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一から学ぶ みかさふみ講座 第21回 [2022.7.26]

みかさふみ 一女三男の文 (4)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 ひめみをのあや (その4)
 一女三男の文 https://gejirin.com/mikasa03.html
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 やわしてあわお ゑなとして やまとあきつす あはちしま
 いよあわふたな おきみつこ つくしきひのこ さとうしま
 うみてうみかわ やまのさち
 きをやくくのち かやのひめ のつちもなりて
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 和してアワを 胞衣として ヤマト秋津洲 淡路島
 伊予阿波二名 隠岐三子 筑紫 吉備の児 佐渡 大島
 生みて海川 山の幸
 木祖ククノチ 茅の姫 野槌も生りて
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■和す (やわす)
ホツマ・ミカサを理解する上で非常に重要な言葉です。
原義は 「陽と陰を融合して一つにする」 です。
これは両極端を和して 「中和・緩和・調和する・やわらげる」 ことを
意味し、例えば、酸とアルカリを和して中性にするということです。
このことから 「調えて直す」 という意味にも使います。

 アワス(合わす)とヤワス(和す)は似ていますが、少し違います。
 アワスは 「添える・くっつける・混ぜる・ぶつける」 という感じですが、
 ヤワスはもう少し深くて、「溶かす・融合させる・一つにする」 という感じです。

 
■和してアワを胞衣とす (やわしてあわおゑなとす)
陽陰の二尊が一つとなって(和して)、民を調え直して(和して)、国に和の道
(調和の道)を敷いて、と3段階の意味を “和して” に重ねます。
民の調教はアワ歌で言葉を直すことから始めましたが、都を置く中国(なかくに)は、
アワ歌により 和の道 が通ったため、 アワ国 とも呼ばれるようになります。
このアワ国を胞衣(育成基盤)として、二尊は国家再生に力を尽すのです。

・歌に音声の 道 開け 民の言葉の 調えば 中国の名も アワ国や  〈ホ5-1〉
・和(まと)の教えに かかんして のんアワ国は てんヤマト 〈ホ5-4〉
・音声の道 開きて なるアワ国を 胞衣として ヤマト八州を 生み給ふ〈ミ10-3〉

 
■ヤマト秋津州 (やまとあきつす)
ヤマトは ここでは 「中・内地・本州」 を意味します。
アキツ(秋津・蜻蛉)は 「トンボ」 のことですが、日本の本州の形は
「交尾中のトンボ」 の姿に似るため、秋津州(あきつす・あきつしま)と呼ばれます。

 あなにえや 得つは内結ふ まさき国 
 形 アキツの となめせる これアキツ州 〈ホ31-2〉

 
■伊予阿波二名 (いよあわふたな)
「伊予と阿波の二名を持つ州」 の意で、これも 「四国」 の別名です。
古くは ソアサ、イヨ と呼ばれていましたが、二尊の 地のアワ歌 によって
四国の民の言葉が直ったため、アワ(阿波) とも呼ばれるようになります。

 ソアサ国 サクナギの子の イヨツヒコ
 歌に言葉を 習わせて 二名を求む アワツヒコ 〈ホ5-1〉


■隠岐三子 (おきみつご)
オキは 「大き」 の意で、この場合は 「親」 を表します。
オキミツゴは隠岐諸島にある 「親島と三つの分島」 を指します。


■吉備の児・吉備の孤 (きびのこ)
現在の岡山県南部の 「児島半島」 をいいます。昔は海に浮かぶ孤島でした。

 
■大島 (うしま)
いろんな説がありますが、筆者は 「伊豆大島」 と考えています。

 ★大・央 (おお・を・う)
 今に言う オオ(大・多・央・太)は、ウホ(uho)が原形で、
 そこから ウオ(uo)、ヲ(wo)、ウ(u)、ヲヲ(wowo)、
 ヲオ(woo)、オホ(oho)、オオ(oo) などの表記形が派生します。
 ウホは ウワ(上)・ウエ(上)の変態です。


■生みて (うみて)
これは 「再生して」 の意と思います。つまり和の道を敷いて秩序を回復し、
「統治システムを再生」 したということでしょう。


■海川山の幸 (うみかわやまのさち)
国に和の道が通って民の心が和らぐにともない、
「自然の恵みをもたらす自然神も再び喜んで働き出した」
という意味だと思います。

 ★サチ (幸・▽鉤)
 サチは サツ(▽擦つ)の名詞形で、「往き来・やりとり・返り」 を原義とし、
 サチ(幸)は 「見返り・報い・対価・獲物」 などを意味します。
 シチ(質)は このサチの変態です。


■ククノチ (くくのち)
クク(▽木々)+の+チ(▽霊/▽治) で、
「木々を守り治める自然神(精霊)」 です。
他文献では “句々廼馳・久久能智命” などと記されます。


■茅の姫 (かやのひめ)
「茅(=草)を守り治める自然神(精霊)」 です。
他文献では “草野姫・鹿屋野比売” などと記されます。


■野槌 (のつち)
ノ(野)+つ(=の)+チ(▽霊/▽治) で、
「野山に棲む生き物を守り治める自然神(精霊)」 と思います。
野椎・野つ霊” とも記されます。

 

【概意】
陽陰の二尊が一つに和し、民を調え直し、国に和の道を敷き、
アワ歌に成るアワ国を基盤として、本州の秋津洲、また淡路島、
伊予阿波二名、隠岐三子、筑紫、吉備の児、佐渡、大島を再生。
それにともない 海川山の幸をもたらす自然神も、
木草や野の生き物を治める自然神も その守護を再開する。

 

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 あわうたに をさむはらみの みやにゐて
 すてにやしまの くにうみて いかんそきみお うまんとて
 ひのかみおうむ そのみなお うほひるきまた
 あまてらす をおんかみとそ たたえます
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 アワ歌に 治むハラミの 宮に居て
 「すでに八州の 国生みて 如何ぞ君を 生まん」 とて
 日の神を生む その御名を “ウホヒルキ” また
 “和照らす 大御神” とぞ 称えます
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■ハラミの宮 (はらみのみや)・ハラの宮 (はらのみや)
「ハラミ山麓の宮」 という意味で、ハラミ山は今の 「富士山」 です。
この宮はホツマ国の都です。
ホツマ国は中国(なかくに)の一部で、今の関東〜東海地方をいいます。

 ★ハラミ山 (はらみやま:孕み山)
 二尊が日月の神霊を 「孕む山」 という意で、今の 「富士山」 をいいます。
 カグヤマ(橘山)・オオヒヤマ(太陽山)・ヒノヤマ(日の山)・オオヤマ(太山)・
 コノヤマ(熟山/九の山)・トヨヰユキ山(響居雪山)・フシの山 など、
 多くの別名がありますが、ハラミ山が最も一般的な呼び名です。

 ★ホツマ国 (ほつまくに)
 “ホツマ” には2つの意味がありますが、ここでは「日の昇り・東」 を意味します。
 これは語義としてはヒタカミ(日高み)、ヒタチ(日立・常陸)と同じですが、
 ヒタカミは 「東北地方」、ヒタチは 「房総」、ホツマは 「関東〜東海地方」 をいいます。
 ヒタチとホツマは 中国(なかくに)に含まれます。

  このホツマは ホツ(▽発つ)+ツム(▽立む) の短縮 "ホツム" の名詞形で、
  「立ち上り」 を原義とし、「日が立ち上る国=東の国」 を意味します。


■八州 (やしま)
シマ(州・洲・島・嶋)は シメ(締め)の変態で、
「八つの締め・八つの区画」という意味です。


■如何ぞ (いかんぞ)
「どうにかして・なんとしても」 などの意です。

 いかん‐ぞ【如何ぞ】  (広辞苑)
 〔副〕 (主として漢文訓読に用いる)
 1.どうして。なんとして。
 2.(文末で)どうだ。どんなだ。


■日の神 (ひのかみ)
「太陽の神霊」 という意味で、アマテルを指します。
アマテルは正確には日と月の両神霊の顕現ですが、
“日の神” と簡略して呼ぶことが多いです。


■ウホヒルキ (太陽霊貴/大日霊貴)
ウホ(大・太)+ヒ(陽・日)+ル(霊)+キ(木・貴) で、アマテルの幼名です。
ウホヒル(太陽霊・大日霊)は 「日の神霊」 を意味します。
キは キミ(木実)の “キ” と同じで、「先に上昇した陽/男」 を表します。
ウヒルキとも記されます。

・泣く御子の 声 聞き取れば 「あな嬉し」 これより諸が
 名を乞ひて 叔母より問えば 「ウヒルキ」 と 自ら答ふ 〈ホ4-5〉
・幼名の "ウ" は '大い' なり "ヒ" は陽の環 
 "ル" は日の精霊 "キ" は 'キネ' ぞ
 故 太陽霊貴の 尊なり "キネ" は女男の 男の君ぞ   〈ホ4-5〉

後世、これを “おおひるめのむち” と読んだことが、
天照大神は女神であるという誤解(陰謀?)の基礎となります。


和照らす大御神 (あまてらすをおんかみ)
アマテラス(▽和照らす)は 「和(やわ)して照らす・ほどよく調えて恵む」
という意で、日や月が地球に与える恵みを表現したものです。
大御神(をおんかみ・ををんかみ)は 「おほおほ(大々・大央・皇大)の神」 の
音便で、御神(をんかみ)より 1ランク尊敬レベルの高い言い方です。


■称えます (たたえます)
“ます” は尊敬を表す場合と、謙譲を表す場合とがありますが、
ここでは後者です。

 ま・す【申す】  (広辞苑)
 他四(マウスの約)
 1.「言う」 の謙譲語。
 2. 他の動詞に添えて謙譲の意を表す。

 

【概意】
そしてアワ歌により治まる ハラミの宮に居る時、
「すでに八州の国を生みたる今、なんとしても君を生まん」 と日の神を生む。
その御名を “太陽霊貴” また “和照らす大御神” とぞ称え申す。

 

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 くにうるはしく てりとほる
 くしひるのこは ととめすと あめにおくりて
 あめのきと みはしらのみち たてまつる
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 国 麗しく 照り通る
 「貴霊の子は 留めず」 と 天に送りて
 “陽陰の起” と “御柱の道” 奉る
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■照り通る (てりとほる)
これは 「日の御子の光が国の八方に行き渡る」 という意味です。
ホツマの4アヤには、この光が通って八方に黄金が放出したと記されます。

 御子の光の 照り通り 八方に黄金の 放さけば
 日の分宮の ワカヒトと トヨケ斎名を 奉る 〈ホ4-6〉

 
■貴霊・奇霊 (くしひる・くしひ)
「尊い神霊」 を意味し、この場合は特に 「日月の神霊」 をいいます。

 ヒル(▽霊)は ヒル(▽秀る)の名詞形で、「上位にあるさま」 を表し、
 カミ(上・神)と同義です。ミ(霊)ヒ(霊)・ヰ(霊)、また ル(霊) と
 短縮されます。


■留めず (とどめず)
この場合は 「手許に留めず」 という意です。


■天に送る (あめにおくる)
アメ(▽上・天)は 「上・高み・中心」 などを原義とし、
この場合は 「ヒタカミのトヨケの許に送る」 ということです。

 二尊畏れ 「我が宮に むべ育てじ」 と 天に上げ
 オキツの宮に 帰ります  〈ホ4-6〉

 
■陽陰の起 (あめのき) ■御柱の道 (みはしらのみち)
これらは文書の名と考えます。“陽陰の起” は「陽陰の起り・天地創造」の意、
“御柱の道” は、国家の「中軸たる国君の道」の意と思います。

 さらに推せば、この二文書は断絶した旧中央政府の君に代々伝えられて
 きたものが、二尊に譲られたのかもしれません。だとすれば後の三種宝の
 「陽陰和る文(あめなるふみ)」と同様、これは皇位の証だったはずです。



■奉る (たてまつる)
これは二尊がウホヒルギに奉ったのだと思います。“奉る” は下位の者が
上位の者に献上するという意ですから、国君である二尊が、自らの子である
ウホヒルキをすでに上位者とみなしているわけです。

 

【概意】
日の御子の光が、麗しく国に照り通れば、
「尊き神霊の子は我が手許には留めてはおけない」 と、
ヒタカミのトヨケの許に送り、
"陽陰の起" と "御柱の道" の二書を御子に奉る。

 

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 かれにはらみお おおひやま
 とよけかかゑて わかひとと いみなおささく
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 故にハラミを “太陽山”
 トヨケ考えて “ワカヒト” と 斎名を捧ぐ
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■ハラミを太陽山 (はらみおおおひやま)
ハラミはここではハラミ山(=富士山)をいいます。
ハラミ山は 「二尊が日月の神霊を孕んだ山」、ということで “孕み山” です。
またこれは 「太陽霊貴(うほひるぎ)の神霊を孕んだ山」 ということでも
ありますから、“太陽山(おおひやま)” の名が加えられたわけです。


■考える (かがゑる)
今に言う カンガエル(考える) と同じですが、
カガ(▽明暗)+ヱル(得る) で、「明暗/陽陰を合わす」 を原義とし、
「照らし見る・比べ見る・比較考慮する」 などの意を表します。
ですから カンガミル(▽明暗見る・鑑みる) と同義です。
カガナフ(▽明暗和ふ) ともいいます。


■ワカヒト (分日人/若日人)
アマテルの斎名(本名・実名)です。
意味は 「日から分かれ出た人」 で、ワカヒト(分日人)。
また 「若日(初日の出)と共に生まれた人」 で、ワカヒト(若日人)です。

・日の分宮の ワカヒトと トヨケ斎名を 奉る 〈ホ4-6〉
・時 二十一鈴 百二十五枝 三十一 キシヱの 初日の出
 若日と共に 生れませば 斎名ワカヒト    〈ホ28-1〉


■捧ぐ (ささぐ)
これは “奉る(たてまつる)”と同じで、下位者が上位者に献上するという
意味です。先代の国君のトヨケでさえ、自分の孫をすでに上位者とみなして
います。

 

【概意】
御子の名の太陽霊貴に因んで、ハラミ山を “太陽山“ と。
トヨケは鑑みて、“ワカヒト” と斎名を捧ぐ。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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