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一から学ぶ みかさふみ講座 第32回 [2022.11.16]
みかさふみ タカマ成る文 (1)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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たかまなるあや (その1)
タカマ成る文 https://gejirin.com/mikasa06.html
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たかまなるあや
やまくいの たかまおこえは
くさなきて こほしおまつる ゆきのみや あめとこたちと
すきとのに うましあしかい ひこちかみ あわせまつれは
なもたかま
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タカマ成る文
ヤマクイの タカマを乞えば
「草薙ぎて 九星を纏る ユキの宮 アメトコタチと
スキ殿に ウマシアシカイ ヒコチ神 合わせ纏れば
名もタカマ」
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■ヤマクヒ・ヤマクイ (山構ひ)
ヤマクヒ(山構ひ)は 「山を構ふ者・山を造る者」
という意味です。
これはニニキネの命により、ヤマシロの野を掘って土をオキツボの峰に
積み上げ、太陽山を模した
"日似山(=比叡山)" を造ったことに由来します。
出自についての記述はないのですが、他文献では “大山咋神”、あるいは
“若山咋神”
と呼ばれ、古事記は 「大年神の子」 と記しています。
これを信じれば
オオトシクラムスビの子ということになります。
ソサノヲ ├──オオトシクラムスビ─┬オキツヒコ イナタ姫 │ └ヤマクヒ (古事記からの推測)
■タカマ (高ま・高天)
タカム(高む)の名詞形で、タカミ(高み)の変態です。
タカムは タク(長く・炊く・焚く)+カム(▽上む・醸む)
の短縮です。
タカマは 「上・高き所・中心・本源」 などが原義で、アメ/アマ(天)
の
同義語です。
“タカマ” は 「天上・天空・神々の住むエリア」
をいう言葉であるのに、
「地上の国家首都/中央政府」 も 同じく “タカマ”
と呼ぶは なにゆえか?
これがヤマクイの質問の趣旨です。
■草薙ぐ (くさなぐ)
「草をなぎ払う」 ということですが、この行為を以て
クサ(▽曲・▽腐) を ナグ(和ぐ・凪ぐ) のモノザネとします。
つまり、土地の 「曲りを直す・汚穢を払う・清め」
のモノザネです。
■九星 (こほし) ■アメトコタチ (▽天疾立)
九星は コヨノホシ(九節の星・九曜の星)
とも言い、地上での仕事を終えて
天に還った クニトコタチ
(ミナカヌシ+ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ8尊) の
神霊(みたま)の総称です。アメトコタチはその別名です。
■纏る (まつる)
マトフ(纏う)・マトム(纏む)・マツム(集む・纏む)
などの変態で、
「合わす・とりまとめる・処置する・手当する・調える」
などの意を表します。
ここでは 神霊を
「まとわす・まつわりつかす・招き寄せる」 の意です。
■ユキの宮 (ゆきのみや)
“アユキの宮” の略で、大嘗会 (おおなめゑ:今に言う “大嘗祭”)
の時に
九星=アメトコタチ の神霊を纏る(招き寄せる)宮です。
ユキは “悠紀・斎忌・由基”
と宛字されています。
“アユキの宮” は ア(天)+ユキ(▽結き・靫)
の ミヤ(宮) で、
「天の神を収納する宮」 という意です。
この場合 “天の神” とは 九星=アメトコタチ
を指しますが、それは
この9神が 天つ事 (あまつこと:魂魄や生命に係る事柄)
を司るためです。
天つ事 纏るトホカミ ヱヒタメの 八元の神の 守らせき 〈ホ22-1〉
■スキ殿 (すきとの)・スキ宮(すきみや)
“ワスキの宮” の略で、大嘗会 (おおなめゑ:今に言う
“大嘗祭”)
の時に
ウマシアシカイヒコチ神を纏る(招き寄せる)宮です。
スキは “主基・須岐”
と宛字されています。
“ワスキの宮” は ワ(▽地)+スキ(結き)
の ミヤ(宮) で、
「地の神を結びつける宮」 という意です。
この場合 “地の神” とは ウマシアシカイヒコチ神
を指しますが、それは
この11神が 地つ纏り (くにつまつり:人の生活に係る事柄)
を司るためです。
地つ纏りは キツヲサネ 室十一神の 守らせき 〈ホ22-1〉
■ウマシアシカイヒコチ神 (うましあしかいひこちかみ)
「キ・ツ・ヲ・サ・ネ+ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウ の11神」
を表す総称で、
トホカミヱヒタメ8尊に次いで地球の八方を治めた国君の神霊です。
この11尊をクニトコタチに含める場合も非常に多いです。
記紀には 宇摩志阿斯訶備比古遅神/可美葦芽彦舅尊
と記されます。
この11の神霊は
「地上に生きる人間の日々の暮らしを支援」 します。
すなわち、自然環境の脅威を緩和し、衣食住を世話する神々です。
その目的の実践部隊として、11神から “ヤマサの神”
が派生しています。
そのため この11神には非常に多くの別名があり、
地の十一神(わのそひかみ)、室十一神(むろそひかみ)、
地尊(くにみこと)、竈の神(みかまどのかみ)
とも呼ばれます。
また ヱト(干支・▽上下・▽陽陰)
の構成要素となっている神々であるため、
干支守神(ゑともりかみ)、日夜見神(ひよみかみ)、年宣り神(としのりかみ)、
陽陰の守(あめのかみ)、陽陰守(あまもり)
とも呼ばれ、あるいはまた
五臓六腑の神(ゐくらむわたのかみ)
などとも呼ばれます。
“ウマシアシカイヒコチ神” は
「衣食住を引く神霊」 の意と推察しています。
ウマシ(美味し:食)・アシカイ(葦萱:衣と住)・ヒコチ(引霊)
です。
【概意】
タカマ成る文
ヤマクイが “タカマ” を乞えば、〈大御神は応えて〉
「草薙ぎて (地を清めて)
九星を纏るユキの宮、すなわちアメトコタチと、
スキ殿にウマシアシカイヒコチの神を、合わせ纏れば 名も
“タカマ”。」
つまり、天のタカマに坐します神々の霊を、
地上の都に纏った(招き寄せた)のであるから、
地上の都もすなわちこれ “タカマ”
である、ということです。
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もろあつまりて ゆえこえは きみさほひこに みことのり
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諸 集まりて 故 乞えば 君 サホヒコに 御言宣
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■君 (きみ)
アマテル大御神 を指します。
■サホヒコ
ヤマクイ の別名と考えられます。
【概意】
諸が集まって来てその由縁を乞えば、君はサホヒコに御言宣。
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これたまきねに われきくは あめつちいまた ならさるに
あめのみをやの なすいきは きわなくうこく あもとかみ
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これタマキネに 我 聞くは 天地いまだ 成らざるに
アメノミヲヤの なす息は 際なく動く 天元神
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■タマキネ
アマテルの祖父で、5代タカミムスビのトヨケの斎名です。
アマテルは16歳から87歳までヒタカミの都ケタツボに滞在し、
タマキネより アメナル道(▽陽陰和る道)
を学んでいます。
クニトコタチ─クニサツチ┐ (I) (II) │ ┌───────────┘ ├トヨクンヌ─ウビチニ┬ツノクヰ─オモタル │ (III) (IV) │ (V) (VI) ┌クラキネ │ │ ├ココリ姫 │ └アメヨロツ┬アワナキ─┴イサナキ┐ │ (養子)↑ └サクナキ (VII) ├ヒルコ │ └─────┐ ├アマテル ├ハコクニ─東のトコタチ┬アメカガミ─アメヨロツ ├ツキヨミ │ (初代) │ ├ソサノヲ─ヲオナムチ └ウケモチ └タカミムスビ─トヨケ┬イサナミ┘ (2〜4代) (5代)├ヤソキネ─タカキネ┬オモヒカネ │ (6代) (7代) ├ヨロマロ ├カンサヒ ├フトタマ └ツハモノヌシ ├タクハタチチ姫 └ミホツ姫
■天地いまだ成らざるに (あめつちいまだならざるに)
ここからは、あちこちで語られている天地創造説話です。
ホツマとミカサの都合7箇所に、表現を少しずつ換えながら、
同じ内容をを伝えていますが、ここでの説明が最も詳しく、
そのかわり最も難解です。
この “天地” は 「陽陰」
とイコールと考えていいと思います。
つまり 「まだ陽と陰の区別もない時に」 という意味です。
しかれば 「天地」 も 「日月」
も当然存在しないわけです。
ホツマとミカサが語る天地創造の説話の要点は、
軽い陽が先に上って天・日となり、重い陰は後に下って地・月となった
ということで、つまり 「すべて陽と陰の変化したもの」
という理論です。
このため ホツマやミカサの解釈においては、
陽・天・日・上・軽・先 を同義語と考え、また
陰・地・月・下・重・後 を同義語と考えるべき場合があります。
すなわち ほぼ次の等式が成り立つのです。
陽陰(あわ・あめ)=男女(をめ)=陰陽(めを)=女男(めを)=父母(たら)
=天地(あわ・あめ・あめつち)=日月(ひつき)=上下(かも・ゑと・うす)
=前後(まえうしろ)=後先(あとさき)=経緯/縦横(たてよこ)=木実(きみ)
■アメノミヲヤのなす息 (あめのみをやのなすいき)
他所の天地創造説話では、これを “初の一息” (ういのひといき)
と呼んでいます。
・天地人も 分かざるに 初の一息 動く時 〈ホ14-2〉
・天地の 開ける時の 一息が 陰陽と分れて 〈ホ15-2〉
・天地いまだ 分かざるに 初の一息 まどかにて 〈ホ16-2〉
★アメミヲヤ/アメノミヲヤ (▽陽陰上祖/▽陽陰の上祖)
大宇宙 (霊界を含む) の創造神で、フトマニ図の中心に座す “アウワ”
の神 です。
アは 「陽」、ワは 「陰」 を、ウは 「結・融」
を表します。
アウワ(陽結陰) は
「陽と陰の融合する状態・陽陰の区別がない混沌状態」 を
表すものです。その神霊が
陽と陰に分離することで大宇宙は開闢しました。
そのゆえに “陽陰の上祖” と呼ばれます。
■際なく動く (きわなくうごく)
キワナク(際無く)は 「際限なく・果てしなく・無限に」
などの意です。
ウゴク(動く)は
メグル(回る・廻る・巡る)と原義は同じです。
■天元神 (あもとかみ)
「天の元座の神」
という意味で、フトマニ図の、中心宮アウワの
すぐ外側の輪に座す 「ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メ の8神」
の総称です。
八元神(やもとかみ)、元々(もともと) とも呼ばれます。
他所の天地創造説話には、天元神の誕生についての説明がなくて、
すぐに “泡泥” (あわうび・あほうび・あう)
が発生したことになっていますが、
唯一ミカサのこの記事だけが、その前に天元神が生れていることを語ります。
つまりアメノミヲヤの初の一息は天元神を生みますが、その天元神の様子を
“泡と泥”、あるいは “油と水”
に喩えて説明しているということです。
【概意】
これは我がタマキネより聞いたものだが、
陽陰のいまだ分かざる時、アメノミヲヤのなす息は
果てなく動く “天元神” を生む。
本日は以上です。それではまた!