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徹底解説みかさふみ講座 第23回 [2022.8.17]

みかさふみ 還十二の后立つ文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 こゑそふのきさきたつあや (その1)
 還十二の后立つ文 https://gejirin.com/mikasa04.html
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 こゑそふのきさきたつあや
 みかさはに よるももとみの しめくにの まつりたたして
 さるたひこ こゑおひのての ゆえとえは
 こやねこたえて
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 還十二の后立つ文
 ミカサ端に 寄る百臣の 締め国の 政 正して
 サルタヒコ “還” を “日の出” の 故 問えば
 コヤネ答えて
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■還 (こゑ)
コヱは コユ(越ゆ)の名詞形で、カヱ(替・返・還)の変態です。
「巡る・回る・転移する・返る・循環する」 などの意を表しますが、
ここでは 「循環・巡回・ローテーション」 などを意味し、
この意味の場合は “還” と宛字しています。

“還十二” とは 「循環する十二」 という意で、
これは 「1太陽年における12回の月の循環」 をいいます。
月に后をなぞらえて、「日の神の12人の后」 を “還十二の后” と呼んでいます。


■ミカサ端 (みかさは)
「ミカサ山の端・ミカサ山の裾・ミカサ山の麓」 の意で、
ミカサ社(麓社) を指します。


■寄る百臣 (よるももとみ)
アマノコヤネからの助言を得ようと、「ミカサ社を訪ねる数多の臣」 です。
モモトミ(百臣)は “九君・百尊・三千彦” の 百尊(もみこと) と同じです。


■締め国 (しめくに)
シメ(締め)は スベ(統べ)の変態ですから、「統べる地/国」 の意で、
つまり 「知行地・領地・封土」 です。


■政 (まつり)
マツリ(纏り)が原義で、「まとめ・治め・手当て・処置」などを表します。
ここでは 「知行地/領民の治め・政治」 をいうため、“政” と宛てています。 


■正す/▽直す (ただす)
「なおくする・まっすぐにする」 が原義で、
ここでは 「なおす・調整する・矯正する」 などの意です。


■サルタヒコ (▽猿治彦)
この有名人の出自/素性については、ホツマ・ミカサにも記述がありません。
記紀には 猿田毘古/猿田彦 と記されます。ニニキネの八州巡りに合流して
大活躍し、その後はアマノコヤネに師事して道を学んでいたようです。
後年はアマテルの程近くに侍っていたらしく、アマテルが世を辞むに際しては、
その辞洞(いなほら =墓穴)を掘り、また次のように遺言されています。

 またサルタ 昔 授くる サカホコキ 美しき鈴 ワイキタチ
 カカンノンテン 時待ちて 道 現せよ     〈ホ28ー4〉

サルタヒコは サル(猿)+タ(▽治)+ヒコ(彦) で、「猿を治す臣」 という意です。
これは 彼が野生の獣を調教して芸を仕込んだ最初 であることに由来します。
この獣による演芸は 獣舞(ししまひ)、神楽獣(かぐらじし/かぐらおのこ)などと
呼ばれ、彼の流れを受けた獣芸を専門とする官職は 猿部(さるべ) と呼ばれました。

・カシマ神楽の 獣舞を 問えばトキヒコ
 「これ昔 いよに渡りて ししばむを 辻君執りて 立て全つる」 〈ホ40-6〉
・犬愚を サルタが執りて 神楽獣 汚曲を晴らす よよの神風  〈フー26〉

 猿田彦神社 (さるたひこじんじゃ)
 三重県伊勢市宇治浦田2-1-10。
 現在の祭神:猿田彦大神、大田命

 椿大神社 (つばきおおかみやしろ)
 三重県鈴鹿市山本町字御旅1871。  
 現在の祭神:猿田彦大神

 

【概意】
還十二の后立つ文
ミカサの麓社に寄る百臣の 知行地の政を正した後、
サルタヒコが “還” を “日の出” に喩える理由を問えば、
コヤネは答えて、

 

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 これむかし すくなひこより をおなむち われにさつけり
 かれむかし たかみむすひの やそきねと
 ちゐものこらに をしえには
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 これ昔 スクナヒコより ヲオナムチ 我に授けり
 かれ 昔 タカミムスビの ヤソキネと
 千五百の子らに 教えには
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■スクナヒコ・スクナヒコナ
ヲオナムチの協力者となり、病人を癒やし、田畑の害虫・害鳥獣を払うなどして、
民の厚生に尽力します。その後はヲオナムチと別れ、一人カダカキを弾きながら
諸国を巡り、雛祭りの由来を語り広めて、最後は加太(かだ)の浦で世を去ります。
記紀には 少名毘古那/少彦名命 と記されます。

 クシキネ篤く 恵む後 共に努めて うつし地 病めるを癒し
 鳥獣 蝕虫払い 振ゆをなす スクナヒコナは アワ州の カダカキ習ひ
 雛祭り 教えて至る 加太の浦 淡島神ぞ     〈ホ9-6〉

 加太淡嶋神社 (かだあわしまじんじゃ)
 和歌山県和歌山市加太116。 
 現在の祭神:少彦名命、大己貴命、息長足姫命


■ヲオナムチ・オホナムチ・オオナムチ・ヲヲナムチ・ヲウナムチ
ソサノヲが罪を許されてから初めて生れた男子で、斎名はクシキネです。
他の文献では 大己貴/大穴牟遅 などと記され、大国主と混同されています。
初代のオオモノヌシに任命されて国家の政治を司りますが、自領である
出雲国の発展に傾倒するあまり、更迭されてヒスミ(=津軽)へ国替えとなります。

  ソサノヲ┐┌オオヤヒコ
      ├┼オオヤヒメ
  イナタ姫┘├ツマツ姫      ┌クシヒコ
       ├コトヤソ      ├タカコ
       ├オホナムチ─────┴タカヒコネ
       ├カツラギヒコトヌシ──カツテ
       ├オオトシクラムスビ──オキツヒコ
       └スセリ姫

 出雲大社 (いずもおおやしろ)
 島根県出雲市大社町杵築東195。
 現在の祭神:大国主大神

 岩木山神社 (いわきやまじんじゃ)
 青森県弘前市百沢字寺沢27。  
 現在の祭神:顕国玉(うつしくにたま)神、多都比姫(たつびひめ)神、他


■かれ (故)
かれ (然れば) の短縮です。
“しかれば” は、しく(如く)+あれば の短縮です。


■タカミムスビ (高み結び)
タカミは ヒタカミ(日高み=日が昇る所=東)の略、ムスビ(結び)は
「結ぶ者・束ねる者」 の意で、「ヒタカミ国の統治者」 を表す伝統的な称号です。
ハコクニの子の “東(き)のトコタチ” が初代タカミムスビとなり、
2〜4代は言及されておらず、5代タカミムスビがトヨケ(斎名タマキネ)です。
記紀では 高御産巣日/高皇産霊尊 と記されます。

 クニトコタチ─クニサツチ┐
   (I)     (II)  │
 ┌───────────┘
 ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル
 │ (III)    (IV) │  (V)   (VI)    ┌クラキネ
 │          │           ├ココリ姫
 │          └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐
 │          (養子)↑  └サクナキ   (VII) ├ヒルコ
 │             └─────┐       ├アマテル
 ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ    ├ツキヨミ
 │      (初代)  │               ├ソサノヲ─ヲオナムチ
 └ウケモチ       └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘
               (2〜4代)   (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ
                        │ (6代)   (7代) ├ヨロマロ
                        ├カンサヒ     ├フトタマ
                        └ツハモノヌシ   ├タクハタチチ姫
                                  └ミホツ姫


■ヤソキネ
トヨケ(斎名タマキネ)の代嗣子で、6代のタカミムスビです。
イサナミ・ツワモノヌシなどとは兄弟で、“ヤソキネ” は斎名です。
タカミムスビの地位を 子のタカキネに譲った後は、
カンミムスビ (記紀では 神産巣日/神皇産霊) とも呼ばれます。

 
■千五百の子ら (ちゐものこら)
ヤソキネ(=カンミムスビ)には 1500人の子があったといわれ、
スクナヒコナはその内の一人です。

 カンミムスビの 千五百子の 教えの結ひを 漏れ落つる
 スクナヒコナは これといふ         〈ホ9-6〉

 

【概意】
これは昔、スクナヒコよりヲオナムチを経て 我に伝授せり。
しかれば 昔 タカミムスビのヤソキネと、
その1500人の子らへの <トヨケの> 教えには ...

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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