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一から学ぶ みかさふみ講座 第16回 [2022.6.3]
みかさふみ 酒法の文 (5)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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さかのりのあや (その5)
酒法の文 https://gejirin.com/mikasa02.html
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ゐつよのかみは おおとのち おおとまえなり
つのくゐは おおとのにゐて いくくいお とまえにあひみ
つまとなす かれをはとのそ めはまえと やもつつきまて
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五代の尊は オオトノチ オオトマエなり
ツノクヰは 皇殿に居て イククイを 門前に会ひ見
妻となす 故 男は “殿” ぞ 女は “前”
と 八百続き全て
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■五代の尊 (ゐつよのかみ)
初代から四代目までの尊(=国君)を確認しておきましょう。
初代:クニトコタチ
(ミナカヌシ+トホカミヱヒタメ8尊+キツヲサネ&アミヤシナウ11尊)
二代:クニサツチ 分割統治の導入
三代:トヨクンヌ 君/臣/民
の身分が発生
四代:ウビチニ&スヒヂ 男/女の性別が発生
■オオトノチ (皇殿内) ■オオトマエ (大門前) ■ツノクヰ ■イククイ
5代目の尊(国君)です。
ツノクヰが皇殿に居る時、宮の大門前でイククイと会見し、これを妻とします。
これが オオトノチ(皇殿内) と オオトマエ (大門前)
の名の由来です。
またこれにより、男尊を “殿”、女尊を “前”
と言い習わすようになりました。
したがって
ツノクヰはオオトノチの別名、イククイはオオトマエの別名です。
ツノクヰ/イククイの語義は未解明ですが、“ツノ(角)” は
“トノ(殿)” の
変態であるため、オオトノチ/オオトマエ
と同じ意味の可能性があります。
他文献は、ツノクヰ/イククイ は オオトノチ/オオトマエ の親であると記します。
■八百続き全て (やもつづきまて)
ヤモ(八百)は「多いさま・長いさま」を表す数です。
この意味を表す数は他にも、ヤソ(八十)、ヤチ(八千)、ヤヨロ(八万)、
ヤソヨロ(八十万)、ヤモヨロ(八百万)などたくさんあります。
マテ(▽全て)は マチテ(▽全ちて)の短縮で、これは ミチテ(満ちて)の変態です。
ですから 「満ちて・至って・極まって・終って」
などの意となります。
【概意】
五代目の国君は、オオトノチとオオトマエの夫婦であった。
ツノクヰが皇殿に居る時、大門前でイククイと会見し、これを妻とする。
それゆえ以後 男尊を “殿”、女尊を “前”
と言い習わすようになった。
この時代も長く続いて終了し、
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むよのつき おもたるのかみ かしこねと
やもおめくりて たみおたす
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六代の嗣 オモタルの尊 カシコネと
八方を恵りて 民を治す
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■オモタル ■カシコネ
日本を治める6代目の国君はオモタル&カシコネの夫婦尊でした。
他文献は 面足(おもだる)尊・綾惶根(あやかしこね)尊
などと記します。
オモタルは ヤオモ(八面)+タル(足る)
の略で、ヤオモ(八面)は ヤモ(八方)と
イコールです。したがって 「八方を足らす(恵む)尊」
という意でしょう。
カシコネは カシコ(畏)+ネ(▽和)
で、「畏き人に和す者・尊と対となる者」
を表すのではないかと考えてます。
■恵る (めぐる)
現在の メグル(回る・廻る・巡る)
には自動詞の意味しかありませんが、
ホツマの頃には他動詞の意味がありました。すなわち
「回す・めぐらす・
配る」 等の意です。そしてこれは 「恵む・ほどこす」
と同義となります。
用途は限定的で、「あちこち巡って恵む」
の意味で使う場合が多いです。
夫婦の国君は天空を巡る日と月に擬えられます。日と月は昼夜
空を巡りながら地を恵んでいますが、夫婦の国君も地を恵んで
幸を運ぶ日と月だというわけです。それゆえ天皇の “みゆき”
は
“御幸・行幸” の漢字が宛てられ、また “巡幸”
とも呼ばれます。
天が下 和して恵る 日月こそ 晴れて明るき 民の父母なり 〈ホ7-4〉
■治す (たす)
タスは 「足す」 また 「助す」 が原義で、
「(民や国を)足らし助けてほどよく調える」という意味です。
【概意】
6代目の嗣のオモタル尊は、カシコネと共に八方を恵みて民を治す。
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をうみあつみの なかはしら ひかしはやまと ひたかみも
にしはつくしの あしはらも みなみあわそさ きたはねの
やまとさほこの ちたるまて およへともよほ つきこなく
みちおとろひて わいためな
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近江安曇の 中柱 東はヤマト ヒタカミも
西はツクシの アシハラも 南 阿波・ソサ 北は根の
ヤマトサホコの チタルまで 及べど百万穂 嗣子なく
道 衰ひて わいため無
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■近江安曇 (をうみあづみ)
ヲウミ(近江)は アフミとも呼ばれ、「間・中・中央」
を原義とする地名です。
アヅミ(安曇)は 「壺・都」 を意味する地名です。
現在の滋賀県高島市に安曇川(あどかわ)が流れていますが、
このあたりにオモタル&カシコネの都があったのかもしれません。
ヲウミ/アフミは ヲウ/アフ(合ふ)+フム(踏む)
の短縮の名詞形です。
アヅミは アツム(集む)の名詞形で、「集中」
を原義とし、「壺・都」 を意味します。
■中柱 (なかはしら)
建物の 「中央に立てる柱」 のことで、後には “大黒柱”
とも呼びますが、
この場合は 「国家の中軸」 を意味します。つまり 「都(みやこ)」
です。
■ヤマトヒタカミ
ヤマト(和) は
ヤマツ(▽和つ)の名詞形で、ヤマツは ヤワス(和す)の変態です。
「合・間・和・収・内・中」
などの意を表しますが、ここでは 「内地・本州」 を
意味するのではないかと考えてます。
ヒタカミ(日高み)は 「日が上る方角・東」
の意で、後の陸奥(みちのく)、
現在の東北地方に当たります。
■ツクシ (▽尽州・究州・筑紫)
ツクシは ツキスミ(▽尽州)とも呼ばれ、「九州」
の古名です。
ツクは “尽く” の意、シは シマ(▽州・島)の変態で、
「太陽の尽きる地方=西の州」 という意です。
■アシハラ (葦原・▽朝原)
アシは アス(▽合す・▽和す)という動詞の名詞形で、ここでは
「治める・纏る」 などの意を表します。アシの変態が アサ(朝)です。
ハラ(原)は 「区画・場所・領域」 を表します。
このアシハラは
「御上が治める領・中央政府の統治下にある地」 を
意味します。
■阿波 (あわ)
古くはソアサ、伊予(いよ)と呼ばれていました。阿波はその別名です。
この時代の四国は まだ分割されていないため、阿波/伊予/ソアサは
「四国の全域」 を指します。
アワ(阿波)の名は、二尊の “地のアワ歌”
によって民の言葉が直った
ことに由来します。
ソアサ国 サクナギの子の イヨツヒコ
歌に言葉を 習わせて 二名を求む アワツヒコ 〈ホ5-1〉
■ソサ
「紀州」 の別名です。
ソサは スサの変態で、「スサブ(荒ぶ・進ぶ・遊ぶ)
所」 の意と考えます。
■根 (ね)
ネ(根)は ネノクニ(根の国)の略で、ネノクニはまた、
コヱネノクニ/コシネノクニ(越根の国)の略です。
今の 「北陸地方」 で、福井県・石川県・富山県・新潟県
を含みます。
少し古い言い方だと、若狭・越前・加賀・能登・越中・越後です。
★越根の国 (こしねのくに・こゑねのくに)
コシ/コヱ(越し/越ゑ)は 「巡り・回転」
が原義で、この場合は
「太陽の巡回」 を意味します。ネ(根)は
「根源・原点・始点」 を表します。
よって "越根の国" とは 「日の巡りの原点の国」
という意です。
太陽は東から上って西に沈みますが、その始点は北です。
ですから “越根の国” は 「北の国」、つまり
「北陸地方」 を指します。
根の国(ねのくに)、根(ね)、還(こゑ)、越(こし)
などと簡略されます。
■サホコのチタル
語義は不明ですが、現在の 「中国地方 (=山陽+山陰)」
を指します。
“ホソホコチタル” とも “ソコチタル” とも呼ばれ、“サホコ国”
“チタル国” と
略します。辞書には 細戈千足国(くわしほこのちだるくに)
と記されます。
根の国とサホコは共に、イサナキの父アワナギが開拓した国であるため、
この時点ではまだ両国の区別があまり明確でなく、サホコチタルは
根の国の延長として扱われています。
アワナギは 根の白山麓 チタルまで 法も通れば 〈ホ2-4〉
■百万穂 (もよほ)
モヨ(百万)は 「1,000,000」 です。
ホ(穂)は 真榊が1年に伸ばす枝の長さ(半寸)をいい、「年」
の同義語です。
■道 (みち)
単に “道” という場合は、多く アメナルミチ(陽陰和る道)
をいい、
この場合は
「相反するものを和合・調和する道・治める道」
を意味します。
他にも “ヤマト(和)の道” “ト(調)の道”
など、多くの言い方があります。
■わいため (弁別)
「次々に巡ってゆくさま」
を原義とし、「順序・秩序・筋道」 などを意味します。
【概意】
近江の安曇を都として、東は本州ヒタカミも、西は九州の領地も、
南は四国と紀州、北は北陸と本州中国地方にまで治めが及ぶも、
100万年を経ても嗣子が生れず、治める道の衰えて世に秩序無し。
ミナカヌシ─天の八尊─地の十一尊─クニサツチ(2代)─トヨクンヌ(3代)┐ ←…… クニトコタチ(初代) ……→ │ │ ┌――――――――――――――――――――――――――┘ │ └ウビチニ (4代)├――――ツノクヰ スヒヂ (5代)├――――オモタル イククイ (6代)├ … (断絶) カシコネ
本日は以上です。それではまた!