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一から学ぶ みかさふみ講座 第20回 [2022.7.14]
みかさふみ 一女三男の文 (3)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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ひめみをのあや (その3)
一女三男の文 https://gejirin.com/mikasa03.html
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あるかたち あめにつくれは ふとまにお あちはえいわく
ゐよのうた ことおむすはす ことあけも めはさきたてす
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ある形 天に告ぐれば フトマニを 味わえ曰く
「五・四の歌 言を結ばず 言挙げも 女は先立てず」
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■ある形 (あるかたち)
アル(有る・在る・生る)+カタチ(形) で、
「現れたさま・ありさま・状況・結果」 などの意です。
カタチ(形)は カタツ(▽固つ)という動詞の名詞形で、
「物質的な現れ・目に見えるさま」 を意味します。
■天 (あめ)
このアメは アム(▽上む)の名詞形で、「上・高み・中心」
などを原義とし、
ここでは 「御上(おかみ)・中央政府・都・皇」
などを意味します。
この時点においては ヒタカミ国主のトヨケ(斎名タマキネ)
を指します。
この時の暫定的な中央政府はヒタカミにありました。なぜ暫定的かといえば、
オモタル&カシコネに代嗣がなかったため、クニトコタチの皇統を受け継ぐ
本来の中央政府が断絶したからです。
その国家危機を支えたのはヒタカミ国主のトヨケ(斎名タマキネ)でした。
トヨケは
根の国主の息子タカヒトと、自分の娘のイサコを婚姻で結び、
この夫婦を国家君主として新たな中央政府(皇統)を打ち立てんとしています。
■フトマニ (太兆)
「万象の現れ」 という意味で、フトマニ図の48神をいい、これはすなわち
「日本語の48音」
です。人は万象を言葉に変換して理解を得て、
言葉によって思考し、また言葉によって意思を伝達するわけですから、
言葉の元である48音は 「万物万象の源」
ということになります。
フト(▽悉・太)は フツ(▽悉つ)の名詞形で、「すべて・悉く」
の意。
マニ(随・任・儘)は
マヌ(真似)の名詞形で、「合わせ・写し/映し」
が原義です。
それゆえ万物を生まんとする二尊は、万物の源(=言葉)を
この世(現象世界)に放出し、そのエネルギー(=言霊)が
具象する(形を結ぶ)ことを期して、“言挙げ”
するわけです。
■五・四の歌 (ゐよのうた)
「五・四調に綴った歌」 の意で、すなわち
イサナミの『あなにえや ゑをとこ』と、
イサナキの『わなうれし ゑおとめ』の2歌を指します。
■言を結ばず (ことおむすばず)
「言葉を結んで形にしない」 という意で、つまり
「言葉を具象させない・言葉を実現しない」
ということです。
しかし何故に五四の歌はそうなのか、という論理的根拠は不明です。
■女は先立てず (めはさきたてず)
「女は先に声を上げない」 という意です。
【概意】
そのありさまを御上に告げば、歌の言葉を吟味して言うに、
「五音・四音に綴る歌は、言葉を結んで形にしない。」
「言挙げも 女は先に声を挙げない。」
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とつきとは めのにわなふり をゆれなく をとりなきさる
またあるひ をとりよそおふ めかしりて あひましわれは
あめよりそ とりにつけしむ とつきのり
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「とつぎとは 雌のニワナフリ 尾搖れ鳴く 雄鳥
鳴き去る
またある日 雄鳥装ふ 雌が知りて 合ひ交われば
天よりぞ 鳥に告げしむ とつぎ法」
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■とつぎ
トツ(閉づ・綴づ)+ツク(付く・接ぐ) の短縮 “とつぐ”
の名詞形で、
陽陰/男女の 「交わり・結び・和合」 を意味します。
今は “嫁ぎ” と宛てられますが、これだと
女が男の家に入るという
イメージしか湧かないため、ひらがなを使ってます。
■ニワナフリ
セキレイ(鶺鴒)の古名です。
長い尾を上下に振る習性があり、またオスがメスに対して
“ディスプレイ”
という求愛行動をとることで知られます。
辞書には ニワクナブリ
の名で載ってます。
■装ふ (よそおふ・よそふ)
“ディスプレイ” のことを言うのでしょう。
「翼を広げてポーズをとってメスに見せる」
ことをいいます。
ヨス(寄す)+オフ(負ふ・帯ぶ)
の連結で、
短縮形が ヨソフ(装ふ)
です。
■天 (あめ)
このアメも
アム(▽上む)の名詞形で、「上・高み・中心」
などを原義とし、
ここでは「天上界・神界・非物質界」をいいます。
■鳥に告げしむとつぎ法 (とりにつげしむとつぎのり)
「鳥に告げさせるとつぎの作法」 という意味です。
おそらく “とつぎ” に “鳥告ぎ”
をかけているのでしょう。
辞書でセキレイを調べると、“とつぎおしえどり”
という別名が見つかります。
せき‐れい【鶺鴒】 (広辞苑)
スズメ目セキレイ科に属する小鳥の総称。長い尾を上下に振る習性がある。
多く水辺にすみ、セグロセキレイ・ハクセキレイ・キセキレイなどがある。
いしくなぎ。いしたたき。かわらすずめ。にわくなぶり。とつぎおしえどり。
つつなわせどり。〈[季]秋〉
【概意】
「とつぎとは、
雌のセキレイが尾を揺らして鳴くと、雄鳥は鳴き去る。
また別の日に雄鳥が翼を広げて装うと、
雌がこれを見て、雌雄は交尾するにいたれば、
天界より鳥に告げしめるとつぎの作法である。」
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さらにかえりて ふたかみは あらたにめくり
をはひたり めはみきめくり あひうたふ あめのあわうた
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更に返りて 二尊は 新たに回り
男は左 女は右回り 会ひ歌ふ 天のアワ歌
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■更に返る (さらにかえる)
「初めに戻る・初めからやり直す」 などの意です。
サラ(更・新)は
“まっさら” のサラです。これはサル(▽更る)という
動詞の名詞形で、その原意は「回る・回帰する・改まる」
などです。
辞書には 更返る“
という言葉があります。
■天のアワ歌 (あめのあわうた・あのあわうた)
こちらを参照してください。
正に聞くべし 二尊の 天のアワ歌に 国を生み
地のアワ歌に 音声和る 〈ミ1-4〉
【概意】
初めに返って、二尊は新たに柱を回る。
男は左(東)より女は右(西)より回り、会う時に歌う “天のアワ歌”。
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あなにゑや うましおとめに あいぬ
ときめかみこたえて
わなにやし うましをとこに あひきとそ
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「あなにゑや うまし女に 会いぬ (我結ぬ)」
時 女尊応えて
「わなにやし うまし男に 会ひき (我引き)」とぞ
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ここは五七調が少々いびつなため
言葉の区切りを調整しています
■うまし女 (うましおとめ) ■うまし男 (うましをとこ)
ウマシは「心に合う如し・好む如し」という意です。
ですから前回の ヱオトメ(愛女)・ヱヲトコ(愛男)
を言い換えてるだけです。
■わなにやし
ワナは アナと同様の感嘆詞ですが、アは 「陽・天・男」
に、
ワは 「陰・地・女」
に対応することに留意する必要があります。
ニヤシは ニユ(▽和ゆ・似ゆ/煮ゆ)の形容詞形で、
「心に合う如し・好む如し」 また
「心が熟す如し・心が潤う如し」 などの
意となります。
「奈良」 にかかる枕詞の “あをによし”
は、これの変態と考えてます。
■会いぬ (あいぬ) ■会ひき (あひき)
それぞれ 「会うなり」 「会うごとし」という意味です。
今の古典文法では ‘ぬ’ は完了、‘き’
は過去の助動詞とありますが、
ホツマ・ミカサの時代には時制を表す意味はまだありません。
そしてこれに 我結ぬ(あいぬ)、我引き(あひき)
の意味を重ねています。
我結ぬは 「我は付く・結ぶ」
という意で、陽の能動性を表します。
我引きは 「我は引く・退く」
という意で、陰の受動性を表します。
これについてはミカサの アワ歌の文
で詳しく述べたいと思います。
【概意】
「ああ麗しや、いい女に会ったものよ (いい女に我は付くぞ)」
時に女神は応えて
「わあ素晴らしい、いい男に会ったみたい (いい男に我は引き)」
ところで前回と今回では何が違うのでしょうか?
前回は女尊が左から、男尊は右から回って
女尊:「あなにえや ゑをとこ」
男尊:「わなうれし ゑおとめ」
今回は男尊が左から、女尊は右から回って
男尊:「あなにゑや うましおとめに あいぬ」
女尊:「わなにやし うましをとこに あひき」
1.まず今回は男尊が左(東)から、女尊は右(西)から回っています。(前回は逆)
どちらも時計回り(右回り)に回りますが、両者は180度位相がずれています。
これは日と月の動きと同じで、男(日)が西に沈む時、女(月)が東に上ります。
2.男尊が先に歌っています。(前回は逆)
3.男尊の歌はア(陽・天)から、女尊の歌はワ(陰・地)から始まります。(前回は逆)
4.歌の綴り方は五・七・三です。(前回は五・四)
つまり今回はアメノミヲヤの 天地創造の過程
に沿っているのです。
本日は以上です。それではまた!