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徹底解説みかさふみ講座 第53回 [2023.5.12]

みかさふみ アワ歌の文〈神代和字〉 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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10年ほど前に富士山麓の民家で発見された、ミカサフミ最新の断片で、
その書物の表紙には『神代和字』と記されていました。本来のアヤ名は
不明ですが、その内容から 「アワ歌の文」 と 今回筆者は名づけました。
この原文ヲシテは誤写が多く、文言の欠落もあり、段落の挿入位置も
おかしかったりと、読者泣かせのアヤです。(修正して掲載しています)
しかしそのことを差し引いても、非常に魅力的で、かつ重要なアヤです。

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 あわうたのあや (その1)
 年内になす事の文 https://gejirin.com/mikasa10.html
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―――――――――――――――――――――――――――――
 ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・
 やをよろの おゑてことほき さつけます
 つきのみことは あいふへも をすしやかみの あてまもり
 ねこゑさつくる あなみかみ
―――――――――――――――――――――――――――――
 ・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・
 八百万の 生えて 寿 授けます
 次の尊は アイフヘモ  ヲスシ八神の 当て守り
 根隅授くる 天並神
―――――――――――――――――――――――――――――

のっけから欠文ですが、この欠落部分に何が記されていたかは、
おおよその見当がつきます。ホツマの17アヤにほぼ同じ内容が
語られているからです。

 まさに聞け 元々明の ミヲヤ神 側のトホカミ ヱヒタメの 八元の神に
 守らしむ 人の根隅は 天並神 三十二の神の 見目・形 十六万八千の
 モノをして 人の魂・魄 喜ばす 時に求むる 生れ付き 十六万八千に 品変る
 青人草の 悉く アメノミヲヤの 賜物と 守らぬは無し   〈ホ17-3〉


八百万 (やをよろ・やもよろ)
@ 8,000,000
A 数のきわめて多いさまを表す表現の一つ。


生ゆ (おゆ)
ハユ(生ゆ)の変態です。


寿 (ことほぎ・ことぶき)


■当て守り (あてまもり)
「事に当たって世話すること」 の意で、今風に言えば 「担当」 でしょうか。


■アイフヘモヲスシ ■天並神 (あなみかみ)
「天の中位の神」 という意味で、フトマニ図の 中心宮から二番目の輪に座す
「ア・イ・フ・ヘ・モ・ヲ・ス・シ の8神」 をいい、天均神(あなれかみ)とも呼ばれます。


根隅 (ねこゑ・ねこえ)

 

【概意】
<トホカミヱヒタメの八元神の当て守りに>
八百万人の生れて寿命を授けます。
次の尊はアイフヘモヲスシの8神の当て守り。
内臓と外殻を授ける天並神。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 すゑはみそふの ひこかみの みめみかたちお あてまもり
 そむよろやちの つきものか あてまもりうむ よろものの
 なかにひとつも まもらぬは なきとしるへし

―――――――――――――――――――――――――――――
 末は三十二の 曾孫神の 見目・見形を 当て守り
 十六万八千の 付きモノが 当て守り生む 万者の
 中に一つも 守らぬは 無きと知るべし

―――――――――――――――――――――――――――――

■三十二の曾孫神 (みそふのひこかみ)
フトマニ図の 「外側の二輪に座す32神」 です。“タミメヒコ” とも呼ばれます。
アメノミヲヤを 「親神・祖神」 とすれば、八元神は 「子神」、天並神は 「孫神」、
三十二神は 「曾孫神」 ということになるのでしょう。


■見目 (みめ) ■見形 (みかたち)
ミメは 「顔」、ミカタチ は 「体型」 をいいます。


■十六万八千の付きモノ (そむよろやちのつきもの)
「タマノヲに添付される16万8000の小霊」 をいいます。

人が世に生れる時、16万8000のモノ(小霊)が、魂と魄の結合に添付される
といいます。魂と魄の結合を タマノヲ(▽霊の結・霊の緒) と呼びますが、
この結合が人の生命と心情を生じさせます。

・十六万八千の モノ添ひて 人 生まる時 元つ神 そのタエ守が 種下し
 モノと魂・魄 結ひ和す                 〈ホ14-3〉
親つモノ 十六万八千と 守を得て 人生まる時 神とモノ 魂・魄 結び
 霊の緒と 五臓六腑も その上の 十四経 備え 人となす 〈ミ6-6〉

 ★モノ (物)
 モノは 「見えないけれど存在する何か」 をいう代名詞で、「霊」 を意味しますが、
 神(かみ)/霊(たま)/神霊(みたま) に比べて、「低レベルな霊・下級霊」 に対して
 用います。したがって 「邪霊・悪霊」 の類も モノ と呼ばれるのですが、
 この場合はその類とは違うので、仮に “小霊” と訳させていただきます。

 

【概意】
末は三十二の曾孫神の見目と見形を当て守り、
さらには16万8000の付きモノが当て守って生れる万人の中に、
<アメノミヲヤの御胤として> 一人とて守られていない者は
無いと知るべし。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 このゆえに ふたかみおほす ねこえみち
 おのころしまの なかはしら めくるをかみの くちひるお
 ひらくあねより のへつつく みうたおあみて

―――――――――――――――――――――――――――――
 この故に 二尊思す 音声道
 オノコロ州の 中柱 回る男尊の 唇を
 開く ‘ア’ 音より 宣べ続く 御歌を編みて

―――――――――――――――――――――――――――――

■この故に (このゆえに)
「君も臣も民も、有能な者も無能な者も、文明人も未開人も、
すべての人間はアメノミヲヤの末裔であるがゆえに」 ということです。


■二尊 (ふたかみ)
「イサナキとイサナミの夫婦の国君」 です。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ─ヲオナムチ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫 

中央政府の皇統がオモタル&カシコネで断絶した後、長き混乱の時代の中で、国家の
システムは崩壊し、人々の生活もその心も獣と化し、すべてが無の状態に帰します。
時に皇統を受け継いだ二尊は 再び無から万物を生み出さねばなりませんでした。


思す (おぼす)


■音声道 (ねこえみち)
「人の発する音声の道・言葉が持つ能力の道」 です。

 ネコエは ネ(根)+コエ(▽隅) で、「元と末・親と子・主と従・中と外」 
 などが原義です。この場合は言葉の 「母音と子音」 をいいます。


■オノコロ州の中柱 (おのころじまのなかはしら)
うきはしに得るオノコロの、ヤヒロの殿立つ柱」 です。
場所は オキツボの峰(=比叡山)の東の琵琶湖沿いです。

 オノコロは ここでは 「八方を和して恵む中心」 を意味します。
 シマ(州・島)は シメ(締め)の変態で、「区分・区画」 が原義です。


御歌 (みうた)

 

【概意】
この故に二尊は “音声の道” に思いを向けられる。
オノコロ州の中柱を回る男尊が 唇を開いて発する
‘ア’ 音より述べ続く御歌を編んで、

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 あなにゑや つゐてふたつは くちふさき ふくいきむれて
 ふすむうん うんにつゐての つきうたは うましおとめに
 おとめにと ななねにあたる くにいつね
 とめはみつねの あいぬなり

―――――――――――――――――――――――――――――
 「あなにゑや」 次いで二つは 口塞ぎ 吹く息 蒸れて
 燻む ‘ウン’ ウンに次いでの 継ぎ歌は 「うまし乙女に」
 ‘おとめ’ にと 七音に当たる 地出づ音
 留めは三音の 「あいぬ」 なり

―――――――――――――――――――――――――――――

あなにゑや・あなにえや


■燻む ‘ウン’ (ふすむうん)
フスムは フスブ(燻ぶ)の変態で、この場合は、鼻にかかって 「こもった ‘ウン’」
という意で、今風に言えば 「鼻音となる ‘ウン’」 ということです。


■七音 (ななね)
“七音” は、五音−七音−三音 に綴る歌の、「中の七音」 をいい、
この七音が歌の要であるため、中壺(なかつぼ) とも呼ばれます。


■地出づ音 (くにいづね)
地(=陰・女) が現れる音」 の意で、“おとめ” の オ・ト・メ の3音を指します。
5母音アイウエオの内、エは 「水」、オは 「埴」 を表し、この2つは 「陰」 の属性です。

 ア () =空  イ () =風  ウ (△) =火  エ (己) =水  オ (□) =埴
 ←……………… 陽属性 …………………→   ←……… 陰属性 ………→


留め・止め (とめ)
「締め・しまい・結び・終り」 などの意です。


■あいぬ (会いぬ/▽我結ぬ)
2つの意味が重なります。
(1) アフ(会う)+ヌ(=なり)  会うなり。
(2) ア(我・吾)+イヌ(▽結ぬ) 我は結ぶ/我は付く。

 イヌ(▽結ぬ)は 後に出てくる アム(編む) の同義語です。
 また “アム” の は 「陽・天・上」 に通じることを覚えておいてください。

 

【概意】
「あなにゑや」
次いで二つは口をすぼめ、吹く息の蒸れてこもる ‘ウン’。
ウンに連ねる継ぎ歌は  「う(ん)まし乙女に」
‘おとめ’ にと、中の7音で当たる陰の音。
留めは三音の 「あいぬ」 なり。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――
 ここにめかみの やわしうた なさけあわせて
 わなにやし うましをとこに あひきとは
 まけてやわしの みやひなり
 あいぬあひきの なかれきは けりなおよくき ことならす

―――――――――――――――――――――――――――――――
 ここに女尊の 和し歌 情け合せて
 「わなにやし うまし男に あひき」 とは
 負けて和しの みやびなり
 “あいぬ” “あひき” の 流れ際 ‘けり’ なお良くき ことならず

―――――――――――――――――――――――――――――――

■和し歌 (やわしうた)
男尊の歌に 「和す歌」 をいいます。

 ヤワス(和す)は 「溶けて一つになる・調和する・やわらげる」
 などの意ですが、その深みに迫ることがこのアヤのテーマです。

 
情け (なさけ)

■あひき (会ひき/我引き)
2つの意味が重なります。
(1) アフ(会う)+キ(=しかり・けり) 会ひけり。
(2) ア(我・吾)ヒキ(引き)     我は引き。

 ヒク(引く)は 「うしろに引く・しりぞく」 の意と、「平らにする・ならす」 の意が
 重なります。よって ヒキ(引き)は 次の マケテヤワシ(負けて和し) と同義です。
 また “ヤワシ” の は 「陰・地・下」 に通じることを覚えておいてください。


■負けて和し (まけてやわし)
「後ろへ下がってやわらげること・相手に譲って調和すること」 という意です。

 “うまし乙女に我は付くぞ” と猛進してくる男尊(陽)に対して、女尊(陰)も前進して
 寄っていったなら、正面衝突して、その衝撃でどちらも傷つき壊れてしまいます。
 そこで、女尊(陰)は 「うしろへ下がってその衝撃をやわらげる」 ということです。
 “和し” には 「退く・下がる・負ける・譲る」 といった受動的要素が必要なのでしょう。
 この受動性は 陰/女の本来的性質とされ、ヰココロ(妹心)、ヰミチ(妹道) と呼ばれます。

 また后 ヒロタに行きて ワカ姫と 共に妹心 守るべし 〈ホ28-4〉

この 「陽が追い、陰が逃げ、それを繰り返して距離を縮める」 という現象は非常に奥の深いもの
と感じています。物理学に対生成対消滅という現象があるのですが、その時に素粒子が取る
動きも基本的にはこれであるように直感しています。鍵は渦巻き螺旋でしょう。銀河です。
青春ドラマなんかでも、男が嬉しそうに追いかけ、女がキャッキャッと楽しそうに逃げ回る
シーンが 昔よくあったじゃないですか。追いつかれる直前にくるっと回ってかわすあの感じです。
男女逆のパターンは見たことないですよね。イメージ動画:
https://pixta.jp/footage/70751293
そしてまた思い出されるのは、黄泉の国での二尊の行動です。


みやび
この場合は 「合わせ・同調・協調・協和」 などの意です。


■流れ際 (ながれぎは)
“流れ” は 「上から下へ移りゆくさま」 を意味し、“際” は 「端・はて」 をいいます。
この場合は 「一つながりの下端」 を意味し、“あいぬ” の 、“あひき” の を指します。


■‘けり’ なお良くきことならず (けりなおよくきことならず)
「‘けり’ でも良いことにはならない」 という意です。

 “会いぬ” “会ひき”の意味なら、“会いけり” と置き換えることができるが、
 “我結ぬ” “我引き” の意味があるのだから、‘けり’ で置き換えることはできない、
 ということです。
 “良くき” は ヨシ(良し)の連体形 “良き” の異形と考えてます。

 

【概意】
ここに女尊の和し歌。気持を合せて、
「わなにやし うまし男に あひき」
“あひき(我退き)” とは 負けて和しの協調なり。 
されば “あいぬ” “あひき” の下端の ‘ぬ’ と ‘き’ は、
‘けり’ でも良いことにはならない。


 二尊の歌い合った
  「あなにゑや うましおとめに あいぬ」
  「わなにやし うましをとこに あひき」
 この一対の歌は 天のアワ歌 と呼ばれます。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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