⇦前の講座          目次           次の講座⇨ 

 

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

一から学ぶ ほつまつたえ講座 第70回 [2023.10.28]

第十四巻 代嗣祈る宣詞の文 (3)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 よつぎのるのとことのあや (その3)
 代嗣祈る宣詞の文 https://gejirin.com/hotuma14.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

―――――――――――――――――――――――――――――
 もとあけの よそこのたねの なかみくら
 みをやつけたす けたすみに やきみとほかみ ゑひためそ
 つきあいふへも をすしかみ すえはみそふの たみめひこ
 もとなかすえの みくらあり

―――――――――――――――――――――――――――――
 元明の 四十九の種の 中御座
 ミヲヤ付け足す 方隅に 八君トホカミ ヱヒタメぞ
 次アイフヘモ ヲスシ神 末は三十二の タミメヒコ
 元・中・末の 三座あり

―――――――――――――――――――――――――――――

元明 (もとあけ)

■四十九の種 (よそこのたね)
ヨソコノハナ(四十九の端) の換言で、やはりアメミヲヤアマテルをいいます。 ▶種


■中神座・中御座 (なかみくら)

「中心の神の座」 の意で、アメミヲヤの座所である
ど真ん中の 「アウワの座」 をいいます。

 ★神座・御座 (みくら)
 ミ(御・▽上・▽神)+クラ(座・坐・位) で、
 ミ(御)は カミ(上・神)の短縮形、クラは クラブ(比ぶ)の
 母動詞 クルの名詞形で、「合す所・居る所・位置」 などを
 意味します。カンクラ(神座)ともいいます。


■方隅 (けたすみ)
カタスミ(片隅) の変態です。

  
■八君トホカミヱヒタメ (やきみとほかみゑひため)
“中神座” のすぐ外側の輪に座す ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の8神をいいます。
総称して アモトカミ(天元神)、ヤモトカミ(八元神)、モトモト(元々) とも呼ばれます。
” と表現するのは、ミヲヤを除く48神の中で 「上位の存在」 であることを示します。

 
■アイフヘモヲスシ神
“中神座” を取り巻く2番目の輪に座す ア・イ・フ・ヘ・モ・ヲ・ス・シ の8神です。
アナレカミ(天均神)・アナミカミ(天並神)と総称されます。


■タミメヒコ (廻み目曾孫/廻見目曾孫)
天並神の外側に座す32神です。ミソフカミ(三十二神)とも呼ばれます。

 このタミメは 「めぐり・外まわり」 という意で、「外周に座す神」 という意と、
 人の 「外見・容姿を司る神」 という意の、2つの意味があります。
 ヒコ(曾孫) と呼ばれるのは、アメミヲヤを 「親・祖」 とすれば、八元神は 「子」、
 天均神は 「孫」、三十二神は 「曾孫」 ということになるからでしょう。


■元・中・末の三座 (もとなかすえのみくら)
モト(元)は 天元神の座すサークル、ナカ(中)は 天均神の座すサークルをいいます。
(このナカは “中御座” のナカとは意味が異なり、「中位・並」 を意味します。)
スエ(末)は タミメヒコの座すサークルをいいます。

 

【概意】
元明の49神の根源である中御座。
ミヲヤは片隅にトホカミヱヒタメの8君、次にアイフヘモヲスシ神、
末に32のタミメヒコを付け足せば、元・中・末 の三座あり。



―――――――――――――――――――――――――――――
 そむよろやちの ものそひて ひとうまるとき もとつかみ
 そのたえもりか たねくたし ものとたましゐ ゆひやわす
 あなれくらわた しむねこゑ なりわみめかみ

―――――――――――――――――――――――――――――
 十六万八千の モノ添ひて 人生まる時 元つ神
 そのタエ守が 種下し モノと魂魄 結ひ和す
 天均 臓腑 血・根隅 ナリワ 見目・髪

―――――――――――――――――――――――――――――

■十六万八千のモノ (そむよろやちのもの)
人が世に生れる時に、「霊の緒に添付される16万8000の小霊」 をいいます。 ▶霊の緒
これにより各人それぞれの生まれ付きが変わるといいますから、まるで ヒトゲノム です。

 ★モノ
 「邪霊・悪霊」 の類を モノと呼ぶことが多いのですが、
 この場合はその類とは違うので、仮に “小霊” と訳しています。


■元つ神 (もとつかみ)
元・中・末の三座の内の、「元の座にいる神」 を指します。
すなわち 「ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の8神=天元神」 です。


■タエ守が種 (たえもりがたね)
“タエ守” は、元つ神(=天元神)が 「生まれる人に付ける守神」 をいいます。
タネ(種)は、その 「もと・素材・たまご」 です。 ▶種

 “タエ” は タフ(▽帯ふ)の名詞形、タフは トム(留む)の変態で、
 「合わせ・添え・付け・留め」 などが原義です。
 モリ(守)は 「世話する者・面倒を見る者」 をいいます。

天元神が人に付けるこの守神は、“魂” と “魄” と “十六万八千のモノ” を
結い和して 霊の緒 を生成し、その後は人体の五臓(あるいは六臓)に留まります。
守の神(もりのかみ)、元守(もともり)、天元の差使(あもとのさをしか)、差使(さし)
など、多くの別名があります。


■結ひ和す (ゆひやわす)
「結んで一つにする・一つに融合する」 などの意です。 ▶和す


血 (しむ)

根隅 (ねこゑ)
「元と末・内と外・先と後・主と副」 などの関係を表し、
ここでは 「内蔵と外殻」 あるいは 「骨と肉」 を意味します。
ようするに 「身体の基本構造とその機能」 です。


■ナリワ・ナリハ (成合)
「ナリワ (外見・容姿) の神」 の意で、タミメヒコ の換言です。

 ナリワは ナリワヒ(成合)の短縮で、「仕上げ・完成・フィニッシュ」 などを原義とし、
 この場合は 「人の外見・容姿」 を意味します。


■見目・髪 (みめかみ)
「見た目と髪の毛・外観とヘアー」 です。

 

【概意】
16万8000の小霊が添って人が生まれる時、
天元神はその付き守の種を下し、16万8000の小霊と魂魄を結い和す。
天均神は 臓腑・血・骨肉 の世話をし、
ナリワの神(=タミメヒコ)は 外見や髪を世話する。



―――――――――――――――――――――――――――――
 わかかみは ひつきのうるお くたすゆゑ
 よつきうまんと おもふとき めのあかそそき あさひのり
 めよりつきひの うるおゑて とつけはをせの うるなみか
 たましまかわの いもかちと はらむしらほね

―――――――――――――――――――――――――――――
 我が上は 日月の潤を 下すゆえ
 代嗣生まんと 思ふ時 目の垢濯ぎ 朝日祈り
 目より月日の 潤を得て とつげば男背の 潤波が
 玉島川の 妹が霊と 孕む精髄

―――――――――――――――――――――――――――――

 これより人の発生プロセスについて説かれますが、射精についての認識は
 もちろんあるものの、今日知られる、精子・卵子・受精についての認識はなく、
 日の神霊と月の神霊の因み合いという、霊的な作用として説かれていきます。


■我が上・我が神 (わがかみ)
「アマテルの上位存在/本質」 という意です。アマテルは日月の太神霊が
世に顕現した人ですから、その上位存在/本質といえば、日月の太神霊そのものです。
     
 ★日月の太神霊 ★日の神霊 (ひのみたま) ★月神霊 (つきみたま)
 “日月の太神霊” とは、日と月の 「本霊・親霊」 という意です。この言葉は
 ホツマ・ミカサには登場せず 筆者の造語ですが、このアヤでは これと、
 その分霊である ヒノミタマ(日の神霊)/ツキミタマ(月神霊)を区別する
 必要があるため、“太神霊” としています。


■日月の潤 (ひつきのうる) ■月日の潤 (つきひのうる)
「日と月の霊・日と月のエネルギー」 を意味し、これの供給源が “日月の太神霊” です。

 ★潤 (うる)
 ウル(熟る)の名詞形で、「上・高まり・活き・勢い・潤い」 などを原義とし、
 「霊・精・エネルギー」 などを意味します。
 クシヒル(貴霊)のヒル(霊)の変態で、ヒルやウルの短縮が ル(霊) です。


■目の垢濯ぎ朝日祈る (めのあかそそぎあさひのる)
文字通りの意味ですが、4アヤでハラミ山頂の二尊が、池水に目を洗って
日・月に祈ったのは これを実践したものです。目から日月の潤を得るためでした。

 ★朝日 (あさひ)
 女は月潮の 後三日に 清く朝日を 拝み受け 良き子生むなり 〈ホ7-7〉
 月の汚穢 流れ止まり 三日の後 身の清ければ 
日待す 〈ホ4-2〉

 ★祈る (のる)
 池水に 左の目を洗ひ 日に祈り 右の目を洗ひ 月に祈り 〈ホ4-2〉


とつぐ

■背の潤波 (をせのうるなみ)
「陽/日の霊・陽/日のエネルギー・魂(たま)」 を意味します。 ▶ヲセ(背)
ですからこれは 「日の潤日の神霊」 の換言です。

 ★潤波 (うるなみ)
 ウル(潤)ナミ(波) の連結で、どちらも 「上・高まり・活き・勢い・潤い」
 などを原義とし、「霊・精・エネルギー」 などを意味します。


玉島川 (たましまがわ)
ここでは 「玉島川の奥」 をいうものと思います。


■妹が霊 (いもがち)
イモ(妹)は 「陰・月」 を表し、チ(霊)ウル(潤・霊)と同義です。
ですから 「陰/月の霊・陰/月のエネルギー・魄(しゐ)」 を意味し、「月の潤月神霊」 の換言です。
女性が目からこれを受けると、それが玉島川の奥に宿るということでしょう。


■精髄 (しらほね)
シラ(▽精)+ホネ(骨・▽髄) の連結です。
両語とも 「精髄・核・本質・本源・本体・本尊」 などを意味とし、
ここでは 人のもとである 「胎芽」 をいいます。

 シラは シラグ(精ぐ)の母動詞 “シル” の名詞形。ホネは ハヌ(跳ぬ)の変態の
 ホヌ(▽秀ぬ)の名詞形で、いずれも 「高み/中央にあるさま」 が原義です。


 ちょっと雑談です。
 ホネはローマ字で書くと hone ですが、英語の hone の意味は「研ぐ・磨く・とがらす」 で、
 これは日本語の “精ぐ” と同義です。hone が名詞化して horn (つの) となり、また発音が
 濁って bone (骨) になった、と考えています。

 

【概意】
我が神霊は日・月の潤を下すゆえ、代嗣を生まんと思う時、
目の垢を濯いで朝日に祈り、目より月・日の潤を得てとつげば、
日の霊波が 玉島川奥の月の霊と因み合い、胎芽を孕む。



―――――――――――――――――――――――――――――
 ちちのなみ ははのあかちと ちなみあひ
 ひるはちのほり よはなみの のほるひつきの ひとめくり
 あすふためくり みめくりと

―――――――――――――――――――――――――――――
 父の波 母の和霊と 因み合ひ
 昼は霊上り 夜は波の 上る日月の 一巡り
 明日二巡り 三巡りと

―――――――――――――――――――――――――――――

■父の波 (ちちのなみ)
これは “背の潤波(をせのうるなみ)” の換言です。
整理すると、父の波=背の潤波日の潤日の神霊 です。


■母の和霊 (ははのあかち)
これは “妹が霊(いもがち)” の言い換えです。
整理すると、母の和霊=妹が霊月の潤月神霊 です。

 ★アカ (▽和)
 これは ワカ(▽和) の変態で、「やわし」 を原義とし、「中和・緩和・調和・直し」 などを
 意味します。これは 「陽と融合して 陽の偏重を中和せんとする陰の本性」 を表すものです。
 この陰の本来的性質を 妹心(ゐこころ)、妹道 (ゐみち) などと呼びます。


■因み合ふ/霊波合ふ (ちなみあふ)
「睦み合う・結び合う・交わり合う」 などの意です。 ▶因む
また 母の霊(ち) と 父の波(なみ)が  “霊波(ちなみ)合ふ” とシャレてます。


■昼は霊上る (ひるはちのぼる)
「昼は “母の和霊” が上る」 という意です。
これは昼には太陽が上空にあるゆえ、陽陰が引き付け合う法則によって、
陰の霊が上空の太陽に引き寄せられるためかと思います。


■夜は波の上る (よはなみののぼる)
「夜は “父の波” が上る」 という意です。
これも夜には月が上空にあるため、陽陰が引き付け合う法則によって、
陽の霊が上空の月に引き寄せられるためかと思います。


■日月の一巡り (ひつきのひとめぐり)
日月は 「日と月の神霊」 をいい、これまた 「父の波母の和霊」 の換言です。
この一巡りによって はずみが付いて …


明す・明日 (あす)

 

【概意】
父の波(=日の神霊)と 母の和霊(=月の神霊)は因み合って、
昼は月の神霊が上り、夜は日の神霊が上って、日月の神霊は1回転する。
翌日には2回転、翌々日には3回転と増してゆく。


 
―――――――――――――――――――――――――――――
 つきにみそわの めくりまし ややむそよかに めくりみつ
 すへてちやそに めくりとけ ややみとりこの なりそなふ

―――――――――――――――――――――――――――――
 月に三十回の 巡り増し やや六十四日に 巡り満つ
 総べて千八十に 巡り遂げ やや充り子の 態 備ふ

―――――――――――――――――――――――――――――

■三十回・三十還 (みそわ)
胎芽(胚)を取り巻く日月の神霊の回転は、1日に1回転ずつ増していき、
一月(30日)後には 30回転/日 となります。


やや

■巡り満つ (めぐりみつ)
「回転数が最大になる」 という意です。


■千八十 (ちやそ)
64日間の総回転数をいうと思われます。単純計算では1,080ではなく、
2,080となるはずなのですが ・・・。(1+2+3+4+ ・・・ +61+62+63+64=2080)


■充り子 (みとりこ)
「充ち足りた子」 の意で、「人の形態が備わった胎児・五体満足となった胎児」 をいいます。
辞書にミドリゴ(緑児・嬰児)と載りますが、意味は違います。

 ★みとり・みどり (▽充り・緑)
 ミツ(充つ)+トル(取る) の名詞形で、トルは タル(足る)の変態です。
 「充ち足りたさま・充足」 を意味します。“充り” は筆者の当て字です。
 また “充り” は「緑」と同源と考えます。ホツマには色の “緑” は登場しませんが、
 植物の葉が 「充ちあふれるさま・生い茂るさま」 を表す言葉なのでしょう。


態・形 (なり)

 

【概意】
月に30回、その回転数を増して64日目に回転数は最大となる。
延べ1080回の回転を遂げて、ついに人としての形態が備わる。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

⇦前の講座          目次           次の講座⇨