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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第18回 [2023.7.30]

第五巻 和の枕言葉の文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 わかのまくらことばのあや (その1)
 和の枕言葉の文 https://gejirin.com/hotuma05.html
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 わかのまくらことはのあや
 もろかみの かみはかりして ものぬしか まくらことはの
 ゆゑおとふ もろこたゑねは あちひこか これはみそきの
 ふみにあり もろこふときに おもひかね これときいわく
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 和の枕言葉の文
 諸守の 守諮りして モノヌシが 枕言葉の
 謂を問ふ 諸 答えねば アチヒコが 「これは禊の
 文にあり」 諸 乞ふ時に オモヒカネ これ説き曰く
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和 (わか)

■枕詞・枕言葉 (まくらことば)
何か別の言葉を引き出すために 「前もって置く言葉」 をいいます。
例えば、“あたりまえだの”  は、“クラッカー” の枕言葉です。(古いか)

 ★枕 (まくら)
 マク(設く) の連体形 “マクル” の名詞形で、「先に置くもの・下に敷くもの」 を意味します。
 
 ★言葉・詞 (ことば) ★言の葉 (ことのは) ★言 (こと)
 コトバ は コトフ の名詞形で、コトフ は コタフ(応ふ・答ふ) の変態です。
 コトフ は コツ(▽越つ)+トフ(訪ふ) の短縮で、コツ は コス(越す) の変態。
 両語とも 「往き来させる・返す・回す・伝える」 などが原義です。
 よって “言葉・詞” は 「往き来させるもの・回すもの・伝えるもの」 という意です。
 “言の葉” の、コト(言) は コツ(▽越つ) の名詞形。ハ(葉) は 「放つもの・出るもの」 です。


諸守 (もろかみ)

守諮り (かみはかり)

■モノヌシ
オオモノヌシ の略です。


■謂・故 (ゆゑ)
ユフ(結ふ/言ふ) の名詞形で、「結び付き・由縁・いわれ・所以」 などの意です。


アチヒコ
オモイカネ の別名です。


禊 (みそぎ)

■オモヒカネ・オモイカネ
アチヒコ の別名です。
タカミムスビ7代 タカキネ の子で、回り歌 の呪縛により ワカ姫(=ヒルコ) と結婚。
名の意味は 「ワカ姫を思いかねさせた者」 で、記紀には 思金神/思兼神 と記されます。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫 

 

【概意】
ワカの枕言葉の文
諸守が守諮りする時、モノヌシが枕言葉のいわれを問う。
誰も答えない中、アチヒコが 「それは禊の文にあり」 と。
諸がそれを乞う時、オモヒカネが説いて言うには、



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 ふたかみの おきつほにゐて くにうめと
 たみのことはの ふつくもり これなおさんと かんかゑて
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 二尊の オキツボに居て 国生めど
 民の言葉の 悉曇り これ直さんと 考えて
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二尊 (ふたかみ)

オキツボ (奥壺)

■国生む (くにうむ) ■国生み (くにうみ)
日本国家は オモタル&カシコネ で皇統が途絶え、国家の統治システムは崩壊します。
そのため民は秩序を失って その生活も意識も獣のレベルにまでもどり、何もかもが
無に帰した状況だったと推測されます。そうした状況で国君を引き継いだ二尊は、
ゼロから国づくりを始めなければならなかったわけです。それゆえ “国生み” と呼ばれます。


■悉 (ふつ)
フス(付す) の名詞形で、「合うさま・違いのないさま・一つであるさま」 が原義です。
それゆえにまた、「唯一であり全てであるさま・完全・真実」 を意味します。
ここでは “悉く”(ふつく) の略で、「まさに・まったく・すっかり」 などの意です。

■曇る (くもる)
クム+オル(折る) の短縮で、クム は クグム(屈む) の母動詞。
両語とも 「曲る・逸れる・外れる・不調/異常となる」 などが原義です。
クム の名詞形が クマ(曲・隈)、クモ(雲) です。


■言葉を直す (ことばおなおす)
国家の統治システムが崩壊したことによる民の劣化は言語にまで及んだのでしょう。
住む所が違えば、もはや意思の疎通すら困難になっていたものと推測します。
意思の疎通ができなければ何を始めることもできません。二尊は民の言葉を直して
コミュニケーションを回復することが喫緊の課題と考えたわけです。これはつまり
標準語を教えるということです。

 旧約聖書のバベルの塔の節で、驕れる人間を戒めるため神は言葉を乱して、
 それまで世界共通だった言語がバラバラになります。これにより文明は
 崩壊して原始的なレベルに戻ります。この話が実話かどうかはともかく、
 文明が人間のコミュニケーションの上に立脚しているのは事実でしょう。
 それゆえ国家や文明にとって、言葉を正すことは最重要事項なのです。
 二尊が国君を引き継いだ時、日本はまさにバベル崩壊後の状況だったのでは
 ないでしょうか。

 

【概意】
二尊は近江のオキツボの都において国家再建に尽していたが、
民の言葉がすっかり乱れていることに気づく。そこでこれを直そうと考え、



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 ゐねななみちの あわうたお かみふそよこゑ いさなきと
 しもふそよこゑ いさなみと うたひつらねて をしゆれは
 うたにねこゑの みちひらけ たみのことはの ととのゑは
 なかくにのなも あわくにや
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 五音七字道の アワ歌を 上二十四声 イサナキと
 下二十四声 イサナミと 歌ひ連ねて 教ゆれば
 歌に音声の 道 開け 民の言葉の 調えば
 中国の名も “アワ国” や
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■五音七字道・五音七道 (ゐねななみち)
言葉を 「五七調に綴る道」 です。 ▶五七調


■アワ歌 (あわうた:陽陰歌/和歌)
イサナキとイサナミが民の言葉の乱れを直すために考案した歌で、アから始まってワで終わる、
日本語の48音を綴った歌をいいます。天のアワ歌 に対して “地(わ)のアワ歌” とも呼ばれます。
これをイサナキが弾く五弦琴のしらべに乗せて民に歌わせました。

 あかはなま いきひにみうく ふぬむえけ へねめおこほの
 もとろそよ をてれせゑつる すゆんちり しゐたらさやわ

後世の “いろは歌”、あるいは今日の “五十音” みたいなものです。
その一音一音は神の名でもあるため、“アワの神” と呼ばれることもあります。

アワ歌(▽陽陰歌/▽和歌) の アワ は、ア(陽・天・上) と ワ(陰・地・下) であり、
同時に アフ(合ふ・会ふ) の名詞形でもあります。
ですから 「陽陰和合の歌」、また 「偏りを中和して調える歌」を意味します。
“地のアワ歌” は 「地(=国)の 偏り・曲りを和し調える歌」 の意と考えます。

・言葉を直す アワ歌を 常に教えて … …
 カダカキ打ちて 引き歌ふ 自づと声も 明らかに 
〈ホ1-2〉
・二尊の 
天のアワ歌に 国を生み 地のアワ歌に 音声和る 〈ミ1-4〉


平安時代には “天地の歌” というのも流行ったようです。

 あめつちのうた【天地の歌】〈広辞苑〉
 平安初期の手習歌詞の一。「たゐにの歌」「いろは歌」に先行。
 「あめ(天)つち(地)ほし(星)そら(空)やま(山)かは(川)みね(峰)たに(谷)くも(雲)
 きり(霧)むろ(室)こけ(苔)ひと(人)いぬ(犬)うへ(上)すゑ(末)ゆわ(硫黄)さる(猿)
 おふせよ(生ふせよ)えのを(榎の枝を)なれゐて(馴れ居て)」 のように、
 かな四十八字を重複しないように綴ったもの。源順集にある 
 「あめつちの歌四十八首」 は、歌の首尾にこの仮名一字ずつを詠み込んである。
 平安初期の音節数を示し、ア行のエとヤ行のエとの区別を残している。


音声・根隅 (ねこゑ)
「元と末・親と子・主と従・内と外」 などが原意です。
ここでは 「母音と子音」 を表します。


■中国 (なかくに)
中国は クニトコタチ より連綿と皇統を保ってきた中央政府の本領です。
地理的には 「ヒタカミ国根の国ホソホコチタル国 を除く本州」 です。
地理的に日本の中央部を占め、また中央政府が所在する国であるため “中国” です。
壺(つぼ)葦原(あしはら) とも呼ばれます。


■アワ国 (あわくに:▽和国・▽合国)
“アワ歌” によって民の言葉が調ったため、中国は “アワ国” の別名が付けられます。
アワ国は 「調和が通った国・和の国」 を意味します。
また アワ は 「合・間・中」 の意がありますから、中国(なかくに)と同様に
「中央の国」 という意味も持ちます。

 アワ国 は 広義には 中国(なかくに) の別名ですが、時代が下ると地域が限定されて、
 アワ海(=琵琶湖)の国、つまり ヲウミ(近江) の地域を指すようになったようです。

 

【概意】
五七調のアワ歌を、上の24声をイサナキが、
下の24声をイサナミが、歌い連ねて教えれば、
歌に音声の道が開け、民の言葉も調えば、中国の名も “アワ国” や。



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 つくしにみゆき たちはなお うゑてとこよの みちなれは
 もろかみうけて たみおたす
 たまのをととむ みやのなも をとたちはなの あわきみや
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 ツクシに御幸 タチバナを 植えてトコヨの 道成れば
 諸守受けて 民を治す
 霊の緒 留む 宮の名も “復橘の 和来宮”
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ツクシ (筑紫)

御幸 (みゆき)

タチバナ (▽立木・橘)

■トコヨの道 (とこよのみち)
「クニトコタチ時代の道」 の意で、「調和の道」 をいいます。 ▶トコヨ ▶クニトコタチ
この時代は 人の心 (=魂魄) が融合調和していて、男女の性別もありませんでした。

 クニトコタチの 代にはまだ 矛なき故は 素直にて 和を守れば 矛 要らず  〈ホ23-1〉


■諸守 (もろかみ)
この場合は、ツクシを治める “地守” たちをいいます。
  
 ★地守 (くにかみ・くにもり)・地つ守 (くにつかみ)
 中央政府の任命により 「地方の行政区を治める司」 をいいます。


■霊の緒留む (たまのをとどむ)
タマノヲ(霊の緒) は、人の 魂(たま) と 魄(しゐ) の結合をいいます。
この結合が人の肉体生命を結び、またこの結合が 「人としての心」 を生みます。
そのため “霊の結留む” は、「心を留める・精魂を留める」 などの意を表します。


■復橘 (をとたちばな・おとたちばな)
オト(▽復) は オツ(復つ) の名詞形で、「往き来・循環・くり返し・復活・再来」 などが原義。
タチバナ(=トコヨの木) は “トコヨの道”、つまり “調和の道” の象徴。
ですから 「トコヨの道の復活・調和の復活」 という意味です。


■和来宮 (あわきみや)
アワ は アマ の変態で、この場合は アマツキミ(和つ君) を意味します。
これは 「国君・中央政府の君」 の別名です。
ですから 「中央政府の君が来たる宮・国君巡幸の宮」 という意です。

 キ(来) は クル(来る) の連用形の名詞化です。
 これは クル(▽転る・繰る) と同源で、「回る/回す・めぐる/めぐらす」 などが原義。
 ユク(行く) と クル(来る) は、原義的には同じです。

 小戸大神宮 (おとだいじんぐう)
 福岡県福岡市西区小戸2-6-1。
 現在の祭神:天照皇大神、手力雄命、拷幡千々姫命
 <筆者注> この社の由緒には オト(復・小戸)、タチバナ(橘)、
      アワキ(和来・阿波伎)、ツキヨミの誕生 すべてが謳われています。

 

【概意】
九州に御幸し、タチバナを植えてトコヨの道が通ると、
九州の守らもその道を受けて民を治める。その心を留める宮の名も、
“復橘の和来宮” (トコヨの道を復活するために和つ君が御幸した宮)。



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 みこあれませは もちきねと なつけていたる そあさくに
 さくなきのこの いよつひこ うたにことはお ならわせて
 ふたなおもとむ あわつひこ
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 御子生れませば モチキネと 名付けて到る ソアサ国
 サクナギの子の イヨツヒコ 歌に言葉を 習わせて
 二名をもとむ アワツヒコ
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モチキネ

■ソアサ国 (そあさくに)
四国(しこく) の古名です。この時点では ソアサ、または イヨ(伊予) と呼ばれていました。
この時代の四国は まだ分割されておらず、ソアサ/伊予/阿波は 「四国の全域」 を指します。


■サクナキ
四国を平定した アメヨロツ尊 の子で、アワナキ の弟です。
父の後を継いで ソアサ(四国) を治めた思われます。イヨツヒコを生みます。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)   
 │          │           
 │          └アメヨロツ┬アワナキ───────イサナキ
 │          (養子)↑  └サクナキイヨツヒコ   │
 │             └─────┐          │
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ       │
 │      (初代)  │                  │
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ──────イサナミ
               (2〜4代)   (5代)


■イヨツヒコ (伊予つ彦)
サクナキ の子です。イヨツヒコは 「伊予の守」 を意味する名です。
父の後を継いで四国(しこく)を治めています。 ▶ひこ(彦)

 
 ★イヨ (伊予・弥) ★イブキ (息吹・気吹・伊吹)
 イヨ は イユク(い行く) の母動詞 “イユ” の名詞形で、イヨ(弥) と同じです。
 「いよいよ進展するさま・雪だるま式に成長するさま」 を意味します。
 イブキ は イブク(息吹く) の名詞形で、イブク は これまた イユク(い行く) の変態です。
 つまり イヨ と イブキ は同義語であり、どちらも 四国(しこく) を指します。


■もとむ (求む)
この モトム は マトム(纏む)マトフ(纏ふ)マツル(纏る) などの変態で、
「合わす・寄せる・まとう・負う」 などの意です。


■アワツヒコ (阿波つ彦・▽陽陰つ彦・▽和つ彦)
二尊の巡幸を自領に迎えたイヨツヒコは、アワ歌 を民に習わせますが、
その言葉直しの効果に感動してか、以後 “アワツヒコ” の別名をまといます。
これにより ソアサ/イヨ(伊予) は、アワ(阿波・▽陽陰・▽和) とも、
また イヨアワフタナ(伊予阿波二名) とも呼ばれるようになります。

 

【概意】
御子が九州で御誕生になり、モチキネと名づけてソアサ国に到る。
その国を治めるサクナキの子のイヨツヒコは、二尊のアワ歌を民に習わせて、
“アワツヒコ” と二名をまとう。



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 そさにきたりて みやつくり しつかにゐます きしゐくに
 たちはなうゑて とこよさと
 さきにすてたる ひるこひめ ふたたひめされ
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 ソサに来りて 宮造り 静かに結ます キシヰ国
 橘 植えて トコヨ里
 さきに捨てたる ヒルコ姫 再び召され
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ソサ

宮 (みや) (■ソサの宮 ■キシヰの宮)
この宮(=都)は、現在の新宮市の 神倉山(かみくらやま) に造ったと考えています。
カミクラ の原義は “上座・尊座” で、「御上 の座所・二尊の座所」 の意と思われるからです。

 神倉神社 (かみくらじんじゃ)
 紀伊国牟婁郡。和歌山県新宮市神倉1-13-8。 
 現在の祭神:高倉下命
 ・神倉山は熊野権現の降臨地とされる。
  神倉神社は熊野速玉大社奥院といわれ、熊野根本神蔵権現とも称された。


■静かに結ます (しづかにゐます)
「平和に結い統べる・和し治める」 という意です。

 ★結ます・埋ます (ゐます・います)
 イム(▽結む・▽埋む)+マス(増す) の短縮で、イム は ユフ(結ふ)・ウム(埋む) の変態、
 両語とも 「合わす」 が原義です。
 ですから 「結い合わす・結い統べる・治める・埋め込む・埋め合わす」 などの意です。


■キシヰ国 (きしゐくに:紀州国)
「来(キ)て 静(シ)かに 結(ヰ)ます」 ゆえに、“キシヰ国” だと言ってるようです。 ▶キシヰ


■トコヨ里 (とこよさと)
二尊は トコヨの道 が通った国、つまり調和と秩序が回復した地域を、
“トコヨ里” と呼んで、そこにタチバナを植えました。「トコヨ国の裾野」 という意味です。

 ★里 (さと)
 サツ(▽擦つ) の名詞形で、「往き来・めぐり・周り・周辺」 などが原義、
 また 「裾野・いなか・地方・故郷」 などの意を表します。


■さきに捨てたるヒルコ姫 (さきにすてたるひるこひめ)
両親の厄年の汚穢が当たらぬようにと捨てられた ヒルコ です。 ▶厄年
ヒルコが生れた時、父イサナキは40歳、母イサナミは31歳で、
このまま同居すれば 女子には父の汚穢があたり、男子は母の隈となることから、
大厄の前に、イワクス船 に乗せてヒルコを捨てます。
それを カナサキ の夫婦が拾って ヒロタの宮 で育ててきました。

 

【概意】
次に二尊はソサに巡り来て宮を造り、和し治めて “キシヰ国”。
ここもタチバナを植えてトコヨの里となす。
さきに汚穢隈に捨てたヒルコ姫も、再び召されて、

 

本日は以上です。それではまた!

 

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