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一から学ぶ みかさふみ講座 第43回 [2023.3.2]
みかさふみ 嘗事の文 (4)
著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com
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なめことのあや (その4)
嘗事の文 https://gejirin.com/mikasa07.html
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とのなめは はにみつうるふ さつきなか ひかりとほれは
かつめかみ みちおかえして ひおこえは みひきおまねき
しらみちの ひめおくたして はにふせは きそひのほりて
さみたるる あおはしけれは なからえの さのかおりうく
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’ト’ の嘗は 埴・水 潤ふ 五月半 光 徹れば
かつめ神 道を返して 冷を乞えば 陰引きを招き
白道の 一陰を下して 地に伏せば 競ひ昇りて
五月雨るる 青葉茂れば 永らえの 栄の薫り受く
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■’ト’ の嘗 (とのなめ)
八元神ト・ホ・カ・ミ・ヱ・ヒ・タ・メの、「トの神の嘗・トの神の御業」
をいいます。
支配期間 (陰暦) | 神の陰陽属性 | 招くエネルギー | 地上の気象 | |
ヱの神 | 11月半〜12月末 | 3陽1陰 | 1陽 | 3陰1陽 |
ヒの神 | 1月初〜2月半 | 2陽2陰 | 2陽 | 2陰2陽 |
タの神 | 2月半〜3月末 | 1陽3陰 | 3陽 | 1陰3陽 |
メの神 | 4月初〜5月半 | 0陽4陰 | 4陽 | 0陰4陽 |
トの神 | 5月半〜6月末 | 3陰1陽 | 1陰 | 3陽1陰 |
ホの神 | 7月初〜8月半 | 2陰2陽 | 2陰 | 2陽2陰 |
カの神 | 8月半〜9月末 | 1陰3陽 | 3陰 | 1陽3陰 |
ミの神 | 10月初〜11月半 | 0陰4陽 | 4陰 | 0陽4陰 |
トの神は、アメノミヲヤに委ねられた “地の紗霧(はのさきり)”
によって、
招来する陰/陽エネルギーの切り替えを行い、0陰4陽の地上に1陰を招きます。
これは “天の紗霧(あのさきり)”
によって冬至に1陽を招く ヱの神の御業と
対称をなすものです。
御祖神 幣
染むる 春秋の 息は管より
紗霧なす ‘ヱ’
に譲る霧 日を招き 冬 一陽還す
‘ト’ は夏に 月の陰還す 春秋ぞ
天譲る日は 天の紗霧 地譲る月 地の紗霧 〈ミ6-7〉
なお このアヤでは語られていませんが、トの神は 「南」 の方向に坐します。
‘ト’ は南に坐す 陰和神(めやわかみ) 〈ミ9アヤ〉
■埴・水 潤ふ (はにみづうるふ)
ウルフ(潤ふ)は
ウルホフ(潤ふ)と同じで、「高まる・栄える・活性化する・熟す」
などが原義です。ですから 「土も水も高まり栄える」
という意で、この場合は
「土も水も陽エネルギーが充ちる・土も水もあたたまる」
ということです。
■五月半 (さつきなか)
「サツキ(五月・皐月)のなかば」
をいい、陽暦(=新暦)の 「6月21日頃」 です。
これは 「夏至」
の日を意味します。夏の終りと秋の始まりを画す日です。
■光徹る (ひかりとほる)
“光” は 「陽」 の換言で、「陽が貫徹する」
ことをいい、これはメの神により
地上の気象が 「0陰4陽となっている」 ことを意味します。
■道を返す (みちおかえす)
ヱの嘗において、かつめ神は地球の傾きを北に引いて日(太陽)を迎えています。
“その道を返す” ですから、「地球の傾きを南に引く」
ということでしょう。
(一見、逆のように感じますが)
’ヱ’
の嘗は北に 十一月の半 一陽を招けば
かつめ神 舵を北に引き 日を迎ふ 〈ミ7-1〉
■冷を乞ふ (ひおこふ)
ヒ(卑・鄙・氷・▽冷・▽退・▽低)は 「下・低・劣・衰」
などが原義で、
これらはすべて 「陰の属性」 です。
コフ(乞ふ・請ふ)は 、交ふ、恋ふ、媚ぶ
などと同源で、
「(心を) 交える/寄せる・欲する」 などが原義です。
■水引き・陰引き (みひき)
ミ(水)は 「陰」
の換言で、「陰を引き寄せるもの」 という意です。
これは 月から生ずる 「地の紗霧」
の異称だと思います。
天(=陽)譲る日は 天の紗霧 地(=陰)譲る月 地の紗霧 〈ミ6-7〉
■白道 (しらみち)
“白道” は
「月の周回軌道」 をいいますが、この場合は
白道を周回する 「月・太陰」
そのものをいうと考えられます。
■競ひ昇る (きそひのぼる)
キソフ(競ふ)は 「合う・ぶつかる・並ぶ・対する」
などが原義で、
ここでは 陽と陰が
「合う・ぶつかる・まみえる・まみれる」
という意味です。
陽の属性は平たく言えば、「明るく暖かくカラリとする (陽気・明朗)」
であり、
陰の属性は平たく言えば、「暗く冷たく湿っぽい (陰気・陰湿)」
です。
ですからここは、陽が支配する
熱く乾いた地に、冷たく湿った陰が入り込むため、
陽と陰がぶつかってまみれ、温かく湿った空気 (水蒸気)
となって上空に “昇る”
ということでしょう。そしてその結果、梅雨がやってきます。
■五月雨るる (さみだるる) ■五月雨 (さみだれ)
サミダル(五月雨る)の連体形で、サム+タルル(垂るる)
の連結です。
サムは シメル(湿る)の母動詞 シム(▽湿む)
の変態で、タルルは タレル(垂れる)と同じです。
この名詞形が 五月雨(さみだれ)
で、「湿らす垂れ・湿っぽい雨」 を意味し、今に言う 「梅雨」
です。
■栄の薫り (さのかおり)
サ(▽栄)は キツサネ(東西南北)の サ(南)の原義です。
「繁栄の薫り」 の意で、これは 「初夏の青葉の薫り」
をいいます。
この薫りを運ぶ初夏の風は “薫風”
と呼ばれています。
くん‐ぷう【薫風】 (広辞苑)
@南風。温和な風。かんばしい風。南薫。
A青葉の香りを吹きおくる初夏の風。青嵐(あおあらし)。薫る風。
〈[季]夏〉。「―の季節」
【概意】
トの神の嘗(御業)は、
土も水も暖まる5月半ば(夏至)に陽の支配が貫徹すると、
かつめ神は道を返して冷を乞うため、
水引き(=地の紗霧)を招き、白道の月より1陰を下して地に伏せる。
すると陰と陽がぶつかり、<温かく湿った空気となって>
上空に昇り、
湿りの雨となる。それは青葉を茂らせ、長寿を招く “栄の薫り”
を受ける。
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みなつきは ややはにみちて たたかえは かみなりあつく
すえはなお あつくかわけは ももまつり
きそひやむれは ひめひらく
ほそちちのわに ぬけつくる みなのはらひそ
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六月は やや地に充ちて 闘えば 上鳴り 暑く
末はなお 暑く乾けば 桃纏り
競ひ止むれば 一陰開く
ホゾチ・茅の輪に 抜け尽くる 穢の祓ぞ
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■六月・水無月
(みなつき)
陰暦6月の別称です。語源の一つは 妊婦の
「羊水が乾き減る月」 であるようです。
三つの因みの 液あふれ 六月乾き 臍の緒へ 霊汁通れば 〈ホ14-4〉
またこの頃は暑く乾き、人にミナ(▽穢)が付きやすい時節であるため、
ミナツキ(穢付き・穢月)という意味もあります。その穢を祓うため、
ミナツキの祓
が行われるのですが、そのゆえに六月はまた “セミナ月”
とも呼ばれます。セミナは セム(▽清む)+ミナ(穢)
の短縮です。
秘刀 せん方無くも 袖内に 隠し 諌めの せみな月 〈ホ35-3〉
■闘ふ (たたかふ)
タタク(叩く)+アフ(合ふ) の短縮で、「叩き合う」
の意です。
タタクは 「合わす・当たる・打つ・ぶつかる」
などを原義とします。
ですから基本的には キソフ(競ふ)
と同義です。
■上鳴る (かみなる)
「上が鳴る・上空が鳴り響く」 の意で、
この名詞形が カミナリ(雷) だと考えています。
■桃纏り (ももまつり)
「桃による纏り(手当て・ケア)」
の意で、果物の桃を食べて体力を付けて
暑さによる汚穢 (夏バテ)
に対処することをいうと考えます。
“ももまつり”
という言葉自体が残ってないので、なんとも言えませんが、
果物が夏バテ予防に効果的なのは確かなようです。
このモモ(桃)と、次に出てくる ホゾチ
は同じ物をいうと思われます。
■開く (ひらく)
ヒラク(開く)は ヒログ(広ぐ・拡ぐ)の変態で、ここでは
「広がる」 という意味です。
■ホゾチ
(臍落・熟瓜)
ホゾ(臍・蔕)+オチ(落ち)
の短縮で、ホゾは ヘソ(臍)・ヘタ(蔕)・ホダ(絆)
などの変態です。いずれも 「つながり・つなぎ目」
を意味します。
ですから
「つなぎ目が切れて木から落ちるほどに熟した果実」
をいいます。
■茅の輪
(ちのわ)
チ(▽幸・▽繁・▽精) の ワ(環・輪)で、「元気の回復」
を意味し、
「茅を編んで造った大きな輪」 をくぐることをそのモノザネとします。[画像]
■抜け尽くる (ぬけつくる)
汚穢を
「抜き尽くす・抜き切る」 という意です。
■穢の祓 (みなのはらひ)
「汚穢の洗い・曲り/異常の直し」 という意味です。
これを行う国家的行事が大祓で、六月祓/禊、夏越の祓
とも呼ばれます。
【概意】
6月は <1陰が> いよいよ地に充ちて
<陽と陰が> 闘えば、空が鳴り(雷)、暑くなる。
月末はさらに暑く乾けば 桃を食べて手当てする。
<陽と陰の> 競り合いが止まれば 1陰のエネルギーが広がる。
熟れた果実と茅の輪によって抜き尽くす穢の祓ぞ。
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かたちけた あのまてのいの なかにたつ
くにたしなるる かみかたち
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形 方 天の左右の射の 中に立つ
国治し平るる 神形
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トの神の形
(すなわちトのヲシテの形) を口述したものです。
方(けた)は
「方形・四角形」 をいい、これを ‘ロ’ で表します。
‘ロ’ は四方の囲みであり、これはすなわち 「国」
を意味します。
そこに天から 日月/陽陰のエネルギー ‘↘↙’
が放射され、
交わり結んで 中柱 (中軸・都・皇) ‘h’ が立ちます。
★射 (い)
イル(射る)の変態 “イユ” の連用形が名詞化したものが
イ(射) で、
“イユ” の名詞形 “イヤ” が詰まって ヤ(矢)
になったと考えてます。
【概意】
その姿は、方形に天からの左右 (日月/陽陰)
の放射が結んで中に立つ。
国を治めて平定する神形。
アメノミヲヤの左右の眼から 「日と月」
が漏れ出たとする記があるため、
マテ(左右)は ここでは 「日月・陽陰」
を意味するものと考えます。
アメノミヲヤの 眼より 漏るる日月と 〈ホ4-2〉
本日は以上です。それではまた!