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徹底解説みかさふみ講座 第52回 [2023.5.5]

みかさふみ 年内になす事の文 (3)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 としうちになすことのあや (その3)
 年内になす事の文 https://gejirin.com/mikasa09.html
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 ほはきねにすむ ふためかみ あふつきふめお あにやわし
 あきかせつけて まをまゆみ ゐとおつむきて たくはたや
 あわのほきうた かちにおし
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 ‘ホ’ は東北に住む 二陰神 七月 二陰を 陽に和し
 秋風告げて 麻緒・麻結 糸を紡ぎて 長機や
 陽陰の祝歌 梶に押し
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二陰神 (ふためかみ)
「2陰のエネルギーを招く神」 という意です。
このエネルギーの源泉はアメノミヲヤの息です。

 元元明の 陽陰恵み  届く柱は 透き通る 中の管より 運ぶ 〈ミ6-7〉

  支配期間 (陰暦) 神の陰陽属性 招くエネルギー 地上の気象
の神 11月半〜12月末 3陽1陰 1陽 3陰1陽
の神 1月初〜2月半 2陽2陰 2陽 2陰2陽
の神 2月半〜3月末 1陽3陰 3陽 1陰3陽
の神 4月初〜5月半 0陽4陰 4陽 0陰4陽
の神 5月半〜6月末 3陰1陽 1陰 3陽1陰
の神 7月初〜8月半 2陰2陽 2陰 2陽2陰
の神 8月半〜9月末 1陰3陽 3陰 1陽3陰
の神 10月初〜11月半 0陰4陽 4陰 0陽4陰


七月・合月 (あふつき)


■秋風告ぐ (あきかぜつぐ)
七十二候で言う “涼風至(すずかぜいたる)” です。二十四節気で言えば “立秋” です。

 
■麻緒 (まを) ■麻結 (まゆみ)
マヲ(麻緒)は 「麻糸」 をいうものと思います。辞書には “真麻・苧麻” とあります。
マユミ(▽麻結)は 「麻糸を結ったもの・麻の織物」 をいうものと思います。

 マ(麻)は アム(編む)の名詞形 “アマ” の略と考えます。たぶん アマ=亜麻 でしょう。
 ユミ(▽結)は ユムの名詞形で、ユムは ユフ(結ふ)の変態です。
 “弓” も たぶんこれが原義です (棒の両端を結ったもの)。


■糸を紡ぎて長機 (いとおつむぎてたくはた)
「麻糸を紡ぎ、その糸で麻の機(=布)を織る」 という意です。
タクハタは タク(長く・炊く・焚く)ハタ(機) で、「機を成長させること・
機を拡大すること」 を意味し、「機を織り連ねること・棚機」 と同じです。
つまり タクハタ=タナバタ なのです。


■陽陰の祝歌 (あわのほぎうた)
アワ(陽陰)はここでは アワノカミ(陽陰の神) をいいます。
これはすなわち、「星となされた49神」 であり、「フトマニ図の49神」 であり、
地のアワ歌の48音」 です。

 九月は見目 シム十四経 声の四十八道 アワの神 〈ホ14-4〉

ですから 「天の川の星となった49神を祝う歌」 という意です。


■梶に押す (かぢにおす)
その “陽陰の祝歌” を 「梶の葉に押す(=合わす・写す)」 という意です。
これが 七夕の笹飾りに付ける短冊の起源と考えられます。[画像]

 

【概意】
ホの神は東北に住む二陰神。
7月に2陰を陽に和して秋風を告げ、
<7日は> 麻緒と麻結、糸を紡ぎて長機/棚機や。
アワの神の祝歌を梶に写し。

 

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 しむのもちほき ゐきめたま おくるはすゐゐ ゑなかのり
 あをきおとれは あゐうくる
 はつきはしめは ふためさく あらしくさふす
 うかほきの ほつみならふる ほもとかみ
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 親の十五日祝 生神霊 贈る蓮飯 胞衣が典
 仰ぎ踊れば 天意受くる
 八月初めは 二陰咲く 嵐 草臥す
 ウカ祝の 果実並ぶる ホ元神
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■親の十五日祝 (しむのもちほぎ)
「近しき者の15日の祝い」 というような意味で、今に言う 「お盆」 です。

 シム(▽親)は シム(染む)の名詞形で、「親族・身内」 をいいますが、
 この場合は特に 「地に生きる子孫と天に還った先祖」 を意味します。
 モチは モチヅキ(望月)の略で、「満月の日=15日」 です。
 ホギ(祝・寿)は 「上げること・栄すこと・称えること・喜ぶこと」 などが原義です。
 ホギは ホグ(祝ぐ)の名詞形で、ホグは フク(吹く・噴く)の変態です。


■生神霊 (いきめたま)
イキタマ(生霊)と同じです。メタマは ミタマ(神霊)の母音交替だと思います。


■蓮飯 (はすゐゐ) ■胞衣が典 (ゑながのり)
ハスヰヰ(蓮飯)は ハスケ(蓮食)ともいい、後代はハスメシ(蓮飯)と呼ばれます。
これはお盆の食べ物で、「蓮の葉に飯を包んだ料理」 です。

“胞衣が典” は、天に還った先祖の神霊と 地に生きる子孫の神霊の再会を、
「母の胞衣に包まれる子」 になぞらえることをいいます。
〈ノリ(典・法・則)は 「則る(のっとる)こと/もの」 が原義です〉
それを 「蓮葉に包まれる飯」 で表現したものと考えられます。

なぜ蓮の葉か? については、
蓮の葉は水面の上にあり、水下にある地の根と隔てられていますが、
これを 「天の先祖と地の子孫の関係」 になぞらえたと考えています。


仰ぎ踊る (あをぎおどる)


■天意 (あゐ)
「天にある先祖の意識」 と解釈しています。
「意識」 の意味に解して “意” と宛てましたが、“気”  ”霊”  “射” でも同じです。


八月・葉月 (はつき)


■咲く・▽栄く・▽幸く (さく)
「栄える・盛る・勢いづく」 ことをいいます。


■嵐 (あらし)
「荒らし」 の意と思います。
野分(のわき)
とも呼ばれ、今に言う 「台風」 です。


■ウカ祝の果実並ぶる (うかほぎのほつみならぶる)

ホの神の形 (すなわちホのヲシテの形) を口述したものです。
“ウカ祝” は ウケ祭 と同じで、「収穫の祝・秋祭」 をいいます。
ホツミ(▽果実)は 「あがり・結果・成果・果実」 が原義ですが、
この場合は 「刈り取って束ねた稲穂」 をいうものと思います。
ですから ‘二’ も ‘||||’ も 「束ねた稲穂」 を表しているのでしょう。

 

【概意】
親の十五日祝は、胞衣の典により、生神霊が先祖に蓮飯を贈り、
天を仰いで踊れば 先祖の意識を感受する。
八月初めは2陰が勢いづき、嵐が草を臥し倒す。
収穫祝の成果を並べるホ元神。

 

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 かはにしそらの をあけかみ
 はつきなかより みめのとく にたこもちつき ゐもはつき
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 ‘カ’ は西空の 陽あげ神
 八月半より 三陰の磨ぐ “似た子持ち月” “芋果月”
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■陽あげ神 (をあげかみ)
「陽をあがらせる神・陽を終らす神」 の意で、言葉を換えれば、
「最後の1陽を守る神」 ということです。
カの神は3陰を招いて 地上を1陽3陰の気候に置き、結果として最後の1陽を守ります。

  支配期間 (陰暦) 神の陰陽属性 招くエネルギー 地上の気象
の神 11月半〜12月末 3陽1陰 1陽 3陰1陽
の神 1月初〜2月半 2陽2陰 2陽 2陰2陽
の神 2月半〜3月末 1陽3陰 3陽 1陰3陽
の神 4月初〜5月半 0陽4陰 4陽 0陰4陽
の神 5月半〜6月末 3陰1陽 1陰 3陽1陰
の神 7月初〜8月半 2陰2陽 2陰 2陽2陰
の神 8月半〜9月末 1陰3陽 3陰 1陽3陰
の神 10月初〜11月半 0陰4陽 4陰 0陽4陰


三陰の磨ぐ (みめのとぐ)
月は別名 “太陰” といい、いわば 陰の親です。すると “三陰” は 月の3匹の子供と
言えるかと思います。ですから 「3匹の子を得て、大きさと輝きに磨きがかかる」
というような意味に考えてます。これはこの時期に、サトイモの親芋に小芋が
付くことになぞらえた表現と思います。


■似た子持ち月 (にたこもちづき) ■芋果月 (ゐもはつき)
陰暦8月15日の望月(満月)、今に言う 「十五夜中秋の名月芋名月」 の別名です。
“似た子持ち月” は 「親芋(太陰)が よく似た小芋(3陰)を持って磨きのかかる月」 の意、
“芋果月” は 「小芋が実る月」 という意味でしょう。

 

【概意】
カの神は西空に坐す “陽あげ神”。
8月半より 3陰の磨ぐ “似た子持ち月” “芋果月”。

 

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 なつきみつきの ここなさき
 をほとしきくの ちりわたこ ささけてまつる くりみさけ
 もちまえまつる ほからつき まめやかうたゑ かみおとり
 かたちあかるき かもとかみ
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 九月 上尽の 菊菜咲き
 おおとし菊の 散り綿子 捧げて祭る 栗見酒
 十五日前祭る 朗月 豆夜明宴 香味踊り
 形 分るき カ元神
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■九月 (なつき)
ナガツキ(長月)の略、あるいはまた、
ココナツキ(九菜月・菊菜月) の略かもしれません。


■上尽 (みつき)
これはまだ思案中ですが、ミ(▽上:カミの略)+ツキ(尽き) で、
「上限・至高」 を意味し、ココ・キク(九・菊) にかかる枕詞と見ています。


■九菜・菊菜 (ここな)
キク(菊)の別名で、ココ(九)、ココナシ(九成し) とも呼ばれます。


をほとし・おおとし
オフ(老ふ・逐ふ・終ふ)+トス(▽遂す・▽達す) の同義語連結の
名詞形で、「達成・成就・完成・完遂」 などが原義です。
この場合は ココ(九) と同義で、「きわまり・至り・究極」 を意味します。
これも ココ・キク(九・菊) にかかる枕詞と考えてます。


■菊の散り綿子 (きくのちりわたこ)
“菊の散り”は ココチリ(菊散り) と同じで、アマテルが愛した衣のデザインです。
ワタコ(綿子・綿籠・▽綿衣) は 「中に綿の入った衣服」 をいいます。
ですから 「菊を散らした模様のどてら」 です。


■捧げて纏る (ささげてまつる)
ササグ(捧ぐ)は 「上げる・上に置く」 が原義で、ここでは 「上にはおる」 の意です。
マツル(纏る)は ここでは 「合わす・纏わす・添える」 などの意と思います。


■栗見酒 (くりみざけ)
陰暦9月13夜の 「月見の宴に添える酒」 です。栗を備えて月を鑑賞するため、
後代には “栗名月” と呼ばれるようになります。


■十五日前・望前 (もちまえ)
「望月(=満月)の前日」 すなわち 「14日」 です。


■朗月 (ほがらづき)
今は 朗月(ろうげつ) と呼ばれます。

 
■豆夜明 (まめやか)
「豆の月明り」 の意で、豆を添えて鑑賞する 「陰暦9月14日の月」 をいいます。
後代には 「豆名月」 と呼ばれますが、13日夜の “栗名月” と混同されました。


■香味踊り (かみおどり)
カミ(香味)は ハシカミ(愛し香味・椒) をいうものと思います。
ですから 「ヲガ祭(陽香祭・生姜祭)で踊ること」 をいうのでしょう。


■分るき (あかるき)

カの神の形 (すなわちカのヲシテの形) を口述したものです。
アカル(分る)の形容詞形 “分るし” の連体形で、
アカルは ワカル(分かる)の変態です。
ですから 「(○が半分に) 分かれる如き」 という意です。
‘○’ を満月に、“分るき” を “明るき” にかけているかもしれません。

 

【概意】
九月は至高の菊菜が咲き、
究極の菊散りの綿子をはおって <口に> 纏わす栗見酒。
14日 <目に> 纏わす朗月は豆夜明の宴。<15日からは> 香味踊り。
形は <○が半分に> 分かれる如きのカ元神。

 

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 みはきさにすむ そのめふり をかみしりそく はつしくれ
 ややめもみちて なかころは をのかみつきて かみなつき
 ねのつきつゆも しもはしら こからしふけは きはみおち
 ひらきはつくさ めはるなり
 かたちかせもつ みもとかみ
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 ‘ミ’ は東南に住む その陰 振り 陽神退く 初時雨
 やや陰も充ちて 半頃は 陽の神 尽きて 神無月
 十一月 露も 霜柱 木枯し吹けば 木葉・実落ち
 柊・初草 芽張るなり
 形 風持つ ミ元神
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■その陰振る (そのめふる)
“その陰” は 「ミの神が招く4陰」 をいいます。
“振る” は 「力をふるう・強力である」 という意です。

  支配期間 (陰暦) 神の陰陽属性 招くエネルギー 地上の気象
の神 11月半〜12月末 3陽1陰 1陽 3陰1陽
の神 1月初〜2月半 2陽2陰 2陽 2陰2陽
の神 2月半〜3月末 1陽3陰 3陽 1陰3陽
の神 4月初〜5月半 0陽4陰 4陽 0陰4陽
の神 5月半〜6月末 3陰1陽 1陰 3陽1陰
の神 7月初〜8月半 2陰2陽 2陰 2陽2陰
の神 8月半〜9月末 1陰3陽 3陰 1陽3陰
の神 10月初〜11月半 0陰4陽 4陰 0陽4陰


■陽神退く (をかみしりぞく)
「1陽のエネルギーが後退する」 という意です。


時雨 (しぐれ)


■陽の神尽く (をのかみつく)
「陽のエネルギーが尽きる・0陽になる」 という意です。


神無月 (かみなつき)


■十一月・子月・▽寝月 (ねつき・ねのつき)
陰暦11月の異称です。他に “ネシモ” “シモツキ” とも呼ばれます。

 ‘ネ’ は キツサ のそれで、「太陽がるさま」 を意味します。そしてこれは
 「北」 の方位を表すのですが、シナ由来とされる、方位を十二支で表した図でも、
 北は 子(ね) と書かれています。また 子月 という言葉もあります。


霜柱 (しもばしら)


柊 (ひらぎ)


初草 (はつくさ)


■芽張る (めはる)
ハル(張る)は ハフ/ハユ(生ふ/生ゆ)の変態ですから、
「芽が生える・芽を出す」 という意です。


■風持つ (かぜもつ)

ミの神の形 (すなわちミのヲシテの形) を口述したものです。
 ‘∩’ はカゼ(風)を表します。確かに風の形を持っています。
ええっ!そんだけ?! 他に何かわかったら書き足します。 

 

【概意】
ミの神は東南に住む。その陰は奮い、陽のエネルギーが後退して初時雨。
しだいに陰も充ちて、月の半頃ついに陽のエネルギーは尽きて “神無月”。
十一月、地の水も霜柱となり、木枯しの吹けば 木の葉や実は落ちるが、
柊と初草は芽を出すなり。
形は風持つミ元神。

 

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 かくめをおもる そのなかに
 とはみなみむく ひとくさの ことほきのふる
 このゆゑに とはのとうたの はしめそと
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 かく陰陽を守る その中に
 ‘ト’ は南向く 人草の 寿延ぶる
 このゆえに ‘ト’ は宣歌の 初めぞと
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■南向く人草 (みなみむくひとくさ)
 “皆見る南”〈ミ1-6〉とあります。また南はトの神が夏に坐す方向です。


■寿延ぶる (ことぶきのぶる)
「永らえ(寿命)を延ばす」 ということだと思います。

・青葉茂れば 永らえの 栄の薫り受く〈ミ7-4〉
・ト神は夏の ソロを守る 永く人草 潤せば〈ミ7-7〉
・万の青葉の 風薫る 宮に受くれば 永らえり〈ミ9-2〉


■宣歌 (のとうた)
“トホカミヱヒタメ” のフレーズをいいます。

 

【概意】
かく陰陽を守る神々の その中で、
トの神は南を向く人草の寿命を延ばす。
このゆえに ‘ト’ は宣歌の初めぞ。
と宣給えば、

 

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 つねなすことに あめおしるなり
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 常なす事に 陽陰を知るなり
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【概意】
常の行事に陽陰を知るのであった。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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