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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第120回 [2023.2.18]
第二三巻 衣定め 剣名の文 (3)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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みはさだめつるぎなのあや (その3)
衣定め 剣名の文 https://gejirin.com/hotuma23.html
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ひかしらは ひたかみよりそ をさまりし
そのやすくにの ちゐもむら みなかうへあり
いまこれお あわせてみちの かみをさむ
あめつちさりて とおけれは わたくしたつる
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日上しらは 日高みよりぞ 治まりし
そのヤス国の 千五百村 みな頭あり
今これを 合せて三千の 守 治む
天地 去りて 遠ければ 私立つる
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■日上しら・日頭 (ひかしら・ひがしら)
ヒ(日)+カス(▽上す)+ラ(場所を表す) で、「日が上る所」
の意です。 ▶ひがし
これは “昇る日の本”
の換言で、「マトの教えが最初に通った国」、つまり
「国家の発展の基本となった国」 を意味し、ヤマト国=中国
をいいます。
■日高み (ひたかみ)
ヒ(日)+タカム(高む) の名詞形で、「日の高まる方・東」
を意味します。
ここでは原義通りの 「東方」 を意味し、ヒタカミの国
をいうものではありません。
■ヤス国 (やすくに:▽和国)
これも ヤス、ヤスカワ、中国、アワ国、ヤマト国、千五百
の別名です。
「中心の国・中央政府の国」 の意と、「調和の国」
の意が重なります。
禊に民の 調いて イヤマト通る 葦引きの 千五百の生田の 瑞穂成る
マトの教えに かかんして のんアワ国は てんヤマト 〈ホ5ー4〉
■頭 (かうべ・かふべ)
「千五百の頭」
をいいます。
■三千の守 (みちのかみ)
“三千モノノベ”
の別名です。カミ(守)は 「臣・司・モノノベ」
の換言です。
■天地去りて遠し (あめつちさりてとおし)
“遠き天と地”
の換言です。 ▶去る
上流の者と下流の者、この場合は特に “君と臣” あるいは
“上位の臣と下位の臣” では
意識の隔たりが大きくて、「通じ合わない・わかり合えない・親の心を子は知らず」
という意味です。
罪・咎の 正しも 遠き 天と地 届かぬことを 思ふなり 〈ホ17ー2〉
■私立つ (わたくしたつ)
「自分を立てる・自分を上/中心に置く・自分を優先する」
などの意です。
ワレオタツ(我を立つ) ともいいます。
★私 (わたくし)
「回帰する所・本源・中心」
などが原義で、「本人・我が身・自分」 を意味します。
原義は モトオリ、ココロ、ウラ
などと同じです。
ワタ+クシ で、ワタは ワツの名詞形。ワツは ワタル(渡る)の母動詞です。
クシは クスの名詞形で、クスは コス(越す・遣す)の変態です。
両語とも 「回る・巡る・往き来する・還る・回帰する」
などが原義です。
【概意】
昇る日の本(=中国)は東の側から治まっていく。
そのヤス国の千五百村にはそれぞれ司がありて、今これを合せて三千の守が治めるが、
君と臣とでは
その意識が大きく隔たるため、私を立てる臣も出てくる。
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このゆえに もののへよもに つかわして
あめますひとと そえふたり さかおかそえる みちたてて
かのみもむそゐ あめのみち およへはころす みちはこれ
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この故に モノノベ四方に 遣わして
天マスヒトと 副二人 清汚を数える 道立てて
科の三百六十位 天の満ち 及べば殺す 道はこれ
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■モノノベ
■清汚を数える道立つ (さがおかぞえるみちたつ)
清汚/直曲の基準を定めて罪の重軽を計る法を制定することをいいます。
■科・曲・汚 (か・が)
罪科・前科・科料 などの “科” です。原義は ガ(曲・汚)
と思われます。
■三百六十位 天の満ち (みもむそゐあめのみち)
「360度の天の一巡の完了」 という意です。
天の満ち/天の一巡の完了
というのは、時間と共に回転移動する天体が、
丸一日後にもとの位置に戻ることをいいます。 ▶画像
罪が360科に及ぶと死刑ですが、その理由を時計の喩えで説明しますと、
時計の12時の位置は天上界で、それ以外は地上での人生と考えて下さい。
地上に生れて人生を過ごすと共に時計の針も回っていきます。
そして一周して再び12時を指した時には、天界に還ったことになります。
この理屈により 「360度を一周したら天に還す → 死刑」
ということです。
【概意】
このためモノノベを四方の国に派遣して、
天マスヒトと副2人を置き、罪の重軽を計る法を定める。
罪科が “360度=天の一巡” に及べば
死刑とする法はこれである。
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もしあやまりて ころさるも かたきおとれは をおとくと
あまねくたみに ふるるなり
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もし誤りて 殺さるも 敵を捕れば 緒を解くと
あまねく民に 触るるなり
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■敵 (かたき)
アダ(仇・敵・▽当)と同義で、「当たる者・相手・代り」
などが原義です。
ここでは 冤罪で処刑された人の 「代り」 の意で、つまり
「真犯人」 をいいます。
■緒を解く (をおとく)
「霊の緒を解く」 という意で、これは 「霊還し」
と同じです。 ▶霊の緒
これにより魂と魄が
それぞれ陽元と陰元に還り、人として再誕することが保証されます。
【概意】
もし冤罪で死刑となっても、真犯人を捕えた場合には霊の緒を解くと、
あまねく民に触れるなり。
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さほこのくにの ますひとか みちおみたれは これおめす
たたせはころす つみなるお さおゑてのかる
またのかに ついにあめより つみせらる
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サホコの国の マスヒトが 道を乱れば これを召す
糺せば殺す 罪なるを 清を得て逃る
またの科に ついに天より 詰みせらる
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■サホコの国のマスヒト (さほこのくにのますひと)
「シラヒトとコクミ」
を指します。
正確には、シラヒトは根の国のマスヒト、コクミはサホコチタル国の副マスヒトですが、
根の国とサホコ国の区別はゆるく、サホコは根国の延長として扱われることが多いです。
■道 (みち)
ここでは 「国を治める道」 で、それはつまり 「トの道」
です。
■清を得て逃る (さおゑてのがる)
“清” は サガ(清汚・直曲)の
サ(清・直) で、
サ(清・直) は刑の軽減要因、ガ(汚・曲)は重増要因です。
この場合は、クラ姫とアメオシヒの結婚の祝による恩赦の減刑をいいます。
モチがクラ姫を カンサヒの子の アメオシヒ 妻わせ典侍が 兄となし
父マスヒトの 纏り継ぐ シラヒト・コクミ この祝 半ば清を得て
“さすらひ”
の ヒカワに遣るを マスヒトの 我が臣となす 〈ホ7ー3〉
■天より詰みせらる (あめよりつみせらる)
“天” は ここでは 「御上・中央政府・朝廷」
を意味します。
“詰みせらる” は ツミス(詰みす)+ラル(受身)
で、「滅ぼされる」 という意です。
【概意】
サホコの国のマスヒトがトの道を乱せば、これを召喚する。
糺し明かせば死罪となるところを、恩赦を得て免れる。
しかしまたの罪に、結局は御上によって滅ぼされる。
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かれかおこりお たやすくに ゆるせはたみも みなおこる
これよりはたれ あらはるる たとえはかわの みなもとの
ひとしつくより なかれまし のたにあふるる
ひともこれ ひとりゆるせは よろむれて そのみちもとる
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故 科起りを たやすくに 許せば民も みなおごる
これよりハタレ 現るる 例えば川の 源の
一滴より 流れ増し 野田に溢るる
人もこれ 一人許せば 万群れて その道悖る
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■科起り・曲起り (かおこり・がおこり)
「曲りの起こり・罪の起こり・犯罪の発生」
という意です。
■ハタレ
■源 (みなもと)
ミ(回・廻)+ナ(=の)+モト(元・本・基)
で、ミ は ミル(回る・廻る)
の名詞形。
「めぐりの元・始発点・原点」
を意味します。ですから本来 “水” とは無関係です。
【概意】
しかれば罪の発生をたやすく許せば、民もみな驕る。
これ(=驕り)よりハタレが現れるのである。
例えば川の源の一滴から流れが増していって
野田に溢れるように、
人もこれ、一人を許せば万人がそれに群れてトの道をねじ曲げる。
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さしおけは ついにはよもの みたれなす
これみなもとお たたさねは おおみつなして ふせかれす
これしらすんは をさまらぬなり
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差し置けば ついには四方の 乱れなす
これ源を 正さねば 大水なして 防がれず
これ領らずんば 治まらぬなり
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■差し置く
(さしおく)
サス+オク(置く)
の連結で、「させておく」 の意と考えます。
■大水 (おおみづ)
オオ+ミヅ(水) で、オオは オフ(覆ふ)の名詞形。
「水が覆うさま・洪水」 をいいます。
■防ぐ (ふせぐ)
フス(付す)+セク(塞く・堰く)
の短縮で、フサグ(塞ぐ)の変態です。
両語とも 「合わす・締める・せばめる・閉じる」
などが原義です。
■これ領らずんば (これしらずんば)
“これ領らざれば”
の換言で、「これを制御・支配しなければ」
という意です。
“これ” とは 「乱れの源」 ですが、それはつまり
「人の心のおごり」 です。
【概意】
放っておけば ついには四方の乱れを引き起こす。
これつまり、水の源を正さねば洪水は防がれぬように、
<人の治めも>
その源を制さずしては治まらぬのである。
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われみるに ひといはかわる おこりかち へりにはかたく
かれはたの をりのりさたむ
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我見るに 人意は変る おごりがち 謙りには固く
故 機の 織法定む
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■人意・人気 (ひとい)
「人の心・人の意識」 です。 ▶い・ゐ
■おごりがち
「おごりやすい・おごる傾向がある」 という意です。
★がち
カタムク(傾く)の母動詞 “カツ”
の名詞形で、「一方に傾くさま」 をいいます。
カタ(方・片)・カヂ(舵) などの変態です。
■謙りには固し (へりにはかたし)
ヘリ(減り・▽謙り)は ヘリクダル(謙る・▽減り下る)の “ヘリ”
です。
この場合は 「身を低めること・謙虚になること」 の意で、“おごり”
の反対語です。
ですから
「へりくだり難し・謙虚になることには頑固である」
という意味です。
■機の織法 (はたのをりのり)
着物を作る機(=反物)の幅を、身分に応じて規制する法で、
ハノリ(▽機法・▽衣法)とも呼ばれます。 ▶反物
【概意】
我が見るに、人の意識は変化するが、
おごるに易く 謙虚になることには固く、
それゆえ機の織法を定めたのである。
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ゆふのはは たていとやもり をさよもは やそりひとよみ
やりひとて へくゐにそろゑ あれをさに まきをさにいれ
かさりかけ めをふみわけて かひなくる をさめくらせて
ゆふぬのも きぬもをるなり
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結の幅 経糸八百垂 筬四百歯 八十垂一算
八垂一手 綜杭に揃え 粗筬に 撒き 筬に入れ
カザリ掛け 陰陽踏み 分けて 梭投ぐる 筬 巡らせて
ユフ・ヌノも 絹も織るなり
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■結 (ゆふ) ■幅
(はば)
■経糸八百垂 (たていとやもり)
「経糸800本」 という意です。 ▶経糸 ▶経 ▶糸
“リ” は タリ(垂り)の短縮と思われるため、“垂”
の字を当てています。
■筬四百歯 (をさよもは)
「400歯の筬」 という意です。
400歯の筬に800本の経糸ですから、筬1歯あたり2本の経糸が通ります。
★筬 (をさ)
ヲサム(治む)の母動詞
ヲス(▽治す・食す)の名詞形で、
「治めるもの」 を意味します。 ▶画像
なお、人間社会でヲサ(筬)の役を務める者を、同じくヲサ(長)と呼びます。
■八十垂一算 (やそりひとよみ)
「経糸80本分の幅を “一算” と呼ぶ」 という意です。 ▶いちき糸店 ▶読み(大辞林)
ヨミ(算)は 「数えるに足る最小の単位数」 をいい、
この場合は 「経糸80本分の幅が、織物の幅の最小単位」
ということです。
■八垂一手 (やりひとて)
同様に 「経糸8本分の幅を “一手” と呼ぶ」 という意で、
一手は “一手指” (ひとてゆび) の略です。これは 算(よみ)
の補助単位と考えられます。
■綜杭 (へぐゐ)
経糸の長さを揃えるための道具で、今は整経台(せいけいだい)と呼ばれます。
整経台に立つ多くの杭を “へぐゐ”
と呼んだのでしょう。 ▶画像
ヘ(綜・総)は ヘル(綜る)の名詞形で、「合わせ・統べ・揃え・調え」
などが原義です。
クイ/クヰ(杭・杙)は
クフ(構ふ)の名詞形で、クフは
カフ(支ふ・交ふ)の変態です。
■粗筬 (あれをさ)
経糸の 「おおまかな治め」 という意です。 ▶画像
現在は 荒筬/粗筬(あらおさ)、仮筬(かりおさ)、ラドル
などと呼ばれます。
なお、人間社会でアレヲサ(粗筬)の役を務める者を、同じくアレヲサ(粗長)と呼びます。
■撒く (まく)
ワク(分く)の変態で、「分ける・散らす」 が原義です。
「粗筬に通して経糸を分散する」 ことをいいます。
■カザリ (▽替更り)
横糸を通すための杼口を空けるために、「縦糸を分割して上下させる機構」
をいい、
現在はもっぱら 綜絖(そうこう)
と呼ばれます。 ▶画像
カス(▽替す)+サル(▽更る) の短縮 “カサル”
の名詞形で、
両語とも 「往き来・回転・交替・更新」
などを意味します。
■陰陽踏み分く (めをふみわく)
メヲ(陰陽)は 「2つで1組となるもの」
を表しますが、
この場合は 機織り機の足元にある 2本の 「踏木」
をいいます。 ▶画像
これを踏んで “カザリ” を上下させ、経糸を “分ける”
という意味です。
踏木2本は
機織り機の最も基本的な構成です。後に示されますが、
カザリ(=綜絖)の数が増えれば、それに応じて踏木の数も増えます。
■梭
(かひ) ■杼・梭
(ひ)
「緯糸を通す操作に使う道具」 で、ヒ(杼)とも呼ばれます。
英語ではシャトルです。 ▶画像
カヒ(梭)は カフ(交ふ・替ふ・▽通ふ)の名詞形で、
「往き来・往復・通い」 が原義です。ですから カヒ(櫂)
と同一です。
ヒ(杼)は ヒルガエス(翻す)の母動詞 “ヒル”
の名詞形です。
■巡らす (めぐらす)
この場合は 「動かす・働かす・運ぶ・送る」
などの意です。
■ユフ ■ヌノ
この場合は、単に “織物” を意味する 「結・木綿」
「布」 ではなく、
織物の種類を表す名であるように思えますが、不詳です。
【概意】
織物の幅は経糸800垂で、これを400歯の筬に収める。
80垂を “一算”、8垂を “一手” と呼ぶ。
綜杭に揃えた経糸を、粗筬に分けて筬に通し、カザリに掛ける。
陰陽の踏木を踏み <経糸を上下に分けて>
梭を投げ、筬を巡らせる。
ユフもヌノも絹も こうして織るのである。
本日は以上です。それではまた!