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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第51回 [2023.9.26]
第十巻 カシマ直ち 連り鯛の文 (3)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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かしまたちつりたいのあや (その3)
カシマ直ち 連り鯛の文 https://gejirin.com/hotuma10.html
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たかてるのあに たかひこね あめにのほりて もおとえは
このかみすかた わかひこに うるりわけゑす
しむのもの きみはいけると よちかかり
やほたまゆらと まとふとき
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タカテルの兄 タカヒコネ 天に上りて 喪を訪えば
この尊 姿 ワカヒコに 瓜分け得ず
シムの者 「君は生ける」 と 寄ちかかり
「八穂たまゆら」 と 惑ふ時
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■タカヒコネ
オホナムチ の2男です。兄には
クシヒコ、妹には タカコ(タカテル姫) がいます。
クシヒコはオホナムチに代わり、コトシロヌシ
として中央の政治を司ります。
タカコ(タカテル姫) は アメワカヒコ
の妻となっています。
イサナギ ┌ソサノヲ─オホナムチ┌クシヒコ ├──┤ ├───┼タカヒコネ イサナミ └アマテル─タケコ └タカコ (2代目タカテル姫) │ │ ┌ナカコ │ カナヤマヒコ┴───アマクニタマ┬アメワカヒコ │ └オクラ姫
■瓜分け得ず (うるりわけゑず)
「2つに割った瓜の断面のようにそっくりで区別できない」
という意で、
今に言う “瓜二つ” と同じです。
★ウルリ (▽瓜)
今に言う ウリ(瓜)
で、「熟したもの・美味いもの・甘いもの」
などが原義です。
ウル(熟る) の名詞形が ウリ(瓜)、ウル(熟る) の連体形
“ウルル” の名詞形が ウルリ です。
■君 (きみ)
この “キミ” は 身分ある人に対する 「敬称」 です。
■生ける (いける)
イク(生く・活く) の連体形です。
■寄ち掛かる (よちかかる)
ヨツ(▽寄つ)+カカル(掛かる) の連結で、この音便が よっかかる
でしょう。
「寄って交わる・まとわりつく」 などの意です。
■八穂 (やほ)
ホ(穂) は 真榊 が1年に伸ばす枝の長さで、8穂=8年
です。
■たまゆら (▽偶揺)
タム(回む)+ユル(揺る)
の連結の名詞形で、両語とも
「往き来する・回る・めぐる」 が原義。
「巡り来るさま・揺れ・振り・ぶり・ぶれ・偶然・たまたま」
などを意味し、
この場合は 「しばらくぶりに偶然めぐり会う感じ」
を表します。
“8年たまゆら” は 「8年ぶりのめぐり会い」
という意です。
辞書にある タマユラ(玉響) の説明は、ホツマでは通用しません。
【概意】
タカテル姫の兄タカヒコネが、アシハラ国に上って喪を訪えば、
この尊の姿、アメワカヒコに瓜二つ。
遺族らは 「君は生きてる」 と まとわりついて、「8年ぶりのめぐり会い」
と惑う時、
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いかるあちすき たかひこね ともなれはこそ おちにとふ
われおなきみに あやまつは あらけからしや はらたちと
もやきりふせる あおはかり さけてかんとお さらんとす
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怒るアチスキ タカヒコネ 「友なればこそ 遠方に訪ふ
我を亡き身に 誤つは あら穢らしや 腹立ち」 と
喪屋
斬り伏せる アオハカリ 放けて神戸を 去らんとす
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■アチスキタカヒコネ
19アヤで示されますが、タカヒコネは乗馬の名人ヲバシリから馬術を習い、
その再来とまで言われるほどの腕前となりました。そのためアマテルより
「ヲバシリの “再生”」 という意味で、フタアレ(二生れ)
という尊名を賜り、
これが フタアレ(二荒・日光) の地名の由来ともなります。
ここからは筆者の憶測ですが、“二生れ” ということは
一度死んでるわけで、
アチスキは「あっち(=あの世)
に過ぎ去る」の意ではないかと思うのです。
さすれば アチスキ・タカヒコネ は
「すでに死んでるタカヒコネ」 になります。
彼は ステシノ・タカヒコネ とも呼ばれますが、ステシノ
も 「すで死の」 の
意味ではないのかと考えてます。
生きているのに 「死んだタカヒコネ」
と普段から呼ばれている彼を、
本当の死人と間違えたわけですから、彼の非常な怒りも無理はありません。
記紀には 阿遅鉏高日子根神/味耜高彦根神 などと記されます。
■遠・彼方 (おち)
アチ(彼方)
の変態で、「遠い所」 の意です。近い所は コチ(此方)
といいます。
■あら穢らし (あらけがらし)
アラ は感嘆詞で、“あれ”
“ありゃ”
などと同じです。
ケガラシ は ケガル(穢る)+シ(▽如・▽然)
で、「穢れる如し」 の意。
今は ケガラワシ(穢らわし)
といいます。
■アオハカリ (▽阿汚別り)
この時にタカヒコネが携えていた剣の名です。
アオ(阿汚) は ヲヱ(汚穢)
の変態、ハカリ は ハカル(別る) の名詞形です。
ですから 「汚穢を断つもの」 という意味です。
日本書紀には、大葉刈(おおはかり) または 神戸の剣(かむどのつるぎ) と記されます。
はかる【別る】〈広辞苑〉
(上代東国方言) 「わかる」に同じ。
■放けて (さけて)
サク(離く・放く)
は 「離す・放つ・出す・放り出す」 などが原義で、
この場合は 「剣を鞘に収めず抜いたまま・さらけ出して」
という意です。
■神戸・還処 (かんと)
カン(還)+ト(処・戸)
で、「死者を送還する所・葬送の場」 をいいます。
カン は カフ の音便で、カフ は カエル(還る・返る・帰る)
の母動詞です。
「人が神に還る場所」 という意味であるため、ここでは “神戸”
と当てました。
【概意】
怒るアチスキタカヒコネ。
「友なればこそ遠方に訪うに、我を亡き身に誤るとは、ああ穢らわしや、腹立ち」
と、
喪屋を斬り伏せるアオハカリの剣。それを抜き持ったまま葬儀場を去ろうとする。
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むかしなかやま みちひらく かなやまひこの まこむすめ
したてるおくら たかひこの いかりとかんと
みちかうた よみてさとせり
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昔 中山 道開く カナヤマヒコの 孫娘
シタテル-オクラ タカヒコの 怒り融かんと
短歌 詠みて諭せり
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■中山 (なかやま)
「日本の中央の山」 という意で、「日本アルプスの山々」
をいいます。
■カナヤマヒコ (金山彦・▽要山彦)
■シタテル-オクラ
ワカ姫 から シタテル姫
の名を譲り受けた オクラ姫
をいいます。
シタテル姫の名と共に歌の奥義書 クモクシ文
を授かっており、
ワカ姫の歌の奥義の後継者だと言って良いでしょう。
カナヤマヒコ の子の アマクニタマ の娘で、アメワカヒコ
の姉妹です。
イサナギ ┌ソサノヲ─オホナムチ┌クシヒコ ├──┤ ├───┼タカヒコネ イサナミ └アマテル─タケコ └タカコ (2代目タカテル姫) │ │ ┌ナカコ │ カナヤマヒコ┴───アマクニタマ┬アメワカヒコ │ └オクラ姫 (2代目シタテル姫)
ワカ姫の歌
の特徴は、歌の力で害虫を祓うなど、物理的な効果を伴う点にあります。
オモヒカネ はワカ姫の 回り歌
によって呪縛され、結婚することにもなりました。
さてオクラ姫はどうなるでしょうか?
■短歌 (みぢかうた)
今日の 短歌
(たんか:5-7-5-7-7=31音の歌) とは異なります。
短歌は ホツマでは “ワカ歌” と呼ばれます。ワカ歌
より長くて 長歌 より短い、
5・7・5・7 ・・・ 7・7 形式の歌を “みぢかうた”
と呼ぶようです。
【概意】
昔 中山に道を開通させたカナヤマヒコの孫娘、シタテル-オクラ姫は、
タカヒコネの怒りを緩めようと、短歌を詠んで諭すのであった。
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あめなるや おとたなはたの うなかせる たまのみすまる
みすまるの あなたまはやみ
たにふたわ たらすあちすき たかひこねそや
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『あめなるや 復棚機の 促せる 珠のミスマル
ミスマルの 穴珠はやみ
誰に二輪 垂らすアチスキ タカヒコネぞや』
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■あめなるや
この アメ は アム(編む) の名詞形で、アム は アフ(合ふ)
の変態。
「(心を) 編むさま・合わすさま・絡めるさま」
をいい、アマ(甘)・ウマ(旨・美)・ウベ(宜)
などの変態です。ゆえに
「よろしきかな・美しきかな・麗しや」などの意となります。
■復棚機 (おとたなばた・をとたなばた)
タナバタ(棚機)
は 「機(布)を織り綴ること」 また 「織り綴った機(布)」
をいいますが、
ここでは 夜空に広がる星の帯を、織り綴った機(布)
に見立てて “棚機” です。
今はこれを 天の川
と呼んでます。
オト/ヲト(▽復) は オツ(復つ)
の名詞形で、「往き来・循環・反復・くり返し」
を意味します。
ですから “復棚機” は 「くり返し織り綴った機(布)・無限に伸び広がる機(布)」
という意味で、
棚機=天の川 の壮大さを強調した表現です。
■促せる (うながせる)
ウナガス(促す) の連体形で、ここでは
二又使用と思われます。
1.「伝える・知らせる」
の原義から、「復棚機が見せつける珠のミスマル」。
2.「揺さぶる・刺激する」
の原義から、「復棚機に刺激を受けて揺れるミスマルの穴珠」。
★促す (うながす)
ウヌ+カス(貸す) の短縮で、ウヌ は ウネル・ウナル(唸る)
などの母動詞。
両語とも
「往き来させる・揺さぶる・刺激する・伝える」
などが原義です。
うながす【促す】〈広辞苑〉
1.催促する。急がす。せき立てる。せつく。
2.触れ知らせる。人を呼び集める。
■珠のミスマル (たまのみすまる)
タマ(玉・珠) は 「宝石」 を表し、棚機(=天の川) の
「星々」 を これに喩えます。 ▶ミスマル
ですから 「星々の集まり」 という意です。
■ミスマルの穴珠 (みすまるのあなたま)
一方、この ミスマル は 「装身具のミスマル」 をいい、
多くの珠を紐に通して輪にした、じゅず(数珠) や
ネックレス の類です。 ▶画像
穴珠 とは 「穴の開いた珠」
で、紐に通すための穴を開けた珠をいいます。
■はやむ (早む・速む)
ハヤム は 「高まる・勢いづく・活発化する」
などが原義で、
ここでは 「活発に動く・躍動する・あばれる」
などの意を表し、
ミスマル(装身具) の珠が 「揺れ動く・踊る」
ことをいいます。
■二輪 (ふたわ)
これは 「男女2人が、互いに自分のミスマル
(ネックレス) を相手に掛けること」 を
いうように思います。ミスマル を 「男女が結ばる (ムスバル)」
の モノザネ
としたのでしょう。
あいあい傘
や カップルストロー
みたいに、当時の恋人同士の間では、
こんなこと (あいあいミスマル)
をするのが流行っていたのではないかと想像しています。
“あいあいミスマル” をすると、ミスマルの珠 (=勾玉)
の 陽と陰 がそろって、
環珠 になります。 ▶参考画像
【概意】
『美しや、天の川が見せつける珠のミスマル
それに刺激されてか、我らのミスマルの珠も揺れ動く
(あなたの珠は怒りに踊り、わたしの珠は恋のときめきに踊る)
誰に二輪を垂らすアチスキタカヒコネぞや』
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このうたに つつきもしれり
たかひこも いかりゆるめて たちおさめ
みとのみやひお さとさんと こたえのうたに
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この歌に 続きも知れり
タカヒコも 怒り緩めて 太刀収め
ミトのミヤビを 諭さんと 応えの歌に
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■太刀 (たち)
“直ち”
の意で、「直す物・正す物」。また “断ち・絶ち” の意で
「断ち切る物」 をいいます。
アマテルの思想においては特に、「仇の汚穢・攻撃を断ち切る物
= 盾(たて)」 を意味します。
物品としては ツチ(鎚)・ホコ(矛)・ツルギ(剣)
と同じです。(語義はそれぞれ異なります)
■ミトのミヤビ (みとのみやび)
ミト は ミツ(見つ) の名詞形で、「合わせ」
が原義ですが、この場合は
「2つ合せて1つとなるもの」
をいい、「対・陽陰・男女・凸凹」 などを表します。
ミヤビ はここでは
「結び付き・結合・和合・融合」 をなど意味します。
ですから 「男女の結びつき・陽陰の和合」
という意となります。 ▶みとのまぐはひ(類語)
【概意】
この歌にその続きも知れるなり。
タカヒコネも怒りを緩めて太刀を収め、
陰陽の和合を諭さんと、応えの歌に
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あまさかる ひなつめのいは たたせとひ
しかはかたふち かたふちに あみはりわたし
めろよしに よしよりこねい しかはかたふち
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『天下がる ひなつめの意は ただ背訪ひ
しかはかたふち 片淵に 網張り渡し
めろ寄しに寄し 選り好い しかはかたふち』
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ここは五七調が少々いびつなため、言葉の区切りを調整しています。
■天下がる (あまさがる)
アマ(天) は 「中央・都」
の意で、この時点においては 近江の多賀 です。
サガル は クダル(下る) と同じで、ここでは
「地方に下る」 ということです。
ですから 「都から田舎 (この場合は美濃国) に下る」
という意です。
■ひなつめ (鄙詰め/鄙つ女)
2つの意味を重ねます。
(1) 鄙詰め。 タカヒコネ が
「田舎に詰めること・田舎を訪れること」。
(2) 鄙つ女。 「田舎の女」 の意で、これは オクラ姫
を指します。
★鄙・雛 (ひな)
ひねくれる
の母動詞 “ヒヌ”
の名詞形で、「離れる・それる・外れる・曲る・落ちこぼれる」
などを原義とし、「隅・末・下 にあるさま」
を表します。
■背訪ひ (せとひ)
「男を訪うこと」 をいいますが、これにも2つの意味を重ねます。
(1) タカヒコネ が 友人の 「アメワカヒコを訪うこと」。
(2) オクラ姫 が 「タカヒコネに迫り寄ること」。
★ウヲセ (▽背) ★ヲセ (▽背・▽雄♂) ★セ (背・兄・夫)
ウホス(▽上す) の名詞形で、「上るもの」 を原義とし、上に昇った
「陽」 を表します。
ウホス は オホス(果す)
の変態で、「あがる・行き着く・至る」 などが原義です。
ウヲセ は “ヲセ” に縮まり、ヲセ は “ヲ”
または “セ” に簡略されます。
ウヲセ → ヲセ ┬→ ヲ (陽・男) └→ セ (兄・夫・背)
■しか (▽如)
シク(如く) の名詞形で、「同じであるさま・同一」
を原義とし、
今風に言えば 「己(おの・おのれ)・自分」 です。
■かたふち
カタオチ(片落ち)
の変態で、「傾くさま・偏るさま・公平でないさま」
を表します。
ここでは 「ずるい」 という意です。
アメワカヒコの弔問に訪れる男たちを、オクラ姫は網を張って待ち構え、
網にかかった男の心をもて遊んで、選り好みしているようにタカヒコネは感じ、
これを 「ずるい」 と評したのでしょう。
■片淵 (かたふち)
上の “かたふち” と原義は同じですが、ここでは 川の
「片側が浅瀬で、もう片側が
落ちこんで深くなってる所」
をいいます。通路が狭まり、魚が集中してこの部分を
通るため、網を張りやすく、かつ、短時間に大漁が期待できます。
■めろ寄しに寄し (めろよしによし)
メロ は メル の名詞形で、メル は ムル(群る)
の変態と考えます。
ですから “群れ寄せに寄せ” と同じです。
■選り好い (よりこねい)
ヨリゴノミ(選り好み)
の変態です。コネイ は コネフ の名詞形で、
コネフ は コノム(好む)、カナフ(適う)
などの変態と考えます。
【概意】
『都を下る鄙詰めの意は、ただ友を訪うことなのに
都を下る鄙つ女の意は、ただ男に迫り寄ること
自分(=汝)はずるい 片淵に網を張り渡し
獲物を群れ寄せに寄せては選り好み 自分はずるい』
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このうたは のちのゑにしの あふうすの かもいとむすふ
ひなふりはこれ
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この歌は 後の縁の 合ふ・失すの かも糸結ぶ
“ひなふり” はこれ
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■縁 (ゑにし)
ヱヌ(▽会ぬ)+シク(如く)
の連結から ‘ク’ をカットした ク語法
で、
ヱヌ は ヱル(得る)
の変態。「合わせ・触れ・結び・つなぎ・接・関係」
などが原義です。
エン(縁) と略します。
■合ふ・失す (あふ・うす)
陽陰/男女の 「付きと離れ」 を表します。
これは 陽陰和る道
の最高奥義と筆者は感じていますが、言葉での説明は困難なため、
その深みは アワ歌の文
の行間から滲み出るエキスを汲み取ってもらうしかありません。
ほんの一端だけを述べますと、
正反対の性質を持つ陽と陰は、相手方を見つけると互いに結合しようとしますが、
一直線に接近するわけではなく、陽が追い/陰はかわす という動きを繰り返しながら、
しだいに距離を縮めてゆき、最終的に結合/融合する
という過程をたどります。
この 陽が追い/陰がかわす回転運動
[参考動画] を 合ふ・失す と表現しています。
これは 「陽陰/男女の本質的な関係」 を表すものであり、縁(ゑにし)
の換言です。
アフ・ハナル(合ふ・離る)、ナル・ハナル(和る・離る)、ツク・ハナル(付く・離る)、
また ツクバ(▽付離)、イミとイヒ(▽忌と結)、アイヌ・アヒキ(我結ぬ・我引き)
など、さまざまに換言されています。
■かも糸 (かもいと)
機を織る時に 「交差させる糸・織糸」、すなわち
「経糸 と 緯糸」 をいうと考えます。
ホツマでは、タテ(経) は 「陽・男」 を、ヨコ(緯) は
「陰・女」 を表します。
★かも (▽交/▽上下)
カム(噛む・▽和む・▽交む)
の名詞形で、「噛ませ・交え・編み・織り」
などの意です。
また カモ(▽上下) は カミシモ(上下) の短縮で、天地創造の過程
で 上昇した 「陽」 と、
下降した 「陰」 を意味します。ですから
カモ=上下=陽陰 です。
★糸 (いと・ゐと)
イツ(▽結つ)
の名詞形で、「結び・つなぎ・紡いだもの」 が原義です。
分割していないさまを表す ヒト(一)、イツ/イチ(一)
の変態です。
■ひなふり (雛触り)
ヒナ(雛) は 「若き男女・会って間もない男女」
の喩えで、フリ(触り) は 「ふれ合い」 の意。
つまり 「男女が互いの心に触れるきっかけとなる歌」
をいうのではないかと考えてます。
辞書の説く ひなぶり は この文脈にはそぐわないように思います。
【概意】
この歌は、後の縁の ‘付きと離れ’ の かも糸を結ぶ。
“ひなふり” とはこれ。
本日は以上です。それではまた!