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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第121回 [2023.2.20]
第二三巻 衣定め 剣名の文 (4)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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みはさだめつるぎなのあや (その4)
衣定め 剣名の文 https://gejirin.com/hotuma23.html
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とよみもの ものぬしかみの つねのはそ もにはかたおり
こよみもの むらしあたひら つねのはそ もはこのかたは
やよみもの あれをさへをみ つねのはそ もはやのかたは
なよみより ふとのはたみの つねのはそ もはむのかたは
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十算物 モノヌシ尊の 常の衣ぞ 喪には固織
九算物 連・直ら 常の衣ぞ 喪は九の固機
八算物 粗長・辺臣 常の衣ぞ 喪は八の固機
七算縒り 太布は民の 常の衣ぞ 喪は六の固機
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■十算物 (とよみもの)
「10算の幅の織物=経糸800本分の幅の機」 です。 ▶八十垂一算
同様に、九算物(こよみもの)は 「9算の幅の織物=経糸720本分の幅の機」、
八算物(やよみもの)は 「8算の幅の織物=経糸640本分の幅の機」
ということです。
■モノヌシ尊 (ものぬしかみ)
オオモノヌシ
と同じです。
■喪には固織 (もにはかたおり) ■喪は◯◯の固機 (もは◯◯のかたは)
「喪に服する期間は 身分に応じた幅の固機を着る」
という意です。 ▶喪 ▶機
固織(かたおり)と固機(かたは)
は同一と思いますが、どのような織物をいうのか
ホツマは説明していないため、ここは辞書に頼るほかありません。 ▶画像
■連 (むらじ) ■値 (あたひ・あたい)
ムラジ(連)は ツリ(連り)の換言で、「オオモノヌシの補佐・次官」
をいいます。
アタヒ(値)は後に説明がありますが、今の 「検察官」
みたいな役職です。
■粗長 (あれをさ)
後に説明されますが、粗長は政府直属の役人ではなく、委任契約による役人です。
■辺臣 (べをみ)
「端っこの臣・下っ端の臣」 の意で、「下級の公務員/役人」
をいいます。
ことみ(小臣)、おと(▽小臣)、とのとみ(外の臣)
とも呼ばれます。
少し後にアマテルは 県主を
“一算のモノノベ” と呼んでいますが、
この県主に満たない階級の臣を指すものと考えます。
■七算縒り (なよみより)
ヨリ(縒り)は
辞書には 「よじり・ひねり」 とありますが、元来は
縒り=寄り で、
「合わせ・寄せ・交え・編み」 を原義とし、オリ(織り)の変態です。
ですから 「7算の幅の織物=経糸560本分の幅の機」
ということです。
■太布 (ふとの)
不詳ですが、フトヌノ(太布)
の略と考えています。
【概意】
十算物はモノヌシ尊の常の衣ぞ。喪には十算の固織。
九算物は連や直らの常の衣ぞ。喪には九算の固機。
八算物は粗長や辺臣の常の衣ぞ。喪には八算の固機。
七算織と太布は民の常の衣ぞ。喪は六算の固機。
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われつねに そふよみおきる つきのかす もはそのかたは
なつはぬさ うみてぬのをり ふゆはゆき よりてゆふをり
きるときは かみしもよよの ゐもやすく
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我 常に 十二算を着る 月の数 喪は十の固機
夏はヌサ 績みてヌノ織り 冬はユキ 縒りてユフ織り
着る時は 上下よよの 気も安く
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■ヌサ ■ユキ
どちらも植物の名だと考えますが、不詳です。
ヌサの繊維から造った糸を織った機がヌノで、
ユキの繊維から造った糸を織った機がユフなのだろうと思います。
ヌノもユフも高級なものではなく、非常に庶民的な織物だったことがうかがえます。
■績む (うむ)
アム(編む)の変態で、「合わす・つなぐ・連ねる」
などが原義です。
繊維を 「つなぎ合せて糸にする」 ことをいい、ツムグ(紡ぐ)
と同じです。
■縒る (よる)
ヨル(寄る)と同じで、これも
「寄せ合せる・つなぐ・連ねる」 などが原義です。
繊維を 「寄せ合せてつなぐ」 ことをいい、やはり ウム(績む)、ツムグ(紡ぐ)
の換言です。
辞書には 「ねじる」
と説明がありますが、それは寄せ合せてつなぐための “手法”
です。
■上下よよ (かみしもよよ)
“上下” は ここでは 「身分の上の者も下の者も」
という意です。
ヨヨは “いよいよ” “うようよ”
などの短縮で、この場合は 「いよいよ多く(の人)」
を意味します。
■気も安く (ゐもやすく)
ヰ(気・意)は ここでは 「心・気持ち・意識」 です。
ヤスク(安く・▽和く)は 「調和する如く」 が原義で、
「曲りなく・偏りなく・まっすぐに・すこやかに・やすらかに」
などの意を表します。
ですから 「心もやすらかに・気楽に」 という意味です。
これは
最高の身分のアマテルでさえ、日ごろ質素な服装をしているとなれば、
他の人々が着飾って虚栄を張り合うこともできないだろう、という配慮からです。
【概意】
我は常に十二算を着る。一年の月の数。喪は十算の固機。
夏はヌサを績みてヌノを織り、冬はユキを縒りてユフを織り、
それらを着る時は、上下のいよいよ多くの心もやすらかに。
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かさるおみれは にきはえと うちはくるしむ そのゆえは
ゆふぬのきぬお そめかさる これなすひとは たかやさて
ひまかくゆえに たもあれて たとひみのれと とほしくて
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飾るを見れば 賑わえど 内は苦しむ その故は
ユフ・ヌノ・絹を 染め飾る これなす人は 耕さで
隙欠くゆえに 田も粗れて たとひ実れど 乏しくて
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■内 (うち)
この場合は 「心」 です。
【概意】
飾るのを見れば賑わっているようだが、心は苦しむ。
その理由は、ユフ・ヌノ・絹を染め飾るようなことをする人は、
耕すことなく、時間を飾ることに浪費するため、田も粗れ、
たとえ実っても収穫は乏しくて、
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ややひとかすの かてあれと もとちからゑぬ いねのみは
はみてもこえす やふやくに かてたらさるそ
ほこるよは あめのにくみに あめかせの ときもたかえは
いねやせて たみのちからも ややつきて よにくるしむそ
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やや人数の 糧あれど 基力得ぬ 稲の実は
食みても肥えず ようやくに 糧 足らざるぞ
誇る代は 陽陰の憎みに 雨風の 時も違えば
稲 痩せて 民の力も やや尽きて 弥に苦しむぞ
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■基力 (もとぢから)
「‘タ’ から出る力」 つまり 「民(タミ)が田(タ)を耕す(タガヤス)
ことで生ずる力」 と考えます。
力・大年 捧ぐれば 八方の賑わひ ‘タ’ から出る 故に宝ぞ 〈ホ23-2〉
■やふやく (漸く:ようやく)
ヤフ+ヤク の連結の名詞形で、ヤフは ヤル(遣る)の変態、ヤクは
ユク(行く)の変態です。
両語とも 「回る・巡る・回帰する・還る・くりかえす」
などが原義で、
「循環しながら進展するさま・雪だるま式」 を意味し、“やや”
“いよいよ” と同じです。
■誇る代 (ほこるよ)
ホコル(誇る)は オゴル(驕る・奢る)の変態ですから、
ここでは 「人々がおごり高ぶる時代」
と考えて良いと思います。
■陽陰の憎み (あめのにくみ)
このアメ(陽陰)は 「火水」
と同じで、「自然環境・生活環境」 をいいます。 ▶火水
ニクミ(憎み)は 「離れ・背き・不調和」 などが原義です。
ですから 「自然との乖離・自然との不調和」
などの意となります。
「人のおごりが自然との調和を乱す」
という意味かと思います。
★憎む (にくむ) ★憎み (にくみ)
ニク(逃ぐ)+クム
の短縮で、クムは クユ(蹴ゆ)の変態です。
両語とも 「離れる/離す・背く・嫌う」
などが原義です。
■雨風の時も違ふ (あめかぜのときもたがふ)
「必要な時期に雨が降らず、ありえない時期に強風が吹く」
というようなことです。
雨風も “陽陰” “火水” の換言で
「自然・自然環境」 を意味します。
★違ふ・▽互ふ (たがふ・ちがふ)
タク(食ぐ)+カフ(交ふ)
の短縮で、両語とも 「合う/合わす・交わる」
を原義としますが、
この場合は
「交差する・食い違う・すれ違う・ちぐはぐになる・互い違いになる」
などの意を表します。
■弥に (よに)
“いよいよに” の略で、この場合は
「しだいに・だんだん・どんどん」 などの意です。
“やや” “やふやく” “弥に”、みな同義の換言です。
【概意】
どうにか人数分の食糧はあっても、民の耕しの基力を得ぬ稲の実は
食べても滋養にならないため、しだいに食糧が足りなくなるぞ。
おごれる代は
人の心と自然との不和により、雨風の時期も狂ってくるため、
稲は痩せ、民の力もしだいに尽きて いよいよ苦しむぞ。
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かさりより おこりになりて ときはかる
はてははたれの くにみたれ たみやすからす
かれつねに たみのゐやすき ゆふおきる
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“飾り” より “おごり” になりて 鋭き 謀る
果てはハタレの 国乱れ 民 安からず
故 常に 民の気安き 結を着る
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■鋭き謀る (ときはかる)
「鋭き者が陰謀を企てる」 という意です。 ▶鋭き
“鋭き者” とは 「シラヒト・コクミ・二さすら姫」
のような者をいうのでしょう。
■ハタレ
■民の気安き結 (たみのゐやすきゆふ)
「民の心やすらかな織物」 という意です。 ▶気安く・気も安く ▶結
これは 「自分をよく見せたいと飾る心を抑える服装」
という意味で、
つまりは 「質素で華やかさのない服装」 をいいます。
最高位にあるアマテルが、そういう質素な服装をしているとなれば、
他の人々も着飾って虚栄を張ることもできないだろうという配慮です。
国の乱れの起源は “おごる心“ にあり、その底辺には
"飾る心" があります。
したがってその発生を抑えることが、すなわち
「源を正す」 ということになります。
・これ源を 正さねば 大水なして 防がれず これ領らずんば 治まらぬなり 〈ホ23-3〉
・ウビチニの代は 厳かに 飾る心の 寿も 百万年ぞ 〈ホ23-1〉
【概意】
“飾り” より “驕り” になりて、鋭き者は謀を企てる。
果てはハタレによる国の乱れとなれば、民は安全ならず。
それゆえ常に、民の心に波風を立てない物を我は着るのである。
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あさことすかの はふたゑは
たみのゐやすく なからゑと ひにいのるはそ
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麻子と菅の 羽二重は
民の気安く 永らえと 日に祈る衣ぞ
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■麻子 (あさこ)
アス(填す・▽栄す)+サク(咲く) の短縮 “アサク”
の名詞形で、「繁茂」 が原義と考えます。
ですから アサ(麻)
と同じだと思います。 ▶画像
ちなみに アシ(葦)
も アサ(麻) の変態と考えてます。 ▶画像
■菅 (すが)
スグ(過ぐ・▽勝ぐ)の名詞形で、これも原義は シゲ(繁・茂)
ではないかと考えてます。
今日では スゲ(菅) と呼ばれることが多いようです。 ▶画像
■羽二重 (はぶたゑ)
麻子と菅を織った羽二重ですから、その材料はその辺にいくらでも生えている雑草です。
絹糸を織った着物に比べれば、悲しいほどに質素な服装といえるでしょう。
■気安く永らふ (ゐやすくながらふ)
「心を調和して進む・心を曲げずに生きてゆく」
という意味です。 ▶気安く ▶永らふ
■日に祈る (ひにいのる)
「日ごとに祈る・毎日祈る」 の意です。 ▶祈る
・昔 二尊 アワ歌を 日ごとに歌ひ 八百万日 行ひ至る この末に
我 受け継ぎて 結ぶ手に 朝ごと歌ふ 幾年か 〈ミ10-6〉
・アマテル神も 忘れじと 糸二十四筋 より合わせ 陰陽羽二重の 御衣となす
この御衣召して 朝ごとに 天地祭り 父母に 継がふ実心 〈ホ16ー7〉
【概意】
麻子と菅の羽二重は、民が心を調和したまま生きてゆくことを、日ごとに祈る衣ぞ。
このように常日頃は地味で質素な服装の大御神ですが、
次で語られるように、神を世に纏る儀式の時は違います。
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にしこりは ゆきすきみやの おおなめの ゑのときのはそ
あやおりは はにのやしろの さなめゑに すきいのるはそ
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錦織は ユキ・スキ宮の 大嘗の 会の時の衣ぞ
綾織は 埴の社の 新嘗会に 結き祈る衣ぞ
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■錦織 (にしこり)
ニシキ(錦・丹白黄)+オリ(織り) の短縮です。 ▶画像
ニシキ は 「丹・白・黄」
の略ですから、錦織は 赤白黄の結
の換言です。
ですから 「赤白黄をあしらった織物」 をいい、これを
「尊ぶこと」 のモノザネとします。
■ユキ・スキ宮 (ゆきすきみや)
ユキ・スキ は “天ユキ” “地スキ”
の略で、大嘗祭の時に神の依代として設ける
「アユキの宮」 と 「ワスキの宮」 をいいます。
ユキは “悠紀・斎忌・由基”、スキは
“主基・須岐”
と当て字されています。
■大嘗の会・大嘗会 (おおなめのゑ・おおなめゑ)
一年最初の嘗会を新嘗会(にいなめゑ・さなめゑ)といいますが、国君の即位後に
初めて行う新嘗会を、特に大嘗会(おおなめゑ)といい、後に言う
大嘗祭
です。
大嘗会においては、ユキ宮・スキ宮を設けて、そこに元明の神々を纏ります。
大嘗会は 和つ日月に就任したことを天地に知らしめるという意義を持ちます。
新嘗会も大嘗会も冬至の日に行います。
★嘗会 (なめゑ)
ナメ(▽和・嘗)は 「行い・行事」、ヱ(会)は その
「機会」 を意味します。 ▶嘗
■綾織 (あやおり)
筆者は知識が及ばないのですが、
「経糸と緯糸の交差の仕方によって模様をつくる織物」
をいうようです。
ですから 「1色の糸だけでも模様が描ける織物」
ということでしょうか。 ▶画像
アヤは
「交わり」 が原義で、この場合は、魂と魄
(陽と陰・経と緯) が
交わって生まれる 「人」
を表わすモノザネと考えています。 ▶アヤ
■埴の社 (はにのやしろ)
新嘗会において 神をまとわす依代として設ける社です。
ハニ(埴)は
「下って凝ったもの」 が原義で、この場合は
神が下って凝った 「人」 を意味します。
そしてその社には 人の暮らし(衣食住)を守る 「田畑神 (後述)」
と 「トの神」
を纏ります。
■新嘗会 (さなめゑ・にいなめゑ) ■初嘗会 (ういなめゑ)
サ(▽更・▽新)+ナメヱ(嘗会) で、サは サラ(更・新)の略です。
「一年最初の行事の機会」 という原義で、“にいなめゑ”
ともいいます。
また初嘗会(ういなめゑ)、埴スキの嘗会(はにすきのなめゑ)
とも呼ばれます。
天神と代々 皇神 ユキ・スキの宮 山海と ト尊霊は
埴スキの 嘗会に付けて 人草の 寿祈るなり 〈ホ27〉
■結き祈る (すきいのる)
スク(結く・挿ぐ・好く・直ぐ)は
「合わす・結ぶ・寄せる・招く」 などの意です。
ですから 「(神を)招き寄せて心を合わす」 という意で、”付け纏る”
の換言です。 ▶祈る
スク(結く)の名詞形が 地スキ、埴スキ の “スキ” です。
【概意】
錦織は ユキ・スキ宮の大嘗会の時の衣ぞ。
綾織は 埴の社の新嘗会に神を招いて祈る時の衣ぞ。
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このゆえは あやにしこりは おさはやも
ひとはによたり みちふもり これあしはらの とよのかす
たなはたかみと たはたかみ おなしまつりの あやにしき
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この故は 綾・錦織は 筬歯八百
一歯に四垂り 三千二百垂 これあしはらの トヨの数
棚機神と 田畑神 同じ纏りの 綾・錦
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■あしはらのトヨの数 (あしはらのとよのかず)
「朝廷領に配置する臣の数」 という意で、「中国の千五百村を治める守の数」
と同じです。
その数は 「三千」 で、三千モノノベ、三千臣彦、三千の守、三千司
などと呼ばれます。
そのヤス国の 千五百村 みな頭あり 今これを 合せて三千の 守治む 〈ホ23-3〉
★トヨ (▽訪・▽響・樋)
トヨはトフ/トユ(訪ふ/▽訪ゆ)の名詞形で、トユは
「めぐる/めぐらす・配る」
などが原義です。この場合は 「張りめぐらす者・派遣/配置する者」
を意味し、
「各地区に配備して民を治める守 (=臣・司)」
をいいます。
■棚機神 (たなばたかみ)
“棚機”は 「天の川」 をいいます。“棚機神” は
「星となって輝く神々」 を意味し、 ▶棚機
フトマニ図 に描かれる49神の別名です。この場合は特に、大嘗会
において
ユキ宮 に纏る “アメトコタチ”
9神と、スキ宮 に纏る “年宣り神”
11神をいいます。
■田畑神 (たはたかみ)
“田畑” は 「衣食住の源泉」 を意味します。ですから
「人の生活を守る神」 です。
具体的な名は挙げられていませんが、27アヤに “山海”
という表現がありますので、
海川山の幸を生む自然神、木祖ククノチ、茅の姫、野槌、ウケミタマ
などを
総称すると思われます。新嘗会
において 埴の社 に纏ります。
・山海と ト尊霊は 埴スキの 嘗会に付けて 人草の寿祈るなり 〈ホ27〉
・海川山の幸 木祖ククノチ 茅の姫 野槌も生りて 〈ホ3-2〉
人の暮らしを守る神という意味では、室十一神
や ヤマサ神 なども
それに該当するわけですが、それらが田畑神に含まれるのかについては、
ホツマの記述からは判断できません。
■同じ纏りの綾・錦 (おなじまつりのあやにしき)
「民を まつる(=まとめる) 3000人の臣と同じ数の、
経糸3200垂を まつった(=織った) 綾織と錦織」
という意です。 ▶纏る ▶纏り
そしてアマテルは それを まとって(=着て) 神を まつる(=祭る)
のです。
【概意】
この理由は、綾織と錦織は800歯の筬を使って織り、
筬一歯あたり4本の経糸を通すゆえ、800歯で合計3200本となる。
これはあしはらに配備する臣の数 3000人 と同じである。
したがって棚機神をまつる時に着る錦織と、田畑神をまつる時に着る綾織は、
民をまつる臣の数に等しき 糸のまつり(=機)なのである。
<ゆえに 君が神をまつる時にまとう綾織と錦織は 3000人の臣の象徴であり、
君が3000人の臣をその身にまとって、端正に機を織り上げる如くに、
国を纏ることを願うものである。そのことを神に知らすため、綾織・錦織を着る。>
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みちりのたてに へかさりお かけてよつむつ ふみわくる
やなきあやなる はなかたは ゑかきまのりに あてうつし
つうちよこへに つりわけて
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三千垂の経に 綜カザリを 掛けて四つ・六つ 踏み分くる
“柳文” なる 花形は 描き 目載りに 当て写し
ツウヂ・ヨコヘに 吊り分けて
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■綜カザリ (へかざり)
経糸を通す部分が 綜(へ) で、それを上下させる機構が カザリ(▽替更り)
です。
2つを合せて現在は綜絖(そうこう)と呼びます。 ▶画像
■四つ・六つ踏み分く (よつむつふみわく)
「4本または6本の踏木を踏み分ける」 という意です。 ▶踏木
錦織や綾織などの高度な織物は、綜カザリ(=綜絖)も1セットでは足りず、
複数の綜カザリに経糸を分けて掛けます。そのため綜カザリを上下させる
踏木も2本ではなく、4本とか6本に増えるわけです。 ▶画像
■柳文・柳紋 (やなぎあや)
今に言う 「やなぎもん」
かと思います。 ▶画像
■花形 (はながた)
ハナ(華・花)+カタ(形) で、「モチーフ」
を言うのでしょう。
■目載り (まのり)
「目(間・マス目)を載せたもの」
の意で、「織組織のパターン図」 をいうものと思います。
▶織組織
■ツウヂ・ツウジ (通ぢ・通じ) ■ヨコヘ・ヨコベ (横綜)
綜カザリ(=綜絖)の 経糸を通す部分を “綜(へ)”
といいますが、
基本となるメインの 綜(へ) を “ツウヂ” と呼びます。
それに対して、高度な織物を織るために追加される 綜(へ)
が “ヨコヘ”です。
【概意】
3000本 (正確には3200本) の経糸に綜カザリを掛けて
4本・6本の踏木を踏み分けて織る “柳文” という花形は、
絵を書き、それをパターン図に当て写し、経糸をツウヂとヨコヘに吊り分けて、
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をりひめかさり ふむときに よこへにわけて つうちひく
かひぬきなけて をさめくる あやにしこりも これなるそ
たかはたのりの あらましそこれ
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織姫 カザリ 踏む時に ヨコヘに分けて ツウヂ引く
梭 貫き投げて 筬 巡る 綾・錦織も これなるぞ
高機法の あらましぞこれ
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■織姫 (をりひめ・おりひめ)
「機を織る女性」
という意で、特定の姫を指すものではありません。
■カザリ踏む (かざりふむ)
この場合は 「カザリ(=綜絖)を上下させる踏木を踏む」
という意味です。
■高機法 (たかはたのり)
「高き機の法・高度な機を織る方法」 という意です。
■あらまし
【概意】
織姫がカザリを上下させる踏木を踏む時に、
ヨコヘに分けてツウヂを引き下げ、そこで梭を貫き投げて、筬を巡らす。
綾織も錦織もこれなるぞ。高機法のあらましぞこれ。
動画:南風原花織
この動画で “ツウヂ” と “ヨコヘ”
のイメージがよくつかめると思います。
この中で “ヨコヘ” は 花綜絖 (はなそうこう)
と呼ばれてます。
本日は以上です。それではまた!