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徹底解説みかさふみ講座 第36回 [2022.12.22]

みかさふみ タカマ成る文 (5)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 きょうは冬至です。本来の年越の日です。
 これが今年最終の配信となります。
 一年間読んでいただいてありがとうございました。
 新春またお目にかかります。どうかよいお年を!

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 たかまなるあや (その5)
 タカマ成る文 https://gejirin.com/mikasa06.html
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 あにあらわるる ひのわたり ももゐそとめち
 つきのほと なそとめちうち
 ひのめくり なかふしのとの あかきみち やよろとめちの
 つきおさる つきのしらみち よよちうち
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 天に現るる 日の径 百五十トメチ
 月のほど 七十トメチ内
 日の巡り 中節の外の “赤き道” 八万トメチの
 月をさる 月の “白道” 四万チ内
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■日の径 (ひのわたり)
「太陽の直径」 です。


トメチ ■チ
語義は未解明ですが、これは距離の単位で、1トメチ=38里 です。
今日の 1里=3.9273km で計算すれば、1トメチ=約150km となります。
略して “チ” ともいうようです。

 トメチとは 女の三十六踏む 畝は十イキ 百イキは町 三十六 里
 里三十八なり (360歩=1町 36町=1里 38里=1トメチ)  〈ミ6〉


■日の巡り (ひのめぐり)
ここでは 「太陽の日周運動」 を意味します。
宇宙観はいわゆる天動説です。
地動説で言えば、地球の自転に基づく太陽の見た目の日周運動です。


■中節 (なかふし)
宇宙の中心にある地球から 宇宙の果て(とこしなえ)までの、
ちょうど中間の距離にある境目をいいます。

 地球から宇宙の果てまでの距離 : 158,000トメチ
 地球から中節までの距離    :  79,000トメチ
 地球から太陽までの距離    :  80,000トメチ
 地球から月までの距離     :  40,000トメチ未満

 したがって太陽の軌道は中節の外側、月の軌道は中節の内側にあります。


■赤き道 (あかきみち)
「太陽の日周運動の軌道」 をいいます。


■月をさる (つきおさる)
このサルは マサル(勝る)の母動詞で、「上にゆく・超える」 などの意を表します。
ですから 「月を超える」 という意です。


■白道 (しらみち)
「月の周回軌道」 をいいます。これは現在でも 「白道」 と呼んでます。

 

【概意】
天に現れる太陽の直径は 150トメチ(22,500km)。
月のほどは 70トメチ(10,500km)未満。
太陽の周回軌道は “中節” の外の “赤き道”。
地球から “赤き道” までは 8万トメチ(1,200万km)で、月のそれを超える。
月の周回軌道 “白道“ は地球から 4万トメチ(600万km)未満。

 

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 くにたまわたり もそよちの
 めくりみもむそ ゐとめちの つきよりちかき
 ひはとおく つきはなかはに ちかきゆえ ならへみるなり
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 地球 径 百十四チの
 周り三百六十 五トメチの 月より近き
 日は遠く 月は半ばに 近きゆえ 並べ見るなり
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■周り (めぐり)
このメグリは 「周囲・周囲の長さ」 をいいます。


■並べ見る (ならべみる)
ナラブ(並ぶ)は 「匹敵する・対等である」 などの意です。
ですから 「対等に見える・同じ大きさに見える」 ということです。
太陽と月の視直径がほぼ同じであることを言ってます。

 

【概意】
地球は直径が114トメチ(17,100km)の、
周囲は365トメチ(54,750km)で、月から近い。
太陽は遠く、月はその半分ほどに近いため、同じ大きさに見えるなり。

 

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 もろほしは あめにかかりて またらなす
 つつゐはもとの いろつかさ
 ふそみかほしは よしあしお はらのにしめす
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 諸星は 天に篝りて 斑なす
 ツヅヰは元の 色司
 二十みか星は 善し悪しを 原野に示す
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■篝る (かがる)
「輝く/輝かす」 と同じです。
カガリ(篝)という言葉は辞書に載るのですが、
なぜか動詞形のカガル(篝る)は辞書にありません。不思議です。


■斑 (まだら)
ここでは 「まだら模様・斑紋」 の意で、
「星々がつくる模様・星座」 をいうものと思います。
マダラ(斑)は マザリ(交ざり)・ミダレ(乱れ)・ミダラ(淫ら)などの変態で、
「入り交じるさま・入り乱れるさま」 が原義です。


■ツヅヰ (▽綴)
ツヅ(▽続づ・▽綴づ)+ツユ(▽連ゆ) の名詞形で、「続き連なるさま」 をいい、
つまり ツヅリ(綴り)・ツドイ(集い) などの変態と考えています。
これは 「星の集まり・星団・星雲」 などを意味するのではないかと思います。


■元の色司 (もとのいろつかさ)
モト(元)は モトアケ(元明) の略で、「天・天界」 をいい、
“色司” は文字通り 「色彩を支配するもの」 をいうと考えます。


■みか星 (みかぼし)
’ミ’ は ’ヒ’ ‘イ’ ‘ヰ’ と入れ替わることが多いため、
ミカは 「ピカっと光(ヒカ)るさま」 を表すものと思います。
さすれば “みか星” は 「明るい星」 を意味します。

そして “二十みか星” (20の明るい星) とは おそらく、ミナカヌシ、
ヱヒタメトホカミ8神、キツヲサネ・アメヤシナウ11神 の星を指すのでしょう。


■善し悪し (よしあし)
今風に言えば 「吉凶」 です。星占いでしょうか。


■原野 (はらの)
“タカマの原野” の略で、「天の領域」 という意です。

 

【概意】
諸星は天に輝いて斑紋をつくる。
星団・星雲は 天の色の支配者。
20の明るい星は 吉凶をタカマの原野に示す。

 

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 あまめくり ひはををきくて
 ひとおくれ みもむそゐたひ ひととしの
 はるたつひには もとにきて ひとたひもとの ほしにあい
 つきはおもくて そみのりお おくれひにあふ ついたちそ
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 陽陰回り 日は大きくて
 一送れ 三百六十五度 一年の
 春立つ日には 元に来て 一度元の 星に合い
 月は重くて 十三のりを 遅れ日に合ふ “ついたち” ぞ
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■陽陰回り (あまめぐり)
ここでは 「日月の運行」 の意です。


■一送れ (ひとおくれ)
ヒトオクリ(一送り) と同じです。
オクル(送る)は メグル(回る・巡る)と同義ですから、
「ひとまわり・一回転・一周・一巡」 を意味します。
この場合は 「太陽の日ごとの周回」 をいいます。


■三百六十五度 (みもむそゐたび)
タビ(度・旅)は タフの名詞形で、タフは タム(回む・廻む)の変態です。
ですから 「回り・巡り・回ること・巡ること」 を意味します。

 
■春立つ日 (はるたつひ)
これは現在の 「立春の日」 をいうのではなく、「冬至の日」 をいいます。
それが本来の1年の始まりであり、春の始まりです。ですが 何らかの
理由により、10日ほど遅れた 1月1日が 「元日」 「新春」 となりました。
クリスマスも元来は ユールと呼ばれる 「冬至祭・新年の祝」 でした。


■元に来て一度元の星に合ふ (もとにきてひとたびもとのほしにあふ)
太陽は 「1年前の位置に戻り、ひとたび元の星々に合う」 ということで、
“元の星に合ふ” というのは、西洋占星術で言うところの 「黄道十二宮
元の宮に入る」 ということです。太陽は冬至に 磨羯宮(やぎ座) に入ります。


■十三のりを遅れ日に合ふ (そみのりおおくれひにあふ)
“十三のり”は 1年で 「13日分に相当する道のり」 の意と考えます。
“遅る” は この場合は 「満たさず・残す・余す」 などの意です。
ですから 「13日分の道のりを残して太陽に合う」 という意です。
“日に合ふ” というのは 「月が太陽と同じ方向にある」 ということです。

現代の計算では、太陽は平均365.2422日で1巡を終え、これが1年です。
一方、月は平均29.5日で1巡し、これが12ヶ月で354日です。
太陽年と太陰年のずれは 365.2422−354=11.2422日 となりますが、
当時はこれを13日と計算したものと推測します。 参考:太陰太陽暦


■ついたち (朔日・朔・一日)
ここでは特に 「1月1日・元日」 をいい、それも 本来の元日=冬至の日 と思います。
ツイタチは “ツキタチ(月立ち)の音便” と辞書にはありますが、筆者は
ツイタチ(対立ち)の意と考えます。つまり 「太陽と月の両方が一対で立つさま」 です。
“月が日に合う” とは このことを言うと思われます。また “ついたち” は サク(朔)とも
呼ばれ、「月が太陽と同じ方向にあって、暗い半面を地球に向ける。新月」 とあります。

 現在の暦では、冬至と新月が重なる “朔旦冬至(さくたんとうじ)” は
 19年に1度しか起りません。ホツマ・ミカサの記述から 暦法は幾度も
 変更されたことが読み取れますが、この記事を読んで、非常に古い
 とある時代には、毎年が朔旦冬至となるように暦を調整したのかな?
 などと空想しています。新年の初日は 日(太陽)も月もリセットされて
 しかるべき、と思うのは極めて自然な発想ですから。

 

【概意】
日月の運行は、太陽は大きくて、1日の周回を365回で1年となり、
春立つ日(=冬至の日)には元の位置に来て、ひとたび元の星に合い、
月は重くて遅く、13日分の道のりを残して太陽に合う。
これが “ついたち” (朔旦冬至) ぞ。

 

 

本年は以上です。それではまた!

 

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