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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第88回 [2023.12.7]
第十七巻 神鏡ヤタの名の文 (1)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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かんかがみやたのなのあや (その1)
神鏡ヤタの名の文 https://gejirin.com/hotuma17.html
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かんかがみやたのなのあや
あめつちも うちともきよく なるときに
をうちにはへる とみたみも やたのかかみお おかむとき
あまのこやねか つつしみて やたとなつくる ゆえおこふ
ときにあまてる みことのり
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神鏡ヤタの名の文
天地も 内外も清く 成る時に
大内に侍る 臣・民も ヤタの鏡を 拝む時
アマノコヤネが つつしみて “ヤタ”
と名付くる 故を乞ふ
時に和照る 御言宣
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■神鏡・尊鏡 (かんかがみ)
「カミ(上・尊・神)のカガミ(鏡・▽明暗見)」 の意で、1つには
「アマテル神の尊い鏡」 を
意味しますが、他にも深い意味があり、本文中で説明されます。ぜひ読み解いて下さい。
■ヤタ
この意味を説明するために、このアヤがあります。
■天地も内外も清く成る時 (あめつちもうちともきよくなるとき)
「陽陰の調和が完全に達成される時」
という意で、アマテルの重要な教えが
アマテル自身によって語られるアヤの冒頭に置かれる 賛美感謝の前書き
の1つです。
“天地”は この場合は
「陽陰と、その和合/調和」 を意味します。
“内外” は 中節の 内を巡る
「月」 と、外を巡る 「日」 を表し、“天地”
の言い換えです。
“清く” は
「濁りなく・純粋に・完全に」、“成る” は
「達成される」 の意です。
■大内 (をうち・うおち・ををうち・おうち)
イサワの宮の内裏にある
アマテルの皇居 「大内宮」
をいいます。
■ヤタの鏡 (やたのかがみ)
皇位継承の璽である
“三種宝” の1つです。
■アマノコヤネ
■つつしむ (慎む・謹む)
ここでは 「心する・襟を正す・緊張する・かしこまる」
などの意です。
【概意】
神鏡ヤタの名の文
陽陰の調和が完全に達成される時、
大内宮に侍る臣や民にも “ヤタの鏡”
の拝観を許された折、
アマノコヤネがつつしんで “ヤタ”
と名付ける理由を乞う。
時に和して照らす御言宣。
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やたはやたみの もとのたけ
いにしえつくる まはかりは やそよろひとの なれたけお
あつめはかりて ひとつほお いまのひとまの ものさしそ
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ヤタはヤタミの もとの丈
いにしえ造る 間計りは 八十万人の 均れ丈を
集め計りて 一坪を 今の一間の 物差しぞ
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■ヤタ (八尺・八手)
これからヤタの意味が説かれていきますが、まずは 「8尺」
の意です。
現在は 1尺=約30.3cm とされますが、この時代は 1尺=約22.5cm
です。
したがって 8尺=約180cm です。
★尺・咫 (た・あた)
タ(尺)は 「手」
が原義で、手を目一杯広げた時の
親指と小指の先端間の長さをいい、
1尺=約22.5cm です。これで寸法を計る様子が “尺取り虫”
の名の起源です。
古来より世界中で用いられた長さの単位で、海外ではスパン(span)と呼ばれます。
■ヤタミ (八民)
“ヤタ” と同じく、“ヤタミ”
にも複数の意味がありますが、
ここでは 「八方の民・八隅の民・全国の民」
の意を表します。
■いにしえ
■間計り (まばかり)
「水平方向の長さを計る単位/ものさし」 をいいます。
■八十万人 (やそよろひと)
ヤソヨロ(八十万)は 「80万」、また 「非常に多いさま」
を表す慣用表現です。
ヒト(人)は ここでは 「男の人」
を言うものと考えられます。
16アヤでは “八十万男の子”
と呼ばれています。
■均れ丈・平れ丈 (なれたけ)
「平均身長」 の意です。それが 8尺=180cm
であったということです。
丈八尺は 八十万男の子 均れ丈ぞ 〈ホ16-8〉
■一坪 (ひとつぼ)
ツボ(坪・壺)は ツメ(詰め)の変態で、1坪は
「両手を広げた男1人を詰め込める広さ」、
つまり 8尺×8尺 (180cm×180cm) です。 ▶坪
(辞書)
両手を左右に広げた長さを “尋”
といいますが、それは身長とほぼ同じになります。
■一間 (ひとま)
これは今日 イッケン(一間)
と呼ばれることが多いです。
■物差し (ものさし)
サシ(差し)は 「合わせ・比べ・匹敵」 などが原義です。
ですから 「物事を比較する時に基準とするもの」
をいいます。
【概意】
ヤタ(8尺)は全国の民のもとの身長である。
いにしえに造った間計りは、80万人の平均身長を集計して
“1坪” を定めた。
これは今のモノサシでは “1間” に相当する。
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このまはかりお やきたわけ これにひつきの ふたたまし
よのひとからの たかはかり たおとつたきり きとなつく
たみはやたなり
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この間計りを 八段分け これに日・月の 二尺増し
世の人殻の 高計り 尺を十苆切り 寸と名付く
民はヤタなり
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■八段分く (やきだわく)
キダ(段)は 「割・区分」
を表します。ですから 「1間を8つに分割する」
という意です。
“8” という数は トホカミヱヒタメ の “天元の八神”、また
“八民” に由来すると考えられます。
全国の男の平均身長(=1間)を8等分した長さを “1尺”
と定めたということになりますが、
では “間” と “尺” のどちらが先なのか?
という疑問が残ります。その実用性から考えると
尺(=手)のモノサシが先にあったと推測されますが、手の大きさは個人差が大きいため、
統計的な数字により
尺に一定の基準を定めたということだと思います。これにより
全国一律に 1尺=22.5cm
を通用することができるわけです。
■日・月の二尺増す (ひつきのふたたます)
日と月は ここでは 「陽と陰」
を意味し、トホカミヱヒタメの8神が守る
中心のアメミヲヤを表すものと考えます。つまり
“アウワ” のアとワです。
よって 「アメミヲヤの分として2尺を加える」
という意となります。
■人殻 (ひとがら)
「人の神霊を入れる容器」、つまり
「からだ・身体・肉体」 をいいます。
★殻・骸 (から) ★族
(から)
カラグ(絡ぐ)
の母動詞 “カル” の名詞形、また
コリ(梱)
の変態で、
「まとめ・まとまり・一からげ・包み・括り・梱・容器」
などを意味します。
■高計り (たかばかり) ■丈 (たけ)
「垂直方向の長さを計る単位/ものさし」 をいいます。⇔
間計り
タカ(高)は タケ(丈・長)の変態で、高計り=丈計り です。
1間(=8尺)に2尺を足した10尺を “1丈(タケ)” とし、1丈=約225cm
です。
■尺を十苆切る (たおとつたきる)
ツタ(苆・寸莎)は
“ずたずた”
のズタ(寸) と同一で、「分け・分断・分割」
を意味します。
ですから 「1尺を10等分する」 という意です。
■寸 (き)
キル(切る)の名詞形で、「1尺を10等分に切った長さ」
を表し、
1寸=0.1尺=2.25cm です。
キ(寸)は ユビ(指)とも呼ばれ、これは手の中指の第二関節付近の幅をいいます。
これも古来世界中で使われた長さの単位で、海外ではフィンガー(finger)と呼ばれます。
十二尺五指は 和照らす 神の身丈と 我が背子と いとかけまくも 同じ丈〈ミ逸文〉
■民はヤタなり (たみはやたなり)
「民は8尺の身丈の者である」
という意ですが、この統計的事実から
ヤタ(八尺)は 「民」 の別名となり、これがヤタの2つ目の意味です。
すなわちヤタは、(1) 8尺 (2) 民
です。しかしまだ他にもあります。
【概意】
この間計りを8つに分けて、<それを1尺と定める。>
これ (1間=8尺) に 日と月の2尺を加えて <1丈とし>、
世の人々の身丈を計るモノサシとなす。
また1尺を10等分して、これを寸(き)と名づける。
ゆえにヤタとは、8尺の身である 「民」 をいうなり。
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たかはかり ほかせはにみつ よつにわけ
うつほのひとつ つきあわせ あまのめくりの まかりさし
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高計り 火・風・埴・水 四つに分け
空の一つ 継ぎ合せ 天の回りの 環差し
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■高計り (たかばかり)
ここでは 「1丈」 (約225cm) を意味します。
■火 (ほ) ■風(かぜ) ■埴
(はに) ■水(みづ) ■空
(うつほ)
天地創造において、陽から生じた
「空・風・火」 と、陰から生じた 「水・埴」
の5元素です。
5元素は、インドでは 五大(ごだい)、シナでは
五行(ごぎょう)
と呼ばれ、
またギリシャでは
四元素(しげんそ)+エーテル
と、さまざまな派生形があります。
しかしその理論 (いかにして陽陰と5元素は生れたか?)
の明瞭さ・整然性において、
ホツマ・ミカサの説明に勝るものはないだろうと思います。
1丈(=10尺)を 火・風・埴・水の4つで分けると、各1つは2尺半(約56cm)。
火・風・埴・水の4つを合せた1丈に、空の分の2尺半を継ぎ合わすと、12尺半です。
(この算術的操作にいかなる意味/奥義があるのかについては不明です)
■天の回り (あめのめぐり)
「天体の回転運動」 をいいます。
■環差し (まかりざし)
マカリ(罷り・環)は マカル(罷る・▽巻かる)の名詞形で、
「回り・環・輪・円形」 を意味します。サシ(差し)は
モノサシ(物差し)です。
よって 「環状のモノサシ」、つまり 「円形の分度器」
をいいます。
12尺半を輪にして直径4尺の 「円形のモノサシ(分度器)」
を造ったということです。
これは暦を作るため、天体の位置を測定するのに用いたと考えられます。
【概意】
高さを計る1丈を 火・風・埴・水 の4つに分ける <各々は2尺半>
これに空の2尺半を継ぎ合わせ <合計12尺半>
<これを環状に丸め> 天体の回りを見る
円形のモノサシとなす。
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これてひとみお いたかんと まろめてわたり ふたたたる
かかみはみやの みはしらに かみおまねくの やたかかみ
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これで人実を 抱かんと 丸めて径 二尺足る
鏡は宮の 実柱に 神を招くの ヤタ鏡
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■これ
「ヤタ(八尺)」 です。“ヤタ” は 「民」
の別名であるため、「8尺のものさし」 を用います。
■人実 (ひとみ)
ヒト(人)は この場合は 「8尺の人=民」 をいいます。
ミ(実・霊)は
ここでは 「心・中子・神霊・魂魄」 などを意味します。
よって 「民の心・民の魂魄」 という意味です。
■丸めて径二尺足る (まろめてわたりふたたたる)
8尺を 「輪状に丸めると直径が2尺余りとなる」
という意です。 ▶径(わたり)
ここでは “2尺余り” というサイズには意味がなく、“ふたたたる”
の
「タ」
のヲシテに意味があるのですが、それは追々説かれていきます。
★足る (たる)
「合う/合わす」
が原義で、「加える・増す・充たす・足りる・余る」
などの意です。
■宮の実柱 (みやのみはしら)
「皇宮の中心に立つ柱」 をいいます。 ▶宮 ▶実柱
これは 「八方を和して照らす中心の中心・本源」
を意味するものです。
■神を招く (かみおまねく)
カミ(上・神)は 人実(ひとみ)
の換言で、「心・中子・神霊・魂魄」 を意味します。
ですから 「民の神霊/魂魄を招き入れる」 という意です。
■ヤタ鏡 (やたかがみ)
この意味は次段で説明されます。
【概意】
ヤタ(8尺)で民の心を抱かんと、丸めて直径2尺余りの鏡を
宮の中柱に据えて、民の神霊を招き入れる。ゆえに “ヤタ鏡”
である。
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いまわたりたの まるかかみ あててやたみの こころゐる
やたのかかみの なによるな
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いま径 ‘タ’ の 円鏡 当てて八尺身の 心 入る
“ヤタの明暗見” の 名による名
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■いま (今)
「改め・更新」 が原義で、ここでは
「改めて言えば・すなわち・つまり」
などの意になります。
■径 ‘タ’ の円鏡 (わたりたのまるかがみ)
「直径が ‘タ’ のヲシテから成る円鏡」 という意です。
これは先出の “丸めて径二尺足る(まろめてわたりふたたたる)鏡”
を指します。
‘タ’
のヲシテにどういう意味があるかについては、すぐあとに説明されるのですが、
… … … やっぱり先取りしちゃいましょう。
‘タ’ のオシテ 三光 円の 内に入る 足り助く法 天と父 〈ホ17〉
このように説かれ、‘タ’
のヲシテは 「足らし助ける」 の意味を持ち、
その属性は 「天と父」 であると アマテルは言います。
したがって 径 ‘タ’ の円鏡 は 「天/父が足らし助ける円鏡」
という意味を持ちます。
この場合は、天/父とは 「上位者・君臣・公・親」
をいいます。
■八尺身 (やたみ)
「丈が8尺の身」 の意で、「民」 の別名です。単に “ヤタ”
ともいいます。
ですからヤタミは、(1) 八方の民 (2) 8尺の身=民
です。さらに別の意味もあります。
■心 (こころ)
「中心」 を原義とし、「本質・中子・神霊・魂魄」
などを意味します。
ですからこれも先出の “人実” や “神”
の換言です。
心 = 中子 = 実 = 霊 = 神 = 魂魄 = 陽陰 = 日月
この等式は今後のアマテルの言葉を理解する上で非常に重要となります。
どうか常に念頭に置いてください。
■ヤタの明暗見 (やたのかがみ)
ヤタは ここでは 「民」
です。ですから 「民の魂魄の合わせ・民の心の映し」
という意となります。
★かがみ (▽明暗見・鑑・鏡)
カガミル/カンガミル(▽明暗見る・鑑みる)の名詞形で、
「明暗 (=陽陰/日月/昼夜/天地/上下/魂魄)
の合わせ・映し」 が原義です。
【概意】
言い換えれば、
径が ‘タ’ から成る (天・父が足らし助ける)
円鏡を当てて、8尺の身(=民)の心を入れる。
つまり “ヤタの明暗見” (民の魂魄の映し)
の名による名である。
本日は以上です。それではまた!