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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第127回 [2023.3.2]

第二四巻 コヱ国 ハラミ山の文 (2)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 こゑくにはらみやまのあや (その2)
 コヱ国 ハラミ山の文 https://gejirin.com/hotuma24.html
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 しかるのち みくさたからお ひつにいれ
 しるしはさかき さきかりは たちからをなり つきかつて
 おおものぬしと みくさひつ やふさみくるま つきこやね
 かこむまやその もののへら

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 しかる後 三種宝を 櫃に入れ
 しるしは榊 先駆りは タチカラヲなり 次カツテ
 オオモノヌシと 三種櫃 八房御車 次コヤネ
 駕籠・馬 八十の モノノベら

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櫃 (ひつ)
ヒツ(漬づ)の名詞形で、「合わせ・収め・入れ物・容器」 をいいます。


■しるし (印・標・徴)
シルス(印す・標す・徴す・記す) の名詞形で、シラセ(知らせ) の変態です。
この場合は 「この団体行列が何であるかを知らせる表示」 をいいます。


榊・賢木 (さかき)
天 (タカマ・御上・中央政府) の権威を象徴するもので、
天のマサカキ の代用品と考えています。珠・鏡・剣 を添える場合もあります。

真榊の 上枝は熟玉 中つ枝に マフツの鏡 下 和幣 掛け祈らん 〈ホ7-5〉
・クシキネ アワの サササキに 
鏡の船に 乗り来るを 問えど答えず 〈ホ9-6〉
・シツ山の 
を抜きて 上つ枝に 八握の剣 八尺鏡 下 環珠や 〈ホ38〉
・ヤマトタケ 上総に入れば 
枝に を掛けて 向ひます 〈ホ39〉


■先駆り (さきがり)
サキガケ(先駆け)と同義で、「先頭を行く者・先陣を切る者」 をいいます。
これがタチカラヲの名の由来と考えられます。

 ★駆り (かり)
 カル(駆る)の名詞形です。カル(駆る)は カク(駆く・掻く)と同義で、
 「回る/回す・巡る/巡らす・行き来する/させる・動く/動かす」 などが原義です。


タチカラヲ
“タチカラ” は タチカル(立ち上る)の名詞形で、「立ち上がり・しょっぱな」 の換言です。
“ヲ” は 迷っていますが、とりあえず 「男・夫」 の意に解しています。 ▶タチカラ


■カツテ・カツテ尊 (かつてかみ)
葛城国を治めるヒトコトヌシの代嗣子ヤスヒコがアマテルより賜った尊名です。 ▶ヤスヒコ
この名は自身が詠んだ歌の “勝手にかけて” に由来します。
後にヤスヒコはその歌の通り、助産夫の草分け的存在となります。

 安々と 桜の母の 充り子を 勝手にかけて いでや生ません 〈ホ14-6〉

 ソサノヲ─ヒトコトヌシ┐
            ├─カツテ(斎名ヤスヒコ)
 スヱツミ─ヤスタマ姫─┘


■オオモノヌシ
3代オオモノヌシの コモリ です。


■三種櫃 (みくさひつ)
「三種宝を入れた櫃」 です。


■八房御車 (やふさみくるま)
ヤフサグルマ(八房車)の尊敬表現で、ニニキネはこれに乗ります。
「八隅(=八方)を巡って恵む」 という心を形にしたモノザネです。 ▶モノザネ


■八十のモノノベ (やそのもののべ)
ヤソ(八十) は 「供・従者・随行員」 を表す時に使う 慣例的な数です。
八十侍(やそべ)、八十守(やそかみ)、八十供(やそども)、八十モノベ(やそものべ)
などともいいます。 ▶モノノベ

 

【概意】
しかる後に三種宝を櫃に入れ、しるしは榊。先駆りはタチカラヲなり。
次にカツテ、オオモノヌシ、三種櫃、八房御車、次にコヤネ。
そのうしろに駕籠や馬に乗り従う八十のモノノベらが続く。



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 いせよりたちて あすかみや これよりみつの にしのみや
 まつかんさきの おおゐほり まなゐにいたり ぬさおさめ

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 イセより発ちて アスカ宮 これより水の 西宮
 まずカンサキの 生井掘り マナヰに到り 幣 納め

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アスカ宮 (あすかみや)
まずここに向かったのは、兄テルヒコへのあいさつと同時に、
山後川(やまあとがわ:=山背川・淀川)の水運を利用しようという意図でしょう。
テルヒコらはこの川をさかのぼって大和に入りましたが、
ニニキネ巡幸団は大和からこの川を下るわけです。


■水の西宮 (みづのにしのみや)
「水路にて向かう西宮」 つまり 「船で向かう西宮」 という意です。

 ★西宮 (にしのみや)
 西宮は瀬戸内海の水路の要衝です。淀川を大和・山背にまで逆上れたので、
 海と川の船をここで乗り換えました。


■カンサキの生井 (かんさきのおおゐ)
カンサキは現在の 「尼崎市の神崎」 と思います。
語義は カン(上)+サキ(先) で、「まず先・まっさき」 の換言と思います。
オオヰは オフ(生ふ)ヰ(井) で、「生やすための溜池」 の意と考えます。


マナヰ
ここにアマテルの祖父の トヨケの神霊(朝日神)を纏る “朝日宮” があるため、
ニニキネ一行は立ち寄って幣を奉納します。


■幣 (ぬさ)
“人と神を結ぶ” モノザネとして神に供える物の総称です。 ▶画像
ニキテ(和幣)ミテグラ(幣)ユフ(結・木綿) などとも呼ばれます。

 ヌスの名詞形で、ヌスは ナス(▽和す)ニス(似す) などの変態。
 いずれも 「合わせ・結び・添え」 などが原義です。

 

【概意】
イセより出発してアスカ宮に行き、ここから船で西宮へ。
まず神崎の生井を掘り、その後はマナヰに到って <朝日神に> 幣を納める。



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 こゑのねのくに あちはせか みねこしささく
 これにめし しらやまみねお みめくるに ななめにならす
 このこしは たかつくれると のたまえは

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 越の根の国 アチハセが 峰輿 捧ぐ
 これに召し 白山峰を 回巡るに 斜めにならず
 「この輿は 誰が造れる」 と 宣給えば

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越の根の国・還の根の国 (こゑのねのくに)
コヱは コユ(越ゆ)の名詞形、またカヱ(返・帰・還・回)の変態です。

 この国名にはもう1つ別の意味があり、このアヤの中盤に出てきます。


アチハセ
ココリ姫(=白山姫)の孫で、この時の還根の国を治める国守です。
オオモノヌシのコモリは、アチハセの娘 シラタマ姫を妻として、18人の女子を生んでいます。

 クシヒコ──コモリ
        ├──────┬1.モト姫     ┌18.トヨリ姫
 アチハセ─シラタマ姫    ├2.タマネ姫    ├17.アワナリ姫
               ├3.イソヨリ姫   ├16.ワカネ姫
               ├4.ムレノ姫    ├15.ハザクラ姫
               ├5.ミハオリ姫   ├14.アサ姫
               ├6.スセリ姫    ├13.ムメチル姫
               ├7.ミタラシ姫   ├12.ハモミ姫
               ├8.ヤヱコ姫    ├11.ミチツル姫
               ├9.コユルキ姫   ├10.シモト姫
               └─────────┘

 阿治波世神社 (あちはせじんじゃ)
 福井県坂井市丸岡町与河。
 祭神:阿治波世神
 ・<筆者注> この神社は現在は消失しています。


■峰輿 (みねこし)
その名の通り 「山岳地帯を移動するための輿」 です。
ミネ(峰)は ムネ(棟)の変態で、「高み・頂き」 などが原義。
コシ(輿)は “引っ越し” のコシ(越し)と同じで、「巡り・行き来・移動」 などが原義です。


白山 (しらやま)
越根の国のシンボル的な山です。現在は “はくさん” と呼ばれるため
“白山” と当てていますが、おそらく 「白い山」 の意ではないと思います。

 白山比盗_社 (しらやまひめじんじゃ)
 石川県白山市三宮町ニ105-1。
 現在の祭神:白山比淘蜷_、伊弉諾神、伊弉冉神
 ・全国に2,000社以上ある白山神社の総本社。白山を神体山とする。
 ・<筆者注> 白山比(しらやまひめ)は ココリ姫 の別名です。


■回巡る (みめぐる)
ミル(回る)の連用形+メグル(巡る) の同義語連結で、「巡回する・行き来する・移動する」
などが原義です。現在は “見回る” と当て字されます。

 

【概意】
越の根の国へ行くと、アチハセが峰輿を献上する。
これに召して白山の峰を巡回するに、斜めにならず、
「この輿は誰が造ったものか」 と宣給えば、



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 ここりめいわく まこかなす いとうけすてめ あかかたに
 くろそのつみと うむみこお ころひつくにの きみとなす
 くろそのつめる きみのはは けわしきみねの こすときに
 みねこしつくり こおそたつ いまここにきて まみゑなす

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 ココリ姫曰く 「孫が成す 妹ウケステ姫 赤県に
 クロソノツミと 生む御子を 転日つ国の 君となす
 クロソノツメル 君の母 険しき峰の 越す時に
 峰輿造り 子を育つ 今ここに来て まみえなす」

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ココリ姫 (ここりめ・ここりひめ)

■孫 (まご)
アチハセを指します。

       トヨケ──ヤソキネ
              ├───??──アチハセ
 アメヨロヅ─アワナギ┬ココリ姫
           ├イザナギ
           └クラキネ

 
■妹 (いと・いもと)
イモ(妹)オト(劣・乙・弟) の略です。


ウケステ姫 (うけすてめ)
根の国に渡来し、タマキネ(トヨケの斎名)によく仕え、感銘を受けたタマキネは
ココリ姫と姉妹の契りを結ばせて、“和の道奥” を授けました。 ▶和の道奥

 ウケステ姫 根の国に来て タマキネに よく仕ふれば
 実に応え ココリの妹と 結ばせて “和の道奥” 授けます 〈ホ15ー6〉


赤県 (あかがた)

クロソノツミ (玄圃統み)

■転日つ国 (ころひつくに)
コロヒ(▽転日)+ツ(=の)+クニ(国) で、コロヒは 「転ぶ日」 を意味し、クレヒ(暮日)の変態です。
ですから 「暮日の国」 という意で、「シナ国」 の換言です。 ▶シナ(支那)


クロソノツメル (▽玄圃統める)

■険しき峰 (けわしきみね)
コロ山” をいうものと考えられます。


まみえ・まみゑ(目見え)

 

【概意】
ココリ姫曰く、「孫が成す。」
「妹のウケステメは、赤県にクロソノツミと生む御子を、転日つ国の君となしますが、
クロソノツメル君の母は険しい山を越す時に、峰輿を造って子を育てたのです。
今ここに来て、お目にかかります。」



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 みまこよろこひ くにはこし やまはみねこし
 そのかえに みちみのももお たまわれは
 はなみのももは まれなりと くにつとになす

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 御孫喜び 「国は越 山は峰輿」
 その返えに みちみの桃を 賜われば
 「花見の桃は まれなり」 と 国苞になす

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■国は越 山は峰輿 (くにはこし やまはみねこし)
コシ(越)は コシネノクニ(越根の国)の略で、“越の根の国” の換言です。
“越” も “輿” も コス(越す) の名詞形で、「巡り・往き来・移動」 などが原義です。

 特に重大な意味のある発言とは思えませんが、
 「八州を巡る途中で、越の国 (日の巡りの始点の方角の国) に来て、
 峰輿 (山を巡る乗り物)を得る」 という、巡り合わせに対する感慨を
 言葉に表したものと考えます。


■返え (かえ)
カエシ(返し)と同じです。ここでは 「お返し・返礼」 の意です。


■みちみの桃 (みちみのもも)
ミチミは不詳ですが、ミチ(満ち)+ミ(見) で、「満開の花を見せる桃」 の意と考えています。
これは2〜3月の時期の話ですから、桃の実のことを言うとは考えにくいため、
桃の木の鉢植えか何かではないかと思います。

 シナ国側の伝説では “三千年の桃”  “仙桃七顆(せんとうしちか)” などと呼ばれ、
 漢の武帝が西王母からもらったものだといい、3千年に1度花が咲いて実を結ぶ
 という不老長寿の桃、ということになっています。


■花見の桃 (はなみのもも)
実を食べて楽しむ桃ではなく、「花を観賞して楽しむ桃」 という意でしょう。
これはおそらく “みちみの桃” の換言です。


■国苞 (くにつと)
「自国へのみやげ」 という意です。 ▶苞

 

【概意】
御孫は喜んで 「国は越、山は峰輿」 と宣給い、
その返礼に満開の桃を <ウケステ姫に> 賜われば、
「花見の桃とはめずらしい」 と国へのみやげとする。



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 やよいもち みあえのむめに きみゑみて
 むめにみくさの かといても むめにこしゑて このみあえ
 あめのしるしと おりかさし

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 三月十五日 御饗の梅に 君 笑みて
 「梅に三種の 門出も むめに輿得て この御饗」
 あめのしるしと 折り髪挿し

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■御饗の梅 (みあえのむめ)
「梅の花の下での祝賀の宴」 をいうものと思います。  ▶御饗 ▶梅


■梅に三種の門出 (むめにみくさのかといで)
ニニキネがアマテルより三種宝を受けて門出する時の、“梅の花見の御饗” をいいます。

 梅の花見の 御饗して 日夜見の宮の 門出宣 〈ホ24-1〉


■むめに (▽宜に)
普通は ”むべに” と言うところを、ムメ(梅)にしゃれて “むめに” と表しています。 ▶むべに
語義は同じですから、「よろしく・うまく・運よく」 などの意になります。


■あめのしるし (甘のしるし)
このアメ(甘・飴)は、やはり ウマ(美・甘・旨)・ウベ(宜) の変態と考えます。
ですから 「良きしるし・好ましいしるし・幸運のしるし・吉祥」 という意です。 ▶しるし
これもムメ(梅)に語呂を合せて “アメ” という語を選んでいるのでしょう。

 “国は越 山は峰輿” と同じく、今度はムメ(梅・宜・美)が重なる巡り合せを
 感じているようです。


■髪挿す (かざす)
「カミ(上・髪)にサス(挿す)」 という意で、辞書は “挿頭す” と当てます。
この名詞形が カンザシ(簪) です。

 

【概意】
3月15日の御饗の梅に君は笑みて、
「ムメ(梅)に三種の門出をなし、ムメ(宜)に輿を得て、
またこのムメ(梅)の御饗とは。幸運のしるし」 と、梅の枝を折って髪に挿し。



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 いたるたかしま ささなみの さくらもよしと おりかさし
 くまのよろきの たにせんと おおたみしまか いかわなす

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 到るタカシマ 「ささなみの 桜も好し」 と 折り髪挿し
 曲野・よろき野 田にせんと オオタ・ミシマが 井・川 成す

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■タカシマ (高島・▽貴州)
安曇川が琵琶湖に注ぐ河口付近の地で、今の滋賀県高島市です。
タカシマは アヅミ(集み)、ムナカタ(宗方)の換言で、
オモタル&カシコネ時代の 「都・中央政府」 を意味するものと考えます。

 安曇川は “あづみがわ”  “あしづみがわ”、また 朽木川(くちきがわ)と呼ばれてます。


■ささなみ
ササナミ(細波・小波・漣) は 「琵琶湖の西南沿岸一帯」 の古称です。
これはおそらく、トコヨ に この地域を治める スクナミ守 が初めて酒を造って
百雛木(=ウビチニ) 献上して賜った “ササナミ” の尊名に由来します。
つまり 「ササナミ尊の国」 という意味です。

 ササケはトコヨ 井の口の スクナミ守の 竹株に 雀が籾を 入るを見て
 酒造り初め 進めけり 百雛木より 
ササナミと 名を賜ふより 名もササケ 〈ホ2ー4〉


■折り髪挿す (おりかざす)
根の国では験(げん)をかついで、梅の枝を髪に挿していましたが、
高島に来ては 「桜も好し」 と、桜の枝を折って髪に挿します。


■曲野・隈野 (くまの)
ここでは 「曲った野・ダメな所・不毛の土地」 を意味する普通名詞です。 ▶クマ
高島市新旭町には 熊野本(くまのもと) という地名が現存します。


■よろき野 (よろきの)
ヨロキは ヨロケ(蹌踉)ユルギ(揺るぎ) などの変態で、
「揺れる・行き来する・転ぶ・倒れる」 などの意を表します。
よってこれも 「よろけた野・ダメな所・不毛の土地」 を意味し、“曲野” の同義語です。

 太田神社 (おおたじんじゃ)
 滋賀県高島市安曇川町青柳。 
 現在の祭神:太田神
 ・所在地は古くは万木(よろぎ)と呼ばれました。

同名のゆえに “よろき野” は、クシヒコがオオモノヌシになった時に賜った
ヨロギ(万木) と誤解されているようです。

 賜ふヨロギは 嘗事の 千草・万木の 名をただす 〈ホ10ー6〉

 
■オオタ ■ミシマ
オオタはコモリの12男。ミシマはコモリの11男です。
オオタは オフ(生ふ)+タ(田) で、「田を生かす者」 の意、
ミシマは ミ(水)+シマ(▽締) で、「水の取締り・水の管理者」 の意と考えます。
ミシマは ミノシマとも呼ばれ、またミゾクイという別名があります。

               ┌─────────┐
               ├9.タケフツ    ├10.チシロ
               ├8.ヤサカヒコ   ├11.ミノシマ(ミゾクイ)
               ├7.ナラヒコ    ├12.オオタ
               ├6.コセツヒコ   ├13.イワクラ
               ├5.チハヤヒ    ├14.ウタミワケ
               ├4.ヨテヒコ    ├15.ミコモリ
               ├3.ヨシノミコモリ ├16.サギス
 スヱツミ─イクタマヨリ姫  ├2.ツミハ     ├17.クワウチ
        ├──────┴1.カンタチ    └18.オトマロ
 クシヒコ──コモリ

 
 大田神社 (おおたじんじゃ)
 滋賀県高島市新旭町太田1468。 
 現在の祭神:大年神、菅原道眞 合 天津久米命
 <筆者注> 大田神社というのは 「大田神の社」 という意ですから、
      本来の祭神はオオタだったと考えられます。
      また高島市新旭町には 熊野本(くまのもと) という地名が現存します。

 箕島神社 (みしまじんじゃ)
 滋賀県高島市安曇川町三尾里558。
 現在の祭神:事代主命
 <筆者注> ここも本来の祭神はミシマだったと考えられます。
      事代主命(=ツミハ)と ミシマの混同は あちこちに例があります。


井 (い・ゐ)

 

【概意】
高島に到れば 「ささなみの桜も好し」 と、枝を折って髪に挿し、
不毛の野を田にしようと、オオタとミシマが池・川を造る。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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