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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第60回 [2023.10.12]

第十二巻 アキツ姫 天形の文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 あきつひめあまがつのあや (その2)
 アキツ姫 天形の文 https://gejirin.com/hotuma12.html
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 かのちこお あめにおくれは かみのまえ
 えたそろはねは さらんとす あめのみをやは これおほめ
 なんちはふこの いさおしは もろにすきたり きみまもれ
 かみあまかつと なおたまふ

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 彼の稚児を 天に送れば 神の前
 枝揃わねば 去らんとす アメノミヲヤは これを褒め
 「汝 這ふ子の 功は 諸に過ぎたり 君 守れ」
 神 “天形” と 名を賜ふ

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彼の (かの)

■天 (あめ)
このアメは 「上・高み・中心」 を原義とし、「御上・タカマ・中央政府・都」 などを
意味します。この時点では アマテルが都とする イサワの宮 を指します。


■神の前 (かみのまえ)
「アマテルの御前」 をいいます。


■枝 (えだ)
エダは 「分れ出るもの・派生するもの」 が原義で、ここでは 「手足」 をいいます。


■去らんとす (さらんとす)
「うしろに下がろうとする」 という意です。
這い始めの幼児は足より手が先に発達するため、後ずさりしてしまうことをいいます。


アメノミヲヤ (陽陰の御祖)
この場合は アマテル(斎名ワカヒト) を指すと考える以外に選択肢はありません。
アマテル が アメノミヲヤ と同一視されていたことがわかります。

 アマテルは 日の神霊と月の神霊の融合により 世に生れますが、
 日と月は アメノミヲヤの両眼 (“アウワ” の ) であると考えられていました。

 アメノミヲヤの 眼より 漏るる日・月と 天元神 三十二の神の 守るゆえ
 子種生ること 覚えます 〈ホ4-2〉


■過ぎたり (すぎたり)
スグ(過ぐ)タリ(断定) で、スグ(過ぐ) は 「越える・超える」 の意を表します。

 スグ(過ぐ) から スグル(優る・勝る) という動詞が派生します。


天形 (あまがつ)
というわけでアマガツは、もともとはアマテルがこの稚児に授けた名だったのでした。
の神が 稚児というあるものを通して力を現した」 という意味からでしょう。

 

【概意】
彼の稚児をタカマに送れば、神の前で、手足が揃わないため、うしろに下がろうとする。
アメノミヲヤはこれを褒めて、「汝 這う子の功は諸に勝れり、君を守れ」 と、
神は “天形” と名を賜う。



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 このもとおりに あきつひめ ぬのもてつくる あまかつは
 かみうたこめて ちちひめに たまえはこれお
 さきかけの さわりおのそく あまかつそ

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 このもとおりに アキツ姫 布もて作る 天形は
 神歌込めて チチ姫に 賜えばこれを
 先駆けの 障りを除く 天形ぞ

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もとおり (回り・廻り)

■天形・天児天倪 (あまがつ)
この場合は 「稚児を模した人形」 をいいます。


■神歌込めて (かみうたこめて)
「神を招く歌を込めて」 という意です。その歌については後述されます。


■チチ姫 (ちちひめ)
タクハタチチ姫の略です。


■先駆け (さきがけ)
「先頭を行くもの・先陣を切るもの」 の意です。
ここでは花嫁行列の先頭を行く 先輿(さきこし) をいいます。


障り (さわり・さはり)
サワリ(触り)と同じで、「タッチ・付き・まとわり・交わり」 などを原義とし、
「差し支え・干渉・障害・災厄」 などを表します。「邪霊による障害」 をいう場合が多いです。

 

【概意】
このことを縁起として、アキツ姫は布で天形を作り、
神を招く歌を込めてチチ姫に賜えば、
これを先駆けの輿の、障りを除く天形となす。



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 もしもねたみの かむときも あまかつはへり まぬかるる
 もしもうらみの なやますも あまかつはへり しりそくる
 まかるうらみは あまかつか みにせめうけて かはるなり

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 もしも妬みの 噛む時も 天形侍り 免かるる
 もしも恨みの 悩ますも 天形侍り 退くる
 罷る恨みは 天形が 身に攻め受けて 代るなり

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■妬み (ねたみ) ■恨み (うらみ)

 例えばAさんがBさんを妬んでいると、無意識にAさんの心は、電波のように
 妬みのエネルギーをBさんに向けて放射します。その電波を受けたBさんは、
 やはり無意識に 妬みのエネルギーのシミを心に作ってしまうのです。そうすると
 Bさんの心は知らないうちに妬みのエネルギーに汚染され、人を妬むことが
 普通になっていきます。このようにして妬みのエネルギーは人から人へと伝染し、
 世に蔓延していきます。こうした電波を 生き霊 などと呼びますが、これを
 アマガツが吸い取ってくれるということです。

 この電波 (=生き霊) がパワーアップしたものが、ハハ(▽蝕霊)イソラ(▽逸霊)
 ハタレのモノオロチ(折霊) などと呼ばれる 「邪霊」 です。

 しかしBさんの心がまったくクリーンなら、もともと電波を受けません。
 Bさんの方にも妬む心があるから、同類相求むの法則 により、妬みの電波を
 引き寄せてしまうのです。これはBさんがその電波にチャンネルを合わせていると
 いうことです。このあたりのことは 13アヤ、16アヤ で説明されます。

 モチコとハヤコ、シラヒトとコクミ などがオロチに取り込まれてしまったのも、
 彼らが 妬み・恨みのエネルギーを心の中に持っていたことが、そもそもの原因であり、
 それが他の人々の持つ 妬み・恨みのエネルギーと合体して、六ハタレの大騒動へと
 発展するわけです。


侍る (はべる)

■罷る恨み (まかるうらみ)
「命を奪う恨み」 をいいます。 ▶罷る
それほどの恨みがあるのか!と驚きますが、“恨みを受けて悪夢に襲われ、
夢と現実の区別がつかなくなって、自分で命を断つ” という事例が13アヤに出てきます。

 

【概意】
もしも妬みが噛む時も、天形が守りて免かれる。
もしも恨みが悩ます時も、天形が守りて退ける。
命を奪う恨みは、天形がその身に攻めを受けて代わるなり。


 
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 あれおにものお やふるなら そらはふこにて まねきいれ
 しめひきわたし みそきなせ おにかみしはる うつわもの

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 粗・鬼モノを 破るなら 空這子にて 招き入れ
 〆引き渡し 水濯ぎなせ 鬼神縛る 器物

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■粗・鬼モノ (あれ・おにもの)
「粗モノ」 と 「鬼モノ」 をいい、両者とも 「邪霊」 の類を意味します。
ですから ハハ(▽蝕霊)イソラ(▽逸霊)ハタレのモノオロチ(折霊) などの別名です。

 ★粗 (あれ・あら)
 アル(離る・散る) の名詞形で、「離れ・逸れ・外れ・曲り・異常」 などが原義です。
 ですから 「それて外れるさま・曲り外れるさま・よこしま(邪)」 を意味します。
 またコースを 「それて外れる」 と、だいたいアウトになるため 「脱落」 の意もあります。

 ★鬼 (おに)
 オニは オヌの名詞形で、オヌは オル(折る)の変態です。
 よって 「折れ曲がるさま・曲りくねるさま・よこしま(邪)」 を意味します。

 ★モノ


■空這子 (そらはふこ・そらほおこ)
ソラは “絵空事” のソラで、「架空・にせ・造り物」 という意です。
ですから 「造り物の這う子」 という意です。今は 這子御伽這子 と呼ばれています。
今日ではアマガツの別名と考えられていますが、使い方がちょっと違うようです。

 「空宙」 の意の “ソラ” に語呂合せして、てるてる坊主のように宙に吊るしたかもしれません。


■締め・閉め・〆 (しめ)
「封鎖・封印」 の意です。このモノザネとして シメナワ(標縄・注連縄) を張りますが、
この場合は “空這子” に直接 縄をかけて縛ったのかもしれません。


■水濯ぎ (みそぎ)
ミソギ (禊)は 「曲りや穢れを直すこと」 が原義ですが、
ここでは 「水で濯ぐ」 という具体的な行為をいいます。つまり 「水洗い」 です。


■鬼神 (おにかみ)
“粗モノ”  “鬼モノ” の換言です。


■器物 (うつわもの・うつはもの)
ウツワ(器) の原義は、「容器」 ではなく、「形あるもの」 です。
これは形を持たない 「霊・エネルギー」 に対する概念で、「物質・物体・有形物」 をいいます。
モノ(物) は “モノザネ” のそれで、ウツワ と同義です。

 ★器 (うつわ・うつは)
 ウツワ は ウツ+ツフ の短縮 “ウツフ” の名詞形で、
 ウツ は ウツブス(俯す) の母動詞、ツフ は ツム(詰む・集む) の変態です。
 「下って凝ったもの」 を原義とし、「固形物・有形物・物質・物体」 などが原義です。

 

【概意】
邪霊・悪霊を破るなら、“空這子” に招き入れて、
締縄を引き渡して水洗いせよ。鬼神を縛る器物である。



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 そらほおことは ひつしはえ わらもてつくる
 かんかつは ぬのもてつくり
 かみまねく あきつめのうた

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 空這子とは ひつじ生え 藁もて作る
 神形は 布もて作る
 神招く アキツ姫の歌

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ひつじ生え (ひつじばえ)
ツシ=ツチ(土) で、「干土生え」 の意と考えます。
つまり稲刈り後の、「水が引いた田に残された古株から新たに生える稲」 です。
これを 強靭な生命力を象徴するモノザネとして使ったのだと思います。


■神形 (かんがつ)
アマガツ(天形)の換言です。

 

【概意】
空這子はひつじ生えの藁で造る。神形は布で造り、
神を招くハヤアキツ姫の歌、



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 あまかつに かみたまわれは もろはたれ さはりなすとも
 きみかみに ひとたひかはり たちまちに たちはたらきて
 きみかをゑ みなまぬかるる あまかつのかみ
 このうたお みはらにこめて つくるへし

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 『天形に 神 賜れば 諸ハタレ 障りなすとも
 君が身に 一度代り たちまちに 立ち働きて
 君が汚穢 みな免かるる 天形の神』
 この歌を 実腹に込めて 作るべし

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■ハタレ
ここでは 「ハタレのモノ」 をいい、
ハハ(▽蝕霊)
イソラ(▽逸霊)オロチ(折霊) などと同じです。


たちまち (忽ち)
タチ+マチ の同義語連結で、タチは タダ(直)の変態、マチは マヅ(先ず)の変態。
ですから 「ただちにまず」 が原義です。


汚穢 (をゑ)

■天形の神 (あまがつのかみ)
「天より下ってアマガツに宿る神霊」 をいいます。


■実腹 (みはら)
ミ(実)+ハラ(腹) で、両語とも 「中・内・奥」 を意味します。

 

【概意】
『天形に神を賜れば、たとえ邪霊どもが障りをなすとも
 君の身に一度代り、たちまちに立ち働きて
 君の汚穢をすべて免かれる天形の神』

 この歌を天形の腹中に込めて作るべし。



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 ときにしほかみ またとはく
 いつれもみきの ことくかや かすかこたえて
 さにあらす たたにつくれは かれきなり みたまあれはそ
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 時にシホカミ また問はく
 「いづれも右の 如くかや」 カスガ答えて
 「然にあらず 唯に作れば 枯木なり 神霊あればぞ」

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■シホカミ
シホカミ(塩醸み)、あるいは シホカミ(塩守)で、シホカマの守 の略です。


■いづれも右の如くかや (いづれもみぎのごとくかや)
「とにかくその歌を、人形に歌って聞かせればいいのかや?」 という意味に解しています。

 ★右 (みぎ)
 「先出/前出のもの」 を意味します。
 これは文字を綴る際、右から左へ縦書きしたことによるものかと考えています。


然にあらず (さにあらず)

唯に (ただに)

神霊 (みたま)
ここでは 「心・たましい」 の意です。

 

【概意】
時にシホカミがまた問うには、
「とにかくその歌を、歌って聞かせればいいのかや?」
カスガ答えて、
「そうではない。ただ歌を詠んで作るだけは枯木も同じ。
心がこもっていてこそなり。」



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 たとふれは しほのあちあり
 はからねは あちなしやけと しほならす
 このあまかつも こころあち いれてなすなり

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 「例ふれば 潮の味あり
 図らねば 味無し 焼けど 塩成らず
 この天形も 心味 入れて成すなり」

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■潮の味 (しほのあぢ)
「海水の味」、つまり 「海水の塩分」 という意です。
アヂ(味)は「本質・精髄・エッセンス・スピリット」などが原義で、
これは ミタマ(神霊) や ココロ(心) と同義です。

 最も原始的な製塩法としては、海水のついた藻を積み重ねて天日に晒し、
 その上から海水を何度もかけては乾かします。こうして藻の表面に結晶
 した塩を海水に溶かして濃度を高め、それを煮詰める。
 という説が有力です。


■図る (はかる)
ハカルには 「計る・測る・量る・図る・謀る・諮る・議る」 などの漢字が当てられ、
それぞれの意味がありますが、原義は 「合わす」 です。
ここでは 「(心に) 合わす・かける」 の意で、つまり 「心がける・注意する・意図する」
ということです。

 

【概意】
「例えて言えば、製塩する時の海水の味というものがある。
注意しないと味が薄すぎて、熱しても塩は結晶しない。
この天形も 心という味を入れて作るのである。」



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 そのときに しほかまはしめ もろほめて はやあきつめの
 いさおしお よよにのこして さつさつの こゑとたのしむ
 よめいりの そのさきのりの あまかつそこれ

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 その時に シホカマはじめ 諸 褒めて ハヤアキツ姫の
 功を 代々に遺して “颯々の 声” と楽しむ
 嫁入りの その先乗りの “天形” ぞこれ

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■先乗り (さきのり)
サキガケ(先駆け)サキコシ(先輿) と同じです。嫁入り行列の 「先頭車両」 をいいます。


颯々の声 (さつさつのこゑ・さっさつのこゑ)
サ月サの頃の結婚シーズンの嫁入り行列で、行列に参加する人々や、
見物人たちによって歌われたのではないかと思います。

 

【概意】
その時にシホカマをはじめ、諸人は褒め称え、
ハヤアキツ姫の功を代々に遺すため、
“颯々の声“ といっしょに楽しむ、嫁入りの先乗りの “天形” ぞこれ。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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