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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第103回 [2024.1.3]

第十九巻下 乗りの文 連栲の文 (1)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 のりのふみてるたえのあや (その1)
 乗りの文 連栲の文 https://gejirin.com/hotuma19-2.html
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 のりのふみてるたえのあや
 ふそゐすす ももみそゑたの としさなと はるのはつひに
 よのひつき みこおしひとに ゆつりまし
 あめよりいせに おりいます
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 乗りの文 連栲の文
 二十五鈴 百三十枝の 年サナト 春の初日に
 世の日月 御子オシヒトに 譲りまし
 天よりイセに 下り居ます

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乗り (のり)

■連栲 (てるたえ)
本文中で説明します。

■二十五鈴百三十枝 (ふそゐすずももみそゑだ)  ▶数詞
真榊(=鈴木)による暦法で、1鈴=6万年、1枝=60年、1穂=1年 です。
ウビチニ&スヒヂの時代に植え継ぎが500回の限界に達し、累計年数が
一旦リセットされていますので、この暦の起点はその頃と考えられます。
以来ホツマに暦年の記載されている出来事を振り返ると、次の通りです。

・21鈴125枝31穂 アマテル誕生。 ・21鈴126枝58穂 アマテル即位。
・22鈴505枝1穂 トヨケ帰天。 ・24鈴999枝60穂 六ハタレ蜂起。
・25鈴93枝37穂 カシマ直ち開始。 ・25鈴100枝11穂 オシホミミ即位。
・25鈴100枝28穂 アマノコヤネ結婚


■サナト
我が国本来の干支の表し方で、今の表し方では 辛酉 (かのと・とり) に当たります。
60年で一周する58番目ですから、これは真榊の暦で “58穂” と言うのと同じです。


■春の初日 (はるのはつひ)
「新春初日・元日」 です。


■世の日月 (よのひつき)
「世にあって八方を照らす日月」 という意で、和つ日月・和つ君 の換言です。
これは 「中央政府の君・国家君主・皇」 の別称です。


オシヒト・オシホミミ
虚弱な生れ付きのため、オモイカネ&ヒルコの夫婦を御子守として近江のタガ若宮に育ちます。
叔父叔母が世を去ると、オモイカネの父で7代タカミムスビのタカキネが、代の殿に就任して
中央の政を代行します。入れ替わりにオシヒトはヒタカミに下り、タカキネのタクハタチチ姫
娶って、新都タカノコフにて三種宝を受けます。これが25鈴100枝11穂のことです。

 この時期の国家の政体は、国家元首のオシホミミはヒタカミの首都タカノコフにあり、
 ヒタカミ国主のタカキネは代の殿となって、近江のタガで中央政府の君を代行、
 さらにアマテルはイサワの宮にて世を照らすという、複雑怪奇な状況にあります。


■天よりイセに下り居ます (あめよりいせにおりい[ゐ]ます)
このアメ(天・▽上)は 「御上・中央政府・世の日月の立場」 をいいます。
イセ(▽妹背・伊勢)は イサワの換言です。  ▶下り居る下り居

 アマテルは かなり前からイサワの宮に居ますので、この時に宮を移したわけではなく、
 これまで通りイセを座所としながら、「世を照らす日月の立場から下りて隠居なさる」
 という意味です。とは言えこれは “公式には” の話であって、世にあるかぎり、
 アマテル神から漏れ出る光は世を照らし続けます。

 

【概意】
乗りの文 連栲の文
25鈴130枝の年サナト(58穂)の新春初日に、
<アマテル神は> 世の日月を御子のオシヒトに譲り、イセで下り居なさいます。



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 ときにつきすみ おおくまと ひつめあおこま たてまつる
 かみおもしろく おほすれは くまとにたまふ みあえには

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 時にツキスミ オオクマト 秀づ馬 青駒 奉る
 神おもしろく 思すれば クマトに賜ふ 御饗には

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ツキスミ

■オオクマト
オオクマ(大隈)+ト(▽留)で、九州の 「大隅の地を治める地守」 です。 ▶地守
クマ(隈)は スミ(隅)の換言、ト(留)は トメ(留め)の略で、「まとめる者」 の意です。

 くま【隈・曲・阿】〈大辞泉〉
 ・奥まった所。もののすみ。片

 おおすみ【大隅】 〈大辞林〉
 旧国名の一。鹿児島県の東部と洋上の大隅諸島・奄美(アマミ)諸島の地域に当たる。
 隅州(グウシユウ)。


■秀づ馬 (ひづめ)
ヒヅ(秀づ)+メ(馬) で、「秀でた馬・優れた馬・駿馬」 をいいます。 ⇔ あくめ(悪馬)


■青駒 (あおこま)
「青毛の馬」 です。これは 「灰色がかった白毛の馬」 を言うそうです。 ▶駒

 これは陰暦1月7日の出来事であったようです。オオクマトがアマテルに
 青駒を贈ったことは、正月の宮廷行事 “白馬節会” として後世に残りました。
 正月に “コマ回し” して遊ぶのも、これが起源なのかもしれません。


■神おもしろく思す (かみおもしろくおぼす)
“神” はアマテルを指します。 ▶おもしろし
オボス(思す)は 「思ふ・覚ふ」 の尊敬語です。

 アマテルは何がおもしろかったのでしょうか?
 単に見事な馬を贈られたことを愉快に感じただけかもしれませんが、
 “オオクマ” が “アオコマ” を持ってくるという、ダジャレのような
 組み合わせが可笑しかったのかな? なんて考えています。


御饗 (みあえ)
この場合は 「新春の祝」 と同時に 「青駒に対する返礼」 です。

 

【概意】
時にツキスミのオオクマトがの青駒の秀馬を献上する。
神は面白く思われ、クマトに賜ふ御饗には、



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 ぬゑあしもちか かさくさも こけうはこへら いたひらこ
 すすなすすしろ すせりなつ このななくさに のそくなり

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 ヌヱアシモチが かさくさも コゲウ・ハコベラ イタヒラコ
 スズナ・スズシロ スセリ・ナヅ この七草に 除くなり

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ヌヱアシモチ・ヌエアシモチ

 このハタレ ヌヱアシモチぞ 化け術に たぶらかす者 みな斬らん 〈ホ8-7〉


■かさくさ (▽傾曲)
カサ+クサ(▽曲) の同義語連結で、「傾き曲るさま・異常・病」 などの意です。

 カサは カシグ(傾ぐ)の母動詞 “カス” の名詞形で、「曲り・傾き」 が原義です。
 クサは クス(▽屈す)の名詞形で、クセ(曲)の変態です。
 ですからこれも ヲヱクマ(汚穢曲)ヱヤミ(穢病・疫病) などの同義語です。
 カタヲヱ(▽傾汚穢)と記している箇所もあります。


七種・七草 (ななくさ)
アマテルは七草の膳をふるまって、クマトの病を癒やしますが、
これが今日でも行われる 「七種粥」 の起源と考えられます。
やはり正月の宮廷行事ともなり、ホツマは “七種の御饗(みあえ)” と呼んでます。
後世には 七草の祝七種の節句 などと呼びました。

 ★コゲウ
 今に言う 御形(ごぎょう・おぎょう)で、母子草(ははこぐさ)とも呼ばれます。▶画像

 ★ハコベラ・ハコベ菜
 ハコベ(繁縷)の古名で、アサシラゲとも呼ばれます。 ▶画像

 ★イタヒラコ・イタヒラ菜
 今日では 田平子(たびらこ)と呼ばれ、別名がホトケノザ(仏の座)です。 ▶画像

 ★スズナ (鈴菜・菘)
 蕪(かぶ)の別称です。 ▶画像

 ★スズシロ (蘿蔔・清白)
 ダイコンの別称です。 ▶画像

 ★スセリ
 今日にいうセリ(芹)です。泥の中に白い匐枝(ふくし)を延ばして繁殖するため、
 ホツマでは シラヒゲ(白髭) とも呼ばれます。 ▶画像

 ★ナヅ・ナズ
 今日にいうナズナ(薺)で、別名ペンペングサです。 ▶画像

 

【概意】
<クマトの患う> ヌヱアシモチによる異常も、
コゲウ・ハコベラ・イタヒラコ・スズナ・スズシロ・スセリ・ナヅ、
この7草に除くなり。



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 さくらはなれは またのもち こかねひつめの くろこまお
 たかきかひけは たてまつる みつほまなゐに のりみゆき
 しはしはまつり きこしめす これそらくもり あらさりき

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 桜場成れば またの十五日 黄金蹄の 黒駒を
 タカギが引けば 奉る 御壺マナヰに 乗り御幸
 しばしば政 聞し召す これ空曇り あらざりき

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■桜場・桜庭 (さくらば)
このサクラは サグル(探る)の名詞形で、サグルは 「めぐる/めぐらす」 が原義です。
ですからサクラは コマ(駒)の換言で、サクラバ は 「馬場」 のことです。 ▶場
馬肉は “桜肉” と書くので、それに倣って “桜場・桜庭” と当て字しています。


■またの十五日 (またのもち)
マタは ここでは 「次・翌」 の意を表します。 ▶モチ(望)
ですから 「翌月の15日」 で、この場合は 「2月15日」 となります。


■黄金蹄 (こがねひづめ)
「黄金色の蹄」 という意でしょう。
このヒヅメは ヒツ(▽秀つ・▽肥つ)+ツメ(爪) で、「大きな爪」 の意です。

 ヒヅメには 先出の “秀づ馬” と、この “蹄” の2つがあり、
 辞書にも両方の意味が載りますが、どちらにも “蹄” の漢字が当てられています。


タカギ
アマテルとは いわば学友であり、竹馬の友です。

 一人侍んべる フリマロは 六代ヤソキネの 代嗣子ぞ 〈ホ4-5〉


■御壺マナヰ (みつぼまなゐ)
ミ(御・▽上・▽神)ツボ(壺) で、「尊い都・神都」 を意味します。
マナヰ は アマテルが自ら御幸して しばしば政務を執った都ゆえに
“御壺” と表現しているのでしょう。“御壺マナヰ” は アマノマナヰ の換言です。


■乗り御幸 (のりみゆき)
「馬での御幸・乗馬御幸」 の意です。 ▶乗り ▶みゆき


■空曇り (そらぐもり)
「世の曲り・天下の乱れ」 などの意です。

 ★空 (そら)

 ★曇り (くもり)
 クモル(曇る)の名詞形で、「曲り・逸れ・外れ・狂い・異常・不調」 などが原義です。


■あらざりき
「無いのである・あるはずもないのである」 などの意です。  ▶キ

 日月の神霊の顕現であるアマテルが 退位するとなれば、陽陰の調和に翳りが生じ
 汚穢の発生や世の乱れを 皆が心配するところですが、退位後もしばしば地の政を
 自らお執りになったため、その心配は無用であった、ということかと思います。

 

【概意】
馬場が完成して、翌月の15日に タカギが黄金蹄の黒駒を引いて献上する。 
これに乗って御壺マナヰに御幸し、しばしば政務をお執りになる。
これなら天下に乱れのあるはずもなし。



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 としへてのちに ににきねの みゆきほつまの にはりなる
 のりのりめせは をはしりか わさおうけたる たかひこね

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 年経て後に ニニキネの 御幸 ホツマの ニハリ成る
 乗り法召せば ヲバシリが 技を受けたる タカヒコネ

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■ニニキネ ■キヨヒト
オシホミミとタクハタチチ姫の次男で、斎名はキヨヒトです。
陽陰御孫(あめのみまご)とも呼ばれ、記紀には 邇邇藝命/瓊瓊杵尊 などと記されます。

 ヤソキネ─タカキネ─タクハタチチ姫┐
                  ├クシタマホノアカリ(斎名テルヒコ)
 サクラウチ─セオリツ姫┐     │
            │     ├ニニキネ(斎名キヨヒト)
            ├オシホミミ┘
 イサナギ┐      │
     ├─アマテル─┘
 イサナミ┘


■ホツマのニハリ
ニニキネが ホツマ国の筑波山麓に建てた “ニハリ宮” をいいます。
この経緯については21アヤで詳説されます。場所は後の 常陸国新治郡 です。


■乗り法 (のりのり)

ヲバシリ (▽馬領り)厳ヲバシリ (いつをばしり)
アマテルが二尊から皇位を受け継いだ時、「馬屋治め」 の御役目を賜った
ヲバシリは研鑽を積んで馬術を極めた結果、「乗り教え人」 に任命されます。
85万3,018人に伝えたその技が、六ハタレの平定に大功を成したと認められ、
イツ(厳)” の称号をアマテルより賜ります。


タカヒコネ

 

【概意】
年を経て後に、ニニキネがホツマ国に御幸してニハリ宮が完成する。
乗り法を所望なされると、ヲバシリの技を伝授されたタカヒコネが <申して曰く>



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 ちみちはやすく あれいつの わさはゑかたき
 ももちたひ ととのへねりて これおうる
 まつしるむまの うまれつき あらましとかん

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 地道は易く 荒・厳の 技は得難き
 百千度 調へ練りて これを得る
 先ず知る馬の 生れ付き あらまし説かん

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地道 (ぢみち) ■荒 (あれ) ■厳 (いつ)

あらまし
アラム+シク(如く) の連結から ‘ク’ を省いたク語法で、アラムは アラブ(▽粗ぶ・荒ぶ)の変態。
「粗いさま・おおまかなところ・だいたいのところ」 などの意です。
平たく言えば、“荒まし” の名詞化です。

 

【概意】
地道は易く、荒・厳 の技は得がたい。百度・千度 修練してこれを得る。
まず知るべきは馬の生れ付き。あらましを説きましょう。



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 ひたかみは ししたくましく ゆるやかて
 ややひととせに のりなるる ちみちののちは あれのりや

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 ヒタカミは 肉 逞しく 緩やかで
 やや一年に 乗り馴るる 地道の後は 荒乗りや

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肉 (しし)

■緩やか (ゆるやか)
馬の筋肉がこなれる速さが 「緩やか・ゆっくり」 という意です。


やや
ここでは 「およそ・ほぼ・だいたい」 などの意です。


■乗り馴るる (のりなるる)
「乗りこなれる・騎乗訓練により馬の体が適応する」 という意です。 ▶なるる

 

【概意】
ヒタカミ産の馬は、肉付き逞しく、馴れがゆっくりで、
ほぼ1年で乗りこなれる。地道の後は荒乗りや。



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 つくしのむまは すこやかに ゆるく
 なるるも としなかは はせいつかけも なかなれや

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 ツクシの馬は 健やかに 緩く
 馴るるも 年半ば 馳せ・厳駆けも 長馴れや

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■健やか (すこやか)
「じょうぶで健康」 という意味と思います。
スコ(健)は スグ(直ぐ)の変態で、「曲りなくまっすぐなさま」 が原義です。

 
■馳せ (はせ) ■厳駆け (いつがけ)
ハセ(馳せ)は 「急がすこと・急行」 をいい、
イツガケ(厳駆け)は 「厳しく急がすこと・特急」 をいいます。


■長馴れ (ながなれ)
「馴れる・こなれるのに時間が長くかかる」 という意です。

 

【概意】
九州の馬は丈夫で健康、馴れもゆるく、乗りこなすには1年半。
馳せ、厳駆けも長馴れや。



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 またこしくには たくましく ししなかなれに いそくゆえ
 みよつきなれて いつかけも なれといそくは あやしあり

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 また越国は 逞しく 肉 長馴れに 急ぐゆえ
 三・四月 馴れて 厳駆けも 馴れど急ぐば 怪しあり

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越国 (こしくに)

■急ぐ (いそぐ)
これは 「馬がいそぐ・馬の気がせく」 ことをいいます。
越国産の馬は そういうせっかちな気質だということでしょう。


■怪しあり (あやしあり)
「紛らわしい・間違えやすい」 などの意です。 ▶怪し

 

【概意】
また越国の馬は逞しく、肉は長馴れのくせに、馬は急ぐ気性ゆえ、
3〜4月馴れたら厳駆けもありうるが、こなれてないのに急ぐので紛らわしい。



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 みなみのむまは ちいさくて としなれはやく ねかうすく
 いさおしならす しかしまた つよきよはきも たねにより
 けいろにわかつ よしあしも そたちによりて しなかわる
 よくのりなれて これおしる

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 南の馬は 小さくて 年馴れ速く 根が薄く
 功 成らず しかしまた 強き弱きも 胤により
 毛色に分かつ 良し悪しも 育ちによりて 品変わる
 よく乗り馴れて これを知る

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■小さし (ちいさし)
チヒス+シ(=如し) で、チヒスは チフ(禿ぶ)+ヒス の短縮。
チフの名詞形が “ちび” で、ヒスは ヒツ(漬づ)の変態です。
両語とも 「下がる・落ちる・沈む・縮む」 などが原義です。


■年馴れ (としなれ)
トシ(年)+ナレ(馴れ) の同義語連結で、どちらも 「熟成」 を意味します。
立ち馴れ” の変態です。この場合は 「筋肉の馴れ・こなれ」 です。

 ★年・歳 (とし・とせ)
 トスの名詞形で、トスは タス(▽達す)・タツ(立つ・▽達つ)の変態。
 「行き着くこと・熟成・到達・達成」 などが原義です。
 “一年” は 「太陽の黄道1周回の達成」 という意です。


■根が薄し (ねがうすし)
「奥が浅い・潜在力/ポテンシャルが乏しい」 という意です。


■しかしまた
今日使われる “しかし” は これが簡略されたもので、
「そうしてまた・そうでありながらも」 という意です。

 本来の “しかし” は 「しかして・そうして」 という順接の意を表します。
 “しか” は シク(如く) の名詞形です。


胤 (たね)
「馬の血統」 をいいます。

 

【概意】
南方産の馬は小型で、こなれるのは速いが、奥が浅くて功は成らず。
しかしまた 強き弱きも血統によるし、毛色で判別する血統の良し悪しも、
育ちによってまた品が変わるため、よく乗りこなしてこれを知る<以外にない>。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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