_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
一から学ぶ ほつまつたえ講座 第69回 [2023.10.27]
第十四巻 代嗣祈る宣詞の文 (2)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
よつぎのるのとことのあや (その2)
代嗣祈る宣詞の文 https://gejirin.com/hotuma14.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
―――――――――――――――――――――――――――――
よそこのはなに このみなる あくりおゑんと もろをかむ
ときにあまてる ををんかみ よつきのあやお をらんとす
―――――――――――――――――――――――――――――
四十九の端に 子の身生る あくりを得んと 諸 拝む
時にアマテル 大御神 代嗣の綾を 織らんとす
―――――――――――――――――――――――――――――
■四十九の端 (よそこのはな)
ヨソコ(四十九)は フトマニ図に載る元明けの49神をいいます。
ハナ(端)は “しょっぱな(初っ端)”
という意で、「発端・端緒・起源」 を意味します。
ですから 「49神の起源」
という意です。これはモトモトアケ(元元明け)とも呼ばれる
アメノミヲヤを指します。フトマニ図中心のアウワの神です。
そしてアマテル大御神(斎名ワカヒト)は、このアメノミヲヤと同一視されています。
■子の身 (このみ)
コ(子)は “ワコ”
の略で、ワコは ワク(分く)の名詞形です。
つまり “子” は 「分け」 が原義ですから、“子の身” は
「分け身」 と同義です。
ここでは “よそこのはな” の ハナ(端)を ハナ(▽木)
にかけて、
コノミナル(子の身生る)を コノミナル(木の実成る)
と解いています。
■あくり (▽明くり)
アクル(明くる)の名詞形です。これはオクリ(送り) や
メクリ(巡り・捲り)の変態で、
「回転」 を原義とし、「物事の回転・事態の改善/進展・停滞の打開」
などの意を表します。
けっこう現代語に翻訳しにくい言葉ですが、“テコ入れ”
と訳そうと思います。
■アマテル大御神 (あまてるををんかみ)
“アマテル神”
と同じですが、ヲヲン(大御)を添えて尊敬度を最も高めた表現です。
★大御・皇大 (ををん・をおん・おをん・おおん)
「大々の・央々の・央大の」 という意です。
“ヲヲ” は ヲ(大・央)を重ねたもの、“ン” は “ノ”
の音便変化です。
漢字を当てるとみんな “大御”
となりますが、オオン/オヲン/ヲオン/ヲヲン の
異なる表記が存在します。明確な基準があるわけでなく、またホツマとミカサとでも
違うのですが、ヲ
= オオ ですから、オオン < オヲン < ヲオン <
ヲヲン の順で、
その尊敬度の序列をいちおう考慮しているようには見えます。
■代嗣の綾 (よつぎのあや)
「後継者が生まれる経緯/しくみ」 をいいます。それを 機(=織物)の綾
にたとえてます。
★綾・紋・文 (あや)
アユ(肖ゆ)
の名詞形で、アヱ(和え)、アヒ(合い)
などの変態です。
「合わせ・交わり・編み・織り」
などが原義で、多くの意味がありますが、
ここでは 「経緯・機構・しくみ」 をいいます。
【概意】
49神の起源であるアメノミヲヤに、子を生むテコ入れを得ようと諸が拝む時、
アマテル大御神は 代嗣の綾 (代嗣が生まれる経緯の文)
を織ろうとしていた。
以後は アマテルの言葉がずっと続きます。
―――――――――――――――――――――――――――――
よろのよわひの みことひこ ややちよたもつ たみもみな
くにとこたちの こすえなり そのもとふつく あめみをや
―――――――――――――――――――――――――――――
万の齢の 尊・彦 やや千節保つ 民も皆
クニトコタチの 後末なり その元 悉く アメミヲヤ
―――――――――――――――――――――――――――――
■やや
ここでは 「ようやく・やっと・かろうじて」
などの意です。
■千節・千代 (ちよ)
「千年の期間」 です。 ▶節(よ)
注目すべきは、尊・彦は万年の寿命があり、民はかろうじて千年の寿命を
保つと言ってることです。身分によって寿命が異なるというのです。
■後末 (こすえ・こすゑ)
ここでは 「子孫・末裔・後胤」 を意味します。
【概意】
万の齢の尊と彦、ようやく千齢を保つ民も皆、
クニトコタチの子孫なり。その源は悉くアメミヲヤ。
―――――――――――――――――――――――――――――
あめつちひとも わかさるに ういのひといき うこくとき
ひかしのほりて にしくたり うつほにめくり
あわうひの めくれるなかの みはしらに さけてめをなる
―――――――――――――――――――――――――――――
天地人も 分かざるに 初の一息 動く時
東上りて 西下り 虚空に巡り
泡・泥の 巡れる中の 実柱に 割けて陰陽生る
―――――――――――――――――――――――――――――
ホツマ・ミカサの7か所に記されている天地創造説話の一つです。
■天地人も分かざるに (あめつちひともわかざるに)
「天も地も人も まだその区別がない頃に」 という意です。
■初の一息 (ういのひといき)
創造神アメミヲヤの
「初めのひと振舞・最初にとった一行動」 という意です。
ウイは ウミ(生み)の変態ですから、“初” を “生み”
に読み替えてもいいかもしれません。
また、ここには記されていませんが、初の一息により、天元神が生まれます。
天地いまだ 成らざるに
アメノミヲヤの なす息は 際なく動く 天元神〈ミ6-1〉
★息 (いき・おき)
現在は 「吸って吐くこと・呼吸」
の意に限定されていますが、
イク(行く・往く・逝く)の名詞形で、「往き来・回転・回帰・動き回ること」
などが原義です。
そのため 「移動・行動・ふるまい」 の意があり、“あともう一息”
などはこの例です。
■虚空に巡り (うつほにめぐり)
その天元神が動き始めますが、それにより
「何もない空に回転運動が発生」 という意です。
ウツホは 「何もない空き」 の意で、この場合は
「原始の宇宙」 と考えていいと思います。
■泡泥 (あわうび・あほうび)
原始宇宙が陽と陰に分かれる前の混沌状態を、アワ(泡)とウビ(泥)の
混じり合うさまに喩えたものですが、泡と泥もまた
「天元神が持つ陰/陽の原成分」
を表わす喩えで、軽い泡は陽の素、重い泥は陰の素です。
■巡れる中の実柱 (めぐれるなかのみはしら)
泡泥(=天元神)の回転はその速度を増してゆき、回転軸に柱が立ちます。
これを “天地届く実柱”、“天地つなぐ中串“
と呼んでます。 ▶実柱
透明な容器に水を入れて棒でかき回すと、渦が発生して水表面の中心部分が凹み、
回転を速めるとその凹みは底まで達し、横から見ると柱が立ったように見えます。
これと同じ原理です。
■割けて陰陽生る (さけてめをなる)
実柱を回転する内に、軽い泡は上に昇り、重い泥は下に沈んでゆきます。
このように混沌の泡泥は分離して、陽と陰が生成されます。
【概意】
天も地も人も、まだその区別がない頃、
アメミヲヤの 初の一息
が動く時、東より上って西に下る回転運動が虚空に <生じる>。
泡泥の混沌が、中心の柱を回るうちに分離して、陰と陽が生れる。
―――――――――――――――――――――――――――――
をはきよく かろくめくりて あまとなり
めはなかにこり くにとなる みつはにわかれ
をのうつほ かせうむかせも ほおうみて
をはみつとなり めはふたつ
―――――――――――――――――――――――――――――
陽は清く 軽く回りて 天となり
陰は中に凝り 地となる 水・埴 分かれ
陽の空 風生む 風も 火を生みて
陽は三つとなり 陰は二つ
―――――――――――――――――――――――――――――
■清し (きよし)
ここでは 「澄んでいる・透明である」 という意です。
陽は “泡” から生まれているため、泡泥の
「上澄み部分」 ということです。
★清し (きよし・きやし) ★清 (きよ)
キヨ(清)+シ(=如し)
で、キヨは キワム(極む)の母動詞
“キユ” の名詞形です。
「行き着くさま・極限」を原義とし、「澄み切るさま・紛れなきさま・純粋・完全」
などの意を表します。
■軽く巡る (かろくめぐる)
「軽くて運動が活発」、そのため上に昇るということです。
“陽” は今風の解釈では、軽く透明な 「気体や空間」
の元、
また質量をもたない 光や熱などの 「エネルギー」 の元です。
■天 (あま・あめ)
アム(▽上む)の名詞形で、「上・高み・頂・中心」
などが原義です。
ここでは
「重さの無い世界・非物質界・天上界・神界・霊界」
をいいます。
■中に凝る (なかにこる)
“泥” から生まれた陰は、重くて運動速度が遅く、
そのため下に降り、重力に負けて 「凝縮する」
ということです。
これも今風の解釈では、“陰”
には多少なりとも重さがありますから、
重力を発生します。その重力により陰同士は引き付けあって集まり、
すると重力もさらに大きくなりますから、どんどん陰は集結します。
そうしてついには自分の重力により凝固して、重くて大きな一つの
カタマリとなります。かくして誕生するのが “地の球”
や ”月” です。
■地 (くに)
クヌの名詞形で、クヌは コル(凝る)の変態です。
ですから 「凝り」 が原義で、「物質・物質界」
を意味します。
クニ(国)、クヌガ(陸)
なども同源です。
■水 (みづ)
■埴 (はに)
ハヌの名詞形で、ハヌは ハフ(這ふ)の変態です。
「下にあるさま」 が原義で、重い陰が
「下って凝ったもの」 を意味します。
原義的には クニ(地) や ツチ(地・土) と変わりません。
■空 (うつほ)
このウツホは 「陽陰が分離した後に 陽から生じたもの」
で、
原始宇宙の ウツホ(虚空) とは区別しています。
「空間」 と、それを満たす 「気・空気・エーテル」
などをいいます。
★空 (うつほ・うつろ)
ウツ(空・虚)+ホ/ロ
で、ホは ホル(放る・掘る)の名詞形の略。
ロは ウロ(空・虚・洞)の略で、いずれも原義は
「空き」 です。
■風 (かぜ)
カス(▽活す)の名詞形で、「活発に動くさま/活発に動かすさま」
が原義です。
「勢い・活性・活入れ・加勢」
などの意を表します。つまり 「吹き・噴き」 です。
■火 (ほ・ひ)
ヒル(▽秀る)/ホル(▽秀る)の名詞形で、「上るさま・高まるさま」
が原義です。
日(ひ)、昼(ひる)、穂(ほ)、峰(ほう)、“ぼうぼう燃える”
の ボウ などは同源です。
【概意】
陽は澄み、軽く動いて天(エネルギー)となり、
陰は凝縮して地(物質)となり、水と埴が分れ出る。
陽は空となり、空は風を生む。 風もまた火を生んで、
陽は3つとなり、陰は2つとなる。
―――――――――――――――――――――――――――――
をせのむなもと ひとまろめ ゐものみなもと つきとこり
うつほかせほと みつはにの ゐつましわりて ひととなる
あめなかぬしの かみはこれ
―――――――――――――――――――――――――――――
背のムナモト 日と丸め 妹のミナモト 月と凝り
空・風・火と 水・埴の 五つ交わりて 人と生る
アメナカヌシの 尊はこれ
―――――――――――――――――――――――――――――
■背 (をせ)
■ムナモト (棟元・▽陽元)
ムネカミ
の換言です。 “ヲセ” と “ムナ”
は意味がカブっています。
■妹 (ゐも・いも)
■ミナモト (▽穢元・▽陰元)
“ヰモ” と “ミナ” は意味がカブっています。
■アメナカヌシ (天中主)
ミナカヌシ の別名です。
【概意】
陽の極みを日と丸め 陰の極みは月と凝る。
空・風・火と水・埴の5つが交わり人と生る。
アメナカヌシの尊はこれ。
―――――――――――――――――――――――――――――
やもよろくにに よろこうみ みなくはりおく
ひとのはつ あめにかえりて あめみをや
―――――――――――――――――――――――――――――
八方万国に 万子生み 皆 配り置く
人の初 天に還りて アメミヲヤ
―――――――――――――――――――――――――――――
【概意】
八方の万国に万の子を生み、それぞれの国に配り置く。
人の初めなり。天に還ればアメミヲヤ。
―――――――――――――――――――――――――――――
あめのかたちは いわをやま
ひつきもくにも はらこもり とはやゑにきて
―――――――――――――――――――――――――――――
天地の形は 巌山 日・月も地も 腹籠り
外は八重和幣
―――――――――――――――――――――――――――――
■天地の形 (あめのかたち)
このアメ(天地)は
「大宇宙」 を意味します。ホツマの宇宙観では、
地球のみは 「地=物質次元」、それ以外の天体は
「天=非物質次元」 に属します。
カタチ(形)は
「ありさま・姿・イメージ」 などの意です。
■巌山 (いわをやま)
イワヲ(巌) と ヤマ(山)は 共に 「大きいさま・巨大な物」
を意味します。
ですから イワヲヤマ は 「途方もなく巨大・超巨大」
のような意となります。
★イワ (岩・巌・磐) ★イワヲ・イワホ (巌)
イワ は イフ(▽結ふ/斎ふ) の名詞形で、イフは ユフ(結ふ)
の変態。
「凝集・凝結したもの」、その結果
「大きくなったもの」 を意味します。
イワヲ(巌)は イワフ(▽結わふ/斎ふ) の名詞形で、イワ
と同じです。
イワフは ユワフ(結わふ) の変態です。
★ヤマ (山)
イヤム の発音短縮 ヤム の名詞形で、イヤムは イヤブ(礼ぶ)
の変態。
「上/上げ・高み/高め・栄え/栄し」
などが原義で、「大きいさま」 を意味します。
■地 (くに)
このクニは 「地球」 を意味します。
■腹籠る (はらごもる)
「中がこんもりする」 という意で、「球状である」
ことをいいます。
■外は八重和幣 (とはやゑにぎて)
ト(外)は 「宇宙の果ての外」 という意です。
ヤヱニギテは ヤイロニギテ(八色和幣)と同じです。
宇宙の最果てを “トコシナエ”
と呼んでいますが、そこにはカラフルな和幣が
たなびいているというのです。オーロラみたいな感じに筆者はとっていますが、
ミカサの “タカマ成る文”
には次のように書かれ、天体物理学の学説の
オールトの雲
を思い出します。
その外は 名も “とこしなえ” 八隅際 八色の和幣
南 青 西は紅 北は黄に 東は白く 間も色 〈ミ6-6〉
【概意】
宇宙のありさまは途方もなく巨大。
日も月も地球も、中は膨らんで球状である。
宇宙の果ての外には八色の和幣がたなびく。
本日は以上です。それではまた!