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一から学ぶ ほつまつたえ講座 第199回 [2024.12.1]
第三七巻 鶏合せ 橘の文 (4)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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垂仁天皇ー3-4
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とりあわせたちばなのあや (その4)
鶏合せ 橘の文 https://gejirin.com/hotuma37.html
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むそよとし さみたれよそか ふりつつき
いなたみもちに いたみかる きみにもふせは みつからに
かせふのまつり なしませは やはりわかやき みつほなる
かえりもふての ほつみおも みつからまつり たまふゆえ
くにゆたかなり
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六十四年 五月雨四十日 降り続き
稲田 ミモチに 傷み枯る 君に申せば 自らに
“カセフの纏り” なしませば やはり若やぎ 瑞穂成る
返り詣での “ホツミ” をも 自ら祭り 給ふゆえ
国 豊かなり
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■ミモチ
■瑞穂 (みづほ)
■返り詣で (かえりもふで)・返詣で (かえもふで)
「お返しの詣で」 の意で、御礼参り
のことです。
■ホツミ
ホツミの祭
の略です。
【概意】
垂仁64年、五月雨が40日降り続き、稲田はミモチに傷み枯れる。
君に申せば、みずから “カセフの纏り”
をなさり、もと通り若やいで実を結ぶ。
お礼参りの “ホツミ” も
みずから祭り給うゆえ、国は豊かなり。
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やそなほの きさらきゐかに にしきみこ いもとにいわく
われをひぬ みたからもれよ
をなかひめ いなみていわく たおやめの ほこらたかくて
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八十七年の 二月五日に ニシキ御子 妹に曰く
「我 老ひぬ 神宝守れよ」
ヲナカ姫 否みて曰く 「たおや女の 祠 高くて」
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■神宝 (みたから)
軍の神が宿る千剣
(別名:アカハタカ)
を指します。 ▶神(み)
ミマキイリヒコ─┐ (崇神天皇) ├────イクメイリヒコ(斎名ヰソサチ:垂仁天皇) ミマキ姫────┘ ┃ ┃ ヒコヰマス────────サホ姫[内宮1]───────(1)ホンツワケ ┃ ツヅキタルネ─────┬─カバヰツキ姫[内宮2]────(2)ヤマト姫 │ ┃ └─カクヤ姫[内侍] ┌(3)ニシキイリヒコ(斎名ヰソキネ) ┃ ├(4)ヤマトヲシロワケ(斎名タリヒコ) タニハチヌシ─────┬─ヒハス姫[内宮3]─────┼(5)オオナカ姫 │ ┃ └(6)ワカキニ(斎名ハルヒコ) ├─ヌハタニイリ姫[典侍]-──┬(7)ヌテシワケ │ ┃ └(8)イカタラシ姫 ├─マトノ姫[内侍] │ ┃ ┌(9)イケハヤワケ └─アサミニイリ姫[内侍]-──┴(10)アサツ姫 ┃ 大国サラス────────カマハタトベ[内宮4]────(11)イワツクワケ(斎名トリヒコ) ┃ 山背フチ─────────カリハタトベ[?]─────┬(12)ミヲヤワケ ├(13)ヰイシタリヒコ └(14)ヰタケワケ
■祠・神庫 (ほこら・ほくら)
軍の神が宿る千剣
(別名:アカハタカ)
を収蔵する倉庫です。
この倉庫が後の 石上神宮 のもといです。
ホコラは、“神(かみ)の座所”、また ”神(かみ)の庫”
ですから、語呂合わせにより、
上(かみ:高い所) に設置したものと考えます。古代の出雲大社が高かった
という話も、
それが 神宝庫
として使われていたからだろうと推測しています。
出雲は上の 道の基 八百万文を 隠し置く 〈ホ34ー4〉
【概意】
垂仁87年の2月5日に、ニシキ御子は妹に曰く、
「我は老いた。神宝守れよ。」
ヲナカ姫は拒みて曰く、「たおや女の我には、祠は高くて
・・・ 」
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またいわく たかけれはこそ わかつくる
かみのほこらも かけはしの ままとうたえは
をなかひめ ものへとちねに またさつく
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また曰く 「高ければこそ 我が造る
神の祠も 懸橋の まま」 と うたえば
ヲナカ姫 モノベトチネに また授く
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■懸橋のまま (かけはしのまま)
カケハシ(懸橋)
は ここでは 「高所にある祠に上るためのハシゴ」
をいいます。
“懸橋のまま” とは 「この懸橋を持つ者の思い通り」
という意味でしょう。
【概意】
ニシキ御子はまた曰く、
「高いからこそ、我が造る神の祠も この懸橋のまま」
と返せば、
ヲナカ姫は <その懸橋を> モノベトチネにまた授く。
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たにはみかそか いゑのいぬ なはあしゆきか くひころす
むしなのはらに やさかにの たまありおさむ いそのかみ
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丹波ミカソが 家の犬 名は “アシユキ”
が 食ひ殺す
狢の腹に ヤサカニの珠あり 納む 軍の神
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■丹波ミカソ (たにはみかそ)
「丹波の国造」 を意味します。日本書紀には 丹波国桑田村の甕襲
と記されます。
ミカソ は ミ(‘見る’ の連用形)+カス(和す) の連結 “ミカス”
の名詞形で、
両語とも 「合わす・足す・治す」 などが原義です。 ▶治す(たす)
■アシユキ
丹波ミカソ の家で飼っていた犬の名です。日本書紀には 足往(あゆき)
と記されます。
■ヤサカニの珠 (やさかにのたま)
三種宝の “ヤサカニの環珠”
の如く、陰陽太極図
が立体化したような、2色混合の珠と考えます。
めったに見つからない、きわめて稀少な天然石だったのでしょう。 ▶ヤサカニ ▶三種宝
【概意】
丹波国造の家の犬、名は “アシユキ”
が食い殺した狢の腹から、
ヤサカニの珠が発見され、軍の神に奉納する。
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やそやふみそか みことのり
われきくむかし しらきみこ ひほこかつとの たからもの
たしまにあるお いまみんと
ひほこかひまこ きよひこに さおしかやれは たてまつる
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八十八年七月十日 御言宣
「我聞く 昔 シラキ御子 ヒボコが苞の 宝物
但馬にあるを いま見ん」 と
ヒボコが曽孫 キヨヒコに 差使遣れば 奉る
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■ヒボコ
崇神天皇39年に来日しています。
■苞の宝物 (つとのたからもの)
ヒボコが土産として献上した ハホソ / アシタカ / ウカ
の珠、イヅシ小刀、イヅシ矛、
ひ鏡、くまのひもろけす、イデアサの太刀 の 8品目をいいます。 ▶苞
昔
ヒボコが 土産物 ハホソ・アシタカ・ウカ
が珠、イヅシ小刀、イヅシ矛、
ひ鏡、くまのひもろけす、イデアサの太刀、この八種 但馬に収む 〈ホ35-1〉
■但馬にある (たじまにある)
崇神天皇の臣として仕えることを許されたヒボコは、各地を巡って但馬に落ち着きます。
その際、土産の品は 但馬の宮 (但馬国の政庁)
に収めるよう指示されたようです。
但馬国は兵庫県の北部にあたり、その政庁は出石 (兵庫県豊岡市)
に置かれました。
その跡が “出石神社” です。
出石神社 (いずしじんじゃ)
但馬国出石郡。兵庫県豊岡市出石町宮内99。
現在の祭神:伊豆志八前大神、天日槍命
・伊豆志八前大神は天日槍が将来した8種の神宝。天日槍命を併せ祀る。
■キヨヒコ
この時の 「但馬国造」 です。
マタオを娶り アメヒホコ モロスケを生む モロスケは ヒナラキを生む
ヒナラキは キヨヒコを生む キヨヒコは タジマモリ生む 〈ホ35-1〉
【概意】
垂仁88年7月10日、御言宣。
「昔
新羅御子のヒボコが伝えた宝物、但馬にあると我聞くが、今それを見よう」
と、
ヒボコの曽孫キヨヒコに勅使を遣れば、<持参して>
奉る。
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はほそあしたか うかかたま いつしこかたな いつしほこ
ひかかみくまの ひもろけす いてあさのたち やつのうち
いつしこかたな のこしおき そてにかくして はきいつる
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ハホソ・アシタカ・ウカが珠、イヅシ小刀、イヅシ矛、
ひ鏡、くまのひもろけす、イデアサの太刀 八つの内
“イツシ小刀” 残し置き 袖に隠して 佩き出づる
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■佩き出づる (はきいづる)
「携えて (君の御前に) 出る」 という意です。 ▶佩く
【概意】
ハホソ・アシタカ・ウカ
の珠、イヅシ小刀、イヅシ矛、ひ鏡、くまのひもろけす、イデアサの太刀。
8つの内、“イツシ小刀” は残し置き、袖の内に隠し携えて
<君の御前に> 出る。
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すへらきこれお しろさすて みきたまはれは のむときに
はたよりおちて あらわるる きみみていわく それなんそ
ここにきよひこ かくしゑす ささくたからの たくいなり
きみまたいわく そのたから あにはなれさる たくいかと
よつてささけて おさめおく
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皇これを 知ろさずて 御酒賜はれば 飲む時に
肌より落ちて 露わるる 君見て曰く 「それ何ぞ?」
ここにキヨヒコ 隠し得ず 「捧ぐ宝の 類なり」
君また曰く 「その宝 あに離れざる 類か」 と
よって捧げて 納め置く
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■肌 (はだ)
ハタ(端) と同じで、身体の 「端・外れ・表面」
をいいます。
ハダク(開く)、ハダカ(裸)
なども同源です。
■あに
【概意】
天皇はそれを知らずに御酒を賜えば、飲む時に肌から落ちて露われる。
君は見て曰く
「それ何ぞ?」 ここにキヨヒコ隠し得ず、「捧げる宝の類なり。」
君また曰く 「その宝は
どうしても離れられない類の物か?」 と。
よって捧げて、<蔵に> 納め置く。
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のちにひらけは これうせぬ きよひこめして もしゆくや
こたえもふさく さきのくれ こたちみつから きたれとも
そのあすのひに またうせぬ きみかしこみて またとわす
おのつといたる あはちしま かみとまつりて やしろたつ
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後に開けば これ失せぬ キヨヒコ召して 「もし行くや」
答え申さく 「さきの暮 小太刀みづから 来たれども
その明すの日に また失せぬ」 君 畏みて また問わず
おのづと到る 淡路島 神と纏りて 社 建つ
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■小太刀 (こだち)
小刀(こがたな) の換言です。
■明すの日 (あすのひ)
「改まった日」 が原義で、略して アス(明日)になります。 ▶明す
■神と纏る (かみとまつる)
何神かは不明ですが、「小刀と神を結び付ける」
という意です。
これは ニシキ御子が 千剣に軍の神を映す
のと同じことです。
■社 (やしろ)
淡路島の “出石神社” を指します。
出石神社
(いずしじんじゃ)
兵庫県洲本市由良町由良2856-1。
現在の祭神:天日鉾命
【概意】
後に蔵を開けば、これ(=イヅシ小刀)は失せぬ。
キヨヒコを召して、「もしやそっちへ行ったか?」
答え申さく、「さきの暮、小太刀みずから来たれども、その次の日にまた失せぬ。」
君は畏みてそれ以上は問わず、おのずと到る淡路島に、神と纏りて社を建てる。
小刀が 蔵を 「抜け出て行った所」。
これが イヅシ(▽出づ州・出石)、タジマ(▽出州・但馬)
の原義と考えます。
本日は以上です。それではまた!