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一から学ぶ みかさふみ講座 第37回 [2023.1.2]

みかさふみ タカマ成る文 (6)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願いします。

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 たかまなるあや (その6)
 タカマ成る文 https://gejirin.com/mikasa06.html
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 ほしにそみあふ あめはゑな ひつきひとみな あめのえな
 そとはたかまの はらまわり ももよろとめち
 ほしまては そゐやちとめち
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 星に染み合ふ 天は胞衣 日・月・人 みな 陽陰の枝
 外はタカマの 原まわり 百万トメチ
 星までは 十五八千トメチ
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■星に染み合ふ天 (ほしにそみあふあめ)
ソミ(染み)+アフ(合ふ) は、ソヒアフ(添ひ合ふ)の変態です。
アメ(天)は 今風の解釈では 「星々を包み込んでいる宇宙空間」 をいうのでしょう。
それは天元神 (泡泥) が際限なく回っていた かつての虚空です。


■胞衣 (ゑな)
「胎児を包む膜と、それを胎盤につなぐ臍の緒」 をいいます。
また 「育成の基盤」 の意味にも用います。


■陽陰の枝 (あめのえな)
「陽と陰の末裔」 の意です。”枝” は 「分派・子孫」 の意味にも使われます。
ふつうは “ヱダ” ですが、ヱナ(胞衣)にシャレながら、ヱナ(胞衣)とは
意味が違うことをほのめかそうと、“エナ” と表しているものと思います。
〈タ行の音とナ行の音もよく入れ替わります。ハ(端)=ハ(端) など〉
日月も人も陽陰を起源とすることは、これまでに語られている通りです。


■外は (そとは)
この “外は” は、「北は北海道、南は沖縄まで」 と言う場合の、
北は”  “南は” と同じ用法と考えます。


■タカマの原まわり (たかまのはらまわり)
「タカマの原の周囲(の長さ)」 の意で、アメノメグリ(天の周り)ともいいます。
“タカマの原” は 「天の領域・天界」 を意味します。


■星までは (ほしまでは)
現在と異なり、星々はタカマの原を包む膜のようなもの (天の胞衣) の内側に
張り付いている、このような認識だったようです。ただし日と月は別です。
そして地球はタカマの原の中心にあります。ですから 近い星、遠い星という
概念は無く 、日と月を除くすべての星は地球から同じ距離にあるわけです。
言ってみれば プラネタリウムと同じですね。

 

【概意】
星に添い合う天の空間は 陽陰を育成した胞衣、
日・月・人はみな 陽陰の分かれ枝。
外はタカマの原まわり、100万トメチ (1億5,000万km)。
星までは 15万8,000トメチ (2,370万km)。



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 そのそとは なもとこしなえ やすみきは やいろのにきて
 みなみあお にしはくれない きたはきに ひかしはしろく
 あいもいろ
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 その外は 名も “とこしなえ” 八隅際 八色の和幣
 南 青 西は紅 北は黄に 東は白く
 間も色
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■とこしなえ (常しな方・常しな辺)
トコシ(常し)+ナ(=なる・の)+エ(方・辺) で、「不変の境」 という意です。
「何も無いのでいかなる変化も起きない所・永久凍眠の境」 を意味すると
考えてます。辞書は “常しなへ・永久” と宛て、トコシエ ともいいます。


■八隅際 (やすみぎわ)
「タカマの原とトコシナエを画する八方の境目」 をいうのでしょう。


■和幣 (にきて・にぎて)
人と神を結ぶモノザネとして供える物品の総称です。
布や紙を用いる場合が多いようです。[画像]
ヌサ(幣)ミテグラ(幣)・ユフ(結・木綿) などとも呼ばれます。

 

【概意】
その外は名も “とこしなえ”。
タカマの原の八隅際には、八色の和幣が垂れる。
南は青、西は紅、北は黄に、東は白く、その中間も色。

 宇宙は8色に光るオーロラが取り巻いている、そんなイメージでしょうか。



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 みをやのそはに やもとかみ
 まもるとほかみ ゑひための ゑとのことふき
 あなれかみ ねこえさつけて みそふかみ みめかたちなす
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 ミヲヤの傍に 八元神
 守る トホカミ ヱヒタメの 兄弟の寿
 天均神 根隅 授けて 三十二神 見目形 成す
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■八元神 (やもとかみ)
天元神ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ 8柱」 の総称です。


■寿 (ことぶき・ことほぎ)
「人の生命・寿命」 をいい、八元神がこれを司ります。

 コト(殊)+フキ(噴き) の同義語連結で、両語とも
 「高まり・進展・栄え・優れ・至り・達成・祝い」 などを意味します。


■天均神 (あなれかみ)
「天の中位の神」 という意味で、フトマニ図の中心宮から二番目の
輪に座す 「ア・イ・フ・ヘ・モ・ヲ・ス・シ の8神」 をいいます。
天並神(あなみかみ)とも呼ばれます。


■根隅 (ねこえ・ねこゑ)
「元と末・中と隅・内と外」 の意です。
ここでは 「人体の内部と外部・外殻と内臓」 をいいます。
“根隅” は筆者の宛字で、“こえ” を “くう(隅)” の変態と仮定しています。


■三十二神 (みそふかみ)
フトマニ図の 「外側の二輪に座す32神」 です。
“タミメヒコ” とも呼ばれます。


見目形 (みめかたち)
「顔と体つき・容貌風姿」 です。

 

【概意】
アメノミヲヤの傍に八元神がありて、
トホカミヱヒタメ兄弟は人の寿命を守る。
天均神は人体の外殻と内蔵を授け、三十二神は見目形を成す。



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 したつもの そむよろやちと もりおゑて ひとうまるとき
 かみともの たましいむすひ たまのをと
 ゐくらむわたも そのかみの そよたてそなえ ひととなす
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 親つモノ 十六万八千と 守を得て 人生まる時
 神とモノ 魂・魄 結び 霊の緒と
 五臓六腑も その上の 十四経 備え 人となす
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■親つモノ (したつもの)
シタツ(▽親つ・滴つ)は 「添う・付く・結ぶ」 などの意です。
モノは 「見えないけれど存在する何か」 をいう代名詞で、「霊」 を意味しますが、
神(かみ)/霊(たま)/神霊(みたま) に比べて 「低レベルな霊・下級霊」 をいいます。
したがって 「邪霊・悪霊」 の類も モノ と呼ばれるのですが、
この場合はその類とは違うので、仮に “小霊” と訳させていただきます。

人が世に生れる時、16万8000のモノ(小霊)が、魂と魄の結合に添付されると
いいます。魂と魄の結合は タマノヲ(▽霊の結・霊の緒) と呼ばれますが、
これが人の命と心情を生じさせます。

・十六万八千の モノ添ひて 人 生まる時
 元つ神 そのタエ守が 種下し 
モノと魂・魄 結ひ和す 〈ホ14-3〉
・十六万八千の 
モノをして 人の魂・魄 喜ばす
 時に求むる 生れ付き 十六万八千に 品 替る     〈ホ17-3〉


■守 (もり)
天元神が世に生れる人に付けるという 「守」 をいい、
守の神(もりのかみ)、タエ守(たえもり)、元守(もともり)、
天元の差使(あもとのさをしか)、差使(さし) などとも呼ばれます。

天元神が人に付けるこの守神は、“魂” と “魄” と “十六万八千のモノ” を
結び合わす役を担いますが、それを終えると 人体の五臓(あるいは六臓)に
宿ります。そのためこの “守” は 「五臓/六臓」 の別名でもあります。

・十六万八千の モノ添ひて 人 生まる時
 元つ神 その
タエ守が 種下し モノと魂・魄 結ひ和す 〈ホ14-3〉
・六月 乾き 臍の緒へ 霊汁通れば 身を養す
 霊汁煮られて 五色の 埴もて付くる 
守の神     〈ホ14-4〉


■神 (かみ)
この場合は 「守(もり)」 の換言です。


■その上の十四経 (そのかみのそよたて)
これはよくわかりませんが、“その上の” は 「それに先んじる」 の意で、
“十四経” は 漢方で言う 「十二経」 に近いのではないかと思います。

 【十二経】じゅうにけい  (デジタル大辞泉)
 漢方で、六臓六腑を巡って気血の流れている12の経脈。肺経から始まり、
 大腸経・胃経・脾経(ひけい)・心経・小腸経・膀胱経(ぼうこうけい)・
 腎経・心包経・三焦経・胆経を経て肝経から再び肺経に戻り、全体が
 一つの流れになる。十二経絡。十二経脈。
 (筆者考:肺と腎臓は2つずつあるので、それを数えると十四経になる)

ホツマの14アヤにも “シム十四経(そよへ)“ という文言が現れます。

 七月 臓・腎 八月 腑 九月は見目 シム十四経   〈ホ14-4〉

 

【概意】
添い付く16万8000の小霊と守神を得て 人が生れる時、
守神と小霊と魂/魄 が結び付いて “霊の緒” となり、
五臓六腑も、それに先んじる十四経も備えて人となす。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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