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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第27回 [2023.8.10]

第七巻 遺し文 清汚を直つ文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 のこしふみさがおたつあや (その1)
 遺し文 清汚を直つ文 https://gejirin.com/hotuma07.html
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 のこしふみさかおたつあや
 もろかみの さかおたつとき
 さほこより つはものぬしか かくみやに ききすとはせて
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 遺し文 清汚を直つ文
 諸守の 清汚を直つ時
 サホコより ツハモノヌシが 香宮に キギス飛ばせて
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■清汚・直曲 (さか・さが)
「直と曲」 を原義とし、「清と汚・正と邪・善と悪・功と罪・是と非」 などを意味します。

 “サ” は サワル(触る) の母動詞 “サフ” の名詞形で、「合うさま・添う/沿うさま」 が原義。
 “カ/ガ” は マガル(曲る) の母動詞 カル(離る) の名詞形で、「離れ・逸れ・外れ・曲り」
 などが原義です。


■直つ (たつ)
この タツ は タダ(直) の母動詞で、「まっすぐにする・明らかにする・直す・正す」
などが原義です。この動詞は今の辞書にはないため、“直つ” は筆者による当て字です。


サホコ

ツハモノヌシ
サホコ国 の 副マスヒト です。 ▶マスヒト

 カンサヒを マスヒトとなし また乙子 ツハモノヌシと コクミ副え 〈ホ6-3〉


香宮 (かぐみや)

キギス (雉・雉子)

 

【概意】
遺し文 清汚を直つ文
諸守がタカマに諮り、清汚を正す時、
ツハモノヌシが、サホコより香宮に伝令を飛ばせて、



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 ますひとか たみのさしみめ つまとなす
 くらひめうめは いつくしみ あにのこくみお このことく
 さほこちたるの ますひとや いまはそえなり
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 「マスヒトが 民のサシミメ 妻となす
 クラ姫生めば 慈しみ 兄のコクミを 子の如く
 サホコチタルの マスヒトや 今は副なり」

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マスヒト
根の国サホコ国 のマスヒトである クラキネ を指します。
クラキネは モチコハヤコ の父です。


■サシミメ (▽差見侍)・サシメ (▽差侍)
クラキネが妻とした民出身の侍女で、“サシメ” とも呼ばれます。

 いちおう個人名ですが、サス(差す)+ミメ(見侍)/メ(侍) の短縮で、
 「付き添って面倒を見る侍」 を意味し、侍女 の換言です。


■クラ姫 (くらひめ)・クラコ・クラコ姫
クラキネとサシミメの間に生れた姫です。
“クラコ”  “クラコ姫” とも呼ばれます。


コクミ
民の身分ながらも、サシミメの兄ということからクラキネの寵愛を受け、
サホコ国のマスヒトとなります。クラキネの死後は、職務怠慢により任を
解かれますが、トヨケとアマテルが自ら政を執ってサホコ国を治めた後、
あらためてサホコ国の副マスヒトに任じられています。

チタル国 マスヒト コクミ 怠れば タマキネ付けて 〈ホ6-2〉
カンサヒを マスヒトとなし また乙子 ツハモノヌシと コクミ副え 〈ホ6-3〉

 

【概意】
「マスヒトが民のサシミメを妻となす。
クラ姫を生めば サシミメを慈しみ、
その兄のコクミを我が子の如くに処遇して、
サホコチタル国のマスヒトとなす。今は副なり。」



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 くらきねか まかれるときに しらひとお ねのますひとに
 くらこひめ みおたてやまに おさむのち
 ははこおすてて つにおくる こくみははこお おかすつみ
 かんさひこれお たたさねは とみこれおこふ

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 「クラキネが 罷れる時に シラヒトを 根のマスヒトに
 クラコ姫 身を立山に 納む後
 母子を捨てて 都に送る コクミ母子を 犯す罪
 カンサヒこれを 正さねば 臣これを請ふ」
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クラキネ
イサナキの弟で、根の国とサホコチタル国を治めるマスヒトです。


■罷れる (まかれる)
罷る(まかる) の連体形です。ここでは 「天に還る」 の意です。

 ★罷る・▽巻かる (まかる)
 マク(巻く)+カル(駆る・▽転る) の同義語短縮で、両語とも
 「回る/回す・巡る/巡らす・還る/還す」 などが原義です。次の3つの意味に主に用いられます。
 (1) 天に還る。 (2) どこかに行く。 (3) 輪状になる。


■シラヒト・シラウド (▽領人)
クラキネにサシミメを推薦した根の国の臣で、それによりクラキネの寵愛を受け、
クラ姫と結婚しますが、それ以前から母のサシミメと蔭の関係を持っていました。
それを知らずに死に際したクラキネは、シラヒトを根の国の後任のマスヒトに立てます。

 シラヒトは いちおう個人名なのですが、その語義は 「領る人」 で、
 マスヒト
の換言です。大祓詞に “白人” と記されます。 ▶領る

  白人(しろひと) 胡久美(こくみ) 己が母犯せる罪
  己が子犯せる罪 母と子と犯せる罪 子と母と犯せる罪 
大祓詞


立山 (たてやま)

納む (おさむ)


■都に送る (つにおくる)
ツ(津・都) は この場合は、サホコチタル国の都の ミヤヅ(宮津) を指します。


カンサヒ
サホコチタル国のマスヒトです。

 カンサヒを マスヒトとなし また乙子 ツハモノヌシと コクミ副え 〈ホ6-3〉


正す・糺す・質す・▽直す (ただす)
「まっすぐにする・片寄りをなくす・見通しをよくする・明らかにする」 などが原義です。
タツ(▽直つ)+タス(治す) の短縮で、タツ は タダ(直) の母動詞。


■臣 (とみ)
トミは トム(留む) の名詞形で、「君に付いて民をまとめる者」 をいい、
今で言えば 「公務員・役人」 に当たります。
モリ(守)、カミ(守)、モノノベ、ツカサ(司)、ヒコ(彦・▽引) などと換言されます。
またこの場合のように、臣の身分の者が “自分” をいう場合の謙称でもあります。

 

【概意】
「クラキネが罷る時、シラヒトを根国のマスヒトに立てるが、
クラコ姫が亡骸を立山に納めた後、シラヒトは妻のクラコ姫と その母サシミメを
追放して都(宮津)に送る。そしてサホコの副マスヒトのコクミは この母子を犯す。
この罪をマスヒトのカンサヒが正さぬゆえ、臣これを請う。」



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 みはたより さおしかにめす かんさひと こくみははこと
 たかまにて かなさきとわく こくみいふ さしめはまこと
 わかつまよ きみさりますの おしてあり
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 御端より 差使に召す カンサヒと コクミ・母子と
 タカマにて カナサキ問わく コクミ言ふ
 「サシメは真 我が妻よ 君 去りますの オシテあり」
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■御端 (みはた)
「上/神の区分・尊き区画・かしこき区画」 などの意で、大内宮 を指します。
カシコドコロ(賢所) とも呼ばれます。

 ミ(御・▽上・▽神)ハタ(端) で、ミ は カミ(上・神) の略形。
 ハタは ハシバシ(端々) の意で、「分割された一部分・区分・区画」 を表します。

 
■差使 (さおしか・さをしか)・差使人 (さおしかど)
「差し付ける代理・遣わす代理」 という意で、「君が派遣する使者」 をいいます。
後世に言う 「勅使」 で、ヲシカド(御使人)、ヲシカ(御使)、シカド(使人)、シカ(使)
ミカワリ(御代り) などとも呼ばれます。“差使” は筆者による当て字です。

 サオ は サフ(障ふ・支ふ) の名詞形で、サフ は サワル(触る) の母動詞です。
 ですから 「合わせ・添え・付け・つかい (仕い/使い/支い/遣い)」 を意味します。

 ★シカ (使・▽如)


■母子 (ははこ)
「サシミメ と クラコ姫」 です。


タカマ (高天)
「高み・頂き・中心」 などが原義で、ここでは 「中央政府・都」 を表し、
特に君と重臣たちの会議場をいいます。すなわちイサワの 香宮 です。

 この場合は 「お白州・法廷」 と考えていいと思います。


カナサキ

■問わく (とわく)
トフ(問ふ) の ク語法 です。


■去りますのオシテ (さりますのおして)
これは 「離れますの書」 つまり 「離縁状」 です。
“ます” は 君(=クラキネ) に対する尊敬を表します。
オシテは ここでは 「文書・書状」 をいいます。
 
 ★オシテ・ヲシテ (押手・▽璽) ★タミメ (手見目)
 手を組み合わせて造る形で、アワ歌の48神 を表現したものを タミメ(手見目) といい、
 タミメ を平面上に写したのが オシテ です。
 「文字・言葉・文書・称号・証書・璽(しるし)」 などを意味し、
 尊敬を示す時は “ヲシテ” と表記します。 ▶押手 (辞書)

 

【概意】
宮中より使を遣わし、カンサヒとコクミと、サシミメ・クラコの母子を召喚する。
タカマでのカナサキの問いに対して、コクミは言う。
「サシメは まこと我が妻よ。君の書いた離縁状がある。」



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 またとふなんち なにひとそ
 たみといふにそ おたけひて
 けものにおとる つみひとそ さしめささくる ゆかりにて
 ますひととなる みめくみの きみなりははよ
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 また問ふ 「汝 何人ぞ」
 「民」 と言ふにぞ お猛びて
 「獣に劣る 罪人ぞ サシメ捧ぐる 縁にて
 マスヒトとなる 御恵みの 君なり母よ」

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お猛ぶ (おたけぶ)

■罪人 (つみびと)
「曲った人・逸れた人・外れた人」 が原義です。

 ★罪 (つみ)
 ツム(詰む) の名詞形で、ツメ(詰め・爪)・スミ(隅) の変態です。
 「端・隅に逸れているさま・外れているさま」 が原義で、「曲り・反り・逸脱」 を意味します。

 

【概意】
また問ふ 「汝の身分は?」
<根国の君の妻となり、君の姫を生んだ母君を、妻とすることのできる身分なのであろうな?>
「我は民よ」 と答えるなり、猛り狂ったかのように興奮しだす。
「獣に劣る罪人ぞ。サシメを捧げるゆかりによりマスヒトに登用された
大恩ある君であり母であるに。」



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 さかみれは きみおわするる ももくらと ははもふそくら
 おかするも おしてのはちも ももともも
 ひめないかしろ ゐそくらと すへてみもなそ
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 「清汚見れば 君を忘るる 百クラと 母も二十クラ
 犯するも オシテの辱も 百と百
 姫 ないがしろ 五十クラと 総て三百七十」

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クラ (▽転・▽回)

■オシテの辱 (おしてのはぢ)
この場合は 「離縁状の歪曲・捏造」 をいいます。 ▶オシテ ▶恥・辱


ないがしろ (蔑ろ)
ナキ(無き)+ガ(=の)+シロ(代) の音便で、「無きもの同然に扱うさま」 をいいます。

 ★シロ (▽領・代)
 シル(領る・知る) の名詞形で、「合い/合わせ」 を原義とし、
 「見合うもの・釣合うもの・代り・匹敵・値」 などの意です。

 

【概意】
「清汚を見れば、
君の恩を忘れる100クラ、母のそれも20クラ。
母子を犯す、離縁状の捏造、それぞれ100クラ。
姫のないがしろ50クラと、合せて370クラ。」



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 あまめくり みもむそたひお とほこのり
 ところおさると さすらふと ましはりさると いのちさる
 よつわりすきて ほころひと つつかにいれて
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 「天回り 三百六十度を 経矛法
 “所を去る” と “さすらふ” と “交わり去る” と “命去る”
 四つ割 過ぎて 綻び」 と ツツガに入れて
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■天回り (あまめぐり・あまのめぐり)
「御天道様の毎日の1めぐり」 をいいます。 ▶御天道様


■三百六十度 (みもむそたび)
現在でも円を360度に分割してますが、ホツマの時代においても同じで、
360度は 「1回転・1周」 を表します。また1周すれば元の位置に戻るため、
「1プロセスの完了」 を意味します。

 ★タビ (度・旅)
 タフ/タブ(回ぶ) の名詞形で、タブは タム(回む) の変態です。
 やはり 「まわり・めぐり・回転」 が原義で、クラ (▽回) の換言です。
 また タビ(旅) も同源で、「まわること・めぐること」 を意味します。


■経矛法 (とほこのり)
「法と懲罰の制度」 をいいます。

 ★経・矛 (とほこ)
 ト(▽経) は タマ(▽尊・瓊) と同義で、「尊いもの・上に置くもの・優先するもの」 を
 原義とし、具体的には 「(たて)・」 をいいます。その モノザネ が タマ(珠) です。
 ホコ(矛) は 「懲戒力・警察力」 を象徴するモノザネです。

 ★経 (たて)
 例えば 機(=布)は、まず経糸があって それに緯糸を交えることで織られます。
 ですから経糸を 前提/基準/ベース としているわけです。タテ(経)とは そうした
 「優先するもの・前提・基準・おきて・法」 などをいいます。
 タマ(▽尊・瓊)、ト(▽瓊・▽経) とも呼ばれます。


■所を去る (ところをさる)
刑罰の一つで、「居住する 県(あがた) から追放する刑」 です。
江戸時代の 所払い に相当します。
これは量刑が 90以上180クラ未満 の犯罪者に対する罰です。〈23アヤ出〉


■さすらふ ■さすらひ
「居住する国から追放する刑」 です。
これは量刑が 180クラ以上 の犯罪者に対する罰で、江戸時代の 国払い に相当します。
200クラ以上 だと辺境の地に追いやられます。

 ★さすらふ (流離ふ)
 サスル(摩る)アフ(零ふ) の短縮で、アフ は アブレル(溢れる) の母動詞です。
 両語とも 「ずれる・それる・曲る・外れる」 などを原義とし、
 「もともとの場所・環境・立場などから離れる」 ことをいいます。
 現在の意味 (さまよう・ただよう) とは 少しニュアンスが異なるため注意が必要です。


■交わり去る (まじはりさる・まじわりさる)
量刑が 270クラ以上 になると、髪・爪を抜いて入れ墨を施し、
一般人との交流ができないようにした上で、辺境の地に追放します。


■命去る (いのちさる)
360クラ に達すると死刑です。一周して元の位置に戻ったので、
その人も 元の位置 (あの世) に返すというわけです。


■四つ割 (よつわり)
「円の360度の四分割」 をいいます。各90度は ケタ(方) と呼ばれます。


綻び (ほころび) ■綻ぶ (ほころぶ)
ホク(▽解ぐ)+コロブ(転ぶ) の短縮で、「破れて倒れる・破滅する」 の意です。
ホク は ホグス(解す) の母動詞で、ホク の名詞形が ホコ(矛) です。


ツツガ (恙)
ツツク(突く) の名詞形です。「つつかれること」 が原義で、意志に反して
「ちょっかい・干渉を受けること」 をいいます。サワリ(触り・障り) の換言です。
かなり広い意味を持ちますが、ここでは 「拘束・拘留・拘置所」 などを意味します。

 

【概意】
「天の回りの360度を刑罰の法とする。
“所を去る” と “さすらふ” と “交わり去る” と “命去る”
汝はこの4つ割を越えているため破滅の刑」 と、拘置所に入れて、

 

本日は以上です。それではまた!

 

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