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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第102回 [2024.1.2]
第十九巻上 乗り法 一貫間の文 (2)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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のりのりひとぬきまのあや (その2)
乗り法 一貫間の文 https://gejirin.com/hotuma19-1.html
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くつはにつける ひきつなお ひとぬきのまと なつくなり
ゆえはあめつち わかさるに あめのみをやの あほおあめ
うひおくにたま うつろのり しなとのたつな のりめくり
よろものうめる ふたかみも のりめくりてそ くにをさむ
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轡に付ける 引き綱を “一貫の間” と 名付くなり
故は天地 分かざるに アメノミヲヤの 泡を天
泥を地球 ウツロ 乗り シナトの手綱 のりめぐり
万物生める 二尊も のりめぐりてぞ 国治む
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■轡に付ける引き綱 (くつはにつけるひきづな)
タヅナ(手綱)と同じです。 ▶轡
引き綱の ヒキ(引き・▽率き)は 「制御・コントロール」
を意味します。
■一貫の間 (ひとぬきのま)・一貫間 (ひとぬきま)
手綱の一種で、「一貫きの “一間”」 という意です。 ▶一間(ひとま)
手綱は左右2本に分れるアカタエ(▽別栲)と、輪状のテルタエ(▽連栲)に
大別されます。“一貫の間” はアカタエの一種ですが、1丈6尺の1本の
綱を、分断せずに中ほどの部分を轡に結び、両端を人が操作するものです。
そうすると左右の手に持つ手綱はそれぞれ一間(=8尺)となります。
この手綱は人と馬の心も一貫きにして、“熱走り”
を抑えるといいます。
■天地分かざるに
(あめつちわかざるに)
これ以降は天地創造の過程を語るもので、18アヤの記述とほぼ同じです。
・天地の 泡泥いまだ アメミヲヤ ア手を結びて 吹く虚空 際なく回り
ウヰとウヌ アウヌ 結びて 天 創り ウヌア
交じりて ウハ 結び 泥を地球 〈ホ18ー1〉
・ウンの手の ウツロヰを馬 イニの手の シナトは轡 光
鞭
オ手に地球 のりめぐる 〈ホ18ー2〉
■泡を天 泥を地球 (あほおあめ うひおくにたま)
天地創造の過程で、泡泥(あわうび・あほうび)の、“泡”
が 陽に転じ、上昇して天となり、
“泥” が 陰に転じ、下降して地となったことをいいます。
■ウツロ乗り (うつろのり)
ウツロ(空)は ここでは 「空を支配する自然神のウツロヰ」
をいいます。
ノリ(乗り)は ここでは
「乗り物・移動手段」 の意で、「馬」 をいいます。
■シナトの手綱 (しなとのたづな)
シナトは
「風を支配する自然神」 です。手綱(=轡の引き綱)は
「馬の制御」 を意味します。
■万物生める二尊 (よろものうめるふたかみ)
「万物を生みし二尊」 という意です。 ▶万物を生みし
【概意】
轡に付ける引き綱を “一貫の間” と名づけるなり。
その故は、天地のいまだ分かざるに、アメノミヲヤは泡を天、
泥を地球となして、ウツロヰの馬とシナトの手綱に地球に巡幸し、
万物を再生した二尊も、国々に巡幸して国家を治めたが、
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うつろくつわや くにたまお ひとぬきのをと こころゑは
たとひはすれと のりおちす
むまくるはせぬ わかこころ ひとつらぬきの たつなひく
あるしのままと なるものそ
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ウツロ・轡や 地球を 一貫きの緒と 心得ば
たとひ馳すれど 乗り落ちず
馬 狂わせぬ 我が心 一貫きの 手綱引く
主の随と なるものぞ
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■一貫きの緒 (ひとぬきのを)
ヲ(緒・▽結)は 「結び・結合・つながり・連続」
などが原義です。
ですから 「途切れない一本のつながり」 という意味です。
■一貫きの手綱 (ひとつらぬきのたづな)
「馬と轡と地球を一つに貫く手綱」 という意で、
この心を形にしたモノザネが ヒトヌキノマ(一貫きの間)
という手綱です。
【概意】
ウツロ(=馬)と轡と地球は、手綱により我が心と一本に連なるものと
心得れば、たとえ早駆けさせても乗り落ちず。
馬を狂わせぬ ‘我が心と一貫きの手綱’
を引けば、主の随となるものぞ。
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うはのあおりお うつとても つなつよけれは むまとはす
つなゆるけれは まえあしお おりてたおるそ
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浮羽の煽りを 打つとても 綱 強ければ 馬 跳ばず
綱 緩ければ 前足を 折りて倒るぞ
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■煽りを打つ
(あおりおうつ)
“打ち煽つ”
の換言です。
アオリは後世 “障泥・泥障” (ひぢよけ)
と当て字されていますが、
その理由はホツマの19アヤを読む者のみが知ります。
泥除けの 垂皮
浮羽と なる故は 馳せ行く道に 中窪の 小溝に行きて
鐙にて その垂皮を 打ち煽つ 〈ホ19aー1〉
【概意】
浮羽の煽りを打っても、
手綱の引きが強過ぎれば 馬は跳ばないし、
ゆる過ぎれば 前足を折って倒れるぞ。
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いつとゆる かけこゑめをの あいたあり
このほとらいの まおしれは ちみちいつあれ
のりのりお またくゑるそと さつけます
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厳と緩 駆け・越え 陰陽の 間あり
この程らいの 間を知れば 地道・厳・荒
乗り法を 全く得るぞと 授けます
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■厳と緩 (いつとゆる)
語順は逆ですが、「緩急」
の意を表します。「急な走りと緩やかな走り」
ということです。
■駆け・越え (かけ・こゑ)
カケ(駆け)は 「走り」
と同じ、コヱ(越え)は 「跳躍・ジャンプ」 です。
■陰陽の間 (めをのあいだ)
互いに対極にある 「陰と陽との隔たり/開き/違い」
という意です。
ですから 「まったく違うさま・正反対なさま」
をいいます。
★間 (あいだ・あい・ま)
この場合は 「隔たり・開き・違い・差異」
などの意です。
アイは アフ(合ふ)の名詞形で、「中」 の意。タ/ダ(手・方)は
「区分・区画」 を表します。
マ(間)は ヒマ(暇)の略で、「空き・開き」
の意です。
■程らい (ほどらい)
ホトル(辺る)+アフ(合ふ) の短縮の名詞形で、ホトルは ホトリ(辺)の母動詞です。
ですから 「あたり(辺り)・近く・近辺」
などを意味します。“程合”
と同じです。
■厳 (いつ)
イツノリ(厳乗り)の略です。
■荒 (あれ)
アレノリ(荒乗り)の略で、“荒” は
「勢いあるさま・速いさま」 を意味します。
これは “地道” と “厳乗り”
の中間に位置づけられる乗馬法です。
【概意】
急な走りと緩やかな走り、また走りと跳躍では、陰と陽(女と男)ほどの隔たりがある。
その辺りの違いを知れば、地道・厳・荒
の乗馬法を完全に修得するぞと、授けます。
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ここにをはしり みちおゑて ひひにももたひ のりなるる
ちよろととのひ ねりなれて ややゑるちみち つつのわさ
としおかさねて ねりなれて あれのりみそこ はなわさも
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ここにヲバシリ 道を得て 日々に百度 乗り馴るる
千万 調ひ 練り熟れて やや得る地道 つづの技
年を重ねて 練り熟れて 荒乗り三十九 華技も
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■馴るる (なるる)
ナル(慣る・馴る・狎る・熟る)の連体形で、今風にはナレルです。
馬の話なので、“馴る” の漢字を当てています。
■練り熟る (ねりなる)
「練熟する・熟練する」 という意なので、“熟る”
の漢字を当てました。
■つづ・つつ・つず (▽連/十九)
ツヅは 「続くさま・連なるさま・絶え間ないさま」
を表しますが、
ここでは 「いつもの・常の・平常の」
の意に解しています。
39アヤで説かれますが、ツヅ歌(連歌)の1句が19音 (5-7-7)
のため、
ツヅは 「十九」
を表す場合があり、その意も重ねているように思われます。
そうすると “つづの技” は 「平素の (基本の) 19の技」
という意になります。
■三十九華技 (みそこはなわざ)
荒乗りの 「39の華々しい技」
の意に解しています。
★ミソコ (三十九)
“ハナ” を引き出す枕詞です。
これは、胎児の成長過程で ハナ(端)〈“末端”の意〉の細かな構造が備わるのが、
日月の神霊の回転が 39回転/日
となる頃であるためです。
日に一巡り 遅れ減り 三月は三十九 端を添ふ 〈ホ14-4〉
【概意】
ここにヲバシリは乗馬の道を得て、日々に百度
乗り慣れる。
千回万回と調えれば練り熟れて、ようやく地道の基本19技を得る。
年を重ねてさらに練り熟れて、荒乗りの39の華技も得る。
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またなれしみて いつのりの ゐそこさつめの たゑわさの
のりのりさたむ みことのり のりをしゑとと
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また馴れ染みて 厳乗りの 五十九サツメの 妙技の
乗り法定む 御言宣 “乗り教人” と
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■馴れ染む (なれしむ)
「馴れて身に染まる・身に染まるほどに熟練する」
の意に解しています。
■五十九サツメ (ゐそこさつめ)
これも39アヤで説かれることですが、ツヅ歌(連歌)における第59句は
3番目の 織詰(おりつめ) に当たり、これを “サツメ”
と呼びます。
このためヰソコ(五十九)は
サツメにかかる枕詞として使われます。
ここでのサツメには特に意味はなく、単にヰソコ(五十九)という枕詞に
呼び出されているだけではないかと思います。
■妙技 (たゑわざ)
「優れ至る技・至高の技・超絶技巧」 などの意です。 ▶妙
■乗り法 (のりのり)
■乗り教え人 (のりをしゑど)
「乗りの教師・乗馬の先生」 という意です。
【概意】
また馴れて身に浸透して、厳乗りの59の妙技の乗り法を定めれば、
<アマテル神の> 御言宣。“乗り教え人”
の称号を賜る。
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なるよりこ いふきとぬしや そさのをと
すへやそゐよろ みちそやの かみにつたふる のりわさも
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なる寄子 イフキドヌシや ソサノヲと
総べ八十五万 三千十八の 守に伝ふる 乗り技も
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■なる寄子 (なるよりこ)
「寄子となる者」 の意に解しています。
★寄子
(よりこ)
この場合は 「“乗り教え人” に身を寄せる弟子」
をいうのでしょう。
■ソサノヲ
【概意】
その寄子となるは イブキトヌシやソサノヲなど、
総勢85万3018人の守に伝える乗り術も、
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みつれはかくる よこしまの はやるますひと
むらかるる なんますこちの さまたけも
やふるをしてお たまわれは ほとよくはらふ むつのかみ
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満つれば欠くる よこしまの はやるマスヒト
群がるる 七十万九千の 妨げも
破るヲシテを 賜われば 程良く祓うふ 六つの守
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■はやる (逸る・早る)
「急ぐ・あせる」 などの意ですが、ここでは “早利き”
“疾し激し”
のさまを表します。
つまり “荒猛心”
が生む性癖で、ハタレとなってしまうパターンです。
・篤き恵みの 緩法を 必ず倦むな はやるなよ 〈ホ17-5〉
・早きハタレに おもむかで ヤタのカガミの 謂
聞けば 汚曲を更るぞ 〈ホ17-5〉
・荒猛心 子に求め 利き
過ぎねぢけ よこしまの ハタレとなるぞ 〈ホ17-4〉
■マスヒト
ここではサホコチタルのマスヒト
「アメオシヒ」 を指します。
■破るヲシテ (やぶるをして)
ヲシテは ここでは
「言葉・まじない」 の意で、
アマテルが六ハタレ討伐の諸将に授けた
「まじないの種」
をいいます。
対シムミチ :葛末、蕨縄
対イソラミチ :粔籹、蕗
対ヰツナミチ :ふと環
対キクミチ :油で揚げたネズミ、陽香、陰香
対ハルナハハミチ:サツサ餅飯に付けたサツサツツ歌
対アヱノミチ :領巾、香の果
■六つの守 (むつのかみ)
ムマサカミ(六将守)とも呼ばれ、六ハタレの討伐を指揮した、
フツヌシ・タケミカツチ・カダ・イブキヌシ・タチカラヲ・クマノクスヒ
の6人をいいます。
またカナサキは6将の司を務めました。
【概意】
満ちれば欠ける理に、邪に早るマスヒト。
これに群がる70万9千人の妨げも、
破るまじないを賜われば、ほどよく祓ふ六人の守。
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たけもののへら あれいつの のりゆみわさに
よこしまお のそけはすへて よそやます
ををんたからも みなすてに ゐおやすくぬる
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武モノノベら 荒・厳の 乗り弓技に
よこしまを 除けば総て 四十八マス
大御宝も 皆すでに 気を安く温る
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■武モノノベ (たけもののべ)・武モノ (たけもの)
モノノベは
「臣・守」 の同義語で、「公務員・役人・官吏」
をいいます。
その中でも “武モノノベ” は 「武官・軍官」
をいうものと思います。 ▶武モノ主
■乗り弓 (のりゆみ)
「馬を駆りながら弓を射ること」 をいいます。
後世には ウマユミ(騎射・馬弓)
と呼ばれます。
■四十八マス (よそやます)
マスは 「100,000」 を表す数詞です。ですから 「480万」
です。
この当時の日本の総人口ではないかと考えられます。
■すでに
(既に・已に)
スデは “すっとばす”
のスツの名詞形、また “さっと”
のサツ(颯)の変態で、
「速いさま・先行するさま・至っているさま」
を意味します。
■気を安く温る (ゐおやすくぬる)
「心を安らかに緩める・安心して気を緩める」
という意です。 ▶ゐ(気・意・霊)
ヤスク(安く・▽和く)は 「調和する如く」
が原義で、「曲りなく・偏りなく・すこやかに」
などの意。ヌルは ヌルム(温む)の母動詞で、ヌルムは
ユルム(緩む)
の変態です。
【概意】
武官らが 荒・厳の乗り弓の技によって邪どもを除けば、
総て480万の大御宝も、皆もはや 心を安らかに緩める。
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のりゆみの いさおしたつる もののへお めくみたまひて
をはしりに いつのなたまふ
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乗り弓の 功立つる モノノベを 恵み給ひて
ヲバシリに “厳” の名 賜ふ
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■功 (いさおし)
■厳・稜威・逸 (いつ)
「極めて優れるさま・並外れて優れるさま・抜きん出るさま・逸品・殊勲」
などの意を表します。
以後ヲバシリは “厳ヲバシリ”
とも呼ばれるようになります。
【概意】
<アマテル神は>
乗弓の功を立てたモノノベを恵み給いて、ヲバシリに “厳”
の名を賜う。
これは馬術を教わった恩師(ヲバシリ)を称えることで、
その生徒たち(武モノノベ)の功労に報いたということだと思います。
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このかみは とよけのまこの みかさひこ
そのこひさひこ かしまかみ いかつちひしく いさおしお
たけみかつちと なつくこれかな
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この尊は トヨケの孫の ミカサヒコ
その子ヒサヒコ カシマ尊 雷拉ぐ 功を
タケミカツチと 名付くこれかな
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■ミカサヒコ
ヲバシリの別名です。ミカサは
ミカシの名詞形ですが、ミとイは よく入れ替わるため、
ミカシ=イカシ(厳し)
です。よって 「イツ(厳)の臣」 の意と思います。 ▶ヒコ(彦)
■ヒサヒコ (日早彦)
ヒノハヤヒコ(日の早彦)・ヒワヒコ(日早彦)とも換言され、
「日の出が早い国の臣・東の国の臣」 という意味です。
これは後にヒタチ(日立・常陸)の国を領するタケミカツチの別名です。
■タケミカツチ
タケ(長)+ミカツチ(▽雷) で、タケ(長)は
「長けるさま・勝るさま」 を意味します。
ミカツチは イカツチ(雷・厳つ霊)の変態です。ですから
「雷に勝る者」 という意味です。
【概意】
この尊はトヨケの孫のミカサヒコ。
その子のヒサヒコはカシマ尊。雷拉ぐ功に “タケミカツチ”
と名づくこれかな。
本日は以上です。それではまた!