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一から学ぶ みかさふみ講座 第27回 [2022.9.24]

みかさふみ 還十二の后立つ文 (5)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 こゑそふのきさきたつあや (その5)
 還十二の后立つ文 https://gejirin.com/mikasa04.html
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 みこはあまひの くらゐのる ひのやまのなも おおやまそ
 かれおおやまと ひたかみの やすくにのみや
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 神子は太陽の 位 乗る 日の山の名も “太山” ぞ
 故  “太山下 日高みの 和す国の宮”
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■神子 (みこ)
アメミコ(陽陰神子)、すなわちアマテルを指します。


■太陽・天日 (あまひ)
オオヒ(太陽)の別称で、「陽の核・陽の極み・陽の源・ムナモト」 を意味します。
アヒ(太陽)、ウホヒ/オオヒ/ウヒ(太陽)、アヲ(太陽)、ヒノワ(陽の環) などとも
呼ばれ、これらを略してまた ヒ(日) と呼んでいます。
したがって 陽=日 ではなく、太陽=日 です。

 背のムナモト 日と丸め 妹のミナモト 月と凝り 〈ホ14-2〉

アマは アム(▽上む)の名詞形、また /ウホ/オホ/オオ/ヲ/ウ(大・太・央)などは
ウエ(上)の変態で、いずれも 「上・頂き・中心・核・極み」 などの意を表します。
ヒ(陽)は ヒル(▽秀る)の名詞形で、天地創造の過程で上昇した 「陽」 を表します。

 語義の誤解を招きやすいので “天日” の宛字は使いたくないのですが、
 歴史的にこちらが一般的ですし、タイヨウを意味する点では同じです。


■位乗る (くらゐのる)
クラヰ/クラヒは クラヘ(較べ)の変態で、「相応する座」 が原義です。
ノル(▽和る・乗る・載る)は 「合う/合わす」 が原義で、
この場合は “太陽の位” に 「身を合わす・身を置く・着く」 という意です。

 太陽/日の位に着くということは、すなわち 「皇位に着くこと」 を意味します。
 ここにトヨケや二尊の念願が達成されたわけです。


■日の山 (ひのやま)
太陽=日 ですから、太陽山(おおひやま) の換言です。


■太山・皇山 (おおやま)
アマテルが太陽(あまひ)の位に着いたことで、またハラミ山の新名が生れます。
オオ(央・皇・太)+ヤマ(山) で、「中心の山・中核の山」 の意と考えます。
太陽山/日の山が 「太陽の神霊が降りた山」 という意味であるに対し、
太山は 「国家の中心の山・国家の都の山」 の意ではないかと思います。


■太山下日高みの和す国の宮 (おおやまとひたかみのやすくにのみや)
アマテルの即位を記念して付けられた トシタ和宮/ハラミの宮 の新名です。

 “太山下” は 「太山 (国家の中心の山) の麓」 という意です。
 “日高み” は “日の出” と同義ですが、日の出=還 なので、
 ここでは 「太陽の巡回」 を意味します。そしてこの太陽は
 「太陽(あまひ)の位に着いたアマテル」 を指します。
 “和す国” は 「和(やわ)す国家・調和の国家」 の意です。
 よって 「太山の麓の、太陽(アマテル)が巡り恵んで和す国家の都」
 というような意味になります。

ここの記述に基づくものだと思いますが、大祓詞の中には次の文言があります。

 … … 四方の國中と 大倭日高見國(おほやまとひだかみのくに)
 
安國(やすくに)と定め奉りて … …

 

【概意】
御子は太陽の位に就く。日の山の名も “太山” ぞ。
しかれば <トシタ宮も> “太山下日高みの和す国の宮” と名づく。

 

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 きつさねの つほねはかわり みやつかゑ
 そのなかひとり すなおなる せおりつひめの みやひには
 きみもきさはし ふみおりて あまさかるひに むかつひめ
 つひにいれます うちみやに
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 東西南北の 局は替り 宮仕え
 その中一人 素直なる セオリツ姫の ミヤビには
 君もきざはし 踏み降りて あまさかるひに 向つ姫
 つひに入れます 内宮に
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■局 (つぼね)
アマテルの斎侍(=后)は、合計12人備えられましたが、東西南北の四局に
3人ずつ配置されます。上位の斎侍が典侍(すけ)、次席は内侍(うちめ)、
下位は乙下侍(おしもめ)と呼ばれます。
各局に詰める斎侍たちも、また “ツボネ” と呼ばれます。


■宮仕え (みやつかゑ・みやつかえ)
「主人に付いてお世話すること」 をいいます。
は 「中心・主」 を意味し、この場合は 「君」 です。


■素直 (すなお)
スグ(直ぐ)+ナオ(直) の短縮で、
「まっすぐで曲りや偏りのないさま」 を意味します。


■セオリツ姫 (せおりつひめ)
この名前の由来がここで語られています。
セ(背)+オリ(降り・下り)+ツ(格助詞)+ヒメ(姫) で、
セ()は 「男・夫」 を意味し、ここではアマテル君を指します。
オリツ(降りつ)は 「降りたる」 という意です。
ですから 「アマテル君が階段を踏み降りたる姫」 という意味です。

セオリツ姫はさきに “サクナダリ・セオリツ・ホノコ” と紹介されてますが、
サクナダリは 「勢いよく落下すること」 を意味し、セ(背/瀬) にかかる
枕言葉です。これはアマテルが速川の瀬で禊していた時、滝から落下した
ことに由来します。ですから サクナダリ・セオリツ・ホノコは
「滝から落下する如くの勢いで、君が階段を降り下ったホノコ姫」 という意味です。

 昔 ハタレを 敗らんと 禊なす時 神の裳の 岩に懸かりて
 ひた引けば 滝落ち下る “さくなだり”         〈ホ28-8〉


■ミヤビ
ミユ(見ゆ)+ヤフ(▽和ふ・▽結ふ) の同義語短縮 “ミヤフ” の
名詞形で、「合わせ・結び・調和・同調・協調・協和」 などが原義です。
多くの意味に使われますが、ここでは セオリツ姫の 「協調性」 をいいます。

 辞書にある “雅(みやび)” も、語源は同じと考えますが、
 後世、大きく意味が変わってしまったようです。


きざはし (階)
「きざみのある橋・ギザギザの橋」 の意で、「階段」 をいいます。
おそらく、君の玉座である 高御座(たかみくら) の階段をいうのでしょう。

 ハシ(橋)は ハスの名詞形で、ハスはハサム(挟む挿む)の母動詞です。
 ですから 「間にはさむもの」 を意味します。ゆえにハシ(箸)も同源です。


■踏み降る (ふみおる)
フミ(踏み・▽奮・▽噴)は 「勢いよく・おもいっきり・ものともせず・力強く」
などの意を次に続く動詞に添えます。ここでは 「勢いよく降りる」 という意です。
他の例としては、“踏み込む”  “ふんばる” などがあります。


■あまさかるひに向つ姫 (あまさかるひにむかつひめ)
“アマサカルヒ” はアマテルを指しますが、3つの意味が重なります。
 (1) “天下がる日”  高御座を下る日の神。
 (2) “陽陰下がる霊” 日月が世に下った神霊。
 (3) “和栄る日”   やわして照らす日の神。

ムカツヒメ(向つ姫)は、その神に「向かう姫・相対する姫」という意で、
アマテル君の内宮となったセオリツ姫のまたの名です。
日に向つ姫(ひにむかつひめ)、また 日の前向つ姫(ひのまえむかつひめ)
とも呼ばれます。

 廣田神社 (ひろたじんじゃ)
 兵庫県西宮市大社町7-7。
 現在の祭神:撞賢木厳之御魂天疎向津媛命
       (つきさかきいつのみたまあまさかるむかいつひめのみこと)
 ・かつて 「向か津峰」 と呼ばれた六甲山全山は、廣田神社の社領であったという。

 日前国懸神宮 (ひのくまくにかかすじんぐう)
 和歌山県和歌山市秋月365。 
 現在の祭神:日前大神、国懸大神 他


■内宮・内つ宮 (うちみや・うちつみや)
「宮の中心部(最奥部)」 の意で、ここは国君の 「居住区」 です。
そしてまた 君と共にそこに居住する 「正妃」 を “内宮” と呼びます。

 他の12人の后は、斎侍/側室の扱いですが、
 内宮は 「皇后・正妃・中宮」 の身分です。
 “内宮に入れる” ということは、「皇后に選出した」 ことを意味します。

 

【概意】
東・西・南・北の四局は交替で宮仕え。
その中一人、素直なるセオリツ姫の調和した心には、
君も階段を飛び降りて、“あまさかる日に向つ姫” を
ついに内宮に入れます。

 

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 かなやまひこか うりふひめ なかこおすけに そなえしむ
 これおこよみの うりふつき
 みなをりつつり みさほたつ かれこゑくにの きみとたたゑり
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 カナヤマヒコが ウリフ姫 ナカコを典侍に 備えしむ
 これを暦の “ウリフ月”
 皆 織り綴り 操立つ かれ “還国の 君” と称えり
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■カナヤマヒコ (▽要山彦)
美濃国を知行する国守で、中山道を開きました。
記紀には 金山毘古神/金山彦神 と記されます。

 南宮大社 (なんぐうたいしゃ)
 岐阜県不破郡垂井町宮代字峯1734-1。  
 現在の祭神:金山彦大神、彦火火出見命、見野命
 ・旧名は仲山金山彦神社といいます。


■ウリフ姫ナカコ (うりふひめ・なかこ)
カナヤマヒコの娘で、“ウリフ姫” は通称、“ナカコ” は斎名です。
内宮に昇格したセオリツ姫の空きを埋めるため、南の局の典侍に入ります。
ウリフは “瓜生” の意で、「真桑瓜の生える国=美濃」 を表すと考えます。


■暦のウリフ月 (こよみのうりふつき)
局の人員の調整にウリフ姫を入れましたが、12后は月になぞらえるため、
暦の調整のために加える月も、“ウリフ月” と呼ぶことにしたのでしょう。
これが後に “閏月(うるふづき)” と呼ばれるようになったと考えられます。


■織り綴り操立つ (をりつづりみさほたつ)
ミサホ(操)は 「他にそれないさま・一筋・一途」 などが原義です。
タツ(立つ・▽達つ)は ここでは 「達する・つらぬく・通す」 などの意です。
ですから 「機を織り綴って一筋を通す」 という意味になります。

 「機を織る」 ことは、まっすぐな経糸に緯糸を隙間なくぴったり添わせて通す
 ということですが、キミ(木実)と同じ理由で、男は経に、女は緯に喩えます。
 そのため機織りは、妻が夫にぴったりと添って一筋を通すこと、つまり
 操を立てることを象徴する行為となるわけです。


■還国の君 (こゑくにのきみ)
「日月が恵る (巡って恵む) 国の君」 という意です。
“還” は 詳しくは、日 (アマテル君) と 12〜13の月 (12〜13人の后) が、
一体化したシステムとなって (シンクロナイズして) 巡り恵む という意です。

“還国” は 狭義には 「アマテル君の座す国」 をいい、広義には 「日本国」 をいいます。
中華伝説では日本を “扶桑(ふそう)国” とも呼んでいますが、
クワ(桑)=コヱ(還) ですから、扶桑国=還国 だろうと思います。

 ★還 (こゑ)
 コヱは コユ(越ゆ)の名詞形で、カヱ(替・返・還)の変態です。
 「巡る・回る・転移する・返る・循環する」 などの意を表しますが、
 ここでは 「循環・巡回・ローテーション」 などを意味し、
 この意味の場合は “還” と宛字しています。

 ★桑 (くわ)
 クユ(越ゆ・悔ゆ)の名詞形で、これは コヱ(還) の変態です。
 ですからやはり 「循環・巡回・ローテーション」 などが原義です。
 この名の由来は、クワの木の成長の仕方が 還の道(=日月の道)に
 則っているためと考えられます。

 

【概意】
カナヤマヒコのウリフ姫ナカコを典侍に配備させれば、
これが暦の “ウリフ月” の名の起りである。
后らは皆、機を織り綴って君に一筋を通す。
ゆえに “還国の君” と称えるなり。

 

 【内宮選定後のアマテルの13后】             出身地

 内宮:    セオリツ姫ホノコ  (サクラウチの娘)  ホツマ国

 北の局 典侍:マス姫モチコ    (クラキネの娘)   根の国
     内侍:コマス姫ハヤコ   (  〃   )   根の国
     乙下:アチコ       (カダの娘)     ヤマシロ

 東の局 典侍:オオミヤ姫ミチコ  (ヤソキネの娘)   ヒタカミ
     内侍:タナハタ姫コタヱ  (  〃   )   ヒタカミ
     乙下:ソガ姫       (ツクバハヤマの娘) ツクバ

 南の局 典侍:ウリフ姫ナカコ   (カナヤマヒコの娘) 美濃
     内侍:ワカ姫ハナコ    (   〃   )  ホツマ
     乙下:イロノヱ姫アサコ  (カスヤの娘)    ツクシ

 西の局 典侍:ハヤアキツ姫アキコ (カナサキの娘)   ツクシ
     内侍:オリハタ姫オサコ  (ムナカタの娘)   ツクシ
     乙下:トヨ姫アヤコ    (  〃   )   ツクシ

 

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 さるたより もものつかさも ひのてえるかな
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 サルタより 百の司も 日の出 得るかな
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■サルタ
サルタヒコの略です。


■百の司 (もものつかさ)
寄る百臣(よるももとみ)” と同じです。


■日の出得る (ひのでえる)
「“還” を “日の出” と言う理由を知る」 という意です。
アヤ冒頭の次の文言に対応しています。

 ミカサ端に 寄る百臣の 締め国の 政 正して
 サルタヒコ “還” を “日の出” の 故 問えば 〈ミ4-1〉

また 日の出=還、還=巡り=恵り=運 ですから、
「運を得る」 の意を重ねているのかもしれません。

 

【概意】
サルタヒコにより 百の司も日の出を得るかな。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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