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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第34回 [2023.9.2]

第八巻 霊還しハタレ打つ文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 たまかえしはたれうつあや (その1)
 霊還しハタレ打つ文 https://gejirin.com/hotuma08.html
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 たまかえしはたれうつあや
 ををんかみ あめかしたてる くしひるに たみもゆたかに
 ふそみよろ ふちみもやその ふたとしお へてもやすらや
 みかたちも なおわかやきて をわします
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 霊還しハタレ打つ文
 大御神 天が下照る 貴霊に 民も豊かに
 二十三万 二千三百八十の 二年を 経ても安らや
 神形も なお若やぎて 御座します
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■霊還し (たまかえし) ■ハタレ
本文中で説明します。


大御神 (ををんかみ)

■天が下照る (あめがしたてる)
「天の下を照らす・地上世界に恵みをめぐらす」 という意です。 ▶天が下


貴霊・奇霊 (くしひる)

■二十三万二千三百八十の二年 (ふそみよろふちみもやそのふたとし)
23万2382年。これはアマテルが即位した 21鈴126枝サナト からの経過年です。
真榊(=鈴木) の暦で表せば、1鈴=6万年、1枝=60年、1穂=1年 ですから、
3鈴873枝2穂 となります。 ▶数詞


■安ら・▽和ら (やすら)
「和(やわ)し調うさま・調和するさま・安穏」 などを意味し、“安らか” と同じです。
ヤス(和す)+ラ で、ラ は アル(在る) の名詞形、「ありさま・状態・位置」 などを表します。


神形・御形 (みかたち)
ここでは 「アマテル神の見た目の姿」 をいいます。

 

【概意】
霊還しハタレ打つ文
大御神の天が下を照らす貴霊により、民も豊かに、
23万2382年を経ても世は安らか。神の姿も なお若やいでおられます。



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 ことしふそよの さくすすお ふそゐのすすに うゑかえて
 ふしにあたれは ねのくにと さほこのくにの ますひとか
 うちのしらひと こくみらか をやもおかして こもおかす
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 今年二十四の 幸鈴を 二十五の鈴に 植え替えて
 節に当れば 根の国と サホコの国の マスヒトが
 内のシラヒト コクミらが 親も犯して 子も犯す

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■今年・此年 (ことし)
「この年」 の略です。 ▶この(此の)


■二十四の幸鈴 (ふそよのさくすず)
「24本目の幸鈴」 の意です。ウビチニ&スヒヂ の即位以来、
6万年×24=144万年 が経過したことになります。

 ★幸鈴 (さくすず)
 「6万年の天寿をまっとうした鈴の木」 をいいます。スズ(鈴) は マサカキ(真榊) の別名です。

 ★幸・栄・盛・酒・冠・賢 (さく・さか・さき・さけ・さこ)
 サカユ(栄ゆ)サカル(盛る) などの母動詞 “サク” の名詞形で、
 「上がり・高まり・繁栄・熟成・到達」 などの意を表します。


■二十五の鈴 (ふそゐのすず)
アマテルが即位した 21鈴126枝58穂 に、前段に示された 23万2382年、
すなわち 3鈴873枝2穂 を加えると、ぴったり 24鈴999枝60穂 となり、
真榊を植え替える年に当たります。


節 (ふし)
この場合は 陽陰の節 をいいます。
「陽陰(日月)の区切り・周期・リズム」 などの意で、これが 厄年 の起源と考えられます。
男の数え歳二十五が厄年になっているように、24と25の境には陽陰の節があるようです。
しかし残念ながら どういう理論・計算でそうなるのかについては説明がありません。


根の国 (ねのくに) ■サホコの国 (さほこのくに)

マスヒト (益人・▽纏人)
クラキネ が根の国とサホコの国のマスヒトだった頃の話です。


■内 (うち)・内臣 (うちとみ)
ウチトミ(内臣) の略で、「側近の臣」 をいいます。

 ないしん【内臣】〈広辞苑〉
 古代、皇帝・天皇側近の寵臣。わが国では大化改新で中臣鎌足を任じた。
 奈良時代に復活。のち内大臣に昇任するのが一般。
 書紀の訓には 「うちつおみ」 「うちのおみ」 とある。


シラヒト ■コクミ


■親も犯して子も犯す (をやもおかしてこもおかす)
親とは サシミメ、子とは クラ姫 を指します。
シラヒトとコクミは、この母と娘を犯します。

 

【概意】
今年 24本目の幸鈴が成り、25本目の鈴に植え替えるが、陽陰の節 (=厄の節) に当るため、
根の国とサホコの国のマスヒトの、側近のシラヒト・コクミらが 親も犯して子も犯すという、


 天の益人(あめのますひと)等が 過犯けむ雑々の罪事は 天津罪と 畦放 溝埋
 樋放 頻蒔 串刺 生剥 逆剥 屎戸 ここだくの罪を 天津罪と法別て
 国津罪と生膚断死膚断 
白人(しろひと)胡久美(こくみ) 己が母犯罪 己が子犯罪
 
母と子と犯罪(ははとことおかせるつみ) 子と母と犯罪 畜犯罪 昆虫の災
 高津神の災 高津鳥の災 畜仆し蟲物為罪 ここだくの罪出でむ 
六月晦大祓



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 とかあやまちも ふためとの かしこところの ひきつりに
 ゆるせはかかゑ くにおたす まいないつかみ まめならす

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 咎・過ちも 二侍殿 賢所の 引き吊りに
 許せば抱え 国を治す 賂掴み 忠 成らず

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咎 (とが)

過ち・誤ち (あやまち) ■過つ・誤つ (あやまつ)
アユ(肖ゆ)+マツ(▽交つ) の同義語連結で、マツは マズ(交ず・混ず) の変態。
両語とも 「合う/合わす」 が原義で、「紛う・混同する・分別しない」 の意を表し、
その結果 「取り違える・まちがう・しくじる」 などの意となります。

 あやまる(誤る)/あやまり(誤り) と同じです。


■二侍殿 (ふためとの)
メトノ(侍殿) は 「君に侍る 御殿女中」 という意で、斎侍(=后・側室) をいい、
この場合は 北の局の典侍 モチコ と内侍 ハヤコ の姉妹を指します。 ▶局(つぼね)


賢所 (かしこどころ)
「かしこき所・おそれ多い所」 という意味で、大内宮 の別名です。
大内宮の構造は、中心に 内つ宮 があり、その周囲を東・西・南・北の 4つの局が囲みます。
内つ宮には君と正妃が居住し、4局の側室たちが交代制で君のお世話に当たります。


■引き吊り (ひきつり)
「引っぱり上げること」 をいいます。これはモチコが、クラ姫アメオシヒ を結婚させて、
その慶事を以て恩赦を発動し、シラヒト・コクミ の死刑を免れさせたことをいいます。

 モチがクラ姫を カンサヒの子の アメオシヒ 妻わせ典侍が 兄となし
 父マスヒトの 纏り継ぐ 
シラヒト・コクミ この祝 半ば清を得て 〈ホ7-3〉


■賂 (まいない)
マイナフ(賄ふ) の名詞形で、「上納・献納・奉納」 などを意味します。

 ★賄ふ (まいなふ)
 マフ(▽参ふ・▽詣ふ)+ナフ(▽和ふ・▽供ふ・▽納ふ) の連結です。
 マフ は マイラス(参らす) の母動詞で、「上げる・捧げる」 の意。
 ナフ は 「合わす・添える・供える」 が原義で、「納める・納付する」 という意です。
 ですから 「上納する・献納する・奉納する」 などが原義です。


■忠 (まめ)
何かに対して 「一途なさま・一筋なさま・ぶれないさま・一直線」 をいいます。
辞書は “忠実・実” と当て字しています。

 マム の名詞形で、マム は マミル(塗る)マモル(守る) などの母動詞です。
 「合わす・添う(沿う)・付く」 などが原義で、「添って離れないさま」 をいいます。
 よって ミサホ(操) と同義ですが、ミサホ(操)は 男女関係に用いるのに対し、
 マメ(忠)は 主従関係に用います。

 

【概意】
咎・過ちも、賢所の引き吊りに許せば、
<サホコ国の新マスヒト アメオシヒはそれを>
召し抱えて国を治す。しかし賂を掴み、忠は成らず。



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 つひにおろちに なめられて のりのくつるる ふしふしに
 はたれのものの うくめきて さはいのこゑの おそろしく
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 つひに折霊に 舐められて 法の崩るる 節々に
 ハタレのモノの 蠢きて 障いの声の 恐ろしく
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折霊 (おろち)

■舐めらる (なめらる)
ナム(▽和む・舐む)+ラル(受身) で、ナム は 「合わす・入れる・触る・付く」 などが原義。
ここでは 「取り入られる・干渉される・憑かれる」 など、折霊の影響を受けることをいいます。


法 (のり)
この場合は、人を人として機能させるシステムから始まって、
社会・国・国家 を維持する 「ありとあらゆるシステム」 をいうと考えられます。


■ハタレのモノ
ハタレは 「逸れて外れるさま・はみ出すさま・落ちこぼれるさま」 を表します。
モノ は 「形の見えない存在・霊」 を表す代名詞です。
ですから “ハタレのモノ” は 「外れた霊・邪霊」 を意味し、折霊 の換言です。

 ★ハタレ
 ハツ(▽外づ)+タル(▽出る) の短縮 “ハタル” の名詞形で、ハツは ハヅル(外る) の母動詞、
 タル は デル(出る) の変態です。「逸れ・外れ・曲り・異常・脱落」 などが原義です。


蠢く (うぐめく)
ウゴメク の変態で、「虫が這うように絶えずモゾモゾ動く」 ことをいいます。
ここでは 「人知れず動く・暗躍する」 などの意です。


■障いの声 (さばいのこゑ)
この場合は 「ハタレのモノのちょっかい・邪霊の干渉」 ということです。
コヱ(声) は ここでは 干渉する邪霊の 「声・囁き・そそのかし」 を意味します。

 ★障い (さはひ・さわひ・さばい)
 サワリ(触り・障り) の変態で、「触り・干渉・支障」 を意味します。

 

【概意】
ついには折霊の干渉を受けて、法の崩れる節々に邪霊が暗躍し、
その見えない干渉のささやきは恐ろしく。



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 ここさわやまの はやききす ひなくるつけの たかまには
 かみはかりして すすみてる たけみかつちか そむたけの
 よろにすくるる ちからにも

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 “ココ” 沢山の 早雉子 杼投ぐる告げの タカマには
 守諮りして 進み出る タケミカツチが 十六丈の
 万に優るる 力にも

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■“ココ” 沢山 (ここさわやま)
“ココ” は 雉の鳴き声を表すもので、“ケンケン” と同じです。
サワヤマ(沢山) は 「高まるさま・栄えるさま・盛んなさま」 を表します。

 ★沢 (さわ)
 サワグ(騒ぐ) の母動詞 “サユ” の名詞形で、ソワ(岨)ソバ(蕎麦) の変態。
 「高まり・そびえ・栄え・盛ん」 などが原義です。

 ★山 (やま)
 “イヤマ” の短縮音で、イヤマ は イヤマフ(敬ふ) の母動詞 イヤム の名詞形。
 サワ(沢) と同じく、「高まり・そびえ・栄え・盛ん」 などが原義です。


早雉子 (はやきぎす)

■杼投ぐる告げ (ひなぐるつげ)
機織りの 「杼投げに匹敵するほど頻繁で多数の報告」 という意です。 ▶杼投げ


タカマ (高天)

守諮り (かみはかり)


■タケミカツチ
以前アマテルに国絵を描くように命じられた、ヒノハヤヒコ の別名です。
記紀には 健御雷神/武甕槌命 と記されます。

 ヒノハヤヒコに 御言宣 「汝 国絵を 写すべし」 ヤマト巡りて 皆 描く 〈ホ6-4〉

 鹿島神宮 (かしまじんぐう)
 常陸国鹿島郡。茨城県鹿嶋市宮中2306-1
 現在の祭神:武甕槌大神


■十六丈 (そむたけ)
「16尺の身の丈・16尺の身長」 という意です。
当時は 1尺=1/8間=約22.5cm ですので、16尺=約3m60cm です。
これでもホツマに身長が記されている人物の中では 第2位 です。

 

【概意】
“ケンケン” と盛んに往き来する早雉子が、
杼投げのような数の報告を中央政府にもたらす。
諸守の会議が招集されてタケミカツチが進み出るが、
その16尺の身長と、万人分に勝る力にもかかわらず、



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 しらぬはたれの いふかさお うつやひたりの かなさきも
 こたゑおしらて うかかゑは あまてらします みことのり
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 知らぬハタレの 訝さを 棄つや ひたりの カナサキも
 応えを知らで 伺えば 和照らします 御言宣
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■訝さ (いぶかさ)
イブカシサ(訝しさ) と同じです。 ▶いぶかし
「気にはなるが どうにもできない感じ」 をいいます。


棄つ (うつ)
「離す・放つ・すてる」 などが原義で、
ここでは 「言葉を吐き捨てる・愚痴をこぼす」 などの意です。


■ひたり
ヒツ(秀つ)+タル(足る・▽達る) の短縮の名詞形で、
「熟練・熟老」 を意味します。イタリ(至り) の変態です。


■応え (こたゑ:こたえ)
ここでは 「対応・対処法・対策」 などの意です。


伺ふ (うかがふ)
 
■和照らします御言宣 (あまてらしますみことのり)・和照る御言宣 (あまてるみことのり)
アマテラス(和照らす)+マス(尊敬)+ミコトノリ(御言宣) で、
和(やわ)して照らす御言宣・ほどよく調えて恵みをめぐらす御言宣」 という意です。

 

【概意】
正体不明のハタレに苛立たしさをこぼすや、
老練のカナサキもどう対処していいのかわからず、
君に伺いを立てれば、和して照らします御言宣。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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