱る (たまみだる)
タマ(霊) は 「本質・エッセンス」 を表し、「魂魂・精神・心」 などと同意です。
ですから 「精神が乱れる」 という意味です。これを シムノムシ(霊の蝕) とも呼びます。

 ★乱る (みだる)
 ミツ(見つ)+タル(足る) の短縮で、「合い混ざる・混沌とする・分別/区別/秩序を欠く」
 などが原義です。この動詞は自動詞にも他動詞にも使われます。後世 他動詞専用形として
 ミダス(乱す) という言葉が現れます。


隈・曲・阿 (くま)
「曲り・逸れ・外れ・異常・病・厄」 などをいいます。

 

【概意】
昔 二尊は遺し文にて、
「陽陰の循環の蝕みを見るマサカ瓊が、濁る時に孕むソサノヲは
霊が乱れ、国の厄を生む我らが誤ちぞ。」



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 をはちちにゑて はおいたけ めはははにゑて あとゐねよ
 うきはしおゑて とつくへし
 めはつきしほの のちみかに
 きよくあさひお おかみうけ よきこうむなり
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 「男は父に得て 地を抱け 女は母に得て 天と結ねよ
 うきはしを得て とつぐべし
 女は月潮の 後三日に
 清く朝日を 拝み受け 良き子生むなり」

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■結ぬ (ゐぬ・いぬ)
これは ユフ(結ふ) の変態で、「合わす・和す・結ぶ・交わる」 などが原義です。
イノル(祈る) や イネ(稲) などの母動詞です。


■うきはし
ウキ は ウク(受く・承く) の名詞形で、「合わせ・応じ・(契約の)結び」 を意味します。
ハシ(橋・梯) は ハサミ(挟み) の母語で、「間にはさむもの」 をいいます。
ここでは 「男と女を結ぶ橋」 をいい、つまり 「仲人」 です。


とつぐ

■月潮 (つきしほ)
「月の満ち引き」 が原義で、「1ヵ月周期で女に巡ってくるもの」 をいいます。
月の汚穢(つきのをえ) とも呼ばれます。

 月(太陰) は 陰/女の本源ですから、30日周期で満ち欠けする月が、
 女性の生理を支配していると考えられたようです。
 おもしろいのは、女の潮の満ち引きはともかく、海の 潮の満ち引き
 月の引力が原因であることを、ニュートンが1687年に解明しています。

 ★潮・汐 (しほ)
 シホ(入) と同源で、「回転・循環・往き来・満ち引き・波」 などが原義です。
 ウシホ・ミシホ とも呼ばれ、シホ=シュウ(周) と考えられます。
 


■朝日を拝み受く (あさひおおがみうく)
「朝日を拝んで、朝気を受ける」 ことをいいます。 ▶朝気
二尊がアマテルを孕む時がこうでした。この効能については14アヤで説明されます。

 月の汚穢 流れ止まり 三日の後 身の清ければ 日待ちす 〈ホ4-2〉

 

【概意】
「男は父より得て地を抱け、女は母より得て天と結べよ。仲人を立ててとつぐべし。
女は月潮の後3日に、清く朝日を拝み受け、良き子を生むなり。」


 陽 (男・父・天) と 陰 (女・母・地) の関係に留意願います。



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 あやまりて けかるるときに はらむこは かならすあるる
 まえうしろ みたれてなかる わかはちお
 のちのおきての うらかたそ かならすこれお なわすれそこれ

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 誤りて 穢るる時に 孕む子は 必ず粗るる
 前後 乱れて流る 我が恥を
 後の掟の 占形ぞ 必ずこれを な忘れそこれ

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誤る・謬る (あやまる)
アユ(肖ゆ)
+マル の同義語連結で、マル は マヌ(真似) の変態。
両語とも 「合う/合わす」 が原義で、「紛う・混同する・分別しない」 などの意を表し、
その結果 「取り違える・まちがう・しくじる」 などの意となります。


■穢るる時 (けがるるとき)
“穢るる” は ケガル(穢る・汚る) の連体形で、今風には “けがれる” です。
「曲る時・それる時・外れる時・不調和の時・異常な時」 などが原義で、
この場合は 「陽陰の巡りの蝕みが起る時」 をいいます。


必ず (かならず)

粗るる (あるる)

■前後 (まえうしろ)
“前後” は天地創造の際に、に上昇した 「陽」 と、に下降した 「陰」 を表します。
よって 後先(あとさき) と同じく、「陽陰・日月」の同義語です。


■流る我が恥 (ながるわがはぢ)
「ヒヨルコの流産」 をいいます。 ▶ヒヨルコ
“我が恥” は アハヂ(吾恥) と同じで、これが アハヂ(淡路) の語源の一つです。
ハヂ(恥) は ハヅ(▽外づ) の名詞形で、原義は 汚穢 と同じです。

 イサナミは 「世の隈 生すも 我が汚穢」 と 〈ホ3-3〉


■掟 (おきて)
オキ(置き)+テ(手・▽方) で、「処置する手だて・対処の方法・仕置の法」 などが原義です。

 しおき【仕置】〈広辞苑〉
 ・処置すること。
 ・取り締まること。管理。統治。


■占形 (うらかた)
「本質・原理が現れた形」 が原義で、「占いの判断基準とする典型・類型」 をいいます。 ▶形
この場合は 陽陰の乱れを軽視することを戒めるための 「悪い典型・悪い見本」 です。

 ★占・心・裏 (うら)
 うろうろ の母動詞 ウル の名詞形で、「回る・往き来する・還る・回帰する」 が原義です。
 「回帰する所・奥にある本質・本源・中心・原理」 などを意味します。
 ココロ(心)モトオリ(▽回り) などの同義語です。

 

【概意】
「誤って陽陰不調和の時に孕む子は 必ず異常となる。
陽陰が乱れて流れた我が恥 (ヒヨルコの例) を、後の処置法の見本とせよ。
このこと決して忘れてくれるな。」

 

本日は以上です。それではまた!

 

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