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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第15回 [2023.x.x]

第四巻 日の神の瑞御名の文 (3)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひのかみのみづみなのあや (その3)
 日の神の瑞御名の文 https://gejirin.com/hotuma04.html
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 かくましわりて はらめとも とつきにうます としつきお
 ふれともやはり やめるかと こころいためて こそむつき
 ややそなわりて あれませる あまてるかみそ
―――――――――――――――――――――――――――――
 かく交わりて 孕めども 十月に生まず 年月を
 経れどもやはり 病めるかと 心傷めて 九十六月
 やや備わりて 生れませる アマテル神ぞ
―――――――――――――――――――――――――――――

■十月に生まず (とつきにうまず)
今は妊娠期間を “十月十日(とつきとおか)” といいますが、
ホツマでは 女児の場合は10か月、男児の場合は1年 を標準としています。

 男の子は年に 女は十月 イキス好ければ 生むも安きぞ 〈ホ16〉


やや (稍・漸)
イヤイヤ(弥々)・イヨイヨ(愈々・弥々) の略形で、
「しだいに・だんだん・いよいよ・ますます」、「いくぶん・いくらか」、「およそ・ほぼ」、
「ようやく・やっと・どうにかこうにか・ついに」 などの意を表します。

 いやいや【弥弥】〈広辞苑〉
 いよいよ。ますます。
    
 ★いや・いよ (弥) ★いやいや・いよいよ (弥々) ★やや・よよ (弥々) ★や・よ (弥・余)
 イユク(い行く) の母動詞 “イユ” の名詞形で、「巡り・回転・循環・繰り返し」 などが原義です。
 「回転しながら成長発展していくさま・雪だるま式」 をいいます。
 イヤ・イヨ を重ねて “いやいや・いよいよ”、その短縮が “やや・よよ”   “や・よ” です。


■生れませる (あれませる)
アル(生る)+マセル(尊敬を表す‘マス’の連体形) です。


■アマテル神 (あまてるかみ:▽陽陰連る神)
二尊がヒルコの次に生んだ男子で、斎名は ワカヒト、幼名は ウホヒルキ です。
日(太陽)と月(太陰)の大神霊が融合して世に人として生れました。
記紀は 天照大神 / 天照大御神 と記し、現在一般には女神と解されています。


 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ワカ姫(斎名ヒルコ)
 │             └─────┐       ├アマテル(斎名ワカヒト)
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ(斎名モチキネ)
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ(斎名ハナキネ)
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ
                        │ (6代)   (7代)
                        ├カンサヒ
                        └ツハモノヌシ


 アマテル(▽陽陰連る)とは 「陽陰を連ねる・陽陰を融合する・陽陰の偏りがない」
 という意と考えます。このこと自体、今の我々には意味が不明瞭ですが、
 ウビチニ&スヒヂ より前の人間はみな、陽陰が融合して偏りがありませんでした。
 ゆえに人に男女の性別もなかったとされます。ワカヒトは、人が男女に分離した
 以降では 唯一例外的に陰陽が融合していた人ということになります。それゆえ
 アマネキカミ(遍き神) という別名もあります。しかしこれは魂魄的にそうなので
 あって、肉体的には普通の人間の男性です。

 テルに “連る” と当てる例は 今の辞書には無く、かなり抵抗があると思いますが、
 19アヤに 「1本につながった馬の手綱」 が登場し、それを テルタエ(▽連る栲) と
 呼ぶ例があります。これは現在も普通に使われる輪状の手綱をいいますが、当時は
 これに対して2本に分れた手綱もあり、それは アカルタエ(別る栲)、または
 アカタエ(▽別栲) と呼ばれています。

 ワカヒトは生ける人間ですから、本来は神ではなく “” であるわけですが、
 日と月の大神霊を融合するという特別さから、本講座では特に “神” と当てています。
 日・月の神霊は、創造神 アメノミヲヤ の左右の眼に相当すると考えられていて、それは
 アメノミヲヤそのものとも言える重要な神霊です。ゆえにその顕現であるワカヒトも
 アメノミヲヤと同一視されています。アメノミヲヤと同一視される人は、他には
 初の人間となった ミナカヌシ だけです。

 アマテル神 は ワカヒト に固有の名ですが、似たものにアマテラスカミという名があり、
 こちらは 「和して照らす尊」 という意の普通名詞です。ですから国家を治める国君は
 すべてアマテラスカミです。ただしヲンカミ(御神)・ヲヲンカミ(大御神) は ワカヒト
 個人を指す名ですから、アマテラス/アマテラシマス の後に、“御神・大御神” と続く
 場合は、ワカヒトを指します。

 

【概意】
このようにして交わり、孕みはしたものの、
十月に生まず、さらに年月を経ても相変わらず。
病めるかと心を痛めて96月、ようやく調って御誕生になるアマテル神ぞ。


 
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 ふそひすす ももふそゐゑた としきしゑ
 はつひほのほの いつるとき ともにあれます
 みかたちの まとかのたまこ いふかしや
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 二十一鈴 百二十五枝 年キシヱ
 初日ほのぼの 出づる時 共に生れます
 御形の 円かの玉籠 いぶかしや

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■二十一鈴百二十五枝 (ふそひすずももふそゐゑだ)
真榊(=鈴木) による暦法で、1鈴=6万年、1枝=60年、1穂=1年 です。
21鈴125枝は 「21鈴目の125枝」 の意で、「120万7500年」 に相当します。


■キシヱ
我が国本来の 干支 の表し方で、今風には 甲午(きのえ・うま) です。
60年/60日で一周する31番目ですから、「31穂」 の換言です。

 すなわち ウビチニ&スヒヂの御代に 真榊の植え継ぎが500回に達してリセット
 された時から数えて 21鈴125枝31穂=120万7531年 です。


初日 (はつひ)
この場合は特に 「一年最初の太陽・初日の出」 をいいます。若日(わかひ) とも呼ばれます。


ほのぼの
はっきりした区切りがなく、少しずつ無段階に変化するさまをいいます。
「少しずつ・うっすらと・ぼんやりと・いつのまにか」 などの意です。
ここでは 「日の出直前の、東の空がぼんやり明るくなる感じ」 をいいます。

 “ほのぼの” は アケ(明け) にかかる枕詞です。〈5アヤ出〉


■御形・神形 (みかたち)
ミ(御) は カミ(上・神) の略形です。
カタチ(形) は 「凝り固まって生じるもの・目に見えるさま・物質的な現れ」 をいいます。


■円かの玉籠 (まどかのたまこ)
マドカ(円か・▽全か) は 日や満月のように 「まん丸で欠けのないさま」 を表します。
タマコ(玉籠・球籠) は 「玉状の 囲み/容器」 の意で、胞衣 の換言です。 ▶こ(籠)
アマテルは まん丸い胞衣に包まれたままの状態で生れたのです。


いぶかし (訝し)
イブク(息吹く・気吹く)+シ(▽如・▽然) で、イブクは 下の(1) の意。
ここでは、正体がわからず 「心がくすぶる如し・気になる如し・興味が湧く如し」 などの意です。

 ★息吹く・気吹く (いぶく)
 (1) イブ(▽燻ぶ)+フク(吹く・噴く) の短縮で、イブは イブル(燻る) の母動詞。
   両語とも 「高まる・栄える・勢いづく・奮起する」 などが原義です。
 (2) イユク(い行く) の変態で、「巡り・回転・循環・繰り返し」 などが原義です。
   「いよいよ発展する・雪だるま式に成長する」 ことをいいます。

 ★し (▽如・▽然)
 シク(如く) の略で、ゴトシ(如し)シカリ(然り) の意を表します。
 シカリ(然り) は シク(如く)+アリ(在り) の短縮です。

 形容詞の語尾に付く “シ” は これです。
 そのため形容詞の活用は、シク(如く) の活用がベースとなっています。

 

【概意】
21鈴125枝キシヱ(31穂)の 初日がほのぼの出ようとする時、
共にお生まれになる。その神形のまん丸い玉の囲みが気になることよ。



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 うをやをきなの やますみか ことほきうたふ むへなるや
 ゆきのよろしも みよつきも よよのさいわひ ひらけりと
 おほよすからに ことふくも みたひにおよふ ゆきよろし
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 大老翁の ヤマズミが 寿ぎ歌ふ 「むべなるや
 往きの宜しも 御代嗣も よよの幸ひ 開けり」 と
 おほよすがらに 寿くも 三度に及ぶ 往き宜し
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■大老翁 (うをやをきな)
ウ(大)ヲヤ(▽老・祖・親)ヲキナ(翁) で、ヲヤは ヲユ(老ゆ) の名詞形です。
豊臣・徳川の時代で言えば、大老(たいろう) にあたるでしょうか。


ヤマズミ
このヤマズミは サクラウチ という名の、初代のオオヤマズミです。

  
■寿ぐ (ことほぐ・ことぶく) ■寿 (ことほぎ・ことぶき)
コツ+ホグ(祝ぐ/噴く) の同義語連結で、コツは カツ(勝つ・▽上つ) の変態です。
両語とも 「上げる・高める・栄す・褒める・喜ぶ・祝う」 などの意を表します。


■むべ・うべ・うへ・うえ・うめ (宜・諾)
ムマシ(美し)・ウマシ(美し・甘し・旨し) の “むま・うま” の変態で、
「(心に)合うさま・好ましいさま・うまいさま・よろしいさま・祝福するさま」 を表します。
ですから “むべなるや” は 「いいね・よろしい・けっこうではないか」 などの意となります。

 むまし【美し】〈広辞苑〉
 「うまし」 に同じ。


■往きの宜し (ゆきのよろし) ■往き宜し (ゆきよろし)
ユキ(往き) は 「巡り・運び・運」 が原義で、ヨロシ(宜し) は ムベ(宜)と同じです。
ですから 「巡りのよろしさ・運びのよろしさ・運のよろしさ・好運」 などの意となります。
コヱヨロシ(還宜し) ともいいます。

 ここに出てくる、前のユキノヨロシと、後のユキヨロシは、意味が異なります。
 前者は 「国家の命運の良さ」、後者はヤマズミの 「歌の回転の良さ」 を表します。


■よよ
イヨイヨ(愈々・弥々) の略形です。


幸ひ (さいわひ・さいわい)
サイワフ(幸ふ) の名詞形です。
サイワフ は サク(咲く・▽栄く・▽盛く)ハフ(生ふ・栄ふ・映ふ) の音便変化です。


■おほよすがら・おぼよすがら (▽覚よ優ら)
オホヨ/オボヨ は オボユ(覚ゆ) の名詞形で、オボヱ(覚え) の変態。
スガラ は スグレ(優れ) の変態です。
ですから 「心の覚えが優れるさま・気分がウキウキするさま」 を表し、
“おほよすがらに” は 「得意げに」 という意となります。

 

【概意】
大老翁のヤマズミが寿ぎ歌う。
「喜ばしいかな。めぐりのよろしさ (上向いている国家の運) といい、
御代嗣の誕生といい、いよいよの幸いの開けるなり」 と、
得意げに寿ぎ歌うも、3度に及ぶ めぐり (回転) のよろしさよ。



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 ひとのとわしの こたゑにも
 とよけのかみの をしゑあり さわるいそらの みそきにて
 ゑなのかこみは おのころの たまことならは ゆきよろし
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 人の問わしの 答えにも
 「トヨケの尊の 教えあり 障るイソラの 禊にて
 胞衣の囲みは オノコロの 保籠と成らば 往き宜し」
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■問わし (とわし)
トフ(問ふ)+シク(如く) から “ク” を省いた ク語法 で、
“シ” を省いた トワク(問わく) と同じです。


トヨケ・トヨウケ

■障る・触る (さわる)
「付きまとう・差し支える・干渉する・障害となる」 などの意です。
サフ(障ふ・支ふ)ハル(張る・貼る) の短縮で、どちらも 「付く・添う」 などが原義。


■イソラ・ヰソラ
イス(▽逸す)ソル(反る・逸る) の名詞形で、「それて外れるさま・汚穢・異常」 が原義です。
これはほとんどの場合、「邪霊・悪霊」 を意味します。


禊 (みそぎ)
「曲りを直して調えること・汚穢を祓うこと」 をいいます。 ▶汚穢 ▶祓ふ
この場合、曲り・汚穢 とは “イソラ” のことを指します。

 ★みそぎ (禊・水濯ぎ/身濯ぎ)
 ミス(見す)+ソグ(▽濯ぐ) の短縮 “ミソグ” の名詞形です。
 ミスは 「合わす・調える・直す」 の意、ソグは ソソグ(濯ぐ) の母動詞です。
 ですから 「濯いで調えること・洗い清めること」 をいいます。
 それを 「川や海の水 (よどんでいない) で濯ぐこと」 を モノザネ として行います。


胞衣 (ゑな)
この場合は タマコ(玉籠) の換言です。


■オノコロ
オノコロとは 「中心にあるものが周囲を和し恵むさま」 を原義としますが、
「周囲を和し恵む 中心」 をいう場合と、「中心 が和し恵む範囲全体」 をいう場合があります。
ここでは前者で、「核・主体・本体・ご本尊」 などを意味します。

 オノコロについてはホツマ18アヤで詳しく説かれます。


■保籠 (たまこ)
タマコ(玉籠) に語呂合せして、“保籠” (保護の囲み) の意に用いてます。
このタマは タム(溜む) の名詞形で、タモ(▽保・攩) の変態です。

 

【概意】
<アマテルが胞衣に包まれた状態で生まれたことについての>
人の問いの答えにも、
「トヨケの尊の教えがある。障る邪霊を祓う意味において、
胞衣の囲みは本体の保護となるゆえ幸先が宜しい。」



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 たまのいわとお ひらけとて
 いちゐのはなの さくもちて いまこそひらく あまのとや

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 「尊の結戸を 開らけ」 とて
 一位の放(一位の木)の 笏もちて 今こそ開く 天地の戸や

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■尊の結戸 (たまのいわと)
「貴いものを結わえる戸」 という意で、「アマテルを包む胞衣」 をいいます。
 
 ★タマ (▽尊・霊・珠・魂)
 タム の名詞形で、このタムは タフトブ(尊ぶ) の母動詞 “タフ” の変態です。
 「上にあるさま・中心にあるさま・尊いさま・上澄み」 などが原義で、
 「本質・本源・心髄・精髄・霊・精神・意識・エネルギー」 などを意味し、
 そのモノザネが 「珠・宝石」 です。

 ここでは誕生した赤子アマテルを指します。
 もちろん先出の タマコ(玉籠)、タマコ(保籠) にかけて タマ(▽尊)です。

 ★結戸・結門 (いわと)
 イワ は イフ の名詞形で、イフ は ユフ(結ふ) の変態。
 ですから ユワエ(結わえ) と同じです。ト(戸・門) は 「閉じ・綴じ・締め・括り」 です。


■一位の放/一位の木 (いちゐのはな)
イチヰは 「至上の位」 の意で、これは天界最高位の 「日月の神霊」 を意味します。
ハナは “放” で、「放ち・開き・開放」 です。ですから “一位の放” とは
「最高位の神霊の開放」 という意で、“尊の結戸を開く” と同じことを言ってます。

 イチ(▽逸・▽至・▽頂・▽甚・一)+ヰ(居・位) で、イチ は イタリ(至り)、
 イタダキ(頂)、イタ(甚)イツ(逸) などの “イタ” “イツ” の変態です。
 ヰ(居・位) は 「居場所・位置・ポジション」 などをいいます。

そしてこれを 一位(いちゐ) の木にかけます。 ▶木(はな)
これは 「最高位者を開放した木」 という意味です。“一位” という木の名は、アマテルを包む
胞衣を裂くのに使った名誉ある木材として、後から付けられたのだろうと思います。


笏 (さく)
かつて君の賜物として重臣たちに下されたものと、ミカサの逸文は伝えます。
サクは 短冊の “冊” のことで、本来は書付け用の札として使ったようですが、 ▶画像
この サク(笏) を “裂く”  にかけて、胞衣を 「裂き開く道具」 として使ったのでしょう。
また “咲く” にかけて、「花咲かせる道具」 の意味もかけているかもしれません。
この笏の材が 「一位の木」 でした。


■天地の戸 (あまのと)
「天上界と地上界を隔てる戸」 という意味です。 ▶天地(あめ・あま)
これもやはり 「アマテルを包んでいる胞衣」 を指します。
天上界にある日月の大神霊が、地上に生きる人間へと転じる境界です。

 

【概意】
「尊者を結わえる戸を開け」 とて、一位の木の笏を持ち、
今まさに開く天と地の隔てであった。



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 いつるわかひの かかやきて
 しらやまひめは うふゆなす あかひこくわに ひくいとお
 なつめかおりて うふきぬの みはたてまつる

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 出づる若日の 輝きて
 シラヤマ姫は 産湯なす アカヒコ 桑に 引く糸を
 ナツメが織りて 生絹の 御衣奉る

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■若日 (わかひ)
一年最初の日の出をいいます。「初日・初日の出」 の換言です。


■シラヤマ姫 (しらやまひめ:白山姫)
アワナキ の娘で、イサナキ の姉妹です。シラヤマ(白山) は この山の麓の地域である
根の国 のシンボルです。ですからシラヤマ姫とは 「根の国の姫」 という意味です。
ココリ姫、キクキリ姫とも呼ばれます。


 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├シラヤマ姫(ココリ姫)
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ワカ姫(斎名ヒルコ)
 │             └─────┐       ├アマテル(斎名ワカヒト)
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ(斎名モチキネ)
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ(斎名ハナキネ)
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ
                        │ (6代)   (7代)
                        ├カンサヒ
                        └ツハモノヌシ


■アカヒコ
アカヒコが カヒコ(蚕) に縮まったのではないかと考えています。

 アカ は ワカ・ウカ・ウケ・ミケ・イカ・イケ などの変態で、イケ(生け・活け) が原義。
 「生け活かすもの・生活の支え」 を意味し、この場合は生活に欠かせない 「絹糸」 です。
 ヒコ は ヒク(引く) の名詞形で、「引いてくるもの・もたらすもの」を意味します。

 赤日子神社 (あかひこじんじゃ)
 三河国宝飯郡。愛知県蒲郡市神ノ郷町森58。 
 現在の祭神:彦火火出見尊、豊玉彦命、豊玉姫命
 ・三河養蚕祖神。養蚕の守護神としてその名高し。江戸時代は「赤孫大明神」と称す。

 また 赤引の糸(あかひきのいと) というものがあり、
 これは伊勢内宮の神御衣(かむみそ)の祭に供える神衣を織る糸といいます。


■ナツメ・ナツメのカミ
これは不詳で、人なのか神霊なのかもわかりません。
ホツマの3場面に登場しますが、どの場面でも産着を織っています。
古事記などには 夏之売神(なつのめのかみ) と記されます。

・アカヒコ 桑に 引く糸を ナツメが織りて 生絹の 御衣奉る 〈ホ4-3〉
・宮造りして 御座します 
ナツメのカミが 産着成す 〈ホ24-6〉
・クニテル宮と タケテルと 生めば
ナツメが 産着成す 〈ホ27-1〉


■生絹の御衣 (うぶぎぬのみは)
これは 「産着」 を言うのでしょうが、産着には語呂合せから、
生絹(うぶぎぬ) を使ったのでしょう。生絹は生糸で織った絹布をいい、
辞書では “きぎぬ” とか “すずし” と呼ばれてます。

 ★衣・機 (みは・は) ★御衣・御機 (みは)
 ミフ(▽見ふ) の名詞形で、「合わせ・付け・着せ」 などが原義です。
 ハ(▽衣・▽機) と略されます。“衣・機” は筆者の当て字です。
 また、ミ(御・上・神)+ハ(▽衣・▽機) で、その尊敬語にもなります。

 

【概意】
その時に初日の出が輝けば、シラヤマ姫は産湯を用意する。
アカヒコが桑に引く糸を、ナツメが織りて生絹の御衣を奉る。

 

本日は以上です。それではまた!

 

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