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徹底解説みかさふみ講座 第46回 [2023.3.24]

みかさふみ 嘗事の文 (7)

著者:おあずけ2号 (駒形一登)
著者HP:ホツマツタエ解読ガイド https://gejirin.com

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 なめことのあや (その7)
 嘗事の文 https://gejirin.com/mikasa07.html
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 ひとせこれ ゑとにはんへる みそのかみ
 ひひにかわりて むそかもる むわのなめこと
 うつろゐの としこえせまえ おおみそか はつむかそよか
 さのみそか すへひとせもる なめことそこれ
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 一年これ ヱトに侍る 三十の神
 日々に替わりて 六十日守る 六還の嘗事
 ウツロヰの 年越瀬前 大晦日 初六日・十四日
 五月の三十日 総べ一年守る 嘗事ぞこれ
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■ヱトに侍る三十の神 (ゑとにはんべるみそのかみ)
“ヱト” はここでは 干支表記の末尾に付く ‘ヱ‘ と ‘ト’ をいいます。
ハンベル(侍る)は ハベルの音便変化で、「合わす・付く・添う」 などが原義です。
ミソノカミ(三十の神)は キ・ツ・ヲ・サ・ネ と ア・ミ・ヤ・シ・ナ・ウ の組合せが作る
30パターン (キア・ツミ・ヲヤ・サシ・ネナ … … … ) をいいます。


■守る (もる)
ミル(見る)の変態で、ここでは 「面倒を見る・世話する」 などの意です。


■六還の嘗事 (むわのなめごと)
ムワ(六還・六輪)は 「6回転・6循環」 などの意です。
これは60日で一周する干支が6回転することで、1年の360日を守ることをいいます。
では残りの5日はどうするのか⁉  ウツロヰの出番です。


■ウツロヰ (▽空埋)
ウツロ(空)+ヰ(▽埋) で、「空きを埋める者」 という意です。
ヰは イケル(埋ける)の名詞形で、イケ(池) や ヰ(井)と同根です。

ウツロヰは元来 「空間/空気を支配する自然神」 で、その意味で 「空きを埋める神」
であるわけですが、ニニキネがニハリの宮に移る時、落雷で新宮の垣を破損させる
という事件を起こします。(ウツロヰは雷や地震の原因となる神です)
これを知ったアマテルは怒りますが、許してやって欲しいとニニキネに願われて、
「その罪を許すかわりに、ヱト神が守り余す空白を埋めよ」 と命じたのです。
こうしてウツロヰは 「ヱト神の空きを埋める神」 にもなったわけです。

・大御神 許す御言は 「ヱトの副 柳隠ろひ (=ウツロヰ:柳に隠る者の意)
 空守り 東北の一木を 居代にせよ」       〈ホ21-5〉
・もしも地搖り 鳴神の 騒る障りの あらん時 東北の一木を 居代に
 ヱトの六十日に 守り余る 柳隠ろひ 空 守る  〈ホ22-2〉


■年越瀬前 (としこえせまえ)
セ(瀬)は セツ(▽接つ)の名詞形で、「接する所・分け目・境界・際・節・限」
などを原義とし、セツ(節・切)・セチ(節)・セト(瀬戸) などの短縮形です。
ですから “年越瀬” は 「年を越える分け目」 の意で、「大晦日」 の別名です。
陰暦の大晦日は12月30日ですから、その前日である 「12月29日」 をいいます。

 川や海なども 「陸地を分ける境界」 ですから、“瀬” と呼ばれます。


■大晦日 (おおみそか)
オオ(▽終)+ミソカ(三十日) で、オオは オフ(終ふ)の名詞形です。
ですから 「最終の三十日」 という意です。


■初六日・十四日 (はつむか・そよか)
「1月6日と14日」 です。


■五月の三十日 (さのみそか)
“サ” は サツキ(五月・皐月) の略です。

 

【概意】
一年はこれ、ヱ・トとそれに付き添う30の神が日々交替で60日を守るが、
これを6回繰り返す360日の嘗事(御業)に、ウツロヰの守る
年越瀬前(12月29日)、大晦日(12月30日)、1月6日と14日、5月30日を
合せて、一年365日を守る嘗事(御業)ぞこれ。


 ウツロヰの5日の補填により、年初は必ずキアヱで始まるようになります。
 それでも4年に1回は閏日を入れないとズレが生じますが、それについては
 言及がありません。

 

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 かくゑとの とさきのゆえは
 あめみをや のりしてゑかみ ふゆおもり
 とかみはなつの そろおもる なかくひとくさ うるほせは
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 かく ヱトの ’ト’ 先の故は
 アメミヲヤ 宣して ヱ神 冬を守り
 ト神は夏の ソロを守る 永く人草 潤せば
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■ヱトの ’ト’ 先の故は (ゑとのとさきのゆえは)
これはアヤ冒頭のシガの尊の質問、ヱトの神 ‘ト’ よりの宣の 故を問ふ”

 ヱの神は 「兄の神」 で、トの神は 「弟の神」 であるのに、
 なぜ “ヱヒタメトホカミ” ではなく、“トホカミヱヒタメ” と
 ト(弟)を先にもってくるのか?

これに対する答えです。


■アメミヲヤ宣して (あめみをやのりして)
アメノミヲヤが御言宣して」 という意で、その御言宣は次の内容です。

 御祖神 幣 染むる 春秋の 息は管より 紗霧なす 
 ‘ヱ’ に譲る霧 日を招き 冬 一陽還す
 ‘ト’ は夏に 月の陰還す 春秋ぞ
 天譲る日は 天の紗霧 地譲る月 地の紗霧 〈ミ6-7〉


■ソロ (▽揃・▽繁)
ソロフ(揃ふ)の母動詞 “ソル” の名詞形で、「備わるさま・充足・実り」
などを原義とし、ここでは 「繁栄・繁茂」 を意味します。

 

【概意】
かくして ヱトの ’ト’ が先である理由は、
アメミヲヤの御言宣により ヱの神は冬を守るのに対し、
一方のトの神は夏の繁栄を守りて 永く人草を潤すからであり、

 

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 かみになそらえ とのたまに なつくやまとの のとなれは
 いまさらかみの みことのり うけてさたむる みちとけは
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 『神になぞらえ トの霊に 名付く “ヤマト” の 宣なれば』
 今 新尊の 御言宣 受けて定むる 道 説けば
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■トの霊 (とのたま)
「トの神霊(みたま)」 をいいますが、ここでは特に
「トの言霊・トのヲシデが持つエネルギー」 をいうと考えます。


■“ヤマト” の (やまとののと)
国家の名を 「“ヤマト” と言うこと」 です。


■今 (いま)
「改まるさま」 が原義です。
ここでは副詞的に 「あらためて・あらたに」 という意に使われてます。


■新尊 (さらかみ)
サラ(新・更)+カミ(上・▽尊) で、「新たな御上(おかみ)・新たな皇」 の意です。
トヨケの時代の話ですから、これはおそらくアマテル君(斎名ワカヒト)を指します。

 

【概意】
また『神になぞらえて の言霊に名付けた “ヤマ” の物言いなれば』との
新尊 (アマテル君) の御言宣を、あらたに受けて定めた経緯を説けば、


 トの言霊 (トのヲシデが持つエネルギー) とはどんなものなのか?
 これについてアマテルが言及している箇所があります。
 それは “トトノエル (調える・整える)” ということでした。

  トはととのふる オシテなり  〈ホ17-2〉

 ヤマト の心は 「和して調える」 こと、すなわち 「調和」 なのでしょう。

 

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 しかおちこちの ももつかさ みなふみそめて かえるこれかな
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 シガ・遠近の 百司 みな文染めて 帰るこれかな
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■シガ (志賀・滋賀)
ツキスミのシガの尊」 です。


■遠近の百司 (おちこちのももつかさ)
オチコチ(遠近)アチコチ(彼方此方)の変態です。
モモツカサ(百司)は “九君・百尊・三千彦” の 百尊(もみこと) と同じです。


■文染む (ふみそむ)
「文言を書き染める・メモする」 の意です。
“ヲシデ染む” ともいいます。

 

【概意】
シガの尊も遠近の百司も、みな文を書き染めて帰るこれかな。

 

 

本日は以上です。それではまた!

 

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