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徹底解説みかさふみ講座 第26回 [2022.9.15]

みかさふみ 還十二の后立つ文 (4)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 こゑそふのきさきたつあや (その4)
 還十二の后立つ文 https://gejirin.com/mikasa04.html
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 あまてらす きみおこゑちに なからゑと ををひやまさの
 としたみや さらにつくりて ふつなるお あめにつくれは
―――――――――――――――――――――――――――――
 和照らす 君を還道に 永らえと 太陽山南[下]の
 トシタ宮 新に造りて ふつ成るを 天に告ぐれば
―――――――――――――――――――――――――――――

■和照らす君 (あまてらすきみ)/和照らす尊(あまてらすかみ)
「和(やわ)して照らす君」 の意で、ここではアマテル(斎名ワカヒト)を指します。
“和して照らす” は “和して恵る” と同義で、「ほどよく調えて恵む」 ことをいい、
これは 「日・月の効能」 を表します。

 天が下 和して恵る 日月こそ 晴れて明るき 民の父母なり 〈ホ7-4〉

そのため アマテラスキミ/カミ(和照らす君/尊)は、アマツキミ(和つ君)、
ヒツキノキミ(日月の君)、アマツヒツキ(和つ日月) などとも換言され、
<アマテル本人は 日と月の神霊の顕現であるため、まさにこれですが、>
アマテル以降は、その子孫が継ぐ 「中央政府の君・国君・皇」 の別称となります。

 
 ★アメ・アマ・アワ (▽和/▽陽陰)
 アメ/アマは アム(編む)の名詞形で、「和合・調和」 などが原義です。
 アムは アフ(合ふ)の変態で、アフの名詞形が アワです。このことから、
 互いに結び付く(和合する)性質を持つ正反対の二つ (陽と陰) についても
 アメ(陽陰)、あるいは アワ(陽陰) と名付けられたと推察しています。
 今日、アメ/アマを “和” と表記する例はほとんどありませんが、
 唯一、アマナウ(和ふ) という語が辞書に載ってます。

 
■還道 (こゑち)
還の道(こゑのみち) と同じです。「循環/巡回の道」 という意ですが、
ここでは 「日と月が東西南北を巡回して地上を恵む道」 をいいます。
“日月の道” と言っても良いと思います。

 ★還 (こゑ)
 コヱは コユ(越ゆ)の名詞形で、カヱ(替・返・還)の変態です。
 「巡る・回る・返る・転移する・循環する」 などの意を表しますが、
 ここでは 「循環・巡回・ローテーション」 などを意味し、
 この意味の場合は “還” と宛字しています。

 
■永らふ (ながらふ)
ナカラ(半ら)+アフ(合ふ和ふ) の短縮で、ナカラは 「なかば・途中」 の意。
これは “〜しながら” の ナガラ と同一です。アフは 「(身を) 合わす」 の意です。
ですから 「(ある過程の) なかばに身を置く・途中にある」 というのが原義です。
単に “永らふ” という場合、「世に生存する」 の意に使う場合がほとんどですが、
ここでは 「還道の途上に居続ける・日月の恵みを与え続ける」 という意味になります。


■太陽山南/太陽山下 (ををひやまさ)
太陽山/大日山は 「ハラミ山」 の別名です。
ヤマサの ‘サ’ は、キツサネの 「南」 か、サグ(下ぐ)の名詞形の 「下」 か?長らく
悩んでいますが、いくら考えても決着しそうにないので、放置することにしました。

 ヤマサを “山南” と解釈すれば、ハラミの宮の位置がハラミ山の南に確定されて、
 まことにめでたいのですが、同じ内容を語るホツマ6アヤは、“ヤマト(山下)” と
 記しているのです。 この部分は、ホツマとミカサで共通の伝承文をベースに
 していると思われ......ならば表現は多少異なっても同じことを伝えるはずで......
 ミカサの場合は誤写の可能性も大いにあるし.........悩むわけです。

 二十一鈴 百二十六枝 年サナト 三月一日 日の山下(ひのやまと)
 新宮造り 陽陰御子は ヒタカミよりぞ 移ります    〈ホ6-1〉


■トシタ宮 (としたみや)
トシタ陽陰宮(としたあめみや) と同じです。
ハラミ山麓にある宮で、ホツマ国の都であり、ここでアマテルは生れています。
ハラミの宮、ハラの宮、サカオリの宮 など、多くの別名がありますが、
“トシタ陽陰宮/トシタ宮” もその一つで、おそらく最も古い名です。


■新に造る (さらにつくる)
「あらためて造る・新たに造る」 の意です。

 サラ(更・新)は サル(▽更る)の名詞形で、
 「あらためるさま・あらたなさま」 を意味します。


■ふつ成る (ふつなる)
「ことごとく成る・完成する」 の意です。

 フツは フツ(沸)・フト(太)の変態で、「行き着くさま・至るさま」 を
 表します。この場合は フツクニ(悉に) の簡略と考えてOKです。


■天 (あめ)
アム(▽上む)の名詞形で、「上・高み・中心」 などを原義とし、
ここでは 「御上(おかみ)・中央政府・都・皇」 などを意味します。
この場合は アマテルが居る 「ヒタカミの都」 をいうものと思います。

 アマテルは祖父のトヨケから道を学ぶため、16歳から87歳まで
 ヒタカミ国の都である ケタツボ(方壺) に滞在しています。

 

【概意】
和して照らす君が、還の道 (巡回して地を恵む日月の道) を
ずっと続けるようにと、太陽山 南[麓]のトシタ宮を新たに建造し、
その完成を御上に告げれば、

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 ふそひすす ももふそむゑた としさなと やよいついたち
 あめみこは ひたかみよりそ うつります
 ふたかみゐめお みことのり
 タカミムスビと やそきねか もろとはかりて
―――――――――――――――――――――――――――――
 二十一鈴 百二十六枝 年サナト 三月一日
 陽陰御子は ヒタカミよりぞ 移ります
 二尊 斎侍を 御言宣
 タカミムスビと ヤソキネが 諸と諮りて
―――――――――――――――――――――――――――――

■二十一鈴百二十六枝 (ふそひすずももふそむゑだ)
マサカキの枝の数と長さを利用した暦法で、
21鈴126枝は 126万7560年に相当します。
明確な記述はありませんが、その起点はウビチニ夫婦が即位した頃です。

 太古、ヱの尊とトの尊が植えたマサカキは、植え継ぎが500回の限界に
 達したため、ウビチニ&スヒヂの時代に累計年数が一旦リセットされています。
 これは人類に男女の別が生じた時に、暦がリセットされたということであり、
 きわめてエポックメーキングな出来事です。

 
■サナト
我が国本来の干支の表し方で、今風には 辛酉 (かのと・とり) と言います。
60年/日で一巡する58番目ですので、“年サナト” は 「58穂」 の言い換えです。
アマテルは 21鈴125枝31穂の1月1日生れですから、この時87歳です。


■陽陰神子 (あめみこ)
陽陰(=日月)の神霊の分け身」 という意味で、アマテル(斎名ワカヒト) を指します。

 ★御子・神子 (みこ)
 ミ(御)は カミ(上・▽尊・神)の略形です。
 ですから 「上位の子・尊い子・神の子」 などを意味します。


■斎侍 (ゐめ)
ヰム(斎む)+メ(▽侍) の短縮で、ヰムは イツク(斎く・傅く)と同義です。
メは ハベ/ハメ(▽侍)が詰まったもので、「侍る者・仕える者」 をいいますが、
多くの場合、男は (▽侍・部・兵・兵衛)、女は (▽侍・女)と呼びます。
ゆえに ヰメ(斎侍)は 「かしずく女・侍女」 を意味します。
斎侍は キサキ(后・妃)とも呼ばれますが、「正妃」 ではなく、むしろ 「側室」 です。
正妃はウチミヤ(内宮)と呼ばれ、12人の斎侍の中から一人が選ばれます。

 “二尊 斎侍を御言宣” の部分は ホツマ6アヤと同文なのですが、
 “ヰメ” は 写本によっては “ミメ” あるいは “ヱメ” と記されています。
 “ヰメ” と記すのが4写本、“ミメ” “ヱメ” と記すのが各1写本です。
 筆者も ヰメ が本命だろうと思います。ただ ミメ(御妻・妃)という
 言葉も確かに存在しますし、意味するところも非常に近いです。
 ヱメ は 「衛女」 (守りの女・世話する女) を表す言葉かもしれません。
 されば いずれ真と言い難しです。


■タカミムスビとヤソキネ
タカミムスビは、ここでは7代目のタカキネを指します。
ヤソキネは、6代タカミムスビの斎名で、別名がカンミムスビです。
つまりヤソキネとタカミムスビは父と子です。
ホツマ6アヤの同文部分は “カンミムスビのヤソキネ” と記しています。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ─ヲオナムチ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネタカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫

 
【概意】
21鈴126枝の 年はサナトの 3月1日、
陽陰御子(=日月の御子)はヒタカミよりぞ移ります。
二尊は斎侍の選定を御言宣。
タカミムスビ(=タカキネ)とヤソキネが 諸と諮りて、

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 くらきねか ますひめもちこ ねのすけと
 そのとめはやこ こますひめ ねのうちきさき
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 クラキネが マス姫モチコ 北の典侍と
 その妹姫ハヤコ コマス姫 北の内后
―――――――――――――――――――――――――――――

■クラキネ
アワナギの子で、イサナキ・ココリ姫の兄弟です。
アワナギの後を継いで、根の国サホコチタル国を治めます。


■マス姫モチコ (ますひめ・もちこ)
クラキネの娘で、“マス姫” は通称、“モチコ” は斎名です。

 ★斎名 (いみな・ゐみな・いむな・ゐむな)
 「斎む名・大切な名」 という意味で、「本名・実名」 をいいます。
 誕生時に付されるとは限らず、また 途中で変更される場合もあります。
 ホツマ・ミカサにおいては非常に重要な人物のみ 斎名が公表されてます。


■北の典侍 (ねのすけ)
「北の局の典侍」 という意です。
スケ(助・典侍・次官)
は、スク(直ぐ/挿ぐ・結く)の名詞形で、
「君の直近に付いて補佐する者」 を意味します。

 ★局 (つぼね) ★典侍 (すけ) ★内侍 (うちめ) ★乙下侍 (おしもめ)
 アマテルの斎侍(=后)は、合計12人備えられましたが、北・東・南・西の
 四局に3人ずつ配置されます。3人のうち、最上位の斎侍が典侍(すけ)で、
 次席は内侍(うちめ)、最下位は乙下侍(おしもめ)と呼ばれます。
 これも1年が四季に分かれ、四季は各々3ヶ月に分れることがモデルです。
 アマテルに始まるこの局の制は、以降の皇君にも引き継がれます。


■妹姫 (とめ)
ト(▽乙・▽弟・▽下)+メ(女) の意で、「妹(いもと)」 と同じです。


■ハヤコ・コマス姫 (はやこ・こますひめ)
モチコの妹です。“コマス姫” は通称、“ハヤコ” は斎名です。


■北の内侍 (ねのうちめ)
「北の局の内侍」 です。
ウチ(内)=ナカ(中) で、“内侍” は 「中位の侍女」 という意味です。


【概意】
クラキネのマス姫モチコを北の典侍と。
その妹姫のハヤコ、コマス姫は北の内后に。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 やそきねの おおみやみちこ きのすけに
 たなはたこたゑ きのうちめ
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 ヤソキネの オオミヤミチコ 東の典侍に
 タナハタコタヱ 東の内侍
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■オオミヤ・ミチコ
ヤソキネの娘で、通称 “オオミヤ姫”、斎名が “ミチコ” です。
“トヨハタ姫” とも呼ばれたようです。


■タナハタ・コタヱ
同じくヤソキネの娘で、通称 “タナハタ姫”、斎名が “コタヱ” です。

 

【概意】
ヤソキネのオオミヤ姫ミチコを東の典侍に。
タナハタ姫コタヱを東の内侍に。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 さくらうちかめ さくなたり せおりつほのこ さのすけに
 わかひめはなこ さのうちめ
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 サクラウチが姫 サクナダリ セオリツホノコ 南の典侍に
 ワカ姫ハナコ 南の内侍
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■サクラウチ
初代のオオヤマズミです。
オオヤマスミとは 「大山の麓の地域(=相模国)を統べる者」 という意味で、
オオヤマは神奈川県伊勢原市にある 「大山」 を指します。

 オオヤマズミは個人名ではなく、ホツマには3人のオオヤマズミが登場します。
 記紀には 大山津見神/大山祇神 と記されます。


■サクナダリ ■セオリツ・ホノコ
サクラウチの娘で、通称 “セオリツ姫”、斎名が “ホノコ” です。
サクナタリは サク(咲く・▽栄く)+ナダル(傾る) の名詞形で、
「勢いよく落下すること」 を表し、‘セ’ にかかりますが、その理由は後で述べます。
大祓詞には “佐久那太理”、“瀬織津比賣” と記されます。

 【大祓詞 より一部を抜粋】
 高山の末 短山の末より 佐久那太理に落ちたぎつ 速川の瀬に坐す
 瀬織津比賣と云ふ~ 大海原に持ち出でなむ


■ワカ姫ハナコ (わかひめ・はなこ)
やはりサクラウチの娘で、セオリツ姫の妹です。
通称 “ワカ姫”、斎名が “ハナコ” です。ワカ姫は “若サクラ姫” の略です。

 

【概意】
サクラウチの姫、サクナタリのセオリツ姫ホノコを南の典侍に。
ワカ姫ハナコを南の内侍と。

 

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 かなさきかめの はやあきつ あきこは
 しほのやもあひこ つのすけ
 うちはむなかたか おりはたおさこ
 おしもめは とよひめあやこ
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 カナサキが姫の ハヤアキツ アキコは
  “潮の八百会子” 西の典侍
 内はムナカタが オリハタオサコ
 乙下侍は トヨ姫アヤコ
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ここは五七調が少々いびつなため 言葉の区切りを調整しています

■カナサキ
捨てられたヒルコを拾って育てた人物で、二尊の重鎮の臣です。
イサナキの命により ツキスミ(九州) 統治の総元締となっており、
そのため別名が スミヨシ (ツキスミ寄せる者・九州を束ねる者の意) です。
古事記に 宇都志日金折命(うつしひかなさく) と記されます。
その先祖は船を発明したシマツヒコで、代々船に関わってきた一族です。

 筑紫アワキの ミソギには  ナカ川に生む 底ツツヲ 次 中ツツヲ 上ツツヲ
 これカナサキに 纏らしむ 〈ホ5-3〉


■ハヤアキツ・アキコ
カナサキの娘で、通称 “ハヤアキツ姫”、斎名が “アキコ” です。
大祓詞に 速開都比売 と記されます。

 荒塩(あらしほ)の塩の八百道(やおぢ)の八塩道(やしほぢ)の
 
塩の八百会(やほあひ)に坐す速開都比売(はやあきつひめ)と云ふ神、
 持ち可可呑(かかの)みてむ。                〈大祓詞〉


■潮の八百会子 (しほのやもあひこ)
ハヤアキツ姫の別名と考えられますが、その由来は不明です。
“潮の八百会” は 「海の潮が際限なく岩などを洗うこと」 をいうようです。

 弥々あら潮の 八百会に 浸せど錆びぬ 神鏡 いま永らえり 〈ホ8-10〉


■内 (うち)
ウチメ(内侍)の略です。


■ムナカタ
カナサキやアヅミの同族です。
九州の国守 (底ワタツミ・中ワタツミ・上ワタツミ) を取りまとめます。

・ツキスミは シマツヒコより 七代統む
 今カナサキの 枝姓 
ムナカタ・アヅミ 助けしむ          〈ホ6-2〉
・またアツ川に 底と中 上ワタツミの 三守生む これ
ムナカタに 纏らしむ
 またシガ海に シマツヒコ 次 オキツヒコ シガの守 これはアヅミに 纏らしむ
                                  〈ホ5-3〉

 宗像大社 (むなかたたいしゃ)
 福岡県宗像市田島/大島/大島沖之島。 
 現在の祭神:田心姫神、湍津姫神、市杵島姫神


■オリハタ・オサコ
ムナカタの娘で、通称 “オリハタ姫”、斎名が “オサコ” です。


■乙下侍 (おしもめ)
オツ(乙・落つ)+シモ(下)+メ(▽侍) の短縮で、オツとシモは同義語です。
「下位の侍女」 の意で、“オシモ” また “シモメ” と簡略して呼ばれます。

 皇室以外の家でも、使用人の女を シモメ(下侍・下女) と呼ぶので、
 差別化のために オシモ・オシモメ と呼んでいるように思います。
 辞書は “御下” と宛字しています。



■トヨ姫・アヤコ (とよひめ・あやこ)
やはりムナカタの娘で、通称 “トヨ姫”、斎名が “アヤコ” です。

 高良大社 (こうらたいしゃ)
 福岡県久留米市御井町1。 
 現在の祭神:高良玉垂命、八幡大神、住吉大神  合祀:豊比淘蜷_

 

【概意】
カナサキの姫の ハヤアキツ姫アキコは “潮の八百会子” 西の典侍に。
西の内侍はムナカタのオリハタ姫オサコ、乙下侍はトヨ姫アヤコ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――
 かすやかめ いろのゑあさこ さのおしも
 かたかあちこは ねのおしも
 つくははやまか そかひめは きのおしもそと つきによせ
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 カスヤが姫 イロノヱアサコ 南の乙下
 カダがアチコは 北の乙下
 ツクバハヤマが ソガ姫は 東の乙下ぞと 月に寄せ
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■カスヤ (粕谷・粕屋・糟屋)
筑紫の 「粕屋」 の地を治める国守で、“シガの守” とも呼ばれます。
カスヤは現在も 福岡県糟屋粕屋町 に名が残ります。


■イロノヱ・アサコ
カスヤの娘で、通称 “イロノヱ姫”、斎名が “アサコ” です。


■カダ (荷田・▽葛)
ヤマシロの “花山の野” を治める国守です。
花山の野(はなやまのの)は、葛野(かどの)とも呼ばれ、
おおよそ現在の、賀茂地区を除く京都市を指すようです。

 花山稲荷神社 (かざんいなりじんじゃ)
 京都府京都市山科区西野山欠ノ上65。
 現在の祭神:宇迦之御魂大神、神大市比売大神、大土之御祖大神

 伏見稲荷大社 (ふしみいなりたいしゃ)
 京都府京都市伏見区深草藪ノ内町68。 
 現在の祭神:宇迦之御魂大神、佐田彦大神、大宮能賣大神、田中大神、四大神
 ・社内に間の峰・荷田社あり。また稲荷山全体の地主神を荷田の神という。


■アチコ
カダの娘で、アチコは斎名です。通称は不明です。


■ツクバハヤマ
筑波山の麓の地を治める国守です。


■ソガ姫 (そがひめ)
ツクバハヤマの娘です。斎名は不明です。


■月に寄す (つきによす)
12人の斎侍(=后)を 「12の月になぞらえる」 という意です。

 

【概意】
カスヤの姫、イロノヱ姫アサコは南の乙下。
カダの姫のアチコは北の乙下。
ツクバハヤマのソガ姫は東の乙下ぞと、月になぞらえ、

 

 【内宮選定前のアマテルの12后】             出身地

 北の局 典侍:マス姫モチコ    (クラキネの娘)   根の国
     内侍:コマス姫ハヤコ   (  〃   )   根の国
     乙下:アチコ       (カダの娘)     ヤマシロ

 東の局 典侍:オオミヤ姫ミチコ  (ヤソキネの娘)   ヒタカミ
     内侍:タナハタ姫コタヱ  (  〃   )   ヒタカミ
     乙下:ソガ姫       (ツクバハヤマの娘) ツクバ

 南の局 典侍:セオリツ姫ホノコ  (サクラウチの娘)  ホツマ
     内侍:ワカ姫ハナコ    (   〃   )  ホツマ
     乙下:イロノヱ姫アサコ  (カスヤの娘)    ツクシ

 西の局 典侍:ハヤアキツ姫アキコ (カナサキの娘)   ツクシ
     内侍:オリハタ姫オサコ  (ムナカタの娘)   ツクシ
     乙下:トヨ姫アヤコ    (  〃   )   ツクシ

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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